JPH068179Y2 - 傾斜屋根用化粧防水シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は傾斜屋根用化粧防水シー
トに関し、更に詳しくは優れた美感、立体感、意匠性及
び防水性を有し、特に耐火構造の傾斜屋根の被覆材とし
て有用な化粧防水シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、木造家屋や鉄骨家屋等の屋根は傾
斜屋根が多く、これらの屋根材としては、屋根に好まし
い美感や意匠性を付与する為に、いろいろな形状の瓦や
金属板等が使用されている。又、最近のプレハブ住宅や
鉄筋コンクリート家屋等の耐火構造の家屋やビルは水平
な陸屋根を有するものが多く、屋根材としてはアスファ
ルト防水やシート防水等のメンブレン防水材が使用され
ている。この様な陸屋根の場合には一般的には周囲から
は見えない為に、特別な美感や意匠性が要求されていな
い。

【０００３】

【考案が解決しようとしている問題点】しかしながら、
近年の耐火構造建築物の多様化に基づき、プレハブ建築
物やコンクリート建築物においても、木造家屋の如き傾
斜屋根を設ける場合も多くなりつつあり、この様な傾斜
屋根に適し、美感、意匠性や立体感に優れた傾斜屋根用
化粧防水シートが要望されている。従って本考案の目的
は、上記の如き耐火構造建築物の傾斜屋根材として適し
た化粧防水シートを提供することであり、この様な目的
は以下の本考案により達成された。

【０００４】

【問題点を解決する為の手段】即ち、本考案は、可撓性
熱可塑性樹脂からなる屋根瓦と同等又は類似の幅の帯状
長尺シート材料であって、その表面には、長手方向の一
方の側端に沿った領域を表面平坦な重ねしろとして残
し、残りの領域には任意の形状の凹凸模様が形成され、
該凹凸模様の凹部と凸部の色相が異なっており、且つ表
面の凹凸模様がシートの長手方向に屋根瓦と同等又は類
似の間隔で太線によって区画されていることを特徴とす
る傾斜屋根用化粧防水シートである。

【０００５】

【実施例】

次に好ましい１実施例を図解的に示す添付図面を参照し
て本考案を更に具体的に説明する。図１は本考案の一実
施例の傾斜屋根用化粧防水シートの１部の平面図を示
し、図２はそのＡ−Ａ´断面図を示し、図３は図１のＢ
−Ｂ´断面図を示し、図４は本考案の化粧防水シートを
耐火構造建築物の傾斜屋根材として使用した例を示す図
である。

【０００６】即ち、図示する如く本考案の傾斜屋根用化
粧防水シート１０は、例えば、一般の屋根瓦やその他の
屋根材の如く適宜な幅、例えば、１０〜４０cm程度の幅
を有する帯状シート材料であって、その表面には、その
美感や意匠性を高める為に、長手方向の一方の側端に沿
った領域を重ねしろ１として残して任意の形状の凹凸模
様２が形成されており、更にその凹凸模様２を際立たせ
る為に、凹凸模様２の凹部２ａと凸部２ｂとの色相が異
なる様になっている。

【０００７】上記の本考案の傾斜屋根用化粧防水シート
１０は可撓性の熱可塑性樹脂から形成されており、特に
軟質ポリ塩化ビニル樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合
樹脂の如き軟質熱可塑性樹脂から形成することにより、
常温で十分な可撓性を与え、傾斜屋根等の被化粧部の形
状に十分にフィットする様にするのが好ましい。又、こ
の様なシートは熱可塑性樹脂から形成することによっ
て、後述する如く屋根材等として使用した場合に、重ね
しろ部分１を接着又は溶融着することよって十分な防水
性及び水密性を達成することが出来る。この様な帯状シ
ート材料は、一般的には濃厚且つ不透明に十分に着色さ
れているものである。

【０００８】上記の帯状シート材料は全体の幅が１０〜
４０cm程度であり、長さには特に制限はなく、長尺ロー
ル状として、使用時に適当な長さに裁断して使用しても
よいし、予め建築物の被貼着部に合わせた長さのもので
もよい。それらの厚みは一般的には１．０〜５．０mm程
度であり、好ましくは２．０〜３．０mm程度である。更
にこの様な帯状シート材料は、単一の熱可塑性樹脂から
なるものでもよいし、図示の如くその中に各種繊維或は
織布、不織布等からなる繊維補強層３を設けることも出
来、更に図示してないが、これらの繊維補強層３は帯状
シート材料の裏面に積層してもよい。これらの繊維補強
層３を設けることによって帯状シート材料の強度が著し
く向上すると共に、寒暖の差による帯状シート材料の伸
縮性をも抑制することも出来る。

【０００９】本考案の傾斜屋根用化粧防水シート１０
は、上記の如き帯状シート材料の一方の面に任意の形状
の凹凸模様２を設けたものであり、この様な凹凸模様２
は帯状シート材料の全面に設けるのではなく、図示の如
く帯状シート材料の表面の 1/3〜4/5 程度の面積で、帯
状シート材料の長手方向の一方の側端に沿った領域を重
ねしろ１として残して設ける。この様に設ける凹凸模様
２は、傾斜屋根用化粧防水シート１０の美感、意匠性及
び立体感を高めるものであるのは当然であるが、この様
な凹凸模様２を設けない領域は、図４に示す如くこの傾
斜屋根用化粧防水シート１０を用いて傾斜屋根等を被覆
する場合に、隣接する傾斜屋根用化粧防水シートとの重
ねしろとなる。

【００１０】この重ねしろ１の領域は隣接する傾斜屋根
用化粧防水シートと接着或は融着される領域でもあり、
この重ねしろ１の部分は、凹凸模様２の表面と水平でも
よいが、水平であると図４示の如く重ね合わせた時に、
この傾斜屋根用化粧防水シートの厚み分だけ重ね合せ部
分が高くなる。この重ね合せ部分の高さを少なくするこ
とが望ましい場合には、図３示の如く、重ねしろ１部分
の厚みを凹凸模様２部分の厚みより薄くすればよい。

【００１１】以上の如き凹凸模様２は従来周知のいずれ
の方法によっても形成することが出来、好ましい１例は
任意の形状の凸部を設けたエンボスロールにより帯状シ
ート材料に型押しすることによって任意の深さの凹部２
ａを有する凹凸模様２が容易に形成される。この様な型
押しによる凹凸模様２の形成に際しては、エンボスロー
ルの凸部に印刷インキを付着させて型押しを行う谷染印
刷方法も利用することが出来、この様な谷染印刷方法に
よって、形成される凹凸模様２の凹部２ａの底部に帯状
シート材料の色相とは異なる色相を付与することによっ
て、更に意匠性や立体感が向上した傾斜屋根用化粧防水
シートが提供される。

【００１２】勿論、この様な着色は谷染印刷法に限定さ
れず、いずれの着色方法でもよいものであり、又、凹部
２ａと凸部２ｂの色相が異なるのであれば、凹部２ａは
そのままで凸部２ｂの表面に着色してもよいのは当然で
ある。更にこの様に形成された凹凸模様２は、図１及び
図４示の如く傾斜屋根用化粧防水シート１０の長さ方向
に垂直な太線４によって適当な長さに区画することによ
って、傾斜屋根用化粧防水シートの意匠性や美感が一層
向上することになるので好ましい。

【００１３】以上の如き本考案の傾斜屋根用化粧防水シ
ート１０は、例えば、軟質ポリ塩化ビニル樹脂の如き熱
可塑性樹脂を任意の方法により、好ましくは押出し加工
方法やカレンダー加工方法等により、所望の幅で且つ図
３に示す如き断面形状でシート状に形成すると共に、任
意の凹凸を有するエンボスロールにより凹凸模様２を付
与し、好ましくは谷染印刷を行うことによって、すべて
連続的に製造することが出来る為、非常に経済的に提供
することが出来る。

【００１４】

【効果】以上の如き本考案によれば、本考案の化粧防水
シートは、その表面に凹凸模様が形成され、且つその凹
部と凸部との色相が異なる様になっている為、非常に優
れた美感、意匠性及び立体感を有する。又、その表面に
は重ねしろが形成されていること、帯状シート材料が熱
可塑性樹脂から形成されていること、更にはこの帯状シ
ート材料が可撓性材料から形成されていることから、あ
らゆる表面にその表面形状に十分追従して貼着すること
が出来、又、重ねしろ部分を重ねてその重合部分を接着
剤や融着により十分に接着させることにより完全な防水
性が達成される。従って本考案の傾斜屋根用化粧防水シ
ートは、特に鉄筋コンクリート製やプレハブ製の耐火構
造建築物の傾斜屋根の化粧材として有用である。

【００１５】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１実施例の傾斜屋根用化粧防水シート
の１部の平面図。

【図２】図１のＡ−Ａ´断面図。

【図３】図１のＢ−Ｂ´断面図。

【図４】本考案の化粧防水シートを耐火構造建築物の傾
斜屋根材として使用した例を示す図。

【符号の説明】

１；重ねしろ ２；凹凸模様 ３；繊維補強層 ４；太線 １０；化粧防水性シート

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 可撓性熱可塑性樹脂からなる屋根瓦と同
   等又は類似の幅の帯状長尺シート材料であって、その表
   面には、長手方向の一方の側端に沿った領域を表面平坦
   な重ねしろとして残し、残りの領域には任意の形状の凹
   凸模様が形成され、該凹凸模様の凹部と凸部の色相が異
   なっており、且つ表面の凹凸模様がシートの長手方向に
   屋根瓦と同等又は類似の間隔で太線によって区画されて
   いることを特徴とする傾斜屋根用化粧防水シート。
2. 【請求項２】 帯状シート材料の中又は裏面には繊維補
   強層が積層されている請求項１に記載の傾斜屋根用化粧
   防水シート。