JPH0671919U - 軸受構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】従来構造よりも高い信頼性が得られると共に、
軽量化、小型化、製作コストの低減を図ることのできる
脆性材料から成る軸受構造を提供する。 【構成】軸流ポンプを構成する上段軸受部及び下段軸受
部のケーシング内部に軸受部材を夫々嵌込み、同ケーシ
ングの内面側に突設した回止めネジ又は回止めピンと、
軸受部材の外面側に形成した回止め部又はリング嵌着部
との間に金属製の回止め板又は回止めリングを介在させ
て回止めするので、金属部材の介在により軸受部材と回
止め部材とが間接的に係合され、主軸の回転時に負荷さ
れる衝撃により脆性材料で形成した軸受部材が破損する
のを積極的に防止できると共に、ケーシングと軸受部材
とを接着固定するような従来構造よりも高い信頼性が得
られ、小型化、軽量化、製作コストの低減を図ることが
できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、例えば、縦型及び横型の斜軸ポンプ、軸流ポンプ、深井戸用ポン プ、キャンドポンプ、或いは、コンプレッサ等の主軸を軸受するために用いられ るような軸受構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、上述例のような主軸を軸受する軸受構造としては、例えば、軸受部材の 外周面に切欠き形成した切欠き部とキー又はピンとを直接係合して、軸受部材と ケーシングとを回止めする第１の軸受構造と、軸受部材の外周面に焼嵌めした金 属製のリテーナとケーシングとをキー又はピンにより回止めする第２の軸受構造 と、軸受部材とケーシングとを接着剤（例えば、エポキシ樹脂系の接着剤）によ り一体的に接着固定する第３の軸受構造とがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上述の軸受部材を、例えば、セラミックスやカーボン等の脆性材料で 形成した場合、第１の軸受構造は、軸受部材に加工した切欠き部とキー又はピン とを直接係合するので、主軸の回転時に負荷される衝撃により脆性材料で形成し た軸受部材の切欠き部が欠損することがある。

【０００４】 第２の軸受構造は、脆性材料で形成した軸受部材の外周面上にリテーナを焼嵌 めするので、焼嵌め時に於いてリテーナの外周部に歪みが生じやすく、その歪み による寸法誤差を修正加工（例えば、研磨加工）する必要がある。

【０００５】 第３の軸受構造は、脆性材料で形成した軸受部材とケーシングとを接着剤によ り接着固定するので、上述のようにキー又はピンを係合する第１及び第２の軸受 構造よりも固定強度が弱く、信頼性及び耐久性に欠けるという問題点を有してい る。

【０００６】 且つ、軸受部材の外周面上にリテーナ又はケーシングを焼嵌めした場合、軸受 全体のサイズが大きくなり、全体の重量が重くなるため、製作コストがアップす るという問題点を有している。

【０００７】 この考案は上記問題に鑑み、ケーシング及び軸受部材の対向面に形成した係止 凹部と係止凸部との間に金属部材を介在することで、主軸の回転時に於いて脆性 材料で形成した軸受部材が破損するのを積極的に防止でき、高い信頼性、小型化 、軽量化、製作コストの低減を図ることができる軸受構造の提供を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案は、ケーシング内部に固定した脆性材料から成る筒状の軸受部材によ り主軸を軸受する軸受構造であって、上記ケーシング及び軸受部材の対向面に互 いを回止めする係止凹部と係止凸部とを形成すると共に、該係止凹部と係止凸部 との間に金属部材を介在させた軸受構造であることを特徴とする。

【０００９】

【作用】

この考案は、ケーシング及び軸受部材の対向面に形成した係止凹部と係止凸部 との間に金属部材を介在させて、ケーシング内部に嵌込まれた軸受部材を回転不 可に回止め固定することで、金属部材の介在により軸受部材と回止め部材とが間 接的に当接され、主軸の回転時に負荷される衝撃が軸受部材に直接作用するのを 防止する。

【００１０】

【考案の効果】

この考案によれば、ケーシング及び軸受部材の対向面に形成した係止凹部と係 止凸部との間に金属部材を介在させて回止めするので、主軸の回転時に負荷され る衝撃により、例えば、セラミックス素材やカーボン素材等の脆性材料で形成し た軸受部材に破損が生じるのを積極的に防止することができる。しかも、従来例 のようにケーシングと軸受部材とを接着固定するような従来構造よりも高い信頼 性が得られると共に、リテーナ等を焼嵌めするのに比べて小型化及び軽量化でき 、焼嵌め歪みを修正加工する必要が無くなり、製作コストの低減を図ることがで きる。

【００１１】

【実施例】

本考案の軸受構造を以下図面に基づいて詳述する。 図面は軸流ポンプの水中軸受部に用いられる第１実施例の軸受構造を示し、図 １に於いて、この軸流ポンプ１は、鉛直姿勢に立設した揚水管２の中心部長さ方 向に主軸３を垂直挿通し、同管内部に配設した上段軸受部４及び下段軸受部５の 中心部に各ケーシング６，６を垂直固定し、同各ケーシング６，６の内周面に固 定した各軸受部材７，７で主軸３を垂直姿勢に軸受して、減速機付きモータ（図 示省略）の駆動力により、主軸３の下端部に突設した４枚の各羽根３ａ…を揚水 方向に回転する。

【００１２】 上述の軸受部材７は、図２及び図３に示すように、例えば、炭化珪素（ＳｉＣ ）、タングステンカーバイト（ＷＣ）、窒化珪素（Ｓｉ₃ Ｎ₄ ）、アルミナ（Ａ ｌ₂ Ｏ₃ ）、チタンカーバイト（ＴｉＣ）等のセラミックス素材、又は、金属や 樹脂等を含浸したカーボン素材等のような脆性材料から成る筒状の軸受部材７を 形成すると共に、軸受部材７の外周面をケーシング６内部に対して嵌込まれる外 径寸法に形成し、同軸受部材７の内周面を主軸３の回転が許容される内径寸法に 形成している。

【００１３】 且つ、軸受部材７の一部外周面を径方向と直交する方向に切欠き形成（例えば 、Ｄカット加工）して平面形状の回止め部８を形成し、同軸受部材７の一部外周 面に切欠き形成した回止め部８に、適宜形状寸法に形成した金属製の回止め板９ を嵌め付けると共に、同回止め部８と回止め板９とを接着剤（例えば、エポキシ 樹脂系の接着剤）により一体的に接着固定しているので、表面加工が容易であり 、応力集中が生じるような角部が全く無い。

【００１４】 上述のように形成した軸受部材７を軸流ポンプ１の上段軸受部４及び下段軸受 部５に組付ける場合、上段軸受部４及び下段軸受部５に配設したケーシング６内 部に軸受部材７を夫々嵌込んだ後、同ケーシング６の外周面に形成したネジ孔６ ａに回止めネジ１０を径方向に螺合する。且つ、軸受部材７の外周面に切欠き形 成した回止め部８に対して直交する方向に回止めネジ１０を螺合し、同軸受部材 ７の回止め部８に固定した回止め板９の平面部と回止めネジ１０の先端部とを径 方向に当接して、ケーシング６内部に嵌込まれた軸受部材７を回転不可に回止め する。

【００１５】 以上のように、ケーシング６の内面側に突設した回止めネジ１０と、軸受部材 ７の外面側に形成した回止め部８との間に金属製の回止め板９を介在させて回止 めするので、同回止め板９の介在により軸受部材７と回止めネジ１０とが間接的 に当接され、主軸３の回転時に負荷される衝撃により、例えば、セラミックス素 材やカーボン素材等の脆性材料で形成した軸受部材７に破損が生じるのを積極的 に防止することができる。

【００１６】 しかも、従来例のようにケーシング６と軸受部材７とを接着固定するような従 来構造よりも高い信頼性が得られると共に、リテーナ等を焼嵌めするのに比べて 小型化及び軽量化でき、焼嵌め歪みを修正加工する必要が無くなり、製作コスト の低減を図ることができる。

【００１７】 図４及び図５は第２実施例の軸受構造を示し、例えば、セラミックス素材又は カーボン素材で筒状の軸受部材１１を形成すると共に、軸受部材１１の外周面を ケーシング６内部に対して嵌込まれる外径寸法に形成し、同軸受部材１１の内周 面を主軸３の回転が許容される内径寸法に形成している。

【００１８】 且つ、軸受部材１１の一端側外周面を円周方向に切欠き形成してリング嵌着部 １２を形成すると共に、同リング嵌着部１２に軸受部材１１の外径寸法よりも若 干小径寸法に形成した金属製の回止めリング１３を焼嵌め固定する。又は、同リ ング嵌着部１２に軸受部材１１の外径寸法と対応する形状寸法に形成した金属製 の回止めリング１３を嵌め付け、同リング嵌着部１２と回止めリング１３とを接 着剤（例えば、エポキシ樹脂系の接着剤）により一体的に接着固定する。

【００１９】 上述のように形成した軸受部材１１を軸流ポンプ１の上段軸受部４及び下段軸 受部５に組付ける場合、予め、上段軸受部４及び下段軸受部５に配設したケーシ ング６内部に回止めピン１４を夫々挿入し、同ケーシング６の内側端面に形成し たネジ孔６ｂに回止めピン１４のネジ部１４ａを軸方向に螺合固定する。次に、 上段軸受部４及び下段軸受部５に配設したケーシング６内部に軸受部材１１を夫 々嵌込んだ後、同ケーシング６の内側端面に螺合固定した回止めピン１４と、軸 受部材１１のリング嵌着部１２に焼嵌め又は接着した回止めリング１３の切欠き 部１３ａとを軸方向に係合して、ケーシング６内部に嵌込まれた軸受部材１１を 回転不可に回止めする。

【００２０】 以上のように、ケーシング６の内面側に突設した回止めピン１４と、軸受部材 １１の外面側に形成したリング嵌着部１２との間に金属製の回止めリング１３を 介在させて回止めするので、上述の第１実施例と同様に、回止めリング１３の介 在により軸受部材１１と回止めピン１４とが間接的に係合され、主軸３の回転時 に於いて軸受部材１１に破損が生じるのを積極的に防止でき、従来構造よりも高 い信頼性が得られると共に、小型化、軽量化、製作コストの低減を図ることがで きる。

【００２１】 この考案の構成と、上述の実施例との対応において、 この考案の係止凹部は、第１実施例の軸受部材７を構成する回止め部８と、第 ２実施例の軸受部材１１を構成するリング嵌着部１２及び回止めリング１３の切 欠き部１３ａとに対応し、 以下同様に、 係止凸部は、第１実施例の回止めネジ１０と、第２実施例の回止めピン１４と に対応するも、 この考案は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】軸流ポンプの水中軸受部に組付けられた軸受構
造を示す縦断側面図。

【図２】第１実施例の軸受構造を示す縦断側面図。

【図３】第１実施例の軸受構造に用いられる軸受部材の
斜視図。

【図４】第２実施例の軸受構造を示す縦断側面図。

【図５】第２実施例の軸受構造に用いられる軸受部材の
斜視図。

【符号の説明】

１…軸流ポンプ ２…揚水管 ３…主軸 ４…上段軸受部 ５…下段軸受部 ６…ケーシング ７…軸受部材 ８…回止め部 ９…回止め板 １０…回止めネジ １１…軸受部材 １２…リング嵌着部 １３…回止めリング １３ａ…切欠き部 １４…回止めピン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシング内部に固定した脆性材料から成
   る筒状の軸受部材により主軸を軸受する軸受構造であっ
   て、 上記ケーシング及び軸受部材の対向面に互いを回止めす
   る係止凹部と係止凸部とを形成すると共に、該係止凹部
   と係止凸部との間に金属部材を介在させた軸受構造。