JPH0669460U - ディスクブレーキのピストン復帰構造 - Google Patents

ディスクブレーキのピストン復帰構造

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JPH0669460U
JPH0669460U JP009843U JP984393U JPH0669460U JP H0669460 U JPH0669460 U JP H0669460U JP 009843 U JP009843 U JP 009843U JP 984393 U JP984393 U JP 984393U JP H0669460 U JPH0669460 U JP H0669460U
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piston
sliding
spring
return
pad
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哲之 内藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ピストンの戻り量やオーバアジャスト時のキャ
ンセル力を任意に設定でき且つ容易に変更することも可
能とし、しかもピストンを所定の位置に確実に復帰する
ことのできるディスクブレーキのピストン復帰構造を提
供する。 【構成】ピストンDに形成した凹部1内にシリンダボデ
ィAから摺動杆2を突設し、この摺動杆2に摺動スプリ
ング5,6を同程度の所定の摺動抵抗で被嵌し、パッド
の磨耗時に第2摺動スプリング6を前進するワッシャ4
をピストンDに固定し且つ第1摺動スプリング5を前進
するハット7を摺動杆2に遊嵌し、オーバアジャスト時
に第1摺動スプリング5を後退するワッシャ3をピスト
ンDに固定し且つ第2摺動スプリング6を後退するスリ
ーブ8を前記凹部1内に嵌入し、前記ハット7とスリー
ブ8との間には所定の弾性力でピストンDを後退するリ
ターンスプリング9を介装して常時所定位置にピストン
Dを復帰する構成とした。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は車両のブレーキ装置に使用されるディスクブレーキに関し、特にブレ ーキペダルの非踏込み時等に,作動液の液圧によって前進されたピストンを所定 の位置に後退するピストン復帰構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のブレーキ装置に使用されるディスクブレーキでは、図2に示すようにキ ャリパ等のシリンダボディAにシリンダBを形成し、このシリンダB内にゴムシ ールCを介して,液密状態で且つシリンダBに沿って摺動可能なるようにピスト ンDを嵌挿する。このピストンDは、ブレーキペダルの踏込み等によって発生す る前記シリンダB入力側液室Fへの作動液の液圧で図の矢印a方向に前進され、 もって当該ピストンDに連設されている図示されないパッドをディスクロータに 押付け、両者の摩擦力で車輪の回転を制動する。このとき、前記ピストンDの外 周面に接触しているゴムシールCは,当該ピストンDとの摩擦力によってピスト ンDの前進方向に弾性変形しており、これをロールバック,その変形量をロール バック量と称している。ちなみにピストンDとシリンダボディAのシリンダB開 口端部とにはダストシールE等が設けられている。
【0003】 一方、ブレーキペダルの踏込みを解除すると,前記シリンダB入力側液室Fへ の作動液圧は大気圧或いはほぼ大気圧まで減圧されるが、この作動液の減圧自体 にはピストンDを後退して復帰する作用力はない。この場合には、前記ゴムシー ルCのロールバックによってピストンDを後退して非作動状態に復帰し、前記パ ッドとディスクロータとの間隙を所定の状態に保持しようとする。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながらこのディスクブレーキのピストン復帰構造では、ゴムシールCの 熱劣化等によりピストンDとの摩擦力が低下し、これに起因して前記ロールバッ ク量が減少するために、ピストンDが後退しきらない,所謂ひきずりが生じる。 或いはゴムシールCの熱劣化によって摩擦力が安定せず、ロールバックによるピ ストンD後退時に両者が滑ってピストンDが所定位置より後退し過ぎてしまう, 所謂ノックバックが生じる。
【0005】 このような問題を解決すると共にパッドの磨耗に合わせて,ピストンの非作動 時にはパッドとディスクロータとの間隙を所定量に調整する,所謂オートアジャ スタ装置が開発されている。その主なものに実開昭49−1785号公報や,特 開昭50−40965号公報に記載されるものがある。 これらのオートアジャスタ装置によれば,少なくともパッドの磨耗に応じてピ ストンの非作動時の復帰位置を制御し、パッドとディスクロータとの間隙を所定 量とすることが可能である。しかし、ピストンの復帰位置を変更する,即ちピス トンの戻り量を変更するためには関連する多くの部品を設定変更しなければなら ない。また、ピストンを後退させる力の伝達経路に,ラチェット機構やテーパ面 等の楔を用いているために、ディスクブレーキ装置を構成する各部品の熱膨張・ 熱収縮や剛性等によってピストンが所定の復帰位置よりも前進位置で停止しまっ た場合,即ちオーバアジャスト時に、これを後退させるために大きなキャンセル 力が必要となり,著しい場合にはこれをキャンセルすることができずにパッドが ディスクロータに接触したままになる虞れもある。これらを考え合わせるとキャ リパやパッド等の剛性が変化した場合には、それらに合わせて変更されるべきピ ストンの所定位置復帰の対応が困難である。
【0006】 本考案はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、前記ピストンの戻り 量やオーバアジャスト時のキャンセル力を任意に設定でき且つ容易に変更するこ とも可能とし、しかもピストンを所定の位置に確実に復帰することのできるディ スクブレーキのピストン復帰構造を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案のうち請求項1に係るディスクブレーキのピストン復帰構造は、ホイー ルシリンダのシリンダボディに形成されたシリンダ内にピストンシールを介して 液密状態で且つ摺動可能に嵌挿されたピストンを,シリンダ内への作動液の液圧 で前進させて、当該ピストンでパッドをディスクロータに押付けるディスクブレ ーキにあって、前記ピストンの非作動時に,前記パッドとディスクロータとの間 隙が所定状態となる所定位置に当該ピストンを後退させるディスクブレーキのピ ストン復帰構造において、軸線方向が前記ピストンの摺動方向に配置されるよう に当該ピストンに穿設された凹部と、前記シリンダボディから前記ピストンの凹 部に向けて当該ピストンの摺動方向に突設された摺動杆と、前記ピストンの凹部 内で且つ前記摺動杆との間に所定の摺動抵抗が生じるように当該摺動杆に取付け られた第1の摺動スプリングと、前記第1の摺動スプリングに対して,ピストン の摺動方向後退側に配設され且つ前記摺動杆に沿って移動可能なるように当該摺 動杆に取付けられた係止体と、前記係止体に対して,ピストンの摺動方向後退側 に配設され且つ前記係止体とピストンとの間に介装されて当該ピストンを後退方 向に付勢するリターンスプリングと、前記第1の摺動スプリングに対して,ピス トンの摺動方向前進側に形成され且つピストンと共に移動される規制体とを備え たことを特徴とするものである。
【0008】 本考案のうち請求項2に係るディスクブレーキのピストン復帰構造は、前記リ ターンスプリングによって後退されるピストンの復帰位置を規制する位置決め機 構を備え、この位置決め機構は、前記第1の摺動スプリングと同等か或いはほぼ 同等の摺動抵抗が生じるように前記摺動杆に取付けられた第2の摺動スプリング と、少なくとも前記ピストンの前進時には当該ピストンと共に移動され且つ前記 第2の摺動スプリングのうち,ピストンの摺動方向前進側端部に当接可能なるよ うに前記リターンスプリングとピストンとの間に介装された当接体と、前記ピス トンの前進時には当該ピストンと共に移動され且つ前記第2の摺動スプリングの うち,ピストンの摺動方向後退側端部に当接可能なるように形成された押圧体と を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】 本考案のディスクブレーキのピストン復帰構造では、前記シリンダボディから ピストンの凹部に向けて突設された摺動杆に,第1の摺動スプリングが所定の摺 動抵抗を持って取付けられ、この第1の摺動スプリングのピストン後退側に,係 止体を介して配設したリターンスプリングが当該ピストンを後退する方向に付勢 し、前記第1の摺動スプリングのピストン前進側にはピストンと共に移動される 規制体を形成したために、前記第1の摺動スプリングと摺動杆との摺動抵抗を, 通常のピストン作動に必要な作動液圧によって移動されるピストンの前進押圧力 よりも大きく,且つパッドの磨耗に追従するために必要な作動液圧によるピスト ンの前進押圧力,及びパッド交換やオーバアジャストによりパッドとディスクロ ータとの間で発生するピストン後退押圧力よりも小さく設定すると共に、リター ンスプリングのピストン付勢力を前記第1の摺動スプリングと摺動杆との摺動抵 抗より小さく設定することで、通常のブレーキペダル踏込みによるピストン前進 時には摺動スプリング及び係止体は移動されず、もってブレーキペダルの踏込み を解除すると,この係止体とピストンとの間に介装されたリターンスプリングに よってピストンは非作動状態に後退され、ディスクロータに対して所定の間隙が 生じるようにパッドが後退される。また、パッドが磨耗すると,これを補償して ピストンをパッドごと前進させる作動液圧により,前記リターンスプリング及び 係止体を介して第1の摺動スプリングがピストンの前進方向に移動され、その位 置でブレーキペダルの踏込みを解除すると,前記と同様にピストンが非作動状態 に後退される。一方、パッドを交換するとか或いはオーバアジャストが発生した 場合には,パッドとディスクロータとの間に発生する大きな押圧力によってピス トンは強制的に後退され、この後退に伴って前記規制体が第1の摺動スプリング を後退させるから,その位置でブレーキペダルの踏込みを解除すると前記と同様 にピストンが非作動状態に後退される。この場合,前記第1の摺動スプリングと 摺動杆との摺動抵抗やリターンスプリングの付勢力は、それらのスプリングの線 径や素材強度,巻き数や有効巻き径等を変更することで任意に設定することがで きる。
【0010】 ところで、前記リターンスプリングによって後退されるピストンを,パッドと ディスクロータとの間隙が所定量となる位置に後退させるために、本考案のディ スクブレーキのピストン復帰構造では,ピストンの位置決め機構を設けている。 この位置決め機構は、前記第1の摺動スプリングと同等かほぼ同等の摺動抵抗を 生じる第2の摺動スプリングを前記摺動杆に取付け、この第2の摺動スプリング のピストン前進側端部に当接し且つピストンと共に前進される当接体を前記リタ ーンスプリングとピストンとの間に介装し、前記第2の摺動スプリングのピスト ン後退側端部に当接可能で且つピストンと共に前進される押圧体を配設したため に、前記リターンスプリングによってピストンが後退されると,前記当接体が第 2の摺動スプリングに当接してピストンの後退が規制される。従って、前記第1 の摺動スプリング並びに係止体から決定されるべきピストンの後退位置を,前記 パッドとディスクロータとの間隙が所定量となる位置に予め設定しておくことに より、前記パッドの磨耗を補償するために高い作動液圧が生じると,この第2の 摺動スプリングは前記押圧体を介してピストンにより押圧されて,前記第1の摺 動スプリングと同等量だけ前進されるから、当該第1の摺動スプリング並びに係 止体からのピストン後退位置は常時一定となる。また、パッド交換やオーバアジ ャストによってピストンが強制的に後退されると,前記当接体によって第2の摺 動スプリングは第1の摺動スプリングと同等量だけ後退されるから、この場合に も当該第1の摺動スプリング並びに係止体からのピストン後退位置は常時一定と なる。
【0011】
【実施例】
図1は本考案のピストン復帰構造を適用したディスクブレーキのキャリパ部分 を示す一実施例である。 キャリパに相当するシリンダボディAには円孔状のシリンダBが形成され、こ のシリンダB内にはゴムシールCを介して,液密状態で且つシリンダBの内周面 に沿って摺動可能なるように円柱状のピストンDが嵌挿されている。ここで図1 におけるピストンDの右方液室Fには,ブレーキペダルの踏込みによって作動液 の液圧が入力され、この液圧によってピストンDは同図の左方,矢印a方向に前 進される。そしてピストンDの前進側端部には図示されないパッドが連設されて おり、このパッドを図示されないディスクロータに押圧し、両者の摩擦力で車輪 を制動する。また、ブレーキペダルの踏込み解除時には,後述するピストン復帰 構造によってピストンDを図1の右方,矢印b方向に後退して非作動状態に復帰 する。なお、シリンダBの開口端部とピストンDの前進端部との間にはダストシ ールE等が介装されている。
【0012】 本実施例のピストン復帰構造では、前記ピストンDの後退側端面中央部からそ の摺動方向に沿って凹部1が形成されている。また、前記シリンダボディAには ,前記ピストンDの凹部1に向けて当該ピストンDの摺動方向に突出する摺動杆 2が設けられている。このうち,前記摺動杆2は、図1の右方端部にフランジ状 の当接部20が形成され、その左方にはシール部21を介してネジ部22が形成 され、その左方から左方端部にかけて均一径の摺動部23が形成されている。一 方、シリンダボディAのピストンD後退側壁部24の外面には前記摺動杆2のフ ランジ状当接部20が収納される大きさの凹陥部25が形成され、この凹陥部2 5の底面から当該壁部24の内面に貫通穴26が形成され、両者の接合部にはO リング収納部27が形成されている。そして、前記Oリング収納部27内にOリ ング28を収納し、このOリング28と前記凹陥部25に収納された当接部20 とが当接するようにして,前記摺動杆2を前記シリンダボディAのピストンD後 退側壁部24の外面から内面に向けて前記貫通穴26内に挿通し、当該壁部24 の内面からシリンダB内に突出するネジ部22にナット29を螺合して締付ける ことにより,当該摺動杆2をシリンダボディAに固定してある。なお、摺動杆2 の摺動部23側端部は,本実施例のピストン復帰構造及びピストン位置決め機構 を組立て易くするためになだらかなテーパ面に形成されている。
【0013】 一方、前記ピストンDの凹部1内には,前記摺動杆2の摺動部23より僅かに 大きい内孔を有するワッシャ3,4が、当該凹部1のピストン前進側寄りと後退 側寄りとの二箇所に,スナップリング30等の固定具を介して固定されている。 この各ワッシャ3,4は、前記摺動杆2の摺動部23に被嵌された後述する二つ の摺動スプリングに当接してそれを移動させるためのものであるから、前記内孔 はこれらの摺動スプリングの外径よりも小さいものである必要がある。このうち ,ピストン前進側寄りのワッシャ3が本考案のピストン復帰構造の規制体に相当 し、ピストン後退側寄りのワッシャ4が本考案のピストン位置決め機構の押圧体 に相当する。
【0014】 前記二つのワッシャ3,4の間の部分で且つ夫々のワッシャ3,4の近傍にお いて、前記摺動杆2には二つの摺動スプリング5,6が被嵌されている。これら の摺動スプリング5,6は、本考案のピストン復帰構造並びにピストン位置決め 機構を位置決めするためのものであり、予め設定した摺動抵抗が生じるように摺 動杆2に被嵌されている。これら両摺動スプリング5,6の摺動抵抗は,互いに 同等かほぼ同等になるようにしてあり、それらは各スプリング5,6の線径や素 材強度,有効巻き径や巻き数等によって任意に設定可能である。そして、本実施 例では各摺動スプリング5,6と摺動杆2との摺動抵抗が,通常ピストン作動時 の作動液圧によるピストン前進押圧力よりも大きく且つパッドの磨耗を補償する ための作動液圧によるピストン前進押圧力並びにパッド交換及びオーバアジャス ト時のパッド・ディスクロータ間のピストン後退押圧力よりも小さくなるように ,各摺動スプリング5,6を設定してある。このうち、ピストン前進側寄りの摺 動スプリング5が本考案のピストン復帰構造を構成する第1の摺動スプリングに 相当し、ピストン後退側寄りの摺動スプリング6が本考案の位置決め機構を構成 する第2の摺動スプリングに相当する。
【0015】 前記第1の摺動スプリング,即ちピストン前進側寄りの摺動スプリング5のう ち,当該摺動スプリング5のピストン後退側端部には、ハット7と称するスプリ ング係止体が配設されている。このハット7は、前記ピストンDの凹部1の内径 よりやや小さな外径で且つ前記摺動杆2の摺動部23より僅かに大きい内孔を有 する円板状に形成されており、この内孔内に当該摺動杆2の摺動部23が挿通さ れることによって,当該摺動部23に沿って移動可能としてある。このうち,ピ ストン前進側端面の内孔近傍には前記第1の摺動スプリング3を収納する収納凹 部31が形成され、ピストン後退側端面の外周寄りには後述するリターンスプリ ングを係止する係止凹部32が形成されている。このハット7が本考案のピスト ン復帰構造を構成する係止体に相当する。
【0016】 一方、前記第2の摺動スプリング,即ちピストン後退側寄りの摺動スプリング 4のうち,当該スプリング4のピストン前進側端部には、スリーブ8と称する当 接体が配設されている。このスリーブ8は、前記摺動杆2の摺動部23より僅か に大きい内孔が形成された底部33を有し且つ外径が前記ピストンDの凹部1の 内径より僅かに小さい筒部34を有する有底筒状に形成されており、その筒部3 4開口端部が前記ピストン後退側寄りのワッシャ4側に向くようにして,前記内 孔内に当該摺動杆2の摺動部23が挿通される。同時に,前記筒部34の開口端 部が前記ピストン後退側寄りのワッシャ4に当接することにより、当該摺動部2 3に沿って少なくともピストンDの前進時にはそれと共に前進されるようにして ある。従って、前記第2の摺動スプリング6は,このスリーブ8の筒部34内に 収納され、底部33の内孔近傍が,当該第2の摺動スプリング6のピストン前進 側端部に当接する。このスリーブ8が本考案のピストン位置決め機構を構成する 当接体に相当する。
【0017】 そして、前記ハット7とスリーブ8との間にはリターンスプリング9が配設さ れている。このリターンスプリング9は、前記第1の摺動スプリング3によって 位置決めされているハット7を基部として,スリーブ8及びピストン後退側寄り のワッシャ4を介してピストンDを後退方向に付勢するものである。本実施例の リターンスプリング9では、少なくとも通常ピストンD作動時におけるその初期 弾性力が,前記各摺動スプリング5,6と摺動杆2との摺動抵抗よりも小さい, 即ち通常のピストン作動液圧によるピストン前進押圧力よりも小さく、当該リタ ーンスプリング9の変位の増大に伴って,やがて弾性力が前記摺動抵抗や通常前 進押圧力よりも大きくなるように設定してある。即ち,通常のピストン作動時に はリターンスプリング9は前記初期弾性力の範囲でしか変位しない。なお、この リターンスプリング9によってピストンDが後退され、その結果,スリーブ8の 底部33が第2の摺動スプリング6に当接してピストンDが停止したときに、当 該ピストンDは,前記パッドとディスクロータとの間隙が所定状態となる所定復 帰位置に停止するように、各部品の配設位置を設定してある。
【0018】 次に本実施例のピストン復帰構造並びにそれに付加されたピストン位置決め機 構の作用について説明する。 前述したように前記第1,第2の摺動スプリング5,6と摺動杆2との摺動抵 抗を,通常のピストン作動に必要な作動液圧によって移動されるピストン前進押 圧力よりも大きく,且つパッドの磨耗に追従するために必要な作動液圧によるピ ストンDの前進押圧力,及びパッド交換やオーバアジャストによりパッドとディ スクロータとの間で発生するピストンDの後退押圧力よりも小さく設定すると共 に、通常ピストン作動時におけるリターンスプリング9の初期ピストン付勢力を 各摺動スプリング5,6と摺動杆2との摺動抵抗より小さく設定したために、通 常のブレーキペダル踏込みによるピストン前進時には各摺動スプリング5,6及 びハット7は移動されない。この状態からブレーキペダルの踏込みを解除すると ,前記スリーブ8とハット7との間のリターンスプリング9によってピストンD は後退される。そして、スリーブ8の底部33が第2の摺動スプリング6に当接 すると,ピストンDは所定の復帰位置で停止し、もってパッドとディスクロータ との間隙は所定の状態に復帰される。
【0019】 ブレーキ装置の使用によってパッドが磨耗すると、これを補償してピストンD をパッドごと前進させるために作動液圧が増大する。この増大された作動液圧に よりピストンDの前進押圧力が増大するから、前記リターンスプリング9,ハッ ト7を介して第1の摺動スプリング3も,ピストン前進押圧力の増大分を吸収す るまで前進され、当該ピストン前進押圧力の増大分が吸収されれば,パッドとデ ィスクロータとの間の押圧力の反力がバランスして第1の摺動スプリング3,ハ ット7,リターンスプリング9はその位置に停止する。また、このとき第2の摺 動スプリング6も,前記ピストン後退側寄りのワッシャ4によって前進され、凡 そ第1の摺動スプリング3と同等量だけ前進された時点で停止する。従って、第 1の摺動スプリング3のピストン後退側端部と,第2の摺動スプリング6のピス トン前進側端部との距離は、前述の通常ピストン作動時と同等か或いはほぼ同等 に保持される。即ち、パッドが磨耗するとその磨耗分を補償するために前進され たピストンDは、当該磨耗分に相当する分だけ本実施例のピストン復帰構造並び にピストン位置決め機構を前進することになる。この状態からブレーキペダルの 踏込みを解除すると,前記スリーブ8とハット7との間のリターンスプリング9 によってピストンDは後退され、やがてスリーブ8の底部33が第2の摺動スプ リング6に当接すると,ピストンDは第1の摺動スプリング3並びにハット7の 位置から決定される所定の復帰位置で停止し、もってパッドとディスクロータと の間隙は所定の状態に復帰される。
【0020】 一方、磨耗したパッドを新規交換するとか或いはオーバアジャストが発生した 場合には,少なくともブレーキペダルを踏込んで作動液圧が入力された時点で、 パッドとディスクロータとの間に大きなピストン後退押圧力が発生する。この大 きな後退押圧力で後退されるピストンDが、前記ピストン前進側寄りのワッシャ 3を通じて第1の摺動スプリング3を後退させ、更にこの第1の摺動スプリング 3,ハット7,リターンスプリング9,スリーブ8を介して第2の摺動スプリン グ6を後退させる。やがてこれらの摺動スプリング5,6の後退によって、通常 のピストン作動液圧によるピストン前進押圧力と,パッドとディスクロータとの 押圧反力とがバランスすると、前記ピストン後退押圧力は吸収されて小さくなり 、その時点で第1,第2の摺動スプリング5,6,ハット7が停止する。この場 合も、第1の摺動スプリング3のピストン後退側端部と,第2の摺動スプリング 6のピストン前進側端部との距離は、前述の通常ピストン作動時と同等か或いは ほぼ同等に保持される。即ち,パッドの新規交換やオーバアジャストによって生 じる当該パッドとディスクロータとの過大な押圧力を吸収する分だけ、本実施例 のピストン復帰構造並びにピストン位置決め機構を後退することになる。この状 態からブレーキペダルの踏込みを解除すると,前記スリーブ8とハット7との間 のリターンスプリング9によってピストンDは後退され、やがてスリーブ8の底 部33が第2の摺動スプリング6に当接すると,ピストンDは第1の摺動スプリ ング3並びにハット7の位置から決定される所定の復帰位置で停止し、もってパ ッドとディスクロータとの間隙は所定の状態に復帰される。
【0021】 このように、本考案のピストン復帰構造並びにピストン位置決め機構によれば パッドの磨耗を補償するオートアジャスト機能を満足しながら,パッド交換やオ ーバアジャスト時のキャンセル機能を確保し、しかも如何様な場合にも,パッド とディスクロータとの間隙が所定状態になるようにピストンを後退して復帰させ ることができる。そして、前記オートアジャストやキャンセルの設定は,前記各 摺動スプリングやリターンスプリングの設定によって任意に行うことができるか ら、例えばキャリパやパッドの剛性が変更された場合にもそれらの各スプリング の設定変更だけで容易に対応することができる。
【0022】 なお、前記実施例では,ピストン復帰構造の第1の摺動スプリングと同等の摺 動抵抗を有する第2の摺動スプリングによって、それとは個別のピストン位置決 め機構を構成したが、例えば前記第1の摺動スプリングに同等の機能を併せ持た せてピストン位置決め機構を構成してもよく、例えば前記リターンスプリングに よってピストンが後退されると,前記ピストン前進側寄りのワッシャが第1の摺 動スプリングのピストン前進側端部に当接し、その時点でピストンが所定位置に 復帰されるようにしてもよい。この場合、ピストンの所定復帰位置に合わせて, リターンスプリングの初期弾性力と第1の摺動スプリングに対する当該ワッシャ の取付位置とを設定すればよいが、前述したオートアジャストやキャンセルの設 定対応には第1の摺動スプリング以外にも関連する各部品の諸元を変更しなけれ ばならない場合も生じるため,当該設定対応能力は低下する。
【0023】 また、前記実施例ではパッドの交換やオーバアジャスト時に第1の摺動スプリ ングを後退させるための規制体を,ピストンとは個別のワッシャで構成したが、 このワッシャの組付けが困難である場合には、例えば前記ピストンの凹部の底面 で規制体の代わりをなし、摺動杆突出端部が収納される収納部をこの凹部底面か ら穿設するようにしてもよい。
【0024】
【考案の効果】
以上説明したように本考案のディスクブレーキのピストン復帰構造によれば、 パッドの磨耗を補償するオートアジャスト機能を満足しながら,パッド交換やオ ーバアジャスト時のキャンセル機能を確保し、パッドとディスクロータとの間隙 が所定状態になるようにピストンを後退して復帰させ、しかも前記オートアジャ ストやキャンセルの設定は,前記各摺動スプリングやリターンスプリングの設定 によって任意に行うことができるから、例えばキャリパやパッドの剛性が変更さ れた場合にもそれらの各スプリングの設定変更だけで容易に対応することができ る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のディスクブレーキのピストン復帰構造
の一実施例を用いたキャリパの縦断面図である。
【図2】従来のキャリパの縦断面図である。
【符号の説明】
1は凹部 2は摺動杆 3はワッシャ 4はワッシャ 5は第1の摺動スプリング 6は第2の摺動スプリング 7はハット 8はスリーブ 9はリターンスプリング Aはシリンダボディ Bはシリンダ Cはゴムシール Dはピストン Eはダストシール Fは液室

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホイールシリンダのシリンダボディに形
    成されたシリンダ内にピストンシールを介して液密状態
    で且つ摺動可能に嵌挿されたピストンを,シリンダ内へ
    の作動液の液圧で前進させて、当該ピストンでパッドを
    ディスクロータに押付けるディスクブレーキにあって、
    前記ピストンの非作動時に,前記パッドとディスクロー
    タとの間隙が所定状態となる所定位置に当該ピストンを
    後退させるディスクブレーキのピストン復帰構造におい
    て、軸線方向が前記ピストンの摺動方向に配置されるよ
    うに当該ピストンに穿設された凹部と、前記シリンダボ
    ディから前記ピストンの凹部に向けて当該ピストンの摺
    動方向に突設された摺動杆と、前記ピストンの凹部内で
    且つ前記摺動杆との間に所定の摺動抵抗が生じるように
    当該摺動杆に取付けられた第1の摺動スプリングと、前
    記第1の摺動スプリングに対して,ピストンの摺動方向
    後退側に配設され且つ前記摺動杆に沿って移動可能なる
    ように当該摺動杆に取付けられた係止体と、前記係止体
    に対して,ピストンの摺動方向後退側に配設され且つ前
    記係止体とピストンとの間に介装されて当該ピストンを
    後退方向に付勢するリターンスプリングと、前記第1の
    摺動スプリングに対して,ピストンの摺動方向前進側に
    形成され且つピストンと共に移動される規制体とを備え
    たことを特徴とするディスクブレーキのピストン復帰構
    造。
  2. 【請求項2】前記リターンスプリングによって後退され
    るピストンの復帰位置を規制する位置決め機構を備え、
    この位置決め機構は、前記第1の摺動スプリングと同等
    か或いはほぼ同等の摺動抵抗が生じるように前記摺動杆
    に取付けられた第2の摺動スプリングと、少なくとも前
    記ピストンの前進時には当該ピストンと共に移動され且
    つ前記第2の摺動スプリングのうち,ピストンの摺動方
    向前進側端部に当接可能なるように前記リターンスプリ
    ングとピストンとの間に介装された当接体と、前記ピス
    トンの前進時には当該ピストンと共に移動され且つ前記
    第2の摺動スプリングのうち,ピストンの摺動方向後退
    側端部に当接可能なるように形成された押圧体とを備え
    たことを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ
    のピストン復帰構造。
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