JPH0689343B2 - 石油系重質油の熱分解処理方法 - Google Patents
石油系重質油の熱分解処理方法Info
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- JPH0689343B2 JPH0689343B2 JP26411985A JP26411985A JPH0689343B2 JP H0689343 B2 JPH0689343 B2 JP H0689343B2 JP 26411985 A JP26411985 A JP 26411985A JP 26411985 A JP26411985 A JP 26411985A JP H0689343 B2 JPH0689343 B2 JP H0689343B2
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- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は石油系重質油の連続的熱分解処理方法に関する
ものである。
ものである。
石油系重質油を熱分割し、液状ピッチと分解軽質油を含
むガス状生成物を生成させることは種々知られており、
例えば、特開昭59−157180号公報によれば、燃料として
好適なピッチと分解軽質油を得るために、分解加熱炉と
2基以上の完全混合型反応器との組合せを用いて重質油
を熱分解処理するとともに、最終段の完全混合型反応器
で得られた分解重質油を第2の分解加熱炉で熱分解処理
して芳香族性タールをそれらの各完全混合型反応器に循
環させる方法が提案されている。この方法では、熱分解
反応を連続的に実施し得ると共に、コーキングトラブル
を有効に防止し得るという利点はあるものの、2基以上
の完全混合型反応器と二基の分解熱炉を用いると共に、
各反応器温度を後段のもの程より高い温度に設定するこ
とが必要であるため、装置効率及び経済性の面からは、
未だ満足し得るものではなかった。
むガス状生成物を生成させることは種々知られており、
例えば、特開昭59−157180号公報によれば、燃料として
好適なピッチと分解軽質油を得るために、分解加熱炉と
2基以上の完全混合型反応器との組合せを用いて重質油
を熱分解処理するとともに、最終段の完全混合型反応器
で得られた分解重質油を第2の分解加熱炉で熱分解処理
して芳香族性タールをそれらの各完全混合型反応器に循
環させる方法が提案されている。この方法では、熱分解
反応を連続的に実施し得ると共に、コーキングトラブル
を有効に防止し得るという利点はあるものの、2基以上
の完全混合型反応器と二基の分解熱炉を用いると共に、
各反応器温度を後段のもの程より高い温度に設定するこ
とが必要であるため、装置効率及び経済性の面からは、
未だ満足し得るものではなかった。
本発明は、従来技術に見られる前記欠点を克服した石油
系重質油の熱分解処理方法、即ち、分解加熱炉と1基の
完全混合型反応器との組合せを用いて、石油系重質油を
コーキングトラブルを防止しながら熱分解処理し、燃料
として好適なピッチの軟質化された分解油を生成させる
方法を提供することを目的とする。
系重質油の熱分解処理方法、即ち、分解加熱炉と1基の
完全混合型反応器との組合せを用いて、石油系重質油を
コーキングトラブルを防止しながら熱分解処理し、燃料
として好適なピッチの軟質化された分解油を生成させる
方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、石油系重質油を熱分解処理するに際
し、該重質油を1基の分解加熱炉と1基の完全混合型反
応器との組合せを用いて処理すると共に、該分解加熱炉
において全熱分解反応率の50%以上の割合の熱分解処理
を行い、該完全混合型反応器内に揮発分30〜45重量%の
燃料として好適な液状ピッチと、分解軽質油を含むガス
状生成物を生成させ、かつ該完全混合型反応器で得られ
たガス状生成物を分留処理すると共に、該分留処理によ
り得られた沸点370℃以上の分解重質油の少なくとも一
部を前記分解加熱炉に循環し、原料重質油に対し、原料
重質油1重量部当り0.1〜0.3重量部の割合で混合させる
ことを特徴とする石油系重質油の熱分解処理方法が提供
される。
し、該重質油を1基の分解加熱炉と1基の完全混合型反
応器との組合せを用いて処理すると共に、該分解加熱炉
において全熱分解反応率の50%以上の割合の熱分解処理
を行い、該完全混合型反応器内に揮発分30〜45重量%の
燃料として好適な液状ピッチと、分解軽質油を含むガス
状生成物を生成させ、かつ該完全混合型反応器で得られ
たガス状生成物を分留処理すると共に、該分留処理によ
り得られた沸点370℃以上の分解重質油の少なくとも一
部を前記分解加熱炉に循環し、原料重質油に対し、原料
重質油1重量部当り0.1〜0.3重量部の割合で混合させる
ことを特徴とする石油系重質油の熱分解処理方法が提供
される。
本発明において用いる石油系重質油としては、原油の常
圧又は減圧蒸留残渣油の他、各種熱分解残渣油、溶剤脱
瀝アスファルト、天然アスファルト、タールサンドから
得られる製油残留物等が挙げられる。
圧又は減圧蒸留残渣油の他、各種熱分解残渣油、溶剤脱
瀝アスファルト、天然アスファルト、タールサンドから
得られる製油残留物等が挙げられる。
本発明においては、このような石油系重質油(以下、単
に原料油とも言う)を、分解加熱炉と1基の完全混合型
反応器との組合せを用いて熱分解処理する。即ち、原料
油を、先ず、分解加熱炉を用いて熱分解処理し、次に得
られた熱分解処理生成物を、1基の完全混合型反応器を
用いてさらに熱分解処理する。原料油をこのような分解
加熱炉と1基の完全混合型反応基との組合せを用いて熱
分解処理する場合、従来の技術では、完全混合型反応器
内のピッチ中に形成されるメソフェースは、その割合が
多く、しかも合体して大きな粒径のメソフェースになり
やすい。即ち、炭素析出しやすいものであるため、コー
キングトラブルが発生しやすいという問題があったが、
本発明者らの研究によれば、この場合のコーキングトラ
ブル発生の問題は、分解加熱炉において、全熱分解反応
率の50%以上の熱分解処理を行うことにより効果的に防
止し得ることが見出された。
に原料油とも言う)を、分解加熱炉と1基の完全混合型
反応器との組合せを用いて熱分解処理する。即ち、原料
油を、先ず、分解加熱炉を用いて熱分解処理し、次に得
られた熱分解処理生成物を、1基の完全混合型反応器を
用いてさらに熱分解処理する。原料油をこのような分解
加熱炉と1基の完全混合型反応基との組合せを用いて熱
分解処理する場合、従来の技術では、完全混合型反応器
内のピッチ中に形成されるメソフェースは、その割合が
多く、しかも合体して大きな粒径のメソフェースになり
やすい。即ち、炭素析出しやすいものであるため、コー
キングトラブルが発生しやすいという問題があったが、
本発明者らの研究によれば、この場合のコーキングトラ
ブル発生の問題は、分解加熱炉において、全熱分解反応
率の50%以上の熱分解処理を行うことにより効果的に防
止し得ることが見出された。
なお、本明細書で言う全熱分解反応率とは、分解加熱炉
と完全混合型反応器の両者によって達成される原料油の
合計熱分解反応率を意味するもので、次の式によって定
義される。
と完全混合型反応器の両者によって達成される原料油の
合計熱分解反応率を意味するもので、次の式によって定
義される。
R:全熱分解反応率(%) A:原料油中の沸点538℃以上の成分の重量 C:完全混合型反応器から得られる熱分解処理生成物中の
沸点538℃以上の成分の重量 B:分解加熱炉から得られる熱分解処理生成物中の沸点53
8℃以上の成分の重量 本発明において、全熱分解反応率の具体的値は、原料油
の種類等によって適当な範囲に設定するが、一般的に言
うと、揮発分30〜45重量%のピッチを得るために必要と
される熱分解反応率は、通常65〜75%、特に67〜70%の
範囲である。
沸点538℃以上の成分の重量 B:分解加熱炉から得られる熱分解処理生成物中の沸点53
8℃以上の成分の重量 本発明において、全熱分解反応率の具体的値は、原料油
の種類等によって適当な範囲に設定するが、一般的に言
うと、揮発分30〜45重量%のピッチを得るために必要と
される熱分解反応率は、通常65〜75%、特に67〜70%の
範囲である。
分解加熱炉における反応条件としては、一般的には、温
度:450〜520℃、圧力:常圧〜20kg/cm2の条件が採用さ
れる。この分解加熱炉では、前記したように全熱分解反
応率の50%以上、好ましくは60〜70%の熱分解反応率が
得られるように熱分解処理を行うが、この熱分解反応率
は、反応温度、反応圧力及び滞留時間によって調節する
ことができる。
度:450〜520℃、圧力:常圧〜20kg/cm2の条件が採用さ
れる。この分解加熱炉では、前記したように全熱分解反
応率の50%以上、好ましくは60〜70%の熱分解反応率が
得られるように熱分解処理を行うが、この熱分解反応率
は、反応温度、反応圧力及び滞留時間によって調節する
ことができる。
完全混合型反応器における反応条件は、温度400〜450
℃、反応圧力:100mmHg〜5kg/cm2、反応時間:10〜120
分、好ましくは30〜60分である。また、この完全混合型
反応器は、減圧下又は水蒸気を供給して、炭化水素分圧
100〜600mmHgの条件で運転される。この完全混合型反応
器における熱分解反応率は全熱分解反応率の50%以下、
好ましくは25〜40%であるが、この熱分解反応率は、反
応温度、炭化水素分圧、及び反応時間によって調節する
ことができ、反応温度及び反応圧力を一定にすると、反
応時間によって調節することができる。この完全混合型
反応器では、液状ピッチと、分解軽質油を含むガス状生
成物とが生成される。この反応器で生成される液状ピッ
チ中にはメソフェースが含まれるが、本発明の場合、こ
のメソフェースの割合は少なく、通常、30容量%以下、
殊に、15〜25容量%であり、またそのメソフェースは粒
径が20〜50μm程度のピッチ中分散性の良好な炭素化
(コーク化)しにくいものである。
℃、反応圧力:100mmHg〜5kg/cm2、反応時間:10〜120
分、好ましくは30〜60分である。また、この完全混合型
反応器は、減圧下又は水蒸気を供給して、炭化水素分圧
100〜600mmHgの条件で運転される。この完全混合型反応
器における熱分解反応率は全熱分解反応率の50%以下、
好ましくは25〜40%であるが、この熱分解反応率は、反
応温度、炭化水素分圧、及び反応時間によって調節する
ことができ、反応温度及び反応圧力を一定にすると、反
応時間によって調節することができる。この完全混合型
反応器では、液状ピッチと、分解軽質油を含むガス状生
成物とが生成される。この反応器で生成される液状ピッ
チ中にはメソフェースが含まれるが、本発明の場合、こ
のメソフェースの割合は少なく、通常、30容量%以下、
殊に、15〜25容量%であり、またそのメソフェースは粒
径が20〜50μm程度のピッチ中分散性の良好な炭素化
(コーク化)しにくいものである。
前記分解加熱炉としては、外熱式管型の反応器を備えた
ものが用いられ、また完全混合型反応器としては、通
常、内部撹拌装置を備えた槽型のもので、必要に応じ、
反応器壁をクリーンに保つために濡壁式やスクレーパー
等を併用した形式のものが用いられる。これらの分解加
熱炉や完全混合型反応器は従来公知のものが任意に採用
される。
ものが用いられ、また完全混合型反応器としては、通
常、内部撹拌装置を備えた槽型のもので、必要に応じ、
反応器壁をクリーンに保つために濡壁式やスクレーパー
等を併用した形式のものが用いられる。これらの分解加
熱炉や完全混合型反応器は従来公知のものが任意に採用
される。
本発明の方法を実施する場合、前記したように、分解加
熱炉において大部分の熱分解反応を終了させることか
ら、その分解加熱炉の反応条件は厳しくなり、場合によ
っては、この分解加熱炉でのコーキングトラブルの発生
も予想されるが、この分解加熱炉におけるコーキングト
ラブルの発生は、種々の方法によって防止することがで
き、例えば、当該プロセスから生成される分解重質油を
循環することによって効果的に防止することができる。
この場合、循環する分解重質油としては、沸点370℃以
上、好ましくは538℃以上のものが用いられる。
熱炉において大部分の熱分解反応を終了させることか
ら、その分解加熱炉の反応条件は厳しくなり、場合によ
っては、この分解加熱炉でのコーキングトラブルの発生
も予想されるが、この分解加熱炉におけるコーキングト
ラブルの発生は、種々の方法によって防止することがで
き、例えば、当該プロセスから生成される分解重質油を
循環することによって効果的に防止することができる。
この場合、循環する分解重質油としては、沸点370℃以
上、好ましくは538℃以上のものが用いられる。
前記分解重質油の原料油に対する循環割合は、原料油1
重量部に対し、0.1〜0.3重量部である。この循環割合が
多くなりすぎると、分解ガスやピッチの増加を招き、分
解油の収率を低下させるようになるので好ましくない。
重量部に対し、0.1〜0.3重量部である。この循環割合が
多くなりすぎると、分解ガスやピッチの増加を招き、分
解油の収率を低下させるようになるので好ましくない。
次に、本発明の方法を図面によりさらに詳細に説明す
る。図面において、1は分解加熱炉、2は完全混合型反
応器、3はピッチ冷却器、4は分留塔を各示す。
る。図面において、1は分解加熱炉、2は完全混合型反
応器、3はピッチ冷却器、4は分留塔を各示す。
原料油はライン5を通って分解加熱炉1に供給される
が、この場合、分解加熱炉1への導入に先立ち、分留塔
4の塔底から循環される分解重質油と混合される。この
分解重質油の添加された原料油は、分解加熱炉1で熱分
解処理を受け、その熱分解処理生成物はライン7を通っ
て完全混合型反応器2に導入され、ここでさらに熱分解
処理を受ける。この場合、この完全混合型反応器2の底
部には、ライン8を通り、さらにスチームスーパーヒー
ター12で加熱された高温スチーム(温度約400〜700℃)
が導入され、反応器2の内容物としての液状ピッチを加
熱してさらに熱分解させると共に、液状ピッチ中の揮発
成分のピッチ中からの放散を促進させ、かつ反応器空間
中の炭化水素分圧を低減させる。この反応器2で生成し
た分解油を含むガス状成分は、ライン10を通って分留塔
4に導入される。一方、この反応器2で得られる液状ピ
ッチは、ライン9を通って抜出され、ピッチ冷却器3に
導入され、ここで液状ピッチは冷却され反応は停止す
る。
が、この場合、分解加熱炉1への導入に先立ち、分留塔
4の塔底から循環される分解重質油と混合される。この
分解重質油の添加された原料油は、分解加熱炉1で熱分
解処理を受け、その熱分解処理生成物はライン7を通っ
て完全混合型反応器2に導入され、ここでさらに熱分解
処理を受ける。この場合、この完全混合型反応器2の底
部には、ライン8を通り、さらにスチームスーパーヒー
ター12で加熱された高温スチーム(温度約400〜700℃)
が導入され、反応器2の内容物としての液状ピッチを加
熱してさらに熱分解させると共に、液状ピッチ中の揮発
成分のピッチ中からの放散を促進させ、かつ反応器空間
中の炭化水素分圧を低減させる。この反応器2で生成し
た分解油を含むガス状成分は、ライン10を通って分留塔
4に導入される。一方、この反応器2で得られる液状ピ
ッチは、ライン9を通って抜出され、ピッチ冷却器3に
導入され、ここで液状ピッチは冷却され反応は停止す
る。
このピッチ冷却器3の液状ピッチはライン11を通って製
品ピッチとして放出される。
品ピッチとして放出される。
ライン10を通って分留塔4に導入されたガス状成分はこ
こで分留され、ライン14を通って分解ガス、ライン15を
通って分解軽質油(沸点C5〜370℃)、ライン16を通っ
て分解重質油(沸点370〜538℃)及びライン17を通って
循環分解重質油(沸点538℃以上)がそれぞれ抜出され
る。ライン17を通って抜出された分解重質油は、原料油
と混合されるために、循環される。
こで分留され、ライン14を通って分解ガス、ライン15を
通って分解軽質油(沸点C5〜370℃)、ライン16を通っ
て分解重質油(沸点370〜538℃)及びライン17を通って
循環分解重質油(沸点538℃以上)がそれぞれ抜出され
る。ライン17を通って抜出された分解重質油は、原料油
と混合されるために、循環される。
本発明を実施する場合、種々の変更が可能であり、例え
ば、分留塔4として複数の分留塔からなるものを用いる
ことができるし、原料油は、直接分解加熱炉に供給する
代りに、あらかじめ分留塔4に導入し、その塔底から得
られる原料油と分解重質油との混合物を分解加熱炉1に
導入することもできる。また、原料油に添加する塔底か
らの分解重質油にはライン16の分解重質油を添加するこ
とができる。
ば、分留塔4として複数の分留塔からなるものを用いる
ことができるし、原料油は、直接分解加熱炉に供給する
代りに、あらかじめ分留塔4に導入し、その塔底から得
られる原料油と分解重質油との混合物を分解加熱炉1に
導入することもできる。また、原料油に添加する塔底か
らの分解重質油にはライン16の分解重質油を添加するこ
とができる。
本発明は、従来技術とは異なり、前記したように分解加
熱炉と1基の完全混合型反応器との組合せを用いて石油
系重質油を熱分解処理することにより、連続的にかつ反
応器におけるコーキングトラブルを抑制しつつ、充分に
軟質化された分解油と、揮発分30〜45重量%の燃料とし
て好適なピッチを得るものである。従来の石油系重質油
の熱分解処理においては、分解加熱炉と1基の完全混合
型反応器との組合せでは、完全混合型反応器内で生成す
るメソフェースは合体して炭素析出しやすいもの、即
ち、コーキングトラブルを発生しやすいものであった
が、本発明の場合、ピッチ中に生成されるメソフェース
は粒径の小さなもので、合体しにくく、ピッチ中分散性
の良好な炭素析出しにくいものである。
熱炉と1基の完全混合型反応器との組合せを用いて石油
系重質油を熱分解処理することにより、連続的にかつ反
応器におけるコーキングトラブルを抑制しつつ、充分に
軟質化された分解油と、揮発分30〜45重量%の燃料とし
て好適なピッチを得るものである。従来の石油系重質油
の熱分解処理においては、分解加熱炉と1基の完全混合
型反応器との組合せでは、完全混合型反応器内で生成す
るメソフェースは合体して炭素析出しやすいもの、即
ち、コーキングトラブルを発生しやすいものであった
が、本発明の場合、ピッチ中に生成されるメソフェース
は粒径の小さなもので、合体しにくく、ピッチ中分散性
の良好な炭素析出しにくいものである。
本発明の方法は、熱分解装置として、分解加熱炉と1基
の完全混合型反応器との組合せからなる単純化された装
置系を用いると共に、原料油を連続的に熱分解処理する
ことから、極めて経済性に富むもので、その産業的意義
は大きい。
の完全混合型反応器との組合せからなる単純化された装
置系を用いると共に、原料油を連続的に熱分解処理する
ことから、極めて経済性に富むもので、その産業的意義
は大きい。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1 図面に示した装置系を用いて、表−1に示す性状をもっ
た石油系重質油を熱分解処理した。
た石油系重質油を熱分解処理した。
即ち、原料油を流量300kg/hrで分解加熱炉に供給し、出
口温度及び圧力がそれぞれ490℃、2.5kg/cm2Gの条件で
熱分解処理し、次いで得られた熱分解処理生成物を、底
部からスチームを導入させた完全混合型反応器(内径50
0mm、高さ3000mmの撹拌槽型反応器)に供給し、温度410
℃、平均滞留時間(反応時間)26分、炭化水素分圧200m
mHgの条件で熱分解処理した。なお、この場合、原料油
に対する分解重質油の循環は行わなかった。このような
2段熱分解処理により得られた分解生成物収率を表−2
に示し、また得られたピッチの性状を表−3に示す。
口温度及び圧力がそれぞれ490℃、2.5kg/cm2Gの条件で
熱分解処理し、次いで得られた熱分解処理生成物を、底
部からスチームを導入させた完全混合型反応器(内径50
0mm、高さ3000mmの撹拌槽型反応器)に供給し、温度410
℃、平均滞留時間(反応時間)26分、炭化水素分圧200m
mHgの条件で熱分解処理した。なお、この場合、原料油
に対する分解重質油の循環は行わなかった。このような
2段熱分解処理により得られた分解生成物収率を表−2
に示し、また得られたピッチの性状を表−3に示す。
前記の熱分解処理において、全熱分解反応率は67%であ
り、分解加熱炉での分解反応率は、全分解反応率の約65
%であった。また、前記のようにして85時間連続して運
転を行ったが、コーキング現象は認められず、得られた
ピッチ中のメソフェーズは粒径の小さなもので、ピッチ
中に良好な分散状況を示した。
り、分解加熱炉での分解反応率は、全分解反応率の約65
%であった。また、前記のようにして85時間連続して運
転を行ったが、コーキング現象は認められず、得られた
ピッチ中のメソフェーズは粒径の小さなもので、ピッチ
中に良好な分散状況を示した。
次に、前記の熱分解処理において、完全混合型反応器で
得られた分解生成物中の分解重質油成分(沸点400℃以
上)を、原料油に対し、原料油1重量部に対して0.2重
量部の割合で混合した以外は同様にして実験を行った。
この実験においては、250時間連続運転しても、分解加
熱炉及び完全混合型反応器においてコーキング現象は認
められず、分解重質油成分を原料油に混合することによ
るコーキング防止効果を有することが認められた。
得られた分解生成物中の分解重質油成分(沸点400℃以
上)を、原料油に対し、原料油1重量部に対して0.2重
量部の割合で混合した以外は同様にして実験を行った。
この実験においては、250時間連続運転しても、分解加
熱炉及び完全混合型反応器においてコーキング現象は認
められず、分解重質油成分を原料油に混合することによ
るコーキング防止効果を有することが認められた。
参考例2 実施例1において、原料油として、表−1に示した性状
のものを、分解重質油を混合することなく用いて熱分解
処理するに際し、分解加熱炉及び完全混合型反応器にお
ける反応時間を種々変化させ、全熱分解反応率(約67
%)に対する分解加熱炉と完全混合型反応器における熱
分解反応率割合を種々変化させた以外は同様にして実験
を行った。運転性と得られたピッチの性状を観察し、コ
ーキング性の有無を調べた。その結果を次表に示す。
のものを、分解重質油を混合することなく用いて熱分解
処理するに際し、分解加熱炉及び完全混合型反応器にお
ける反応時間を種々変化させ、全熱分解反応率(約67
%)に対する分解加熱炉と完全混合型反応器における熱
分解反応率割合を種々変化させた以外は同様にして実験
を行った。運転性と得られたピッチの性状を観察し、コ
ーキング性の有無を調べた。その結果を次表に示す。
なお、ピッチのコーキング性の評価法及び評価基準は次
の通りである。
の通りである。
ピッチ中のメソフェースを偏光顕微鏡により観察し、単
一メソフェース粒径、合体状況によりコーキング性を評
価 〔ピッチのコーキング性評価基準〕 ○…コーキングの発生なし △…コーキングの発生ややあり ×…コーキングの発生顕著 実施例2 原料油に対し分解重質油を循環し、実施例1と同様にし
て実験を行った。この場合、分解重質油としては、完全
混合型反応器から得られるガス状成分を分留して得られ
る沸点400℃以上、の塔底油を用いた。また、分解加熱
炉と完全混合型反応器の熱分解反応率を調節し、軟化点
がほぼ同一のピッチが得られるようにした。その実験結
果を次表に示す。
一メソフェース粒径、合体状況によりコーキング性を評
価 〔ピッチのコーキング性評価基準〕 ○…コーキングの発生なし △…コーキングの発生ややあり ×…コーキングの発生顕著 実施例2 原料油に対し分解重質油を循環し、実施例1と同様にし
て実験を行った。この場合、分解重質油としては、完全
混合型反応器から得られるガス状成分を分留して得られ
る沸点400℃以上、の塔底油を用いた。また、分解加熱
炉と完全混合型反応器の熱分解反応率を調節し、軟化点
がほぼ同一のピッチが得られるようにした。その実験結
果を次表に示す。
これらの実験においても、250時間の連続運転を行って
もコーキング現象は生じなかった。
もコーキング現象は生じなかった。
図面は本発明の方法を実施するための装置系統図の1例
を示すものである。 1……分解加熱炉、2……完全混合型反応器、3……ピ
ッチ冷却器、4……分留塔。
を示すものである。 1……分解加熱炉、2……完全混合型反応器、3……ピ
ッチ冷却器、4……分留塔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 会田 弘 東京都練馬区桜台3の12 (56)参考文献 特開 昭59−157180(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】石油系重質油を熱分解処理するに際し、該
重質油を1基の分解加熱炉と1基の完全混合型反応器と
の組合せを用いて処理すると共に、該分解加熱炉におい
て全熱分解反応率の50%以上の割合の熱分解処理を行
い、該完全混合型反応器内に揮発分30〜45重量%の燃料
として好敵な液状ピッチと、分解軽質油を含むガス状生
成物を生成させ、かつ該完全混合型反応器で得られたガ
ス状生成物を分留処理すると共に、該分留処理により得
られた沸点370℃以上の分解重質油の少なくとも一部を
前記分解加熱炉に循環し、原料重質油に対し、原料重質
油1重量部当り0.1〜0.3重量部の割合で混合させること
を特徴とする石油系重質油の熱分解処理方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26411985A JPH0689343B2 (ja) | 1985-11-25 | 1985-11-25 | 石油系重質油の熱分解処理方法 |
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