JPH0680242U - 直熱型陰極構体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱電子放出を効率良く行なうことができる直
熱型陰極構体を提供する。 【構成】 加熱体の一部を研磨、エッチング等で除去し
て平坦部を設け、該、平坦部に電子放出体を固着する構
成とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ブラウン管やマイクロ波管等の電子管の熱電子放射性陰極として使 用される直熱型陰極構体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図３は電子管に組み込む前の従来のこの種の直熱型陰極構体の一例の構造を示 す断面図であり、図において、１は円筒形状の加熱体、２は電子放出体である。 従来このような直熱型陰極構体は、タングステン、モリブデン等の高融点金
属 、またはこれらの金属とレニウムとの合金からなる加熱体１を図に示すように曲 げ、酸化バリウムを主成分とする酸化物からなる電子放出体２を加熱体１に電着 法、吹き付け法により固着させていた。

【０００３】 図４は従来のこの種の直熱型陰極構体の他の構造を示す断面図であり、図３と 同一符合は同一または相当するものを示し、３は加熱線である。図３と同様に加 熱体に加熱線を巻き付けて、その後、電子放出体２を加熱体１および加熱体３に 電着法、吹き付け法により固着させていた。

【０００４】 このようにして製造した直熱型陰極構体を電子管に組み込んで、加熱体に電流 を流して熱電子放射によって電子を放出させる動作をおこなわせていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが上記のような構造の陰極構体では、加熱体の全体に電子放出体を固着 しているので、熱電子は不要な方向にも放出されるため効率が悪く、必要な電子 宏度を得るため多くの電流を流さねばならず、陰極部分が熱により変形するため に機械的強度の劣化が激しいという問題があった。本考案は上記の問題点を解決 し、不要な方向に放射される電子を少なくして効率良く熱電子放出が行なわれる 直熱型陰極構体を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の直熱型陰極構体は、タングステン、モリブデン等の高融点金属、また はこれらの金属とレニウムとの合金からなる加熱体の一部を研磨、エッチング等 により除去して平坦部を設け、該平坦部に酸化バリウムを主成分とする酸化物か らなる電子放出体を固着した構成としたものである。

【０００７】

【作用】

上記のような構成にすることにより、加熱体の平坦部は、他の部分より薄くな るので、この平坦部が高抵抗となり、電流が流れにくくなり、発熱が加速される 。そして加熱体の平坦部に電子放出体を固着することにより、熱電子放出面が小 さくなり、効率良く熱電子放出が行なわれるようになる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例について詳しく説明する。図１は電子管に組み込む前の 直熱型陰極構体の構造を示す断面図である。図において、図３と同一符合は同一 または相当するものを示し、４は平坦部である。

【０００９】 この直熱型陰極構体は、加熱体１に直径０．１ｍｍの３％レニウム・タングス テン線（Ｒｅ−Ｗ線）を使用し、図に示すように曲げ加工を行ない、この曲げ部 分の厚さを研磨により、０．０２ｍｍの厚さまで薄くして平坦部を設ける。そし て平均粒径３μｍのタングステン粉末を０．３ｍｍの厚さになるように平坦部上 に電着または吹き付け法により塗布し、約２３００℃で１０分間程度Ｈ₂ 雰囲気 中で焼結を行なう。その後、ＢａＣＯ₃、ＣａＣＯ₃、Ａｌ₂ＣＯ₃をモル比４：１ ：１で混合したアルミネート化合物を含浸する。そして余剰の含浸剤を除去した 後、真空処理を行ない、必要に応じ、電子放出面に約３０００オングストローム のイリジウム（Ｉｒ）またはオスミウム・ルテニウム（Ｏｓ−Ｒｕ）を被覆する 。本実施例は含浸型陰極の場合であるが、上記平坦部に（Ｂａ、Ｓｒ、Ｃａ）Ｃ Ｏ₃ をＣＶＤまたは超微粒子の高速噴射により塗布しても良い。このようにして 製作した陰極は電子銃に組み込み動作させると、電子放出体のみが加熱されるの で効率の良い陰極特性を示す。

【００１０】 図２は、本考案における直熱型陰極構体の他の構造を示す断面図であり、図１ と同一符合は同一または相当するものを示す。この陰極構体は、加熱体１として 直径０．２ｍｍの円筒形状で、モリブデン（Ｍｏ）または、レニウム・モリブデ ン線（Ｒｅ−Ｍｏ線）を使用し、加熱体１に０．０２ｍｍの３％レニウム・タン グステン線からなる加熱線３を０．１ｍｍのピッチで巻き付ける。その後、加熱 体の一部をエッチングによって溶解して平坦部４を形成し、この平坦部に図１と 同様に電子放出体２を固着させ、この陰極構体を電子管に組み込んで動作させる 。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、加熱体の一部をエッチング研磨等により除去し て平坦部を設け、この平坦部に電子放出体を固着したので、平坦部は他の加熱体 の部分より高抵抗となり、電流が流れにくくなるので発熱が加速され、熱電子の 放出面が小さくなり、効率良く目的とする方向に熱電子放出を行なうことができ る。また、不要な方向への放出を抑えたので、電流を少なくすることができ、陰 極構体の熱変形を抑え、機械的強度の劣化防止が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図２】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【図３】従来の直熱型陰極構体の一例を示す断面図であ
る。

【図４】従来の直熱型陰極構体の他の例を示す断面図で
ある。

【符合の説明】

１ 加熱体 ２ 電子放出体 ３ 加熱線 ４ 平坦部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 タングステン、モリブデン、等の高融点
   金属、または、これらの金属とレニウムとの合金からな
   る加熱体に酸化バリウムを主成分とする酸化物からなる
   電子放出体を固着した直熱型陰極構体において、 上記加熱体の一部を研磨、エッチング等により除去して
   平坦部を設け、平坦部に電子放出体を固着したことを特
   徴とする直熱型陰極構体。