JPH0678751B2 - 車載内燃エンジンの点火装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は車載内燃エンジンの点火装置に関し、特に、バ
ッテリーを搭載していない車両に用いる点火装置に関す
る。

背景技術 従来の特にバギー車に搭載された内燃エンジンの点火装
置においては、車両の変速機のギヤ位置がリバース（後
進）位置であるときには点火プラグに火花放電が生じな
いようにしていることがある。これはエンジン始動によ
り車両が急に後退しないようにエンジンの始動を防止す
るためである。しかしながら、従来、エンジン始動時に
そのような防止動作を得ることが容易にできたのはバッ
テリーを搭載していたためであり、軽量化を図るために
バッテリーを搭載しない車両においてはエンジン始動時
にリバース位置での点火を防止しかつエンジン始動後は
ギヤ位置に無関係に点火を継続させることは難しいので
あった。

発明の概要 そこで、本発明の目的は、バッテリー無搭載車において
エンジン始動時にギヤ位置がリバース位置にある場合に
は確実に点火を防止できる内燃エンジンの点火装置を提
供することである。

本発明の車載内燃エンジンの点火装置は、車両の変速機
のギヤ位置がリバース位置にあるときオンとなるリバー
ススイッチとリバース表示用ランプとが直列に接続され
てその直列回路に交流発電機によって発電交流電圧を供
給するようにされ、そのリバーススイッチとランプとの
接続ラインから電流が流入するとオンとなるトランジス
タ等からなるスイッチング手段と、リバーススイッチの
オフ時に交流発電機からの電流が接続ラインからスイッ
チング手段に向ってのみ流れるように一方向性素子と、
ランプに並列に接続されたインピーダンス素子とが設け
られており、スイッチング手段がオンになるとそのオン
状態を保持して高電圧を点火プラグに供給して火花放電
を生じさせる構成であることを特徴としている。

実施例 以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図に示した本発明の一実施例たる点火装置において
は、エキサイタコイル11は図示しないエンジンのクラン
クシャフトに連結されたマグネットによりクランクシャ
フトの回転に応じて発電する交流発電機の点火用発電出
力コイルである。またランプコイル12はその交流発電機
に設けられたランプ点灯用発電出力コイルである。エキ
サイタコイル11の一端はアースされ、他端はダイオード
13を順方向に、そしてコンデンサ14を介して点火コイル
15の１次巻線15aの一端に接続されている。点火コイル1
5の２次巻線は点火プラグ16に接続されている。

またダイオード13とコンデンサ14との接続ラインとアー
スとの間にはSCR（サイリスタ）18が接続されている。S
CR18のゲートはダイオード19を介してパルサコイル20の
一端に接続されている。パルサコイル20はクランクシャ
フトの所定回転位置においてパルス状の点火時期信号を
発生するパルサジェネレータの出力コイルである。

ランプコイル12の一端はアースされ、他端はヘッドラン
プスイッチ22、そしてヘッドランプ23を介してアースさ
れてスイッチ22のオンときにヘッドランプ23が点灯する
ようになっている。このスイッチ22及びヘッドランプ23
の直列回路にはリバース表示用ランプ24及びリバースス
イッチ25の直列回路が並列に接続されている。リバース
スイッチ25は車両の変速機（図示せず）のギヤ位置がリ
バース位置であるときオンとなるスイッチである。また
リバース表示用ランプ24には抵抗26が並列に接続されて
いる。

ランプ24とリバーススイッチ25との接続ラインには点火
制御回路28が接続されている。点火制御回路28はトラン
ジスタ29ないし32、抵抗34ないし39、コンデンサ42及び
ダイオード43,44からなる。ランプ24とリバーススイッ
チ25との接続ラインは一方向性素子のダイオード43を順
方向に、そして抵抗34を介してNPNトランジスタ29のベ
ースに接続されている。トランジスタ29のエミッタはア
ースされ、コレクタは抵抗35を介してPNPトランジスタ3
0のベースに接続されている。トランジスタ30のエミッ
タはダイオード13とコンデンサ14との接続ラインに抵抗
33、コンデンサ41及びツエナーダイオード45からなる電
圧安定化回路46を介して接続され、またコレクタは抵抗
36を介してNPNトランジスタ31のベースに接続されてい
る。トランジスタ31のコレクタはNPNトランジスタ32の
ベースに接続される共に抵抗37を介してトランジスタ30
のエミッタに接続されている。トランジスタ31,32のエ
ミッタは共にアースされており、トランジスタ32のコレ
クタはSCR18のゲートに接続されている。またトランジ
スタ30のコレクタは抵抗38及びコンデンサ42を介してア
ースされる共にダイオード44を順方向に、そして抵抗39
を介してトランジスタ29のベースに接続されている。こ
こで、トランジスタ29がリバーススイッチ25とランプ24
との接続ラインのレベルに応じてオンとなるスイッチン
グ手段の主要部をなし、点火制御回路28によってトラン
ジスタ29のオン状態を保持するようになっている。

かかる構成の本発明による点火装置においては、エキサ
イタコイル11に発生する交流電圧はダイオード13によっ
て半波整流されてコンデンサ14に供給されるのでコンデ
ンサ14を充電させる。パルサコイル20からは所定クラン
ク角度位置において点火時期信号が発生し、この点火時
期信号はダイオード19を介してSCR18のゲートに供給さ
れる。これによりトランジスタ32がオフならばSCR18は
ターンオンし、コンデンサ14の蓄電電荷が一気に点火コ
イル15の１次巻線15aに放電されるので、この放電エネ
ルギーにより点火コイルの２次巻線15bに高電圧が発生
し、点火プラグ16には火花放電が生じる。

ランプコイル12に発生する交流電圧はランプ24、抵抗26
とリバーススイッチ25との直列回路に供給される。車両
の変速機のギヤ位置が第１速、第２速等のホワード（前
進）位置ならば、リバーススイッチ25はオフであるので
電流がランプコイル12からランプ24及び抵抗26、ダイオ
ード43、抵抗34を介してトランジスタ29のベースに流れ
込み、電圧安定化回路46からトランジスタ30のエミッタ
・ベース、そして抵抗35を介してトランジスタ29にコレ
クタ電流が流れるのでトランジスタ29がオンになると共
にトランジスタ30もオンとなる。トランジスタ30のオン
により電圧安定化回路46からトランジスタ30、そして抵
抗36を介してトランジスタ31にベース電流が流れるので
トランジスタ31がオンとなりトランジスタ32のベース電
位をほぼアース電位に等しくさせる。これによりトラン
ジスタ32はオフ状態となるのでギヤ位置がリバース位置
でない場合にはSCR18は上記したように点火時期信号に
応じてターンオンし点火プラグ16に火花放電を生じさせ
るのである。

また電圧安定化回路46の出力電圧トランジスタ30を介し
てコンデンサ42の両端間に供給され、更にダイオード4
4、抵抗39を介してトランジスタ29のベースに供給され
るので抵抗34から供給される電圧がリップルの多い脈動
電圧であってもトランジスタ29が１回オンになればその
後はエンジンの回転が停止するまではオン状態を継続す
る。よって、エンジン始動後、変速機のギヤ位置をリバ
ース位置に切替えたことによりリバーススイッチ25がオ
ンとなりランプ24が点灯しランプ24とリバーススイッチ
25との接続ラインがアースレベルに等しくなっても点火
時期信号に応じて点火プラグ16に火花放電が生じる。

次に、変速機のギヤ位置がリバース位置にあるときにエ
ンジン始動操作を行なうと、リバーススイッチ25のオン
によりランプコイル12の発生電圧がランプ24を点灯させ
る。しかしながら、ランプ24とリバーススイッチ25との
接続ラインがほぼアースレベルに等しくなるのでトラン
ジスタ29はオンとならずオフ状態を継続する。トランジ
スタ29のオフによりトランジスタ30もオフとなるのでト
ランジスタ31にベース電流が流れずトランジスタ31がオ
フとなる。トランジスタ31のオフのときには電圧安定化
回路46から抵抗37を介してトランジスタ32にベース電流
が流れるのでトランジスタ32がオンとなる。よって、パ
ルサコイル20から点火時期信号がSCR18のゲートに供給
されてもトランジスタ32のコレクタ・エミッタ間を介し
てアースに流れ込みSCR18はターンオンしないので点火
プラグ16に火花放電が発生しないのである。

次いで、リバース表示用ランプ24のヒィラメントが寿命
等により断線した場合にはランプコイル12からの電流は
抵抗26を介して点火制御回路28に供給されるのでリバー
ススイッチ25がオンになってもランプ24は点灯しない
が、それ以外は上記と同様の動作を得ることができるの
である。

かかる本発明の点火装置においては、リバース表示用ラ
ンプ24、リバーススイッチ25及び点火制御回路28間の結
線を第２図に示すようにメインハーネス47、サブハーネ
ス48及びカプラ49を用いてリバーススイッチ25の一端で
行なうことによりサブハーネス48のオープン、ショート
のいずれにも対処することができる。すなわち、サブハ
ーネス48はメインハーネス47より損傷を受け易いためオ
ープン、又はショート状態になる場合があるが、オープ
ン状態の場合には点火制御回路28内のトランジスタ29に
電流が流入しないのでトランジスタ29がオンとならずエ
ンジンが始動しない。またショートの場合にはリバース
スイッチ25がオンの場合と同様の動作によりエンジンが
始動しないのである。このことはリバーススイッチ25が
オンときに点火制御回路28から電流がリバーススイッチ
25を介してアースに流れ込むようにした場合にはサブハ
ーネスがオープン状態ならばギヤ位置がリバース位置で
あってもエンジンが始動してしまうが、本発明によれ
ば、そのような事態を防止することができるのである。

なお、上記した本発明の実施例においては、一方向性素
子としてのダイオード43がランプ24及びリバースイッチ
25の接続ラインと抵抗34との間に設けられているが、ラ
ンプコイル12とランプ24との間、又はランプ24及リバー
ススイッチ25の接続ラインのトランジスタ29への接続点
よりランプ側に設けても良い。

発明の効果 以上の如く、本発明の内燃エンジンの点火装置において
は、変速機のギヤ位置がリバース位置でないときには交
流発電機からの電流がバーススイッチ及びリバース表示
用ランプの接続ラインからスイッチング手段に向って流
れ、ギヤ位置がリバース位置のときにはリバーススイッ
チのオンによりスイッチング素子へは電流が流れないの
でバギー車等のバッテリー無搭載車においてエンジン始
動時に変速機のギヤ位置がリバース位置にある場合には
スイッチング手段がオンになることがなく確実に点火を
防止することができる。またエンジン始動後にはスイッ
チング手段のオン状態が保持手段によって保持されるの
でギヤ位置がリバース位置になっても点火は継続される
のである。

また、上記したように結線用のハーネスのショート及び
オープン等の異常が生じても誤動作が置きないように十
分に対処することができるのである。

更に、リバース表示用ランプに並列にインピーダンス素
子が設けられているのでランプのヒィラメントが断線し
ても変速機のギヤ位置がリバース位置以外では確実に点
火を行なうことができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す回路図、第２図は第１図
の装置における結線を示す図である。 主要部分の符号の説明 11……エキサイタコイル 12……ランプコイル 15……点火コイル 16……点火プラグ 20……パルサコイル 22……ヘッドランプスイッチ 23……ヘッドランプ 24……リバース表示用ランプ 25……リバーススイッチ 28……点火制御回路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両の変速機のギヤ位置がリバース位置に
   あるときオンとなるリバーススイッチと、該リバースス
   イッチと直列に接続されたリバース表示用ランプと、内
   燃エンジンの回転に応じて交流電圧を発電し前記リバー
   ススイッチ及びランプの直列回路に発電交流電圧を供給
   する交流発電機と、前記リバーススイッチとランプとの
   接続ラインに接続された制御端を有し該制御端に電流が
   流入するとオンとなるスイッチング手段と、前記リバー
   ススイッチのオフ時に前記交流発電機からの電流が前記
   接続ラインから前記スイッチング手段の制御端に向って
   のみ流れるように設けられた一方向性素子と、前記スイ
   ッチング手段のオンを保持せしめる保持手段と、前記ラ
   ンプに並列に接続されたインピーダンス素子と、内燃エ
   ンジンの回転に同期した点火時期信号を発生する点火時
   期信号発生手段と、前記スイッチング手段のオン期間に
   おいて前記点火時期信号に応じて高電圧を点火プラグに
   供給して火花放電を生じさせる高電圧発生手段とからな
   ることを特徴とする点火装置。