JPH0686464B2 - モノ、ジ及びトリ(モノカルボキシアルキル)アンモニオ―ウンデカヒドロドデカボレート(―1) - Google Patents

モノ、ジ及びトリ(モノカルボキシアルキル)アンモニオ―ウンデカヒドロドデカボレート(―1)

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JPH0686464B2 JP16048389A JP16048389A JPH0686464B2 JP H0686464 B2 JPH0686464 B2 JP H0686464B2 JP 16048389 A JP16048389 A JP 16048389A JP 16048389 A JP16048389 A JP 16048389A JP H0686464 B2 JPH0686464 B2 JP H0686464B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規な含ホウ素化合物であるモノ、ジ及びト
リ(モノカルボキシアルキル)アンモニオ−ウンデカヒ
ドロドデカボレート(−1)、より詳しくは中性子捕捉
癌療法における熱中性子捕捉剤の製造に有用な上記含ホ
ウ素化合物に関する。
従来技術とその問題点 ホウ素には質量数10と11の非放射性同位元素が存在して
おり、上記質量数10のホウ素(10B)に原子炉で発生す
る熱中性子(n)を照射すると、10B(n,α)7Liで示さ
れる核反応が起こり、α粒子及び7Li核の生成と共に、
反応当たり2.34MeVの高エネルギーが放出される。この
ことを利用して、例えば生体内の癌細胞に上記非放射性
同位元素10Bを特異的に集積させ、これに熱中性子を照
射すれば、上記核反応のエネルギーによって癌細胞を殺
すことができる。しかも上記核反応による生成粒子の生
体内飛程距離は、約10〜14μmであって細胞の直径とほ
ぼ等しく、従って上記核反応による細胞致死は10Bを取
り込んだ癌細胞乃至はそれに直接隣接する細胞のみに起
こり、周囲の健常細胞は損傷を受けない。かかる事実を
利用した癌の治療法が中性子捕捉療法(neutron captur
e therapy)として既に1936年に提唱され〔Locher,G.
L.,Amer.J.Roentgenol.,36,1−13(1936)〕、その後も
種々の研究が続けられている〔Kruger,P.G.,Proc.Natl.
Acad.Sci.,26,181−192(1940);Zahl,P.A.,同26,589−
598(1940);Farr,L.E.et al.,Amer.J.Roentgenol.,71,
279−293(1954);Godwin,J.T.et al.,Cancer,,601−
615(1955);Sweet,W.H.et al.,Acta Radiolog.,114−1
21(1963);Zamenhof,R.G.et al.,Med.Phys.,,47−60
(1975);Hatanaka,H.ed.,“Neutron Capture Therap
y",Nishimura Publ.Co.,(1986)等参照〕。
特に、上記中性子捕捉療法の有効性は、中性子捕捉剤と
しての含ホウ素化合物をいかにして癌細胞に特異集積さ
せ得るかにかかっている。例えば健常な脳細胞は生体に
馴染まない含ホウ素化合物を受容しないが、癌化した脳
細胞はこれを受容するという性質を利用すれば、上記含
ホウ素化合物の癌化脳細胞への集積が可能であり、また
悪性黒色腫細胞は、その発生母細胞に比しメラニン生産
能が著しく亢進しており、これを利用すればメラニン生
合成基質であるドーパに類似性を持った含ホウ素化合物
を、上記黒色腫細胞に集積させ得る。之等の事実を利用
して、例えば上記含ホウ素化合物としてのナトリウム・
メルカプトウンデカヒドロドデカボレート[Na2B12H11S
H]が、実際に脳腫瘍の治療に応用され、またパラボロ
ノフェニールアラニンが悪性黒色腫の治療に応用され、
それぞれ好成績を挙げている。しかるに、所謂脳−血液
関門現象を利用した前者の方法は、脳腫瘍以外の癌には
適用できず、細胞分化形質の特異性を利用した後者の方
法も、際立った分化形質を持たない癌種には適用困難で
ある。たとえ独特の分化形質があっても、それを含ホウ
素化合物の特異集積に結びつける具体的手段がなければ
実用化はできない。これに対して、モノクローナル抗体
を利用する方法、所謂モノクロナール抗体法は、一般的
な広範囲の各種癌種、原理上あらゆる癌種に対して、普
遍的に応用可能であり、その有効性がおおいに期待され
ている。即ち、癌細胞の細胞膜表面には、その癌種に固
有のエピトープと呼ばれる抗原が存在しており、該抗原
と特異的に結合する抗体を利用し、これと熱中性子捕捉
剤としての含ホウ素化合物とを反応させて得られる複合
体を癌患者に投与するか、或いは患者の生体内で上記複
合体を生成させれば、該複合体を構成する抗体とエピト
ープとの反応によって、癌細胞への含ホウ素化合物の集
積が可能である。しかも、このモノクローナル抗体法
は、癌細胞表面上に存在する上記エピトープが一つの癌
種に対して一般に複数種認められ、1個の癌細胞上に之
等複数種のエピトープが多数個、通常106個程度分布存
在していること、近年のバイオテクノロジーの進歩によ
り、上記各種エピトープのそれぞれと特異的に結合する
モノクローナル抗体が容易に製造可能となったこと等か
ら、ますますその有効性が注目されつつある。
一方、従来より上記熱中性子捕捉剤としての含ホウ素化
合物についても、種々研究開発が重ねられており、前記
Na2B12H11SH、パラボロノフェニールアラニンの他にも
多数の化合物が合成され、その熱中性子捕捉剤としての
有効性が検討されてきている〔Soloway,A.H.,Steinber
g,H.and McClosky,A.L.,Ed.New York,Pergamon Press,1
964,“Progress in Boron Chemistry"Vol I,203−234参
照〕。しかしながら、之等含ホウ素化合物自体の特性面
や之等各化合物の上記モノクローナル抗体法への応用
面、例えば之等化合物自体や之等とモノクローナル抗体
との反応物の毒性、反応性、腫瘍選択性、腫瘍内濃度、
組織分布性、投与製剤形態等の面で、いまだ満足できる
化合物は提案されるに至っていない。
問題点を解決するための手段 本発明の目的は、従来公知のこの種含ホウ素化合物より
優れた性能を発揮し得、その利用によってより有効な熱
中性子捕捉癌療法、殊にモノクローナル抗体法を実施可
能とする新しい含ホウ素化合物を提供することにある。
上記目的は、一般式 M+・(B12H11)2--N+H3-n(A-COOM)n (1) 〔式中Aは低級アルキレン基を示す。Mは水素原子、1
価の陽イオンを与える原子もしくは原子団又はp価の陽
イオンを与える原子もしくは原子団の1/pモルを示す。
nは1〜3の整数を示す。〕 で表わされるモノ、ジ及びトリ(モノカルボキシアルキ
ル)アンモニオ−ウンデカヒドロドデカボレート(−
1)により達成される。
本発明化合物を表わす上記一般式(1)においてAで示
される低級アルキレン基としては、例えばメチレン、エ
チレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、
ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等のアルキレン基を
例示できる。Mで示される1価の陽イオンを与える原子
もしくは原子団としては、例えばナトリウム(Na)、カ
リウム(K)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属原子も
しくはアンモニウム(NH4)、テトラメチルアンモニウ
ム[N(CH3)4]等の原子団を例示できる。また、Mはp
価の陽イオンを与える原子もしくは原子団の1/pモルで
あってもよく、このp価の陽イオンを与える原子もしく
は原子団としては、例えばカルシウム(Ca)等のアルカ
リ土類金属原子やN,N,N,N′,N′,N′−ヘキサメチル−
エチレン−ビス−アンモニウム[(CH3)3N-CH2CH2-N(C
H3)3]等を例示することができる。
本発明に係わる上記一般式(1)で表わされる化合物
は、上記Mが水素原子の場合は酸であり、Mが水素原子
以外の場合は塩であり、之等はそのnの値に応じてそれ
ぞれモノ−体乃至は一置換体(n=1)、ジ−体乃至は
二置換体(n=2)及びトリ−体乃至は三置換体(n=
3)と指称される。
上記一般式(1)中、B12H11で示される部分(ドデカボ
ラニール基)は、12個のB原子を各頂点とし、その内の
11個にそれぞれ1個づつ水素原子が外側に付加した正二
十面体の構造を取り、全体として2電子分の陰電荷を帯
びている。残り1個のB原子には上記一般式(1)で示
されるN原子が付加しており、該N原子は4本の結合手
を持つ四級アンモニウム型の陽イオン構造を取り、該N
原子を含む上記一般式(1)の右側部分は全体として1
価の陰イオンとなっている。このことは物質名の後尾に
記号(−1)を付して明示される。本発明化合物は、そ
の水溶液に例えば水酸化ナトリウム等を加えてpHを高く
すれば、前記一般式(1)の右側末端に存在する1〜3
個の−A−COOM基がCOO-・Na+の如く電離形となるが、-
N+H3-n部分が-NH2-nの如く変化することはない。
上記一般式(1)で表わされる本発明含ホウ素化合物、
殊にそのB原子の非放射性同位元素10B含有率を高めた
化合物は、いずれも中性子捕捉癌療法における熱中性子
捕捉剤の製造に有用であり、本発明はかかる熱中性子捕
捉剤及びこれを利用した例えばモノクローナル抗体法等
の中性子捕捉癌療法をも提供するものである。
以下、本発明化合物につき、これをその製法より詳述す
る。
本発明化合物は、上記一般式(1)においてnが0であ
る化合物(無置換体)、例えばMがナトリウムである場
合を例にとり示せば、ナトリウム・アンモニオ−ウンデ
カヒドロドデカボレート(−1)[Na+・(B12H11)2--N+
H3] を出発原料として容易に製造することができる。
上記出発原料化合物は、公知化合物であり、例えば有利
にはホウ酸から合成されるナトリウム・ドデカヒドロド
デカボレート(−2)[Na+ 2・(B12H12)2-]に、アンモ
ニウム基を導入することにより製造できる。上記ホウ酸
からのナトリウム・ドデカヒドロドデカボレート(−
2)の製造は、公知の方法に従うことができる〔例えば
M.Komura,K.Aono,K.Nagasawa,S.Sumimoto,Chemistry Ex
press,,173−176(1987)等参照〕。また、ナトリウ
ム・ドデカヒドロドデカボレート(−2)へのアンモニ
ウム基の導入は、例えばハートラーら(W.R.Hertler,M.
S.Raasch)の方法〔J.Am.Chem.Soc.,86,3661−3668(19
64)〕に従い実施できる。この反応は次式で示される。
Na2・B12H12+H2N-O-SO3H→Na・B12H11NH3+NaHSO4 尚、上記出発原料の製造においては、特にホウ酸として
非放射性同位元素である10Bの含有率を高めたホウ酸(
10B enriched boric acid、10B含量=92〜96%)を用い
るのが好適であり、これは市販されている。勿論天然の
ホウ酸の利用によっても、熱中性子捕捉剤としての含ホ
ウ素化合物を得ることができるが、通常天然のホウ素の
10B含量は20%以下であり、これにより得られる含ホウ
素化合物の上記捕捉剤としての効果は上記10B含量を高
めたホウ酸を用いて得られるものに比し劣るものとな
る。
本発明化合物は、上記の如くして得られるナトリウム・
アンモニオ−ウンデカヒドロドデカボレート(−1)
[Na・(B12H11)-NH3]に、クロロ酢酸メチル等のハロゲ
ン化アルカン酸エステル[X−A−COOR(Aは上記に同
じ。Xは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子及びRは
低級アルキル基を示す。)]を、脱ハロゲン化ナトリウ
ム反応させ、次いで生成物のエステル結合を微アルカリ
性下に加水分解することにより製造できる。しかして、
Na・B12H11NH3に不活性溶媒中で水素化ナトリウム(Na
H)を作用させると水素ガスの発生を伴ってN付加水素
がナトリウムに置換されること〔W.R.Hertler,M.S.Raas
ch,J.Am.Chem.Soc.,86,3661−3668(1964)〕及びかく
して得られる化合物にハロゲン化アルキル化合物を反応
させるとハロゲン化ナトリウムの離脱と共にN原子上に
アルキル化が起こること〔T.Nakagawa,K.Aono,Chem.Pha
rm.Bull.,24,778−781(1976)〕はそれぞれ知られてお
り、本発明における上記方法は之等の知見を基礎とする
ものである。上記方法に従う本発明化合物の製法の詳細
は、後記実施例に示す通りである。
尚、上記製造方法及び以下の精製方法においては、Mが
Naである場合を例として説明するが、Mが他の原子もし
くは原子団の場合も上記と同様にして本発明化合物を得
ることができる。またMがNa以外の原子もしくは原子団
である本発明化合物は、上記に従い得られるMがNaもし
くはHである化合物を、例えばa)目的とする原子もし
くは原子団を担った陽イオン交換樹脂に通じるか、或い
はb)水素イオンを担った所謂H型樹脂に通じて、その
流下液を目的原子もしくは原子団の水酸化物、酸化物、
炭酸塩等で中和処理して、製造することが可能である。
上記方法に従い得られる反応物からの本発明化合物の単
離、精製は、通常の方法に従って行なうことができる。
例えば上記加水分解後の反応液をポリエチレンイミン
(PEI)セルロースの薄層クロマトグラフィー板に着点
し、塩化ナトリウム・炭酸ナトリウム混合水溶液で上昇
法による展開後、塩化パラジウム(PdCl2)液を噴霧す
ると4個の黒斑が出現し、最下斑は同時に着点しておい
た原料物質の斑点と同位置にあるため、未反応原料物質
であると同定され、残りの3斑が原料物質(Na・B12H11
NH3)中のN付加水素がカルボキシアルキル基(−A−C
OOH)で1個、2個及び3個それぞれ置換された目的の
本発明化合物であると推定される。このことから、本発
明化合物は、カラム充填した上記PEIセルロースによる
クロマトグラフィー処理によって、それぞれ分別採取す
ることができる。また、かくして分別された各液は、之
等を例えば塩酸で中和し、減圧乾燥し、乾固固体からア
セトニトリル可溶物を抽出し、抽出液からアセトニトリ
ルを減圧除去する操作又はこの操作の繰返しによって、
更に精製することができる。
尚、上記製造方法によればNa炎色反応で確認されるよう
に、生成物中に含まれる陽イオン[一般式(1)中の
M]はNaであるが、反応系のpHに応じてその一部は水素
(H)となる場合がある。更に、かかるMが水素原子で
ある本発明化合物(完全遊離酸)は、上記で得られる生
成物の水溶液をH型陽イオン交換樹脂に通すことにより
収得でき、かくして得られる化合物にはもはや上記Na炎
色反応は認められない。また上記完全遊離酸の水溶液
は、例えばこれを水酸化ナトリウムで中和後、前記と同
様に減圧濃縮し、アセトニトリルを添加し、共沸脱水し
て蒸発乾固させるか、更に引続いて脱水エーテルを加え
て固体を破砕粉化し、エーテルを減圧除去することによ
り精製することができる。
かくして本発明化合物を製造採取できる。その確認は、
既述の製造及び精製操作、化学的性質等、例えばカゴ状
ホウ素化合物であるドデカボレート類は一般に塩化パラ
ジウムにより黒色斑を与えること、前記反応においては
加水分解液中にはカゴ状ホウ素の分解を示唆するホウ酸
が認められないこと、N付加水素のカルボキシアルキル
基による置換が起こったことを示す塩化ナトリウム沈澱
の析出が認められること等から行なうことができ、また
得られた化合物に各種機器分析、例えば核磁器共鳴(NM
R)スペクトル分析、赤外線吸収(IR)スペクトル分析
等を行なうことによってもその確認ができる。更に、本
発明化合物はその反応性、殊に該化合物のアミノ基との
結合がカルボジイミドの共存下でのみ起こることから
も、これを確認することができる。
前記した本発明化合物の製造方法に従い、例えばNa・(B
12H11)-NH3にCl−CH2-COOCH3を反応させた後、加水分解
して得られ、またPEIセルロース薄層クロマトグラフィ
ー後の塩化パラジウム噴霧により得られる4個の黒斑中
の最下斑(原料化合物)、中下斑及び中上斑につき、之
等をそれぞれジメチルスルホキシド(DMSO−d6)に溶解
後、250MHz超電導NMR装置を利用して行なったNMRスペク
トル分析の結果を示せば、下記第1表の通りである。
尚、該結果においては不純物によると考えられる小ピー
クやサイドピークは省略する。
上記第1表において、中上斑のメチレン水素は便宜上、
上記( )内の通り示したが、これについて付言すれば
次の通りである。即ち、部分構造 中でN−CH2−COの2つのHは同じCに結合していて等
価と考えがちだが実際には化学シフトが異なっている。
今N原子を向う側、C原子を手前側に置き、このNCが丁
度重なる位置から見通すと、下図(a)の通り手前のC
には2つの水素(Ha、Hb)とOを伴ったC原子が互いに
120°の角度で結合しており、向うのNにはB、H及びH
2を伴ったCが同様に120°の角度で結合している。
上図(a)において、Haは角BNHの、Hbは角HNCの、C=
Oは角CNBの2等分線上にあり、CN軸の回りに手前の方
を時計回りに120°回転させると、Haは角HNCの、Hbは角
CNBの、C=Oは角BNHの角内に入る。更に120°回転さ
せるとHaは角CNBの、Hbは角BNHの、C=Oは角HNCの角
内に入る。換言すれば、Haを角BNH中におけば、Hbは角H
NC中に、C=Oは角CNB中に存在するのに対し、Hbを角B
NH中におけば、Haが角CNB中に、C=Oが角HNC中に存在
することとなり、HaとHbとは磁気環境が異なるのであ
る。他の角中に置かれたHa、Hbを比較しても同様のこと
がいえ、両者は磁気環境を異にする。即ち、両者の化学
シフトは近くはあるが同一ではなく、同じCに接してい
るために互いにカップリングし、その結果[小大大小]
の強度を持った左右対称の4本線(所謂AB型のシグナル
で、対称中心線は本例では3.29ppm)が出現する。また
本例の場合、N付加Hとのカップリングのために上記4
本線の先端は更に2本に分裂する。もう一方のN−CH2
−CO−でも事情は同じであり、両者のメチレンは全く同
等であるが、両メチレンの水素間にはH−C、C−N、
N−C、C−Hの4ボンドの隔たりがあり、もはやカッ
プリングは起こさない。即ち、全く同一の形の先割れAB
型シグナルが2組重なるため、4H分の強度をもって現れ
るのである。
これに対し中下斑の場合、メチレンプロトンは、下図
(b)に示される関係位置にあり、CN軸の回りの回転を
考慮すると、HaとHbは磁気環境が同じであり、化学シフ
トが同一で、互いにカップリングは起こさず、本来シン
グレットである。
ただ、Nについた2個のHからのカップリングのため
に、このピークは(1:2:1)強度の3本に別れている。
メチレンシグナルの先端小分岐がNHとのカップリングに
由来することは、NH照射によるスピンデカップリングで
確かめられる。かくしてメチレンのシグナル形から、前
記中下斑は一置換体であり、中上斑は二置換体であるこ
とが確認される。
また、上記各斑につき、之等をミクロKBr打錠法でサン
プル調整後、日本分光810装置で測定したIRの結果は、
下記第2表の通りである。
尚、上記IRスペクトル分析結果は、供試試料が吸湿性で
あり、含水状態のためスペクトルが乱れやすいものであ
ったが、上記の外に3200〜3600cm-1付近に期待されるν
OH、νNH、νCHの重複吸収が認められた。
上記第2表に示す通り、中下斑及び中上斑は1600cm-1
傍にCO吸収(ドデカボラニルによる弱い吸収の寄与を含
んだカルボニルバンド)が認められ、これと2500cm-1
近の吸収との強度比較より、中下斑は一置換体であり、
中上斑は二置換体であると認定される。
かくして得られる本発明化合物は、一置換体であれ、二
置換体であれ、三置換体であれ、また酸の形態であれ、
塩の形態であれ、いずれも1分子中に1個のドデカボラ
ニル基(B12基、以下これをB12基と略記する)を有して
おり、これらは各々精製された単一化合物の形態で、ま
た製造過程で得られる如き各置換体の混合物の状態や酸
−塩混合物の状態で、いずれも中性子捕捉療法における
熱中性子捕捉剤の製造原料として有用である。
本発明化合物は、前記一般式(1)で表わされる通り、
各置換体並びに酸及び塩のいずれもN+−A−基を介して
B12基に接合するカルボキシル基[COOM]を少なくとも
1個有しており、しかも該カルボキシル基は、通常のカ
ルボン酸活性化剤、例えば1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド、1−ベンジル−
3(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、
ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド類
(R1−N=C=N−R2、R1及びR2は無置換アルキル(も
しくはアリール)あるいは置換アルキル(もしくはアリ
ール)基を示す)の共存下に、アミンと反応してアミド
を生成する能力を有することが、本発明者らにより確認
されている。この反応性を利用すれば、例えば癌細胞表
面に存在するエピトープと特異反応性を有するモノクロ
ーナル抗体と本発明化合物とを、上記抗体分子中の遊離
アミノ基を利用してアミド結合反応させることが可能で
ある。即ち、本発明化合物はこれをホウ素化剤として、
上記抗体の直接ホウ素化が可能である。更に本発明化合
物は、例えばポリリジン、アビジン等の適当なアミノ基
含有物質を中介物質とし、まず之等を上記と同様のアミ
ド結合反応によりホウ素化し、該ホウ素化物質と上記抗
体とを結合させる、所謂間接ホウ素化が行ない得る。之
等本発明化合物の利用による抗体のホウ素化が実施でき
れば、これはモノクローナル抗体法による中性子捕捉療
法に非常に有用である。
本発明化合物は、かかるモノクローナル抗体法による中
性子捕捉療法に役立つ、抗体への直接又は間接的ホウ素
導入剤、即ちホウ素化剤として有効であり、本発明はこ
のホウ素化剤としての利用を通じて抗体のホウ素化技
術、ひいてはモノクローナル抗体法による中性子捕捉療
法をも提供するものである。
以下、モノクローナル抗体法への本発明化合物の応用、
殊にその最も好適と考えられる応用、即ち本発明化合物
をホウ素化剤として用いて、これを適当な中介物質を介
して抗体に結合させ、これによって腫瘍細胞表面に熱中
性子捕捉剤を集積させる技術につき詳述する。
上記した通り、本発明化合物はカルボジイミド類の共存
下に、アミンとアミド結合を形成できるカルボキシル基
を分子中に有しており、これを利用すれば、各種アミノ
基含有物質の本発明化合物によるホウ素化が可能であ
る。本発明化合物によってホウ素化可能な上記アミノ基
含有物質としては、特に制限はないが、代表的にはポリ
リジン等のポリアミノ酸類及びアビジン等の蛋白質を例
示できる。
上記ポリリジンは、アミノ酸の一つであるリジン分子が
多数結合して1本のペプチド鎖を作ったポリアミノ酸で
あり、官能基としてN末端のα−アミノ基1個、C末端
のカルボキシル基1個及び構成リジン基と同数のε−ア
ミノ基を有している。これは上記ε−アミノ基を利用し
て、アミド結合形成反応により本発明化合物と結合させ
得、かくしてホウ素化できる。この方法で得られるホウ
素化物は水溶性が悪く、反応初期において水から析出、
沈殿し、攪拌して懸濁状態に保ってホウ素化を強行して
も沈殿が再溶解することはなく、ホウ素化の所期の目的
は達成されるものの、究極の目的である抗体の間接ホウ
素化に利用できる中間体としての有用性は疑わしい。
しかして一般に高分子物質の水溶性は、その構成残基の
持つ親水性と疎水性の釣り合いの問題として、主に現象
論的見地から論議されてきており、これによれば適当な
親水性付与剤を利用して親水性の高い残基を当該高分子
に予め導入しておけば、これから導かれるホウ素化物も
水溶性を保つと考えられる。かかる親水性付与剤として
は、強い親水性基として知られているポリオキシエチレ
ン基を有する各種化合物を挙げることができる。その代
表例としては、例えばメトキシポリエチレンオキシ酢酸
[CH3O(CH2CH2O)mCH2COOH]を例示できる。該化合物は
例えば常法に従いポリエチレングリコールモノメチルエ
ーテルをナフタリンナトリウムで処理し、これにモノブ
ロモ酢酸を作用させて得ることができる。
上記親水性付与剤をポリリジンに作用させ、得られた強
親水性のポリリジンを、本発明化合物によりホウ素化す
る方法につき詳述すれば、まずポリリジンの持つ全アミ
ノ基の約1/3に該当するモル数の親水性付与剤をポリリ
ジン水溶液に加え、カルボジイミド類の共存下で弱く加
熱する。生成した修飾ポリリジンを透析精製後、再びカ
ルボジイミドの存在下で本発明化合物と反応させ、次い
で反応混合物を半飽和塩化ナトリウム水溶液及び蒸留水
に対して透析すると、透明な液として水溶性のホウ素化
ポリリジンが得られる。かくして得られる水溶性のホウ
素化ポリリジンは、これを仲介とするモノクローナル抗
体法の実施に有効である。何故なら、アミノ基含有高分
子物質を強固な共有結合のみを介して抗体に結合させる
技術がすでに報告されているからである〔Tsukada,Y.et
al.,JNCI,Vol.73,No.3,721−729,September1984〕。
アビジンは1分子中にリジンε−アミノ基36個とN末端
α−アミノ基4個を持つ糖蛋白であり、糖部分にはグル
コサミンも含まれている〔M.O.Dayhoff,National Biome
dical Foundation,Washington D.C.,“Atlas of Protei
n Sequence and Structure",Vol.5(1972)〕。従っ
て、該化合物も本発明化合物とのアミド結合によるホウ
素化が可能である。但し、アビジン分子中には28個のグ
ルタミン酸基と20個のアスパラギン酸基も含まれてお
り、之等のアルボキシル基もまたアミド結合を生成し、
この反応が本発明化合物のカルボキシル基によるアミド
結合と競争反応する可能性があり、更にアビジン中には
水酸基等の弱反応性基が存在しており之等がカルボキシ
ル基と反応する可能性も無視できない。しかして、本発
明者らによる実験によれば、アビジンと前記中上斑との
混合物をカルボジイミド処理した所、アミド結合の結果
として沈澱の発生が認められ、本発明化合物によるホウ
素化の行ない得ることが確認された。
上記アビジンにおいても、その本発明化合物によるホウ
素化に当っては、沈殿の発生防止のために上述したメト
キシポリエチレンオキシ酢酸等の親水性付与剤の利用が
有効であり、これによれば生体内投与に有利な水溶性の
ホウ素化アビジンを得ることができる。その詳細は後記
実施例5に詳述するが、まず親水性付与剤の存在下に、
上記アビジンと本発明化合物とをカルボジイミドを用い
てアミド化反応させ、次いで反応混合物を半飽和塩化ナ
トリウム水溶液及び蒸留水に対して透析すると、殆んど
透明な液として、本発明化合物によりホウ素化されたア
ビジンが得られる。この本発明化合物でホウ素化された
アビジンは水溶性であって、次に詳述する通り、モノク
ローナル抗体法に特に有効である。
上記モノクローナル抗体法は、既述したように癌細胞膜
表面の抗原(エピトープ)と特異反応するモノクローナ
ル抗体を利用し、該抗体に熱中性子捕捉剤としての含ホ
ウ素化合物を直接もしくは適当な仲介物質を介して結合
させることによって、癌細胞膜上に上記含ホウ素化合物
を集積させて熱中性子捕捉癌療法を行なうものである。
本発明者らの研究によれば、後記実施例に詳述するよう
に、皮膚癌の一種である悪性黒色腫の培養細胞を利用し
て、モノクローナル抗体1分子当たりビオチンY分子を
付加したビオチン付加抗体を、上記黒色腫細胞膜上に結
合させ、次いでこの系に上記の如く本発明化合物を用い
て調製されたホウ素化アビジンを添加すると、ビオチン
・アビジン特異結合が生起し、上記癌細胞上に多数のホ
ウ素原子を導入でき、かくして所望の中性子捕捉療法の
実施が可能であることが確認された。因みに上記方法に
よれば、使用したホウ素化アビジン1分子におけるホウ
素付加数をXとし、癌細胞1個当たりのエピトープ数を
Eとすれば、癌細胞1個に間接的に付加されるホウ素原
子数の最大値は、エピトープ数×ビオチン分子数×ホウ
素付加数(EYX)となる。
更に、本発明化合物を利用した抗体のホウ素化及びその
利用によるモノクローナル抗体法においては、ホウ素導
入量を増加させ得る改良が可能である。これは例えば文
献記載の方法〔H.N.Eisen,S.Belman,M.E.Carstem,J.Am.
Chem.Soc.,75,4583−4585(1953)〕に従い公知の抗黒
色腫抗体に、(ジニトロフェニル)ハプテン[DNP]を
付加させて得られる抗体−ハプテン付加物(a)、上記
DNPに対する抗ハプテン抗体に予めビオチンを付加した
もの(b)及びホウ素化アビジン(c)を順次黒色腫細
胞に作用させることにより実施される。この方法によれ
ば、上記抗体−ハプテン付加物(a)におけるハプテン
付加数をHとし他は前記と同じ記号を使って、癌細胞1
個に間接的に付加されるホウ素原子数の最大値は、エピ
トープ数×ハプテン付加数×抗ハプテン抗体1分子当り
に付加したビオチン分子数×ホウ素付加数(EHYX)とな
る。之等各方法の詳細は、後記実施例に示す通りであ
る。
いずれにせよ、本発明化合物をホウ素化剤として利用す
れば、モノクローナル抗体にホウ素を導入することがで
き、かかるホウ素の導入によれば、モノクローナル抗体
と腫瘍細胞との特異反応により、腫瘍細胞上に多数のホ
ウ素原子を集積させることが可能であり、これに熱中性
子を原子炉照射すれば、腫瘍細胞の選択的破壊が可能と
なり、かくして中性子捕捉療法による腫瘍完治を図るこ
とができる。上記中性子捕捉療法に特に適した本発明化
合物の利用は、上述したような予め適当なアミノ基含有
物質を本発明化合物によりホウ素化後、これをモノクロ
ーナル抗体と結合させる所謂抗体の間接的ホウ素化法で
あり、本発明はかかる抗体の間接的ホウ素化法及びこれ
を利用した中性子捕捉療法をも提供するものである。
実施例 以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げ
る。
実施例1 油被NaH(60%)0.3511gと脱水ジメトキシエタン4mlと
を混和して懸濁液を得た。一方、Na・10B12H11NH310B
含有率92.41%)0.6020gをジメトキシエタン5.3mlに溶
解させて透明液を得た。水冷攪拌下に、上記懸濁液に上
記透明液を滴下し、H2ガス発生後、混合物に更にNaH0.1
gを追加投入して、懸濁液を得た。
得られた懸濁液に、ClCH2COOCH30.3537gのジメトキシエ
タン3ml希釈液を、水冷下に滴下し、次いで室温攪拌下
に4夜放置した後、エーテル33mlを加えて、黄白色懸濁
液46.3mlを得た。
上記で得られた黄白色懸濁液の一部(3ml)を次の試験
に供した。即ち、上記懸濁液にエーテルを加えて沈澱を
よく洗い、残エーテルを減圧下に除去し、アセトニトリ
ル4.5mlを加えて上澄と少量の沈澱とを分離した。沈澱
をエーテルで洗浄し、一旦水に溶解後、低温脱水し、ア
セトニトリルとエーテルとで再洗浄して沈澱を得た。こ
のものはH2SO4処理で盛んな塩酸ガス発生を認め、この
ことからその主体はNaClと判断された。
一方、上記アセトニトリル上澄液にエーテル20mlを加
え、生じた黄色塊を水1.5mlに溶解させ、希塩酸でpH12
に調整した後、室温で数日間加水分解させて、水解液を
得た。
上記水解液1滴を紙上で乾燥し、0.15%のクルクミ
ンを含むエタノール(90%)溶液を噴霧し、ホウ酸検出
テストを行なった結果、陰性であった。
また上記水解液1滴を市販のPEIセルロース薄層クロ
マト板に着点し、NaCl8g、Na2CO31g及び水25ml混液で展
開し、風乾し、PdCl21.5%液を噴霧した結果、4斑が観
察できた。
更に上記水解液の残りは中和してpH7.0とし、冷蔵庫で
保管した。
前記黄白色懸濁液の残り43.3mlを、エーテル100mlで処
理し、水25mlに溶解させてpH11.5となし、3日間室温で
加水分解後、HClにて中和してpHを7.0とし、これを上記
及びの処理残液からの中和液と合せ、常温減圧し
て、黄色固体を得た。このものを冷蔵庫で保管した。
実施例2 実施例1で得た黄色固体の単離精製を以下の通り実施し
た。
まず、市販のPEIセルロース(陰イオン交換樹脂)を
水篩し、細粉を除き、内径約20mmのクロマトグラフ管に
34cmの高さに充填し、水洗して樹脂塔を作成した。
実施例1で得た黄色固体を水8mlに溶解させ、微量不溶
物を去した後、上記樹脂塔の塔頂にそそぎ、ゆっくり
流下させて樹脂中に滲入させ、更に水5mlを流した。こ
こを原点とみなし、以後、NaCl320g+Na2CO340g+水1
の展開液を流下させ、流出液を多数の管に分取した。
各流出回分につき、更に必要に応じて実施例1記載の方
法に従い、PEIセルロース薄層クロマトグラフィーを行
ない、最上斑、中上斑、中下斑及び最下斑成分のいずれ
が含まれるかを検討した。
その結果、最初の78mlには、黒斑の出現は認められず、
次の回分(1)32mlには最上斑成分が含まれており、ま
た回分(2)52mlには中上斑成分が、回分(3)60mlに
は中上斑成分+中下斑成分が、回分(4)52mlには中下
斑成分が、回分(5)32mlには中下斑成分+最下斑成分
が、回分(6)732mlには最下斑成分がそれぞれ含まれ
ていた。
単一成分を含有すると考えられた上記(1)、
(2)、(4)及び(6)のそれぞれを塩酸で中和し、
室温減圧濃縮(系中にNaOH粒収容のフラスコをつなぎ脱
水を促進させた)し、乾固状NaCl固体からアセトニトリ
ル可溶物を抽出し、ニトリルと残水を室温減圧し、最後
に55℃まで加温して除去して各固体を得た。それらの収
量は、(2)では121.4mg、(4)では43.2mg、(6)
では270.1mgであった。尚、(1)では2.2mgの油状物が
得られた。またアセトニトリル処理済NaCl中に残ってい
る(1)の主成分の処理については後述する。
上記で得られた各固体[(2)55.7mg、(4)19.3mg
及び(6)26.8mg]を、それぞれ1.5ml、1ml及び1mlの
アセトニトリルに溶解させ、孔径0.5μmの有機溶媒用
ミリポアーフィルター過で清澄化し、室温減圧濃縮
し、少時沸騰水浴加熱して乾燥した。次いで0.5〜1mlの
エーテルを加えて金属べらで粉化分散後、エーテルを減
圧除去し、1.5時間沸騰水浴加熱して、(2)49.3mg、
(4)11.0mg及び(6)17.2mgを得た。
之等のそれぞれにつき、NMR分析及びIR分析を行なった
結果、(6)は無置換体単品であるが、(4)には主成
分一置換体の他にかなりの二置換体が含まれており、
(2)は二置換体を主成分とし少量(分子比で1:0.1程
度)の一置換体を混在させていると確認された。
更に、一置換体の単離を目的として、前記で得られ
た中上斑成分と中下斑成分との混合物である(3)の分
別を次の通りに行なった。即ち、上記(3)60mlを上記
に従い、中和、濃縮、乾固、アセトニトリル抽出、溶
媒除去及び55℃まで減圧加熱して中上斑成分と中下斑成
分の混合固体8.4mgを得た。両成分のクロマト分離は、
前記の手法で行なったが、試料量が少ないため25mlの
ビューレットを用い、また分離を確実にするために流出
液の薄層クロマトグラムに中上斑成分が認められなくな
ってもすぐには採取を始めず、しばらく流下を続けて中
下斑成分のみを採取した。得られた採取液を乾固した
後、上記と同様にして精製固体3.3mgを得た。このも
のはNMR分析及びIR分析から、一置換体単品と確定でき
た(これを(3)‐1)とする)。
更に、上記で得た(1)のアセトニトリル抽出済み
NaCl中の最上斑成分の生成を以下の通り実施した。即
ち、上記のアセトニトリル抽出済みNaClを減圧、脱溶
媒後、合計20mlのDMFで数回抽出処理し、抽出液を80ml
のエーテル中に注ぎ、生成エマルジョンを長期熟成して
ろう状固体を採取した。残存エーテルを減圧下に除去し
合計4mlのDMFで再度抽出した液に、エーテル12mlを加え
ると飴状物が発生した。エーテル層を流出後、数回エー
テル洗浄し、減圧脱溶媒した。更にアセトニトリルの少
量を加えて減圧下に55℃まで加温して、55.1mgの固体を
得た。このものは、薄層クロマトグラフィーの所見よ
り、最上斑成分(三置換体)であると認められたが、尚
微量の中上斑成分が混在している。
従って、上記試料に更に以下の精製操作を施した。まず
上記固体試料29.0mgを1.8gのDMFに溶解し、グラスフィ
ルター過及びDMF洗浄し、洗液にエーテル30mlを添
加し、発生エマルジョンを静置4日後に上澄を捨て、15
mlのエーテルを添加して金属べらで粉化分散させた後、
一夜放置し、上澄を除去した。以後10mlづつのエーテル
で数回同操作を繰返し、DMFを洗出させた。次にアセト
ニトリル2mlを加え、減圧共沸脱水させ、最後にエーテ
ル処理し、100℃まで加熱して、精製操作を完了した。
上記及びで得た精製品(2)[中上斑、二置換
体]49.3mg、(3)‐1[中下斑、一置換体]3.3mg及
び(6)[最下斑、無置換体]17.2mgについて行なった
NMR分析及びIR分析につき以下に詳述する。
IR測定には日本分光社製IR−810を、NMR測定にはベック
マン社製250MHz超電導核磁気共鳴装置を用いた。IR測定
はミクロ打錠法でサンプルを調製し測定に供した。また
NMR測定はDMSO−d6溶液として測定用サンプルを調製し
た。
得られたNMR分析結果を第1図乃至第3図に示す。第1
図は上記(2)をサンプルとした結果であり、第2図は
上記(3)‐1をサンプルとした結果であり、第3図は
上記(6)をサンプルとした結果である。
之等各図より、以下のことが明らかである。
即ち、各図に共通して現われるシグナルの内、3.35ppm
付近のシグナルは水を、2.50ppm付近のシグナルはDMSO
−d6のメチルプロトンを、また2.07ppmのシグナルはCH3
CNのシグナルを夫々示している。
そして第1図ではアミノプロトンが6.48ppmに、Nとカ
ルボン酸に挟まれたメチレンプロトンはアミノプロトン
との間にカップリングがあり、夫々3.66ppm(2H,dd,J=
15,8&3.1Hz)及び2.91ppm(2H,dd,J=15.8&5.7Hz)で
あった。また、0.1〜1.9ppmのブロードなシグナルはB11
H11に由来するものであり、このことは同シグナルを基
準物質(Cs2 10B12H12及びCs2 nB12H12)のシグナルと比
較することにより明らかとなった。上記基準物質Cs2 10B
12H12のNMR分析図を第5図に、Cs2 nB12H12のNMR分析図
を第6図に示す。
之等各図より、上記基準物質のスペクトルは3.35ppm付
近に現れる水及び2.50ppm付近に現れるDMSO−d6のメチ
ルプロトン等の溶媒に由来するシグナル以外にB12H12
ロトンのシグナルのみを示しており、実際にそのシグナ
ルは出現位置もシグナル形も第1図のブロードシグナル
と酷似していることが明らかである。
第2図ではアミノプロトンが6.08ppmと、Nとカルボン
酸に挟まれたメチレンプロトンはアミノプロトンとの間
にカップリングがあり、2.87ppm(2H,t,J=6.2Hz)のシ
グナルに帰属できる。0.1〜1.9ppmのブロードなシグナ
ルは上記と同様にB11H11による。
第3図ではアミノプロトンが5.58ppmにシグナルとして
現われ、他にはB11H11による0.1〜1.9ppmのブロードな
シグナルが認められるだけである。
実施例3 この例は、実施例2で得た中上斑成分[(2)]による
ポリリジンのホウ素化を実施した例である。
上記中上斑成分28.6mgを含む水溶液の1.6603gを用意し
た。尚、以下の使用量は中上斑成分固体mgに換算して表
わすものとする。
市販のポリリジン[ポリ−D,L−リジン・HBr、重合度27
3、分子量57000]の7.1mgを希塩酸1mlに溶解させて調製
したpH5.0の液に、中上斑成分を徐々に添加していく。
添加量が3.15mgに至ると白濁が認められた。NaCl200m
g、水少量を加えて透明化した液に、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
(以下単に「カルボジイミド」という)50mgを加え、以
後、希塩酸とNaHCO3でpHを4.5〜5付近に保ちながら、
中上斑成分とカルボジイミドとを徐々に追加する。反応
が進むにつれて液は白濁し、沈澱が生じる。NaCl74mgを
追添しても溶消せず。中上斑成分合計8.61mgとカルボジ
イミド合計105mgとを添加したところで2夜密閉攪拌
し、更に両者を追添し、中上斑成分合計12.04mgとカル
ボジイミド合計378mgとして4夜攪拌した。もはや外観
に変化は認められない。
カルボジイミド変性物等がホウ素化反応の進行を阻害す
る可能性も考え、その透析除去を試みた。懸濁液を透析
用チューブ(Seamless Cellulose Tubing,Union Carbid
e Corp.)に移し、NaCl170g/水1処方の攪拌外液中に
吊下げ、内液上澄と外液の各1滴を紙に着点しPdCl2
噴霧しても両者ともに黒斑点を生じなくなるまで充分に
透析した。液量増加を室温で濃縮して復元し、新たな反
応原液とし、本質的には上と同じ手順で中上斑成分12.0
4mg及びカルボジイミド410mgによるホウ素化を終了し
た。
ホウ素化終了液をまずNaCl液に、次に蒸留水に対して透
析した。以後の操作はポリプロピレンまたは石英容器を
用いた。得られた懸濁液5.2457gを揺すって均一にし、
次いでその0.7028gを石英試験管に採取し、イケウチら
の方法〔I.Ikeuchi,T.Amano,Chem.Pharm.Bull.,26,2619
−2623(1978)〕に準じて、KMnO4酸化、クルクミン呈
色法でホウ素を定量した。尚、生成するMnO2によるホウ
酸吸着は、塩酸酸性下にH2O2(30%)を注意深く滴下し
てMnO2を全部分解し、得られる透明液にKMnO4微粉を加
え過剰H2O2を丁度分解(再発生MnO2が痕跡量残留)させ
ることにより防止した。
以上の操作により、ポリリジン1分子当たり1010個のB
原子(リジン基1個当たり3.7B原子、即ち0.31ドデカボ
ラニール基)が導入されていることが確かめられた。
実施例4 この例は、本発明化合物による水溶性ホウ素化ポリリジ
ンの作成例であり、ポリリジンとしては、市販のもの
〔ポリ−D,L−リジン・HBr、重合度368、分子量77000〕
を、ホウ素化剤としては、実施例3の中上斑成分
[(2)]と同一製法により得られ、第7図に示すNMR
分析図のもの[一置換体のシグナルが見当たらず、二置
換体純品と考えられる]をそれぞれ用いた。
まず、親水性付与剤を次の通り作成した。即ちN2置換容
器内でナフタリン10gを脱水ジメトキシエタン40mlに溶
解し、小片に切ったナトリウム4gを加えてガラス棒で突
き刺激して、緑黒色のナフタリンNa液を得る。これを密
栓した。次いで、フラデッドらの方法〔A.Fraded,E.Mar
echal,Polymer Bulletin,,205−210(1981)〕に準じ
て、上記ナフタリンNa液約25mlを、平均分子量350のポ
リエチレングリコールモノメチルエーテル3.1g及びモノ
ブロモ酢酸1.32gと反応させ、分子量408のメトキシポリ
エチレンオキシ酢酸[CH3O(CH2CH2O)7.2CH2COOH,MPEO
酢酸]1.21gを得た。
上記ポリ−D,L−リジン・HBr5.9mgを水20mlに溶解さ
せ、生成液20.1029gを孔径0.20μmの水溶媒用ミリポア
フィルターで過し、液の一部3.9826gをとって液量
が1.136gになるまで減圧濃縮したものを出発原料とし
た。試料中のポリリジン・HBr量は計算上1.169mgとな
る。
一方、MPEO酢酸の3%水溶液を作り、ミリポアフィルタ
ーで過して完全透明化後、その26μlを上記濃縮液に
マイクロシリンジで添加し、更に合計0.4894gの1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイ
ミド塩酸塩(以下単に「カルボジイミド」という)を2
回に分けて添加し、46℃の水浴中で6.5時間加温した。
生成液を1%NaCl水溶液、次いで蒸留水に対して2日間
を要して透析して、ポリオキシエチレン化の段階を終了
した。
上記においてMPEO酢酸の添加量は、100%の反応を仮定
すれば、ポリリジンの遊離アミノ基の1/3を修飾し得る
量であって、生成物の期待構造は次の通りとなる。
次の段階は本発明化合物(二置換体)によるホウ素化で
ある。ホウ素化剤14.0mgを3mlの水に溶解し、ミリポア
フィルターで過して濃度4.610mg/gのホウ素化剤液2.8
448gを調製した。
一方上記の透析済み液を小型フラスコに移し、少量の水
で全量を洗入した。この上にホウ素化剤液20μlづつを
3回注入し、またカルボジイミド合計250mgを3回に分
けて投入し、47℃に5時間水浴加熱し、一旦反応を打ち
切った。液量3.7098gの内、1.4184gを透析筒に移し、半
飽和食塩水、次いで蒸留水に対して透析後、ポリポアフ
ィルターで過した。液を実施例3に記載の方法と同
一方法によりKMnO4を用いて酸化して、ホウ素含量を求
めた。その結果ポリリジン1分子当たり260のB原子(2
40の10B原子)を含んでいた。
更に、ホウ素化を高めるために、残余の液2.2914gにホ
ウ素化剤液13μlづつを4回注入し、またカルボジイミ
ド合計258mgを4回に分けて投入し、47℃に4時間水浴
加熱して反応させた。反応液を半飽和食塩水と蒸留水に
対して透析後、ミリポアフィルターで過した。かくし
て得られたもののホウ素含量は、ポリリジン1分子当り
404のB原子(374の10B原子)であった。
実施例5 この例は本発明化合物による水溶性ホウ素化アビジンの
作成例である。
前記実施例4に記載のMPEO酢酸68.8mgを水に溶解させ、
孔径0.20μmの水溶媒用ミリポアーフィルターで過し
て、30.3mg/g濃度の液(以下これを「A液」という)2.
0790gを調製した。
別個に、中上斑成分14.4mgを水に溶解させ、ミリポアー
フィルターで過して、4.575mg/g濃度の液(以下これ
を「B液」という)2.9136gを調製した。
また、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド塩酸塩(以下単に「カルボジイミ
ド」と云う)を用意すると共に、pH調整用希塩酸とNaHC
O3微粉末も用意した。
市販のアビジン(avidin、分子量64000)8.5mgを水に溶
解させ、ミリポアーフィルター過して、1.7023mg/g濃
度の完全透明液4.6825gを得た。この上に、上記で調製
したA液10μlをマイクロシリンジで加え、またカルボ
ジイミド0.3034gを固体のまま加え、pHを4.7に調節し、
1時間後に更に上記で調製したB液30μlを添加した。
pHを4〜5に調製しつつ、上記操作をそれぞれ繰返し、
24時間後の合計添加量を、A液50μl、B液180μl及
びカルボジイミド0.5604gとした。また48時間後の合計
添加量を、A液130μl、B液520μl及びカルボジイミ
ド1.1087gとした。
以後、何らの添加も行なうことなく、3時間反応を継続
させ、生成した透明液を実施例3と同様にして透析し、
ミリポアーフィルター過後、密栓し、冷蔵庫に保管し
た。
その一部を分取してホウ素の定量に供した。
上記結果を含めて総括すると、MPEO3.939mg、中上斑成
分2.379mg及びカルボジイミド1.1087gで、3.971mgのア
ビジンをホウ素化し、アビジン1分子当たりB原子41.6
3個(10B原子38.47個)を導入できた計算となった。
尚、上記に先立つ予備実験では、上記各試薬(MPEO、中
上斑成分及びカルボジイミド)のそれぞれ1.990mg、0.8
96mg及び0.357gで、3.1mgのアビジンをホウ素化し、1
分子当たりB原子32.32個を導入できた。下記実施例6
では、この予備実験の結果、即ちホウ素化アビジン(X
=32.32)を用いている。
実施例6 この例は、腫瘍細胞上に10B原子を集積した2つの実験
系を作成して、熱中性子照射による細胞致死を実証する
ものである。
実験対象に選んだヒト黒色腫細胞株[P−22]〔S.Waka
bayashi,T.Saito,N.Shimohara,S.Okamoto,H.Tomioka,M.
Taniguchi,J.Invest.Dermatology,83,128−133(1984)
に記載されており、Sloan-Kettering Cancer Centerに
より確立されたもの〕は、抗ヒト黒色腫モノクローナル
抗体[763.74T]〔Giacomini,P.,Veglia,F.,Cordiali F
ei,P.,Rehle,T.,Natali,P.G.and Ferrone,S.,Cancer Re
s.,44,1281−1287(1984)〕に対応するエピトープの数
が非常に大きく、一細胞当り4×106を越えることが認
められている(E>4×106)。
上記抗体[763.74T]を、下記文献記載の方法によりジ
ニトロベンゼンスルホン酸処理して、DNPハプテンを付
加させて、ハプテン付加抗体を得た〔H.N.Eisen,S.Belm
an,M.E.Carsten,J.Am.Chem.Soc.,75,4583−4585(195
3)〕。上記ハプテン付加数(H)は、15であった。
一方、前記モノクローナル抗体[763.74T]及び抗DNP抗
体[29−B5]〔Herzenberg,Leonore A.,Black,S.J.,Tok
uhisa,T.,and Herzenberg,Leonard A.,J.Exp.Med.,151,
1071−1087(1980)〕のそれぞれ1mgに、予めジメチル
スルホキシド(DMSO)120μlに溶解させたN−ヒドロ
キシサクシンイミドビオチン(N-hydroxysuccinimidobi
otin)0.12mgを、pH7.0で室温下に4時間を要して反応
させて、それぞれ抗体1分子当りビオチン分子約10個
(Y=10)を導入させたビオチン付加抗体を得た。
上記で調製した各試薬を用い、以下の2種の方法に従
い、腫瘍細胞上にホウ素化アビジンを集積させた。
まず第1の方法においては、3×105個の[P−22]細
胞を含む試験液[1%牛胎児血清(FCS)を含有するRPM
I−1640]に1μgのビオチン付加[763.74T]を加え、
4℃で1時間反応させた後、細胞をRPMI−1640液(FCS
不含)で3回洗浄し、次いで過剰のホウ素化アビジンで
4℃下に15分間処理し、試験液で洗浄した。
第2の方法では、3×105個の[P−22]細胞を含む同
試験液に、1μgのハプテン付加[763.74T]を加え、
4℃で1時間反応させた後、同様にして細胞を試験液で
3回洗浄後、1μgのビオチン付加抗DNP抗体で4℃下
に1時間処理し、RPMI−1640液による洗浄後、更にホウ
素化アビジンで4℃下に15分間処理し、試験液で最終洗
浄した。
上記いずれかの処理を受けた[P−22]細胞の各2×10
5個を、15%FCSを含むMEM培地1mlに懸濁させ、テフロン
管に収容し、武蔵工大炉で90分間の熱中性子照射(100k
w、1.09×109n/cm2/sec)を行なった[以下、上記第1
の方法によるホウ素集積系を「実験系1」とし、第2の
方法によるホウ素集積系を「実験系2」とする。
また対照として、上記いずれの処理も行なわなかった無
処理の黒色腫細胞[P−22]についても同様の熱中性子
照射を行なった。これを「無処理対照系」とする。
尚、各系共、試料は中性子照射口から12cm及び15cm離れ
た2個所に分置して実験を行なった。
上記熱中性子照射後の各系の生細胞1×104個をペトリ
皿に取り培養し、トリパンブルー染色法で3日毎に生細
胞数を計数した。
得られた結果を第4図[第4図(1)、(2)及び
(3)]に示す。
図において、(1)は無処理対照系の結果を、(2)は
実験系1の結果を、(3)は実験系2の結果を示すもの
であり、各図の横軸は、熱中性子照射後の培養日数
(日)を、縦軸は生細胞数をそれぞれ示す。また、各図
における結果を示す線(1)は照射口からの距離12cmに
分置した試料を、(2)は照射口からの距離15cmに分置
した試料を示し、更に各図には対照(コントロール)
(3)として各実験において熱中性子無照射の場合の結
果も併記する。
第4図より、無処理対照系[第4図(1)]の線(3)
と線(1)及び(2)との比較から、熱中性子の照射
[線(1)及び線(2)]だけでも、細胞の増殖はかな
り抑制されることが判るが、該線(1)及び線(2)の
勾配は右上がりであって、この無処理対照系[10B不在
系]に対する熱中性子照射のみでは生細胞は増加の傾向
を残していることが明らかである。
これに対して、実験系1[第4図(2)]では、照射距
離15cm[線(2)]において僅かではあるが生細胞数の
減少が認められ、これは照射距離12cm[線(1)]にお
いて、かなりはっきりと認められる。更に上記生細胞数
の減少は、実験系2[第4図(3)]の照射距離15cm
[線(2)]及び照射距離12cm[線(1)]において
は、より確実なものとなることが確認される。
以上のように、本発明化合物を利用したモノクローナル
抗体法による熱中性子捕捉療法においては、腫瘍細胞の
致死による腫瘍の完治が期待できる。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第3図は、実施例2で得られた本発明化合物
[二置換体及び一置換体]及び無置換体のそれぞれのNM
R分析結果を示すグラフである。 第4図は、本発明実施例6に従う本発明化合物を利用し
たモノクローナル抗体法による熱中性子捕捉療法の実験
結果を示すグラフである。 第5図及び第6図は、実施例2に記載の基準物質のNMR
分析結果を示すグラフである。 第7図は、実施例4で得られた本発明化合物[二置換
体]のNMR分析結果を示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 M+・(B12H11)2--N+H3-n(A-COOM)n 〔式中Aは低級アルキレン基を示す。Mは水素原子、1
    価の陽イオンを与える原子もしくは原子団又はp価の陽
    イオンを与える原子もしくは原子団の1/pモルを示す。
    nは1〜3の整数を示す。〕 で表わされるモノ、ジ及びトリ(モノカルボキシアルキ
    ル)アンモニオ−ウンデカヒドロドデカボレート(−
    1)。
  2. 【請求項2】請求項記載の含ホウ素化合物の少なくと
    も1種を用いてなる熱中性子捕捉剤。
  3. 【請求項3】ポリリジンとの反応物であり水溶性である
    請求項記載の熱中性子捕捉剤。
  4. 【請求項4】アビジンとの反応物であり水溶性である請
    求項記載の熱中性子捕捉剤。
  5. 【請求項5】モノクローナル抗体法による中性子捕捉療
    法に用いられる請求項、又は記載の熱中性子捕捉
    剤。
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