JPH0673521U - ベルト案内部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸受とプーリで構成されるベルト案内部品に
おいて、プーリ表面のクラウニング形状を低コストで簡
単に形成できるようにする。 【構成】 標準軸受２の外径に、その外輪５より幅広の
プーリ２を圧入し、この圧入の締代によりプーリ表面に
中央が凸となるクラウニングを形成する。プーリ表面を
クラウニング形状とすることにより、ベルトの横走りを
防止し、プーリ表面にベルトのセンタリング機能を与え
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車エンジンのタイミングベルトや補機駆動用ベルト等を案内 するベルト案内部品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車エンジンのタイミングベルト等の張力調整を行うテンショナ及びアイド ラには、図６に示すような軸受とプーリを組合せたベルト案内部品が用いられて いる。

【０００３】 従来のベルト案内部品１１は、軸１６に固定した内輪１２に、転動体１４を介 して外輪１３を嵌合させ、この外輪１３の外径側にプーリ１５を一体に形成して いる。このベルトを案内するプーリ１５の外径面は、研削加工によりフラットに 仕上げられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、フラットな平面で形成したプーリの表面でベルトを案内した場合、 ベルトが横走りしやすい特性があるが、これに対し、プーリの表面に中央部が凸 となるようなクラウニングを施すと、プーリがベルトのセンタリング機能を備え 、ベルトの横走りを防止できる特性があることが知られている。

【０００５】 しかし、従来のプーリ１５の表面は、研削加工により全体が仕上げられている ため、最適なクラウニングを施す上においては、軸受の型番やプーリ幅が異なる と、それに応じて研削量も厳密に変化させる必要があり、クラウニング加工に手 間がかかり、コスト高になる問題がある。

【０００６】 そこで、この考案は、上記の問題を解決し、低コストでプーリ表面に最適なク ラウニングを形成することができる構造を提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、この考案は、標準軸受の外輪の外径面に、その外 輪より幅広でリング形状をなすプーリを圧入し、この圧入の締代を、プーリの表 面が幅方向の中央部を最大径とする凸形曲面となり、この凸形曲面によりプーリ 表面のベルトの横走りが防止される大きさに設定したものである。

【０００８】

【作用】

上記のように、標準軸受の外径に、適切な締代をもたせて外輪より幅広のプー リを圧入することにより、プーリの表面に幅方向中央が凸形となるクラウニング 形状を形成することができる。

【０００９】 なお、ベルトの横走りを防止できるクラウニングを施すための締代は、２０μ ｍ〜１００μｍの範囲で設定するのが望ましい。

【００１０】

【実施例】

図１は実施例のベルト案内部品を示している。 このベルト案内部品１は、標準軸受２と、リング形状をしたプーリ３とから成 り、標準軸受２は、内輪４と、外輪５と、その内外輪４、５の間に組込まれた多 数のボール６と、この各ボール６を保持する保持器７、及び内外輪４、５の両側 を塞ぐシール８、９とから形成されている。

【００１１】 また、プーリ３は、上記軸受２の外輪５の幅より大きな幅寸法で形成されてい る。

【００１２】 このベルト案内部品１は、内輪４を軸１０に圧入嵌合し、外輪５の外径面にプ ーリ３を圧入して形成される。

【００１３】 図２は、圧入前のプーリ３単体での表面の母線形状であり、図３は２０μｍ〜 １００μｍの締代でもってプーリ３を圧入した際のプーリ表面の母線形状を示し ている。この図２と図３の比較から明らかなように、プーリ単体の母線形状に対 して圧入後のそれは、幅方向の中央部が１２mmの高さで盛り上るクラウニングが 形成され、中央が凸形となる曲面形状となっている。

【００１４】 このようにプーリ３の表面を、中央に向かってなだらかに突出する曲面形状と することにより、ベルトの横走りが抑えられ、また、ベルトに対してセンタリン グ機能が作用し、ベルトの騒音が低減できる。また、走行中のベルトの振動等が 抑えられることにより大幅なベルトの寿命向上を図ることができる。

【００１５】 また、この実施例においては、プーリ表面が図３に示す母線形状をもったベル ト案内部品をタイミングベルトのテンショナに装着し、８８ＯＮ（９０kgｆ）の ラジアル荷重を加え、回転数７６００ｒ／ｍｉｎ、温度１３０℃の条件下で６５ ０時間の耐久試験を実施した。その結果、試験後のプーリ表面には図４に示すよ うな母線形状が得られた。この図３と図４の対比から明らかなように、プーリ表 面のクラウニング形状はほとんど変化せずに保たれており、実際の使用において 性能や耐久性の上で問題がなかった。

【００１６】 一方、図５はプーリに対する圧入の締代と最大のクラウニング量との設定条件 例を示している。この図から最適な締代範囲を選択することにより、理想的なク ラウニングを設定することができる。

【００１７】 なお、上記の締代とクラウニング量の相関関係は、プーリの板厚が変われば変 化するが、プーリの厚みが数mmの範囲であれば図５のデータをそのまま使用する ことができるので、上記の関係から最適なクラウニングを得るための適切な締代 を簡単に設定することができる。

【００１８】

【効果】

以上のように、この考案は、標準軸受を使用し、その標準軸受にプーリを圧入 することによりプーリ表面をクラウニング形状に形成するので、低い製造コスト で最適なクラウニングを形成することができる。

【００１９】 また、プーリの圧入の締代を適切に制御することによりプーリ表面に理想的な クラウニングを形成することができ、ベルトの横走り防止と共に、センタリング 機能による騒音低減とベルトの寿命向上が図れる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例を示す断面図

【図２】プーリ単体の母線形状を示す図

【図３】圧入後のプーリ表面の母線形状を示す図

【図４】耐久試験後のプーリ表面の母線形状を示す図

【図５】圧入の締代とクラウニング量の関係を示すグラ
フ

【図６】従来例を示す断面図

【符号の説明】

１ ベルト案内部品 ２ 標準軸受 ３ プーリ ４ 内輪 ５ 外輪 ６ ボール ７ 保持器 ８、９ シール １０ 軸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 標準軸受の外輪の外径面に、その外輪よ
   り幅広でリング形状をなすプーリを圧入し、この圧入の
   締代を、プーリの表面が幅方向の中央部を最大径とする
   凸形曲面となり、この凸形曲面によりプーリ表面のベル
   トの横走りが防止される大きさで設定したベルト案内部
   品。