JPH0669902A - 移動体通信の時間分割通信方法 - Google Patents

移動体通信の時間分割通信方法

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JPH0669902A
JPH0669902A JP4238952A JP23895292A JPH0669902A JP H0669902 A JPH0669902 A JP H0669902A JP 4238952 A JP4238952 A JP 4238952A JP 23895292 A JP23895292 A JP 23895292A JP H0669902 A JPH0669902 A JP H0669902A
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JP
Japan
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signal
time
radio
circuit
frequency
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JP4238952A
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English (en)
Inventor
Sadao Ito
貞男 伊藤
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Iwatsu Electric Co Ltd
Original Assignee
Iwatsu Electric Co Ltd
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  • Time-Division Multiplex Systems (AREA)
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  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フレーム構成のタイム・スロットに時間圧縮
した電話信号をのせた移動体通信を提供すること。 【構成】 複数のゾーンをカバーしてサービス・エリア
を構成する各無線基地局30と、複数のゾーンを横切っ
て移動し、無線基地局と交信するためにフレーム構成の
タイム・スロットに時間的に圧縮した区切られた信号を
のせた無線チャネルを用いた各移動無線機100との間
の通信を交換するための関門交換機20とを用いて、原
信号の最高周波数に応じて、圧縮率を可変して、タイム
・スロットの時間幅を可変し、隣り合うタイム・スロッ
トとタイム・スロットとの間のガード・タイムを可変す
るようにした。 【効果】 各タイム・スロットの間のガード・タイムを
広くして多重電波伝搬特性による悪影響を防止すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電話などの帯域特性を有
する信号を使用する移動体通信における無線通信チャネ
ルの時間分割通信方法において、電話信号の有する周波
数特性が時間的に変化するのに応じて、信号に与える時
間圧縮率を変更し品質の向上を図る方法に関する。さら
に具体的には、ある無線チャネルが与えられ、これを用
いてサービス・エリア内の多数の移動無線機のうちの1
つが、対向する無線基地局と無線回線を設定して通信し
ている最中に、他の移動無線機が同一無線チャネルを用
いて他の無線基地局と通信を開始したとき、周波数の有
効利用上あるいは電波伝搬特性上の理由で、それぞれ通
信中の移動無線機と、無線基地局との間の通信に悪影響
を及ぼすことを未然に除去すると同時に周波数の有効利
用性を向上する方法を提供せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】小ゾーン方式を適用した音声を用いる移
動体通信において、時分割時間圧縮多重信号を採用した
方式は、下記の文献に記載されている。
【0003】文献1.伊藤 “携帯電話の方式検討−時
分割時間圧縮FM変調方式の提案−”信学会技報 RC
S89−11 平成元年7月
【0004】文献2.伊藤 “携帯電話の方式検討−時
分割時間圧縮FM変調方式の理論検討” 信学会技報
RCS89−39 平成元年10月
【0005】文献3.伊藤 “携帯電話の方式検討−時
分割時間圧縮多重FM方式の多重波伝搬特性の検討−”
信学会技報 RCS89−47 平成2年1月
【0006】文献4.西巻 “電気音響振動学”電気通
信学会編 コロナ社刊 1960年7月 19〜21頁
【0007】すなわち、文献1においては、送信信号
(ベースバンド信号)をあらかじめ定めた時間間隔単位
に区切って記憶回路に記憶し、これを読み出す時には記
憶回路に記憶する速度よりもn倍の高速により所定のタ
イム・スロットで読み出し、このタイム・スロットによ
って収容された信号で搬送波を角度変調または振幅変調
して、時間的に断続して送受信するために移動無線機お
よび無線基地局に内蔵されている、それぞれ対向して交
信する受信ミクサを有する無線受信回路と、送信ミクサ
を有する無線送信回路と、無線受信回路の受信ミクサに
印加するシンセサイザと無線送信回路の送信ミクサに印
加するシンセサイザとに対しスイッチ回路を設け、それ
ぞれ印加するシンセサイザの出力を断続させ、この断続
状態を送受信ともに同期し、かつ対向して通信する無線
基地局にも上記と同様の断続送受信を移動無線機のそれ
と同期させる方法を用い、かつ受信側では前記所定のタ
イム・スロットに収容されている信号のみを取り出すた
めに、無線受信回路を開閉して受信し、復調して得た信
号を記憶回路に記憶し、これを読み出す時にはこの記憶
回路に記憶する速度のn分の1の低速度で読み出すこと
により、送信されてきた原信号であるベースバンド信号
の再生を可能とするシステムを構築したシステム例が報
告されている。
【0008】つぎに文献2には、上記のようなTCM
(時分割時間圧縮多重)−FM方式を小ゾーンに適用し
た場合に問題となる隣接チャネル干渉や、同一チャネル
干渉の検討が行われており、システム・パラメータを適
切に選定することによりシステム実現の可能性が示され
ている。
【0009】また文献3では、TCM信号が空間を伝送
中に受けるマルチパス・フェ−ジングの影響について検
討し、この影響を除去ないし軽減する対策として、タイ
ム・スロット間に、ガード・タイムを設定することを提
案している。
【0010】文献4には音声のスペクトラムに関し詳し
く説明されている。以下、文献4より引用する。
【0011】 人の言葉
の声(音声,speech sound)には母音(vowel) と子音
(consonant)とがある。母音は一般にある時間続く周
期音であり、子音は短時間の衝撃音または雑音である。
日本語の場合は子音の後に必ず母音が続くので、子音に
母音が続いたものを子音といい母音を除いたものを特に
父音ということがある。日本語の基本的な母音はアイウ
エオの5つであるが、これらのうちの2つが短時間に相
次いで起きるものも1つの母音とする。それぞれの母音
の特徴は、その周波数スペクトルの形できまる。たとえ
ば基音が“ア”の場合は287Hzであり、“ウ”の場
合は307Hzである。これらのスペクトルの特徴を分
かり易くするために、パワの大きい部分をいくつかの周
波数帯で表わすと図13のようになる。
【0012】 図13
(a)には“ア”の周波数帯が、同(b)には“エ”の
周波数帯が、同(c)には“イ”の周波数帯が、同
(d)には“オ”の周波数帯が、同(e)には“ウ”の
周波数帯が、それぞれ示されている。それぞれの周波数
帯をフォルマント(Formant )または特性周波数帯(ch
aracteristic frequency band )という。スペクトルの
形は個人や年齢、性別、声の高さなどによって異なる
が、フォルマントの特徴が保たれるために母音の判別が
できると考えられている。
【0013】子音には、唇や舌などで息を止めておいて
急に衝撃音を出すもの(破裂音),唇,舌,歯などで息
の通り道を狭めて雑音を出すもの(摩擦音)、これらに
声帯の振動が伴ったものがあり、そのスペクトルは不規
則で、急速に変化する。日本語ではこれらに母音が伴っ
ている。
【0014】人の話し声の基本周波数は男性の低音の9
0Hz程度から女性や子供の金切り声の400Hz程度
まである。しかし、スペクトルはほとんど最高の可聴周
波数限界にまで及んでいて、その微妙な違いが個人的な
声の特徴となって表われる。1つの言葉の特徴はスペク
トルの時間的変化の様子によってきまる。縦軸に周波
数、横軸に時間をとり、スペクトルの振幅を濃さ(線の
太さ)で表わしたグラフ(ソナグラム、sonagram)で言
葉の特徴を表わすことができる。図14には、その一例
が示されており、“Joe took father’
s shoe bench out”と話したときのソ
ナグラムである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前記の文献1ないし3
に示したシステム構築例では、TCM信号を用いた移動
体通信システムの一般的な説明がなされており、これに
よってシステムの構築は可能であるが、ガード・タイム
幅を広くすることにより、多重電波伝搬特性による信号
劣化の影響を軽減することが可能であるとしても、これ
をあまり大きくすると、周波数有効利用度を悪化する結
果をもたらす。したがって、周波数有効利用度の悪化を
防止する方策が必要であるが、文献3には何等これに関
する記述がない。
【0016】また、文献4は音声のスペクトラムに関し
詳しいが、音声をTCM化したときの説明は全くなされ
ておらず、TCM化したときの有効利用法が不明である
という未解決の課題が残されていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】TCM(時分割時間圧縮
多重)信号の多重数(通話路数)、1フレームの時間
長、原信号の有する最高周波数をパラメータにとり、こ
れに時間分割し区切られた電話信号(時間片信号)のそ
れぞれの有する最高周波数を補助パラメータとして加
え、時間片信号の有する周波数特性が時間的に変化する
のに応じて、信号に与える時間圧縮率を変更可能なよう
にした。この結果周波数特性がシステムで定める最高周
波数まて゛広がっている場合には、時間圧縮率をシステ
ムで定める値にとり、それ以外の場合、すなわち、時間
片信号の有する周波数特性がシステムで定める最高周波
数まで広がっていない場合には、その広がりに応じて時
間圧縮率を、より大きくすることにより、フレーム構成
のタイム・スロットに時間的に圧縮した区切られた信号
を搭載したとき、タイム・スロット間のガード・タイム
を大きくすることが可能となった。
【0018】
【作用】時間片信号の有する周波数特性がシステムで定
める最高周波数まで広がっている場合には、システムで
定める時間圧縮率としたため、TCM信号の有する最高
周波数はシステムで許容する最高周波数FH を越えるこ
とはない。つぎに時間片信号の有する周波数特性が最高
周波数まで広がっていない場合には、時間圧縮率を高め
てもシステムで許容する最高周波数FH を越えないよう
にすることが可能である。
【0019】その結果、TCM信号の角度変調したTC
M−FM信号の有する側波帯の広がりは常に一定の値以
内に保たれ、隣接無線チャネルに無線干渉を与えること
はない。つぎにガード・タイム幅に関し説明すると、時
間片信号の有する周波数特性がシステムで定める最高周
波数FH まで広がっている場合には、ガード・タイム幅
はシステムで定める一定の値を保っている。つぎに、時
間片信号の有する周波数特性が最高周波数FH まで広が
っていない場合には、時間圧縮率を高めることによりタ
イム・スロット内に搭載する圧縮された時間片信号の有
する時間長が短縮されている結果、隣接タイム・スロッ
ト間のガード・タイム幅が広げられることになる。この
ため、たとえ大きな遅延時間を有する多重電波伝搬特性
のため、従来におけるような一定のガード・タイム幅で
は多重電波伝搬歪みの発生が見込まれるようなときで
も、本発明の方法によりガード・タイム幅が広げられ、
これを避け得る可能性が増大する。この結果、システム
の信号品質が向上するほか、ガード・タイム幅の設計値
として従来より小さな値に設定することが可能となり、
周波数有効利用度が向上することになった。
【0020】
【実施例】図1,図2および図3は、本発明の基本動作
例を説明するためのシステム構成を示している。
【0021】図1において、10は一般の電話網であ
り、20は電話網10と無線システムとを交換接続する
ための関門交換機である。30は無線基地局であり、関
門交換機20とのインタフェイス,信号の速度変換を行
う回路,タイム・スロットの割当てや選択をする回路、
制御部などがあり、無線回線の設定や解除を行うほか、
移動無線機100(100−1〜100−n)と無線信
号の授受を行う無線送受信回路を有している。
【0022】ここで、関門交換機20と無線基地局30
との間には、通話チャネルCH1〜CHnの各通話信号
と制御用の信号を含む通信信号22−1〜22−nを伝
送する伝送線がある。
【0023】図2には無線基地局30との間で交信をす
る移動無線機100の回路構成が示されている。アンテ
ナ部に受けた制御信号や通話信号などの受信信号は、受
信ミクサ136と受信部137を含む無線受信回路13
5に入り、その出力である通信信号は、速度復元回路1
38と、制御部140とクロック再生器141に入力さ
れる。クロツク再生器141では、受信した信号の中か
らクロックを再生してそれを速度復元回路138と制御
部140とタイミング発生器142に印加している。
【0024】速度復元回路138では、受信信号中の圧
縮されて区切られた通信信号の速度(アナログ信号の場
合はピッチ)を復元して、連続した信号として電話機部
101および制御部140に入力している。
【0025】電話機部101から出力される通信信号
は、速度変換回路131で通信信号を所定の時間間隔で
区切って、その速度(アナログ信号の場合はピッチ)を
高速に(圧縮)して、送信ミクサ133と送信部134
とを含む無線送信回路132に印加される。速度変換回
路131では変換速度は必ずしも一定ではなく、入力さ
れる時間片信号の有する周波数特性の広がりにより変化
する場合がある。この場合の内部構成については後述す
る。
【0026】送信部134に含まれた変調器の出力は送
信ミクサ133において所定の無線周波数に変換され、
アンテナ部から送出されて、無線基地局30によって受
信される。移動無線機100より使用を許可されたタイ
ム・スロットを用いて、無線基地局30宛に無線信号を
送出するには、図2に示すタイミング発生器142から
のタイミング情報が、制御部140を介して得られてい
ることが必要である。
【0027】このタイミング発生器142では、クロッ
ク再生器141からのクロックと制御部140からの制
御信号により、送受信断続制御器123,速度変換回路
131や速度復元回路138に必要なタイミングを供給
している。
【0028】移動無線機100には、さらにシンセサイ
ザ121−1および121−2と、切替スイッチ122
−1,122−2と、切替スイッチ122−1,122
−2をそれぞれ切替えるための信号を発生する送受信断
続制御器123およびタイミング発生器142が含まれ
ており、シンセサイザ121−1,121−2と送受信
断続制御器123とタイミング発生器142とは制御部
140によって制御されている。各シンセサイザ121
−1,121−2には、基準水晶発振器120から基準
周波数が供給されている。
【0029】図3には無線基地局30が示されている。
関門交換機20との間のnチャネルの通信信号22−1
〜22−nは、伝送路でインタフェイスをなす信号処理
部31に接続される。そこで関門交換機20から送られ
てきた通信信号22−1〜22−nは、無線基地局30
の信号処理部31へ入力される。信号処理部31では伝
送損失を補償するための増幅器が具備されているほか、
いわゆる2線−4線変換がなされる。すなわち入力信号
と出力信号の混合分離が行われ、関門交換機20からの
入力信号は、信号速度変換回路群51へ送られる。また
信号速度復元回路群38からの出力信号は、信号処理部
31で入力信号と同一の伝送路を用いて関門交換機20
へ送信される。上記のうち関門交換機20からの入力信
号は、多くの信号速度変換回路51−1〜51−nを含
む信号速度変換回路群51へ入力され、所定の時間間隔
で区切って速度(ピッチ)変換を受ける。ここでの変換
速度は必ずしも一定ではなく、入力される時間片信号の
有する周波数特性の広がりにより変化する場合がある。
これについては後述する。また無線基地局30より関門
交換機20へ伝送される信号は、無線受信回路35の出
力が、信号選択回路群39を介して、信号速度復元回路
群38へ入力され、速度(ピッチ)変換されて信号処理
部31へ入力される。
【0030】さて、無線受信回路35の制御または通話
信号の出力は、タイム・スロット別に信号を選択する信
号選択回路39−1〜39−nを含む信号選択回路群3
9へ入力され、ここで各通話チャネルCH1〜CHnに
対応して通話信号が分離される。この出力は各チャネル
毎に設けられた信号速度復元回路38−1〜38−nを
含む信号速度復元回路群38で、信号速度(ピッチ)の
復元を受けた後、信号処理部31へ入力され、4線−2
線変換を受けた後、この出力は関門交換機20へ通信信
号22−1〜22−nとして送出される。
【0031】つぎに信号速度変換回路群51(図3)の
機能を説明する。一定の時間長に区切った音声信号や制
御信号等の入力信号を記憶回路で記憶させ、これを読み
出す時に速度を変えて、記憶する場合のたとえば15倍
の速度で読み出すことにより、信号の時間長を圧縮する
ことが可能となる。信号速度変換回路群51の時間圧縮
の原理は、テープ・レコーダにより録音した音声を高速
で再生する場合と同じであり、実際には、たとえば、C
CD(Charge Coupled Device ),BBD(Bucket Bri
gade Device )が使用可能である。さらには、最近大容
量化の著るしい反復書込み、読出し可能な半導体メモリ
を使用することも可能である。
【0032】信号速度変換回路群51で例示したCCD
やBBDあるいは大容量のメモリを用いた回路は、その
まま信号速度復元回路群38における時間伸張機能の実
現にも使用可能で、この場合には、クロック発生器41
からのクロックと制御部40からの制御信号によりタイ
ミングを発生するタイミング発生器42からのタイミン
グ信号を受けて、書き込み速度よりも読み出し速度を低
速にすることにより実現できる。
【0033】関門交換機20から信号処理部31を経由
して出力された制御または音声信号は信号速度変換回路
群51に入力され、速度(ピッチ)変換の処理が行われ
たのちに、タイム・スロット別に信号を割り当てる信号
割当回路52に印加される。
【0034】この信号割当回路52はバッファ・メモリ
回路であり、信号速度変換回路群51から出力された1
区切り分の高速信号をメモリし、制御部40の指示によ
り与えられるタイミング発生回路42からのタイミング
情報で、バッファ・メモリ内の信号を読み出し、無線送
信回路32へ送出する。この結果、通信信号をチャネル
対応でみた場合には、時系列的にオーバラップなく直列
に並べられており、後述する制御信号または通話信号が
全実装される場合には、あたかも連続信号波のようにな
る。
【0035】以上のような信号が無線送信回路32へ送
られることになる。この圧縮した信号の様子を図4に示
し説明する。
【0036】信号速度変換回路群51の出力信号は信号
割当回路52に入力され、あらかじめ定められた順序
で、タイム・スロットが与えられる。図4(a)のSD
1,SD2,…,SDnは、速度変換された通信信号
が、それぞれタイム・スロット別に割当てられているこ
とを示している。ここで1つのタイム・スロットの中は
図示のごとく同期信号と通話信号または(および)制御
信号が収容されている。通話信号が実装されていない場
合は、同期信号だけで通話信号の部分は空スロット信号
が加えられ、またはシステムによっては搬送波を含め全
く信号が送出されないものもある。このようにして、図
4の(a)に示すように、無線送信回路32において
は、タイム・スロットSD1〜SDnで1フレームをな
す信号が変調回路に加えられることになる。送信される
べく時系列化された多重信号は、無線送信回路32にお
いて、角度変調されたのちに、アンテナ部より空間へ送
出される。
【0037】電話の発着呼において通話に先行して無線
基地局30と移動無線機100との間で行われる制御信
号の伝送については、電話信号の帯域内または帯域外の
いずれを使用する場合も可能である。図5はこれらの周
波数関係を示す。すなわち、同図(a)においては、帯
域外信号の一例が示されており、図のごとく、低周波側
(250Hz)や高周波側(3850Hz)を使用する
ことができる。この信号は、たとえば通話中に制御信号
を送りたい場合に使用される。図5の(b)において
は、帯域内信号の例を示しており、発着呼時において使
用される。
【0038】上記の例はいづれもトーン信号の場合であ
ったが、トーン信号数を増したり、トーンに変調を加え
副搬送波信号とすることで、多種類の信号を高速で伝送
することが可能となる。
【0039】以上はアナログ信号の場合であったが、制
御信号としてディジタル・データ信号を用いた場合に
は、音声信号もディジタル符号化して、両者を時分割多
重化して伝送することも可能であり、この場合の回路構
成を図6に示す。図6は、音声信号をディジタル符号化
回路91でディジタル化し、それとデータ信号とを多重
変換回路92で多重変換し、無線送信回路32に含まれ
た変調回路に印加する場合の一例である。ただし、ディ
ジタル・データ信号については、後述するアナログ信号
多重負荷利得は通常存在しないから、システム設計には
この点の留意が必要である。そして対向する受信機で受
信し復調回路において図6で示したのと逆の操作を行え
ば、音声信号と制御信号とを別々に取り出すことが可能
である。
【0040】一方、移動無線機100から送られてきた
信号は、無線基地局30のアンテナ部で受信され、無線
受信回路35へ入力される。図4の(b)は、この上り
の入力信号を模式的に示したものである。すなわち、タ
イム・スロットSU1,SU2,…,SUnは、移動無
線機100−1,100−2,…,100−nからの無
線基地局30宛の送信信号を示す。また各タイム・スロ
ットSU1,SU2,…,SUnの内容を詳細に示す
と、図4の(b)の左下方に示す通り、通話信号または
(および)制御信号より成り立っている。ただし、移動
無線機100と無線基地局30との間の距離の小さい場
合や信号速度によっては、同期信号を省略することが可
能である。
【0041】さて、無線基地局30へ到来した入力信号
のうち制御信号については、無線受信回路35から直ち
に制御部40へ加えられる。ただし、速度変換率の大き
さによっては、通話信号と同様の処理を行った後に信号
速度復元回路群38の出力から制御部40へ加えること
も可能である。また通話信号については、信号選択回路
39へ印加される。信号選択回路群39には、制御部4
0からの制御信号の指示により、所定のタイミングを発
生するタイミング発生回路42からのタイミング信号が
印加され、各タイム・スロットSU1〜SUnごとに同
期信号,通話信号または制御信号が分離出力される。
【0042】これらの各信号は、信号速度復元回路38
へ入力される。この回路は送信側の移動無線機100に
おける速度変換回路131(図2)の逆変換を行う機能
を有しており、これによって原信号が忠実に再生され関
門交換機20宛に送信されることになる。
【0043】以下、本発明における信号空間を伝送され
る場合の態様を所要伝送帯域や、これと隣接した無線チ
ャネルとの関係を用いて説明する。
【0044】図3に示すように、制御部40からの制御
信号は信号割当回路52の出力と並行して無線送信回路
32へ加えられる。ただし、速度変換率の大きさによっ
ては通話信号と同様の処理を行った後、信号割当回路5
2の出力から無線送信回路32へ加えることも可能であ
る。
【0045】つぎに移動無線機100においても、図2
に示すごとく無線基地局30の機能のうち通話路を1チ
ャネルとした場合に必要とされる回路構成となってい
る。
【0046】原信号たとえば音声信号(0.3kHz〜
3.0kHz)が、信号速度変換回路群51(図3)を
通った場合の出力側の周波数分布を示すと図7に示すご
とくになる。すなわち前述のように音声信号が15倍に
変換されるならば、信号の周波数分布は図7のごとく、
4.5kHz〜45kHzに拡大されていることにな
る。ここでは信号の周波数分布が拡大されているが、波
形の形態は単に周波数軸を引き延ばされた相似変換を受
けるだけであり、波形そのものは変化がないことに留意
する必要がある。これは多重負荷利得の値を求める時に
必要となる。
【0047】さて、図7においては、制御信号は音声信
号の下側周波数帯域を用いて同時伝送されている場合を
示している。この信号のうち制御信号(0.2〜4.0
kHz)および通話信号CH1(4.5〜45kHzで
SD1として表わされている)がタイム・スロット、た
とえばSD1に収容されているとする。他のタイム・ス
ロットSD2〜SDnに収容されている音声信号も同様
である。
【0048】すなわち、タイム・スロットSDi(i=
2,3,…,n)には制御信号(0.2〜4.0kH
z)と通信信号CHi(4.5〜45kHz)が収容さ
れている。ただし、各タイム・スロット内の信号は時系
列的に並べられており、一度に複数のタイム・スロット
内の信号が同時に無線送信回路32に加えられることは
ない。
【0049】また、上記の制御信号はフレームの最初に
制御信号のためのタイム・スロットが設けられた場合に
は実装されないし、下側周波数帯域を他の信号に使用す
る際には、通信信号の周波数帯の近傍(4.1〜4,4
kHzまたは46〜46.5kHz)に設けられる場合
がある。
【0050】これらの通話信号が制御信号とともに無線
送信回路32に含まれた角度変調部に加えられると、所
要の伝送帯域として、すくなくとも fC ±45kHz を必要とする。ただし、fC は無線搬送波周波数であ
る。ここでシステムに与えられた無線チャネルが複数個
ある場合には、これらの周波数間隔の制限から信号速度
変換回路群51による信号の高速化はある値に限定され
ることになる。複数個の無線チャネルの周波数間隔をf
rep とし、上述の音声信号の高速化による最高信号速度
をfH とすると両者の間には、つぎの不等式が成立する
必要がある。 frep>2fH 一方、ディジタル信号では、音声は通常64kb/s程
度の速度でディジタル化されているから、アナログ信号
の場合を説明した図7の横軸の目盛りを1桁程度引き上
げて読む必要があるが、上式の関係はこの場合にも成立
する。
【0051】また、移動無線機100より無線基地局3
0へ入来した制御信号は、無線受信回路35へ入力され
るが、その出力の一部は制御部40へ入力され、他は信
号選択回路39を介して信号速度復元回路群38へ送ら
れる。そして後者の制御信号は送信時と全く逆の速度変
換(低速信号への変換)を受けた後、一般の電話網10
に使用されているのと同様の信号速度となり、信号処理
部31を介して関門交換機20へ送られる。
【0052】つぎに、本発明によるシステムの基本動作
における発着呼動作について音声信号の場合を例にとっ
て説明する。
【0053】(1)移動無線機100からの発呼 図8および図9に示すフローチャートを用いて説明す
る。
【0054】移動無線機100の電源をオンした状態に
すると、図2の無線受信回路135では、下り(無線基
地局30→移動無線機100)無線チャネル(チャネル
CH1とする)に含まれている制御信号の補捉を開始す
る。それにはシステムに定められている手順にしたがい
無線チャネル(以下チャネルCH1とする)の受信状態
にはいる。これは図4(a)に示されているタイム・ス
ロットSDn内の同期信号を捕捉することにより可能で
ある。制御部140では、シンセサイザ121−1に無
線チャネルCH1の受信を可能とする局発周波数を発生
させるように制御信号を送出し、また、スイッチ122
−1もシンセサイザ121−1側に倒し固定した状態に
ある。
【0055】そこで、電話機部101の受話器をオフ・
フック(発呼開始)すると(S201、図8)、図2の
シンセサイザ121−2は、無線チャネルCH1の送信
を可能とする局発周波数を発生させるような制御信号を
制御部140から受ける。またスイッチ122−2もシ
ンセサイザ121−2側に倒し、固定した状態になる。
つぎに無線チャネルCH1を用い電話機部101から出
力された発呼用制御信号を送出する。この制御信号は、
図5に示される周波数帯により、これを、たとえばタイ
ム・スロットSUnを用いて送信される。
【0056】さて移動無線機100からの発呼用制御信
号が良好に無線基地局30で受信され移動無線機100
のID(識別番号)を検出したとすると(S202)、
制御部40では、現在空いているタイム・スロットを検
索する。この結果、たとえばタイム・スロットSD1が
空いているとすると、移動無線機100対し前記無線チ
ャネルCH1のタイム・スロットSDnを用い下り制御
信号によりタイム・スロット上り(移動無線機100→
無線基地局30)SU1,およびこれに対応する下り
(無線基地局30→移動無線機100)SD1を使用す
るように指示する(S203)。
【0057】これに応じて移動無線機100では、指示
されたタイム・スロットSD1で受信可能な状態へ移行
するとともに下りのタイム・スロットSD1に対応する
上り無線チャネル用のタイム・スロットであるSU1
(図4(b)参照)を選択する。このとき移動無線機1
00の制御部140においては、送受信断続制御器12
3を動作させ、スイッチ122−1および122−2を
動作開始させる(S204)。それと同時にスロット切
替完了報告を上りタイム・スロットSU1を用いて無線
基地局30に送出し(S205)、ダイヤル・トーンが
送られてくるのを待つ(S206)。
【0058】無線基地局30には、タイム・スロットS
U1のほかに、他の移動無線機100からの上り信号と
してSU3やSUnが1フレームの中に含まれて送られ
てきている。スロット切替完了報告を受信した無線基地
局30では(S207)、関門交換機20宛に移動無線
機100のIDとともに発呼信号を送出する(S20
8)。これに対し関門交換機20では、移動無線機10
0のIDを検出し、関門交換機20に含まれたスイッチ
群のうちの必要なスイッチをオンにして(S209)、
ダイヤル・トーンを無線基地局30へ送出する(S21
0、図9)。
【0059】このダイヤル・トーンは、無線基地局30
により移動無線機100宛に転送され(S211)、移
動無線機100では、通話路が設定されたことを確認す
る(S212)。この状態に移行したとき移動無線機1
00の電話機部101の受話器からダイヤル・トーンが
聞こえるので、ダイヤル信号の送出を始める。このダイ
ヤル信号は速度変換回路131により速度変換され、送
信部134および送信ミクサ133を含む無線送信回路
132より、上りのタイム・スロットSU1を用いて送
出される(S213)。かくして、送信されたダイヤル
信号は無線基地局30の無線受信回路35で受信され
る。
【0060】この無線基地局30では、すでに移動無線
機100からの発呼信号に応答し、使用すべきタイム・
スロットを与えるとともに、無線基地局30の信号選択
回路群39および信号割当回路群52を動作させて、上
りのタイム・スロットSU1を受信し、下りのタイム・
スロットSD1の信号を送信する状態に移行している。
したがって移動無線機100から送信されてきたダイヤ
ル信号は、信号選択回路群39の信号選択回路39−1
を通った後、信号速度復元回路群38に入力され、ここ
で原送信信号が復元され、信号処理部31を介して通話
信号22−1として関門交換機20へ転送され(S21
4)、電話網10への通話路が設定される(S21
5)。
【0061】一方、関門交換機20からの入力信号(当
初制御信号、通話が開始されれば通話信号)は、無線基
地局30において信号速度変換回路群51で速度変換を
受けた後、信号割当回路群52の信号割当回路52−1
によりタイム・スロットSD1が与えられている。そし
て無線送信回路32から下りの無線チャネルのタイム・
スロットSD1を用いて移動無線機100宛に送信され
る。
【0062】移動無線機100では、無線チャネルCH
1のタイム・スロットSD1において受信待機中であり
無線受信回路135で受信され、その出力は速度復元回
路138に入力される。この回路において送信側の原信
号が復元され、電話機部101の受話器に入力される。
かくして、移動無線機100と一般の電話網10の内の
一般電話との間で通話が開始されることになる(S21
6)。
【0063】終話は移動無線機100の電話機部101
の受話器をオン・フックすることにより(S217)、
終話信号と制御部140からのオン・フック信号とが、
速度変換回路131を介して無線送信回路132より無
線基地局30宛に送出されるとともに(S218)、制
御部140では送受信断続制御器123の動作を停止さ
せ、かつ、スイッチ122−1および122−2をそれ
ぞれシンセサイザ121−1および121−2の出力端
に固定する。
【0064】一方、無線基地局30の制御部40では、
移動無線機100からの終話信号を受信すると関門交換
機20宛に終話信号を転送し(S219)、スイッチ群
(図示せず)のスイッチをオフして通話を終了する(S
220)。同時に無線基地局30内の信号選択回路群3
9および信号割当回路群52を開放する。
【0065】以上の説明では、無線基地局30と移動無
線機100との間の制御信号のやりとりは信号変換回路
群51,信号速度復元回路群38等を通さないとして説
明したが、これは説明の便宜上であって、音声信号と同
様に信号速度変換回路群51、信号速度復元回路群38
や信号処理部31を通しても何ら支障なく通信が実施可
能である。
【0066】(2)移動無線機100への着呼 移動無線機100は電源オンした状態で待機中とする。
この場合移動無線機100からの発呼の項で説明したご
とく、システムで定められている手順にしたがった無線
チャネルCH1の下り制御信号を受信待機状態にある。
【0067】一般の電話網10より関門交換機20を経
由して移動無線機100への着呼信号が無線基地局30
へ到来したとする。これらの制御信号は通信信号22と
して音声信号と同様に、信号速度変換回路群51を通
り、信号割当回路群52を介して制御部40(図3)へ
伝えられる。すると制御部40では移動無線機100宛
の無線チャネルCH1の下りタイム・スロットのうちの
空スロット、たとえばSD1を使用して移動無線機10
0のID信号+着呼信号表示信号+タイム・スロット使
用信号(移動無線機100からの送信には、たとえばS
D1に対応するSU1を使用)を送出する。この信号を
受信した移動無線機100では、無線受信回路135の
受信部137より制御部140へ伝送される。制御部1
40では、この信号が自己の移動無線機100への着呼
信号であることを確認するので、電話機部101より呼
出音を鳴動させると同時に、指示されたタイム・スロッ
トSD1,SU1で待機するように送受信断続制御器1
23を動作させるとともに、スイッチ122−1,12
2−2のオン、オフを開始させる。かくて通話が可能な
状態に移行したことになる。
【0068】なお、本システムを用いて良好な状態で信
号伝送が実行され、かつシステム内の他の無線チャネル
へ悪影響を与えることのないことは、文献2によって理
論的に説明されており、またTCM−FM信号の受ける
多重電波伝搬による伝搬歪みの悪影響については、文献
3に説明しているので、以下、文献4に説明されている
電話(音声)信号の特性を生かして、如何にすれば伝搬
歪みの悪影響を軽減可能かに関し具体的に説明する。
【0069】(3)移動無線機から送信される電話信号
の具体的システム例 移動無線機100(もしくは無線基地局30)から送信
される電話信号を具体的に示すために、本発明を適用し
たTCM信号を用いる具体的システム構築法を説明す
る。
【0070】(3.1)TCM信号を用いる具体的シス
テム構築 TCM信号を用いるシステム・パラメータを以下のよう
にとる。まず基本として、 電話信号の多重数 : n 1フレームの時間長 : T とすると、これからTCM信号のフレーム構成が定ま
る。まず、信号圧縮率q0は、 q0 =n (1) つぎに、1個のタイム・スロットの最大時間長tk が定
まる。 tk =T/n (2) 式(1)および(2)で与えられるq0 ,tk は、いわ
ば理想的な値であり、実用的ではない。なぜならば、t
k はガード・タイム幅0、すなわち隣接タイム・スロッ
トと接している状態だから、これでは実際のシステムに
は使用できない。そこで、タイム・スロットに与えるガ
ード・タイム幅をtg とすると、実際のタイム・スロッ
トの時間長tは、 t=tk −tg (3) すなわち、タイム・スロットの時間長t内に時間片信号
を収容しなければならないから、圧縮率qはその分大き
くなる。すなわち圧縮率qは多重数nとタイム・スロッ
ト間に与えるガード・タイム幅tg から、実際のタイム
・スロットの時間長tが、tk とtg から求められる。 q=n×tk /t (4) 式(4)で、 t>tk だから、 q>q0 となる。
【0071】つぎに、TCM信号の有する最高周波数F
H は、電話信号の有する最高周波数fh と圧縮率qから
求められる。式で表わすと、 FH =qfh (5) となる。
【0072】(3.2)電話信号の有する最高周波数の
変動について すでに、図13,図14で説明したように音声の有する
最高周波数は時々刻々変化する。日本語母音では、図1
3にに示されているように、ア、エ、イ、およびウでは
3kHzまで存在するが、エネルギー分布はあまり高く
ない。とくに、イのエネルギー分布は極めて低い。
【0073】人の会話音声スペクトルは公知のごとく、
低い周波数帯に集中している。図10には人の会話音声
スペクトルの平均値と不偏分散平方根σの一例が示され
ている。ここで、実線は女性の声(5人の平均)、破線
は男性の声(2人の平均)の周波数分布を示しており、
1Hzあたりの長時間実効値(dB)は、周波数(kH
z)の低い部分に集中していることがわかる。したがっ
て、電話信号の周波数特性も図10の低域 0.3kHz以
下および高域3kHz以上を遮断したときの周波数特性
を呈することとなる。それゆえ、電話信号スペクトルも
低い周波数帯に集中しており、高い周波数3kHz近傍
では0.3 kHz近傍に比べ約25dbも低下しているこ
とがわかる。
【0074】英文では図14に示されているように、子
音には高い成分があるが、母音には2kHz以上の周波
数成分はほとんど存在しない。以上の結果、電話信号に
は、あるときは3kHzの信号成分をかなり含んでいる
が、他の時間には殆ど含まないか、あるいは全く含まな
い状態が多く出現する(ほとんど含まない場合は削除す
る方法もある)。
【0075】以上の状態を時間圧縮されたTCM信号の
有する最高周波数FH で検討する。まず圧縮率qは一定
とすると、時間片信号の有する最高周波数fh が3kH
zのときはTCM信号の有する最高周波数FH は式
(5)より、 FH (3)=qfh =3q (kHz) (6) もしも、時間片信号の有する最高周波数fh が3kHz
/2のときは、 FH (1)=3/2q (kHz) (7) と半分になる。すなわち、TCM信号の有する最高周波
数が時々刻々変化する。その結果、TCM−FM信号の
有する変調側波帯の最高周波数も時々刻々変化すること
になる。これでは、多重電波伝搬特性上、あるいは周波
数有効利用度のうえから得策ではなく、つぎの方法によ
り多重電波伝搬特性の悪影響が除去ないし、軽減可能と
なり、さらに周波数有効利用度の向上も期待可能とな
る。
【0076】(3.3)ガード・タイム幅の増大による
多重電波伝搬特性の悪影響の除去法 以下、タイム・スロット間に設置するガード・タイム幅
を増大させることによる多重電波伝搬特性の悪影響の除
去法について説明する。それには、時間片信号の有する
最高周波数がシステムで定められる最高周波数まで広が
っている場合には、時間圧縮率をシステムで定める一定
の値(q)で固定し、最高周波数が減少した場合には、
その値に対応して時間圧縮率を大きくする(q1 )こと
により、絶えずTCM信号の有する最高周波数を式
(6)の値に保つようにすればよい。
【0077】その結果、タイム・スロット間に設置する
ガード・タイム幅を増大させることが可能になる。なぜ
ならば式(4)より、 q1 =n×t/tk1>q (8) 上式より、 tk1<tk したがって、式(3)より、 tg1>tg (9) を得る。
【0078】以下、具体的な数字を入れて説明する。 n=50、 T=10ms とすると、tk =1/50ms=200μsを得る。つ
ぎにガード・タイムとしてtg =10μsとすると、t
=190μsとなり、圧縮率qは、 q=50×200/190=52.6 を得る。つぎに式(5)は、 FH =52.6×3=156.9kHz
【0079】さて、電話信号の有する最高周波数f
h が、 ケース1……3kHz ケース2……2kHz ケース3……1.5kHz と変化すると仮定する。各ケースのガード・タイム幅t
g1,tg2,tg3を求めると、 ケース1……10μs ケース2……73.3μs ケース3……105μs を得る。
【0080】図11には各フレームに含まれた上りのタ
イム・スロットSU1,SU2,…,SUnの間の各ガ
ード・タイムを示している。同図(a)は圧縮率を変更
しないで固定した場合であり、ガード・タイムtg0は常
に10μsである。同図(b)は電話信号の有する最高
周波数fh に応じて、上述のようにガード・タイムをt
g0(ケース1),tg1(ケース2),tg2(ケース2)
と可変した場合を示している。
【0081】このような可変ガード・タイムを採用すれ
ば、多重電波伝搬特性の悪影響は、ほぼ完全に除去可能
となる(実際のシステムではガード・タイムとして30
μs以上は文献3に指摘されているように不要であり、
別の利活用法を考える必要がある)。
【0082】図12には、このような可変のガード・タ
イムを設定することのできる速度変換回路131(図
2)の内部構成が示されている。図12の左方から電話
機部101の出力が入来する。この信号はスイッチ18
6の切替動作により2個の読出速度可変メモリ184−
1,184−2のいずれかに入力され記憶される。スイ
ッチ186のオン・オフのタイミングは制御部140の
制御に従っており、スイッチ186の端子aもしくは、
端子bのオンの持続時間は時間片信号の時間長に等しい
値に制御されている。
【0083】また、スイッチ186の出力の一部は信号
周波数分布測定器185に入力され、時間片信号単位の
信号の周波数分布が測定され、この情報は制御部140
へ報告される。制御部140では、この情報を受けて読
出速度可変メモリ184−1,184−2に蓄えられて
いる信号の読出速度を決定する。
【0084】読出速度可変メモリ184−1,184−
2の出力は、スイッチ187の端子a,bに印加され、
スイッチ187は制御部140に制御されて、無線送信
回路132へ送られる。
【0085】制御部140は上記決定した読出速度を制
御信号にして対向して通信している無線基地局30に連
絡する。すなわち、通常送信している移動無線機100
のID(識別番号)、フレーム番号、タイム・スロット
番号等に加え、新たにタイム・スロットに搭載している
時間片信号の圧縮率情報を加える。
【0086】一方、これら移動無線機100から送信さ
れてきた制御情報は無線基地局30により受信され、解
読される。そのうち、タイム・スロットに搭載している
時間片信号の圧縮率情報については、信号速度復元回路
群38(図3)において、それぞれ対応するタイム・ス
ロットごとに原信号を復元するときに使用される。
【0087】なお、信号周波数分布測定器185は信号
の有する周波数分布を精度よく測定可能であり、公知の
技術で実現可能である(上記の例では3段階の識別能力
を有する。)さて、上記の読出速度情報は制御部140
から読出速度可変メモリ184−1,184−2に伝え
られる。すなわち、ケース1の場合は書込み速度の5
2.6倍の速度で読出され、ケース2の場合はこれの
1.5倍の78.9倍の速度、ケース3の場合は2倍の
105.2倍の速度で、それぞれ読出すように指示され
る。
【0088】これらの制御信号を受けた2個の読出速度
可変メモリ184−1、もしくは184−2では指示に
したがった速度で信号を読出す。読出された圧縮された
時間片信号は、スイッチ187から無線送信回路132
へ送出される。これらの動作の結果、無線送信回路13
2へ入力される信号の有する最高周波数は常に一定に保
たれることになる。
【0089】なお、電話信号の有する周波数は時々刻々
変化し、ある時は最高周波数(3kHz)を有し、他の
時間には2kHzが最高周波数となり種々に変化する。
したがって、常にガード・タイムを大きな値にすること
は不可能である。たとえば相隣る2つのタイム・スロッ
トに搭載された電話信号が最高周波数成分を含んでいる
ときは、ガード・タイムは10μsに限定されることは
明らかであろう。しかしながら、時間率から考えてこれ
の発生確率はあまり大きくない。
【0090】以上の説明は移動無線機100が送信し、
無線基地局30が受信する場合であった。これと逆方向
の無線基地局30が送信し、移動無線機100が受信す
る場合も上記と同様に実施可能である。したがって、両
方向の通信とも本発明の適用により、多重電波伝搬特性
の悪影響を受けにくいシステムが実現されることにな
る。
【0091】なお、実際のシステムではガード・タイム
として30μs以上は文献3にあるように不要であり、
最大30μsに制限すると、それ以上の値の時間的空間
が発生したときには、これを他のタイム・スロツトに割
り当てて他の通信に使用すると、周波数を有効に利用す
ることができる。以下どれぐらい有効利用性の向上が可
能かを説明する。それには電話信号の有する最高周波数
が上記の3つの場合(ケース1,2,3)となるそれぞ
れの時間率を推定する必要がある。いま、この時間率を
ケース1が10%、ケース2が20%、ケース3が70
%と仮定すると、上記のシステム例では時間的空間の余
剰は37%となる。すなわち、この余剰時間を有効活用
すると、周波数の有効利用が37%向上することにな
る。これを実際のシステムで実現するには、フレーム内
のタイム・スロットの位置を固定的に設定せず、制御部
140の制御によりダイナミックに変更可能なようにれ
ばよい。
【0092】ついで、上述の相隣る2つのタイム・スロ
ットに搭載された電話信号が最高周波数成分を含んでい
るときの発生確率を求める。ケース1の発生確率が10
%であるから、相隣る2つのタイム・スロットにおいて
これが同時に発生する確率は(1/10)2 すなわ
ち、1%となる。
【0093】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、時分割
時間圧縮多重信号の有する周波数特性が必ずしも信号の
最大周波数成分を有しないことを用いて、時間圧縮率を
増大させ、時間片信号の時間幅を減少させることによ
り、ガード・タイムを大きくして多重電波伝搬特性の悪
影響を受けにくいシステムが可能となった。したがっ
て、本発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの概念を示す概念構成図であ
る。
【図2】本発明のシステムに使用される移動無線機の基
本動作を説明するための回路構成図である。
【図3】本発明のシステムに使用される無線基地局の基
本動作を説明するための回路構成図である。
【図4】本発明のシステムに使用されるタイム・スロッ
トの基本的機能を説明するためのタイム・スロット構造
図である。
【図5】通話信号および制御信号のスペクトルを示すス
ペクトル図である。
【図6】音声信号とデータ信号を多重化する回路構成図
である。
【図7】通話信号および制御信号のスペクトルを示すス
ペクトル図である。
【図8】本発明によるシステムの基本動作の流れを示す
フロー・チャートである。
【図9】図8とともに本発明によるシステムの基本動作
の流れを示すフロー・チャートである。
【図10】人の会話音声のスペクトルを示すスペクトル
図である。
【図11】タイム・スロットにおける信号の圧縮率を固
定した場合(a)と可変した場合(b)のガード・タイ
ムの変化を示すタイム・スロット構造図である。
【図12】図2の構成要素である速度変換回路の回路構
成を示す回路構成図である。
【図13】文献に示された人の音声の周波数スペクトル
を示すスペクトル図である。
【図14】文献に示された人の音声のソナグラムであ
る。
【符号の説明】
10 電話網 20 関門交換機 22−1〜22−n 通信信号 30 無線基地局 31 信号処理部 32 無線送信回路 35 無線受信回路 38 信号速度復元回路群 38−1〜38−n 信号速度復元回路 39 信号選択回路群 39−1〜39−n 信号選択回路群 40 制御部 41 クロツク発生器 42 タイミング発生回路 51 信号速度変換回路群 51−1〜51−n 信号速度変換回路 52 信号割当回路群 52−1〜52−n 信号割当回路 91 ディジタル符号化回路 92 多重変換回路 100,100−1〜100−n 移動無線機 101 電話機部 120 基準水晶発振器 121−1,121−2 シンセサイザ 122−1,122−2 スイッチ 123 送受信断続制御器 131 速度変換回路 132 無線送信回路 133 送信ミクサ 134 送信部 135 無線受信回路 136 受信ミクサ 137 受信部 138 速度復元回路 141 クロック再生器 184−1,184−2 読出速度可変メモリ 185 信号周波数分布測定器 186,187 スイッチ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のゾーンをそれぞれカバーしてサー
    ビス・エリアを構成する各無線基地手段(30)と、前
    記複数のゾーンを横切って移動し、前記無線基地手段と
    交信するために通話信号をフレーム構成のタイム・スロ
    ットに時間的に区切られ圧縮した信号をのせた無線チャ
    ネルを用いた各移動無線手段(100)との間の通信を
    交換するための関門交換手段(20)とを用いる移動体
    通信の時間分割通信方法において、 前記通話信号の時間的に区切られた期間の周波数特性に
    より前記時間的に圧縮する場合の圧縮度を可変して前記
    タイム・スロット間に設置するガード・タイム幅を広く
    した移動体通信の時間分割通信方法。
  2. 【請求項2】 前記時間的に圧縮する場合の圧縮度の可
    変情報を制御信号により送信する請求項1の移動体通信
    の時間分割通信方法。
JP4238952A 1992-08-15 1992-08-15 移動体通信の時間分割通信方法 Pending JPH0669902A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6207905B1 (en) 1998-04-28 2001-03-27 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Glass-ceramic composition, circuit substrate using the same and manufacture method thereof

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US6207905B1 (en) 1998-04-28 2001-03-27 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Glass-ceramic composition, circuit substrate using the same and manufacture method thereof

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