JPH0684572B2 - カバリング用糸条の撚糸巻上げ方法およびその装置 - Google Patents

カバリング用糸条の撚糸巻上げ方法およびその装置

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JPH0684572B2 JP25960589A JP25960589A JPH0684572B2 JP H0684572 B2 JPH0684572 B2 JP H0684572B2 JP 25960589 A JP25960589 A JP 25960589A JP 25960589 A JP25960589 A JP 25960589A JP H0684572 B2 JPH0684572 B2 JP H0684572B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、弾性フィラメント糸にポリアミドフィラメン
ト糸を被覆巻付けするカバリング工程においてカバリン
グ用糸供給用に用いられるカバリング用パッケージを製
造する方法および装置に関するものである。
[従来の技術] 機能的な伸縮性を有する編織物を製造する糸として、弾
性フィラメント糸にポリアミドフィラメント糸を被覆巻
付けしてなるカバリング弾性糸が一般に使われてきてい
る。特に、ポリウレタン弾性糸とポリアミド糸とによる
カバリング弾性糸がストッキング用に多用されてきてい
る。
このカバリング弾性糸の製造工程では、カバリング用糸
は、鍔付きボビンに巻上げられたパッケージとしてカバ
リング工程に供される。このカバリング用パッケージ
は、従来、フリクションドライブによるボビン繰り機と
いう簡易な装置によって、ポリアミドフィラメント糸
を、単に、鍔付きボビンに巻替えすることによって製造
されていた。
この従来法では、第7図(イ)、(ロ)(それぞれ側面
図および正面図)に示すように、糸条(Y)を原糸パッ
ケージ(41)から引出し、ガイド(42)、リング式テン
サー(43)による張力付加、バーガイド(45)、および
トラバース装置(46)によるトラバースを経て、鍔付き
ボビン(10)に巻上げることにより行われる。ここで、
巻上げ装置部分は、駆動軸(47)に固定されて回転する
摩擦駆動ホィール(48)、該駆動ホィールに自重で接触
することにより駆動回転される摩擦ロール(49)、該摩
擦ロールの軸芯(50)(軸受け(図示なし)で支えられ
ている)と同軸に嵌挿され摩擦ロールと一体となって回
転する鍔付きボビン(10)から主として構成されてい
る。鍔付きボビン(10)に巻上げられる糸条(Y)はテ
ンサーにより張力付加されるが、そのテンサーとして
は、図示したようなリング式テンサー(43)(着装され
た複数のリング(44)の自重と糸張力のバランスによる
摩擦接触角の変化で張力付加と張力制御を行うテンサ
ー)、あるいは、セラミックなどによる2組の櫛状の摩
擦抵抗体を嵌合状に組合わせ、スプリングなどでこの噛
合せ力を設定して、この間に糸条を走行させるゲート式
テンサー等が用いられる。
また、カバリング工程の生産性は、主としてカバリング
用ボビンの回転速度に依存するので、この生産性工場の
ためにカバリング速度を速くすることが行われてきてい
る。さらにまた、得られる被覆弾性糸の高性能化のため
に15デニール以下のような極細糸をカバリング用に用い
ることも行われてきている。
[発明が解決しようとする課題] ところが、従来のボビン繰り機により製造されたカバリ
ング用パッケージを用いたのでは、カバリング工程の高
速化やカバリング糸の細繊度化に伴い、カバリング時の
糸切れが増加するという大きな問題が生じていた。特
に、回転速度が30,000rpm以上、40,000rpm程度のように
高速となっていくと、糸切れの頻発によりカバリングを
行うことすら困難であった。
また、従来法によるカバリング用糸条パッケージを用い
たのでは外観均一性の良いカバリング弾性糸が得られ難
いという問題があった。この問題は、通常ナイロン糸と
交編して使うことによりカバリング弾性糸の外観不均一
性を目立ち難くするということで、ある程度カバーでき
るが、カバリング弾性糸のみで編成される編地では、そ
の編成糸の外観不均一性をカバーすることが困難なた
め、製品編地中に緯筋状の不均一斑が発生し易く、特に
製品編地を静置した状態での外観均一性が劣っていた。
このカバリング弾性糸のみで編成される編地の外観均一
性不良の問題は、ハイパワーサポートストッキング類が
近年汎用化されてきつつあるという状況から、改善が強
く要求されてきている。
そこで、本発明は、カバリング工程を高速化したり、カ
バリング糸を細繊度化したりしても、パッケージの外層
から内層のどの層の糸条を供する時でもカバリング工程
での糸切れを小さく抑えることが可能なカバリング用パ
ッケージを製造することを主たる目的とする。
また、カバリング状態の均一性に優れたカバリング弾性
糸を得ることができるカバリング用パッケージを製造す
ることを別の目的とする。
[課題を解決するための手段] これら目的を達成するため、本発明は、ポリアミドフィ
ラメント糸をカバリング用鍔着きボビンに、撚糸数14〜
20t/mでリング撚糸巻上げし、パッケージ表面平均硬度
が93度以上のカバリング用パッケージとするカバリング
用糸条の撚糸巻上げ方法の請求項1の方法発明;さら
に、前記リング撚糸巻上げ部におけるバルーン長差率
(K): K=(L2-L1)/L1 (ただし、L1はバルーンの最短時の長さを、L2はバルー
ンの最長時の長さを表す。) を0.67以下とする請求項2の方法発明;および、定速給
糸されるカバリング用フィラメント糸をカバリング用鍔
付きボビンにリング撚糸巻上げするリング撚糸巻上げ装
置であって、前記リング撚糸巻上げ部におけるバルーン
部長差率(k): k=T/L (ただし、Tはリングのトラバースの長さを、Lはラペ
ットガイドと鍔付きボビン巻取上端部までの垂直長さを
表す。) を0.67以下とするカバリング用糸条の撚糸巻上げ装置の
請求項3の装置発明からなる。
請求項1の方法では、カバリング用パッケージの製造工
程において、リング撚糸巻上げすること、その際の撚糸
数を14〜20t/mとすること、および、リング撚糸巻上げ
されたパッケージの表面平均硬度を93度以上とすること
が重要である。
また、請求項3の装置では、リング撚糸巻上げ部におけ
るバルーン部長差率(k=T/L)を、0.67以下とするこ
とが重要である。
カバリング用パッケージの製造工程に供するポリアミド
フィラメント糸は、撚糸数14〜20t/mでリング撚糸巻上
げされる。その撚糸巻上げに供する糸条は、原糸パッケ
ージから解舒一定速給糸される糸条であってもよいし、
また、冷延伸や熱延伸された後に定速給糸される糸条で
あってもよい。撚糸数14〜20t/mでリング撚糸巻上げ
し、さらに巻上げられたパッケージの表面平均硬度を93
度以上とすることにより、パッケージの外層から内層の
どの層の糸条を高速カバリングに供しても糸切れの生じ
難いカバリング用パッケージとすることができる。93度
以上というパッケージ硬度水準は、リング撚糸巻上げす
る際の巻取時張力党を適正化することにより得ることが
できる。例えば、巻取り撚数14t/mとし、巻始めの平均
巻取張力を0.1g/d以上、巻終りの平均巻取張力を0.35g/
d以上とする等の条件を採用すればよい。巻取り張力
は、巻取り部への給糸ロールの下流部での張力でほぼ代
表することができる。
なお、このパッケージの表面平均硬度は、アスカーゴム
・プラスチック硬度計C型(高分子計器(株)製)を用
いて測定すればよい。
第1図は、延伸することなくリング撚糸巻上げすること
による本発明法の一例を示す概略図であり、また、第2
図は、延伸しリング撚糸巻上げすることによる本発明法
の一例を示す概略図である。
第1図においては、原糸パッケージ(1)からガイド
(2、3)を経て糸条(Ya)は引き出され、フィードロ
ール(4)およびそのセパレートロール(4′)を巻き
回すことにより一定速度で給糸され、ラペットガイド
(9)、さらに、リング(10)上を滑走するトラベラ
(11)を経て、回転する鍔付きボビン(12)に巻上げら
れ、この際に、糸に撚りが与えられ、このボビンから糸
が解舒される時に加わる解舒撚りとの合計で所定の撚糸
数となる。巻上げの際、リング(10)はこのボビン(1
2)の上下鍔部の間を往復し、均一にボビン巻きが行わ
れる。
また、第2図においては、原糸パッケージ(1)からガ
イド(2、3)およびフィードロール(4、5)を経て
糸条(Ya)は一定速度で引き出され、ドローロール
(7)とフィードロール(5)との表面速度差により、
延伸ゾーン(6)で所定倍率に延伸される。延伸された
糸条は、第1図の場合同様に、ラペットガイド(9)、
リング(10)上を滑走するトラベラ(11)を経て、回転
する鍔付きボビン(12)に巻上げられ、所定数に撚糸さ
れる。
これら装置においては、ボビン挿着用のスピンドル(1
3)は、軸受け(16)を介して架台(15)上で支えら
れ、走行しているベルト(14)によって駆動ドラム部で
回転が付与されている。また、スタート時の緒糸巻取り
用として、ウエストスプール(17)が設けられていても
よい。
請求項2(方法)にいうバルーン長差率(K)は、第3
図に示すようにリング撚糸巻取りにおけるラペットガイ
ド(9)からトラベラ(11)に至る間で生じるバルーン
の最短時の長さ(L1)と最長時の長さ(L2)とから、K
=(L2−L1)/L1の式によって求められる値である。ま
た、請求項3(装置)におけるバルーン部長差率(k)
は、バルーン止め用のラペットガイド(9)とボビン巻
取上端部までの垂直長さ(L)とリングのトラバース長
さ(T)とにより、k=T/Lで求められる値である。
本発明のリング撚糸法によりカバリング用鍔付きボビン
にポリアミド糸を巻上げる際のリング撚糸巻取り部での
バルーン長差率(K)を0.67以下とするには、定速給糸
を受けてカバリング用鍔付きボビンにリング撚糸法によ
り巻取を行う装置におけるバルーン部長差率(k)を0.
67以下とすればよい。なお、ナイロン糸の14〜20t/mの
撚数範囲でリング撚糸する場合は、殆ど、K≒kとな
る。
これら撚糸巻上げの装置や延伸−撚糸巻上げの装置等に
おける、原糸パッケージ部、延伸部、リング部およびト
ラバース部のような装置各部はナイロン糸等の撚糸巻返
し装置や延伸撚糸装置として使われている装置構造を流
用することができる。なお、これらの機構において、各
部のガイド類の汚れ、磨耗、ローラ類の回転性、表面状
態、リング・トラベラの滑走性およびトラベラ磨耗など
についての適宜な管理は通常のナイロン糸延伸撚糸工程
の場合と同様に行なえばよい。
また、この装置においてカバリング用鍔付ボビンを挿着
して高速回転させるスピンドル部(軸受け、ベルトから
の受動ドラムも含む)は、カバリング装置のボビン挿着
スピンドル部と同様の装置構造でもって構成すればよ
い。これにより、挿着するボビンはカバリング装置と同
一回転速度水準でも十分に追従可能であり、機械装置の
低コスト化が可能となる。
第4図は、シングルカバリング弾性糸を製造する工程の
概略を示す側面図である。ここで、カバリング用パッケ
ージは、符号(12)で示されている。
第5図は、ダブルカバリング弾性糸を製造する工程の概
略を示す側面図である。ここで、カバリング用パッケー
ジは、符号(12′)、(12″)で示されている。
第6図(イ)、(ロ)は、カバリング弾性糸の糸形態を
模式的に示す図であり、それぞれ、シングルカバリング
弾性糸、ダブルカバリング弾性糸を示す。芯糸をなす弾
性フィラメント糸(Yu)の回りを被覆用糸(Ya)、(Y
a′)、(Ya″)が1方向にのみ、あるいは重畳して2
方向に巻付き、弾性フィラメント糸(Yu)の表面を覆っ
ている。
第4図および第5図において、駆動ロール(22、23)に
より、弾性フィラメント糸のパッケージ(21)が回転し
て弾性フィラメント糸(Yu)が給糸され、第1デリベリ
ロール(24、25)により1.5倍程度にプレドラフトされ
る。この弾性フィラメント糸はさらに第2デリベリロー
ル(32、33)によってトータルドラフト3倍程度のドラ
フトを受け、その状態(Yu′)でカバリングゾーン内に
入る。
第4図のシングルカバリング工程では、カバリング用パ
ッケージ(12)による1重のカバリングが、また、第5
図のダブルカバリング工程では2個のカバリング用パッ
ケージ(12′、12″)による2重のカバリングが行われ
る。この場合、これらパッケージ(12、12′、12″)を
挿着するスピンドル(30、30′、30″)は駆動ベルト
(28、28′、28″)と摩擦ドラム(29、29′、29″)と
の摩擦によって回転される。そして、カバリング用ボビ
ン(12、12′、12″)を挿着するスピンドル(30、3
0′、30″)はそれぞれの固定フレーム(26、26′、2
6″)にそれぞれの軸受部(27、27′、27″)と共に固
定されている。ダブルカバリング工程では、2本の駆動
ベルト(26′、26″)は互いに反対方向に走行して、2
個のスピンドル(30′、30″)の回転方向を互いに反対
方向とさせている。
第4図では、約3倍程度にドラフトされた状態の弾性フ
ィラメント糸(Yu′)は中空のカバリング用スピンドル
(30)の中を通り、回転しているカバリング用パッケー
ジ(12)から供給されるポリアミド糸(Pa)によって巻
き被覆されて、シングルカバードヤーン(Ys)となって
第2デリベリロール(32、33)に引取られ、さらにガイ
ドバー(34)を経てトラバースガイド(35)によって綾
振りされ、駆動ロール(36)により回転するシングルカ
バードヤーンパッケージ(38)に巻取られる。なお、こ
のカバードヤーンパッケージはボビンチャック(37)に
より支軸されて回転している。
第5図では、ドラフトされた状態の弾性フィラメント糸
(Yu)は中空のカバリング用スピンドル(30′、30″)
の中を通り、回転している下巻きカバリング用パッケー
ジ(12′)からのナイロン糸(Pa′)によって下巻き被
覆され、次いで、回転している上巻きカバリング用パッ
ケージ(12″)からのポリアミド糸(Ya″)によって上
巻き被覆されてダブルカバードヤーン(Yw)となり、上
記同様にダブルカバードヤーンパッケージ(39)に巻取
られる。
本発明でカバリング用パッケージの製造工程に供するポ
リアミドフィラメント糸は、高速紡糸法により製糸され
たポリアミド糸、紡糸後引続いて延伸することにより製
糸されたポリアミド糸、または、紡糸後一旦巻取った後
に延伸したポリアミド糸、のような通常のポリアミド糸
であればよい。特に、伸度が80%以下の糸条であること
が好ましい。また、ナイロン6フィラメント糸、ナイロ
ン66フィラメント糸のように、カバリング用糸として用
いられるフィラメント糸であればよい。
[作用] カバリング工程におけるカバリングボビンの回転速度
は、25,000rpm以上、さらには、30,000〜40,000rpmと逐
次高速化されてきているが、請求項1の方法をとること
により、カバリング時における糸切れを少なく抑えるこ
とが可能となる。
カバリング工程の高速化に伴う糸切れの増加は、カバリ
ング用ボビンの高速回転によってパッケージ上の糸緩み
発生が大きくなり、緩んだ糸条が、高速回転による空気
層の摩擦、乱流に巻込まれ、単糸の分離や単糸の絡み合
いを生じる解舒阻害を生起するためではないかと考えら
れる。そして、パッケージ上の糸緩みは、カバリング用
ボビンの回転による糸条自体の遠心力に伴って発生する
張力付加によって生じ、その張力付加は回転速度の2乗
に比例した水準で発生する。例えば1.5倍の回転速度で
あれば2.25倍の張力付加が生じ、2倍の回転速度であれ
ば4倍の張力付加が生じる。このように、カバリング工
程が高速化する程、糸緩みが生じ易い状態となる。
この対策としては、巻上げる前の糸に張力を付加して、
巻上げボビンパッケージの硬度を十分に高くすること
が、また、糸条の集束性を十分な水準として単糸割れや
単糸絡み合いを防いでおくことが有効と考えられる。
本発明法では、リング撚糸法によって十分に高い張力を
加えて高いパッケージ硬度として巻上げ、さらに、リン
グ撚糸によって14〜20t/mの撚糸条件により加撚集束を
して巻上げることとするので、上記両方の対策を同時に
満たすことができる。
これに対し、ボビン繰り機による従来法では擦過式張力
付加によっているために、大きな張力を付加すると、張
力付加部の前後における張力比が大きくなって、ここで
の糸条の擦過が大きなものとなり、逆に糸条の単糸割れ
や単糸たるみあるいは単糸切れのトラブルが増加する。
これらの点から付加する張力には限界があり、実際上、
パッケージ硬度を90度程度以上に上げることは均一性の
点から困難であった。しかも、大きな張力付加による糸
条の擦過は、糸条の集束性低下も引起すので、単糸広が
り、たるみ、糸条絡みを生起し易くなり、カバリング工
程における糸切れ防止効果は期待し難い。このように、
従来法では、十分に高い硬度のパッケージとすること、
集束性が十分に高い糸条のパッケージとすることが困難
であるので、カバリング工程での糸切れを改善すること
が困難であった。
しかし、本発明では、リング撚糸法により14〜20t/mの
撚糸数で巻上げことによって、巻上げ時の張力付加によ
る弊害を生じることなく、高パッケージ硬度を得ること
が可能となるが、これは、次のような作用によるものと
考えられる。
本発明法で用いたリング撚糸法では、主としてリングの
トラベラを滑走させるための応力により糸条張力が発生
するのであり、即ち、トラベラに至る前の糸条および通
過後の糸条張力によりトラベラは滑走させられ、トラベ
ラに至るバルーン部の糸条に相応の糸条張力が生じるこ
ととなるのである。従って、目的とする糸条張力を付与
する場合に過激な糸条擦過を受けることがなく、任意の
高張力付加が可能となるのであり、例えば、鍔付きボビ
ンパッケージ硬度を平均90度以上とすることが可能とな
るのである。
そして、このリング撚糸法においては、糸速一定および
撚数一定の通常撚糸法では巻取りボビン巻直径の変化に
伴ないその糸条張力が変化し、かつその撚数の水準によ
ってこの張力変化の態様が変化するが、本発明では、こ
の機構を利用し、より完全なカバリング工程糸切れ発生
を防止する巻上げ条件として、撚数を14〜20t/mとする
ことにし、カバリング用鍔付きボビンパッケージの表層
部から内層部にわたってのカバリング工程での糸切れ発
生を防止することができる巻上げ法としたものである。
即ち、14〜20t/mの撚数範囲では、内層部巻取り張力が
やや低目となるが、遠心力は径に比例してやや小である
ので、糸切れは十分に低いレベルに抑えることができ
る。しかも、中層部〜外層部がやや高い張力となるので
遠心力の大きな部分の糸切れ抑制に十分に対応すること
ができる。なお、18〜20t/mでは中層部に比し外層部の
巻取張力はやや低くなるが、実質的には中層部の巻上げ
後の糸応力の緩和がやや大であるので、巻上げ後のパッ
ケージとしてはほぼ良好な糸条応力分布とすることがで
き、糸切れ抑制効果を奏することができる。即ち、外層
部から内層部に入るほど解舒時の遠心力は減少するが、
ほぼこれに見合ってボビンパッケージ内での糸条応力も
表層部から内層部に入る程減少する傾向とすることがで
き、全層にわたってカバリング工程の糸切れ発生を防止
することが可能となる。
これに対し、14t/m未満の撚数条件では、パッケージの
内層部巻取り張力が著しく小さく、外層部巻取り張力と
の比が極端に大となって外層部から内層部にわたっての
良好な糸切れ防止効果が得られ難い。また逆に、撚数が
20t/mを越えると、中層部〜外層部での巻取張力低下が
過大となって中層部〜外層部をバランスのとれた条件と
することが不可能となり、十分な糸切れ抑制効果が得ら
れ難い。
また、本発明によると、均一なカバリング弾性糸を得る
ために有効なカバリング用鍔付きボビンパッケージが得
られる。リング撚糸法において巻取張力変化を引起こす
変動要素として、リングとトラベラとの滑走抵抗の変
化、糸とトラベラの摩擦抵抗の変化、バルーニング長さ
の変化等が挙げられるが、これらの変動要素による巻取
張力変化は、装置の作動が正常に管理されている限り、
極めて小さい。例えば、リングとトラベラとの滑走は潤
滑油等により正常に管理されていれば、それによる張力
変動は極めて小さく、また、糸とトラベラの摩擦抵抗変
化も接触角約90度程度で変化があったとしてもその影響
は無視し得る程度に小さい。しかも、本発明では、撚数
を14〜20t/mの範囲としているので、前述のように、パ
ッケージ上の糸応力分布が解舒時の遠心応力に対応して
バランスのとれたものとなっているのであり、これも、
カバリング工程における斑を小さく抑えるために有効に
作用していると考えられる。
これに対し、従来法のボビン繰り機による場合は、その
ボビン巻上げ時のトラバース、内層部〜外層部の巻取速
度、張力付与機構の変動、さらには原糸パッケージの解
舒張力変動などにより、様々な変動が重なりあって生
じ、この変動によってパッケージ上の糸応力の差、即ち
残留歪の差が大きくなる。そして、この残留歪の差がパ
ッケージ上の糸の残留収縮応力斑となって現れ、カバリ
ング工程における斑を誘発し、均一性の劣るカバリング
弾性糸になるものと考えられる。
さらにまた、バルーン長の変化は、特に巻取スピンドル
が高速化した場合に、巻取張力に与える影響が大きい。
即ち、トラベラの回転が高い高撚数や、巻取径が大きく
トラベラ回転速度が大きい状態においては、リングの上
下トラバースによる巻取張力差が大きくなるので、パッ
ケージ上の糸条応力差が大きくなり、カバリング工程に
おける斑を誘発する別の要因となっている。この点か
ら、請求項2では、カバリング工程における斑をさらに
抑制し、より完全な均一化を達成するために、このバル
ーン長の変化をバルーン長差率(K)として捉え、この
値Kを0.67以下とすることとしたものである。なお、従
来の一般の合成繊維延伸撚糸法におけるバルーン長差率
(K)は2〜3程度で実施されていた。
[実施例] ・実施例1 原糸として、高速紡糸により得られたナイロン6フィラ
メント糸(10デニール、7フィラメント)の原糸撚りな
しのドラムパッケージを用いた。
このナイロン6フィラメント糸を、第1図に示す定速給
糸−撚糸巻上げの装置を用い、給糸速度1,000m/分、給
糸部直下での糸条平均張力0.3g/d、ボビン回転速度13,0
00〜22,000rpm、撚糸数13〜22t/m、バルーン長変化率0.
33の条件で、巻上げ部の径26mm、鍔の径60mm、巻巾80mm
の鍔付きボビンにリング撚糸巻上げしてカバリング用パ
ッケージ(巻量150g)を製造した。なお、ダブルカバリ
ングに供するためS巻付け用とZ巻付け用とを作成し
た。この巻上げの際の張力を、内層巻上げ時、中層巻上
げ時および外層巻上げ時に分けて測定し、その結果を第
1表に示した。
得られたパッケージの糸層表面硬度を測定し、その結果
(平均値、範囲)を第1表に示した。
次に、得られたパッケージをダブルカバリング工程に供
し、ポリウレタン弾性糸20デニールを3.2倍伸長状態、
下巻き(Z巻)のボビン回転速度36,000rpm、巻付け数
2,400t/m、上巻き(S巻)のボビン回転速度30,600rp
m、巻付け数2,040t/m、カバリング速度15m/分の条件で
ダブルカバリングを行った。このカバリング工程におい
て発生した糸切れ回数を測定し、1台(160錘)・1日
あたりの発生頻度でもって表した。
そして、得られたカバリング弾性糸のみでレッグ部を編
成し、仕上げセット温度115℃で常法によりパンティス
トッキング製品とした。得られた製品のレッグ部におけ
る外観均一性を肉眼により相対評価した。
また、比較(No.7)として、前記ナイロン6フィラメン
ト糸を、第7図に示す従来法により、トラバース直前で
の平均巻取張力0.2g/d(リングテンサーの調整によ
る)、平均巻き速度400m/分の条件で巻返してカバリン
グ用パッケージ(約150g巻き)とした。そして、上記同
様にダブルカバリングおよびストッキング製品化を行っ
て評価した。
第1表に示したように、本発明によるNo.1〜4の場合で
は、パッケージの表面硬度が高く、カバリング時の糸切
れは従来法(No.7)に比し著しく少なかった。さらに、
得られたストッキング製品の外観均一性も良好であっ
た。
これに比し、撚糸条件が本発明外であったNo.5の場合
は、外層部のカバリング用糸を供してカバリングする際
の糸切れは少なかったものの、内層部のカバリング用糸
を供する際の糸切れが比較的多い傾向であった。また、
撚糸条件および硬度条件が本発明外であったNo.6の場合
は、外層部のカバリング用糸を供する際の糸切れが多か
った。さらに、No.5およびNo.6の場合は、得られた製品
編地中に、層間差によるものと考えられる緯段状の不均
一な編地斑が一部で認められた。
また、従来法による場合(No.7)は、カバリング工程に
おける糸切れが著しく多く、しかも、得られた製品編地
中に、短い緯筋状や編段状の不均一な編地斑が多く認め
られ、外観均一性が劣る製品であった。
・実施例2 原糸として、高速紡糸により得られたナイロン6フィラ
メント糸(12デニール、7フィラメント)の原糸撚りな
しのドラムパッケージを用いた。
このナイロン6フィラメント糸を、第2図に示す延伸−
撚糸巻上げの装置を用い、給糸速度784m/分、平均給糸
張力0.2g/d、ドローロール速度1,000m/分、延伸倍率1.2
76倍の条件で延伸し、続いて、巻取りボビン回転速度1
5,000rpm、撚糸数16t/m、実質糸速940m/分、バルーン長
変化率0.33〜2.0の条件でリング撚糸巻上げし、糸条繊
度10デニールのカバリング用糸条のパッケージとした。
得られたパッケージは、内径32mm、外径74mm、巻巾115m
m、巻量325gであった。
次に、これらパッケージをシングルカバリング工程に供
し、ポリウレタン弾性糸20デニールを3.2倍伸長状態、
ボビン回転速度30,000rpm、巻き付け数1,700t/m、カバ
リング速度17.6m/分の条件でシングルカバリングを行
い、S巻付けカバリング弾性糸とZ巻付けカバリング弾
性糸とを作成した。
得られたS巻付けカバリング弾性糸とZ巻付けカバリン
グ弾性糸とを交互編成することによりレッグ部を編成
し、仕上げセット温度115℃で常法によりパンティスト
ッキング製品を製造した。
上記カバリング用糸の外層部巻上げの際の張力を、上端
部巻上げ時、中央部巻上げ時および下端部巻上げ時別に
測定し、さらに、得られたパッケージの糸層表面硬度、
およびカバリング工程において発生した糸切れ回数(1
台(224錘)・1日あたり)を実施例1同様に測定し、
それら結果を第2表に示した。また、得られたストッキ
ング製品の外観均一性を、製品の静置状態と人体着用状
態とで肉眼により相対評価し、それら結果もあわせて示
した。
また、比較(No.16)として、実施例1で用いたナイロ
ン6フィラメント糸を、第7図に示す従来法により、平
均巻取張力0.2g/d(リングテンサーの調整による)、巻
き速度400m/分の条件で巻返してカバリング用パッケー
ジとした。そして、上記同様にシングルカバリングおよ
びストッキング製品製造を行い、評価した。
第2表に示したように、本発明によるNo.11〜13の場合
では、バルーン長差率(K)が0.67以下であってリング
のトラバース上下による巻上げ張力変化が小さく、スト
ッキングの外観均一性が優れていた。しかも、パッケー
ジ硬度も十分高くカバリング工程における糸切れも極め
て少なかった。
また、No.14およびNo.15の場合は、カバリング工程にお
ける糸切れはパッケージの内層部、中層部、外層部のい
ずれについても改善され、製品の外観均一性もある程度
は改善されたが、請求項2および3の条件を満足しない
ので製品の外観均一性は今一歩の水準であった。
これに対し、従来法による場合(No.16)は、カバリン
グ工程における糸切れが著しく多く、しかも、得られた
製品編地の外観均一性も劣っていた。
[発明の効果] 本発明法によるカバリング用パッケージは、カバリング
工程における糸切れを少なく抑えるために有効であり、
カバリング工程の高速化やカバリング糸の細繊度化にも
十分対応することができる。
さらに、カバリング状態の均一性に優れたカバリング弾
性糸を得ることができ、従って、カバリング弾性糸のみ
からなる編地でも外観均一性に優れた製品とすることが
できる。
また、本発明法は、ナイロン繊維用の巻返し装置や延伸
装置等の装置部分を流用して適宜組合せることにより比
較的簡単に準備できる装置により実施することができる
ので、工業的実施が容易であり、しかも、カバリング用
パッケージを、単糸割れ、単糸たるみ、単糸切れという
トラブルや集束性低下という弊害を引起こすことなく、
安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、リング撚糸巻上げする方法により本発明法を
実施する工程の一例を示す概略図である。 第2図は、延伸−リング撚糸巻上げする方法により本発
明法を実施する工程の一例を示す概略図である。また、
第3図は、本発明法におけるリング撚糸部の一例を示す
概略図である。 第4図および第5図は、シングルカバリング弾性糸ある
いはダブルカバリング弾性糸を製造する工程の概略を示
す側面図である。 第6図(イ)、(ロ)は、カバリング弾性糸の糸形態を
模式的に示す図であり、それぞれ、シングルカバリング
弾性糸、ダブルカバリング弾性糸を示す。 第7図(イ)、(ロ)は、フリクションドライブによる
ボビン繰り機によって、ポリアミドフィラメント糸を鍔
付きボビンに巻替えする従来法の概略を示すものであっ
て、それぞれ側面図および正面図を示す。 [符号の説明] 1:原糸パッケージ 4、5:フィードロール 9:ラペットガイド L1:バルーンの最短時の長さ L2:バルーンの最長時の長さ T:リングのトラバースの長さ L:ラペットガイドと鍔付きボビン巻取上端部までの垂直
長さ 10:リング 11:トラベラ 12、12′、12″:鍔付きボビン、カバリング用パッケー
ジ Ya、Ya′、Ya″:糸条(ポリアミド糸) Yu:弾性フィラメント糸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミドフィラメント糸をカバリング用
    鍔付きボビンに、撚糸数14〜20t/mでリング撚糸巻上げ
    し、パッケージ表面平均硬度が93度以上のカバリング用
    パッケージとすることを特徴とするカバリング用糸条の
    撚糸巻上げ方法。
  2. 【請求項2】前記リング撚糸巻上げ部におけるバルーン
    長差率(K)を0.67以下とすることを特徴とする請求項
    1記載のカバリング用糸条の撚糸巻上げ方法。 K=(L2-L1)/L1 (ただし、L1はバルーンの最短時の長さを、L2はバルー
    ンの最長時の長さを表す。)
  3. 【請求項3】定速給糸されるカバリング用フィラメント
    糸をカバリング用鍔付きボビンにリング撚糸巻上げする
    装置であって、前記リング撚糸巻上げ部におけるバルー
    ン部長差率(k)を0.67以下とすることを特徴とするカ
    バリング用糸条の撚糸巻上げ装置。 k=T/L (ただし、Tはリングのトラバースの長さを、Lはラペ
    ットガイドと鍔付きボビン巻取上端部までの垂直長さを
    表す。)
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