JPH0668503B2 - 交流機の電流検出方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電流制御形インバータで駆動される交流機の
電流検出方式に関する。

〔従来の技術〕

インバータで駆動される交流機の電流を低周波まで検出
する手段として、一般にホール素子を用いた検出器が用
いられている。

第４図はその例を示すものであり、電線10にＣ形コア11
を取り付け、そのギャップ部にホール素子12を装着し、
電線10に流れる電流ｉによって生じる磁束Φに比例した
ホール電圧ｖ_Ｈを検出するものである。第５図はその回
路を示すものであり、ホール素子12の電流端子に定電流
源13より定電流を供給し、磁束密度の大きさに比例した
ホール電圧ｖ_Ｈを得、これを演算増幅器14で増幅して出
力電圧Ｖ_Ｈを得るようにしている。この場合、ホール素
子12や演算増幅器14のオフセット，温度ドリフトの影響
が大きく、忠実に電流を検出することが困難であった。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このホール素子や演算増幅器のオフセット調整の方法と
しては、演算増幅器に調整端子がある場合は、第５図に
示すようにその個所に可変抵抗器15を設けて調整してい
た。また、調整端子がない場合には第６図に示すように
調整用の演算増幅器16を別に設け、可変抵抗器17等で調
整していた。しかしながら、いずれにおいても、オフセ
ット電圧に対する調整はできても、温度ドリフトに対す
る効果はなかった。

この温度ドリフトは直流レベル変動として現れるため、
その影響を除去する方法としては、ハイパスフィルタで
検出値の直流成分を減衰させる手段も考えられるが、低
周波域の検出特性が悪化するため、問題があった。

本発明は、電流制御形インバータで駆動される交流電動
機の電流検出における前記問題点を解決し、検出器のオ
フセット，ドリフトの影響を受けず、しかも低周波まで
位相誤差の少ない電流検出を行うことを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するため、本発明の交流機の電流検出方
式は、電流制御形インバータで駆動される交流機の電流
検出回路において、電流検出器によって検出した電流信
号を低域減衰処理し、この低周波減衰信号と、低周波補
償を施した交流電流指令信号とを用いて電流信号を演算
し、この電流信号を電流検出値として前記インバータに
与えることを特徴とする。

〔作用〕

第１図に本発明の構成を示す。図において、１は電流検
出器、２は交流電動機、３はハイパスフィルタ、４は低
周波補償器である。また、 は交流電流指令信号（ベクトル）、 は電流検出器Ａによる検出信号（ベクトル）、 にハイパスフィルタを通過させた信号（ベクトル）、 より作られる低周波補償信号、 より得られる検出信号である。

以下、これを詳細に説明する。電流検出器１で得られる
検出信号 は(1)式で表される。

ここで、 Δ：検出器オフセット，ドリフトである。

この検出信号をハイパスフィルタ３に通して得られる信
号を とすると、(1)式より(2)式に展開することができる。こ
こで、ｐは微分演算子＝(d/dt)、Ｔはハイパスフィルタ
３の時定数である。

(2)式において、ドリフトΔは直流レベルで現れるた
め、Δ／(1+pT)＝Δとすることができる。これより、
(2)式は更に(2)′式のように変形することができる。

即ち、 には検出器のオフセット，ドリフト成分を含まれず、交
流成分のみが検出される。ところが、(2)′式右辺第２
項は、真の電流値に対する の検出誤差を表し、低周波でこの誤差が大きくなる。

そこで、(2)′式の両辺に を加え、 とおくと(3)式が得られる。

一方、電流制御がされる場合、低周波では通常 とおけるから、(3)式の は０となり、したがって はほぼ全周波域で真の電流信号 に等しくなる。

(2)′式の両辺に すなわち低周波補償信号 を加える機能を与えるのが、第１図に示す低周波補償器
４である。交流電流指令信号 を低周波補償器４に通すことにより低周波補償信号 が得られる。

第２図に低周波における各ベクトルの位相，振幅関係を
示す。

〔実施例〕

第３図は本発明の実施例を示すものである。図におい
て、ＯＰ１〜ＯＰ３は演算増幅器、Ｒ_１，Ｒ_２は抵抗
器、Ｃ_１はコンデンサである。Ｒ_１Ｃ_１＝Ｔとしたとき
に、第１図に示す伝達関数のハイパスフィルタ３及び低
周波補償器４を得ることができる。

なお、第３図の実施例はアナログ演算を行うものである
が、電流検出値をディジタル量に変換してディジタル処
理することも可能である。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明においては、電流検出値
の低周波分を減衰した信号と、低周波補償した電流指令
信号とを演算することにより電流検出値を得、この信号
を検出電流値としてインバータ等に与えることとしてい
る。これにより、検出器のオフセット，ドリフトの影響
を受けずに低周波まで交流電流信号を検出することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による電流検出方式の構成を示すブロッ
ク図、第２図は第１図における各電流信号ベクトルの関
係を示すベクトル図、第３図は本発明の実施例を示す回
路図、第４図はホール素子による電流検出器の構成を示
す図、第５図は従来の検出器の例を示す回路図、第６図
は従来のオフセット補償の他の例を示す回路図である。 １：電流検出器、２：交流電動機 ３：ハイパスフィルタ、４：低周波補償器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電流制御形インバータで駆動される交流機
   の電流検出回路において、電流検出器によって検出した
   電流信号を低域減衰処理し、この低周波減衰信号と、低
   周波補償を施した交流電流指令信号とを用いて電流信号
   を演算し、この電流信号を電流検出値として前記インバ
   ータに与えることを特徴とする交流機の電流検出方式。