JPH0669801B2 - 散薬分包用噴出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 本発明は、散薬分包用噴出装置に関する。

（ロ） 従来の技術 従来、散薬の分割分包作業は次のように行われていた。

すなわち、散薬調剤台に収納載置された多種類の薬瓶よ
り、処方箋に従って所要の散薬を数種類計量して取出
し、さらに、これらを乳鉢、又は混和器内に投入して混
和する。

そして、この混和剤を分割分包機により分割分包するも
のである。

かかる分割分包機には、大別してホッパー方式とＶ升方
式とがあり、ホッパー方式は、混和剤を投入すべきホッ
パーの下方に、周縁部に所定個数の薬剤配分孔を有する
回転円板を配設し、さらに、その下方に分包装置を配設
して成り、混和剤を投入したホッパーを振動器により振
動させて、同混和剤を下方へ放出させると共に、回転円
板を回転させて、上記放出混和剤が同回転円板の薬剤配
分孔中に均等に配分されるように構成し、さらには、同
配分孔の底板を開閉自在として、配分された同配分孔中
の混和剤を個々に分包装置中に放出落下させて、同分包
装置により所定個数の分包を行うようにしているもので
ある。

また、Ｖ升方式は、傾斜した内側壁と外側壁とにより断
面略Ｖ字状の升をリング状に形成すると共に、内側壁を
上下昇降自在として、同内側壁の上昇に伴って外側壁下
端と内側壁下端との間に薬剤放出間隙が形成されるよう
に構成して、その下方に薬剤配分孔を有する回転円板を
配設し、さらにその下方に分包装置を配設しているもの
である。

そして、Ｖ升中に混和剤を投入すると共に上面を均平に
ならしておき、同状態にて内側壁を上昇させて、混和剤
を回転円板の薬剤配分孔中に落下させ、同配分孔の底板
を開放して分包装置による分包を行うようにしているも
のである。

以上のように、従来の散薬分割分包作業は、手作業によ
り混和剤を調剤してその後機械作業により分割分包する
ものである。

（ハ） 発明が解決しようとする問題点 ところが、上記のような散薬の分割分包作業では、以下
のような不具合を生じていた。

すなわち、散薬が有する付着性により生ずるもので、コ
ンタミネーション、分割誤差、及び混和誤差等があり、
コンタミネーションは、前に調剤、分割分包した散薬が
残存し、その後に調剤、分割分包する散薬中に前の散薬
が混入するという問題である。

また、分割誤差は、あらかじめ秤量して調剤して混和剤
重量と、分包した混和剤重量の総和とが一致しないとい
う問題、及び、個々の分包重量が最終的に異なっている
という問題である。

前者は、ホッパー等の散薬付着量の大きい個所や複雑な
機械内流通過程で、少しづつ薬剤が付着してゆくことが
原因で起こるものであり、また、後者は、機械的な誤差
により個々の分割量、さらには分包量が異なるものであ
る。

また、混和誤差は、個々の最終分包剤における各散薬混
合割合が均一になっていないという問題である。

これは、特に微量に散薬を混入させた場合に起こりやす
いもので、混和が均一になされないために、ある分包剤
中にはこの散薬が混和されていないという問題が生じる
ものである。

以上の問題点は、薬効の均一性を期待できないという重
大、かつ、深刻なものとなっている。

上記以外にも、薬塵の問題がある。これは調剤作業を手
作業で行う場合に、薬品が空気中に飛散して起こるもの
であり、集塵機により調剤室の健康管理、及び環境衛生
改善が図られているが、充分な効果がない。

また、調剤台や分割分包機等の大型設備を導入する必要
から調剤室を広くしなければならないという不具合があ
る。

また、調剤から分割分包までに少なくとも20分〜30分は
必要であり、しかも、一人、一人の薬剤師が個々に作業
を行わなければならないために、多大な人件費を要する
と共に、患者の待時間が長くなり、残置薬数が増大する
という問題を生じている。

また、薬品の在庫管理が煩わしいという問題もある。

（ニ） 問題点を解決するための手段 そこで、本発明では、下端に散薬噴出路を有する管状の
ノズル本体中に、ロッドを間欠的に進退摺動自在に挿通
して、同ロッドの下端にて同噴出路を繰返し開閉可能と
すると共に、ロッド中にエアー流入路を形成し、同エア
ー流入路をロッドの下部周面に開口してエアー噴出孔と
なし、ノズル本体の中空部に別途散薬導入管を分岐連通
させて、同導入管よりノズル本体の中空部に導入した散
薬を、エアー流入路を通して圧送した圧縮エアーをエア
ー噴出孔より噴出させることにより吹上げ状に飛散さ
せ、同噴出孔よりも下方に流入滞留している散薬を同噴
出路よりロッドの開閉作動によって間欠的に噴出可能と
してなる散薬分包用噴出装置を提供せんとするものであ
る。

（ホ） 作用 散薬を分包する際には、散薬導入管より散薬をノズル本
体内に導入すると共に、エアー流入路を通して圧送した
圧縮エアーをエアー噴出孔より噴出させることにより、
散薬を吹上げ状に飛散させ、その直後にロッドを上昇摺
動させて散薬噴出路を開放することにより、エアー噴出
孔よりも下方に流入滞留している散薬を噴出させること
ができ、同ロッドを下降摺動させることにより散薬噴出
路を閉塞して散薬の噴出を停止させることができる。

このように、ロッドを上下進退摺動させて、同ロッド下
端によりノズル本体下端に設けた散薬噴出路を開閉する
ことにより、同噴出路が開放される毎に一定量の散薬を
噴出させれば、あらかじめ舞上げられた散薬が順次噴出
されることになるために、散薬が結合状態で噴出される
ことがないと共に、ロッドの動きに呼応した一定量の散
薬噴出を間欠的に、しかも、正確に行える。

しかも、上記噴出路の径とロッドの上下進退摺動ストロ
ークを適宜調節すれば、一回に噴出される散薬の量を自
由に調節することができ、さらに、同散薬の取出し量も
散薬噴出路の開閉回数により設定することができるもの
である。

従って、各散薬を散薬分包用噴出装置毎に取出すことが
できるようにしておけば、種類の異なる各散薬を所定量
づつ各噴出装置より取出して、混和するとともに分包す
ることができるものである。

（ヘ） 効 果 本発明によれば、以下のような効果を奏する。

すなわち、各種の散薬を各々個々に散薬分包用噴出装置
より適量噴出させることができるために、コンタミネー
ション、分割誤差、及び、混和誤差等の問題点が一挙に
解決できるものである。

しかも、各噴出装置を所定のケース内に収納したまま遠
隔操作にて分包作業を行うことができるために、薬塵や
機械設備用のスペース等の問題も確実に解消できるもの
である。

さらには、分包作業が迅速、かつ、正確に行えるため
に、人件費の削減、残置薬数の低減が図れ、薬品の在庫
管理も楽になるものである。

そして、本発明にかかる散薬分包用噴出装置は、コンピ
ューターによる自動制御も可能であるために、従来から
の懸案事項である分包作業の合理化と薬効の確保が同時
に解決することができるものである。

（ト） 実施例 本発明の実施例を図面にもとづき詳説すれば、第１図は
散薬分包用噴出装置（Ａ）を示すものであり、同噴出装
置（Ａ）は、エアーシリンダー（１）とノズル本体
（２）とを着脱自在に接続して成り、ノズル本体（２）
中に挿通したロッド（３）をエアーシリンダー（１）に
より往復進退摺動させると共に、別途ノズル本体（２）
中に導入した散薬（Ｂ）を、上記ロッド（３）の動きに
伴って、間欠的に噴出させるべく構成している。

以下、エアーシリンダー（１）、ノズル本体（２）、及
び、ロッド（３）を第１図〜第５図に基づき詳述する。

エアーシリンダー（１）は、シリンダー本体（1a）にピ
ストンロッド（1b）を進退摺動自在に取付け、さらに、
同本体（1a）には無接点スイッチ（1c）（1c）を付設し
て、連続的に、かつ、正確にピストンロッド（1b）が進
退摺動すべく構成し、しかも、同スイッチ（1c）（1c）
により同ロッド（1b）のストローク調節が行えるように
している。（1d）（1d）はエアー配管である。

ノズル本体（２）は、上部管（４）、中部管（５）、及
び、下部管（６）を各々上下縦方向に着脱自在に接続し
て成るものである。

そして、上部管（４）は、上下端連通開口状とすると共
に、中途部左右側に開口窓（4a）（4a）を設けており、
しかも、下端開口部（4b）はロッド（３）の径よりもわ
ずかに大径となるように形成している。（4c）は上端開
口部内周面に形成した雌ネジ部で、エアーシリンダー
（１）のシリンダー本体（1a）下端に螺着するものであ
り、また、（4d）は上部管（４）下端部に形成した同段
付小径部の外周に形成した雄ネジ部である。（4e）は上
部管（４）上部に設けたエアー抜き孔である。

中部管（５）は、上下端連通開口状に形成すると共に、
上端開口部内周面に、上部管（４）の雄ネジ部（4d）に
螺着すべく雌ネジ部（5a）を形成し、かつ、下端開口部
（5b）を上下管の下端開口部（4b）と同一径に形成して
おり、同中部管（５）下端部に形成した段付小径部外周
には雄ネジ部（5c）を形成している。

従って、上記上部管（４）と中部管（５）とを螺着接続
した際には、同一径である上部管（４）の下端開口部
（4b）と中部管（５）の下端開口部（5b）との間に、こ
れらよりも大径の円筒空間（Ｓ）が中部管（５）本体内
に形成されることになるものである。

図中、（5d）はエアー抜き孔である。

下部管（６）は、上端開口状の中空に形成すると共に、
同上端開口部内周面に雌ネジ部（6a）を形成して、同雌
ネジ部（6a）を介して中部管（５）への螺合接続が行え
るように構成し、しかも、同下部管（６）の中空部（6
d）内周面下端部には、逆円錐面（6b）を形成し、同逆
円錐面（6b）下端と下部管（６）下端面との間に散薬噴
出路（6c）を形成している。

そして、かかる散薬噴出路（6c）は、後述するロッド
（３）先端のパッキン効果を確保するために、路長
（ｄ）を保持すると共に、同ロッド（３）と略同一径
で、しかも、ロッド（３）が摺動可能に形成しているも
のである。

また、下部管（６）の中空部（6d）中途部には、散薬導
入管（７）を傾斜状に分岐連通させて、同導入管（７）
の中心線と下部管（６）の中心線とが、同下部管（６）
の下端部位置に形成した逆円錐面（6b）内にて交差すべ
く構成して、導入管（７）を伝って導入され散薬（Ｂ）
が逆円錐面（6b）内に流入されるようにしている。

以上のように構成するノズル本体（２）の材質は、金属
に限らず、セラミック、合成樹脂等、何でもよいもので
ある。

次に、上記ノズル本体（２）中に挿通するロッド（３）
について詳述する。

すなわち、ロッド（３）は、ロッド本体（3a）を縦長手
棒状に形成して、その上端を大径管（3b）を下端中に嵌
合連設して成り、ロッド本体（3a）の進退位置には上端
より下部位置まで長手方向にエアー流入路（3c）を形成
して、同流入路（3c）上端を大径管（3b）内部と連通状
態とすると共に、同大径管（3b）下部に穿設したエアー
流入管（3d）と連通させ、また、エアー流入路（3c）下
端部には三方向にエアー噴出孔（3e）（3e）（3e）を穿
設して、上記流入管（3d）より圧送された圧縮エアーが
エアー流入路（3c）を伝ってエアー噴出孔（3e）より噴
出されるように構成している。

しかも、上記エアー噴出孔（3e）は、ロッド（３）の上
下往復進退運動時においても、常時散薬導入管（７）の
導入開口部の仮想延長線上に位置すべく構成して、同位
置にて導入される散薬（Ｂ）を圧縮エアーにて飛散させ
ることができるようにしている。

そして、ロッド本体（3a）は、ロッド（３）が最下方へ
前進した状態で、下端が散薬噴出路（6c）に開口端と面
一となるか、或は、やや突出状態となる長さに形成し、
しかも、同噴出路（6c）内を摺動するロッド本体（3a）
の下端部内周面には二条の凹条溝（3f）（3f）を設け
て、同凹条溝（3f）内に散薬（Ｂ）が滞留して、この滞
留散薬が散薬噴出路（6c）内周面との間でパッキン効果
を果すために、不必要に散薬（Ｂ）が同噴出路（6c）よ
り外部へ噴出されることがないものである。

また、大径管（3b）は、上部管（４）内を上下摺動可能
な径に形成して、上端開口部内周面には雌ネジ部（3g）
を形成し、同雌ネジ部（3g）を介してエアーシリンダー
（１）のピストンロッド（1b）先端に螺着すべく構成し
ており、同大径管（3b）に設けたエアー流入管（3d）に
は、上部管（４）の開口窓（4a）を介して圧縮エアー流
入パイプ（3h）を連結するものである。

散薬分包用噴出装置（Ａ）は、以上のように構成したエ
アーシリンダー（１）のピストンロッド（1b）先端にロ
ッド（３）上端を螺着し、同ロッド（３）をノズル本体
（２）中に上方より挿通すると共に、同シリンダー
（１）のシリンダー本体（1a）下端をノズル本体（２）
の上端に接続すれば、組立て作業が完了するものであ
り、散薬（Ｂ）の分包作業時には、以下のように各散薬
用に各々同噴出装置（Ａ）を配備すればよいものであ
る。（第６図参照） すなわち、エアーシリンダー（１）をエアー配管（1d）
（1d）を介してエアーソースに接続し、また、ロッド
（３）に連通連結した圧縮エアー流入パイプ（3h）をエ
アーソースに接続して、同シリンダー（１）によりロッ
ド（３）が下降して散薬噴出路（6c）を開閉した瞬間
に、同パイプ（3h）からの圧縮エアーがエアー噴出孔
（3e）より噴出されるようにし、また、散薬導入管
（７）は、散薬（Ｂ）を貯溜しているストックケース
（Ｃ）に連通連結して、加圧された同ストックケース
（Ｃ）内の散薬（Ｂ）が、上記ロッド（３）の上昇にと
もなって散薬導入パイプ（８）を介して、同散薬導入管
（７）よりノズル本体（２）の下部管（６）内に圧送さ
れるようにすればよいものである。

この際、大気圧を１として、圧縮エアー流入パイプ（3
h）より間欠的に流入する圧縮エアーの気圧を1.3〜1.6
とし、ストックケース（Ｃ）内に間欠的に加える圧力を
1.2としておけば、圧送されてくる散薬（Ｂ）に比し
て、ロッド（３）の上昇時には同ロッド（３）のエアー
噴出孔（3e）からより高い圧力でもって、圧縮エアー流
入パイプ（3h）中の残溜圧縮エアーが噴出されることに
なって、ノズル本体（２）内に導入される散薬（Ｂ）は
吹上げ状に飛散されると共に、同噴出孔（3e）よりも下
方に流入滞留している散薬（Ｂ）は、開放された散薬噴
出路（6c）より一定量噴出されるものである。

従って、上記のようにロッド（３）が上下往復進退摺動
を繰返せば、あらかじめ舞上げられた散薬（Ｂ）が順次
噴出されることになるため、散薬（Ｂ）が結合状態で噴
出されることがないと共に、ロッド（３）の動きに呼応
した一定量の散薬噴出が間欠的に、しかも、正確に行え
るものである。

さらには、かかる散薬分包用噴出装置（Ａ）によれば、
0.2g前後の微量の散薬噴出も無接点スイッチ（1c）を介
してロッド（３）のストロークを調節することにより可
能となるために、他の散薬との混和度が確保できるもの
であり、この際、ロッド（３）下端部の凹状溝（3f）
（3f）に滞留した散薬（Ｂ）によるパッキン効果が大き
く効を奏するものである。

また、散薬の種類によって、エアー噴出孔（3e）の位置
と、圧縮エアーの噴出タイミングを適宜調節すれば、所
定量の散薬の噴出を種々行わせることができるものであ
る。

しかして、分包作業は、所要の散薬を噴出する上記噴出
装置（Ａ）の下方に、移動式の分包装置（Ｄ）を配設す
ると共に、同装置（Ｄ）を移動させて、同噴出装置
（Ａ）より必要量だけ取出した散薬を分包してゆけば終
了するものである。

第６図に示す分包装置（Ｄ）において、（Ｄ−１）はロ
ール紙、（Ｄ−２）はシール部、（Ｄ−３）は紙送りロ
ーラ、（Ｄ−４）はカッター、（Ｄ−５）は移動用螺
杆、及び、（Ｄ−６）はモーターである。（Ｅ）は秤量
計器である。

また、ノズル本体（２）内で舞上げられた散薬（Ｂ）が
上昇移行した場合には、中部管（５）の円筒空間（Ｓ）
が、上部管（４）内への侵入を抑制し、さらに、同上部
管（４）の矩形開口窓（4a）より散薬の外部への放出が
なされて、エアーシリンダー（１）内に散薬（Ｂ）が侵
入するという不具合が確実に防止できるようにしてい
る。

また、上記した散薬分包用噴出装置（Ａ）、ストックケ
ース（Ｃ）、分包装置（Ｄ）、及び、秤量計器（Ｅ）
は、所定のケースによりケーシングしておき、外部より
各装置の操作が行えるようにしておけば、薬塵、スペー
ス等の問題が解消できるものである。

さらには、上記各装置の操作を、コンピューター制御に
より行えば、迅速、かつ、確実な分包作業、さらには散
薬の在庫管理が行えるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による散薬分包用噴出装置の側断面図 第２図は、同装置の上部管の縦断面図 第３図は、同装置の中部管の縦断面図 第４図は、同装置の下部管の縦断面図 第５図は、ロッドの一部切欠側面図 第６図は、使用状態説明図 （Ａ）：散薬分包用噴出装置 （Ｂ）：散薬 （Ｃ）：ストックケース （Ｄ）：分包装置 （１）：エアーシリンダー （２）：ノズル本体 （３）：ロッド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下端に散薬噴出路（6c）を有する管状のノ
   ズル本体（２）中に、ロッド（３）を間欠的に進退摺動
   自在に挿通して、同ロッド（３）の下端にて同噴出路
   （6c）を繰返し開閉可能とすると共に、 ロッド（３）中にエアー流入路（3c）を形成し、同エア
   ー流入路（3c）をロッド（３）の下部周面に開口してエ
   アー噴出孔（3e）となし、 ノズル本体（２）の中空部に別途散薬導入管（７）を分
   岐連通させて、同導入管（７）よりノズル本体（２）の
   中空部に導入した散薬（Ｂ）を、エアー流入路（3c）を
   通して圧送した圧縮エアーをエアー噴出孔（3e）より噴
   出させることにより吹上げ状に飛散させ、同噴出孔（3
   e）よりも下方に流入滞留している散薬（Ｂ）を同噴出
   路（6c）よりロッド（３）の開閉作動によって間欠的に
   噴出可能としてなる散薬分包用噴出装置。