JPH0667060B2 - 閉鎖配電盤の放圧装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、閉鎖配電盤の盤本体内に複数の電気機器を
多段積して設置し、盤本体内に各電気機器に接続される
導体類を収納して複数段の回路を構成し、各段回路のい
かなる個所でアーク事故が発生しても、有効に盤外に排
出し、他所への事故の波及を防止するようにした閉鎖配
電盤の放圧装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、複数の遮断器等の電気機器を２段積して収納する
閉鎖配電盤の放圧装置は、第１図に示すように構成され
ている。

閉鎖配電盤の筺体状の盤本体１の内部が、各隔離板２，
３，４，５により分割され、最前側の低圧室６，前側上
部の上部機器室７，前側下部の下部機器室８，中央部の
母線室９および後部のケーブル室１０が形成されてい
る。

そして、上部機器室７の後壁に、母線室９およびケーブ
ル室１０にそれぞれ導入する２相の断路部ブッシング１
１ａ，１１ｂが貫設され、下部機器室８の後壁に、母線
室９およびケーブル室１０にそれぞれ導入する３相の断
路部ブッシング１２ａ，１２ｂが貫設され、両機器室７
および８に引出自在に収納された遮断器１３，１４が、
それぞれ断路部ブッシング１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１
２ｂに接離自在になっている。

また、母線室９には３相の母線１５が導入され、それら
の母線１５がそれぞれ母線室９内に導入された断路部ブ
ッシング１１ａ，１２ａに接続され、ケーブル室１０の
ケーブル１６，１７が、ケーブル室１０内に導入された
断路部ブッシング１１ｂ，１２ｂに、それぞれ変流器１
８，１９を介して接続されている。

そして、母線１５から断路部ブッシング１１ａ，遮断器
１３，断路部ブッシング１１ｂおよび変流器１８を介し
てケーブル１６に至る上部回路と、母線１５から断路部
ブッシング１２ａ，遮断器１４，断路部ブッシング１２
ｂおよび変流器１９を介してケーブル１７に至る下部回
路とが構成されている。

さらに、盤本体１の天板には、低圧室６，上部機器室７
およびケーブル１０にそれぞれ連通する放圧口が透設さ
れ、これらがそれぞれ回動自在の放圧板２０により開閉
自在に閉塞されており、アーク事故発生時の膨張空気に
より、各放圧板２０を開けて放圧口を開放し、膨張空気
を放圧口より排出させて内部圧力上昇を抑えるようにな
っている。

なお、図中、２１は前部扉、２２は後部カバー、２３は
零相変流器である。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の前記閉鎖配電盤の放圧装置の場合、盤本体１の天
板に面する各室６，７，１０の内部アーク事故の発生に
際しては、膨張空気を直接放圧口より盤外に排出できる
が、前記以外の室，すなわち下部機器室８および母線室
９においては、アーク事故発生時の過大な内部圧力上昇
に対する有効な放圧経路がないため、他室への事故の波
及を招く結果となる。

この発明は、前記の点に留意し、いかなる個所でアーク
事故が発生しても、他所への事故の波及を防止するよう
にした閉鎖配電盤の放圧装置を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

前記課題を解決するために、この発明の閉鎖配電盤の放
圧装置は、閉鎖配電盤の筺体状の盤本体内を水平方向の
隔離板により上下に分割して形成された上段，下段の分
割室と、 該分割室を分離板により分離してそれぞれ独立して形成
された母線室，機器室，ケーブル室と、 前記母線室に収納された母線と、 該母線に接続され，前記機器室に収納された電気機器
と、 該電気機器に接続され，前記ケーブル室に収納されたケ
ーブルと、 ２個の前記閉鎖配電盤の間に介在された放圧箱と、 前記両閉鎖配電盤の少なくとも下段の前記分割室の前記
機器室，前記ケーブル室に，前記放圧箱に連通して形成
された放圧口と、 該各放圧口を常時閉成した放圧板と、 前記放圧箱内を，前記機器室の放圧口に連通した放圧室
と，前記母線室に連通した放圧室と，前記ケーブル室の
放圧口に連通した放圧室とに区画した区画板と、 前記放圧箱の天板に前記各放圧室に連通して形成された
放圧口と、 該各放圧口を常時閉成した放圧板 とを備えたものである。

〔作用〕

前記のように構成された本発明の閉鎖配電盤の放圧装置
は、２個の閉鎖配電盤の少なくとも下段の分割室の機器
室，ケーブル室において、内部アーク事故が発生した場
合その内部アーク事故による膨張空気は、盤本体の側板
および放圧箱を介して外部に排出され、また、上段の各
室における内部アーク事故に際しては、内部膨張空気が
盤本体の天板を介して、あるいは盤本体の側板および放
圧箱を介して外部に排出され、盤本体内のいかなる室に
おいてアーク事故が発生しても、その急激な内部圧力上
昇が、他所に影響を及ぼすことなく有効に放圧され、他
所への事故波及を防止する。

その上、２個の閉鎖配電盤の間に放圧箱が設けられてい
るため、１個の放圧箱で２個の閉鎖配電盤の放圧が有効
に行われ、構造が簡単で安価であり、かつ、設置スペー
スが小さい。

〔実施例〕

１実施例について図２ないし図６を参照して説明する。
第２図は一方の閉鎖配電盤の盤本体の切断側面図、第３
図は第２図の盤本体の側面に放圧箱を設置した状態の切
断側面図、第４図は第３図の一部切欠分解斜視図、第５
図は第３図のＡ−Ａ′線の一部の切断正面図、第６図は
全体の概略正面図である。

これらの図面において、２４は一方の閉鎖配電盤の筺体
状の盤本体、２５は盤本体２４の内部を上段，下段の２
個の分割室に分割した水平方向の隔離板、２６ａ，２７
ａ，２６ｂ，２７ｂは分離板であり、盤本体１内の上
段，下段の分割室において、それぞれ前部の機器室２８
ａ，２８ｂ，中央部の母線室２９ａ，２９ｂ，後部のケ
ーブル室３０ａ，３０ｂを独立して形成している。

そして、一方の盤本体２４の右側板には第４図に示すよ
うに両母線室２９ａ，２９ｂに連通した窓部が透設され
ている。

３１ａ，３２ａは上段の分離板２６ａに貫設され，それ
ぞれ機器室２８ａと母線室２９ａおよびケーブル室３０
ａとを連絡する上部断路部ブッシングおよび下部断路部
ブッシング、３１ｂ，３２ｂは下段の分離板２６ｂに貫
設され，それぞれ機器室２８ｂと母線室２９およびケー
ブル室３０ｂとを連絡する上部断路部ブッシングおよび
下部断路部ブッシングである。

３３ａ，３３ｂは上段，下段の各機器室２８ａ，２８ｂ
にそれぞれ引出自在に設置され，それぞれ上部断路部ブ
ッシング３１ａ，３１ｂおよび下部断路部ブッシング３
２ａ，３２ｂに接離自在の遮断器、３４ａ，３４ｂは上
段，下段の各母線室２９ａ，２９ｂに収納され，前後方
向に並設された左右方向の３相の母線であり、各母線３
４ａ，３４ｂはそれぞれ各上部断路部ブッシング３１
ａ，３１ｂに各相毎に接続されている。

３５ａ，３５ｂは上段，下段の各ケーブル室３０ａ，３
０ｂ内に導入され，それぞれ変流器３６ａ，３６ｂを介
して各下部断路部ブッシング３２ａ，３２ｂに接続され
たケーブルであり、各ケーブル３５ａ，３５ｂには各ケ
ーブル室３０ａ，３０ｂの下部において零相変流器３７
ａ，３７ｂが取り付けられている。

なお、上段のケーブル室３０ａのケーブル３５ａは、下
段のケーブル室３０ｂを通って導入されるが、このケー
ブル３５ａは下段のケーブル室３０ｂにおいて隔壁３８
によりケーブル室３０ｂより隔離されている。

また、盤本体２４内の上段，下段において、母線３４
ａ，３４ｂより上部断路部ブッシング３１ａ，３１ｂ，
遮断器３３ａ，３３ｂ，下部断路部ブッシング３２ａ，
３２ｂおよび変流器３６ａ，３６ｂを介してケーブル３
５ａ，３５ｂに至る回路がそれぞれ構成されている。

３９ａ，３９ｂが上段，下段の機器室２８ａ，２８ｂの
前面開口を開閉自在に閉塞する扉、４０ａ，４０ｂは上
段，下段のケーブル室３０ａ，３０ｂの後面開口を開閉
自在に閉塞するカバー、４１，４２，４３は盤本体２４
の天板に各室２８ａ，２９ａ，３０ａに連通して透設さ
れた放圧口を開閉自在に閉塞する放圧板である。

４４，４５は盤本体２４の右側板に透設され，それぞれ
下段の機器室２８ｂおよびケーブル室３０ｂに連通した
放圧口、４６，４７は盤本体２４の右側板にビス止めさ
れ，それぞれ放圧口４４および４５を閉塞した放圧板で
ある。

以上は、一方の閉鎖配電盤についての説明であるが、他
方の閉鎖配電盤もほぼ同様に構成され、異なる点は、一
方の閉鎖配電盤では、盤本体２４の右側板に、放圧口４
４，４５，放圧板４６，４７および両母線室２９ａ，２
９ｂに連通した窓部が設けられているのに対し、他方の
閉鎖配電盤では、それらが左側板に設けられている。

４８は両側面が開口し両盤本体間に介在された放圧箱で
あり、第６図に示すように、左側面が一方の盤本体２４
の右側面に隣接し、右側面が他方の盤本体２４に隣接し
て設置されている。４９，５０は区画板であり、放圧箱
４８内を前部の第１放圧室５１，中央部の第２放圧室５
２および後部の第３放圧室５３に区画し、第１放圧室５
１が両盤本体２４内の各機器室２８ａ，２８ｂに対応し
て位置し第２放圧室５２が各母線室２９ａ，２９ｂに連
通し、第３放圧室５３が各ケーブル室３０ａ，３０ｂに
対応して位置し、両盤本体２４の各放圧板４６，４７
が、それぞれ第１，第３放圧室５１，５３に面してい
る。

５４，５５，５６は放圧箱４８の天板に各放圧室５１，
５２，５３に連通して透設された放圧口を，開閉自在に
閉塞する放圧板、５７は第２放圧室５２のほぼ上半部に
上下方向に設けられた連結母線であり、各母線室２９
ａ，２９ｂよりそれぞれの窓部を通って第２放圧室５２
内に導入された各母線３４ａ，３４ｂの端部間を連結し
ている。

そして、今、いずれかの盤本体２４の上段の機器室２８
ａまたは母線室２９ａあるいはケーブル室３０ａで、内
部アーク事故が発生した場合、急激な内部圧力の上昇に
より、第２図に２点鎖線に示すように、いずれかの放圧
板４１，４２，４３が回動して放圧口が開口し、膨張空
気が放圧口を通って盤外に排出され、室内の圧力上昇が
低い値に抑えられる。

また、いずれかの盤本体２４の下段の機器室２８ｂある
いがケーブル室３０ｂで内部アーク事故は発生した場
合、急激な内部圧力の上昇によりいずれかの放圧板４
６，４７が吹き飛ばされて放圧口４４，４５が開口し、
膨張空気が放圧口４４を通って第１放圧室５１内に，あ
るいは放圧口４５を通って第３放圧室５３内に流入し、
放圧板５４，５６が回動して第１放圧室５１あるいは第
３放圧室５３の放圧口が開口し、流入した膨張空気がそ
の放圧口を通って盤外に排出され、室内の圧力上昇が低
い値に抑えられる。

さらに、下段のいずれかの母線室２９ｂで内部アーク事
故が発生した場合には、膨張空気がその母線室２９ｂの
窓部を通って放圧箱４８の第２放圧室５２内に流入し、
第２放圧室５２の放圧板５５が回動して放圧口が開口
し、流入された膨張空気がその放圧口を通って盤外に排
出され、母線室２９ｂの圧力上昇が低い値に抑えられ
る。

したがって、盤本体２４内のいかなる室で、内部アーク
事故が発生して内部圧力が急激に上昇しても、その膨張
空気を他室に影響を及ぼすことなく、有効に外部に排出
することができるものであり、事故の波及を防止するこ
とができる。

なお、前記実施例においては、盤本体２４の上段の各室
２８ａ，２９ａ，３０ａの放圧経路を盤本体１の天板の
放圧口を介して形成し、室内の膨張空気を直接かつ有効
に盤外に排出させるようにしたが、これを下段の各室２
８ｂ，２９ｂ，３０ｂの放圧経路と同様に放圧箱４８の
各放圧室５１，５２，５３を介して形成するようにして
もよい。

〔発明の効果〕

この発明は、以上説明したように構成されているため、
つぎに記載する効果を奏する。

２個の閉鎖配電盤の少なくとも下段の分割室の機器室，
ケーブル室において、内部アーク事故が発生した場合、
その内部アーク事故による膨張空気が、盤本体の側板お
よび放圧箱を介して外部に排出され、また、上段の各室
における内部アーク事故に際しては、内部膨張空気が盤
本体の天板を介して、あるいは盤本体の側板および放圧
箱を介して外部に排出され、盤本体内のいかなる室にお
いてアーク事故が発生しても、その急激な内部圧力上昇
が、他所に影響を及ぼすことなく有効に放圧され、他所
への事故波及を防止することができる。

その上、２個の閉鎖配電盤の間に放圧箱が設けられてい
るため、１個の放圧箱で２個の閉鎖配電盤の放圧を有効
に行うことができ、構造が簡単で安価であり、かつ、設
置スペースを小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の閉鎖配電盤の放圧装置の概略切断側面
図、第２図以下の図面はこの発明の閉鎖配電盤の放圧装
置の１実施例を示し、第２図は一方の閉鎖配電盤の盤本
体の切断側面図、第３図は第２図の盤本体の側面に放圧
箱を設置した状態の切断側面図、第４図は第３図の一部
切欠分解斜視図、第５図は第３図のＡ−Ａ′線の一部の
切断正面図、第６図は全体の概略正面図である。 ２４…盤本体、２５…隔離板、２６ａ，２７ａ，２６
ｂ，２７ｂ…分離板、２８ａ，２８ｂ…機器室、２９
ａ，２９ｂ…母線室、３０ａ，３０ｂ…ケーブル室、３
３ａ，３３ｂ…遮断器、３４ａ，３４ｂ…母線、３５
ａ，３５ｂ…ケーブル、４４，４５…放圧口、４６，４
７…放圧板、４８…放圧箱、４９，５０…区画板、５
１，５２，５３…放圧室、５４，５５，５６…放圧板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】閉鎖配電盤の筺体状の盤本体内を水平方向
   の隔離板により上下に分割して形成された上段，下段の
   分割室と、 該分割室を分離板により分離してそれぞれ独立して形成
   された母線室，機器室，ケーブル室と、 前記母線室に収納された母線と、 該母線に接続され，前記機器室に収納された電気機器
   と、 該電気機器に接続され，前記ケーブル室に収納されたケ
   ーブルと、 ２個の前記閉鎖配電盤の間に介在された放圧箱と、 前記両閉鎖配電盤の少なくとも下段の前記分割室の前記
   機器室，前記ケーブル室に，前記放圧箱に連通して形成
   された放圧口と、 該各放圧口を常時閉成した放圧板と、 前記放圧箱内を，前記機器室の放圧口に連通した放圧室
   と，前記母線室に連通した放圧室と，前記ケーブル室の
   放圧口に連通した放圧室とに区画した区画板と、 前記放圧箱の天板に前記各放圧室に連通して形成された
   放圧口と、 該各放圧口を常時閉成した放圧板 とを備えた閉鎖配電盤の放圧装置。