JPH0668733A - 絶縁樹脂成形品 - Google Patents

絶縁樹脂成形品

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JPH0668733A
JPH0668733A JP21756292A JP21756292A JPH0668733A JP H0668733 A JPH0668733 A JP H0668733A JP 21756292 A JP21756292 A JP 21756292A JP 21756292 A JP21756292 A JP 21756292A JP H0668733 A JPH0668733 A JP H0668733A
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grains
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epoxy resin
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JP21756292A
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Inventor
Toshio Shimizu
敏夫 清水
Kenichi Sato
健一 佐藤
Masaru Miyagawa
勝 宮川
Yasufumi Nagata
恭文 永田
Yoshihiro Kagawa
芳弘 加川
Satoshi Makishima
聡 槙島
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】成形時の粘度の増加を抑えるとともに、成形後
の靭性を増やすことのできる絶縁樹脂成形品を得るこ
と。 【構成】エポキシ樹脂に非接着性の硬質粒子を充てんす
る。 【効果】エポキシ樹脂に外力が加えられると、エポキシ
樹脂の内部に混入された非接着性の硬質粒子はエポキシ
樹脂との界面で自由にずれ、たとえ、き裂が発生して
も、その先端の形状効果が鈍化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、電力機器に使
われるレジンがいしなどの絶縁樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】電力機器に使われる絶縁樹脂成形品は、
絶縁材料や構造材料として多くの機器に用いられている
が、なかでも、エポキシ樹脂は、耐湿性、耐薬品性、寸
法安定性、電気的特性等に優れているので、従来から広
く使用されている。
【0003】しかし、このエポキシ樹脂は、靭性に劣る
ので、成形部品の形状によって生じる応力集中部や、微
小なき裂、異物や硬化剤の不均一などに起因する欠陥や
ボイド等があると、機械的強度が著しく低下する。ま
た、例えば、図1(b)に示すレジンがいしのように、
エポキシ樹脂5の両端に導体固定用の金属インサート10
を埋め込んだり、レジンブッシングのように、軸心に金
属導体を埋設したときには、電力機器の運転時の内部と
表面との温度差や、運転・停止のヒートサイクルで、樹
脂と金属との界面のうち、例えば、図1(b)の応力集
中部11に発生する熱応力で、微小なき裂が発生するおそ
れがある。もし、き裂が発生すると、上述した電力機器
の運転による絶縁樹脂成形品の内部と表面の温度差や、
運転・停止のヒートサイクルによって、徐々に内部に進
展して、電気機器の相間短絡や地絡に発展するおそれも
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来から、
硬質粒子や軟質粒子をエポキシ樹脂中に混合する方法が
採用されている。
【0005】このうち、硬質粒子として、シリカ粉末、
アルミナ等をエポキシ樹脂に充てんすると、硬質粒子
は、樹脂とよく接着して樹脂をピン止めし補強して、樹
脂の靭性が向上する。この効果は、硬質粒子の充てん量
を増やすと増える。硬質粒子の充てんは同時に、弾性率
を増やし、また、静的強度がほとんど低下しないので、
絶縁樹脂成形品に適用されている。しかし、一方では、
硬質粒子の充てん量の増加とともに粘度も増え、成形時
の作業性を損なうので、充てん量は制約される。
【0006】例えば、シリコーンの微粒子を電力機器で
よく用いられるビスフェノール系液状エポキシ樹脂と酸
無水物硬化剤の組み合わせ、シリカ粉末を充てんした加
熱硬化形エポキシ注型材料に充てんし、この充てん量と
破壊靭性(KIC)との関係を求めると図9のグラフのよ
うになる。図9に示すように、破壊靭性は、シリコーン
粒子の充てんにより増える。特に、10〜 20phr(per hu
ndred of resin by weight、重量部)の範囲で顕著であ
る。なお、この範囲は、エポキシ樹脂の種類の如何にか
かわらず、ほぼ同じである。
【0007】一方、エポキシ樹脂に、軟質粒子として、
ゴムや熱可塑性樹脂等を充てんすると、エポキシ樹脂が
変形し易くなり、図1(b)に示す応力集中部11に発生
したき裂等に応力が加わった場合でも、その形状効果が
鈍化して靭性が向上する。
【0008】しかし、エポキシ樹脂中に軟質粒子を混合
すると、粒子の種別によっては、絶縁樹脂成形品の静的
強度が低下する。それは、ある値以上の粒径の軟質粒子
や非接着性粒子を充てんしたときである。図10は、軟質
粒子をエポキシ樹脂に 15phr充てんしたときの、軟質粒
子の粒径と曲げ強さの関係を示すグラフで、粒径が20μ
m以下では、エポキシ樹脂単体の曲げ強さとほぼ等しい
が、これを超えると急激に低下する。したがって、静的
な強さの面では、充てんする軟質粒子の径は20μm以下
が望ましい。
【0009】ところが、軟質粒子の径が小さくなると、
量は同一混合比でも表面積が増えるので、エポキシ樹脂
の粘度が増えて、成形時の作業性が低下する。したがっ
て、流動性のよい材料が要求される絶縁樹脂成形品には
使えないので、現在では実用化されていない。
【0010】なお、軟質粒子のなかには、エポキシ樹脂
と相溶性を持つものと持たないものがある。このうち、
エポキシ樹脂と相溶性のある軟質粒子として、例えば、
ゴムの一種であるCTBN(carboxy terminated butad
ien acrylonitrile copolymer )は、エポキシ樹脂と混
合中に完全に溶解するとともに、エポキシ樹脂の硬化過
程で相分離し、エポキシ樹脂中に球状に分散する。しか
し、この分散の密度、粒子の大きさ等、機械的特性に大
きく影響する因子は、エポキシ樹脂の硬化の進行過程に
支配され、これを制御するのは難しい。
【0011】特に、大形の樹脂成形品においては、全体
が同時に硬化せず、金型や金属インサート等、熱が供給
される部分から化学反応が先に進行して硬化する。した
がって、CTBNの相分離も部分ごとに条件が異なっ
て、硬化後の樹脂成形品に同じような形状のCTBN粒
子を均一に分散させることはできない。その結果、機械
的特性のばらつきが増えて、実用化されていない。
【0012】一方、非相溶性の熱可塑性樹脂からなる微
粒子をエポキシ樹脂に充てんすると、粘度の上昇が著し
く、作業性が低下するので、やはり実用化できない。な
お、硬い粒子の外周を離型剤で処理して、マトリックス
であるエポキシ樹脂と接着しないようにすると、接着界
面が拘束を受けることなく、機械的応力に対して自由に
変形できる。その結果、前述の柔らかい粒子を充てんし
た場合と同じメカニズムで靭性が増える。しかし、粒径
の減少は前述したように表面積の増加によって、粘度が
著しく増えるため、やはり実用化できない。
【0013】また、近年では、硬い粒子と柔らかい粒子
を同時にエポキシ樹脂に充てんしたハイブリッド材料も
提案されているが、軟質粒子充てんの際の欠点が大き
く、問題となっている。そこで、本発明の目的は、成形
時の粘度の増加を抑え、成形後の靭性を増やすことので
きる絶縁樹脂成形品を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、非接着性の硬質粒子がエポキシ樹脂に充てんされた
ことを特徴とする絶縁樹脂成形品である。
【0015】請求項2に記載の発明は、硬質粒子に離型
剤処理又は樹脂をコーティングした非接着性の硬質粒子
がエポキシ樹脂に充てんされたことを特徴とする絶縁樹
脂成形品である。
【0016】請求項3に記載の発明は、硬質粒子に離型
剤処理又は樹脂をコーティングし、この硬質粒子の粒径
を50μm以下とした非接着性の硬質粒子がエポキシ樹脂
に充てんされたことを特徴とする絶縁樹脂成形品であ
る。
【0017】請求項4に記載の発明は、粒径の大なる硬
質粒子及び粒径の小なる硬質粒子と粒径の小なる軟質粒
子がエポキシ樹脂に充てんされたことを特徴とする絶縁
樹脂成形品である。
【0018】請求項5に記載の発明は、粒径の大なる硬
質粒子及び粒径の小なる硬質粒子と粒径の小なる軟質粒
子がエポキシ樹脂に充てんされ、粒径の小なる硬質粒子
と粒径の小なる軟質粒子の総量を全充てん量の40〜60重
量%としたことを特徴とする絶縁樹脂成形品である。
【0019】請求項6に記載の発明は、粒径の大なる硬
質粒子及び粒径の小なる硬質粒子と粒径の小なる軟質粒
子がエポキシ樹脂に充てんされ、軟質粒子の粒径を20μ
m以下とし、充てん量を10〜 20phrとしたことを特徴と
する絶縁樹脂成形品である。
【0020】
【作用】請求項1,2,3に記載の発明においては、絶
縁樹脂成形品の内部に混入された硬質粒子は、軟質粒子
と同様にエポキシ樹脂との界面で自由にずれ、たとえ、
き裂が発生しても、その先端の形状効果が鈍化する。
【0021】また、請求項4,5,6に記載の発明にお
いては、大きな硬質粒子の間に入り込んだ粒径の小なる
粒子は、大きな硬質粒子との間の滑りをよくするコロの
働きを示し、充てん樹脂の粘度が低下する。
【0022】
【実施例】以下、請求項1,2,3に記載の発明の一実
施例を図面を参照して説明する。まず、充てんする硬質
粒子の構成を説明する。図1(a)に示すように、球状
の硬質粒子1(本実施例では、ガラスビーズ Sphe
riglass Potters-Ballotini 社の商品名)の表
面を離型剤2(本実施例では、QZ13 チバ・ガイギ
ー社の商品名)を塗布し、樹脂との接着性をあらかじめ
下げておく。
【0023】この離型剤で処理したガラスビーズ(平均
粒径5μm)を電力機器で使われているビスフェノール
系固形エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤の組み合わせでな
る加熱硬化形エポキシ注型材料に充てんし、この充てん
量と破壊靭性(KIC)の関係を求めると、図2のグラフ
で示すようになる。破壊靭性は、非接着性ガラスビーズ
の充てんにより増し、図2に示すように、特に、20〜 7
0phr(per hundred ofresin by weight、重量部)の範
囲で顕著である。なお、この範囲は、シリカ粉末等の硬
い粒子、エポキシ樹脂の種類に関係なく、ほぼ同じであ
る。
【0024】一方、上述したように、エポキシ樹脂中の
非接着性粒子は、欠陥として扱われ、充てん系の静的強
度は低下する。この欠陥として示されるのは、ある大き
さ以上の粒径を有する非接着性粒子を充てんした場合で
ある。図3は、35phr のガラスビーズを充てんした場合
のガラスビーズの粒径と曲げ強さの関係を示す。図3で
示すように、曲げ強さは、ガラスビーズの粒径が50μm
を超えると急速に低下し、粒径が50μm以下では、エポ
キシ樹脂単体の曲げ強さにほぼ等しくなる。したがっ
て、静的な強さの面では粒径50μm以下が望ましい。
【0025】硬質粒子の場合は、CTBNのような相分
離する系と比較して粒径を自由に制御することが可能で
あり、樹脂成形品の内部に均一に分散させることができ
る。また、熱可塑性樹脂のような非相溶性の系の樹脂と
比べて、混合時の粘度増加は著しく低く、そのため、成
形時の作業性は良好である。
【0026】一般に、構造材料としては高い弾性率が要
求されるので、接着性の硬質粒子が多量に充てんされ
る。この場合も、非接着性の粒子を20〜 70phr充てんし
併用することにより靭性を向上させることができる。
【0027】このような非接着性、あるいは、緩衝層付
きの硬質粒子は、樹脂成形品の内部で軟質粒子と同様に
作用し、靭性を向上させ、従来の接着性のよい硬質粒子
を充てんした樹脂成形品に比べて、熱サイクル、欠陥等
に対する強度を向上させることができる。
【0028】例えば、図4に示すように、非接着性の硬
質粒子1をエポキシ樹脂5に充てんし、矢印で示す方向
に引張り荷重3を加えると、粒子と樹脂の界面の接着力
が低いので、界面は自由にずれて変形する。このような
状態では、粒子の周りの荷重軸の45°の方向に応力集中
によるせん断変形4がもたらされる。さらにこれが進展
すると、図5のように、き裂の先端6Aやボイド等の欠
陥部等の端部の形状効果が鈍化して靭性が向上する。こ
れは、前述のCTBN等柔らかい粒子を充てんした場合
と全く同様な強化効果である。また、樹脂単体、あるい
は、接着性の硬質粒子の充てん系においては、せん断変
形するより先に引張り応力で破壊するので、この現象は
認められない。
【0029】また、硬質粒子の場合は樹脂成形品の内部
に均一に分散し、粒径の制御も簡単であり、大形部品で
あっても安定した品質が得られる。混合時の粘度の増加
もわずかであるので、成形時の材料の流れを損なうこと
もない。
【0030】表1は、前述の電力用のビスフェノール系
固形エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤からなる加熱硬化形
エポキシ注型材料に、接着性のよいシラン処理シリカ粉
末を200phr充てんした系に対し、非接着性の離型剤処理
ガラスビーズ、あるいは、接着性のシラン処理ガラスビ
ーズ(平均粒径5μm)を 35phr充てんした系、およ
び、柔らかいCTBNを 15phr充てんした系の機械的特
性を示す。表1に示すように、この絶縁樹脂成形品は、
破壊靭性(KIC)の向上に非接着性の硬質粒子の充てん
が効果的であることを示す。
【0031】
【表1】
【0032】また、曲げ弾性率は、接着性の粒子の充て
ん量に依存するので、接着性ガラスビーズの充てんがよ
いが、その差は僅かであり、曲げ強さもほとんど差異が
認められなかった。なお、CTBN充てん系は、靭性向
上に効果があるものの、曲げ強さの低下が著しかった。
【0033】次に、同組成の耐クラック性を調べるため
に、図6に示すIEC.pub.455-2 に準拠する軟鋼製のオリ
ファント熱衝撃ワッシャー法による試験片を5個注型
し、表2に示す条件で熱衝撃試験を行った。
【0034】
【表2】
【0035】この試験では、供試品を、決められた温度
と決められた時間で冷熱試験を繰り返す。試験が進むに
従い、温度幅は徐々に増やす。低温は、ドライアイスで
希望する温度まで冷却したエタノールを入れた冷却槽
で、高温は室温放置または加熱炉によって得られる。判
定は低温側から取り出した後、き裂の有無を目視で観察
する。その結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3に示すように、離型剤処理ガラスビー
ズを充てんした絶縁樹脂成形品は、17サイクルでもき裂
が発生せず、優れた耐熱衝撃性を備えているだけでな
く、ばらつきも少なく、安定した特性を示す。
【0038】硬質粒子を非接着性とする方法として、離
型剤のほかに、図1で示した硬質粒子1をテフロン、シ
リコーン、あるいは、ポリエチレン等エポキシ樹脂と接
着性を備えていない非接着性樹脂で薄くコーティングす
る方法があるが、離型剤と全く同様の結果が得られる。
【0039】次に、請求項3,4,5に記載の発明の一
実施例を説明する。電力用のビスフェノール系固形エポ
キシ樹脂からなる加熱硬化形エポキシ注型材料(本実施
例では、CT200 チバ・ガイギー社の商品名)にミ
ルドファイバー(本実施例では、REV−7 日本板ガ
ラスの商品名)と微粒子を充てんする。微粒子は、エポ
キシ樹脂に接着する硬質粒子(本実施例では、シリカ超
微粒子 5X (株)龍森の商品名)と軟質粒子(本実
施例では、シリコーン粒子 トスパール 東芝シリコー
ン社の商品名、平均粒径2μm)を併せて充てんする。
このうち、軟質粒子は、図9で前述したように靭性向上
に最適な 15phr充てんする。例えば、ミルドファイバー
と超微粒子、両者の総量を200phr一定とした場合の充て
ん剤の混合比と粘度の関係を図7に示す。図7に示すよ
うに、粘度は40〜60%で最低となり、作業性が良好とな
る。なお、充てん総量を変えても、この粘度の低下する
領域は変わらない。
【0040】ミルドファイバー等、大きな粒子を微粒子
と併用してエポキシ樹脂に充てんすると、その状態は、
図8に模式的に示した図面のようになる。微粒子7がミ
ルドファイバー8の間に入り込み、樹脂9の中に分散し
ている。これに外力を加えて、撹拌する場合、各ミルド
ファイバー8をずらすようなせん断力が必要となる。こ
れが材料の粘度を支配する最大のパラメータである。微
粒子7がミルドファイバー8の間に入ると、いわゆる
“コロ”のように作用し、ミルドファイバー8の間の摩
擦を減らす。その結果、ミルドファイバー8の間のせん
断力が低下し、全体の粘度が下がる。
【0041】この現象は、ミルドファイバーのような大
きな粒子と微粒子を組み合わせたときに生じ、どちらが
欠けても粘度は高くなる。また、大きな粒子の隙間に入
る微粒子は、体積でほぼ等しい充てん量でこの“コロ”
の効果が最大となる。このときには、微粒子のうち、靭
性向上に効果のある10〜 20phrを軟質粒子、あるいは、
非接着性の硬質粒子とすることで、従来の欠点であった
粘度の低下を防ぐことができる。また、微粒子を用いる
ことで、静的強度の低下を抑えることができる。
【0042】前述のミルドファイバー、シリカ超微粒
子、シリコーン粒子をビスフェノール系エポキシ樹脂に
充てんし、硬化剤(HT903 チバ・ガイギー社の商
品名)で硬化させたときの機械的特性を表4に示す。こ
こで充てん量は、ミルドファイバー100phr、シリカ微粉
末85phr 、シリコーン粒子 15phrとし、硬化剤 30phr用
いた。また、同時に、シリコーン粒子分をシリカ微粉末
に置き換え、100phrとしたもの、および、充てん剤200p
hr全てを従来からよく使われている比較的粒径の大きい
絶縁用シリカ粉末に置き換えたものを用意した。ここ
で、樹脂と硬化剤の構成は全て等しいものとした。本実
施例による樹脂成形品は、破壊靭性(KIC)が最も高
く、また、曲げ強さ、曲げ弾性率の低下もほとんど認め
られなかった。
【0043】
【表4】
【0044】次に、同組成の絶縁樹脂成形品の耐クラッ
ク性を調べるために、図6に示すIEC.pub.455-2 に準拠
する軟鋼製のオリファント熱衝撃ワッシャー法による供
試品を5個注型で製作し、表5に示す条件で熱衝撃試験
を行った。
【0045】供試品を、上述した規格で決められた温度
と決められた時間冷熱試験を繰返す。この試験は、試験
が進むに従って、温度幅を徐々に増やす。低温は、ドラ
イアイスで希望する温度まで冷却したエタノールを入れ
た冷却槽で、高温は室温放置または加熱炉によって得
る。判定は低温側から取出した後、き裂の有無を目視で
観察する。その結果を表6に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】表6に示すように、ミルドファイバー、シ
リカ微粒子、シリコーン粒子を充てんした本実施例によ
る絶縁樹脂成形品は、17サイクルでもき裂は発生せず、
優れた耐熱衝撃性を備えているだけでなく、ばらつきも
少なく、特性が安定している。なお、シリコーン粒子の
代りに、ポリエチレン樹脂,ウレタン樹脂,エンジニア
リングプラスチック等、マトリックスであるエポキシ樹
脂よりも低い弾性率を有する粒子を充てんしても、ま
た、非接着性の硬質粒子を用いても、全く同一の結果が
得られる。また、ミルドファイバーの代りに、粒径の大
きな粒子(例えば、50〜 100μm程度のシリカ粉末)を
用いてもよい。
【0049】
【発明の効果】以上、請求項1に記載の発明によれば、
非接着性の硬質粒子がエポキシ樹脂に充てんすること
で、絶縁樹脂成形品の内部に混入された硬質粒子が、軟
質粒子と同様にエポキシ樹脂との界面で自由にずれ、た
とえ、き裂が発生しても、その先端の形状効果を鈍化さ
せたので、成形時の粘度の増加を抑え、成形後の靭性を
増やすことのできる絶縁樹脂成形品を得ることができ
る。
【0050】また、請求項2に記載の発明によれば、硬
質粒子に離型剤処理又は樹脂をコーティングした非接着
性の硬質粒子をエポキシ樹脂に充てんすることで、絶縁
樹脂成形品の内部に混入された硬質粒子が、軟質粒子と
同様にエポキシ樹脂との界面で自由にずれ、たとえ、き
裂が発生しても、その先端の形状効果を鈍化させたの
で、成形時の粘度の増加を抑え、成形後の靭性を増やす
ことのできる絶縁樹脂成形品を得ることができる。
【0051】さらに、請求項3に記載の発明によれば、
硬質粒子に離型剤処理又は樹脂をコーティングし、この
硬質粒子の粒径を50μm以下とした非接着性の硬質粒子
をエポキシ樹脂に充てんすることで、絶縁樹脂成形品の
内部に混入された硬質粒子が、軟質粒子と同様にエポキ
シ樹脂との界面で自由にずれ、たとえ、き裂が発生して
も、その先端の形状効果を鈍化させたので、成形時の粘
度の増加を抑え、成形後の靭性を増やすことのできる絶
縁樹脂成形品を得ることができる。
【0052】さらに、請求項4に記載の発明によれば、
粒径の大なる硬質粒子及び粒径の小なる硬質粒子と粒径
の小なる軟質粒子をエポキシ樹脂に充てんすることで、
大きな硬質粒子の間に入り込んだ粒径の小なる粒子が大
きな硬質粒子との間の滑りをよくするコロの働きをし、
充てん樹脂の粘度も低下させたので、成形時の粘度の増
加を抑え、成形後の靭性を増やすことのできる絶縁樹脂
成形品を得ることができる。
【0053】さらに、請求項5に記載の発明によれば、
粒径の大なる硬質粒子及び粒径の小なる硬質粒子と粒径
の小なる軟質粒子をエポキシ樹脂に充てんし、粒径の小
なる硬質粒子と粒径の小なる軟質粒子の総量を全充てん
量の40〜60重量%とすることで、大きな硬質粒子の間に
入り込んだ粒径の小なる粒子が大きな硬質粒子との間の
滑りをよくするコロの働きをし、充てん樹脂の粘度も低
下させたので、成形時の粘度の増加を抑え、成形後の靭
性を増やすことのできる絶縁樹脂成形品を得ることがで
きる。
【0054】さらに、請求項6に記載の発明によれば、
粒径の大なる硬質粒子及び粒径の小なる硬質粒子と粒径
の小なる軟質粒子をエポキシ樹脂に充てんし、軟質粒子
の粒径を20μm以下とし、充てん量を10〜 20phrとする
ことで、大きな硬質粒子の間に入り込んだ粒径の小なる
粒子が大きな硬質粒子との間の滑りをよくするコロの働
きをし、充てん樹脂の粘度も低下させたので、成形時の
粘度の増加を抑え、成形後の靭性を増やすことのできる
絶縁樹脂成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、請求項1,2,3に記載の発明の絶
縁樹脂成形品に使われる硬質粒子の一実施例を示す断面
図。(b)は、従来の絶縁樹脂成形品の一例としてのレ
ジンがいしを示す断面図。
【図2】請求項1,2,3に記載の発明の絶縁樹脂成形
品の作用を示すグラフ。
【図3】請求項1,2,3に記載の発明の絶縁樹脂成形
品の図2と異なる作用を示すグラフ。
【図4】請求項1,2,3に記載の発明の絶縁樹脂成形
品の図2,図3と異なる作用及び請求項4,5,6に記
載の発明の絶縁樹脂成形品の図7,図8と異なる作用を
示す説明図。
【図5】請求項1,2,3に記載の発明の絶縁樹脂成形
品の図2,図3と異なる作用及び請求項4,5,6に記
載の発明の絶縁樹脂成形品の図7,図8と異なる作用を
示す説明図。
【図6】請求項1,2,3,4,5,6に記載の発明の
作用の絶縁樹脂成形品の評価方法を示す図。
【図7】請求項1,2,3に記載の発明の絶縁樹脂成形
品の図2,図3,図4,図5と異なる作用を示すグラ
フ。
【図8】請求項4,5,6に記載の発明の絶縁樹脂成形
品の図4,図5,図7と異なる作用を示す説明図。
【図9】従来の絶縁樹脂成形品の作用を示すグラフ。
【図10】従来の絶縁樹脂成形品の図9と異なる作用を
示すグラフ。
【符号の説明】
1…硬質粒子、2…離型剤、3…引張り荷重、4…荷重
軸、5…エポキシ樹脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 恭文 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 加川 芳弘 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 槙島 聡 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂に非接着性の硬質粒子が充
    てんされた絶縁樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 硬質粒子に離型剤処理又は樹脂をコーテ
    ィングしたことを特徴とする請求項1記載の絶縁樹脂成
    形品。
  3. 【請求項3】 硬質粒子の粒径を50μm以下としたこと
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の絶縁樹脂成
    形品。
  4. 【請求項4】 粒径の大なる硬質粒子及び粒径の小なる
    硬質粒子と粒径の小なる軟質粒子がエポキシ樹脂に充て
    んされた絶縁樹脂成形品。
  5. 【請求項5】 粒径の小なる硬質粒子と粒径の小なる軟
    質粒子の総量を全充てん量の40〜60重量%としたことを
    特徴とする請求項4記載の絶縁樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 軟質粒子の粒径を20μm以下とし、充て
    ん量を10〜 20phrとしたことを特徴とする請求項4記載
    の絶縁樹脂成形品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4500387B2 (ja) * 1999-11-08 2010-07-14 日本デコール株式会社 表面化粧シート

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JP4500387B2 (ja) * 1999-11-08 2010-07-14 日本デコール株式会社 表面化粧シート

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