JPH0675963B2 - インキ供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はメッシュローラに設けるセルにより下流側のロ
ーラに常時一定量のインキを供給する装置に係り、更に
詳細には粘性の異なるいくつかのインキを使用する輪転
印刷機の色刷り部等の使用に適するインキ供給装置に関
する。

（従来の技術） メッシュローラを使用して常時一定量のインキを供給す
るインキ供給装置は、インキを一旦メッシュローラに過
剰に付与してメッシュローラ周面に設けたセルにインキ
を充填し、次いでメッシュローラに当接したドクターブ
レードで前記セル外の余剰なインキを掻き落とす。そし
てセル内に保持された一定量のインキを下流側の版面
へ、直接あるいは、インキ着けローラを介して供給する
ものである。メッシュローラにインキを過剰付与する装
置としては、例えば第４図（ａ）乃至（ｃ）に示すもの
がある。第４図（ａ）はメッシュローラ（101）周面の
一部をインキファウンテン（102）中のインキに浸漬し
て回転するようにした装置を示す。第４図（ｂ）は、フ
ァウンテンローラ（103）周面の一部をインキファウン
テン（102）中のインキに浸漬して回転し、その周面に
よって取り出したインキを、ファウンテンローラ（10
3）と平行にかつ対向する周面間に狭隘な空隙ｌを介在
させて設けたメッシュローラ（101）に付与する装置を
示す。この装置では、周面間の狭隘な空隙ｌをファウン
テンローラ（103）外周面上のインキ層が通過する時に
生ずる圧力により、メッシュローラ（101）周面のセル
内にインキを充填する。第４図（ｃ）はメッシュローラ
（101）周面の一部を一壁面とした封鎖空間（105）を設
け、この空間に、加圧したインキを充満させることでメ
ッシュローラ（101）にインキを付与し、封鎖空間（10
5）の一壁を構成するドクターブレード（104）により、
セル内に充填されたインキのみを残し他のインキを掻き
とるようにした装置を示す。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、これら従来のインキ供給装置では、メッ
シュローラ周面に当接するドクターブレードの当接角度
が一定あるいは、せいぜい２乃至３度程度の範囲でしか
当接角度を変更できないものである。そのため、粘性の
高いあるいは／および粘性の異なるいくつかのインキを
使用する輪転印刷機においては、インキの粘性にあわせ
たドクターブレードの当接角度調整ができず、粘性の違
いにより、ドクターブレードによる余剰インキの掻き取
りが完全になし得ない事態が生じ、インキ供給過多ある
いは／およびインキ供給が一定せずに印刷不良の発生す
ることがある課題を有した。

（課題を解決するための手段） 本発明は、メッシュローラを使用するインキ供給装置で
あって、メッシュローラ周面にインキを付与するインキ
供給手段と、メッシュローラ周面に当接するドクターブ
レードと、メッシュローラと平行な軸心によりドクター
ブレードをメッシュローラの回転に従う接線状態からメ
ッシュローラの回転に逆らう接線状態まで扇形回動する
回動手段と、ドクターブレードとメッシュローラ中心と
の間隔を調整する移動手段とからなることを特徴とする
インキ供給装置からなる。

（作 用） ドクターブレードのメッシュローラ周面への当接角ある
いは／および当接圧を、メッシュローラの回転に従う接
線状態からメッシュローラの回転に逆らう接線状態まで
使用するインキに合致した状態に適宜変更調整すること
により、使用するインキごとに、印刷に必要かつ十分な
最適なインキ供給を行う。

（実施例） 次に本発明の実施例を図面に従って説明する。

第１図は本発明のインキ供給装置の作動状態を示す概略
図、第２図（ａ），（ｂ）は、ドクターブレードの回動
手段および移動手段の一例の軸端の一方を示す説明図で
ある。

（１）はメッシュローラ、（２）はインキ供給手段であ
る。インキ供給手段（２）はインキファウンテン（21）
と、インキファウンテン（21）に貯留したインキに周面
の一部を浸漬して回転するファウンテンローラ（22）よ
りなり、ファウンテンローラ（22）の回転によりファウ
ンテンローラ（22）の周面により取り出したインキを、
メッシュローラ（１）の周面に付与する。ファウンテン
ローラ（22）とメッシュローラ（１）は、その対向する
周面間にわずかな間隙ｌが介在するが、ファウンテンロ
ーラ（22）の周面により取り出されたインキは、間隙ｌ
よりもはるかに厚い皮膜であり、このインキ皮膜が前記
間隙ｌを通過する際に生ずる圧力により、インキはメッ
シュローラ（１）表面に形成するセルに圧入されかつメ
ッシュローラ（１）の周面部に移転付与される。

インキが付与されたメッシュローラ（１）は回転し、付
与されたインキのうち、余剰分はドクターブレード
（３）により掻き落とされ、インキファウンテン（21）
に回収される。

ドクターブレード（３）は、第２図（ａ），（ｂ）に示
すように刃板（30）を支持体（31）で把持するととも
に、支持体（31）を装着した回転軸（32）を軸心として
扇形回動し得るように、その軸の一端部に、例えばウォ
ームホイール（41）とウォーム（42）とを備えた回動手
段（４）を設け、ハンドル（44）を回動することによ
り、第１図矢印θで示すようにドクターブレード（３）
を扇形回動する。また、メッシュローラ（１）の中心と
ドクターブレード（３）との間隔を任意に調整し得るよ
うに、例えば、前記回動軸（32）の両端を支承するブラ
ケット（43）を、メッシュローラ（１）中心方向への近
接離隔の移動をさせる移動手段（５）を設ける。移動手
段（５）は、前記ブラケット（43）の底面にラック（5
3、53）を固定するとともに、このブラケットを支持す
る受台（51）にピニオンギヤ（52、52）を回動自在に設
けて前記ラック（53、53）と噛合させ、ハンドル（54、
54）を回動することにより、第１図A,B,Cで示すような
位置に、メッシュローラ（１）の中心とドクターブレー
ド（３）の間隔を任意に調整する。

以上の通り、回動手段（４）と移動手段（５）を適宜操
作することにより、第１図C1,B1,A0,B2,C1等、メッシュ
ローラ（１）に対するドクターブレード（３）の当接角
が、メッシュローラ（１）の回転に従う接線状態（C1）
から、メッシュローラ（１）の回転に逆らう接線状態
（C2）まで自在に変更調整し得るとともに、当接圧も自
在に変更調整し得る。ドクターブレード（３）の位置を
調整変更後の固定は、回動手段（４）および移動手段
（５）に設けたロック手段（図示せず）により行えばよ
い。また、移動手段（５）のストロークエンドは、前記
受台（51）に前記ブラケット（45）の端部が当接するよ
うに設けた、ストッパー（55）により定められる。（5
6）は、ブラケット（45）を案内する案内コロである。

ドクターブレード（３）の余剰インキ掻き落としによ
り、適量に調整されたメッシュローラ（１）の周面のイ
ンキは、メッシュローラ（１）の回転によりインキ着け
ローラＦに転移され、版銅上の版面Ｐに供給される。

第１図には、インキ付与手段（２）としてインキファウ
ンテン（21）とファウンテンローラ（22）よりなる構成
を示したが、第３図（ａ）乃至（ｃ）に示すように、他
のインキ付与手段（２）a,（２）b,（２）ｃによっても
よい。

第３図（ａ）乃至（ｃ）において、（2a1）はインクタ
ンク、（2a2）はポンプ、（2a3）はノズル、（2a4），
（2c2）はインキ回収用パン、（2b1）はインキファウン
テン、（2c1）はインキつぼを示しており、これらの手
段によりインキは供給される。即ち、第３図（ａ）に示
す実施例においては、インキタンク（2a1）内のインキ
はポンプ（2a2）によりノズル（2a3）に供給され、メッ
シュローラ（１）に噴射される。ドクターブレード
（３）によりかき取られた余剰インキは、インキ回収用
パン（2a4）中に回収される。

第３図（ｂ）に示す実施例では、メッシュローラ（１）
はインキファウンテン（2b1）中に浸漬される。

第３図（ｃ）に示す実施例では、メッシュローラ（１）
はインキつぼ（2c1）中に浸漬される。

回動手段（４）、移動手段（５）は第１図（ａ）、第２
図（ｂ）に図示する実施例に示すものの他、ドクターブ
レード（３）を回動、移動可能な機構であればよい。

（発明の効果） したがって、本発明は、粘性の高いあるいは／および粘
性の異なるいくつかのインキを使用する場合でも、メッ
シュローラのセルによる一定でムラのないインキ供給が
可能であり、また、色濃度の淡いインキを用いメッシュ
ローラのセル容量により若干多めのインキ供給を要する
場合においても一定でムラのないインキ供給が可能であ
るようなインキ供給装置を提供する。即ち、本発明によ
れば、ドクターブレードのメッシュローラ周面への当接
角および／あるいは当接圧を任意に変更調整し得るの
で、どのようなインキを使用する場合でも、メッシュロ
ーラ周面上のインキ量を印刷に必要かつ十分なものに調
整し得、目的の印刷面が得られる。とくに多色印刷にお
いては、各色のバランスがとれた、すぐれた印刷面が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のインキ供給装置のドクターブレードの
作動状態を示す概略図、第２図（ａ）、第２図（ｂ）
は、ドクターブレードの回動手段および移動手段の一例
を示す説明図、第３図（ａ）、第３図（ｂ）、第３図
（ｃ）は本発明の他の実施例を示す概略図、第４図
（ａ）、第４図（ｂ）、第４図（ｃ）は、従来例を示す
概略図であり、第２図（ａ）はその一部を第２図（ｂ）
のＹ−Ｙ断面で、第２図（ｂ）はその一部を第２図
（ａ）のＸ−Ｘ断面で示す。 （１）、（101）……メッシュローラ、（２）、（2
a）、（2b）、（2c）……インキ供給手段、（21）、（2
b1）、（102）……インキファウンテン、（22）、（10
3）……ファウンテンローラ、（2a1）……インクタン
ク、（2a2）……ポンプ、（2a3）……ノズル、（2a
4）、（2c2）……インキ回収用パン、（2c1）……イン
キつぼ、（３）、（104）……ドクターブレード、（3
0）……刃板、（31）……支持体、（32）……回動軸、
（４）……回動手段、（41）……ウォームホイール、
（42）……ウォーム、（43）……ブラケット、（44）…
…ハンドル、（５）……移動手段、（51）……受台、
（52）……ピニオンギヤ、（53）……ラック、（54）…
…ハンドル、（55）……ストッパー、（56）……案内コ
ロ、（９）……フレーム、Ｐ……版胴および刷版、Ｆ…
…インキ着けローラ、θ……回動軸の回動方向、Ａ、
Ｂ、Ｃ……ドクターブレード移動の際の回動軸心位置、
A0、B1、B2、C1、C2……ドクターブレードの移動位置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】メッシュローラを使用するインキ供給装置
   であって、メッシュローラ周面にインキを付与するイン
   キ供給手段と、メッシュローラ周面に当接するドクター
   ブレードと、メッシュローラと平行な軸心によりドクタ
   ーブレードをメッシュローラの回転に従う接線状態から
   メッシュローラの回転に逆らう接線状態まで扇形回動す
   る回動手段と、ドクターブレードとメッシュローラ中心
   との間隔を調整する移動手段とからなることを特徴とす
   るインキ供給装置。