JPH067924U - 無給油タイバーブッシュ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】樹脂、粉末金属、セラミックなどの射出成形に
用いる成形機や溶融金属のダイキャスティングマシンに
おけるタイバー等の摺動作動を給油を全く必要としない
無給油状態で継続できるようにすることを目的とする。 【構成】合成樹脂の母材に、潤滑材としてＰＴＦＥ、潤
滑油、二硫化モリブデンを配合し、必要に応じて熱安定
剤等を添加した素材をブッシュに成形した。更にブッシ
ュの内壁摺動面にダスト吸収溝を設けるように構成し
た。 【効果】タイバーブッシュの素材自体が潤滑材として機
能し、給油を全く必要としない。ダスト吸収溝により塵
埃、摩耗粉などダスト吸収溝に吸引しタイバーブッシュ
の摩耗を防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、樹脂、粉末金属、セラミックなどの射出成形用に用いる成形機や溶 融金属のダイキャスティングマシンにおけるタイバー等、比較的高速低荷重の条 件下で作動する摺動部材に適用する無給油タイバーブッシュに関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のタイバーブッシュにおいては、強制給油機構を用いて常時給油 する方法と含油焼結金属や固体潤滑材を埋設した金属製の摺動部材を使用し適宜 グリスアップする方法がとられてきた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする問題点は、従来の強制給油機構を用いた方法では給 油機構を別途に設けなければならず、配管やポンプなどコスト的にも労力的にも 多くの負担を必要とした。

【０００４】 また、含油焼結金属や固体潤滑材埋設型摺動部材の場合には、配管やポンプは 必要としないが、一定期間毎にグリスアップを必要とし、これを怠るとワークや 金型の汚損などのトラブル発生の原因となるなどの問題がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、耐熱性が高く且つ寸法安定性や強度に優れたＰＰＳ（ポリフェニレ ン・サルファイド）などの合成樹脂の母材に、潤滑材としてＰＴＦＥ（ポリテト ラ・フルオロ・エチレン）、潤滑油、二硫化モリブデンを配合し、更に用途に応 じて熱安定剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤等を添加した素材をブッシュ形状 に成形してタイバーブッシュに構成することにより、素材自体が潤滑材として機 能する完全無給油化タイバーブッシュの実現に成功したものである。

【０００６】 更に、素材に形状付与する際、ブッシュの内壁摺動面にタイバーの摺動方向に 対して交差するダスト吸収溝を設ければ、空気中に漂いタイバー摺動部に付着す る塵埃や、タイバーの摺動による摩耗粉などのダストを吸収溝に吸引し、アブレ イシブ摩耗を防止することで、摺動性能の大幅な向上を図ることができる。

【０００７】

【実施例】

図は、本考案による無給油タイバーブッシュの１実施例を示すものであり、以 下この図に従って本考案の実施例を説明する。

【０００８】 １はタイバーブッシュ本体であり、65〜80％のＰＰＳ樹脂母材にＰＴＦＥ（ポ リテトラ・フルオロ・エチレン）５〜10％、潤滑油５〜10％、二硫化モリブデン ５〜10％を配合し、更に用途に応じて熱安定剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤 等を添加した素材を、射出成形によりブッシュ形状に成形したものである。

【０００９】 樹脂母材としては、ＰＰＳのほか、ＰＥＳ（ポリ・エーテル・サルホン）、Ｐ ＥＥＫ（ポリ・エーテル・エーテル・ケトン）などの他の耐熱性樹脂を用いても 良い。また、ポリアセタールやナイロン、或いは超高分子ポリエチレンなど、ナ チュラル材料でも摺動性能に優れた材料があるが、耐熱性、耐久性、精度性に難 点があり、用途的に極めて限定されたものにしか使用することができない。

【００１０】 ２は、ブッシュの内壁摺動面に設けたタイバー３の摺動方向に対して交差する ダスト吸収溝であるが、設置形態としては図示のような独立円周溝であることは 必ずしも必要ではなく、スパイラル溝やその他の形態であってもタイバー３の摺 動方向に対して交差するものであれば、ダスト吸収効果を得ることができる。

【００１１】 即ち、ダスト吸収溝２は、適宜の断面形状により適宜本数設けることによりダ スト吸収効果を発生するが、吸収溝の本数が多い程ダスト吸収効果が良くなるこ とが出願人の実験によって判明している。しかし、溝の断面形状については実験 の結果によってはダスト吸収効果との関係を確認することができなかった。

【００１２】 出願人は射出成形機について従来から用いられている鋼材製ハードクロームメ ッキ仕上げのタイバーを用い、完全無給油の条件下で実際にショットして実験を 行って次の結果を確認した。

【００１３】 ダスト吸収溝を全く設けない場合、摺動回数２万回程度でカジリ・抱きつき 等の異常を発生した。タイバーブッシュの摩耗量は７ミクロンであった。

【００１４】 ダスト吸収溝を４本とし、溝の断面形状を逆三角形とした場合、２万回程度 でカジリ・抱きつき等の異常を発生し、タイバーブッシュの摩耗量は５ミクロン 、同一の本数で溝の断面形状を半円形とした場合、２万回程度でカジリ・抱きつ き等の異常を発生し、タイバーブッシュの摩耗量は４ミクロンであった。

【００１５】 ダスト吸収溝を８本とし、溝の断面形状を逆三角形とした場合、30万回程度 でカジリ・抱きつき等の異常を発生し、タイバーブッシュの摩耗量は５ミクロン 、摺動回数10万回程度までの摩耗量は５ミクロン、同一の本数で溝の断面形状を 半円形とした場合にもほぼ同様の結果であったが、摺動回数10万回程度までの摩 耗量は逆三角形の場合より少なかったが、異常の発生は逆三角形の場合より早か った。

【００１６】 ダスト吸収溝を12本とし、溝の断面形状を逆三角形とした場合、１００万回 程度でもカジリ・抱きつき等の異常を全く発生せず、タイバーブッシュの摩耗量 は５ミクロン、摩耗量は摺動回数10万回で１ミクロン、20万回で２ミクロン、30 万回で3.5 ミクロン、50万回で４ミクロン、70万回で５ミクロンであった。

【００１７】 同一の本数で溝の断面形状を半円形とした場合にもほぼ同様の結果であったが 、摺動回数10万回程度までの摩耗量は逆三角形の場合より少なかったが、30万回 40万回では逆三角形の場合の方が摩耗量は少なく、50万回で逆転、更に70万回か ら１００万回では再逆転して逆三角形の場合の方が摩耗量が少なかった。

【００１８】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成したので、タイバーブッシュ本体を構成する素材自 体が潤滑材として機能し、特殊な材料、表面処理をタイバーに施すことなく従来 方式のタイバーをそのまま用いて完全無給油の状態で可動盤の作動を可能とし、 従来必要とされた給油のための配管やポンプ、更にグリスアップも不必要にした 。

【００１９】 また、ブッシュの内壁摺動面に、タイバー３の摺動方向に対して交差するダス ト吸収溝２を設けることにより、空気中に漂いタイバー摺動部に付着する塵埃や 、タイバーの摺動による摩耗粉などのダストを吸収溝に吸引し、アブレイシブ摩 耗が防止されて、摺動性能の大幅な向上を図ることができる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるタイバーブッシュの１例を示すも
ので、タイバーの一部を切欠してブッシュの要部を示す
縦断側面図である。

【符号の説明】

１ タイバーブッシュ本体 ２ ダスト吸収溝 ３ タイバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１０Ｍ 169/04 9159−4Ｈ Ｆ１６Ｃ 33/20 Ａ 6814−3Ｊ //(Ｃ１０Ｍ 169/04 107:46 125:22 147:02） Ｃ０８Ｌ 27:18 9166−4Ｊ Ｃ１０Ｎ 40:02

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂母材にポリテトラ・フルオロ・
   エチレン、潤滑油、二硫化モリブデンを加え、用途に応
   じて熱安定剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤等を添加
   した素材を成形して成る無給油タイバーブッシュ
2. 【請求項２】 内壁摺動面にタイバーの摺動方向に対し
   て交差するダスト吸収溝を設けた「請求項１」記載の無
   給油タイバーブッシュ