JPH0675594B2 - 人工血管の製造方法 - Google Patents

人工血管の製造方法

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JPH0675594B2
JPH0675594B2 JP61029484A JP2948486A JPH0675594B2 JP H0675594 B2 JPH0675594 B2 JP H0675594B2 JP 61029484 A JP61029484 A JP 61029484A JP 2948486 A JP2948486 A JP 2948486A JP H0675594 B2 JPH0675594 B2 JP H0675594B2
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義和 近藤
康弘 小川
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鐘紡株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は人工血管に関する。さらに詳しくは内面が特に
すぐれた抗血栓性を有し、直径の小さい部位にも使用可
能な人工血管及びその製造方法に関する。
(従来の技術) 人工血管に関する研究は今世紀の初頭より数多くなされ
てきており、その成果としてポリエステル繊維の管状織
編物及び延伸ポリテトラフルオロエチレンの多孔性チュ
ーブが実用化されている。しかしこれらの実用段階にあ
る人工血管はその適用部位が内径6mm以上の比較的太い
動脈に限られており、これ以下の小動脈や静脈用につい
てはまた充分な臨床成績をあげるに至っていない。その
理由としては小動脈の場合、小直径であるがゆえに凝血
が生じた場合閉塞しやすいこと、さらに小動脈や静脈で
は血流速度が遅いため凝血の成長が速く、閉塞しやすい
ことがあげられる。また、現在実用化されている人工血
管はすべてのものが最終的には生体による偽内膜形成に
より抗血栓性を獲得し、安定化されるものであるが、こ
の場合内皮の過形成による血管内腔の狭さくが発生し、
これが原因となって閉塞することがある。これには人工
血管の構造、例えば新生内皮の保持能力が低い場合に起
こるとも考えられている。
上記の様な問題点を克服し、性能のすぐれた人工血管を
開発しようとする試みが近年数多くなされている。なか
でも、人工血管の材料をエラストマーに求めたもの、特
にエラストマーのうちでもポリウレタンを用いたものが
数多く提案されている。それらは大別すればエラストマ
ーを繊維形態として用いるものと多孔体として使用する
ものとになる。
このうち繊維形態として用いるものとしては、ポリウレ
タンよりなる繊維形成重合体を含有する液体組成物を静
電気的に紡糸して繊維とし、かかる繊維を形付き成形具
上に捕集して得た導管補綴材及びその製法(特開昭52−
110977号公報)、上記成形具を改良した製法(特開昭54
−151675号公報)、該人工血管の力学的特性を生体血管
と同一としたもの及びその製法(特開昭59−11864号公
報)及び静電気紡糸により得られる繊維構造物の一方の
側と反対側で繊維形成重合体組成物を変化させたもの及
びその製造方法(特開昭60−190947号公報)がある。
さらに別の方法としては心棒上に繊維材料を押し出しな
がら該心棒を回転させて巻き取り、多孔性チューブとす
る方法(特開昭58−157465号公報)、ポリマー溶液をノ
ズルを通してスプレーすることにより単繊維とし、これ
を心棒に巻きつけて管状人工血管とする方法(特開昭59
−181149号公報)がある。
ポリマーを多孔化するものについても付言すれば(特開
昭57−150954号公報、特開昭59−225053号公報、特開昭
60−2254号公報等)があるが、これらはいずれもポリマ
ー溶液を出発とするものであり、多孔化方法は無機塩や
他の水溶性物質等の造孔剤をポリマー溶液に混合し、付
形後この無機塩を溶解除去することにより多孔化した
り、ポリマーの良溶媒と貧溶媒の置換により微孔を生じ
させ、多孔化するものである。
又、材料そのものへの抗血栓性付与の方法としては、例
えば表面の電荷をマイナスにする方法(特開昭58−1499
15号公報など)、表面エネルギーに差異があるミクロド
メイン構造にする方法(特公昭57−81347号公報な
ど)、フッ素樹脂又はシリコーン樹脂を使い表面エネル
ギーを低下させる方法(特公昭51−18991)、吸水ゲル
等を用い表面エネルギーを増大させる方法(特公昭59−
1744号公報など)、ヘパリンの固定化(特公昭59−1512
2号公報、特公昭59−15121号公報など)、ウロキナーゼ
の固定化(特開昭58−5302号公報など)アルブミンの固
定化(特開昭57−198703号公報など)の方法がある。中
でもヘパリン、ウロキナーゼ、アルブミン等を材料表面
に固定化する事により、良好な血小板粘着能を示し、抗
血栓材料として、すぐれたものが得られるものの、機械
的強度、耐久性、抗血栓性の点で十分なものは出ていな
い。
(発明が解決しようとする問題点) 上記提案の主たる目的は抗血栓性にすぐれた材料を用
い、かつ力学的特性を生体血管に近似させることにより
血栓形成を防止し、さらには多孔性とすることにより新
生組織の侵入、保持を良くしようとするものである。
しかしながら、上記提案はほとんどがポリマーを有機溶
液として用いるため、人工血管とする場合、溶媒の完全
除去が不可欠であること、そしてこの溶媒除去が困難で
あり、工程が複雑になることが問題である。静電気紡糸
においては高電圧を必要とするので危険であり、又装置
が複雑となるという欠点を有する。さらに多孔化法につ
いて言えば、独立気泡を多く有するスポンジ状多孔体と
する方法は、血管としての力学的強度が低下するばかり
でなく、管全体の力学的特性の均一化が困難であるとい
う問題点を有している。また、全体を抗血栓性材料とし
た場合抗血栓性がすぐれていれば、管壁に連通孔が存在
する場合該連通孔からの漏血が問題になる。
本発明の目的は上記の問題点を解決し、内面がすぐれた
抗血栓性を有し、かつ外面よりの組織侵入が容易で治ゆ
安定化にすぐれるとともに、力学的性質にもすぐれた小
口径人口血管に応用可能な人工血管を、一切溶媒を使用
しない完全なドライプロセスにより、安価で効率的に製
造する方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明の方法は、熱可塑性ポリウレタン弾性体を熔融紡
糸後、高速高温気体に随伴し細化して得られた実質的に
連続したフィラメントをシート状に積層して得られたポ
リウレタン弾性繊維不織布を芯棒に巻き付け、加熱成型
し多孔性の管状体とした後、該管状体の少なくとも内面
をフッ素化合物の低温ガスプラズマ処理を施し、次いで
アルブミンを吸着させる事を特徴とする。
本発明方法に適用するポリウレタン弾性体は公知の熱可
塑性ポリウレタン弾性体であり、分子量500〜6000のポ
リオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロ
キシポリエステル、ジヒドロキシシリコーン、およびこ
れらのブロック共重合体等と、分子量500以下の有機ジ
イソシアネート、例えばp,p′−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート等と、鎖伸長剤、例えば水、ヒド
ラジン、ジアミン、グリコール等との反応により得られ
るポリマーからなる。これらのポリマーのうち特に良好
なものは、ポリオールとしてポリテトラメチレングリコ
ールまたはポリテトラメチレングリコールとシリコーン
のブロック共重合体を用いたポリマーである。また有機
ジイソシアネートとしてはp,p′−ジフェニルメタンジ
イソシアネートが好適である。また、鎖伸長剤としては
グリコールが好適で、1,4−ブタンジオール、ビスヒド
ロキシエトキシベンゼン特に好適である。
本発明の方法に用いるポリウレタン不織布は、例えば次
の方法で製造することができる。前記の熱可塑性ポリウ
レタン弾性体を熔融し、例えば特公昭41−7883号公報に
記載された紡糸装置を用い、紡糸口金から吐出しノズル
の両端から噴出する高温気体流によりフィラメントを細
化せしめる。細化されたフィラメントは実質的に集束さ
れることなく、例えば移動するコンベアネット等の捕集
装置上で気体流と分離され、該ネット上に積層される。
積層されたフィラメントは自己の有する熱により互いに
接合される。捕集装置上に積層後冷却固化する前または
後にローラー等を用い加熱加圧して接合せしめてもよ
い。
いずれの方法においても、不織布はポリウレタン弾性繊
維自体の接合よりなるものであり、溶剤、接着剤等は使
用しない。従って、不純物、溶出物等が極めて少ない不
織布を得る事が出来る。
本発明方法において不織布の構成するポリウレタン弾性
組織の平均直径は、ポリウレタンの吐出量、紡出速度、
引張り速度等により任意に選択することができるが、人
工血管用としては平均直径は30ミクロン以下が好まし
い。更に好ましくは20ミクロン以下である。繊維の直径
が大きくなると人工血管の内壁の粗度が大きくなり血栓
が生成しやすくなる。
このようにして得られたポリウレタン弾性繊維不織布と
しては、目付10g/m2〜50g/m2のものが好適である。目付
が小さいと取扱いが困難となり、大きいと芯棒に捲きつ
けた端が段になりやすい。
管状体はポリウレタン弾性繊維不織布を芯棒に巻き付け
て成型するが、成型する際に使用する芯棒としては、加
熱成型後管状体を引き抜くために、ポリウレタン繊維と
の膠着を生じ難い材質が望ましく、フッ素樹脂をコーテ
ィングした鉄棒、フッ素樹脂丸棒などが好適に用いられ
る。尚、加熱成型後芯棒を引き抜くことが可能なのはポ
リウレタン弾性繊維よりなる本願多孔性管状体が伸縮性
を有するためであり、伸縮性のない素材チューブでは殆
ど不可能である。
成型に用いる加熱温度および時間はポリウレタン不織布
が、互に接合して一体化させるために70〜200℃が好ま
しく、より好ましくは90〜180℃であり、特に100〜150
℃が好適である。このようにして得られる多孔性管状体
は、ポリウレタン弾性繊維の不織布が互に熱により強固
に接合され一体化したものであり、管状体の内腔の直径
及び肉厚は芯棒と型枠の寸法により変えることが出来
る。
人工血管という観点からすれば管状体の内腔の直径は2
〜40mmであるが、本発明の特徴を発揮するには2〜20m
m、さらには3〜15mmであることが好ましい。管状体の
肉厚は0.1〜5mm、好ましくは0.2〜3mmである。また本発
明の人工血管の多孔性は一定の肉厚の管状体に用いる不
織布の量によって任意に調整する事が出来る。
多孔性は一般には孔径分布と気孔率で表わせるが、人工
血管の場合透水率で表現するのが一般的であり、かつ実
際的でもある。特に、本発明の多孔性管状体のように繊
維の構造体よりなる場合には透水率で表わすのが好まし
い。透水率とは120mmHgの圧力下で人工血管の管壁1cm2
当り1分間に通過する水量(ml)をいう。本発明におい
ては、この透水率が3000ml/分以下、好ましくは1500ml/
分以下、さらに好ましくは500ml/分以下である。
本発明の低温ガスプラズマは常法により発生させる事が
できる。例えば通常10-4〜10Torr、好ましくは10-3〜10
゜Torr、更に好ましくは5×10-2〜5×10-1Torrの真空
度において高電圧を印加する事によって発生させる。高
電圧は直流でも交流でも可能であるが、プラズマ発生の
容易さ、プラズマの安定性、処理効果の均一性から13.5
6MHzの高周波の使用が好ましい。高周波電圧印加用の電
極は、プラズマ反応器の内部にある内部電極方式及び外
部に設けた外部電極方式があり、又、各々について容量
結合型電極及び誘導結合型電極があるが、いずれも利用
できる。
管状体の内面への低温ガスプラズマ処理は、管状体を真
空容器に入れ、管状体の内側にモノマーを導入し、プラ
ズマを発生させる事によって内面を選択的にプラズマ処
理できる。好ましくは、管状体の外側を管状体に密着す
る内径を有するプラスチック或いはガラス、セラミック
等の非金属性チューブで覆い、管状体の一方を真空に吸
引し、他方よりモノマーを導入して管状体の内部のみに
モノマーのプラズマを発生させ、管状体の内面のみを選
択的にプラズマ処理する。更に好ましくは、上記方法に
おいて高周波電圧を印加する電極を管状体の長さ方向に
一定速度で移動させれば、より均一なプラズマ処理が可
能となる。
フッ素化合物の低温ガスプラズマによる重合膜の形成及
び表面処理状態は真空度、出力、時間、モノマー流量等
のいわゆるプラズマパラメータに依存する。一般にモノ
マー流量の増加、真空度の低下、及び重合時間の増加に
より重合膜の形成量は増大する。
フッ素化合物はガス状でプラズマ反応器中へ導入する。
高沸点の化合物については適当な加熱装置により加熱・
気化し導入する。導入するモノマーの量はプラズマの発
生状態、及び生成物の性状に大きく影響するものであ
り、通常10-4〜10Torr、好ましくは10-3〜100Torr、更
に好ましくは5×10-2〜5×10-1Torrである。フッ素化
合物の圧力が10-4Torrより小さい場合は、プラズマの発
生が十分でなく、不織布表面のプラズマ重合膜の形成或
いは表面改質は十分でない。又、10Torrを越えるとプラ
ズマ発生が不安定であったり、又は重合物の性状が十分
でないか、又は処理が不均一になり好ましくない。モノ
マーの導入と同時にモノマーを活性化するガス、例えば
窒素、アルゴン、ヘリウム等のガスの併用も可能であ
る。但し、モノマー及びこれらのガスの圧力が10-4〜10
Torrの範囲となる事が好ましい。
プラズマの出力は電極の単位面積当り、通常高々3W/c
m2、好ましくは高々2W/cm2、更に好ましくは0.05〜1W/c
m2である。3W/cm2以上では、プラズマ重合膜の架橋度が
大きくなり、皮膜強度の低下や着色或いは基材である不
織布の損傷がある。プラズマ重合時間は長い程十分な重
合膜の形成や表面フッ素化処理が出来るが、反面重合膜
の架橋密度の増大やエッチング等による変性、劣化が生
じる為、通常1〜3600秒、好ましくは30〜1800秒であ
る。
フッ素化合物の低温ガスプラズマ処理により、不織布の
表面或いは不織布を構成するポリウレタン繊維表面にフ
ッ素化合物のプラズマ重合膜の形成、或いはフッ素化表
面の形成がなされる。プラズマ重合膜は、不織布表面或
いはポリウレタン繊維表面に通常50Å〜100Å以上形成
されている。これは、表面の電子顕微鏡観察接触角測
定、IRやESCA等の分光学的測定より確認される。プラズ
マ重合・処理法の大きな特徴は、50Å〜100Åといった
超極薄膜でも均一に付与できる事である。
本発明に使用するフッ素化合物は分子内に炭素の骨格と
フッ素原子を有していればよく、特に限定されない。分
子中に、ベンゼン環或いはOH基、CO基等の官能基や二重
結合、三重結合等含むものは、接触角或いは着色等の問
題があり良好なプラズマ重合膜を形成しにくい。又、フ
ッ素化合物中のフッ素含有率も高い方がよく、好ましく
は50%以上である。好適なフッ素化合物としては、例え
ばCF4、C2H6、C3F8、C4H10、C5H12、C6H14等のパーフル
オロアルキル系化合物又はパーフルオロアルキル基より
なる環状化合物が挙げられる。
フッ素系化合物のプラズマ重合膜の組成、構造は必ずし
も定かではないが、重合膜の溶剤溶解性がない事、水に
対する接触角が100゜以上、好ましくは105゜以上である
事、及びフッ素導入により特徴づけられるC−Fの吸収
がIR或いはESCA等で認められる事が特徴としてあげられ
る。
プラズマ重合膜の厚さは、好ましくは50Å以上、更に好
ましくは100Å以上であればよい。電子顕微鏡観察によ
ると、高々10μmの厚さの均一な膜を形成しており、本
発明の不織布ではこれらの構成繊維の表面を薄い膜で被
っている事がわかる。
フッ素系化合物の低温ガスプラズマを施された不織布は
極めてアルブミンの選択吸着性にすぐれており、アルブ
ミン水溶液に短時間浸漬するだけで容易にその表面にア
ルブミン吸着層を形成できる。
例えば、通常0.001%以上、好ましくは0.01%以上、更
に好ましくは0.05%以上のアルブミン水溶液に1〜10分
程度浸漬するだけで吸着は完結する。吸着温度は常温で
よい。
アルブミン吸着量はプラズマ条件、アルブミン吸着条件
によって異なるが、不織布単位面積当り通常1×10-8g/
cm2以上、好ましくは1×10-7g/cm2以上更に好ましくは
1×10-6g/cm2以上である。吸着したアルブミンの量が
1×10-8g/cm2未満では、抗血栓性への効果や生体細胞
の付着、浸入及びそれによるすみやかな偽内膜形成への
効果に乏しい。
一般にアルブミンを優先的に吸着する材料は優れた抗血
栓性を示し、一方γ−グロブリンやフイプリノーゲンを
強く吸着する材料は抗血栓性に劣ることが知られてい
る。またあらかじめアルブミンを材料に吸着しておく
と、その材料の抗血栓性が向上するということも知られ
ている。この理由は、アルブミンが糖鎖を全く含まない
蛋白質であるため血小板膜上の受容体と結合できず、血
小板を活性化することが少ないためと推定されている。
本発明では、フッ素化合物の低温ガスプラズマ処理を施
した後アルブミンを吸着させるため、その吸着量が未処
理のものに吸着させた場合に比べ著しく高まり、前述の
抗血栓性効果をより良く発揮するものと思われる。また
フッ素化合物のプラズマ重合膜も(表面エネルギーが小
さくかつ滑らかな表面であるため、血小板の粘着性が小
さい)抗血栓性効果に寄与しているものと推定される。
さらには、アルブミンが生体由来材料であることから本
発明による人工血管を体内移植した場合、生体細胞の付
着や侵入がすみやかで、偽内膜形成が早期に行なわれる
ことが期待される。
本発明のアルブミン吸着は従来のアルブミン吸着のメカ
ニズムとは異なると思われる。即ち、従来のアルブミン
の付着、固定の方法としては、化学結合による方法、又
はイオン結合による方法或いはヒドロゲルにより包埋す
る方法があるが、アルブミンは共有結合又はイオン結合
する事により、アルブミンの生活性が変化し、抗血栓性
の低下がある。ヒドロゲル等ポリマーゲルの網目の中に
封じ込める方法では、アルブミンが水溶性かつ極めて小
分子である為に簡単に外部へ溶出し効果の持続性がな
い。これに対し、本発明のフッ素化合物プラズマ処理物
のアルブミンの特異な吸着挙動の原因は明らかでない
が、フッ素化合物プラズマ処理物の疏水性とアルブミン
の疏水基の疏水−疏水相互作用によるものであると思わ
れる。他の付着方法と異なる有利な点はアルブミンの固
定に特定の化学結合及びイオン結合を使わない為に、ア
ルブミンの生活性の変化がない事及びゲル等への包埋固
定と異なり付着力の持続性がある事である。特に表面吸
着である為にアルブミンの使用量が従来のものより極め
て少なくてよく、又疏水−疏水結合である為に変性した
アルブミンは脱落し、常に新しい変性していないアルブ
ミンが付着した表面が維持される事となり常に抗血栓性
が与えられる。
抗血栓性の評価方法は数多く提案されているが、本発明
では血小板の粘着及び形態の観察を行った。
生理食塩水でリンスした試料上に雑種成犬の新鮮血より
調製したPRPを滴下する。1分後PRPを除去し、生理食塩
水で洗浄した後、グルタルアルデヒドにて室温固定、さ
らにアルコール脱水、臨界点乾燥を行った後、走査型電
子顕微鏡により付着血小板数を観測すると同時に付着血
小板の形態変化を観察する。形態変化は次の3つに分類
する。
I型:正常の円盤形から球状化して3〜4本の偽足を出
したもの、材料表面への粘着が比較的弱いもの。
II型:数本以上の偽足を伸ばして偽足の長さの半分まで
薄い胞体を広げたもので強く粘着したもの。
III型:偽足の長さの半分以上に薄い胞体を広げたもの
から、ほぼ完全に胞体を拡張して類円形を呈し、完全に
粘着したもの。
この場合、形態変化の少ないもの、即ちI型が多い程抗
血栓性が良いといえる。
(実施例) 以下、実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。な
お、水溶液中のアルブミン濃度は278nmのUV吸光度より
求めた。
実施例1 脱水した水酸基価102のポリテトラメチレングリコール5
325部(以下、部はすべて重量部を意味する。)と1,4−
ブタンジオール220部とをジャケット付のニーダーに仕
込み、撹拌しながら充分に溶解した後、85℃の温度に保
ち、これにp,p′−ジフェニルメタンジイソシアネート1
985部を加えて反応させた。
撹拌を続けると約30分で粉末状のポリウレタンが得ら
れ、これを押出機によりペレット状に成形しジメチルホ
ルムアミド中25℃で測定した濃度1g/100mlの相対粘度が
2.25のポリウレタン弾性体を得た。
このようにして得たポリウレタン弾性体のペレットを原
料とし、1列に配列した直径0.8mmのノズルの両側に加
熱気味の噴射用スリットを有する溶融ブロー紡糸装置を
用い溶融温度233℃、ノズル当り毎分0.15gの割合でポリ
マーを吐出し、200℃に加熱した空気を3.5kg/cm2の圧力
でスリットから噴射して細化した。細化したフィラメン
トをノズル下方25cmに設置した30メッシュの金網からな
るコンベア上で捕集し、ローラーではさんで引取り不織
布を得た。この不織布はポリウレタン弾性繊維のモノフ
ィラメントが開繊されて積層しており、フィラメント間
の交絡点は互に融着により接合されていた。この不織布
の物性値は次のごとくであった。
目付 15g/m2 引張強力 0.12kg/cm 破断伸度 520% 剛軟度 10mm フィラメント直径 5ミクロン 次いで、この不織布を直径5mmのフッ素樹脂でコーティ
ングした芯棒に捲き付けた後、内径7mmの円筒状の型枠
に入れ150℃で10分間加熱成型した。芯棒を引き抜いて
ポリウレタンの多孔性の管状体を得た。この管状体は不
織布が互に強固に接合され、一体化した構造であった。
続いて管状体の内面にCF4モノマーのガスを流し、外側
に内面より若干圧力が高くなるようアルゴンガスを流し
た。アルゴンガスの圧力は1mbarとした。13.56MHzの高
周波を30Wの出力で5分間印加し、筒状体の内面をフッ
素化合物の低温ガスプラズマ処理を行った。内面の水に
対する接触角は117.6゜であり良好な撥水性を示した。
アルブミンの吸着は、0.1%のアルブミン水溶液に浸
し、溶液を撹拌して行った。残液のアルブミン濃度よ
り、吸着量を求めた。
吸着量はプラズマ未処理のものが、3.1×10-9g/cm2であ
るのに対してプラズマ処理品は1.2×10-5g/cm2であっ
た。
この管状体の透水率を測定したところ380ml/分であっ
た。さらに、本明細書中に述べた方法で抗血栓性の評価
を行った結果を第1表に示す。第1表より内面の抗血栓
性が非常にすぐれており、人工血管として最適であるこ
とがわかった。
(発明の効果) 本発明におけるポリウレタン弾性繊維は相互に接合され
た多孔性の管状体であるため、ポリウレタンの弾性を始
めとする生医学材料としての良好な特性を利用できると
ともに、生体組織の侵入に有利でありかつ生体組織を保
持し易いという利点を有する。さらに、少なくとも血液
接触面がフッ素化合物の低温プラズマ処理及びアルブミ
ン吸着処理により高い抗血栓を与えられているため、内
面の高い抗血栓性を併せもち、小口径の人工血管として
も使用できるという特長を有する。又、力学的に良好な
ポリウレタン弾性繊維上へフッ素化合物プラズマ重合膜
を形成させ、更にアルブミンを吸着させたものである為
に、材料の力学的メリットを生かし、かつ材料の表面物
性のみを抗血栓性に変化させたものであり、従来の材料
にみられた成型性の悪さ、力学的強度の低さ、耐久性の
低さ、又抗血栓性の変化等の欠点を大きく改良したもの
である。
又、本発明方法は溶剤を一切用いないため、溶剤の残存
による人体への障害を考慮する必要がなく、全く安全で
あり、さらに特殊な材料、プロセス、条件をとらない為
に極めて安価に製造できる等、大きなメリットがある。
更に直線状の人工血管以外にテーパーつきのもの、枝分
れのあるものなどもそれぞれに合った成形具を使用すれ
ば容易に製造できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性ポリウレタン弾性体を熔融紡糸
    後、高速高温気体に随伴し細化して得られた実質的に連
    続したフィラメントをシート状に積層して得られたポリ
    ウレタン弾性繊維不織布を芯棒に巻き付け、加熱成型し
    多孔性の管状体とした後、該管状体の少なくとも内面を
    フッ素化合物の低温ガスプラズマ処理を施し、次いでア
    ルブミンを吸着させる事を特徴とする人工血管の製造方
    法。
  2. 【請求項2】ポリウレタン弾性繊維の平均直径が30ミク
    ロン以下である特許請求の範囲第1項記載の製造方法。
  3. 【請求項3】加熱成型の温度が70〜200℃である特許請
    求の範囲第1項記載の製造方法。
  4. 【請求項4】プラズマ処理を施した管状体の内面をアル
    ブミン水溶液に浸漬することにより、アルブミンを吸着
    させる特許請求の範囲第1項記載の製造方法。
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