JPH068491A - 熱転写記録方法 - Google Patents

熱転写記録方法

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Publication number
JPH068491A
JPH068491A JP5083063A JP8306393A JPH068491A JP H068491 A JPH068491 A JP H068491A JP 5083063 A JP5083063 A JP 5083063A JP 8306393 A JP8306393 A JP 8306393A JP H068491 A JPH068491 A JP H068491A
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Pending
Application number
JP5083063A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Fukui
康雄 福井
Soichiro Mima
総一郎 美間
Hiroyuki Matsuo
浩之 松尾
Akihiro Imai
章博 今井
Nobuyoshi Taguchi
信義 田口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication of JPH068491A publication Critical patent/JPH068491A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、染料を熱転写して記録する記録方
法において、受像体の種類によらずに、画質が良好で、
筆記性、定着性の高い文字、画像を記録することが可能
な熱転写記録方法を提供するものである。 【構成】 高分子層2を有する中間転写体4の上にイン
クシート7を重ね合わせ、記録層3にインク材料層6か
ら染料を熱転写し、次に中間転写体4と受像体12とを
重ね合わせて押圧、加熱して記録層3を受像体12上に
転写させる。ゴム弾性と粘着性とを有する高分子材料で
構成された高分子層2が、染料を記録層3に転写する際
には記録層3を安定に粘着して保持し、かつ記録層3を
受像体12転写する際には受像体12の表面形状に倣っ
て弾性変形して記録層3を良好に定着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、染料からなる色材を含
むインク材料を用いて、サ−マルヘッドなどの記録手段
により紙などに記録する熱転写記録方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、色材である染料の昇華または拡散
によって記録する熱転写記録方法については、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)フィルムやコンデンサ紙
などの耐熱性基体の表面に、染料とバインダ材とからな
る厚さ3μm程度のインク材料層を形成したインクシー
トを用いて、記録ヘッドにより、染料を、直接、染着性
のある記録媒体に転写せしめて記録物を得る、熱転写記
録方法が公知である。
【0003】以下図面を参照しながら、上記した従来の
熱転写記録方法の一例について説明する。
【0004】図8は従来の一実施例における熱転写記録
方法の原理を示す構成概略図である。図8において、7
はインクシートである。9はサーマルヘッド、12は受
像体、17は記録信号源である。
【0005】以上のように構成された熱転写記録方法に
ついて、以下その動作について説明する。
【0006】耐熱性のB基体5上に色材及びバインダ材
からなるインク材料層6を配置して構成したインクシー
ト7と、記録紙などの記録層3を、サーマルヘッド9と
プラテン8との間に圧接して、記録信号源17からの信
号に応じて、サーマルヘッド9を発熱させ、インク材料
を選択的に昇温させる。受像体12を矢印18方向へ搬
送し、インクシート7をインクシート巻取りローラ11
により巻取り、インクシート7を受像体12から剥離す
ると、受像体12上にインク材料層6の色材の一部が転
写され、転写像16が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、受像体の表面材料によって色材の転写量
が大きく異なる。すなわち、インク材料層を昇温し、染
料からなる色材の昇華または拡散によって受像体に色材
を転写するため、受像体の表面材料が染着性のある材料
である場合のみ記録が可能であり、転写される色材の量
は受像体の表面材料の染着性に依存する。例えば、一般
の紙を受像体に用いた場合は、表面に染着性がほとんど
ないため、染料の転写による記録像はほとんど得られな
いという問題点を有していた。
【0008】また、上記のような構成では、受像体の表
面状態によって記録像の画質が大きく異なる。すなわ
ち、受像体とインク材料層との接触状態の差異が記録濃
度の濃淡となって現われるため、記録像の均一性は受像
体表面の平滑性に依存する。例えば、表面に大きな凹凸
がある受像体では、受像体とインク材料層とが接触不良
となり、均一な記録像を得ることができないという問題
点を有していた。
【0009】本発明は上記問題点に鑑み、受像体の種類
(表面材料、表面状態)によらずに、染料の転写記録に
おいて良好な画質を得ることができる熱転写記録方法を
提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明の熱転写記録方法は、中間転写体が、少なく
とも、基体上に、ゴム弾性と粘着性とを有する高分子層
と、染着性を有する記録層とを順次積層した構成を有
し、この中間転写体を用いて、インクシートのインク材
料層を記録層に重ね、インク材料層から記録層に染料を
熱転写し、インクシートを剥離した後に、記録層に受像
体を重ね、受像体に記録層を接着し、受像体を剥離して
記録層を受像体に転写する熱転写記録方法である。
【0011】また、ゴム弾性と粘着性とを有する高分子
材料が、ゴム弾性を有する高分子材料と、粘着性を有す
る高分子材料とで構成されているものである。
【0012】また、ゴム弾性を有する高分子材料が、ゴ
ム弾性を有するシリコーン材料を含むものである。
【0013】また、粘着性を有する高分子材料が、粘着
性を有するシリコーン材料を含むものである。
【0014】さらに、粘着性を有するシリコーン材料
が、シリコーン生ゴムと、シリコーン樹脂とを含むシリ
コーン粘着材であるものである。
【0015】そして、記録層の温度が、記録層のガラス
転移点より低い温度になるようにして、記録層からイン
クシートを剥離する熱転写記録方法である。
【0016】また、記録層の温度が、記録層のフロー軟
化点より低い温度になるようにして、受像体を剥離して
記録層を受像体に転写する熱転写記録方法である。
【0017】また、記録層の上に、部分的に転写防止層
を設け、記録層の必要な部分だけを受像体に転写する熱
転写記録方法である。
【0018】
【作用】本発明の熱転写記録方法は上記した構成によっ
て、まず、インク材料層から記録層に、染料を熱転写す
る。このとき、記録層は、高分子層の粘着性により、高
分子層上に安定に保持されている。また、高分子層がゴ
ム弾性を有しているため、サーマルヘッドとインクシー
トと中間転写体上の記録層との、相互の接触が均一にな
る。このため、高画質な一次記録像が記録層上に安定に
形成できる。
【0019】次に、高分子層上の記録層に受像体を押し
付け、記録層が軟化する程度に加熱し、記録層を受像体
上に転写する。このとき、高分子層がゴム弾性を有して
いるため、高分子層が受像体の凹凸に倣って弾性変形
し、記録層が受像体の凹部にまで充填される。このた
め、記録層及び一次記録像は、受像体表面が繊維などで
凹凸になっていても、受像体表面に転写されると同時
に、良好に定着される。
【0020】そして、ゴム弾性と粘着性とを有する高分
子材料が、ゴム弾性を有する高分子材料と、粘着性を有
する高分子材料とで構成されていることにより、ゴム弾
性と粘着性とを分離してそれぞれ最適な条件に設定する
ことができる。従って、粘着性を損なうことなく、受像
体の表面の凹凸に良好に倣うような高分子層を形成する
ことができ、様々な受像体に記録することが可能とな
る。
【0021】また、ゴム弾性を有する高分子材料が、ゴ
ム弾性を有するシリコーン材料を含むことにより、優れ
たゴム弾性が得られ、熱的な劣化も少ない中間転写体が
得られる。
【0022】また、粘着性を有する高分子材料が、粘着
性を有するシリコーン材料を含むことにより、優れた粘
着性が得られ、熱的な劣化も少ない中間転写体が得られ
る。
【0023】さらに、粘着性を有するシリコーン材料
が、シリコーン生ゴムと、シリコーン樹脂とを含むシリ
コーン粘着材であることにより、粘着特性を制御するこ
とが可能となり、十分な凝集力と優れた粘着性を得るこ
とができる。
【0024】さらに、記録層の温度が、記録層に含まれ
る熱可塑性樹脂のガラス転移点より低い温度となるよう
にして、記録層からインクシートを剥離することによ
り、記録層を高分子層上により安定に保持することがで
きる。
【0025】また、記録層の温度が、記録層に含まれる
熱可塑性樹脂のフロー軟化点(流動開始点)より低い温
度となるようにして、受像体を剥離して記録層を受像体
に転写することにより、記録層及び一次記録像は受像体
表面により良好に転写される。
【0026】さらに、記録層の上に、部分的に転写防止
層を設けた構成の中間転写体を用いることにより、受像
体を剥離して記録層を受像体に転写するときに、転写防
止層が設けられている部分の転写防止層の下にある記録
層が、受像体に転写しないようにできる。このため、高
分子層と記録層とを連続して形成した中間転写体におい
て、記録層の必要な部分だけを選択的に受像体に転写で
きる。また、中間転写体を作成するときのパターンの位
置合わせなどが容易になる。
【0027】
【実施例】以下本発明の一実施例の熱転写記録方法につ
いて、図面を参照しながら説明する。
【0028】図1は本発明の実施例における熱転写記録
方法の、ひとつの構成を示す概略図である。図1におい
て、4は中間転写体、7はインクシート、9はサーマル
ヘッド 、12は受像体、13は加熱ローラである。シ
ート状耐熱性基体であるA基体1上に、高分子層2と記
録層3を設けて、中間転写体4を構成している。また、
同じくシート状耐熱性基体であるB基体5上に、インク
材料層6を設けて、インクシート7を構成している。記
録のためにサーマルヘッド9を、転写のために加熱ロー
ラ13とAローラ14とをそれぞれ設けている。
【0029】以上のように構成された熱転写記録方法に
ついて、以下、図1及び図2を用いてその動作を説明す
る。
【0030】図1において、プラテン8と、サーマルヘ
ッド9との間に、中間転写体4とインクシート7が圧接
された状態で、記録信号源17からの信号により、サー
マルヘッド9が選択的に発熱し、中間転写体4の記録層
3の表面に、インク材料層6の少なくとも色材の一部を
転写し、記録信号に対応した一次記録像15を、中間転
写体4上に形成する。プラテン8の回転により矢印10
方向に中間転写体4が送られると共に、インクシート7
はインクシート巻取りローラ11に巻取られる。
【0031】このとき、記録層3は、高分子層2の粘着
性により、高分子層2上に安定に保持されている。この
ため、インク材料層6と記録層3とが融着したり、中間
転写体4の走行速度やインクシート7の走行速度が変動
することなどにより、記録層3に対してせん断力が加わ
っても、記録層3は高分子層2から剥離したり、高分子
層2上でずれたりすることがない。また、高分子層2が
ゴム弾性を有しているため、インクシート7やサーマル
ヘッド9の表面の凹凸に倣って高分子層2が弾性変形す
ることで、サーマルヘッド9と、インクシート7と、中
間転写体4上の記録層3との、相互の接触が均一にな
る。このため、高画質な一次記録像15が記録層3上に
安定に形成できる。
【0032】次に、中間転写体4と受像体12とを重ね
て、加熱ローラ13とAローラ14で圧力を加え、加熱
ローラ13で中間転写体4の基体側を加熱すると、記録
層3が受像体12表面に接着する。従って中間転写体4
から受像体12を剥離すると、圧力が加えられた部分の
記録層3が、他の部分からちぎれて受像体12側に転写
し、一次記録像15が受像体12表面に転写して転写像
16を形成する。受像体12は、Aローラ14の回転に
より矢印18方向に送られる。
【0033】このとき、受像体12の表面が繊維などで
凹凸になっていても、高分子層2がゴム弾性を有してい
るため、高分子層2が受像体12の凹凸に倣って弾性変
形し、記録層3が受像体12の凹部にまで充填される。
更に加圧すれば柔らかい高分子層2が受像体12の表面
の凹部の中にまで侵入し、記録層3は繊維の更に細かい
内部に押し込まれる。そして、記録層3の受像体12に
対する接着力が、記録層3の高分子層2に対する粘着力
より大きくなったところで中間転写体4から受像体12
を剥離すると、軟化した記録層3は高分子層2から離型
して受像体12上に転写される。このため、記録層3及
び一次記録像15は、記録層3が軟化する程度の温度
で、受像体12の表面に容易に転写されると同時に、良
好に定着される。
【0034】なお、転写像16は、一次記録像15の反
転像になるため、記録信号源17は、通常は、転写像1
6の反転像をサーマルヘッド9で記録するような信号を
発生する。
【0035】また、カラー記録には、染料のシアン、マ
ゼンタ、イエロー色の3原色、更には黒色を加えた4原
色の各色のインク材料層6を、B基体5上に面順次で配
置したインクシート7を用い、これらを面順次で中間転
写体4上に重ね転写することによって、記録像をカラー
にすることができる。
【0036】図2は、図1において転写像16が表面に
凹凸のある受像体12上に、良好に定着されている状態
を示す断面図である。この図2を用いて記録層の転写の
メカニズムを説明する。
【0037】図2において、加熱ローラ13で中間転写
体のA基体1の側から圧力と熱を加えると、記録層3が
受像体12表面に接着する。受像体12の表面が繊維な
どで凹凸になっているが、高分子層2が受像体12の表
面凹凸に倣うことで、記録層3が受像体12の凹部に充
填される。更に加圧すれば柔らかい高分子層2が凹部の
更にその中まで侵入し、記録層3は繊維の更に細かい内
部に押し込まれる。従って、記録層3の表面状態は、図
2に示すように、受像体の元の表面と同様の、粗い凹凸
を再現することになる。
【0038】一般に、受像体の光沢、筆記性は受像体表
面の凹凸によって定まる。図2に示すように、記録層3
が受像体12の表面の粗い凹凸に倣えば、記録層3の表
面は、その受像体12の元の表面と同様になり、記録層
3の上から鉛筆などで文字を書くことができる。また更
に、記録層3が受像体12に強固に定着することによ
り、記録像の定着性も更に向上する。
【0039】図3は、本発明の実施例における熱転写記
録方法の、別の構成を示す概略図である。図3におい
て、図1と構成上で異なる点は、サーマルヘッド9の端
部から離れた位置で、インクシート7を中間転写体4か
ら分離するためのインクシート剥離ローラ21が設けら
れていることである。
【0040】以上のように構成された熱転写記録方法に
ついて、以下、図3を用いてその動作を説明する。
【0041】図3において、プラテン8と、サーマルヘ
ッド9との間に、中間転写体4とインクシート7が圧接
された状態で、記録信号源17からの信号により、サー
マルヘッド9が選択的に発熱し、中間転写体4の記録層
3の表面に、インク材料層6の少なくとも色材の一部を
転写し、記録信号に対応した一次記録像15を、中間転
写体4上に形成する。プラテン8の回転により、矢印1
0方向に、インクシート7と中間転写体4とが送られる
と共に、インクシート7は、インクシート剥離ローラ2
1で中間転写体4から剥離され、インクシート巻取りロ
ーラ11に巻取られる。
【0042】図1に示した構成では、インクシート7は
サーマルヘッド9の端部で中間転写体4から分離される
ため、記録層3からインク材料層6が剥離されるときの
記録層3の温度は、サーマルヘッド9の蓄熱状態によっ
て変化する。すなわち、サーマルヘッド9の蓄熱が小さ
いときには、インク材料層6が記録層3から剥離される
ときの記録層3の温度は低いが、サーマルヘッド9の蓄
熱が大きいときには、インク材料層6が記録層3から剥
離されるときの記録層3の温度は高い。
【0043】ここで、記録層3が高分子層2の粘着性に
よって、高分子層2上にどれだけ安定に保持されるか
は、記録層3の温度が、記録層3に含まれる熱可塑性樹
脂のガラス転移点より高いか低いかで変化する。記録層
3の温度が、記録層3に含まれる熱可塑性樹脂のガラス
転移点より低いときには、記録層3は、凝集力が非常に
高い状態であり、高分子層2の粘着性により、高分子層
2上に十分安定に保持されている。一方、記録層3の温
度が、記録層3に含まれる熱可塑性樹脂のガラス移転点
より高いときには、軟化した記録層3は、インク材料層
6と記録層3とが融着したり、中間転写体4の走行速度
やインクシート7の走行速度が変動することなどによ
り、記録層3に対してせん断力が加わって変形し、高分
子層2の粘着性によっても記録層3を高分子層2上に保
持することができない場合があり、記録層3は高分子層
2から剥離したり、高分子層2上でずれたりする。
【0044】このため、図1に示した構成では、サーマ
ルヘッド9の蓄熱が大きいときには、インク材料層6が
記録層3から剥離されるときの記録層3の温度が、記録
層3に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移点より高くな
り、高分子層2の粘着性によっても記録層3を高分子層
2上に保持することができない場合がある。
【0045】そこで、図3に示した構成のように、イン
クシート剥離ローラ21を設けることにより、インクシ
ート7は、サーマルヘッド9の端部から離れた位置で中
間転写体4から剥離されるため、高分子層2上の記録層
3からインク材料層6が剥離されるときの記録層3の温
度は、サーマルヘッド9の蓄熱状態に関係なく、記録層
3に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移点より低くする
ことができる。従って、記録層3は高分子層2上により
安定に保持され、インク材料層6から記録層3に十分安
定に染料を熱転写できる。
【0046】次に、図1と同様にして、中間転写体4と
受像体12とを重ねて、加熱ローラ13とAローラ14
で圧力を加え、加熱ローラ13で中間転写体4の基体側
を加熱すると、記録層3が受像体12表面に接着する。
従って中間転写体4と受像体12とを剥離すると、圧力
が加えられた部分の記録層3が、他の部分からちぎれて
受像体12側に転写し、一次記録像15が受像体12表
面に転写して転写像16を形成する。受像体12は、A
ローラ14の回転により矢印18方向に送られる。
【0047】図4は、本発明の実施例における熱転写記
録方法の、別の構成を示す概略図である。図4におい
て、図1と構成上で異なる点は、加熱ローラ13から離
れた位置で、受像体12を中間転写体4から剥離するた
めの、受像体剥離ローラ22が設けられていることであ
る。
【0048】以上のように構成された熱転写記録方法に
ついて、以下、図4を用いてその動作を説明する。
【0049】図4において、まず、図1と同様にして、
プラテン8と、サーマルヘッド9との間に、中間転写体
4とインクシート7が圧接された状態で、記録信号源1
7からの信号により、サーマルヘッド9が選択的に発熱
し、中間転写体4の記録層3の表面に、インク材料層6
の少なくとも色材の一部を転写し、記録信号に対応した
一次記録像15を、中間転写体4上に形成する。プラテ
ン8の回転により矢印10方向に中間転写体4が送られ
ると共に、インクシート7はインクシート巻取りローラ
11に巻取られる。
【0050】次に、中間転写体4と受像体12とを重ね
て、加熱ローラ13とAローラ14で圧力を加え、加熱
ローラ13で中間転写体4の基体側を加熱すると、記録
層3が受像体12表面に接着する。受像体12は、Aロ
ーラ14の回転により矢印18方向に送られると共に、
受像体12は受像体剥離ローラ22により中間転写体4
から剥離される。加熱ローラ13とAローラ14によっ
て圧力が加えられた部分の記録層3が、他の部分からち
ぎれて受像体12側に転写し、一次記録像15が受像体
12表面に転写して転写像16を形成する。
【0051】図1に示した構成では、受像体12は加熱
ローラ13の近傍で中間転写体4から剥離されるため、
中間転写体4から受像体12が剥離されるときの記録層
3の温度は、およそ加熱ローラ13の温度となる。
【0052】ここで、記録層3が、高分子層2上から受
像体12に良好に転写されるかどうかは、記録層3の温
度が、記録層3に含まれる熱可塑性樹脂のフロー軟化点
(流動開始点)より高いか低いかで変化する。記録層3
の温度が、記録層3に含まれる熱可塑性樹脂のフロー軟
化点より低いときには、記録層3は、凝集力が高く、高
分子層2から受像体12に良好に転写される。一方、記
録層3の温度が、記録層3に含まれる熱可塑性樹脂のフ
ロー軟化点より高いときには、記録層3が凝集破壊を起
し、記録層3の全部が受像体12に転写されない場合が
ある。これは、記録層3に含まれる熱可塑性樹脂が、フ
ロー軟化点より高い温度まで加熱されると、流動可能な
程度まで粘度が低くなり、高分子層2と受像体12の両
方から受ける力で、記録層3自身が分断されるためであ
る。
【0053】このため、図1に示した構成では、加熱ロ
ーラ13の温度が変動して高くなり、中間転写体4から
受像体12が剥離されるときの記録層3の温度が、記録
層3に含まれる熱可塑性樹脂のフロー軟化点より高くな
ると、良好な転写ができない場合がある。
【0054】そこで、図4に示した構成のように、受像
体剥離ローラ22を設けることにより、受像体12は、
加熱ローラ13から離れた位置で中間転写体4から分離
されるため、中間転写体4から受像体12が剥離される
ときの記録層3の温度を、加熱ローラ13の温度に関係
なく、記録層3に含まれる熱可塑性樹脂のフロー軟化点
より低くすることができる。従って、記録層3が凝集破
壊を起すことがなく、記録層3及び一次記録像15は受
像体12の表面により良好に転写できる。
【0055】以上のように、本発明の実施例によれば、
基体上に、ゴム弾性と粘着性とを有する高分子層と、染
着性を有する記録層とを順次積層した中間転写体を用い
て、インクシートのインク材料層を記録層に重ね、イン
ク材料層から記録層に染料を熱転写し、インクシートを
剥離した後に、記録層に受像体を重ね、受像体に記録層
を接着し、受像体を剥離して記録することにより、記録
層が転写性を生じるような、すべての受像体に、記録像
を記録できる。記録画質に関しては、従来は表面が粗い
ために均一な記録がおこなえなかった受像体にも、高画
質の記録ができる。そして、表面に凹凸を有する受像体
を用いても、記録層の上から鉛筆などで文字を書くこと
ができ、定着性も良好な記録像を得ることができる。
【0056】なお、熱転写記録を行なう方法は、本実施
例のようなサ−マルヘッド9を用いた方法に限定され
ず、サーマルヘッド以外に、通電ヘッドや光ヘッドなど
を使用した熱転写記録方法を用いてもよい。
【0057】転写方法としては、加熱ローラ13を用い
ているが、それ以外で、熱と圧力を与えるものでもよ
い。加熱ローラ13は内部あるいは外周部に発熱部を有
するローラであり、その発熱部に通電する量を制御し、
その表面からの熱伝導によって中間転写体側へ伝える熱
量を制御することができる。発熱部として、輻射熱の大
きいハロゲンランプなどの光源を用いることも出来る。
加熱ロ−ラ13の材質は、例えば、ゴム(ゴム被覆)ロ
ーラ、プラスチックローラ、金属ローラなどが有用であ
る。また、サ−マルヘッドや通電ヘッドのような熱記録
ヘッドを使用することにより記録層の必要な部分のみ
(例えば、記録層の一次記録像の部分のみ)を受像体上
に転写させることも出来る。
【0058】Aローラ14は、必要に応じて、加熱ロー
ラ13と同様にして加熱を行なう構成にしてもよい。ま
た、Aローラ14を加熱する場合には、加熱ローラ13
は加熱を行なわない構成にしてもよい。すなわち、2本
のローラのうち、両方のローラを、または、いずれか一
方のローラを加熱するような構成が可能である。
【0059】Aローラ14の材質は、加熱ローラ13と
同様に、例えば、ゴム(ゴム被覆)ローラ、プラスチッ
クローラ、金属ローラなどが有用である。
【0060】図1では省略されているが、中間転写体4
は、巻出しローラと巻取りローラに巻回されたカセット
として構成することもできる。インクシート7も同様で
ある。
【0061】インクシート剥離ローラ21は、特に実施
例のようなローラの形状をしている必要はなく、インク
シートを剥離できる構造であればどのようなものでもよ
い。例えば、ローラの代わりに、定着器などに用いられ
ているような剥離爪を用いてもよく、また、薄い板状の
ものの端部を用いてもよい。受像体剥離ローラ22につ
いても同様で、特に実施例のようなローラの形状をして
いる必要はなく、受像体を剥離できる構造であればどの
ようなものでもよい。
【0062】インクシート6のB基体5は、その少なく
とも片面に滑性層あるいは、滑性耐熱層を有する場合
は、記録ヘッドとの走行安定性が良好であるため特に望
ましい。また、B基体5には、各種高分子フィルムを用
いることができ、特に、インク材料層6と接する面に、
インク材料層6の特性により接着層(アンカーコート
層)を設けた高分子フィルムを使用することが望まし
い。
【0063】B基体5としては、各種高分子フィルム、
あるいは塗工などにより表面処理された各種高分子フィ
ルムが使用できる。各種高分子フィルムとして、例え
ば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリイミド系、ポリエ−テル系、セルロ−ス系、ポ
リパラバン酸系、ポリオキサジアゾ−ル系、ポリスチレ
ン系、フッ素系フィルムなどがある。特に、ポリエチレ
ンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレンナフタレ−
ト、アラミド、トリアセチルセルロ−ス、ポリプロピレ
ン、セロファンなどの各フィルムが有用である。高分子
フィルムの厚さは、通常3μm〜100μm位が有用で
あり特に3〜30μmが良好である。各種高分子フィル
ムは、片面にフィルムの熱変形などの耐熱性を補強する
ための熱硬化性樹脂などによる耐熱層、あるいは帯電防
止層、あるいは必要ならば各種の塗工層が設けられてい
ても良い。
【0064】インク材料層6は、少なくとも色材とバイ
ンダ材から構成されている。色材としては、熱転写可能
な染料を含むものであれば、特に限定されない。色材と
して分散染料、塩基性染料、カラ−フォ−マ−などが有
用である。バインダ材は、特に限定されず、各種高分子
材料、各種ワックスなどが利用できる。インク材料層6
は、多層構成であっても良い。また、インク材料層6上
に滑性層や各種の塗工層などが設けられていても良い。
また、インク材料層6には、各種シリコーン系材料、各
種フッ素材料などの各種添加剤が添加されていても良
い。
【0065】記録層3は、少なくとも高分子材料から形
成されている。インク材料層6は色材として染料を含む
ので、記録層3には染着性が必要なため、分散染料など
に染着しやすい高分子材料が適しており、例えば、ポリ
エステル、ポリアセタ−ル系樹脂、アクリル系樹脂、ウ
レタン系樹脂、ナイロン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポ
リビニルブチラールなどが有用である。染料の染着性、
紙への接着性を満たすものとして、ポリエステル、ポリ
ビニルブチラールがある。
【0066】記録層3は、受像体12上に転写されたと
きに受像体12との接着性が要求されるため、加熱ロー
ラ13からの加熱により比較的容易に軟化するように、
記録層3のフロー軟化点が50℃から200℃の範囲に
あることが望ましい。一般に、記録層3のフロー軟化点
(流動開始点)は、フローテスタによって測定される。
記録層3を構成する材料としては、前記の高分子材料以
外に、例えばワックス類、樹脂類などのホットメルト材
料を、必要に応じて単独または複数種を混合して用いる
こともできる。記録層3を、前記したような高分子材料
の中のある種の材料単独で構成した場合は、フロー軟化
点はその材料の特性を示す値となる。一方、記録層3
を、複数種の材料を混合して形成した場合は、フロー軟
化点は記録層3の流動性を示す値であり、混合されてい
る材料の特性を示す値となる。こうしたことは、記録層
3のガラス転移点については異なることとなる。記録層
3のガラス転移点は、通常は示差走査熱量計などによっ
て測定される。記録層3を、前記したような高分子材料
の中のある種の材料単独で構成した場合は、フロー軟化
点と同様に、ガラス転移点もその材料の特性を示す値と
なる。一方、記録層3を、複数種の材料を混合して形成
した場合は、通常は記録層3を構成する各材料のガラス
転移点が観測され、混合されている材料の特性を示す値
は得られない。この場合には、複数のガラス転移点の中
でも最も温度の低いガラス転移点を、記録層3のガラス
転移点の代表値として用いればよい。
【0067】本発明の熱転写記録方法では、記録層3が
受像体上に転写されて画像が形成されるため、記録層3
は光透過性が必要であり、無色透明な高分子材料が望ま
しい。
【0068】記録層3には、インク材料層6との熱融着
を防止するために、各種シリコ−ン系、フッ素系材料、
脂肪酸系などの各種化合物、各種界面活性剤、各種粒子
などが添加剤として含まれていても良い。
【0069】受像体は12、上質紙、普通紙(コピー用
など)、ボンド紙などの非塗工紙、塗工紙、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、アルミ箔などのフィルム類、PP、P
ET、ポリ塩化ビニルなどを主成分とした合成紙、連続
受像体あるいはカット受像体など、特にその材質、紙
質、形態などに限定されないで使用できる。
【0070】また、実施例において、中間転写体4上の
記録層3は、予め高分子層2上に塗布して供給し、転写
の終了した後に、基体1と高分子層2とを廃棄する構成
としたが、高分子層を設けた基体が無端状に周回されて
おり、転写の終了した基体上の高分子層に、記録層供給
手段により、記録層を繰り返し供給する構成でもよい。
【0071】また、実施例では、A基体1上に高分子層
2と記録層3とを連続して設けた構成の中間転写体4を
用いたが、中間転写体の構成はこれに限るわけではな
い。図5のように、A基体1上の記録に必要な部分にだ
け高分子層2と記録層3とを設けたような構成の中間転
写体を用いることもできる。また、A基体1上に高分子
層2を連続して形成し、高分子層2上の記録に必要な部
分にだけ記録層3を設けたような構成の中間転写体4を
用いることもできる。このような中間転写体4では、記
録層3を設けていない部分の高分子層2が表面に現れて
いるため、粘着性を有する高分子層2が装置の中で機構
部品に粘着し、中間転写体4が良好に走行しない場合が
ある。こうした場合には、図6のように、A基体1上に
高分子層2を連続して形成し、高分子層2上の記録に必
要な部分にだけ記録層3を設け、記録層3を設けていな
い部分の高分子層2上に保護層19を設けたような構成
の中間転写体4を用いるとよい。
【0072】また、中間転写体の構成として、図7のよ
うに、A基体1上に高分子層2と記録層3とを連続して
形成し、記録に必要のない部分の記録層3の上に、転写
防止層20を設けた構成でもよい。図7のように、記録
に必要のない部分の記録層3の上に転写防止層20を設
けることにより、記録層3を受像体12に転写する際
に、記録に必要のない部分の記録層3は、転写防止層2
0があるために、受像体12に転写せず、必要な部分の
記録層3だけを受像体12に転写することができる。ま
た、中間転写体を作成する場合にも、図5の構成の中間
転写体を作成するときのように高分子層2と記録層3の
パターンの位置合わせが必要でなくなり、中間転写体が
容易に作成できる。さらに、転写防止層20を光透過性
のない材料を用いて形成することにより、透過型あるい
は反射型の光センサーにより記録開始位置を見つける手
段とすることができる。
【0073】そして、実施例における中間転写体4の、
基体と高分子層の構成としては、本実施例のように、プ
ラスチック材料などからなるシート状基体に高分子層を
設けた構成や、金属、プラスチック材料などからなるド
ラム状基体に高分子層を設けた構成でもよい。ドラム状
基体の場合は、転写の終了したドラム状基体に、記録層
を供給して、記録層を繰り返し供給する構成となる。ド
ラム状基体は、その内部に発熱部を設けることにより、
図1のプラテン8、加熱ローラ13を兼ねることとな
り、記録層を受像体に転写する転写手段は、この発熱部
とAローラ14で構成されることとなる。
【0074】また、シート状基体に高分子層を設ける代
わりに、ゴム弾性と粘着性とを有するシート状の耐熱基
体を用いることにより、基体と高分子層の両方の機能を
兼ねることができ、高分子層を設ける必要がなくなる。
ゴム弾性と粘着性とを有するシート状の耐熱基体として
は、例えば、フッ素系、シリコーン系フィルムなどに粘
着材を添加したものを用いることができる。特に、シリ
コーンゴム、フロロシリコーンゴムなどにシリコーン粘
着材を添加したシートが有用である。ゴム弾性と粘着性
とを有するシート状の耐熱基体を用いたときに、長さ方
向の伸縮が無視できない場合には、本実施例のように、
基体上に高分子層を設けた構成とするのがよい。
【0075】高分子層2のゴム弾性としては、弾性が大
きく、圧力と熱を与えても弾性が大きく変化しないもの
が望ましい。特に、耐熱性が高いという長所を有するシ
リコーン材料が有用であり、エラストマー状、ゲル状、
フレキシブルレジン状のシリコーン材料を用いることが
できる。特に、エラストマー状のシリコーンゴムを用い
ることにより、耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れた、良
好なゴム弾性が得られる。このようなシリコーンゴムと
しては、末端に数個のアルコキシル基などを有するオル
ガノポリシロキサンが空気中の水分で脱アルコール縮合
によりゴム弾性体となるもの、末端に数個のアセトキシ
ル基をなどを有するオルガノポリシロキサンが空気中の
水分で脱酢酸縮合によりゴム弾性体となるものなどのよ
うに、縮合反応で硬化するものもあるが、その他に、オ
ルガノポリシロキサンを構成するケイ素原子に結合した
ビニル基のような脂肪族不飽和基と、別のオルガノハイ
ドロジェンポリシロキサンとが、白金族化合物触媒など
の貴金属系触媒により付加反応で硬化するものがある。
後者は低温、短時間で硬化するために生産性が良く、硬
化時に副生成物が発生することもなく、シリコーンゴム
として優れたものである。こうしたシリコーン材料を用
い、受像体12の表面の凹凸に倣って定着することが可
能な柔らかい高分子層2を設けることによって、記録層
3が受像体12の凹部に充填され、接着力が増す結果と
して、定着性を向上させることができる。高分子層2の
ゴム弾性としては、ゴム硬度が10゜から70゜とする
ことにより、良好な定着性が得られ、特に10゜から2
5゜のゴム硬度であれば、受像体12の表面の凹凸が大
きい場合にも優れた定着性が得られる。高分子層として
シリコーン材料を用いるときには、ゴム硬度が低く、容
易に硬化する剥離紙用シリコーンが適している。
【0076】高分子層2として、または高分子層2に粘
着性を付与するために、粘着材を用いるときには、ゴム
系、アクリル系、シリコーン系などの粘着材が有用であ
る。ゴム系粘着材としては、天然ゴム、合成ゴム、スチ
レン−ブタジエンゴム、熱可塑性ゴム、ブチルゴムなど
をゴム成分とし、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂
などを粘着付与樹脂として添加したものを用いることが
できる。また、アクリル系粘着材としては、2−エチル
ヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを
主成分とし、これにメチルアクリレート、エチルアクリ
レート、メチルメタクリレート、酢酸ビニルなどや、ア
クリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、ヒド
ロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートな
どを共重合したものを用いることができる。シリコーン
粘着材は、凝集力が高く、粘着特性が優れている。凝集
力の高いシリコーン粘着材を用いることにより、記録時
あるいは保存時に、高分子層2の上に形成された記録層
3がずれることもなく、安定に高分子層2によって保持
できる。シリコーン粘着材は、膜形成物質であるシリコ
ーン生ゴム、粘着性物質であるシリコーン樹脂、充填
剤、可塑剤、添加剤などからなり、耐熱性が高く、粘着
特性が優れているため、粘着性を有するシリコーン材料
として用いるのに適している。シリコーン生ゴムとして
は、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチ
ルビニルシロキサン、フェニルメチルシロキサン、また
はこれらのハロゲン化されたものなどの単量体単位を含
有する高重合度オルガノポリシロキサンや、これらの高
重合度オルガノポリシロキサンの末端にヒドロキシル基
などの官能基を有するものが用いられる。また、シリコ
ーン樹脂としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
ビニル基、フェニル基、またはこれらのハロゲン化され
たものを有するジオルガノポリシロキサンや、これらの
ジオルガノポリシロキサンの末端にヒドロキシル基、ト
リメチルシロキシル基を有するものが用いられる。こう
したシリコーン粘着材組成物の中でも、オルガノポリシ
ロキサンを構成するケイ素原子に結合したビニル基のよ
うな脂肪族不飽和基と、別のオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンとが、白金族化合物触媒などの貴金属系触
媒により付加反応で硬化するものは、低温、短時間で硬
化するために生産性が良く、硬化時に副生成物が発生す
ることもなく、シリコーン粘着材として優れたものであ
る。こうしたシリコーン粘着材は、シリコーン生ゴムと
シリコーン樹脂との比率を変えることにより、また、添
加剤の種類、量を変えることにより、粘着強さ、凝集
力、粘着性などの諸特性をいろいろと変えることがで
き、シリコーン粘着材を用いることで、粘着性と同時に
ゴム弾性も得ることができる。この場合は、高分子層2
をシリコーン粘着材だけで構成することができる。
【0077】高分子層2に対して、機械的強度を高くす
るため、耐熱性を高くするため、または表面特性を制御
するために添加剤を添加することも有効である。添加剤
としては、シリカ、アルミナ、ベンガラ、酸化チタンな
どの無機の微粒子などや、シリコーンオイルなどの比較
的低分子量の有機材料などを用いることができる。
【0078】高分子層2の厚さは、受像体12の表面の
凹凸に倣って十分に変形できることが必要なため、でき
るだけ厚い方が望ましい。ボンド紙のような比較的表面
の荒い紙では、凹部の深さが10μm程度であり、最も
深い凹部で25μm程度であることから、高分子層2の
厚さとしては、10μm以上あれば受像体12の表面の
凹凸が大きくても転写が可能であり、さらに25μm以
上あれば良好な定着性が得られる。一方、普通紙の場合
は、表面の凹部の深さがボンド紙と比べて浅いため、高
分子層2の厚さは、10μm程度でも十分な定着性が得
られる。
【0079】実施例において、記録層3を受像体12に
転写する際に、加熱ローラ13によってA基体1側から
熱を加えているが、記録層3として、室温で受像体12
に接着するような材料を用いれば、記録層3は圧力だけ
で受像体12に転写するため、加熱する必要がなくな
る。この場合、加熱ローラ13のヒーターで消費される
電力が節約でき、装置全体での消費電力が低減できる。
【0080】以上、本発明の熱転写記録方法では、受像
体として普通紙、OHP用の透明フィルム、表面粗さの
大きいボンド紙、塗工紙、塗工フィルムなどいずれの形
態の記録用紙を使用しても均一な画像が得られる。特
に、従来昇華型記録の特徴である高画質記録は、普通紙
においてほぼ不可能であったが、本発明の方法により実
現される。
【0081】以下、具体的実施例を示す。 (実施例1)中間転写体を作成するために、まず、厚さ
約25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルム上に、ポリビニルブチラール(BL−S、積水化
学工業株式会社)を含む塗料をワイヤーバーで塗工乾燥
して厚さ約3μmの記録層を形成した。この記録層を、
PETフィルムから剥し、市販の幅12mmのメンディ
ングテープ(MD−12C、ニチバン株式会社)の粘着
面上に貼り付けて中間転写体として用いた。この場合、
高分子層は、メンディングテープの粘着面に塗工されて
いるアクリル系粘着材であり、この粘着材は、柔軟で粘
着性を有していた。
【0082】インクシートとして、市販のビデオプリン
タ(NV−MP1、松下電器産業株式会社)用のインク
シートを用い、インクシートのシアンの色材層が記録層
に接するようにして、中間転写体上にインクシートを重
ね合わせ、インクシートの色材層の反対側から約180
℃に加熱した小さなヒーターで部分的に熱を与えた。そ
して、カラーシートを中間転写体から剥離したところ、
ヒーターで熱を与えた部分の記録層には、シアンの染料
が移行していた。
【0083】この中間転写体の記録層上に、受像体とし
てベック平滑度35秒のコピー用紙を重ね合わせ、複写
機用の市販のフューザに通して加熱した。中間転写体と
コピー用紙とをヒューザから取り出して室温まで冷却
し、中間転写体からコピー用紙を剥離したところ、コピ
ー用紙上に記録層が転写されていた。
【0084】以上のようにして、市販のメンディングテ
ープのアクリル系粘着材を高分子層とし、このゴム弾性
と粘着性とを有する高分子層上にポリビニルブチラール
からなる記録層を設けた中間転写体を用いて、コピー用
紙に画像を得るための原理を確認することができた。
【0085】(実施例2)中間転写体を作成するため
に、まず、厚さ約25μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)のフィルム上に、ゲル状のシリコーンポッ
ティング材(SE1880、東レ・ダウコーニング・シ
リコーン株式会社)を含む塗料をワイヤーバーで塗工
し、乾燥して厚さ約10μmの高分子層を形成した。こ
の高分子層は、非常に柔軟で、高分子層の表面には粘着
性があった。この高分子層の上に、ポリビニルブチラー
ル(BL−S、積水化学工業株式会社)を含む塗料をワ
イヤ−バ−で塗工乾燥して厚さ約3μmの記録層を形成
し、中間転写体として用いた。
【0086】実施例1で用いたのと同様のインクシート
を用い、実施例1と同様にして、インクシートと中間転
写体とを重ね合わせ、インクシートの色材層の反対側か
ら部分的に熱を与えたところ、熱を与えた部分の記録層
には染料が移行していた。
【0087】この中間転写体の記録層上に、受像体とし
てベック平滑度35秒のコピー用紙を重ね合わせ、実施
例1と同様にして、複写機用の市販のフューザに通した
ところ、コピー用紙上に記録層が転写されていた。実施
例1と比較すると、中間転写体からコピー用紙を剥離す
るのが容易であった。
【0088】(実施例3)中間転写体を作成するため
に、まず、厚さ約25μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)のフィルム上に、剥離紙用シリコーン(S
D7328、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会
社)、またはシリコーン粘着材(SD4570、東レ・
ダウコーニング・シリコーン株式会社)を含む塗料をワ
イヤーバーで塗工し、130℃で3分間乾燥して厚さ約
25μmの高分子層を形成した。この高分子層の組成
を、下記の(表1)に示す。高分子層の組成としては、
剥離紙用シリコーンのみで構成されるものから、シリコ
ーン粘着材のみで構成されるものまでの5種類のものを
作成した。得られた高分子層は非常に柔軟であり、良好
なゴム弾性を有していた。また、高分子層が剥離紙用シ
リコーンのみで構成されるものを除く他のものについて
は、シリコーン粘着材の含有率が多くなるとともに、高
分子層の表面の粘着性が強くなった。しかしながら、高
分子層が剥離紙用シリコーンのみで構成されているもの
については、高分子層の表面には粘着性がほとんどなか
った。
【0089】この高分子層の上に、ポリビニルブチラー
ル(BL−S、積水化学工業株式会社)を含む塗料をワ
イヤ−バ−で塗工乾燥して厚さ約3μmの記録層を形成
し、中間転写体として用いた。
【0090】
【表1】
【0091】インクシートは、下面に滑性耐熱層を有す
る厚さ約4μmのPETフィルム上に、アゾ系分散染
料、飽和ポリエステル樹脂、シリコーン系離型剤を含む
塗料をワイヤ−バ−で塗工乾燥して厚さ約1μmのイン
ク材料層を形成することにより作成した。
【0092】次に、上記の(表1)の組成の高分子層を
有する5種類の中間転写体それぞれについて、インク材
料層面に記録層面が向き合うように重ねられたインクシ
ートと中間転写体とを、約50Nの押圧がかけられたサ
−マルヘッドとプラテン間に挟み込み、下記の記録条件
にて記録した。記録速度:8ms/line、最大記録
パルス幅:4ms、最大記録エネルギ−:7J/c
2
【0093】記録後、中間転写体とカラーシートとを室
温まで冷却した後に、中間転写体からインクシートを離
すと、高分子層が剥離紙用シリコーンのみで構成されて
いる中間転写体を除く他の中間転写体については、記録
層に階調パタ−ンが明瞭に記録されていた。特に、ハイ
ライト部でのドット再現性が優れており、サーマルヘッ
ドと、インクシートと、中間転写体上の記録層との接触
が良好であることがわかった。また、記録層が高分子層
から剥離することもなく、安定に記録を行なうことがで
きた。しかしながら、高分子層が剥離紙用シリコーンの
みで構成されている中間転写体については、ハイライト
部では良好に記録が行えたが、高濃度部では記録層が高
分子層から剥離し、高分子層が記録層を十分に保持して
いないことがわかった。
【0094】次に、記録後のこれらの5種類の中間転写
体それぞれについて、階調パターンが記録された記録層
上に、受像体としてベック平滑度35秒のコピー用紙を
重ね、中間転写体とコピー用紙とを表面ゴム被覆金属ロ
ーラと金属ローラの間に通した。そして、中間転写体と
コピー用紙とを取り出して室温まで冷却した後、中間転
写体からコピー用紙を剥離して、記録層をコピー用紙上
に転写させた。表面ゴム被覆金属ローラは、直径は約3
0mmで、温度は約100℃であった。また、表面ゴム
被覆金属ローラと金属ローラとの間には、約400Nの
荷重を加えていた。
【0095】記録層をコピー用紙上に転写する際には、
5種類の中間転写体のいずれについても、中間転写体か
らコピー用紙を剥離することができ、また、低記録濃度
から高記録濃度まで均一な形状のドットを有し、高画質
な画像であった。また、記録層の光沢は紙の表面と変わ
らず、画質的な違和感がほとんどないものであった。そ
して、記録層表面は筆記性を有し、定着性も良好であっ
た。一方、高分子層のシリコーン粘着材の含有率が多く
なるとともに、中間転写体からコピー用紙を剥離するの
に必要な力は大きくなった。
【0096】(実施例4)中間転写体を作成するため
に、まず、厚さ約25μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)のフィルム上に、剥離紙用シリコーン(S
D7328、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会
社)と、シリコーン粘着材(SD4570、東レ・ダウ
コーニング・シリコーン株式会社)とを、固形分比1/
1で含む塗料をワイヤーバーで塗工し、130℃で3分
間乾燥して厚さ約70μmの高分子層を形成した。この
高分子層は非常に柔軟であり、良好なゴム弾性を有して
いた。また、高分子層の表面には十分な粘着性があり、
金属や樹脂フィルムなどの様々なものに良好に粘着し
た。この高分子層の上に、ポリビニルブチラール(BL
−S、積水化学工業株式会社)を含む塗料をワイヤ−バ
−で塗工乾燥して厚さ約3μmの記録層を形成し、中間
転写体として用いた。
【0097】次に、実施例3と同様にしてPETフィル
ム上にインク材料層を形成して作成したインクシートを
用い、実施例3と同様にして中間転写体上の記録層にサ
ーマルヘッドで記録を行なった。
【0098】記録後、中間転写体とカラーシートとを室
温まで冷却した後に、中間転写体からインクシートを離
すと、記録層に階調パタ−ンが明瞭に記録されていた。
特に、ハイライト部でのドット再現性が優れており、サ
ーマルヘッドと、インクシートと、中間転写体上の記録
層との接触が良好であることがわかった。また、記録層
が高分子層から剥離することもなく、安定に記録を行な
うことができた。
【0099】同様にして、記録層に階調パターンを記録
した中間転写体を、合計3枚作成した。
【0100】受像体としては、ベック平滑度7秒のボン
ド紙、ベック平滑度35秒のコピー用紙、厚さ100μ
mのPETフィルムの3種類を用い、実施例3と同様に
して、各々の受像体に対して、記録層をコピー用紙上に
転写させた。
【0101】受像体上に得られた転写画像はいずれも高
画質であり、また、定着性も良好であった。一方、記録
層の光沢は、ボンド紙、コピー用紙、PETフィルムの
順で高くなってゆき、受像体の表面状態をよく反映して
いた。コピー用紙上の記録層について、実施例3で得ら
れたコピー用紙上の記録層と比較すると、紙の表面状態
をより忠実に再現しており、画質的な違和感が更に少な
くなった。また、ボンド紙とコピー用紙の記録層表面
は、十分な筆記性を有していた。
【0102】(実施例5)実施例4と同様にして、PE
Tフィルム上に、剥離紙用シリコーンとシリコーン粘着
材とを含む高分子層と、記録層とを形成し、中間転写体
として用いた。中間転写体は合計2枚作成した。
【0103】次に、実施例3と同様にして、PETフィ
ルム上にインク材料層を形成し、インクシートとして用
いた。
【0104】次に、インク材料層面に記録層面が向き合
うようにして、インクシートと中間転写体とを重ね、約
50Nの押圧がかけられたサ−マルヘッドとプラテン間
に挟み込み、下記の記録条件にて記録した。記録速度:
8ms/line、最大記録パルス幅:4ms、最大記
録エネルギ−:7J/cm2
【0105】まず、中間転写体の1枚については、記録
層の温度が、記録層に用いたポリビニルブチラールのガ
ラス転移点である54℃よりも低い温度の約40℃にな
るようにして、中間転写体からインクシートを離したと
ころ、記録層に階調パタ−ンが明瞭に記録されていた。
ハイライト部でのドット再現性は、実施例4と同様に優
れており、また、記録層が高分子層から剥離することも
なく、安定に記録を行なうことができた。なお、室温は
約28℃であった。
【0106】一方、中間転写体のもう1枚については、
記録層の温度が、記録層に用いたポリビニルブチラール
のガラス転移点である54℃よりも高い温度の約70℃
になるようにして、中間転写体からインクシートを離し
たところ、軟化した記録層がインクシートとの融着によ
り変形して高分子層から浮き上がったり、記録層が高分
子層から剥離してインクシートに接着してしまった。
【0107】(実施例6)実施例4と同様にして、PE
Tフィルム上に、剥離紙用シリコーンとシリコーン粘着
材とを含む高分子層と、記録層とを形成し、中間転写体
として用いた。
【0108】次に、実施例3と同様にしてPETフィル
ム上にインク材料層を形成して作成したインクシートを
用い、実施例3と同様にして中間転写体上の記録層にサ
ーマルヘッドで記録を行なった。
【0109】記録後、中間転写体とカラーシートとを室
温まで冷却した後に、中間転写体からインクシートを離
すと、実施例4と同様に、記録層に階調パタ−ンが明瞭
に記録されていた。同様にして、記録層に階調パターン
を記録した中間転写体を、合計2枚作成した。
【0110】次に、この階調パターンが記録された記録
層上に、ベック平滑度35秒のコピー用紙を重ね、中間
転写体とコピー用紙とを表面ゴム被覆金属ローラと金属
ローラの間に通し、記録層をコピー用紙上に転写させ
た。表面ゴム被覆金属ローラは、直径は約30mmであ
った。また、表面ゴム被覆金属ローラと金属ローラとの
間には、約400Nの荷重を加えていた。
【0111】まず、中間転写体の1枚については、記録
層の温度が記録層に用いたポリビニルブチラールのフロ
ー軟化点である110℃よりも低い温度の約90℃にし
て、コピー用紙から中間転写体を剥離したところ、記録
層はコピー用紙上に良好に転写した。得られたコピー用
紙上の転写画像は、実施例4と同様に、低記録濃度から
高記録濃度まで均一な形状のドットを有し、高画質な画
像であった。また、記録層の光沢は紙の表面と変わら
ず、画質的な違和感のないものであった。そして、記録
層表面は筆記性を有し、定着性も良好であった。
【0112】一方、中間転写体のもう1枚については、
記録層の温度が、記録層に用いたポリビニルブチラール
のフロー軟化点である110℃よりも高い温度の約16
0℃にして、コピー用紙から中間転写体を剥離してたと
ころ、流動可能なほど軟化した記録層が剥離の際に分断
されて高分子層上に部分的に残り、記録層を良好にコピ
ー用紙上に転写できなかった。
【0113】(実施例7)中間転写体を作成するため
に、まず、厚さ約25μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)のフィルム上に、シリコーン生ゴムの含有
量を増加させた、付加反応で硬化するシリコーン粘着材
(SD4567、東レ・ダウコーニング・シリコーン株
式会社)を含む塗料をワイヤーバーで塗工し、130℃
で3分間乾燥して厚さ約70μmの高分子層を形成し
た。この高分子層は非常に柔軟であり、良好なゴム弾性
を有していた。また、高分子層の表面には、実施例4で
作成した高分子層と同程度の粘着性があり、金属や樹脂
フィルムなどの様々なものに良好に粘着した。一方、実
施例4と比較して、高分子層を構成する材料が少なくな
り、高分子層の作成がより容易になった。
【0114】この高分子層の上に、ポリビニルブチラー
ル(BL−S、積水化学工業株式会社)を含む塗料をワ
イヤ−バ−で塗工乾燥して厚さ約3μmの記録層を形成
し、中間転写体として用いた。
【0115】次に、実施例3と同様にしてPETフィル
ム上にインク材料層を形成して作成したインクシートを
用い、実施例3と同様にして中間転写体上の記録層にサ
ーマルヘッドで記録を行なった。
【0116】記録後、中間転写体とカラーシートとを室
温まで冷却した後に、中間転写体からインクシートを離
すと、記録層に階調パタ−ンが明瞭に記録されていた。
ハイライト部でのドット再現性は、実施例4と同様に優
れており、記録層が高分子層から剥離することもなく、
安定に記録を行なうことができた。
【0117】次に、記録後の中間転写体について、階調
パターンが記録された記録層上に、受像体としてベック
平滑度35秒のコピー用紙を重ね、中間転写体とコピー
用紙とを表面ゴム被覆金属ローラと金属ローラの間に通
した。そして、中間転写体とコピー用紙とを取り出して
室温まで冷却した後、中間転写体からコピー用紙を剥離
して、記録層をコピー用紙上に転写させた。表面ゴム被
覆金属ローラは、直径は約30mmで、温度は約100
℃であった。また、表面ゴム被覆金属ローラと金属ロー
ラとの間には、約400Nの荷重を加えていた。
【0118】以上のようにして得られたコピー用紙上の
転写画像は、実施例4と同様に、低記録濃度から高記録
濃度まで均一な形状のドットを有し、高画質な画像であ
った。また、記録層の光沢は紙の表面と変わらず、画質
的な違和感のないものであった。そして、記録層表面は
筆記性を有し、定着性も良好であった。
【0119】(実施例8)中間転写体を作成するため
に、まず、実施例7と同様にしてPETフィルム上にシ
リコーン粘着材を含む高分子層と、記録層とを形成し
た。そして、記録層の記録に必要のない部分の上に、ポ
リエステル粘着テープ(日東電工株式会社)を、ポリエ
ステル粘着テープの粘着面が記録層に接するようにして
張りつけ、中間転写体として用いた。このポリエステル
粘着テープは、記録層に対する転写防止層であり、ポリ
エステル粘着テープを張りつけた部分、すなわち記録に
必要のない部分の記録層が、転写の際に、受像体に転写
しないようにするためのものである。ポリエステル粘着
テープを張りつけていない部分、すなわち記録を行なう
部分の記録層の面積は、A4サイズの半分程度であっ
た。
【0120】次に、実施例3と同様にしてPETフィル
ム上にインク材料層を形成して作成したインクシートを
用い、実施例3と同様にして中間転写体上の記録層にサ
ーマルヘッドで記録を行なった。記録は、ポリエステル
粘着テープを張りつけていない部分のみ行なった。
【0121】記録後、中間転写体とカラーシートとを室
温になるまで冷却した後に、中間転写体からインクシー
トを離すと記録層に階調パタ−ンが明瞭に記録されてい
た。そして、実施例7と同様に、ハイライト部でのドッ
ト再現性が優れており、サーマルヘッドと、インクシー
トと、中間転写体上の記録層との接触が良好であること
がわかった。また、記録層が高分子層から剥離すること
もなく、安定に記録を行なうことができた。
【0122】次に、この階調パターンが記録された記録
層上に、ベック平滑度35秒のコピー用紙でA4サイズ
のものを重ね、中間転写体とコピー用紙とを表面ゴム被
覆金属ローラと金属ローラの間に通し、記録層をコピー
用紙上に転写させた。表面ゴム被覆金属ローラは、直径
は約30mmで、温度は約100℃であった。また、表
面ゴム被覆金属ローラと金属ローラとの間には、約40
0Nの荷重を加えていた。
【0123】この時、ポリエステル粘着テープを転写防
止層として設けた部分の記録層は、ポリエステル粘着テ
ープがあるために記録層がコピー用紙に接触せず、記録
層は中間転写体上に残っていた。一方、記録を行なった
部分の記録層は、コピー用紙上に転写されていた。
【0124】以上のようにして得られたコピー用紙上の
転写画像は、実施例7と同様に、低記録濃度から高記録
濃度まで均一な形状のドットを有し、高画質な画像であ
った。また、記録層の光沢は紙の表面と変わらず、画質
的な違和感のないものであった。そして、記録層表面は
筆記性を有し、定着性も良好であった。また、コピー用
紙に転写された記録層のエッジの部分、すなわちポリエ
ステル粘着テープがあるためにコピー用紙上に転写しな
かった部分の記録層から切れた部分も、直線的に鋭く切
断されており良好であった。
【0125】
【発明の効果】以上のように本発明は、中間転写体が、
少なくとも、基体上に、ゴム弾性と粘着性とを有する高
分子層と、染着性を有する記録層とを順次積層した構成
を有し、この中間転写体を用いて、インクシートのイン
ク材料層を記録層に重ね、インク材料層から記録層に染
料を熱転写し、インクシートを剥離した後に、記録層に
受像体を重ね、受像体に記録層を転写し、受像体を剥離
して記録層を受像体に転写することにより記録する熱転
写記録方法である。
【0126】本発明により、染料の熱による転写記録に
おいて、染着性を有する記録層に画像が形成され、この
記録層が受像体上にさらに転写されるため、従来は表面
が粗いために均一な記録がおこなえなかった受像体に
も、高画質の記録ができる。また、記録層が転写性を生
じるような、すべての受像体に、記録像を転写できる。
更に、受像体としては特に塗工紙のような染着性を有す
る特殊紙を必要とせず、普通紙を初めとしてどのような
記録紙にも原理的に記録できる。従って、受像体の種類
(表面材料、表面状態)によらずに、染料を色材とした
良好な画質の記録像を得ることが可能となる。
【0127】そして、ゴム弾性と粘着性とを有する高分
子材料が、ゴム弾性を有する高分子材料と、粘着性を有
する高分子材料とで構成されていることにより、ゴム弾
性と粘着性とを分離してそれぞれ最適な条件に設定する
ことができる。従って、粘着性を損なうことなく、受像
体の表面の凹凸に良好に倣うような高分子層を形成する
ことができ、様々な受像体に記録することが可能とな
る。
【0128】また、ゴム弾性を有する高分子材料が、ゴ
ム弾性を有するシリコーン材料を含むことにより、優れ
たゴム弾性が得られ、熱的な劣化も少ない中間転写体が
得られる。
【0129】また、粘着性を有する高分子材料が、粘着
性を有するシリコーン材料を含むことにより、優れた粘
着性が得られ、熱的な劣化も少ない中間転写体が得られ
る。
【0130】さらに、粘着性を有するシリコーン材料
が、シリコーン生ゴムと、シリコーン樹脂とを含むシリ
コーン粘着材であることにより、粘着特性を制御するこ
とが可能となり、十分な凝集力と優れた粘着性を得るこ
とができる。
【0131】さらに、記録層の温度が、記録層に含まれ
る熱可塑性樹脂のガラス転移点より低い温度となるよう
にして、記録層からインクシートを剥離することによ
り、記録層を高分子層上により安定に保持することがで
きる。
【0132】また、記録層の温度が、記録層に含まれる
熱可塑性樹脂のフロー軟化点(流動開始点)より低い温
度となるようにして、受像体を剥離して記録層を受像体
に転写することにより、記録層及び一次記録像は受像体
表面により良好に転写される。
【0133】さらに、記録層の上に、部分的に転写防止
層を設けた構成の中間転写体を用いることにより、受像
体を剥離して記録層を受像体に転写するときに、転写防
止層が設けられている部分の転写防止層の下にある記録
層が、受像体に転写しないようにできる。このため、高
分子層と記録層とを連続して形成した中間転写体におい
て、記録層の必要な部分だけを選択的に受像体に転写で
きる。また、中間転写体を作成するときのパターンの位
置合わせなどが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における熱転写記録方法の構成
の一例を示す概略図
【図2】同実施例における動作説明のための記録層の定
着状態を示す断面図
【図3】本発明の実施例における熱転写記録方法の構成
の別の一例を示す概略図
【図4】本発明の実施例における熱転写記録方法の構成
の別の一例を示す概略図
【図5】本発明に用いることのできる中間転写体の構成
の一例を示す断面図
【図6】本発明に用いることのできる中間転写体の構成
の別の一例を示す断面図
【図7】本発明に用いることのできる中間転写体の構成
の別の一例を示す断面図
【図8】従来の熱転写記録方法の構成の一例を示す概略
【符号の説明】
1 A基体 2 高分子層 3 記録層 4 中間転写体 5 B基体 6 インク材料層 7 インクシート 8 プラテン 9 サーマルヘッド 10 矢印 11 インクシート巻取りローラ 12 受像体 13 加熱ローラ 14 Aローラ 15 一次記録像 16 転写像 17 記録信号源 18 矢印 19 保護層 20 転写防止層 21 インクシート剥離ローラ 22 受像体剥離ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 章博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 田口 信義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中間転写体が、少なくとも、基体上に、ゴ
    ム弾性と粘着性とを有する高分子層と、染着性を有する
    記録層とを、順次積層した構成を有し、前記中間転写体
    を用いて、インクシートのインク材料層を前記記録層に
    重ね、前記インク材料層から前記記録層に染料を熱転写
    し、前記インクシートを剥離した後に、前記記録層に受
    像体を重ね、前記受像体を剥離して前記記録層を前記受
    像体に転写することを特徴とする熱転写記録方法。
  2. 【請求項2】ゴム弾性と粘着性とを有する高分子材料
    が、ゴム弾性を有する高分子材料と、粘着性を有する高
    分子材料とで構成されていることを特徴とする請求項1
    記載の熱転写記録方法。
  3. 【請求項3】ゴム弾性を有する高分子材料が、ゴム弾性
    を有するシリコーン材料を含むことを特徴とする請求項
    2記載の熱転写記録方法。
  4. 【請求項4】粘着性を有する高分子材料が、粘着性を有
    するシリコーン材料を含むことを特徴とする請求項2記
    載の熱転写記録方法。
  5. 【請求項5】粘着性を有するシリコーン材料が、シリコ
    ーン生ゴムとシリコーン樹脂とを含むシリコーン粘着材
    であることを特徴とする請求項4記載の熱転写記録方
    法。
  6. 【請求項6】記録層の温度が、前記記録層のガラス転移
    点より低い温度になるようにして、前記記録層からイン
    クシートを剥離することを特徴とする請求項1記載の熱
    転写記録方法。
  7. 【請求項7】記録層の温度が、前記記録層のフロー軟化
    点より低い温度になるようにして、受像体を剥離して前
    記記録層を前記受像体に転写することを特徴とする請求
    項1記載の熱転写記録方法。
  8. 【請求項8】記録層の上に、部分的に転写防止層を設
    け、前記記録層の必要な部分だけを受像体に転写するこ
    とを特徴とする請求項1記載の熱転写記録方法。
  9. 【請求項9】中間転写体が、少なくとも、基体上に、ゴ
    ム弾性と粘着性とを有するシリコーン材料から成る高分
    子層と、染着性を有する記録層とを、順次積層した構成
    を有し、前記中間転写体を用いて、 インクシートのイ
    ンク材料層を前記記録層に重ね、前記インク材料層から
    前記記録層に染料を熱転写し、前記インクシートを剥離
    した後に、前記記録層に受像体を重ね、前記受像体を剥
    離して前記記録層を前記受像体に転写する ことを特徴
    とする熱転写記録方法。
  10. 【請求項10】ゴム弾性と粘着性とを有するシリコーン
    材料が、ゴム弾性を有するシリコーン材料と、粘着性を
    有するシリコーン材料とで構成されていることを特徴と
    する請求項9記載の熱転写記録方法。
  11. 【請求項11】粘着性を有するシリコーン材料が、シリ
    コーン生ゴムとシリコーン樹脂とを含むシリコーン粘着
    材であることを特徴とする請求項10記載の熱転写記録
    方法。
  12. 【請求項12】記録層の温度が、前記記録層のガラス転
    移点より低い温度になるようにして、前記記録層からイ
    ンクシートを剥離することを特徴とする請求項9記載の
    熱転写記録方法。
  13. 【請求項13】記録層の温度が、前記記録層のフロー軟
    化点より低い温度になるようにして、受像体を剥離して
    前記記録層を前記受像体に転写することを特徴とする請
    求項9記載の熱転写記録方法。
  14. 【請求項14】記録層の上に、部分的に転写防止層を設
    け、前記記録層の必要な部分だけを受像体に転写するこ
    とを特徴とする請求項9記載の熱転写記録方法。
  15. 【請求項15】中間転写体が、少なくとも、基体上に、
    シリコーン生ゴムとシリコーン樹脂とを含むシリコーン
    粘着材から成る高分子層と、染着性を有する記録層と
    を、順次積層した構成を有し、 前記中間転写体を用い
    て、インクシートのインク材料層を前記記録層に重ね、
    前記インク材料層から前記記録層に染料を熱転写し、前
    記インクシートを剥離した後に、前記記録層に受像体を
    重ね、前記受像体を剥離して前記記録層を前記受像体に
    転写することを特徴とする熱転写記録方法。
  16. 【請求項16】記録層の温度が、前記記録層のガラス転
    移点より低い温度になるようにして、前記記録層からイ
    ンクシートを剥離することを特徴とする請求項15記載
    の熱転写記録方法。
  17. 【請求項17】記録層の温度が、前記記録層のフロー軟
    化点より低い温度になるようにして、受像体を剥離して
    前記記録層を前記受像体に転写することを特徴とする請
    求項15記載の熱転写記録方法。
  18. 【請求項18】記録層の上に、部分的に転写防止層を設
    け、前記記録層の必要な部分だけを受像体に転写するこ
    とを特徴とする請求項15記載の熱転写記録方法。
JP5083063A 1992-04-22 1993-04-09 熱転写記録方法 Pending JPH068491A (ja)

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JP10260792 1992-04-22
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011068111A1 (ja) * 2009-12-03 2011-06-09 東レ株式会社 ドナー基板、パターニング方法およびデバイスの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011068111A1 (ja) * 2009-12-03 2011-06-09 東レ株式会社 ドナー基板、パターニング方法およびデバイスの製造方法
JP5003826B2 (ja) * 2009-12-03 2012-08-15 東レ株式会社 ドナー基板、パターニング方法およびデバイスの製造方法

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