JPH0680705A - ヘパリン誘導体 - Google Patents

ヘパリン誘導体

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JPH0680705A
JPH0680705A JP23484692A JP23484692A JPH0680705A JP H0680705 A JPH0680705 A JP H0680705A JP 23484692 A JP23484692 A JP 23484692A JP 23484692 A JP23484692 A JP 23484692A JP H0680705 A JPH0680705 A JP H0680705A
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phe
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Kazuhiro Inoue
上 和 泓 井
Hiroshi Hamana
名 洋 浜
Satoru Okuno
野 哲 奥
Toshiro Yano
野 敏 朗 矢
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 脱N硫酸化されたヘパリンのアミノ基の一部
にペプチド鎖が導入され、残りのアミノ基がアセチル化
されてなる、ヘパリン誘導体およびその塩。 【効果】 上記ヘパリン誘導体は腫瘍への移行性が高
く、また腫瘍での薬剤の遊離性に優れ、このヘパリン誘
導体に薬物を化学結合により担持させた複合体は、他器
官における副作用または腫瘍における薬効の発現に限界
のある薬物を効率的に腫瘍に送達することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は新規なアセチル化脱N硫
酸ヘパリンーペプチド誘導体に関する。更に詳しくは、
長期体内残留がなく、癌組織への移行性のあるヘパリン
誘導体からなる薬剤担体およびこれに薬物が結合した薬
剤複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶性高分子を薬物担体として使用する
ことは、従来からとりわけ製剤の分野において試みら
れ、関連する多数の技術が提供されてきた。多くの場合
においてカルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシプロ
ピルセルローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ
等のセルローズ誘導体が使用され、これらの物質自体の
物理化学的性状を利用して薬物の分散化、徐放化等が意
図されてきた。しかしこれらの例においては薬物は担体
としてのセルローズ誘導体と製剤的な混合によって一体
化はしているものの、担体に化学結合しているものでは
ない。
【0003】ところで、薬物を必要な組織に必要な時に
必要な量だけ送達する、いわゆる臓器指向の技術におい
て、水溶性高分子を薬物担体として利用する場合には、
単なる混合ではなく、薬物が担体に化学結合する必要が
ある。そのような試みとしては下記文献1),2),
3)があり、1)ではカルボキシル化デキストランにマ
イトマイシンCを結合する技術、2)ではマンナンにマ
イトマイシンCを結合する技術、3)では同じくマンナ
ンにブレオマイシンを結合する技術がそれぞれ開示され
ている。 1) 瀬崎 仁:薬学雑誌、109,611−621,
(1989) 2) 第49回日本癌学会総会記事(1990)425
頁、演題番号2155 3) 第49回日本癌学会総会記事(1990)425
頁、演題番号2154 しかし、多糖型水溶性高分子の中でもいわゆるムコ多糖
類とよばれる一群の酸性多糖高分子を担体として利用
し、これに薬物を化学結合して薬物送達を行う技術につ
いてはその試みは未だ十分な展開がなされていないのが
実状である。
【0004】そこで、本発明者の中の一部の者は先にキ
チン、キトサンを使用して上記の技術の試みを行ったと
ころ、意外にもN‐アセチルカルボキシメチルキトサン
誘導体が優れた薬物送達の可能性を示すことを見出した
(特願平2−215803号明細書)。更に、適切な修
飾を加えることによってムコ多糖が上記の可能性を持つ
ことが期待され、とりわけ酸性ムコ多糖の代表であるヒ
アルロン酸あるいはコンドロイチンがキチン、キトサン
におけると同様にこれに適切な修飾を加えることによっ
て前記のような可能性を示すことが見いだされた(特願
平3ー330905号明細書)。
【0005】本発明者らは今般、更に、ムコ多糖の一種
であるヘパリンについて検討を行い、その結果ヘパリン
の脱N硫酸化により遊離したアミノ基に、ペプチド鎖を
介して薬物を結合した化合物が優れた性質を有すること
を見出し、本発明を完成した。
【0006】〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明は、薬物
を化学結合を介して保持し、薬物送達が可能な新規なヘ
パリン誘導体およびその塩を提供することを目的として
いる。また本発明は、長期体内残留がなく、癌組織への
移行性が高い多糖誘導体であって、これに薬物が化学結
合できる薬物担体を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によるヘパリン誘
導体およびその塩は、脱N硫酸化されたヘパリンのアミ
ノ基の一部にペプチド鎖が導入され、残りのアミノ基が
アセチル化されてなるもの、である。
【0008】本発明によるヘパリン誘導体はより具体的
には、下記の一般式(I)および(II)で表される単位
を含んで構成され、ゲルろ過法による分子量が7×10
4 〜1×103 であるもの、である。
【0009】
【化2】 (上記式中、Rは水素原子または基SOHを表し、X
は1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含んでなる
ペプチド鎖を表し、Pは水素原子、水酸基または保護基
を表し、Yは水素原子またはC1〜4アシル基を表し、
波状線はアキシアル結合またはエクアトリアル結合を表
す。)もの、である。
【0010】また、本発明による薬物担体は前記ヘパリ
ン誘導体またはその塩からなるもの、である。
【0011】本発明によるヘパリン誘導体は腫瘍への移
行性が高く、また腫瘍での薬剤の遊離性に優れる。従っ
て、このヘパリン誘導体に薬物を化学結合により担持さ
せた複合体は、他器官における副作用または腫瘍におけ
る薬効の発現に限界のある薬物を効率的に腫瘍に送達す
ることができる。
【0012】[発明の具体的説明]ヘパリン誘導体 本明細書においてヘパリンとは、グルコサミンのアミノ
基および6位の水酸基が硫酸化されているN−スルホ−
D−グルコサミン6−硫酸と、L−イズロン酸の2位の
水酸基が硫酸化されているL−イズロン酸2−硫酸と、
そしてD−グルクロン酸を主たる構成成分とするムコ多
糖を意味する。すなわち、ヘパリンの主たる構造は一般
式(I)および(II)において、Rが水素原子または基
−SOHであり、XPおよびYが基−SOHである
単位から構成されるものである。
【0013】本発明によるヘパリン誘導体は、このヘパ
リン分子中のグルコサミンのN−硫酸基を脱硫酸化し
(本明細書では、このアミノ基の脱硫酸化を「脱N硫酸
化」という場合がある)、この脱硫酸化により遊離した
アミノ基にペプチド鎖を導入し、さらにペプチド鎖が導
入されていないアミノ基をアシル化してなるものであ
る。
【0014】一般式(I)および(II)において、Xは
1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含んでなるペ
プチド鎖を表す。ここで、このアミノ酸の数は薬物放出
特性や抗原性を考慮すると3〜6が好ましい。ここで、
「アミノ酸を含んでなるペプチド鎖」とは、このペプチ
ド鎖がアミノ酸のみからなる場合に加えて、鎖中の一部
にアミノ酸以外の化合物を含む場合も包含する意味に用
いることとする。例えば、コハク酸のような二塩基性カ
ルボン酸がペプチド鎖の中にまたは末端に存在していて
もよい。また、このペプチド鎖を構成するアミノ酸は、
α−アミノ酸のほかに、ε−アミノカプロン酸、γ−ア
ミノ酪酸などのアミノ酸類似の化合物であってもよい。
また、ペプチド鎖の結合方向は、脱硫酸化されたアミノ
基にC末端から酸アミド結合によって結合しているのが
通常であるが、例えば、ペプチド鎖中にグルタミン酸が
存在する場合にはそのγ−カルボキシル基を脱N硫酸化
ヘパリンのアミノ基と結合させることによって、あるい
はペプチド鎖中にリジンが存在する場合にはそのε−ア
ミノ基をサクシニル化させることによってペプチド鎖の
結合方向を逆転させてもよい。
【0015】なお、このペプチド鎖の末端に結合するP
が水素原子または水酸基のときは、それぞれのそのペプ
チド鎖の末端アミノ酸のアミノ基の水素原子または末端
アミノ酸のカルボキシル基の水酸基を表すものである。
【0016】また、本発明によるヘパリン誘導体のペプ
チド鎖はその末端にあるアミノ基またはカルボキシル基
が保護されていてもよい。保護基は一般にアミノ酸の保
護に用いられているものであれば制限されないが、例え
ばアミノ基の保護基としてはt-ブトキシカルボニル(Bo
c )基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル(pMZ)基
などが、またカルボキシル基の保護基としては低級アル
コキシ基(例えばt-ブチルオキシ基)、低級アルキルイ
ミノ基(例えばメチルイミノ基)、ベンジルオキシ基な
どを挙げることができる。
【0017】脱硫酸化により遊離したアミノ基へのペプ
チド鎖の導入は全てのアミノ基にされていてもよいが、
そのペプチド鎖に導入される医薬化合物の物理化学的性
質および薬理学的性質に応じて適宜決定するのが好まし
い。特に、ヘパリンの分子量が小さい場合には遊離して
いる全てのアミノ基にペプチド鎖が導入されるのが好ま
しく、逆にヘパリンの分子量が大きい場合には全てのア
ミノ基にペプチド鎖が導入されていなくとも好ましい効
果が得られる傾向が見られる。一般には、ヘパリン誘導
体において1〜80重量%程度のペプチド鎖が導入され
ているのが好ましく、より好ましくは5〜30重量%程
度である。
【0018】また、この一般式(I)で表される単位と
一般式(II)で表される単位の分子中における存在の態
様はランダムであってもブロックであってもよいのはい
うまでもない。
【0019】このペプチド鎖のアミノ酸配列は、目的と
する臓器内での酵素(例えばプロテアーゼ)による作用
で、医薬化合物またはその活性分子種が速やかに場合に
よって徐々に生成されるものでなければならない。一般
式(I)および(II)においてX(およびP)で表され
るペプチド鎖の好ましい具体例としては次のようなもの
があげられる: P−Phe-Phe-Gly-Gly- P−Ala-Gly-Gly-Gly- P−Phe-Phe-Gly- P−Gly-Phe-Gly-Gly- P−Phe-Gly-Phe-Gly- P−Gly-Phe-Gly-Phe- P−Gly-Gly-Gly-。
【0020】さらに、脱硫酸化により遊離したアミノ基
であって、ペプチド鎖が導入されなかったアミノ基はそ
のままでもよいが、C1〜4アシル基が導入されるのが
好ましい。すなわち、一般式(I)および(II)におい
てYは水素原子またはC1〜 アシル基を表す。アシル
基のより好ましい例としてはC1〜4アルカノイル基が
挙げられ、より好ましくはアセチル基である。
【0021】本発明によるヘパリン誘導体はその塩とし
て存在することができるが、その用途を考慮すれば薬学
上許容可能な塩であることが好ましい。そのような塩と
しては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のよ
うなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アルギ
ニン塩、リジン塩のようなアミノ酸塩などが挙げられ
る。
【0022】本発明によるヘパリン誘導体の分子量は特
に限定されず、導入される医薬化合物などを考慮して適
宜決定されてよいが、ゲルろ過法によるピーク位置が7
×104 〜1×103 の範囲にあるものが好ましい。
【0023】本発明によるヘパリン誘導体は腫瘍への移
行性が高いという性質を有するとともに、前記したペプ
チド鎖の末端に生理活性を有した化合物を化学結合を介
して保持させることが可能である。従って、本発明によ
るヘパリン誘導体は、それに医薬化合物を担持させて腫
瘍組織にその医薬化合物を送達する、薬物担体として利
用することができる。また、本発明によるヘパリン誘導
体は、薬物送達に必要な時間内において十分な血中安定
性を示す一方、生体内で徐々に分解を受け、長時間の体
内残留が起こらないことが期待される。
【0024】本発明によるヘパリン誘導体のペプチド鎖
への医薬化合物の導入は、ペプチド鎖の末端アミノ酸の
アミノ基またはカルボキシル基のPで表される水素原子
または水酸基と置換して、ペプチド鎖と結合することに
よってなされる。例えば、一般式ROHで表されるア
ルコール性水酸基を有した医薬化合物は末端アミノ酸の
カルボキシル基と結合することが可能である。また、一
般式RCOOHで表されるカルボキシル基を有した医
薬化合物は末端アミノ酸のアミノ基と結合することが、
また、一般式RNHで表されるアミノ基を有した
医薬化合物もまた末端アミノ酸のカルボキシル基と結合
することが可能である。
【0025】このような医薬化合物の具体例として、カ
ルボキシル基を有した医薬化合物としては、メトトレキ
サート、ブメタニド、フロセミド、ジノプロスト、など
が挙げられ、アルコール性水酸基を有した医薬化合物と
しては、シクロシチジン、ビンクリスチン、ビンブラス
チン、アドレナリンなどが挙げられ、また、アミノ基を
有した医薬化合物としては、ダウノルシビン、ドキソル
ビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシンなどが挙げ
られる。これら以外にも、ペプチド鎖と酸アミド結合、
エステル結合またはエーテル結合し得るような誘導体に
変換された医薬化合物を用いることも可能である。
【0026】ヘパリン誘導体の製造および医薬化合物の
導入 ヘパリンは哺乳動物の肝臓、肺、腎臓、脾臓、心臓、胸
腺、筋肉、血管など各種臓器中に広く分布しており、こ
れらの組織から抽出することができる。天然のヘパリン
は分子量7×103 〜6×104 (ゲルろ過法による測
定)のものが存在し、またこれらを酵素(例えば、ヘパ
リナーゼ)によって分解して任意の分子量とすることが
できる。本発明によるヘパリン誘導体はこれらの天然も
しくは低分子量化されたヘパリンのいずれかを、公知の
方法(N.Nagasawa and Y.Inoue,Methods Carbohydr. Ch
em., 8,p291,(1980))によって脱N硫酸化する。
【0027】さらに、脱N硫酸化されたヘパリンは市販
されており、それを利用することも可能である。
【0028】次に、脱N硫酸化されたヘパリンのアミノ
基にペプチド鎖を導入する。脱N硫酸化により遊離した
アミノ基とペプチド鎖のC末端とを酸アミド結合によっ
て導入しようとする場合、脱N硫酸化されたヘパリンと
前記したような保護基でN末端を保護したペプチド鎖
を、反応に関与しない溶媒の存在下または非存在下で、
0〜50℃の温度で、1〜20時間反応させることによ
って実施することができる。ペプチド鎖は場合によって
N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのような活性エ
ステルとされるのが好ましい。
【0029】ヘパリン誘導体へのペプチド鎖の導入の程
度は、添加するペプチド鎖の量によって調整することが
できる。従って、全てのアミノ基にペプチド鎖を導入し
たい場合には、脱N硫酸化されたヘパリンに対して過剰
量のペプチド鎖を反応させるのが好ましい。
【0030】また、脱N硫酸化により遊離したアミノ基
へペプチド鎖をそのN末端から導入する場合には、例え
ば二塩基性酸を介して行うことができる。すなわち、二
塩基性酸が有する二つのカルボキシル基に、それぞれア
ミノ基とペプチド鎖のアミノ基を結合させる。二塩基性
酸の具体例としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ジ
グリコール酸等が挙げられる。
【0031】脱N硫酸化により遊離したアミノ基のう
ち、ペプチド鎖が導入されなかったアミノ基のアシル化
は、所望の構造を有したカルボン酸無水物(例えば、無
水酢酸など)またはカルボン酸ハライド(例えば、カル
ボン酸クロライド)とを、塩基の存在または非存在下で
反応させることによって実施することができる。
【0032】以上のようにして得たヘパリン誘導体への
医薬化合物の導入は、ペプチド鎖のアミノ基もしくはカ
ルボキシル基を、医薬化合物の官能基もしくは活性化さ
れた置換基と反応させることによって行える。例えば、
本発明によるヘパリン誘導体のペプチド鎖末端がN末端
である場合、そのN末端にカルボキシル基を有する医薬
化合物を酸アミド結合によって導入することができる。
反応は、ヘパリン誘導体と、場合によってN−ヒドロキ
シスクシンイミドエステルのような活性エステルとされ
た医薬化合物を酸アミド結合形成条件下で反応させるこ
とによって実施することができる。また、同様に、ペプ
チド鎖末端がC末端である場合、このC末端に、アミノ
基を有する医薬化合物を酸アミド結合を介して導入する
ことができる。
【0033】さらに、ペプチド鎖の末端がC末端である
場合、このC末端に、アルコール性水酸基を有する医薬
化合物をエステル結合を介して導入することができる。
【0034】
【実施例】本発明を以下の実施例および実験例によって
更に詳しく説明するが、これらは単なる例示であって本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】なお、以下の実施例においてヘパリン誘導
体のペプチド含量および医薬化合物の導入量は、次のよ
うにして算出した。
【0036】まず、ペプチド含量は吸光度分析により求
めたヘパリン誘導体の保護ペプチド含量(重量%)を用
いて、次の式1から求めた。
【0037】
【数1】 また、医薬化合物の導入量は、この医薬化合物の特性吸
収を利用した吸光度分析により求め、その含量(重量
%)を用いて、次の式2から医薬化合物とペプチドとの
モル比を算出した。
【0038】
【数2】 (実施例1)脱N硫酸化ヘパリン(以下、脱N硫酸化ヘ
パリンを「DSH」という場合がある)は市販のもの
(SIGMA社:ブタ粘膜より抽出精製したヘパリンを
脱N硫酸化したもの)を用いた。
【0039】このDSHの分子量は、デキストランを標
準物質とするゲル濾過法(カラム:TSKgel G4000PWXL
溶出液:0.1M NaCl )で約4×104 であった。このD
SH(100mg )を0.5% NaHCO3 水溶液(10m
l)に溶解した後、N,N−ジメチルホルムアミド(8.5
ml )を加えて均一な溶液とした。 N-Boc-Phe-Phe-Gly-
Gly-OH (53mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(1.5
ml )に溶解した後、N−ヒドロキシスクシンイミド(1
1.5mg)とN,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミド
(20.6mg)を加え、4℃で20時間反応させた。この反
応液の全量を前記DSH溶液に加え、室温で3時間反応
させた。反応液をエタノール(80ml)中に加えて析出し
た沈殿物を集め、乾燥して、 Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH
複合体を得た。この全量を飽和NaHCO3 水溶液(10
ml)に溶解した後、無水酢酸(0.4ml )を加えて、4℃
で16時間反応させた。反応液を中和した後、エタノー
ル(80ml)中に加えて析出した沈殿物を集め、真空下で
乾燥して、90mgの Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-DSHのアセチ
ル化(以下、アセチル化をAcと略す)複合体を得た。
本複合体の紫外部吸収スペクトルおよびゲル濾過溶出パ
ターンは各々図1および図2に示される通りである。本
複合体のN-Boc-ペプチド含量(保護ペプチド鎖)は、紫
外部(258nm )の吸光度分析によると、12%(重量
%)であった。
【0040】本複合体(80mg)を0.5N HCl(8m
l )に溶解後、室温で16時間処理した。反応液を中和
した後、エタノール(80ml)中に加え、析出した沈殿物
を集め、真空下で乾燥して、74mgの H-Phe-Phe-Gly
-Gly-DSH・Ac複合体を得た。本複合体の紫外部吸収スペ
クトルおよびゲル濾過溶出パターンは各々図3および図
4に示される通りである。本複合体のペプチド含量は、
式1から、9.8%(重量%)と算出された。
【0041】次に45.4mgのメソトレキサート(MT
X )をN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)に溶解した
後、N,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミド(20.6
mg)を加え、4℃で17時間反応させた後、N−ヒドロ
キシスクシンイミド(11.5mg)とビリジン(16μl )を
加え、室温で更に2時間反応させた。 H-Phe-Phe-Gly-G
ly-DSH・Ac複合体(50mg)を1%NaHCO3 水溶液
(5ml )に溶解した後、上記反応液の全量を加えて、室
温で2.5時間反応させた。反応液をエタノール(40m
l)中に加え、析出した沈殿物を集め、真空下で乾燥し
て、53mgの MTX-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体を
黄色粉末として得た。本複合体の紫外・可視部吸収スペ
クトルおよびゲル濾過溶出パターンは各々図5および図
6に示される通りである。本複合体のMTX含量は、紫
外部(307nm )の吸光度分析から、10%(重量%)と
算出された。また、本複合体におけるMTXとペプチド
のモル比は、式2に従って、1.1と算出された。
【0042】(実施例2)実施例1と同様の方法で、DS
H(100mg)に N-Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-OH (211mg)の活
性エステルを作用させ、 Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH複合
体を得た後、この全量をN−アセチル化して、 Boc-Phe
-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(98mg)を得た。本複合体
のN-Boc-ペプチド含量は紫外部(258nm )の吸光度分析
によると、20%(重量%)であった。実施例1と同様
の方法で、この複合体(80mg)を酸処理して、 H-Phe-P
he-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(69mg、ペプチド含量:17%
)を得た後、この50mgにMTX(45.4mg)の活性エ
ステルを作用させて、 MTX-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複
合体(60mg、MTX 含量:16% )を得た。本複合体のMT
Xとペプチドのモル比は、式2から1.1と算出され
た。
【0043】(実施例3)実施例1と同様の方法で、D
SH(1000mg)に N-Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-OH (1054m
g)の活性エステルを作用させ、 Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-
DSH複合体を得た後、この全量をN−アセチル化して、
Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(1171mg)を得
た。本複合体の N-Boc- ペプチド含量は紫外部(258nm)
の吸光度分析から、17%(重量%)と算出された。実
施例1と同様の方法で、この複合体(786mg )を酸処理
して、 H-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(739mg 、ペ
プチド含量:14% )を得た後、この500mgにMTX
(454mg )の活性エステルを作用させて、 MTX-Phe-Phe
-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(541mg 、MTX 含量:13% )を
得た。本複合体のMTXとペプチドのモル比は、式2か
ら1.0と算出された。
【0044】(実施例4)実施例1と同様の方法で、D
SH(100mg )に N-Boc-Ala-Gly-Gly-Gly-OH (36mg)
の活性エステルを作用させ、 Boc-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH
複合体(109mg )を得た後、この100mgをN−アセチ
ル化して、 Boc-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(105m
g )を得た。実施例1と同様の方法で、この複合体(80
mg)を酸処理して、 H-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体
(73mg)を得た後、この50mgにMTX(45.4mg)の活
性エステルを作用させて、 MTX-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・
Ac複合体(56mg、MTX 含量:13% )を得た。本複合体の
紫外・可視部吸収スペクトルおよびゲル濾過溶出パター
ンは各々図7および図8に示される通りである。
【0045】(実施例5)実施例1と同様の方法で、D
SH(100mg )に N-Boc-Ala-Gly-Gly-Gly-OH (144mg
)の活性エステルを作用させ、 Boc-Ala-Gly-Gly-Gly-
DSH複合体(109mg)を得た後、この100mgをN−アセ
チル化して、 Boc-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(99
mg)を得た。実施例1と同様の方法で、この複合体(80
mg)を酸処理して、 H-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体
(72mg)を得た後、この50mgにMTX(45.4mg)の活
性エステルを作用させて、 MTX-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・
As複合体(59mg、MTX 含量:17% )を得た。
【0046】(実施例6)実施例1と同様の方法で、D
SH(100mg )に N-Boc-Phe-Phe-Gly-OH (47mg)の活
性エステルを作用させ、 Boc-Phe-Phe-Gly-DSH複合体を
得た後、この全量をN−アセチル化して、 Boc-Phe-Phe
-Gly-DSH・Ac複合体(106mg )を得た。本複合体の N-B
oc- ペプチド含量は、紫外部(258nm)の吸光度分析か
ら、13%(重量%)と算出された。実施例1と同様の
方法で、この複合体(99mg)を酸処理して、 H-Phe-Phe
-Gly-DSH・Ac複合体(90mg、ペプチド含量:10% )を得
た後、この50mgにMTX(45.4mg)を活性エステルを
作用させて、 MTX-Phe-Phe-Gly-DSH・Ac複合体(52mg、
MTX 含量:12% )を得た。本複合体のMTXとペプチド
のモル比は、式2から1.1と算出された。
【0047】(実施例7)実施例1と同様の方法で、D
SH(100mg )に N-Boc-Gly-Phe-Gly-Phe-OH (214mg
)の活性エステルを作用させ、 Boc-Gly-Phe-Gly-Phe-
DSH複合体を得た後、この全量をN−アセチル化して、
Boc-Gly-Phe-Gly-Phe-DSH・Ac複合体(98mg)を得た。
本複合体の N-Boc- ペプチド含量は、紫外部(258nm)の
吸光度分析から、6.1%(重量%)と算出された。実
施例1と同様の方法で、この複合体(90mg)を酸処理し
て、 H-Gly-Phe-Gly-Phe-DSH・Ac複合体(82mg、ペプチ
ド含量:4.9%)を得た後、この50mgにMTX(45.4m
g)を活性エステルを作用させて、 MTX-Gly-Phe-Gly-Ph
e-DSH・Ac複合体(49mg、MTX 含量:6.0%)を得た。本
複合体のMTXとペプチドのモル比は、式2から1.2
と算出された。
【0048】(実施例8)実施例1と同様の方法で、D
SH(100mg )に N-Boc-Gly-Phe-Gly-Gly-OH (43.6m
g)の活性エステルを作用させ、 Boc-Gly-Phe-Gly-Gly-
DSH複合体を得た後、この全量をN−アセチル化して、
Boc-Gly-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(99mg)を得た。
本複合体の N-Boc- ペプチド含量は、紫外部(258nm)の
吸光度分析によると、14.4%(重量%)であった。
実施例1と同様の方法で、この複合体(80mg)を酸処理
して、 H-Gly-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(69mg、ペプ
チド含量:11.4% )を得た後、この50mgにMTX(4
5.4mg)を活性エステルを作用させて、 MTX-Gly-Phe-Gl
y-Gly-DSH・Ac複合体(59mg、MTX 含量:12.5% )を得
た。本複合体のMTXとペプチドのモル比は、式2から
0.92と算出された。
【0049】(実施例9)実施例1と同様の方法で、D
SH(100mg )に N-Boc-Phe-Gly-Phe-Gly-OH (52.7m
g)の活性エステルを作用させ、 Boc-Phe-Gly-Phe-Gly-
DSH複合体を得た後、この全量をN−アセチル化して、
Boc-Phe-Gly-Phe-Gly-DSH・Ac複合体(99mg)を得た。
本複合体の N-Boc- ペプチド含量は、紫外部(258nm)の
吸光度分析から、6.8%(重量%)と算出された。実
施例1と同様の方法で、この複合体(80mg)を酸処理し
て、 H-Phe-Gly-Phe-Gly-DSH・Ac複合体(59mg、ペプチ
ド含量:6.3%)を得た後、この50mgにMTX(45.4m
g)を活性エステルを作用させて、 MTX-Phe-Gly-Phe-Gl
y-DSH・Ac複合体(54mg、MTX 含量:5.4%)を得た。本
複合体のMTXとペプチドのモル比は、式2から0.9
2と算出された。
【0050】(実施例10)実施例1と同様の方法で、
DSH(100mg )に N-Boc-Gly-Gly-Gly-OH (28.9mg)
の活性エステルを作用させ、 Boc-Gly-Gly-Gly-DSH複合
体を得た後、この全量をN−アセチル化して、 Boc-Gly
-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(99mg)を得た。実施例1と同
様の方法で、この複合体(80mg)を酸処理して、 H-Gly
-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(60mg)を得た後、この50mg
にMTX(45.4mg)を活性エステルを作用させて、 MTX
-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(54mg、MTX 含量:10.0%
)を得た。
【0051】(実施例11)DSH(100mg )を0.5
% NaHCO3 水溶液(10ml)に溶解した後、N,N
−ジメチルホルムアミド(16ml)を加えて均一な溶液と
した。 pMZ-Gly-Gly-Gly-OH (141mg )を4mlのN,N
−ジメチルホルムアミドに溶解した後、N−ヒドロキシ
スクシンイミド(46mg)とN,N´−ジンクロヘキシル
カルボジイミド(79mg)とを加え、室温で3.5時間反
応させた。この反応液の全量を前記DSH溶液に加え、
4℃で20時間反応させた。反応液エタノール(80ml)
中に加え、析出した沈殿物を集め、真空下で乾燥して、
pMZ-Gly-Gly-Gly-DSH複合体を得た。この複合体の全量
をN−アセチル化して、 pMZ-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合
体(106ml )を得た。本複合体の紫外部吸収スペクトル
およびゲル濾過溶出パターンは各々、図9および図10
に示される通りである。本複合体の pMZ−ペプチド含量
は、紫外部(272nm )の吸光度分析によると、20%
(重量%)であった。本複合体(98mg)を実施例1と同
様の方法で酸処理して、 H-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体
(86mg)を得た。この複合体の紫外吸収スペクトルは図
11に示される通りである。本複合体のペプチド含量
は、式1に従って、11%と算出された。この50mgに
MTX(32mg)の活性エステルを作用させて、MTX-Gly-
Gly-Gly-DSH ・Ac複合体(60mg、MTX 含量:21% )を得
た。本複合体の紫外部吸収スペクトルおよびゲル濾過溶
出パターンは各々図12および図13に示される通りで
ある。本複合体のMTXとペプチドのモル比は、式2か
ら0.97と算出された。
【0052】(実験例1)体内動態 ウィスター系の雌性ラット(6週齢、110g前後)にウォ
ーカー256ラット乳癌細胞を1×107 個鼠径部皮下
に移植し、6日後の担癌ラットを実験に用いた。
【0053】投与液は、3 H−標識複合体を、対応する
非放射性の複合体(実施例1の MTX-Phe-Phe-Gly-Gly-D
SH・Ac)を溶解した生理食塩水溶液で適宜希釈した後、
複合体10mg/kg を1群3匹のラットの頸静脈内に投与し
た。3 H−MTXも同様に調製し、2mg/kg投与した。
【0054】ここで3 H−標識複合体は、実施例1で得
た H-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体(2mg )に250
μCiの3 H−MTX(65.7mCi/mg,Amersham 社)を含む
MTX(1.8mg )の活性エステルを作用させて合成し
た。
【0055】エーテル麻酔下に頸静脈より経時的(30
分、1時間、2時間、4時間および6時間)に採血を行
い血漿を分離した。投与後24時間にエーテル麻酔下に
採血を行い、放血死させ、血漿および癌組織を採取し、
全体あるいは一部を秤量後、放射能を測定した。
【0056】試料中の放射能はコンバストコーンに採取
した試料を乾燥後、自動試料燃焼装置(ASC−11
3,ALOKA)にて燃焼させた後、シンチレーター
(AQUASOL−2,NEN)を加えて、液体シンチ
レーションカウンター(LSC−3600,ALOK
A)にて測定し、外部標準線源法により補正し、濃度を
測定した。
【0057】複合体の担癌ラットにおける血漿中濃度推
移は図14に示される通りである。複合体はMTXに比
べ血中滞留性が優れていることが明らかとなった。また
図15に示されるように、投与24時間後の複合体の腫
瘍内濃度は0.47%of dose/gであるのに対して、MTX
は0.04% of dose/g であり、複合体の腫瘍内濃度が高
いことが認められた。
【0058】(実験例2)抗腫瘍効果 ウィスター系の雌性ラット(6週齢、110g前後)にウォ
ーカー256ラット乳癌細胞を1×107 個鼠径部皮下
に移植し、3日後に実施例3の MTX-Phe-Phe-Gly-Gly-D
SH・Ac複合体またはMTXを尾静脈内に投与した。癌移
植7日後に、ラットを放血死させ、腫瘍を摘出し、重量
を測定することにより、抗腫瘍効果を判定した。結果は
図16に示される通りである。
【0059】腫瘍内濃度を反映して、複合体(ED50
2.0mg/kg)はMTX(ED50:6.4mg/kg)に比
べ3倍以上の抗腫瘍効果を示し、複合体は有用な高分子
医薬であることが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【図1】Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体の紫外部
吸収スペクトルを示した図である。(濃度:2mg/ml、溶
媒:水−エタノール(7:3,v/v ))
【図2】Boc-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体のゲル濾
過溶出パターンを示した図である。(カラム:TSKgel G
4000PWxL、溶出液:0.1M NaCl 、検出:258nm における
紫外部吸収)
【図3】H-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体の紫外部吸
収スペクトルを示した図である。(濃度:1.9mg/ml、溶
媒:水−エタノール(7:3,v/v ))
【図4】H-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体のゲル濾過
溶出パターンを示した図である。(カラム:TSKgel G40
00PWxL、溶出液:0.1M NaCl 、検出:258nm における紫
外部吸収)
【図5】MTX-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体の紫外・
可視部吸収スペクトルを示した図である。(濃度:102
μg/ml、溶媒:0.1% NaHCO3
【図6】MTX-Phe-Phe-Gly-Gly-DSH・Ac複合体のゲル濾
過溶出パターンを示した図である。(カラム:TSKgel G
4000PWxL、溶出液:0.1M NaCl 、検出:307nm における
紫外部吸収)
【図7】MTX-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体の紫外・
可視部吸収スペクトルを示した図である。(濃度:110
μg/ml、溶媒:0.1% NaHCO3
【図8】MTX-Ala-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体のゲル濾
過溶出パターンを示した図である。(カラム:TSKgel G
4000PWxL、溶出液:0.1M NaCl 、検出:307nm における
紫外部吸収)
【図9】pMZ-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体の紫外部吸収
スペクトルを示した図である。(濃度:520 μg/ml、溶
媒:0.1% NaHCO3
【図10】pMZ-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体のゲル濾過
溶出パターンを示した図である。(カラム:TSKgel G40
00PWxL、溶出液:0.1M NaCl 、検出:272nm における紫
外部吸収)
【図11】H-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体の紫外部吸収
スペクトルを示した図である。(濃度:510 μg/ml、溶
媒:0.1% NaHCO3
【図12】MTX-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体の紫外・可
視部吸収スペクトルを示した図である。(濃度:46μg/
ml、溶媒:0.1% NaHCO3
【図13】MTX-Gly-Gly-Gly-DSH・Ac複合体のゲル濾過
溶出パターンを示した図である。(カラム:TSKgel G40
00PWxL、溶出液:0.1M NaCl 、検出:307nm における紫
外部吸収)
【図14】複合体の担癌ラットにおける血漿中濃度の推
移を示した図である。
【図15】投与24時間後の複合体およびMTXの腫瘍
内濃度を示した図である。
【図16】複合体およびMTXの抗腫瘍効果を示した図
である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱N硫酸化されたヘパリンのアミノ基の一
    部にペプチド鎖が導入され、残りのアミノ基がアセチル
    化されてなる、ヘパリン誘導体およびその塩。
  2. 【請求項2】下記の一般式(I)および(II)で表され
    る単位を含んで構成され、ゲルろ過法による分子量が7
    ×104 〜1×103 である、請求項1記載のヘパリン
    誘導体。 【化1】 (上記式中、 Rは水素原子または基SOHを表し、 Xは1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含んでな
    るペプチド鎖を表し、 Pは水素原子、水酸基または保護基を表し、 Yは水素原子またはC1〜4アシル基を表し、 波状線はアキシアル結合またはエクアトリアル結合を表
    す。)
  3. 【請求項3】XPが下記から選択されるものである、請
    求項1または2記載のヘパリン誘導体。 P−Phe-Phe-Gly-Gly- P−Ala-Gly-Gly-Gly- P−Phe-Phe-Gly- P−Gly-Phe-Gly-Gly- P−Phe-Gly-Phe-Gly- P−Gly-Phe-Gly-Phe- P−Gly-Gly-Gly-
  4. 【請求項4】請求項1〜3いずれか一項記載のヘパリン
    誘導体またはその塩からなる、薬物担体。
  5. 【請求項5】請求項1〜3いずれか一項記載の誘導体の
    Pで表される水素原子または水酸基が、さらに基−OR
    、−CORまたは−NR(ここで、 基−ORは、一般式ROHで表されるアルコール性
    水酸基を有する医薬化合物のアルコール性水酸基から水
    素原子を除いた残基を表し、 基−CORは、一般式RCOOHで表されるカルボ
    キシル基を有する医薬化合物のカルボキシル基から水酸
    基を除いた残基を表し、 基−NRは、一般式RNHで表されるアミ
    ノ基を有する医薬化合物のアミノ基から水素原子を一個
    除いた残基を表す)で置換されてなる、ヘパリン誘導体
    −薬物複合体。
  6. 【請求項6】RCOOHがメトトレキサートである、
    請求項5記載のヘパリン誘導体−薬物複合体。
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