JPH0675382B2 - 陰極線管 - Google Patents

陰極線管

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JPH0675382B2 JP63280500A JP28050088A JPH0675382B2 JP H0675382 B2 JPH0675382 B2 JP H0675382B2 JP 63280500 A JP63280500 A JP 63280500A JP 28050088 A JP28050088 A JP 28050088A JP H0675382 B2 JPH0675382 B2 JP H0675382B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、主にテレビジョン等に用いるための、ガラス
バルブから構成される陰極線管に関するものである。
[従来の技術] テレビジョン等に用いられる陰極線管は、第1図の部分
断面図に示されるように、映像を表示するパネル部3、
偏向コイルを装着するファンネル部4及び電子銃17を格
納するネック部5からなるガラスバルブ2で構成されて
いる。
真空容器としての陰極線管のガラスバルブは、大気圧が
外表面に加わるため応力(以後真空応力と称する。)が
発生するが、圧縮応力の領域と共に、第1図の如く球殻
とは異なる非対称的構造に負うところの引張応力の領域
が比較的広範囲に存在する。従ってもし陰極線管ガラス
バルブに十分な構造的強度がなければ、大気圧による静
的疲労破壊を生じせしめて陰極線管として機能しなくな
る。
更に、陰極線管の製造工程に於いては、特に380℃程度
の高温に保持し排気する際には、その熱工程に於いて熱
応力も加わるため、甚しい場合には瞬間的な空気流入に
より激しい爆縮を発生し周囲にまで損害を及ぼすことが
ある。
このような破壊を防止するための保証としては、ガラス
バルブ及び陰極線管の製造工程で発生するガラス表面へ
の加傷の強さと陰極線管の実用耐用年数を考慮して、#
150のエメリー紙により表面を加傷したガラスバルブに
空気圧或は水圧等により連続的に昇圧する外圧負荷試験
をおこない、破壊に至った時の圧力を耐圧強度とし、そ
の圧力としてPS=3.0kg/cm2以上は耐え得るようにして
いる。係る加傷をおこなったガラスバルブの実用破壊強
度σSGは、ガラスバルブの表面にある欠陥のため、200
〜250kg/cm2程度にしか過ぎない。
一方、真空応力下での疲労破壊を考えると、最大引張応
力σVmaxの存在する領域が起点となって破壊する確率が
最も高いので、前述の耐圧強度の保証値PS=3.0kg/cm2
以上の強度を有する陰極線管にするためには、弾性体の
線形性からして、 (PS/Pa)σVmax<σSG(ただしPaは大気圧を意味し、
その値は約1.03kg/cm2である。) の条件を満たせば良い。
即ち、σVmax<σSG/3であるから、σVmaxを60〜80kg/c
m2に抑えるようにガラスバルブの肉厚、形状等の幾何学
的構造を定めている。
このような従来例として、有効スクリーン面のアスペク
ト比がほぼ4:3の29インチ型カラーテレビジョン用陰極
線管に用いるガラスバルブの長軸又は短軸上の肉厚分布
と外表面上の真空応力分布の関係を第2図(a),
(b)に破線で示す。第2図(a),(b)において、
A〜Gはガラスバルブの長軸又は短軸上の位置を示すも
ので、Aはフェース中央、BはσV1発生点、Cはブレン
ドR、DはσV2発生点、Eは封着部、Fはリファレンス
線、Gはネックシール部である(第1図参照)。前述の
条件(σVmaxが60〜80kg/cm2)を満たすガラスバルブの
構造にしているのが判る。
[発明が解決しようとする課題] しかし、耐圧強度を保証するためσVmaxを前述のような
60〜80kg/cm2の範囲内に設定したガラスバルブの構造を
採用した場合、例えば、アスペクト比が4:3の有効スク
リーン面を有するカラーテレビジョン用陰極線管ガラス
バルブのパネル部の重量は、その最大外径のほぼ2.0〜
2.4乗に比例し増加するので大型サイズの陰極線管の生
産性、取り分けガラスバルブの生産性を極端に低下さ
せ、材料、コストも大幅に増大する結果となる。従っ
て、従来よりも軽量薄肉化した大型バルブにおいては、
最大引張応力σVmaxがその構造上70〜110kg/cm2となっ
てしまい、表面の微小な亀裂が成長しやすい構造となっ
てしまう。また、σVmaxが110kg/cm2より大きくなる
と、構造的に3.0kg/cm2以上の耐圧強度が得られ難くな
り、それ以上の軽量薄肉化は困難となる。
この問題に対する解決方法として幾種類かの表面強度を
上げる方法、例えば、ガラスバルブの表面でイオ交換
処理をおこない、圧縮応力層を形成し強化する方法、
ガラス材より膨張係数の比較的小さい材料を高温でガラ
スバルブ表面に被覆し、それらの熱収縮差を利用して大
きな圧縮応力層を形成する方法等が知られており、これ
らを利用しガラスバルブを肉薄にした構造にし重量を抑
制することは考えられる。
しかし、上記の方法では、十分な厚味の圧縮応力層を
形成するために6〜12時間程度の高温処理を要するた
め、大型サイズのガラスバルブにはコスト面で実用的で
はない。また、上記の方法では被膜の塗布領域と未塗
布領域の境界面、或は被膜下のガラス表面に逆に大きな
引張応力を発生することから疲労破壊をもたらす別の要
因となる問題点を有している。本発明においては、熱膨
張係数がガラスとほぼ等しいか小さい被膜を用いること
により、このような問題点を解消できる。
本発明の目的は、従来技術に於ける前述の欠点を解消
し、ガラスバルブ表面強度を増大させ、許容し得る最大
引張応力値を大きくした構造とすることにより、大型の
陰極線管の重量を軽減する手段を新たに提供することに
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前述の問題点を解決すべくなされたものであ
り、パネル部、ファンネル部及びネック部からなるガラ
スバルブを有してなる陰極線管において、その表面に大
気圧下で70〜110kg/cm2の最大引張応力の発生する領域
を有するガラスバルブの、引張応力が発生する領域の少
なくとも70kg/cm2あるいは最大引張応力の80%の値のい
ずれか大きい値以上の領域に、金属アルコキシド、金属
塩の1種又は2種以上をアルコール等の有機溶媒に溶解
し、これに水及び触媒としての酸を加えて前記金属化合
物が親水性オリゴマー状態として存在するゾル液に緻密
な金属酸化物微粒子を分散せしめたものを塗布後焼成し
た厚さ1〜30μmの範囲内の被膜を有することを特徴と
する陰極線管を提供するものである。
本発明者らは、前記、の従来法のようにガラスバル
ブ表面自体に圧力応力層を形成するのではなく、ガラス
バルブの表面の引張応力に抗するための抗張力を生じる
被膜を設けることにより強度を向上し、これによりガラ
スバルブの肉厚を従来品より薄くして軽量化し、しかも
強度が保証された大型陰極線管を実現できた。
第1図は本発明に一実施態様を説明する部分断面図であ
って、陰極線管1はパネル部3、ファンネル部4、ネッ
ク部5からなるガラスバルブ2で構成されており、映像
を表示するパネル部3はパネルフェース7とこれとはブ
レンドR9を形成するパネルスカート6からなり、該パネ
ルスカート6の端部で偏向コイルを装着するファンネル
部4と封着されて、封着部10を形成している。またパネ
ルフェース7の内面側には蛍光面12、アルミバッグ13、
シャドウマスク14がスタッドピン15で取りつけてあり、
またパネルスカート6の外周は、側面補強バンド18で補
強されている。16は内装ダッグ、17は電子銃、19はネッ
クシール部である。本発明はこのような陰極線管ガラス
バルブ2において、引張応力が発生する領域に抗張力を
生じる被膜8を設けるものである。
第2図(a),(b)に示すように、引張応力は特にブ
レンドRの近傍かつパネルフェース上のB及びスカート
部面上Dの位置で大きなピークとなる。BをσV1発生
点、DをσV2発生点という。従って、少なくともB,Dを
含む領域に被膜8を形成することが好ましい。
引張応力に対し抗張力を発生させる被膜としては、ヤン
グ率がガラスバルブ材のそれ、すなわち105kg/cm2とほ
ぼ等しいかそれ以上で、且つ熱膨張係数がやはりガラス
バルブ材とほぼ等しいか小さく、耐熱性を有し、しかも
ガラス表面に存在する微細欠陥の亀裂先端の拡大を阻止
できる緻密性とガラスへの密着性を有するものが好まし
く、このような被膜の材料として金属アルコキシド、金
属塩の1種又は2種以上を加水分解して親水性オリゴマ
ー状態としたゾル液に金属酸化物微粒子を分散せしめた
ものが挙げられる。これらの材料を70〜110kg/cm2の最
大引張応力の発生するガラスバルブの引張応力が発生す
る領域の少なくとも一部に塗布し、焼成して被膜を形成
する。
上記被膜は、引張応力が発生する領域全域に形成するの
が好ましく、少なくとも引張応力が70kg/cm2あるいは最
大引張応力の80%の値のいずれか大きい値以上の領域に
形成する。ガラスバルブは大型化及び軽量薄肉化すれば
するほど最大引張応力が大きくなる傾向があり、最大引
張応力が70〜90kg/cm2程度の比較的小型のものは少なく
とも70kg/cm2以上の領域に形成するのが好ましく、最大
引張応力が約90〜110kg/cm2の比較的大型のものは少な
くともその最大引張応力の80%の値(引張応力が約70〜
88kg/cm2)以上の領域に形成するのが好ましい。すなわ
ち、比較的小型のものについては、引張応力が70kg/cm2
以上の領域に少なくとも被膜を形成すれば充分な効果が
得られ、比較的大型のものについては、引張応力が80kg
/cm2を中心とした値(70〜88kg/cm2)以上の領域に、最
低限被膜を形成すれば本発明の目的が達成される。
[作 用] ガラスの応力拡大係数kIは、破壊起点としての微細欠陥
がもつ亀裂半径をa、引張応力をσ、負荷状態及び欠陥
の位置、形状で決まる係数をyとすれば、 として表わされ、ガラスの破壊靭性値KICに対し、KI≧K
ICなる関係が生じた場合にガラスの破壊が発生するとさ
れている。またKICは、0.63MPam1 (M;million=1
06,Pa;pascal,m;meter)から0.75MPam1 程度の一定
値を有している。
従って、ガラスバルブの実用強度σSGも、 として表わされるので、負荷状態及び欠陥の大きさ、位
置、形状等で決まる の値を小さくすれば、高めることが可能である。
本発明に於いては、σSGを高める方法として陰極線管製
造工程中の熱応力と真空応力との重ね合わせに起因する
損傷の防止等をも考慮し、耐熱性があり、ヤング率が少
くとも105kg/cm2以上で、ガラスバルブ材料にほぼ等し
いか、大きい材料を塗布し、熱処理することによって緻
密であり且つ密着性が高い堅固な被膜をガラスバルブの
表面に設け、引張応力に対する抗張力を発生させる方法
によった。
即ち、被膜による強度向上は、コーティングによりガラ
ス表面に存在する微細欠陥を消失させるとか、ガラスバ
ルブと被膜との熱収縮を利用して得られる圧縮応力層の
形成によってもたらされるというよりは、むしろ係る被
膜層の存在が、微細欠陥に働く引張応力に抗するため、
係る欠陥の亀裂先端の拡大を阻止することによる。
従って、係る被膜の効果をもたらすためには、被膜自体
に緻密性があり、且つガラスバルブとの密着性に優れる
ことを必要とするが、材料を塗布後熱処理によりガラス
バルブと反応させて堅固に被着できるものが好ましい。
また係る被膜のヤング率は、被膜層が抗張力を生むため
に重要であり、少くともガラスバルブ材料のヤング率と
同じオーダーの105kg/cm2程度は必要であり、それ以上
あることが望ましい。特に好ましくは105〜107kg/cm2
あれば良く、上限としては、特に限定する理由はない
が、ガラスに緻密な被膜として密着して被膜できる物質
としては、107kg/cm2より大きい物質は大部分金属であ
るので好ましくない。
更にこのような抗張力による効果を高めるためには、係
る被膜層の残留応力が引張応力とはならないことが望ま
しく、被膜焼成処理温度から室温までの範囲にて被膜材
の熱膨張係数は、ガラスバルブ材の熱膨張係数に等しい
か小さい方が好ましい。
本発明に係わる被膜材料としては、ガラス表面のOH基と
結合可能な、金属アルコキシド、金属塩の1種又は2種
以上、特にエチレンシリケート等のシリコンアルコキシ
ドを加水分解して親水性オリゴマー状態で存在するゾル
液に金属酸化物の微粒子を分散せしめたものが挙げられ
る。
金属アルコキシドとしてはエチルシリケート、メチルシ
リケート、シリコンアルコキシド、チタンアルコキシ
ド、ジルコンアルコキシド等、金属塩としては、例えば
4塩化珪素、硝酸ナトリウム等、又、ゾル液に添加、分
散させる金属酸化物としてはSiO2,TiO2,Al2O3,ZrO2等の
アエロジルが挙げられ、これらの微粒子は粒径が100〜1
000Å程度のものが好ましく、この場合の被膜は1〜30
μmの範囲内が好ましい。耐擦傷性からして1μm以上
は必要で、またゲル化の際の体積収縮及び膨張差による
マイクロクラックの発生が原因となって緻密性が失われ
ることを防止するため30μm程度に抑えることが必要で
ある。
陰極線管製造工程は、蛍光体塗布、アルミバック、ガラ
スバルブ封着、電子銃封入、排気工程等複雑なプロセス
と搬送プロセスから構成されており、ガラスバルブに対
する加傷の確率が高いので、被膜の耐擦傷性を高める点
と抗張力を高める点で少くとも1μm程度は必要であ
り、上限については被膜塗布性から決めれば良い。膜厚
の増大は塗布、乾燥、焼成を繰り返すことで得られる。
このようにして形成された被膜を有するガラスバルブの
実用強度をσ′SG、大気圧下に於ける最大引張応力の許
容限界値をσ′Vmaxとすると、前述の被膜がない従来ガ
ラスバルブの場合と同様に、σ′Vmax<(Pa/Ps)σ′
SGなる関係が成り立てば、従来ガラスバルブと同程度の
耐圧強度を保証し得るので、σ′Vmaxをガラスバルブの
実用強度の見合う程度、σVmaxより大きくすることが可
能である。
即ち、破損が生じ易い引張応力領域に被膜を施せば、従
来のガラスバルブと同程度の耐圧強度を保持しながらガ
ラブバルブの構造を変えて重量を軽減できる。
係る被膜による強度向上には、陰極線管完成後の大気圧
による疲労破壊防止だけではなく、380℃程度の高温に
保持する排気工程に耐え得るだけの耐熱性を持たせるこ
とにより、製造工程中の熱破損防止の機能を生じる。
従って被膜形成は、係る熱工程以前に要とするが、例え
ば、カラーテレビジョン用製造工程内のパネル部のファ
ンネル部との密着前に塗布し、封着の熱処理条件に合わ
せて被膜の焼成処理をおこなえば省エネルギーの面で好
ましい。
[実施例] 本実施例においては、通常カラーテレビジョン用陰極線
管に使用されるもので、表1に示したような特性を有す
る材料を用いて、第2図(a),(b)に破線で肉厚分
布と応力分布を示した29インチ型テレビジョン用従来品
(被膜なし、試料Aと称する)と同一の外形で、肉厚分
布のみを第2図(a),(b)に実線で示した構造のガ
ラスバルブを作製した。このガラスバルブの応力分布は
第2図(a),(b)に実線で示すとおりであった。ま
た、表1の各々のガラス材の組成を表2に示す。
まず比較品として、パネル部、ファンネル部の外形状
は、試料Aと同一で肉厚分布を第2図(a)から同図
(b)の実線すなわち本発明品のように変更した被膜な
しの試料Bを作製した。
以上で得られた試料A,Bの各部分の重量を調べ、又、そ
れぞれについて耐圧強度試験を行った。なお、耐圧試験
用試料は被膜形成以前にガラス表面に#150エメリー紙
で加傷したものである。重量と耐圧強度は表4に示すと
おりであった。
従来品の試料Aは、表2に示す通り、耐圧強度として3.
2kg/cm2程度を得たが、その破壊起点は、ほぼ長軸上の
スカート部にあるσV2の近傍であった。
比較品の試料B(被膜なし)の場合、最大引張応力は、
長軸上でσV1=92.4kg/cm2、σV2=91.3kg/cm2短軸上で
σV1=93.6kg/cm2、σV2=91.8kg/cm2と大きくなった結
果、耐圧強度は2.3kg/cm2と大幅に低下し実用性を失っ
た。
本実施例に於いては工程中の擦傷等を考慮し十分な膜厚
を得ることを目的とし、エチルシリケート1モルに8モ
ルのエタノールと11モルの酸性水溶液(pH=2〜3)を
混合し、十分に加水分解されたシロキサンオリゴマーゾ
ル液を得て、これにエチルシリケートと等モル量のアエ
ロジル(直径400Å,密度2.2gr/cm3)を添加した均一な
分散液を用いた。アエロジル微粒子+シリカゲルの特性
値を表3に示す。
塗布は、表4に示す29インチ型軽量ガラスバルブ(試料
B)の#150エメリー紙で加傷した表面におこなった。
具体的には、ガラスバルブのフェース端部のσV1発生領
域を含み、パネルスカート部の封着部近傍を除くスカー
ト部の全周(引張応力が発生した全領域)について上記
被膜材溶液を室温にて塗布した。
次に、60℃で5分間乾燥後、440℃で30分間焼成した。
得られた被膜の膜圧は約2μmであった。さらに、動的
硬度計(島津製作所製動的微小硬度計)により測定した
結果、得られた硬度は380g・f/μm2であり、60℃で乾燥
した場合の硬度230g・f/μm2に比較し十分な緻密性が得
られたことを確認した。
密着性については、JIS K 5400塗料一般試験法の6.15碁
盤目試験で、10回試験し評価点8〜10が得られ、高い密
着性のあることが確認された。
また、被膜形成後460℃の高温状態を30分間保持する試
験を2回繰り返した後、硬度を測定したが、硬度の低下
は見られず、十分な耐熱性があることを確認した。
以上で得られた本発明品(試料Dと称する)の各部分重
量と、耐圧強度も表4に示すが、耐圧強度試験では、3.
7kg/cm2となり保証値3.0kg/cm2を上廻った。
以上の結果から本発明品(試料D)は44.6kgと従来品
(試料A)50.2kgより5.6kgも軽量で、しかも耐圧強度
は従来品より0.5〜0.7kg/cm2も向上していることがわか
る。又、本発明品と同じ構造の軽量ガラスバルブ(試料
B)では耐圧強度が2.3kg/cm2と、本発明品の約60%程
度しか得られないことから、被膜による強度向上効果が
明らかに認められる。
[発明の効果] 本発明は、ガラス表面の破壊強度の向上という被膜効果
と、その被膜塗布領域に於いてガラスバルブの構造とそ
の材料物性値から定まる真空応力の最大引張応力値を70
kg/cm2以上110kg/cm2未満としたガラスバルブの構造と
することにより、ガラスバルブの重量軽減をもたらす効
果を有する。
また、耐熱性の被膜とすることにより、陰極線管の排気
工程等に於ける熱破損防止という効果を有するが、特に
製造工程に於いて治工具が接触し疵が発生し易く、比較
的大きい熱による引張応力が発生する領域に係る被膜を
形成するとその効果は大きい。
他には、バンドの抗張力を利用した側面防爆補強型陰極
線管の場合、このような補強効果は真空応力と相殺する
方向に作用し、概して引張応力の最大値と発生領域は小
さくなるが、新たに引張応力の領域がファンネル部等に
発生する場合もあり、このような領域に係る被膜形成を
おこなっても同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の陰極線管の一具体例の部分断面図、第
2図(a)は29インチ型テレビジョン用ガラスバルブの
長軸上における真空応力分布(kg/cm2)と肉厚分布(m
m)の関係を示す図表、同図(b)は短軸上における
(a)と同様の関係を示す図表である。 1……陰極線管、2……ガラスバルブ、3……パネル
部、4……ファンネル部、5……ネック部、8……被
膜。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パネル部、ファンネル部及びネック部から
    なるガラスバルブを有してなる陰極線管において、その
    表面に大気圧下で70〜110kg/cm2の最大引張応力の発生
    する領域を有するガラスバルブの、引張応力が発生する
    領域の少なくとも70kg/cm2あるいは最大引張応力の80%
    の値のいずれか大きい値以上の領域に、金属アルコキシ
    ド、金属塩の1種又は2種以上を有機極性溶媒中で加水
    分解した化合物が親水性オリゴマー状態として存在する
    ゾル液に緻密な金属酸化物微粒子を分散せしめたものを
    塗布後焼成した厚さ1〜30μmの範囲内の被膜を有する
    ことを特徴とする陰極線管。
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