JPH0687899B2 - 水成膜形成泡消火薬剤 - Google Patents

水成膜形成泡消火薬剤

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JPH0687899B2 JP60031459A JP3145985A JPH0687899B2 JP H0687899 B2 JPH0687899 B2 JP H0687899B2 JP 60031459 A JP60031459 A JP 60031459A JP 3145985 A JP3145985 A JP 3145985A JP H0687899 B2 JPH0687899 B2 JP H0687899B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、特定のフッ素系界面活性剤と特定の炭化水素
系界面活性剤とを含有した高発泡性をもつ水成膜形成泡
消火薬剤に関する。
「産業上の利用分野」 フッ素系界面活性剤のあるものは水の表面張力を顕著に
低下させ、ガソリン等の無極性可燃性溶剤の表面に水性
皮膜を形成し得る場合がある。フッ素系界面活性剤水溶
液の表面張力をγ、無極性溶剤の表面張力をγ、該
水溶液と無極性溶剤との間の油水間界面張力をγOWとす
ると、次式で定義される拡張係数Sが正と γ−(γ+γOW)=S (1) なる場合、該水溶液は無極性溶剤の表面に薄い水性皮膜
(水成膜)を形成する。無極性溶剤の表面張力は通常20
〜30dyne/cmであり、拡張係数が正となるためには式
(1)から(γ+γOW)が20〜25dyne/cm以下となら
ねばならない。このような条件を満たす界面活性剤とし
てある種のフッ素系界面活性剤が知られている。
この特性即ち水成膜形成性は、油火災の消火に際して迅
速な消火と再着火を防止する機能を発現せしめることか
ら水成膜泡消火薬剤として消防法上の泡消火薬剤の一種
として認知されている〔消防法(昭和23年法律第186
号)第21条の2第2項、自治省令第26号(昭和50年12月
9日)〕。
一方、炭化水素系界面活性剤をベースとした泡消火薬剤
は自治省令26号において合成界面活性剤泡消火薬剤とし
て知られている。このものは水成膜を形成する能力は無
いが、特殊な発泡器を使用することにより500〜1,000倍
にも達する高発泡倍率を得ることができ、建物、倉庫、
地下街など区切られた空間内火災、あるいはLNGなどの
液化ガス火災など、他種泡消火薬剤が適用できない火災
に対し著効を有する泡消火薬剤として使用されている。
現行の泡消火薬剤はそれぞれ上記したような個有の特長
を有している。従って公設消防署、及びコンビナート地
区自衛消防隊又は工場、倉庫などの事業所においては、
それぞれの消火対象施設に対し最も適当な泡消火薬剤を
選択し装備しており、この為数種の泡消火薬剤を同時に
備蓄する状況が一般的となっている。これら複数の泡消
火薬剤例えば水成膜泡消火薬剤と合成界面泡消火薬剤と
を備蓄した場合、これら両者は混合して使用することが
できないため、実際に使用する場合の選別、使い分けに
複雑さを生じさせ、緊急事態の対処時、徒らな混乱を惹
き起こす恐れが懸念されている。また、メンテナンスの
複雑さも派生しており、防災部処においては管理項目の
多様化・複雑化の問題に直面している。
本発明はこれらの状況を解決するための改良された泡消
火薬剤に関し、水成膜形成性と高発泡性を兼ね備え、多
様な使用方法が可能な新規な高発泡性水成膜泡消火薬剤
に関するものである。
「従来の技術」 水成膜泡消火薬剤に関する基礎技術は、既に公知であ
り、例えば特公昭40-20080号、特開昭47-2416号、特公
昭47-21079号、特公昭48-23161号、特開昭49-8097号、
特開昭49-25796号、特開昭49-42190号、特開昭49-52498
号、特公昭53-22400号、特公昭59-18389号、など多くの
技術が公開されている。
いずれも必須成分としてフッ素系界面活性剤を使用し、
水成膜形成性を向上させるための相乗剤として炭化水素
系界面活性剤あるいはシリコン系界面活性剤を併用して
いる。
一方、合成界面活性剤泡消火薬剤に関する技術も既に公
知であり、例えば特公昭48-19037号、特公昭52-34158
号、など多くの技術が公開されている。これらの技術に
よれば発泡成分として特に高起泡性の炭化水素系界面活
性剤(例えば高級アルコール硫酸エステル塩あるいはポ
リオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩など)を使用
し、これに発泡強化剤として高級アルコールを添加し、
そして必要に応じ泡安定剤、流動点降下剤、防錆剤など
を配合して泡消火薬剤としている。
「発明が解決しようとする問題点」 水成膜泡消火薬剤にフッ素系及び炭化水素系界面活性剤
を併用する技術は上述の如く既に公知であり、この技術
に基づいた製品も市販されている。しかしながら、これ
ら公知技術においては、炭化水素系界面活性剤は水成膜
形成向上剤として添加されており、高発泡性能を発現さ
せるまでには至っていない。これは本発明者等の知見に
よると従来の水成膜泡消火薬剤に高発泡性を発現せしめ
る程多量の炭化水素系界面活性剤を添加すると水成膜形
成性が損われ、水成膜泡消火薬剤としての機能が失われ
てしまう為である。
また、炭化水素系界面活性剤を主成分とした合成界面活
性剤泡消火薬剤に起泡強化剤としてフッ素系界面活性剤
を添加する技術も開示されている。この場合もあくまで
発泡性の改善が目的であり、水成膜を形成させるだけの
性能をもたせる迄に至っていないのが現状である。
このように水成膜泡消火薬剤と高発泡合成界面活性剤泡
消火薬剤との機能を併せもった優れた泡消火薬剤の技術
は未だ知られておらず、これら両機能を兼備した廉価な
泡消火薬剤の出現が防災部処において渇望されている状
況にある。
「問題点を解決するための手段」 以上の状況に鑑み、本発明者等は高発泡機能を有する水
成膜形成泡消火薬剤の開発を意図して鋭意研究を進めた
結果、一般式〔F〕で示される特定のフッ素系界面活性
剤をベースとして、20℃で0.01%以上の水溶解度を有す
る特定の炭化水素系界面活性剤を配合せしめたことを特
徴とする泡消火薬剤が水成膜形成性を損わずに高発泡機
能を発現することを知見し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記一般式〔F〕で示される含フッ素ア
ミノスルホネート及び20℃で0.01%以上の水溶解度をも
ち、 (aは0又は1である)を有する炭化水素系界面活性剤
を必須成分として含有してなることを特徴とする高発泡
性水成膜形成泡消火薬剤を提供するものである。
ここで一般式〔F〕は、 〔但し式中Rfは炭素数4〜10のパーフロロアルキル基で
あり、 Zは−SO2NH−,−CONH−,−CH2CH2SO2NH−、又は−CH
2CH2CONH−であり、 Q1及びQ2はCH2 (但しlは2〜6の整数)、又は
−CH2CH(OH)CH2−であり、 R1はH原子、炭素数1〜3のアルキル基又はCH2CH2O
H(但しmは1〜20の整数)であり Mはアンモニウム、アルカノールアンモニウム、アルカ
リ金属カチオンである。〕 で示される。
一般式〔F〕で示される含フッ素アミノスルホネートは
既に本発明者等によりその製造法、界面化学的特性及び
その利用法について開示されている(特開昭56-−12875
0号)。この技術に基づき含フッ素アミノスルホネート
は、製造される。具体的化合物として例えば次の如きも
のが挙げられる。
F−1 C5F11CH2CH2SO2NH(CH2)6・NH(CH2)2SO3Li F−2 C6F13CH2CH2CONH(CH2)4NH(CH2)2SO3Na F−3 C6F13SO2NH(CH2)3N(CH3)(CH2)3SO3Na F−4 C7F15CONH(CH2)2NH(CH2)4SO3K これら含フッ素アミノスルホネートを水成膜泡消火薬剤
の必須成分として使用する技術は、本発明者等により既
に開示されている(特開昭58-38569号、特開昭58-38571
号)。
これら先行技術においては、相乗剤として炭化水素系界
面活性剤を特に必要とせずに、含フッ素アミノスルホネ
ートのみで極めて良好な水成膜泡消火薬剤としての性能
が発現されることが示されている。
本発明者等はこれら先行技術はベースとして更に種々の
炭化水素系界面活性剤の添加効果について研究を進め、
含フッ素アミノスルホネートと特定の炭化水素系界面活
性剤が水成膜形成特性を損うことなく高発泡機能を付与
せしめた水成膜泡消火薬剤であることを発見し本発明に
到達したものである。
本発明で使用される炭化水素系界面活性剤は、20℃で0.
01%以上の水溶解度をもち、 (aは0又は1である)を有するものであり、最も好ま
しくは下記一般式〔H〕で示されるものが適用される。
一般式〔H〕 又は (但しRhは炭素数8〜18のアルキル基、aは0又は1で
あり、bは0〜100の整数であり、Mはアンモニウム、
アルカノールアンモニウム、又はアルカリ金属カチオン
であり、R2はH原子又はメチル基であり、dは2〜4の
整数である。) このような炭化水素系界面活性剤の具体例として例えば
次の如きものが挙げられる。
H−4 C12H25O(CH2CH2O)50H H−5 C14H29O(CH2CH2O)70SO3NH(CH2CH2OH)3 H−6 C16H33O(CH2CH2O)100CH2CH2SO3NH4 一般式〔F〕で示される含フッ素アミノスルホネートと
炭化水素系界面活性剤との混合割合は1:10〜10:1の範囲
にあることが好ましい。混合された界面活性剤は、濃厚
原液中の濃度として3〜30%、希釈液中の濃度として0.
1〜1%存在することが望ましい。
本発明の消火剤においてこれら界面活性剤成分に加えて
必要により他種(例えばフッ素系、シリコン系、炭化水
素系)界面活性剤及び各種添加剤を加えることができ
る。添加剤として泡強化剤、泡安定剤、溶剤、凝固点降
下剤、防錆剤、緩衝剤等が挙げられる。
これら添加剤は業界公知のもののなかから、適宜選択し
て用いられる。
例えば泡強化剤としては、高級アルコール、高級脂肪酸
アミド、高級脂肪酸アルカノールアミド、あるいはフッ
素系泡強化剤として、炭素数6〜12のパーフロロアルキ
ルアルコール、パーフロロアルキルスルホンアミド、パ
ーフロロアルキルカルボンアミド、N−置換パーフロロ
アルキルスルホンアミド、N−置換パーフロロアルキル
カルボンアミド、N−ヒドロキシアルキルパーフロロア
ルキルスルホンアミド、N−アミノアルキルパーフロロ
アルキルスルホンアミドなどを用いることができる。
泡安定剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチ
ルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、ポリ
プロピレングリコール、ポリアクリル酸ポリアクリルア
ミド、その他水溶性ポリビニル樹脂などがある。溶剤及
び凝固点降下剤としては、炭素数2〜6のアルキレング
リコール類、セロソルブ類(エチルセロソルブ、ブチル
セロソルブなど)、C2〜6のカルビトール類(エチル
カルビトール、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビト
ールなど)、低級アルコール(イソプロピルアルコー
ル、ブタノールなど)、尿素などがある。
本発明の泡消火薬剤は水で希釈可能な濃厚溶液として調
製することが望ましいが、あらかじめ水で使用濃度に希
釈した希釈液として貯蔵し適用することもできる。いず
れの場合も当業界公知の発泡方法、適用方法(例えば化
学消防車、ハンドラインノズル、フォームチャンバー、
SSI、泡ヘッド、消化器、高発泡器など)を用いること
ができ、希釈水として淡水、海水いずれをも用いること
ができる。
また、本発明の泡消火薬剤は重炭酸ソーダ、重炭酸カリ
ウム、重炭酸マグネシウム、硫酸アンモン、リン酸アン
モン、炭酸カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム
などを成分とする粉末消火剤、蛋白泡消火剤、木材火災
用泡消火剤等と併用することができる。
次に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例で%は、特にことわらない限り重量%を表
わす。
表−1に実施例1〜6及び比較例1〜5として配合例を
まとめた。それぞれの配合系は充分に攪拌混合し均一溶
液を得、塩酸にてpHを7.3〜7.8に調整した。尚表中含フ
ッ素アミノスルホネート及び炭化水素系界面活性剤は、
前記した記号の化合物をそれぞれ表わす。
〔性能試験1−水成膜形成性〕 本発明の泡消火薬剤と比較例の泡消火薬剤の水成膜形成
性及び拡がり時間を20℃にて測定した。
希釈水として淡水(水道水)及び合成海水(日本消防検
定協会発行「泡消火薬剤の検定細則」にて規定された合
成海水を使用。)を用い、3容量%に希釈して供試し
た。
水成膜形成性及び拡がり時間は内径85mmのガラスシャー
レにシクロヘキサンを20ml入れ、20℃に於て希釈消火剤
0.05mlを油面中央表面に滴下し水成膜形成の有無及び水
成膜が全面に拡がりきるまでの時間を測定した。結果を
表−2にまとめた。尚表−2には比較例として市販の合
成界面泡消火薬剤の結果も併せて示した。
〔性能試験2−低発泡性及び消火性〕 性能試験1に用いた希釈消火剤(液温20℃)について、
低発泡性及び消火性を調べ本発明に関する実施例と比較
例について比較した。
低発泡性及び消火性試験は「泡消火薬剤の検定細則」第
16及び第18に記載された水成膜泡消火薬剤試験法に準じ
て実施した。
即ち、発泡器として水成膜泡消火剤試験用ノズルを使用
し7.0kg/cm2の放水圧、10l/minの放水率で発泡させた。
泡は「細則」に規定された1400mlの平皿に採り泡重量か
ら発泡倍率を求め、次いで還元水をメスシリンダーに採
り25%還元時間を求めた。
消火性については「細則」第18に準じた。即ち2.0m×2.
0m×0.3mのB火災模型にn−ヘプタンを200l、水320l入
れ予燃1分後、上記ノズルを用いて5分間泡を放射し消
火時間を測定した。発泡停止から15分間トーチを泡表面
に近づけ着火燃焼を試験した(密封性試験)。続いてた
だちに15cm角の角筒を消火模型の泡中央部に挿入し、角
筒内部の泡を除去し、露出した燃料表面に点火する。点
火30秒後角筒を引抜き、燃焼面の拡大を観察し、5分経
過後も燃焼している場合その面積を測定した(再燃試
験)。
以上の試験結果を表−2にまとめて示した。
尚比較例は淡水希釈のみについて実施した。
〔性能試験3−高発泡性能〕 各希釈消火剤について、高発泡性を測定した。試験法は
前記の「検定細則」第17に準じた。
即ち規定の標準高発泡ノズルを用い放水圧1.0kg/cm2
放水率6l/min、風量13m3/minで発泡させ、規定の方法に
て発泡倍率、25%還元時間を測定した。検定細則の第17
では500倍以上の倍率と3分以上の還元時間が要求され
る。
結果を表−2にまとめて示した。
尚、比較例として市販の水成膜泡消火薬剤の結果も併せ
て示した。
表−2の結果から本発明例である実施例1〜5はいずれ
も良好な水成膜形成性、消火性及び高発泡性を有してい
る。これに対し比較例1は水成膜形成性は有するものの
高発泡性を有していない。
比較例2〜5はいずれも水成膜形成性、消火性及び高発
泡性共に有することができない。
また、市販の合成界面活性剤泡消火薬剤は高発泡性は有
するものの水成膜形成性を有していない。市販の水成膜
泡消火薬剤は水成膜形成性は有するものの高発泡性を有
していない。
以上の結果から本発明泡消火薬剤が水成膜泡消火薬剤と
高発泡合成界面活性剤泡消火薬剤両者の特性を兼備した
泡消火薬剤であることは明らかである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔F〕にて示される含フッ素ア
    ミノスルホネート及び20℃で0.01%以上の水溶解度をも
    ち、 (aは0又は1である)を有する炭化水素系界面活性剤
    を必須成分として含有してなることを特徴とする高発泡
    性水成膜形成泡消火薬剤 一般式〔F〕 (但し式中Rfは炭素数4〜10のパーフロロアルキル基で
    あり、 Zは−SO2NH−,−CONH−,−CH2CH2SO2NH−、又は−CH
    2CH2CONH−であり、 Q1及びQ2はCH2 (但しlは2〜6の整数)、又は
    −CH2CH(OH)CH2−であり、 R1はH原子、炭素数1〜3のアルキル基又はCH2CH2O
    H(但しmは1〜20の整数)であり、 Mはアンモニウム、アルカノールアンモニウム、又はア
    ルカリ金属カチオンである。)
  2. 【請求項2】 (aは0又は1である)を有する炭化水素系界面活性剤
    が 一般式〔H〕 又は (但しRhは炭素数8〜18のアルキル基、aは0又は1で
    あり、bは0〜100の整数であり、Mはアンモニウム、
    アルカノールアンモニウム、又はアルカリ金属カチオン
    であり、R2はH原子又はメチル基であり、dは2〜4の
    整数である。) で示されることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の水成膜形成泡消火薬剤。
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