JPH0688943B2 - ジアシロキシナフタレンの製造方法 - Google Patents

ジアシロキシナフタレンの製造方法

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JPH0688943B2
JPH0688943B2 JP17510286A JP17510286A JPH0688943B2 JP H0688943 B2 JPH0688943 B2 JP H0688943B2 JP 17510286 A JP17510286 A JP 17510286A JP 17510286 A JP17510286 A JP 17510286A JP H0688943 B2 JPH0688943 B2 JP H0688943B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、ジアシロキシナフタレン(diacyloxy naphth
alene)の製造方法に関し、さらに詳しくは、液晶ポリ
マーなどの原料として有用な2,6-ジアセトキシナフタレ
ンなどのジアシロキシナフタレンの製造方法に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 ジアシロキシナフタレンは、上述のように、液晶ポリマ
ーなどの原料として有用な化合物であって、このジアシ
ロキシナフタレンは、従来からジヒドロキシナフタレン
とアシロキシ化剤とを触媒の存在下に反応させることに
より製造しうることが知られている。
ところでジヒドロキシナフタレンは、たとえばジカルボ
キシナフタレンをアルカリ融解することにより製造しう
ることが知られているが、この方法ではジヒドロキシナ
フタレンの製造コストが高いため、別のプロセスによる
ジヒドロキシナフタレンを製造することが望まれてい
た。このため、ジイソプロピルナフタレンを塩基の存在
下に分子状酸素によって酸化してジイソプロピルナフタ
レンジヒドロペルオキシドとし、これを硫酸などの酸性
触媒の存在下に酸分解することによってジヒドロキシナ
フタレンを製造する方法が、たとえば本出願人によって
提案されている。
ところで、ジイソプロピルナフタレンを塩基の存在下に
分子状酸素によって酸化してジイソプロピルナフタレン
ジヒドロペルオキシドとし、これを酸性触媒の存在下に
酸分解して得られるジヒドロキシナフタレンからジアシ
ロキシナフタレンを製造しようとすると、次のような問
題点があることが本発明者らによって見出された。すな
わち、前述のジイソプロピルナフタレンジヒドロペルオ
キシドの酸分解によって得られる、ジヒドロキシナフタ
レンが含まれた酸分解反応混合物からジヒドロキシナフ
タレンを高純度および高回収率で得ることは難かしく、
ジヒドロキシナフタレンの精製工程でジヒドロキシナフ
タレンに大きなロスが生じてしまい、このため結果的に
ジイソプロピルナフタレンからのジアシロキシナフタレ
ンの収率が大きく低下してしまう。
本発明者らは、上記のような問題点を解決すべく鋭意研
究したところ、ジイソプロピルナフタレンジヒドロペル
オキシドの酸分解によって得られるジヒドロキシナフタ
レンが含まれた酸分解反応混合物から高純度のジヒドロ
キシナフタレンを分離せずに、酸分解反応混合物中に含
まれるジヒドロキシナフタレンにアシロキシ化剤を触媒
の存在下に反応させてジアシロキシナフタレンとし、こ
のジアシロキシナフタレンを反応混合物から分離すれ
ば、ジアシロキシナフタレンが高純度および高収率で得
られることを見出して本発明を完成するに至った。
発明の概要 本発明に係るジアシロキシナフタレンの製造方法は、ジ
イソプロピルナフタレンを塩基の存在下で分子状酸素に
より酸化して得られるジイソプロピルナフタレンジヒド
ロペルオキシドが含まれる酸化反応生成物を酸分解し、
得られたジヒドロキシナフタレンが含まれた酸分解反応
生成物に、アシロキシ化剤を加えてジヒドロキシナフタ
レンとアシロキシ化剤とを触媒の存在下に反応させ、得
られたジアシロキシナフタレンを反応混合物から分離す
ることを特徴としている。
本発明に係るジアシロキシナフタレンの製造方法によれ
ば、ジイソプロピルナフタレンを塩基の存在下で分子状
酸素により酸化して得られるジイソプロピルナフタレン
ジヒドロペルオキシドが含まれる酸化反応生成物を酸分
解し、得られたジヒドロキシナフタレンが含まれた酸分
解反応生成物に、アシロキシ化剤を加えてジヒドロキシ
ナフタレンとアシロキシ化剤とを酸触媒の存在下に反応
させ、得られたジアシロキシナフタレンを反応混合物か
ら分離しているので、ジイソプロピルナフタレンから高
純度のジアシロキシナフタレンを高収率で製造すること
ができるとともに、ジアシロキシナフタレンの製造工程
を簡素化しうる。
発明の具体的説明 以下本発明に係るジアシロキシナフタレンの製造方法に
ついて具体的に説明する。
本発明では、まず、ジイソプロピルナフタレンを塩基の
存在下で分子状酸素により酸化してジイソプロピルナフ
タレンジヒドロペルオキシドを生成させ、このジイソプ
ロピルナフタレンジヒドロペルオキシドが含まれた酸化
反応生成物を硫酸などの酸触媒により酸分解してジヒド
ロキシナフタレンが含まれた酸分解反応生成物を製造す
る。
本発明ではジイソプロピルナフタレンとして具体的には
2,6-ジイソプロピルナフタレン、2,7-ジイソプロピルナ
フタレン、1,4-ジイソプロピルナフタレンなどを例示で
きる。この中では2,6-ジイソプロピルナフタレンが好ま
しい。
本発明では、まず、上記のようにジイソプロピルナフタ
レンの酸化およびそれに引続く酸分解によってジヒドロ
キシナフタレンが含まれた酸分解反応生成物を製造する
が、ジヒドロキシナフタレンは上記のようにして得られ
るものであるならば、たとえばその際用いられる溶媒、
酸触媒などは広く変化させることができる。
[酸化反応] ジイソプロピルナフタレンからジヒドロキシナフタレン
が含まれた酸分解反応生成物を製造するための好ましい
一例を以下に詳述する。
ジイソプロピルナフタレンの酸化反応は、塩基水溶液中
にジイソプロピルナフタレンを加え、機械的に混合して
乳化状態とし、これに分子状酸素を含む気体を吹き込む
ことによって行なわれる。
上記塩基としてはアルカリ金属化合物が好ましく用いら
れる。このアルカリ金属化合物としては、具体的には、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウムなどを例示することができる。これらアル
カリ金属化合物の水溶液における濃度は20重量%以下が
好ましい。また、反応混合物における塩基水溶液の使用
量は、通常、反応混合物の5〜80重量%を占めるのが好
ましく、特に、20〜70重量%の範囲にあることが好まし
い。塩基水溶液の使用量が反応混合物の5重量%よりも
少ないときは、油状の未反応ジイソプロピルナフタレン
およびその酸化生成物と、塩基水溶液からなる反応液の
分散状態がよくなく、乳化状態が不十分となって、酸化
反応に不利な影響を及ぼす。一方、塩基水溶液の使用量
が80重量%よりも多い場合も、反応系の乳化状態が悪く
なるので、好ましくない。また、酸化反応においては、
塩基水溶液のpHは、通常、7〜14好ましくは11〜14の範
囲に保持される。
なお、ジイソプロピルナフタレンおよびその酸化生成物
と、塩基水溶液は、通常、機械的な撹拌によって十分に
乳化させることができるが、必要に応じて、たとえば、
ステアリン酸等の従来より知られている乳化剤の存在下
に撹拌してもよい。
前記塩基として、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化ストロンチウムなどのアルカリ土類金属水酸
化物も用いることができる。特に、水酸化カルシウムが
好ましい。これらアルカリ土類金属水酸化物は、単独で
用いてもよく、また、前記アルカリ金属化合物と併用し
てもよい。
分子状酸素としては、酸素ガスを単独で用いてもよい
が、通常、空気で十分である。分子状酸素の所要量は、
通常、酸化反応のための仕込みジイソプロピルナフタレ
ン100g当り、酸素ガス換算にて5〜15N/時の範囲で
あるが、特に、制限されるものではない。
反応温度は、通常、80〜150℃、好ましくは90〜130℃で
あり、反応時間は反応温度などの条件によっても異なる
が、通常は6〜40時間である。ジイソプロピルナフタレ
ンの反応率は、ジヒドロペルオキシドの生成量を高める
ために80%以上とすることが好ましい。なお反応は、普
通、常圧下に行なわれるが、必要に応じて加圧下または
減圧下に行なうこともできる。
ジイソプロピルナフタレンの上記酸化反応においては、
好ましくは反応開始剤が用いられる。たとえば、α,
α′‐アゾビス(シクロヘキサン‐1-カルボニトリル)
を反応開始剤として用いることができる。反応開始剤を
用いることによって、反応の誘導期間を短縮することが
できる。その使用量は、通常、原料ジイソプロピルナフ
レタンを含む仕込み反応混合物100重量部当たり0.005〜
1重量部の範囲である。
上に説明したようなジイソプロピルナフタレンの酸化反
応によって、ジイソプロピルナフタレンジヒドロペルオ
キシド(DHP)のほかに、副生成物として、(2-ヒドロ
キシ‐2-プロピル)‐(2-ヒドロペルオキシ‐2-プロピ
ル)ナフタレン(HHP)、ビス(2-ヒドロキシ‐2-プロ
ピル)ナフタレン(DCA)、イソプロピル(2-ヒドロキ
シ‐2-プロピル)ナフタレン(MCA)などのカルビノー
ル類、あるいはイソプロピル(2-ヒドロペルオキシ‐2-
プロピル)ナフタレン(MHP)などのモノヒドロペルオ
キシドが生成する。
上記酸化反応による反応生成物の組成を求めるには、反
応後に有機相と水相とを分離し、この水相をエーテルな
どで抽出し、有機相およびエーテル抽出液を液体クロマ
トグラフィーにて分析すれば、未反応ジイソプロピルナ
フタレンと酸化反応生成物であるDHP、HHP、DCA、MHP、
MCAなどを定量することができる。
ジイソプロピルナフタレンの酸化反応は、その反応率を
好ましくは80%以上とし、未反応ジイソプロピルナフタ
レン、上記ジヒドロペルオキシドおよび副生成物を含む
酸化反応混合物が次の酸分解反応に供される。通常、上
記酸化反応混合物にメチルイソブチルケトン(MIBK)な
どのような適宜の有機溶剤を適量加え、酸化反応混合物
を含有する有機相を水相から分離し、この有機相を用い
て、次の酸分解を行なう。以下、この有機相を酸分解原
料ということがある。
[酸分解反応] このようにして得られた酸分解原料を用いて、これに含
有されるジイソプロピルナフタレンジヒドロペルオキシ
ドを酸性触媒の存在下で酸分解して、ジヒドロキシナフ
タレンが含まれた酸分解反応生成物を製造する。この場
合、酸分解原料中には、酸化反応の副生成物として前記
したカルビノール類が含まれているので、酸分解反応の
際に同時に過酸化水素を共存させて、副生成物であるカ
ルビノール類のうち、HHPとDCAとをジヒドロペルオキシ
ド類に酸化し、このジヒドロペルオキシドをも同時に酸
性触媒にて酸分解する方法を必要に応じて採用すれば、
高収率にてジヒドロキシナフタレンを得ることができる
ので好ましい。
ジイソプロピルナフタレンの反応率を80%以上とする場
合には、DHPのほかにHHPおよびDCAの収率も高まるが、
このHHPおよびDCAは、酸分解反応の際に同時に過酸化水
素を共存させる方法を採用した場合には、DHPに変換す
ることができるので、高収率でジヒドロキシナフタレン
を得ることができ、また、この場合には、ジヒドロキシ
ナフタレンの生成に寄与しないMHPの収率を低くできる
ので好ましい。特に、ジイソプロピルナフタレンの反応
率を90%以上、一層好ましくは95%以上とすることによ
って、ジヒドロキシナフタレンの収率をさらに高めるこ
とができる。
上記過酸化水素としては、過酸化水素または過酸化水素
水溶液のほかに、反応条件下で過酸化水素を発生する物
質、たとえば、過酸化ナトリウム、過酸化ナトリウムな
どを用いることができるが、過酸化水素水溶液を用いる
ことが好ましい。特に、酸分解反応に際して、過酸化水
素を前記カルビノール類のアルコール性水素基1モル当
り、0.9〜2モル、好ましくは1.0〜1.5モルの割合にて
用いることによって、目的とするジヒドロキシナフタレ
ンを高収率にて得ることができる。また、かかる条件に
て過酸化水素を用いた場合には、同時にカルビノール類
の縮合に基づく副生成物の生成を著しく抑制することが
できるので好ましい。
また、酸分解反応における酸性触媒としては、硫酸、塩
酸、リン酸などの無機酸、強酸性イオン交換樹脂、シリ
カゲル、シリカアルミナなどの固体酸、クロロ酢酸、メ
タンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホ
ン酸などの有機酸、リンタングステン酸、リンモリブデ
ン酸等のヘテロポリ酸などが好ましく用いられる。これ
ら酸性触媒は、そのまま反応系に加えてもよいし、ま
た、これら酸性触媒が溶解性をもつときは、適宜の不活
性溶剤に溶解して、反応系に加えることもできる。酸性
触媒の使用量は、その種類および反応条件にもよるが、
通常、全反応混合物に対して0.5〜10重量%の範囲であ
る。
前述したように、ジイソプロピルナフタレンの酸化反応
後、反応混合物からジイソプロピルナフタレンジヒドロ
ペルオキシドおよび副生成物をメチルイソブチルケトン
のような有機溶剤中に移し、この有機溶剤を反応溶剤と
して酸分解反応を行なうことが実用上、有利である。し
かし、反応溶剤は何らメチルイソブチルケトンに限定さ
れるものではなく、必要に応じて、その他の不活性有機
溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケ
トン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢
酸、プロピオン酸などの低級脂肪族カルボン酸、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭
化水素を用いることもでき、また、これらの混合物も用
いることができる。反応溶剤にカルボン酸を用いた場合
には、酸分解と同時にあるいは酸分解に引き続いて後述
のジヒドロペルオキシドのアシロキシ化剤によるアシロ
キシル化反応を行う上で好都合である。
この酸分解反応は、0〜100℃、好ましくは20〜80℃の
範囲で行なわれる。
本発明では以上のようにして得られる酸分解反応生成物
には、ジヒドロキシナフタレンの他に副生不純物として
のイソプロピルナフトール、アセチルナフトール、ジヒ
ドロキシナフタレン2量体、タール分が含まれ、さらに
副生アセトンと酸分解次に共存させたたとえばメチルイ
ソブチルケトン、クメンなどの反応溶剤が含まれてい
る。後述のアシロキシル化反応の原料に供される該混合
物中のジヒドロキシナフタレンの割合は通常は5〜30重
量%の範囲にあり、また該混合物中から副生アセトンと
反応溶剤を除く酸分解反応生成物中に占めるジヒドロキ
シナフタレンの割合は通常40〜80重量%の範囲にあり、
本発明ではこのような酸分解反応混合物が後述のアシロ
キシ化剤によるアシロキシル化反応の原料に供される。
[ジアシロキシナフタレン] 本発明では、このようにして得られるジヒドロキシナフ
タレンを含む酸分解反応混合物にアシロキシ化剤を加え
て、ジヒドロキシナフタレンとアシロキシ化剤を触媒の
存在下に反応させて、ジアシロキシナフタレンが製造さ
れる。この場合アシロキシル化反応を行うに当たって、
酸分解反応混合物から必要に応じて副生アセトンなどの
低沸点物、反応溶剤を適宜量蒸留などによって除去して
もよい。
アシロキシ化剤は、酸分解反応生成物中に含まれるジヒ
ドロキシナフタレン1モル当り1〜20モル好ましくは5
〜5モルの量で添加することが好ましい。
本発明で使用されるアシロキシ化剤としては無水の、ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの低級脂肪
族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸などの芳香族カル
ボン酸およびアセトルクロリドなどの酸クロリドを例示
できる。
またジヒドロキシナフタレンとアシロキシ化剤との反応
に際して用いられる触媒としては、ジイソプロピルナフ
タレンジヒドロペルオキシドの分解に際して用いられた
酸触媒と同様のものを広く用いることができ、硫酸、塩
酸、リン酸、フッ化硼素などの無機酸が特に好ましく用
いられる。固体酸としてのイオン交換樹脂も使用でき
る。また酸以外の触媒として、塩基も使用でき、ピリジ
ン、キノリンなどの有塩塩基のほかに、酢酸ナトリウム
のような塩も好ましく使用できる。触媒の使用量は、そ
の種類および反応条件によって異なるが、通常全反応混
合物に対して0.01〜10重量%の範囲であることが好まし
い。
このジヒドロキシナフタレンと無水カルボン酸などのア
シロキシ化剤との反応は、0〜200℃好ましくは80〜140
℃の範囲で行なわれる。また反応時間は、30分〜5時間
好ましくは1〜2時間程度である。
上記のようにしてジヒドロキシナフタレンが含まれた酸
分解反応生成物に無水カルボン酸などのアシロキシ化剤
を加えて、ジヒドロキシナフタレンと無水カルボン酸な
どのアシロキシ化剤とを反応させた後、得られる反応混
合物を放冷するなどして冷却すると、反応混合物からジ
アシロキシナフタレンが沈殿物として得られる。
本発明では酸分解生成物をクメンなどの芳香族炭化水
素、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン
類、カルボン酸類溶媒の存在下に行うことができ、特に
溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いてアシロキシ
ル化させると、目的物のジアシロキシナフタレンを反応
混合物から分離する際、不純物は溶媒に抽出されて残る
ので得られるジアシロシナフタレンの純度は高くなるの
で好ましい。
本発明では、ジアシロキシナフタレンとして具体的には
2,6-ジアシロキシナフタレン、2,7-ジアシロキシナフタ
レン、1,4-ジアシロキシナフタレン、などの各種置換体
であって、該化合物のアシロキシ基は一般式 (式中、Rは低級アルキル基、アリール基を示す)で示
される基であって、具体的にはホルミルオキシ、アセト
キシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリル
オキシ、ベンゾイルオキシ、トルイルオキシなどを例示
できる。この中ではアセトキシが好ましく、2,6-ジアセ
トキシナフタレン、2,7-ジアセトキシナフタレンが好ま
しい。
このようにして得られるジアシロキシナフタレンは、純
度は99%以上と極めて良好であり、またジヒドロキシナ
フタレン基準のジアシロキシナフタレンの反応収率も99
モル%と極めて良好であり、しかもジアシロキシナフタ
レンの結晶取得収率も95モル%と良好である。
ところがもし、ジイソプロピルナフタレンの酸化および
それに引続く酸分解により得られる酸分解反応混合物か
ら、別の方法によってジヒドロキシナフタレンを分離精
製しようとすると、回収率は90%程度であり、しかも得
られる結晶の純度は95%程度である。
このように、本発明に係るジアシロキシナフタレンの製
造方法によれば、ジヒドロキシナフタレンを酸分解反応
生成物から分離することなく酸分解反応生成物に直接ア
シロキシ化剤を添加して、ジヒドロキシナフタレンとア
シロキシ化剤とを反応させてジアシロキシナフタレンを
製造しているので、前記酸分解反応生成物からジヒドロ
キシナフタレンを分離し、これをアシロキシル化してジ
アシロキシナフタレンを得る方法と比較して、ジアシロ
キシナフタレンを高純度しかも高回収率で得ることがで
きるとともに、プロセスを簡略化しうるという優れた効
果が得られる。
またこのようにして得られたジアシロキシナフタレン
は、必要に応じて、アルカリで加水分解すれば容易にジ
ヒドロキシナフタレンを得ることもできる。
発明の効果 本発明に係るジアシロキシナフタレンの製造方法によれ
ば、ジイソプロピルナフタレンを塩基の存在下で分子状
酸素により酸化して得られるジイソプロピルナフタレン
ジヒドロペルオキシドが含まれる酸化反応生成物を酸分
解し、得られたジヒドロキシナフタレンが含まれた酸分
解反応生成物に、アシロキシ化剤を加えてジヒドロキシ
ナフタレンとアシロキシ化剤とを触媒の存在下に反応さ
せ、得られたジアシロキシナフタレンを反応混合物から
分離しているので、ジイソプロピルナフタレンから高純
度のジアシロキシナフタレンを高収率で製造することが
できるとともに、ジアシロキシナフタレンの製造工程を
簡素化しうる。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら
実施例に限定されるものではない。
実施例1 回転撹拌機、ガス吹き込み管、アルカリ供給管、温度計
鞘、還流冷却器を備えた5のオートクレーブに2,6-DI
PN1100g、4.5重量%NaOH水溶液550g、H2O650gおよび2,6
-ジイソプロピルナフタレンヒドロペルオキシド5.5g
(前もって2,6-DIPNを酸化して、開始剤として確保して
おいたもの)を仕込んだ。反応温度100℃、反応圧力6Kg
/cm2・G、(撹拌数1000rpmのもと)空気を195N/hrで
流通させながら反応を行った。反応開始とともに10重量
%のNaOH水溶液を供給した。26時間後に反応を停止し
た。この間に供給した10重量%のNaOH水溶液は1422ccで
あった(NaOH/2,6-DIPN=0.87当量/モル)。反応終了
後、オートクレーブを開始し、内容物をとりだした。得
られた酸化反応混合物にMIBKを2200g添加後、油相(MIB
K相)と水相とに分離した。この油相中に含まれる酸化
反応生成物の組成は液体クロマトグラフィー分析の結
果、 DHP 4.3重量% HHP 14.7重量% DCA 9.2重量% MHP 2.3重量% MCA 1.8重量% その他(分子量を212とする。) 6.0重量% となり、この結果より、2,6-DIPN転化率99%以上、DHP
収率10モル%、HHP収率36モル%、DCA収率24モル%、MH
P収率6モル%、MCA収率5モル%であった。
(2)回転撹拌機、還流冷却器、酸分解原料供給管およ
び酸性触媒溶液供給管を備えた2容量ガラス製反応容
量に、1.7重量%H2SO4を含むアセトン溶液84.9gを仕込
み、温度65℃の温浴上にこの反応容器を載置した。加熱
によってアセトンが還流し始めたとき、酸分解原料供給
管から前記(1)で得られた酸化生成物のMIBK溶液708
g、60%過酸化水素水67gおよびアセトン219gの混合物の
供給を開始した。この酸分解原料の供給開始と同時に酸
性触媒溶液供給管から1.7%H2SO4を含むアセトン溶液12
9gの供給をも開始し、1時間後に供給を終えた。なお、
分解原料およびH2SO4のアセトン溶液の供給量は、小型
定量ポンプにて求めた。この後、さらに3時間反応を行
なった。
上記した酸分解反応を2回行ない、得られた反応混合物
を合体した。液体クロマトグラフィー分析の結果、酸分
解反応生成物の組成は、次のとおりであった。
アセトン 45.2重量% MIBK 35.2重量% 2,6-ジヒドロキシナフタレン 10.3重量% 6-イソプロピル‐2-ナフトール 1.8重量% その他(分子量を6-イソプロピル‐2-ナフトールと同じ
とする。) 4.0重量% 水 3.5重量% (3)次に、上記の酸分解反応混合物のうち、2000gを
とり、これに含まれているH2SO4を中和するために、溶
液のpHが約4になるまで、2%炭酸ナトリウム水溶液を
徐々に加えた。この後、酸分解反応混合物に含まれるア
セトンとMIBKとを除去するために、次の濃縮操作を行な
った。
すなわち、先ず、ロータリー・エバポレーターにて常圧
下にアセトンを留去して、水相と油相の2液相を得、油
相と水相とを分離した。分離した油相を再び、ロータリ
ー・エバポレーターにて20〜30mmHgの減圧下にMIBKを留
去し、濃縮物を得た。この濃縮物は、2,6-ジヒドロキシ
ナフタレン45.7重量%および6-イソプロピル‐2-ナフト
ール8.0重量%を含んでいた。
この濃縮物40gにクメン40gを加え、無水酢酸40g添加し
撹拌しながら硫酸を系内濃度が500ppmになるまで滴下
し、130℃まで昇温した。反応液が還流してから1時間
反応させたのち、反応液を放冷した。20℃まで放冷した
のち結晶と濾液とに分離し、各々のジアセトキシナフタ
レン(2,6-DAN)含有率から、反応収率および結晶取得
収率を求めた。その結果、反応収率は99モル%(2,6-DH
Nを基準)、結晶取得収率は95モル%、純度は99.5%で
あった。
実施例2〜4 実施例1で得られた濃縮物を使用し、クメンの代りにそ
れぞれアセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢
酸溶媒を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果
を第1表に示した。
実施例5 実施例1で得られた中和前の酸分解生成物100gを回転撹
拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた300ml容量のガ
ラス製反応器に仕込み、温度65℃の温浴上にこの反応容
器を載置した。加熱によってアセトンが還流し始めた
時、無水酢酸の滴下を開始した。1時間かけて45gの無
水酢酸を滴下したのち60℃で130分間反応させた。液体
クロマトグラフィー分析結果、2,6-ジアセトキシナフタ
レン(2,6-DAN)濃度は10.7重量%であった。DHN基準の
2,6-DAN収率は99.7モル%となった。この反応液からア
セトンを留去し、20℃まで放冷した後結晶と濾液とに分
離した。その結果、結晶取得収率は87モル%であり、純
度は99.3%であった。
実施例6 実施例1で得られた中和後の酸分解生成物(200g)を用
い、まずアセトンを留去し、以下の組成の油相(MIBK溶
液)と水相とを分離した。
MIBK溶液組成 MIBK 60.8重量% DHN 25.1 〃 MHN 4.4 〃 その他 9.7 〃 油相に混入している若干の水を共沸蒸留で除いてMIBK溶
液とし、回転撹拌器、還流冷却器、滴下ロートを備えた
300ml容量のガラス製反応器にこのMIBK溶液(50g)と無
水酢酸22.5gを加え撹拌しながら硫酸を系内濃度500ppm
になるまで滴下し130℃まで昇温した。反応液が還流し
てから1時間反応させた後、液体クロマトグラフィー分
析を行ったところ、2,6-DNA濃度は26.3重量%となり、
2,6-DNA収率は99.7モル%であった。この反応液を20℃
まで放冷した後結晶と濾液とに分離し、結晶取得収率、
純度を求めた。その結果、取得収率は91モル%であり、
純度は99.2%であった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジイソプロピルナフタレンを塩基の存在下
    に分子状酸素により酸化して得られるジイソプロピルナ
    フタレンジヒドロペルオキシドが含まれる酸化反応生成
    物を酸分解し、得られたジヒドロキシナフタレンが含ま
    れた酸分解反応生成物に、アシロキシ化剤を加えてジヒ
    ドロキシナフタレンとアシロキシ化剤とを反応させ、得
    られたジアシロキシナフタレンを反応混合物から分離す
    ることを特徴とするジアシロキシナフタレンの製造方
    法。
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