JPH0680694A - 創傷治癒に活性のあるポリペプチド・ポリマーイオン複合体 - Google Patents

創傷治癒に活性のあるポリペプチド・ポリマーイオン複合体

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JPH0680694A
JPH0680694A JP3220614A JP22061491A JPH0680694A JP H0680694 A JPH0680694 A JP H0680694A JP 3220614 A JP3220614 A JP 3220614A JP 22061491 A JP22061491 A JP 22061491A JP H0680694 A JPH0680694 A JP H0680694A
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arg
gly
polypeptide
ionic complex
ser
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JP3220614A
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Inventor
Michael D Pierschbacher
ディー. ピルッシュバッカー マイケル
W Porareku James
ダブリュー. ポラレク ジェームズ
J Saipus Nancy
ジェイ. サイプス ナンシー
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Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute
La Jolla Cancer Research Foundation
Original Assignee
Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute
La Jolla Cancer Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 創傷の急速な治癒を促進するのに有用なポリ
ペプチド・ポリマーイオン複合体を提供する。 【構成】 アミノ酸配列Arg-Gly-Aspまたは(D-Arg)-Gly
-Aspを含むポリペプチドと、コンドロイチン硫酸のよう
な生分解性ポリマーとが、イオン相互作用により結合し
ている。このポリペプチドは細胞付着促進活性を有す
る。生分解性ポリマーが結合しても、このポリペプチド
の細胞付着促進活性は実質的に減少しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生分解性ポリマーとイ
オン複合体(conjugate)を形成したポリペプチドに関
し、さらに詳しくは、ポリペプチドと生分解性ポリマー
とのイオン複合体であって、ポリペプチドおよび生分解
性ポリマーの荷電部分間におけるイオン相互作用により
形成されたイオン複合体に関する。本発明は、また、こ
のようなイオン複合体を用いて、ヒトを含む動物におけ
る創傷の治癒を促進させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】眼の障害(例えば、乾性眼(dry eye)、
角膜の潰瘍など)および皮膚の創傷(例えば、褥瘡性潰
瘍、重度の熱傷、糖尿病性潰瘍など)の治癒が遅かった
り、治癒できないことは、数百万人の人々に影響を及ぼ
し、多くの患者に激しい苦痛を与え、あるいは死をもた
らす重大な医学的問題である。外科的創傷の治癒もま
た、特に、高齢者や糖尿病患者および視力の矯正や他の
眼の手術が原因の者には問題である。創傷は、その原
因、形態および冒された組織の点からは非常に様々に異
なるが、共通の治癒機構を有している。各修復過程にお
いては、最終的に、正しい種類の細胞が、効力を有する
のに充分な数だけ、創傷部位に移動することが必要であ
る:すなわち、創傷を創縁切除するマクロファージ;細
胞外マトリックスが損傷を受けた創傷内に、新しいコラ
ーゲンおよび他の細胞外マトリックス成分を形成する線
維芽細胞;血液を供給する毛細管内皮細胞;ならびに最
終的に創傷を覆う上皮細胞などである。
【0003】創傷を受けていない真皮の構造および強さ
の大部分は、細胞と細胞外マトリックスとの相互作用に
依存している。このマトリックスには、多くの種類の細
胞の付着を助けることが知られているいくつかのタンパ
クが含まれている。これらのタンパクとしてはフィブロ
ネクチン、ビトロネクチン、トロンボスポンジン、コラ
ーゲンおよびラミニンが挙げられる。フィブロネクチン
は創傷を受けていない皮膚中には比較的低い濃度で存在
するが、創傷を受けた後すみやかにフィブロネクチンの
沈着が起こる。組織が損傷を受けた場合には、細胞外マ
トリックスが置き換えられて、細胞の付着および移動を
助ける足場を与えなければならない。
【0004】足場を与えることに加えて、細胞外マトリ
ックスは細胞の増殖および分化を導くこともできる。そ
れゆえ、細胞外マトリックスは正しい組織の形状が回復
されるような方式で組織の治癒を導くことができる。外
因性のフィブロネクチンを創傷に用いると、創傷部位の
強さが増大し、上皮が移動し、コラーゲンが沈着するこ
とになる。しかし、価格、利用可能性および不安定性な
どの多くの点を考慮すると、フィブロネクチンまたは他
の細胞外マトリックスタンパクは、このような治療に対
して決して理想的なものではない。さらに、血液製剤の
場合、細胞外マトリックスタンパクは伝染病を媒介する
ことがある。
【0005】フィブロネクチンを用いた治療に加えて、
細胞増殖因子(例えば、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、表
皮細胞成長因子(EGF)など)を与えることにより治癒を
促進する試みもなされた。さらに行われた実験による
と、このような因子は結果的には創傷の治療に有用とな
り得るものの、血管が著しく新生化した組織を与えると
いう異常な治癒をもたらし、制御するのが困難であるこ
とがわかっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現在、フィブロネクチ
ンおよび他の接着性タンパクの細胞結合領域が、アミノ
酸配列Arg-Gly-Asp-X(アミノ酸に対する標準的な1文
字記号により、RGD-Xとも呼ばれる)に局在化している
ことは知られている。ここで、Xは、このポリペプチド
が細胞付着促進活性を有するような種々のアミノ酸また
は置換基であり得る。Arg-Gly-Aspを含むポリペプチ
ド、およびその用途については、例えば、下記の発行さ
れた米国特許および係属中の米国特許出願に開示されて
いる:すなわち、米国特許第4,578,079号および第4,61
4,517号;米国特許出願第744,981号および第738,078号
である。これらの発見に基づいて、特定の細胞表面受容
体に対して様々な特異性を有する種々のArg-Gly-Asp含
有ポリペプチドの作成に関する研究が進められている。
【0007】このように、創傷の部位への細胞の移動お
よび付着を促進するのに効果的な薬剤が必要とされてい
る。本発明者らは国際特許出願第PCT/US89/05771号にお
いて、細胞に細胞移動のための付着基盤を提供すること
により、多くの異なった創傷の治癒を助けるために使用
される「合成マトリックス」のひとつとして、Arg-Gly-
Aspを含むポリペプチドと生分解性ポリマーとの複合体
を開示した。このポリペプチドと生分解性ポリマーとの
結合様式は特に限定されないが、このような薬剤は、一
般に、調製するのが容易であり、低価格であり、無菌で
あり、そして安定性および効力が持続する必要がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに研
究を重ねた結果、上記のポリペプチドと生分解性ポリマ
ーとを特にイオン相互作用により結合させたイオン複合
体が、上記要求を満足するだけでなく、共有結合性の相
互作用により結合させた化学複合体に比べて、創傷治癒
を促進する効力の点で優れていることを見いだした。
【0009】本発明は、アミノ酸配列Arg-Gly-Aspまた
は(D-Arg)-Gly-Aspを含み、創傷の急速な治癒を促進す
るのに有用なポリペプチド・ポリマーイオン複合体と、
このポリペプチド・ポリマーイオン複合体を用いて創傷
を治癒する方法を提供する。特に、本発明のイオン複合
体は、(a)アミノ酸配列Arg-Gly-Aspまたは(D-Arg)-Gly-
Aspを含み、細胞付着促進活性を有するポリペプチド
と、(b)該ポリペプチドの細胞付着促進活性を実質的に
減少させることなく、イオン相互作用により該ポリペプ
チドに結合した生分解性ポリマーとを含有する。本発明
のポリペプチドは、イオン結合を容易に形成するため
に、電荷をもつアミノ酸、好ましくは同じ電荷をもつア
ミノ酸のグループを含む。
【0010】本発明のイオン複合体においては、アミノ
酸配列Arg-Gly-Aspまたは(D-Arg)-Gly-Aspを含むポリペ
プチドがイオン相互作用により生分解性ポリマーに結合
している。このような生分解性ポリマーの例としては、
コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ポリ乳
酸、ポリグリコール酸、デンプンまたはコラーゲンが挙
げられる。
【0011】さらに、本発明は、ポリペプチドと生分解
性ポリマーとを含有するイオン複合体を製造する方法を
提供する。この製造方法は、ポリペプチドを生分解性ポ
リマーと混合して、イオン相互作用の形成を促進する工
程を包含する。さらに、本発明は、アミノ酸配列Arg-Gl
y-Aspまたは(D-Arg)-Gly-Aspを含むポリペプチドと生分
解性ポリマーとのイオン複合体を用いることにより創傷
を治療する方法を提供する。
【0012】ペプチド・ポリマー複合体は、各成分の共
有結合性または非共有結合性の相互作用により形成され
得る。本願に記載の複合体は、イオン複合体を形成する
相対する電荷をもつ成分の相互作用を利用する。イオン
相互作用は、生理的条件下で成分が複合形態を維持する
のに充分な強度を有する。このようなイオン複合体は、
共有結合性の相互作用による化学複合体(以下では単に
化学複合体と呼ぶ)に比べて以下の利点を有する: 1)創傷治癒の促進効果:インビボにおける創傷に対
し、イオン複合体は、同一濃度の化学複合体に比べて、
著しく治癒を促進する(実施例3)。
【0013】2)製造の容易さ:イオン複合体は適当な
条件下で2つの成分を混合すると形成されるが、一方化
学的な複合体形成には、コストのかかる化学薬品、幾つ
かの煩雑な激しい工程およびより長い時間が含まれ得
る。
【0014】3)精製:化学複合体は、複合体から特徴
付け除去しなければならない反応副生成物を、しばしば
含む。このような副生成物はイオン複合体では形成され
ない。
【0015】4)精製物の改変:化学的架橋剤の使用に
より、成分が化学的に改変される可能性がある。この改
変は生物学的活性に負の影響を与え得る。さらに、改変
物は単離され特徴付けられる必要がある。イオン複合体
は改変された成分を有さず、従って特徴付けが容易であ
る。
【0016】創傷が自然に治癒する際には、細胞の移動
と、細胞による細胞外マトリックスの合成とにより、組
織が置き換わる。この過程は時間がかかり、多くの場
合、完結するまでには1年以上を必要とする。そして、
この過程により、瘢痕が形成され、創傷を受けていない
周囲の組織よりも弱い組織となる。例えば、角膜のよう
な比較的血管の存在しない組織では、創傷治癒に関する
応答が最小となり、生じた瘢痕は周囲の組織よりも著し
く弱い。
【0017】本発明は、細胞が移動するための付着ベー
スを細胞に提供することにより、多くの異なった創傷の
治癒を助けるために用いられ得る安定な「合成マトリッ
クス」を提供する。
【0018】本発明の「合成マトリックス」には、生分
解性ポリマーと、細胞が移動する際に結合部位として使
用できるポリペプチド配列とを有するイオン複合体が含
まれる。好ましくは、このポリペプチドはアミノ酸配列
Arg-Gly-Aspまたは(D-Arg)-Gly-Aspを含んでいる。この
イオン複合体は創傷への細胞移動を促進し、治癒の速度
を速める一時的な置換マトリックスとして作用する。創
傷が治癒するにつれて、イオン複合体は移動中の細胞に
より徐々に分解され、天然の置換マトリックスと置き換
わる。このように、合成マトリックスは細胞の移動およ
び付着のための基質として作用する。
【0019】アミノ酸配列Arg-Gly-Asp-Xを含む合成ポ
リペプチドは創傷治癒の応答を改善する可能性を有す
る。上皮細胞種および線維芽細胞種が、これらの配列に
対する受容体を含んでいることは知られている。これら
の配列は、それらを有するタンパクが存在する領域への
細胞移動を促進する。
【0020】眼における創傷の場合には、これらの合成
マトリックスを点眼剤の処方中に含有させることができ
る。イオン複合体は損傷を受けた角膜の組織表面に付着
し、アミノ酸配列Arg-Gly-Aspが損傷を受けた組織への
細胞移動と細胞付着とを促進するようにさせる。
【0021】皮膚における創傷の場合には、これら2つ
の成分は、好ましくは、水和したマトリックスに連結し
たポリペプチドを有する粘着性の半ゲル(semi-gel)を形
成する。半ゲルはマトリックスが破壊された単数または
複数の部位の創傷に直接載置される。さもなければ、創
傷は通常の様式で処理される。半ゲルであるので、イオ
ン複合体は、患者が動くというような物理的効果によ
り、あるいは患者自身の体による吸収により、創傷部位
から拡散することはない。
【0022】本発明の好ましいアミノ酸配列の一部はフ
ィブロネクチンに由来する。フィブロネクチンは、損傷
を受けていない真皮中には低レベルで存在し、損傷を受
けた真皮中には高レベルで存在するような天然に存在す
るタンパクである。フィブロネクチンは、傷害によって
失われた細胞と置き換わる細胞が移動するための結合部
位を与えるので、治癒における重要な要素であることが
示されている。細胞の結合に必要なフィブロネクチン中
のアミノ酸配列は、Arg-Gly-Asp-Xであり、ここで、Xは
セリンである。しかし、Xは、このポリペプチドが細胞
付着促進活性を有するような他のアミノ酸または置換基
であり得る(Pierschbacher and Ruoslahti, Proc. Nat
l. Acad. Serci. USA 81:5985-5988 (1984))。Arg-Gly
-Aspは、ビトロネクチン、コラーゲン、フィブリンおよ
びテナシンを含む他の数多くの接着性タンパクにおける
細胞付着促進配列でもある。この配列を含む合成ポリペ
プチド類は、不溶性の基質として与えられた場合には、
細胞付着を促進させることができ、溶液として与えられ
た場合には、フィブロネクチンまたは他の接着性タンパ
クに対する細胞の付着を阻害することができる。このポ
リペプチドは直線状であるか、あるいは環状であり得
る。
【0023】このポリペプチドに対するいくつかの受容
体が様々な細胞種において同定されている(Pytela et
al., Cell 40:191-198 (1985); Ruoslahti and Piersch
bacher, Science 238:491-497 (1987))。付着される細
胞の種類によっては、Arg-Gly-Asp-X配列を、各々の受
容体に対して優先的に結合するように修飾してもよい。
そうすれば、この配列は各々の種類の細胞を引き付ける
ことができる(Pierschbacher and Ruoslahti, J. Bio
l. Chem. 262:14080-14085 (1987))。さらに、ほとん
どの細胞外マトリックスタンパクは、細胞接着を増大さ
せると考えられる塩基性の「ヘパリン結合」領域を含ん
でいる。この特質は、ポリアルギニン、ポリリジンまた
はポリオルニチンにより、あるいは他の塩基性残基によ
り模倣され得る。
【0024】イオン複合体を形成するために、本発明の
ポリペプチドは、電荷をもつアミノ酸を含むか、あるい
は同じ電荷をもつアミノ酸のグループを含む。好ましい
ポリペプチドは、同じ電荷をもつ近接したアミノ酸を少
なくとも2つ含み、さらに好ましくは、このようなアミ
ノ酸を少なくとも3つ含む。例えば、正電荷をもつアミ
ノ酸のグループとしては、1つまたはそれ以上のArg、H
is、またはLysの組合せから選択することができる。他
方、負電荷をもつアミノ酸のグループとしては、1つま
たはそれ以上のAspまたはGlyの組合せが含まれる。
【0025】したがって、本発明において、生分解性ポ
リマーと組み合わせると創傷の治癒を促進するのに有用
なポリペプチドとしては、以下のアミノ酸配列を有する
ものが挙げられる: Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Asp Ser Pro Lys(配列
番号:1); MeGly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-
Arg Gly Asp Ser ProAla Ser Ser Lys; Gly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Ar
g Gly Asp Ser ProAla Ser Ser Lys; MeGly D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gly Asp Ser Pr
o Ala Ser Ser Lys; D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly D-Arg D-Arg D-Arg D-Ar
g D-Arg Gly Gly GlyD-Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser S
er Lys; MeGly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gl
y Asp Ser Pro AlaSer Ser Lys; MeGly Gly D-Arg D-Arg Gly Asp Thr Pro Ala Ser Ser
Lys;および MeGly D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gly Asp
Ser Pro Ala Ser SerLys。
【0026】ここで、Argはアルギニン;D-ArgはD型の
アルギニン;Glyはグリシン;Aspはアスパラギン酸;Se
rはセリン;Proはプロリン;Lysはリジン;Alaはアラニ
ン;およびMeGlyはN-メチルグリシン、すなわちサルコ
シンである。
【0027】これらのポリペプチドは合成物であり、例
えば、フィブロネクチンに比べて製造が比較的容易であ
り、血液から抽出する必要もない。さらに、例えば、フ
ィブロネクチンに比べてポリペプチドの寸法が小さいの
で、所定容量の生分解性ポリマーに対して付着する結合
部位が多くなる。これらのポリペプチドは、また、溶液
状態のフィブロネクチンよりもずっと安定である。特
に、D-Argはプロテアーゼ耐性を与える。これらのポリ
ペプチドは種特異的な免疫学的決定因子を有しないの
で、獣医学的用途およびヒトへの用途の両方に使用され
得る。このようなポリペプチドは、Arg、Lys、オルニチ
ン、または他の塩基性残基のD型もしくはL型から選択さ
れる少なくとも2つのアミノ酸からなる少なくとも1つ
のグループを、アミノ酸配列Arg-Gly-AspのN末端側に含
んでいる。しかし、電荷をもつ残基をC末端側に配置し
ても、所望の相互作用を与えることができる。
【0028】適当な生分解性ポリマーは、関心のあるポ
リペプチドに含まれる電荷をもつアミノ酸のグループに
基づいて、好ましくはポリペプチドとは反対の電荷に少
なくとも相当する電荷に基づいて、選択され得る。正電
荷をもつアミノ酸のグループがポリペプチド上に存在す
る場合には、生分解性ポリマーは、例えば、コンドロイ
チン硫酸上の硫酸基のように負電荷をもつ必要がある。
負電荷をもつ基を含むポリペプチドは、例えば、長鎖の
ポリアミンのように正電荷をもつ置換基を含むポリマー
とイオン複合体を形成する必要がある。ポリペプチド上
の電荷をもつ基とポリマーとの間のイオン相互作用はイ
オン複合体の形成を促進する。当業者は本発明に有用な
ポリペプチドとポリマーとの適当な電荷の組合せを容易
に決定できる。
【0029】好ましい生分解性ポリマーはコンドロイチ
ン硫酸であるが、これは露出したコラーゲン/マトリッ
クスと特異的に結合する能力を有するからである。ポリ
ペプチド・コンドロイチン硫酸イオン複合体は特に眼へ
の用途に有用である。このようなイオン複合体は点眼剤
のような液体状で与えられ得る安定な溶液を形成する。
【0030】有用な他の生分解性ポリマーとしては、ヘ
パリン、ヘパリン硫酸、デキストラン、ポリラクテート
およびポリグリコール酸が挙げられる。さらに、これら
の物質は、架橋させてゲルを形成するか、あるいは網目
様構造を形成することにより、皮膚への用途に使用され
得る。
【0031】本発明のイオン複合体は多くの方法によっ
て製造できる。好ましくは、ポリペプチドと生分解性ポ
リマーとを混合するか、あるいは振盪することにより、
これら2つの成分間におけるイオン結合の形成を容易に
する。これらの成分間にイオン相互作用を生じさせる他
の方法は当業者に周知である。アミノ酸配列Arg-Gly-As
pを含むポリペプチドとコンドロイチン硫酸という好ま
しい成分は、ポリペプチドに対するコンドロイチン硫酸
の飽和度を下回る割合である。
【0032】ポリペプチド・ポリマーイオン複合体はゲ
ルまたは半ゲルを形成し得る。例えば、コンドロイチン
硫酸・ポリペプチドイオン複合体のような、ある種のイ
オン複合体は、通常液体として製造される。例えば、ヒ
アルロン酸のような第2のポリマーはコンドロイチン硫
酸と共に用いてゲルまたは半ゲルを製造することができ
る。さらに、半ゲルの粘度はイオン複合体を形成しない
ヒアルロン酸のような水溶性ポリマーを添加することに
より変化させ得る。半ゲルは創傷部位に直接載置して、
人工的な生分解性のマトリックスを与えることにより、
治癒を助けることができる。TFG-βまたは血小板由来成
長因子(PDGF)のような成長因子をイオン複合体と共に用
いると、治癒をさらに促進することができる。また、生
分解性の網目状材料または他の移植材料をイオン複合体
で被覆するか、イオン複合体それ自体をシート状または
スポンジのような他の形状に成形するか、あるいは安定
な溶液として提供し得る。このようなイオン複合体は、
切傷またはすり傷を受けたり、あるいは損傷を受けた体
組織に伴うあらゆる創傷に使用され得る。このような創
傷としては、例えば、角膜の創傷および切開、慢性皮膚
潰瘍、および熱傷が挙げられる。イオン複合体を適用す
ることにより、例えば、軟骨、骨、神経組織のような組
織の再生を促進させることもできる。
【0033】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
これらの実施例は本発明をさらに詳しく説明することを
意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意
図したものではない。
【0034】(実施例1) [ポリペプチド合成]まず、アミノ酸配列Gly D-Arg D-
Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-ArgGly Asp Ser
Pro Ala Ser Ser Lysを有するポリペプチドを、製造業
者の手引きに従って自動ペプチド合成装置(Model 430
A; Applied Biosystems, Foster City, California)を
用いて合成した。フッ化水素を用いて樹脂からポリペプ
チドを開裂させた後、得られたポリペプチドを冷エチル
エーテル中で洗浄し、氷冷したエーテルを用いてトリフ
ルオロアセテートの溶液から沈澱させた。これらのポリ
ペプチドを再び蒸留水に溶解し、そして凍結乾燥させ
た。得られたポリペプチドを、さらに、Waters Bondapa
kTM C18(3 x 30cm;10μm の詰め物, Waters Assoc.,
Milford, MA)を用いたHPLCにより精製した。実施例4
で述べる他のポリペプチド類も同じ方法により調製され
た。
【0035】(実施例2) [ポリペプチド・コンドロイチン硫酸イオン複合体の調
製]ポリペプチド・コンドロイチン硫酸イオン複合体を
調製するために、まず、実施例1に従って合成した5mg
/mlのポリペプチドと55mg/mlのコンドロイチン硫酸(Se
ikagaku Corp., Tokyo, Japan)を滅菌水中で水和させ
た。イオン複合体は、製造業者の手引きに従って、Pell
icon Ultrafiltration System(Millipore Corp., Bedf
ord, MA)で透析濾過することにより精製された。この
システムは、遮断分子量が10,000であるような低タンパ
ク結合性の再生セルロースメンブレンを利用している。
不純物は高純粋の滅菌水を5回交換することにより除去
された。次いで、イオン複合体を凍結させ、そして凍結
乾燥させた。次いで、得られた薬物を、緩衝液(溶剤)
中に50mg/ml(±10%)の割合で配合した。溶剤は以下の
表1に示すように、クエン酸およびリン酸で緩衝化され
た様々な塩類およびデキストロースを用いて調製され
た。
【0036】
【表1】 水和させた後、重量オスモル濃度をNaClで290〜300mOsm
に調節した。その後、この溶液を、0.22μのフィルタ
(Millipore Corp., Bedford, MA)でフィルタ滅菌し
た。
【0037】得られたイオン複合体のイオン結合度は、
Centricon微量濃縮器ユニット(Centricon10, Amicon,
Beverly, MA)を用いて、遮断分子量10,000で分析して
確認した。メンブレンは、10,000またはそれ以上の分子
量を有する分子を保持するように設計された。コンドロ
イチン硫酸は、この遮断分子量よりも大きい分子量を有
するので、ユニット上部の区画室に残存するのに対し、
イオン複合体を形成していないポリペプチド成分は、こ
の遮断分子量よりも小さい分子量を有するので、メンブ
レンを通過し、下部の隔室に入る。コンドロイチン硫酸
とイオン複合体を形成したポリペプチドもまた上部の区
画室に保持される。製造業者の手引きに従って遠心分離
した後、上部および下部の区画室内の物質に対して、ポ
リペプチドの定量を行った。
【0038】ポリペプチドの濃度はトリニトロベンゼン
スルホン酸(TNBS)分析法により決定した。TNBS分析法
は、1級アミン、アミノ酸およびペプチドを定量するた
めの比色分析法であり、当業者に周知である。ポリペプ
チドの定量はイオン複合体を形成したポリペプチドの量
を測定するのに使用された。この分析によると、すべて
のポリペプチドは上部の区画室に保持される。ポリペプ
チド定量の結果は、ポリペプチドとコンドロイチン硫酸
との間のイオン相互作用により、単一のイオン複合体が
形成されていることを示している。
【0039】(実施例3) [インビボでの効力実験]実施例2で得られたイオン複
合体の乾性眼に対する効力を、ネコをモデルとして試験
した。モデルのネコは、Dean A. McGee(Eye Institut
e, Oklahoma City,Oklahoma)から提供された。涙腺を
除去した後、乾性眼の状態をローズベンガル染色法およ
びインプレッション細胞診断法により確認した。ローズ
ベンガル染色法は、損傷を受けた上皮細胞を染色するた
めの周知の方法である。インプレッション細胞診断法で
は、当該分野で周知の方法に従って、眼の表面にセルロ
ースアセテート濾紙を張り付けることにより、結膜と角
膜との境界から表層が除去された。次いで、インプレッ
ションを固定し、染色した後、組織学的な検査を行っ
て、0〜5段階に分類した。段階5が最も重篤であるこ
とを示す。この実験の結果を図1に示す。処理は、溶剤
かイオン複合体かを研究者に対し盲検で行い、3週間に
わたって1日あたり2滴の割合で開始した。評価の後、
処理の内容を、3週間にわたって1日あたり3滴の割合
に変更した。
【0040】また、イオン複合体と同じ濃度の化学複合
体を用いて上記と同様に試験した。イオン複合体と同じ
濃度の化学複合体はPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中
の25μMの1−エチル−3−ジメチルアミノ−プロピ
ルカルボジイミド(EDC)を用いてペプチドをコンド
ロイチン硫酸に架橋することにより製造した。コンドロ
イチン硫酸をまず、EDCに30分間混合し、次にペプ
チドを加え室温で一晩振盪した。結合しなかったペプチ
ド、過剰のEDCおよび存在する可能性のある副生成物
を、48時間透析することにより除去した。次いで複合
体を3倍容量のアセトンで沈澱させ、2000×gで遠
心分離し、そしてPBSに再水和した。溶剤はインプレ
ッション細胞診断法の評価点には影響を与えなかった
が、イオン複合体は正常な範囲まで評価点を減少させ
た。この時点で、乾性眼の状態に戻るまで、ネコから液
滴を取り除いた。これらの動物を、始めの3週間は1日
あたり2滴の割合で、次の3週間は1日あたり3滴の割
合で、溶剤中にコンドロイチン硫酸を含んだ液滴で処理
した。コンドロイチン硫酸はインプレッション細胞診断
法の評価点には影響を与えなかった;実際、状態は悪化
した。次いで、実施例2に従って調製したイオン複合体
を用いて、3週間にわたって1日あたり3滴の割合でネ
コを処理した。この処理の結果、インプレッション細胞
診断法の評価点が正常値に戻った。このことは、コンド
ロイチン硫酸ではなく、イオン複合体が角膜の治癒を増
大したことを示している。
【0041】図1から明らかなように、同じ濃度の複合
体を用いても、イオン複合体は化学複合体に比べて、イ
ンプレッション細胞診断法の評価点を急速に減少させ
た。このことは、イオン複合体が化学複合体よりも角膜
の治癒を促進する効力の高いことを示している。
【0042】(実施例4)アミノ酸配列Arg-Gly-Aspを
含むポリペプチドとコンドロイチン硫酸との間の相互作
用に有用なイオン電荷数を決定する実験を行った。イオ
ン結合は実施例2で述べたセントリコン(centricon)分
析法を用いて試験した。以下の表2に示したポリペプチ
ド類を実施例1に従って調製し、これらのポリペプチド
類を用いて、コンドロイチン硫酸とのイオン複合体を形
成した。
【0043】
【表2】 イオン複合体を溶剤または2M NaClと1:1の割合で混合
し、セントリコン(centricon)ユニットで遠心分離し
た。濃縮液中に残存するポリペプチドの量を測定するこ
とにより、これらのイオン複合体におけるイオン結合度
を分析した。その結果を図2に示す。これらの結果は、
アミノ酸配列Gly D-Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser
Lysを有するポリペプチドを用いて調製されたイオン複
合体のイオン結合度がかなり良好であり、溶剤を用いた
セントリコン(centricon)分析法に供された際に、ポリ
ペプチドのわずか25%がコンドロイチン硫酸から除去さ
れることを示している。さらに厳しい条件(2M NaCl)
下では、ポリペプチドが寄与するイオン電荷の数はポリ
ペプチドとコンドロイチン硫酸との間における相互作用
のイオン強度を明らかに増大させる。創傷治癒用とし
て、コンドロイチン硫酸とイオン複合体を形成させるの
が特に有用であると考えられるのは、WH-18ポリペプチ
ドである。創傷治癒用のWH-18ポリペプチドのアミノ酸
配列は、Gly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly
Gly D-Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lysである。
しかし、2つ程度のD-Arg残基を有するポリペプチドも
同様に、コンドロイチン硫酸と良好な相互作用を行う。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、アミノ酸配列Arg-Gly-
Aspまたは(D-Arg)-Gly-Aspを含むポリペプチドと生分解
性ポリマー(例えば、コンドロイチン硫酸)とがイオン
相互作用により結合したイオン複合体が得られる。この
ようなイオン複合体は、創傷部位での細胞の付着および
移動を促進するように設計されている。本発明のイオン
複合体は、フィブロネクチンのような接着性タンパクに
比べて、低価格であり、無菌であるという利点を有す
る。また、その安定性は、血液に由来するという問題を
さらに有する接着性タンパクに比べて非常に高い。さら
に、本発明のイオン複合体は、共有結合性の相互作用に
よる化学複合体に比べて、創傷治癒を促進する効力が高
く、製造が容易である。したがって、本発明によれば、
フィブロネクチンのような接着性タンパクや共有結合性
の相互作用による化学複合体を用いた場合に比べて、創
傷を速やかに治癒させる低価格で安全かつ安定な手段
を、多くの患者に幅広く提供することができる。
【0045】
【配列表】
【0046】
【配列番号:1】 配列の長さ:11 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0047】
【配列番号:2】 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【図面の簡単な説明】
【図1】ネコをモデルとして行われた本発明のイオン複
合体の乾性眼に対する効力試験の結果を示すグラフ図で
ある。
【図2】いくつかのポリペプチド・コンドロイチン硫酸
イオン複合体の相対的なイオン強度を示すグラフ図であ
る。
【図3】ポリペプチドとコンドロイチン硫酸とを含む本
発明のイオン複合体の概略構造を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 15/12 8517−4H // C07K 99:00 (72)発明者 ジェームズ ダブリュー. ポラレク アメリカ合衆国 カリフォルニア 92014, デル マール,ビア ピサ 2590 (72)発明者 ナンシー ジェイ. サイプス アメリカ合衆国 カリフォルニア 92117, サンディエゴ,ゲイロード ドライブ 5245

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)アミノ酸配列Arg-Gly-Aspまたは(D-Ar
    g)-Gly-Aspを含み、細胞付着促進活性を有するポリペプ
    チドと、(b)イオン相互作用により、該ポリペプチドの
    細胞付着促進活性を実質的に減少させることなく該ポリ
    ペプチドに結合した生分解性ポリマーと、を含有するイ
    オン複合体。
  2. 【請求項2】前記ポリペプチドが、Lys、D-Lys、Arg、D
    -Arg、オルニチンまたはD-オルニチンから選択される少
    なくとも3つのアミノ酸が順次連なった少なくとも1つ
    のグループをさらに有する、請求項1に記載のイオン複
    合体。
  3. 【請求項3】前記ポリペプチドが、そのC末端にリジン
    (Lys)を有する、請求項1に記載のイオン複合体。
  4. 【請求項4】前記ポリペプチドが、 Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Asp Ser Pro Lys(配列
    番号:1); MeGly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-
    Arg Gly Asp Ser ProAla Ser Ser Lys; Gly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Ar
    g Gly Asp Ser ProAla Ser Ser Lys; MeGly D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gly Asp Ser Pr
    o Ala Ser Ser Lys; D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly D-Arg D-Arg D-Arg D-Ar
    g D-Arg Gly Gly GlyD-Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser S
    er Lys; MeGly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gl
    y Asp Ser Pro AlaSer Ser Lys; MeGly Gly D-Arg D-Arg Gly Asp Thr Pro Ala Ser Ser
    Lys; MeGly D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gly Asp
    Ser Pro Ala Ser SerLys;および 上記アミノ酸配列のいずれかを含むポリペプチドからな
    る群から選択される、請求項1に記載のイオン複合体。
  5. 【請求項5】前記生分解性ポリマーが、コンドロイチン
    硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ポリラクテート、ポリ
    グリコール酸、デンプンまたはコラーゲンからなる群か
    ら選択される、請求項1に記載のイオン複合体。
  6. 【請求項6】前記生分解性ポリマーがコンドロイチン硫
    酸を含む、請求項5に記載のイオン複合体。
  7. 【請求項7】前記ポリペプチドが、同じ電荷をもつ非常
    に近接した少なくとも2つのアミノ酸からなる少なくと
    も1つのグループを含む、請求項1に記載のイオン複合
    体。
  8. 【請求項8】前記グループが、正電荷をもつ同じアミノ
    酸を含むか、あるいは正電荷をもつアミノ酸の2つまた
    はそれ以上の組合せを含む、請求項7に記載のイオン複
    合体。
  9. 【請求項9】前記グループが、少なくとも2つの、アル
    ギニン残基、ヒスチジン残基、リジン残基、またはそれ
    らの組合せを含む、請求項8に記載のイオン複合体。
  10. 【請求項10】前記グループが、負電荷をもつ同じアミ
    ノ酸を含むか、あるいは負電荷をもつアミノ酸の2つま
    たはそれ以上の組合せを含む、請求項7に記載のイオン
    複合体。
  11. 【請求項11】前記グループが、少なくとも2つの、ア
    スパラギン酸残基、グルタミン酸残基、またはそれらの
    組合せを含む、請求項10に記載のイオン複合体。
  12. 【請求項12】アミノ酸配列Arg-Gly-Aspまたは(D-Arg)
    -Gly-Aspを含むポリペプチドと、少なくとも1つのカル
    ボキシル基、アミノ基またはスルフヒドリル基を含む生
    分解性ポリマーとを有し、創傷を治療し、創傷を受けた
    組織の瘢痕形成を低減させるのに有用なイオン複合体を
    調製する方法であって、 (a)同じ電荷をもつ2つのアミノ酸からなる少なくとも
    1つのグループを有し、Arg-Gly-Aspまたは(D-Arg)-Gly
    -Aspを含むポリペプチドを合成すること;および (b)
    該ポリペプチドを該ポリマーと混合して、該ポリペプチ
    ドと該ポリマーとの間におけるイオン結合の形成を促進
    させること、 を包含する調製方法。
  13. 【請求項13】請求項12の方法により調製されるイオ
    ン複合体。
  14. 【請求項14】前記ポリペプチドが、 Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Asp Ser Pro Lys(配列
    番号:1); MeGly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-
    Arg Gly Asp Ser ProAla Ser Ser Lys; Gly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Ar
    g Gly Asp Ser ProAla Ser Ser Lys; MeGly D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gly Asp Ser Pr
    o Ala Ser Ser Lys; D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly D-Arg D-Arg D-Arg D-Ar
    g D-Arg Gly Gly GlyD-Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser S
    er Lys; MeGly D-Arg D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gl
    y Asp Ser Pro AlaSer Ser Lys; MeGly Gly D-Arg D-Arg Gly Asp Thr Pro Ala Ser Ser
    Lys; MeGly D-Arg D-Arg D-Arg Gly Gly Gly D-Arg Gly Asp
    Ser Pro Ala Ser SerLys;および 上記アミノ酸配列のいずれかを含むポリペプチドからな
    る群から選択される、請求項12に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記生分解性ポリマーが、コンドロイチ
    ン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ポリラクテート、ポ
    リグリコール酸、デンプンおよびコラーゲンからなる群
    から選択される、請求項12に記載の方法。
  16. 【請求項16】前記生分解性ポリマーがコンドロイチン
    硫酸である、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】創傷に請求項1のイオン複合体を投与す
    ることを包含する、創傷の治療方法。
  18. 【請求項18】創傷に請求項13のイオン複合体を投与
    することを包含する、創傷の治療方法。
  19. 【請求項19】前記創傷が、眼の創傷、重度の熱傷、皮
    膚移植片の供与部位、褥瘡性潰瘍、糖尿病性潰瘍、外科
    手術の切開創またはケロイド形成性創傷である、請求項
    18に記載の方法。
  20. 【請求項20】組織再生が必要とされる部位に請求項1
    のイオン複合体を投与することを包含する、組織の再生
    を誘発する方法。
  21. 【請求項21】瘢痕形成を減少させるべき組織に請求項
    1のイオン複合体を投与することを包含する、瘢痕の形
    成を減少させる方法。
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JPH07138283A (ja) * 1993-11-12 1995-05-30 Shimadzu Corp ペプチド合成用支持体及びそれを用いて製造されたペプチド
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