JPH0666901U - 刃具保持具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 刃具を強固に固定することが可能なマシニン
グセンタ用の刃具保持具を提供することを目的とする。 【構成】 テーパ形状の内径穴２ａを有するアーバー２
と、その他方端がアーバー２の内径穴２ａ内にまで延び
るプルボルト１と、その外径形状がアーバー２の内径穴
２ａのテーパ形状と対応するテーパ形状を有するととも
に刃具を受入れるための内径穴を有する割コレット３と
を備えている。そしてその割コレット３の外径部がアー
バー２の内径穴２ａにはまり込むようにプルボルト１の
他方端によって割コレット３が固定されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、刃具保持具に関し、特に、マシニングセンタに用いられる刃具保 持具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、工作物を一度取付けただけで各工程に必要な工具の交換を自動的に行な いながら加工する数値制御工作機械である、マシニングセンタが知られている。 すなわち、マシニングセンタは、フライス削り、穴明け、中ぐり、ねじ立てなど の色々な作業を、一度の工作物の取付けで完全あるいはほぼ完全に自動的に加工 することができるものである。このようなマシニングセンタにおいては、スピン ドル軸（刃具回転軸）に刃具保持具を介して所定の刃具を取付ける。図３は、従 来のマシニングセンタのスピンドル軸に刃具を取付けるための刃具保持具の構造 を示した断面図である。図３を参照して、従来の刃具保持具は、その一方端がス ピンドル軸３００のテーパ形状を有する内径穴にはまり込むような外径を有する とともにその他方端が刃具２００を受入れるための内径穴１０２ｂを有するアー バー１０２と、アーバー１０２の一方端にねじ込まれることによって固定され、 マシニングセンタのドローバ３０１によって引張方向の力を受けるプルボルト１ ０１と、アーバー１０２の他方端の外径部に形成されたテーパ状のねじ部１０２ ａに対応するねじ部１０３ａを有し、アーバー１０２のねじ部１０２ａに沿って ねじ込むことによってローラ１０４を介してアーバー１０２の内径穴１０２ｂの 内径を縮径させるための締め付けナット１０３とを備えている。

【０００３】 図４は、図３に示した刃具保持具のＸ−Ｘに沿った断面図である。図４を参照 して、アーバー１０２の内径穴１０２ｂにはその内径の縮径を容易にするための 溝部１０２ｃが形成されている。

【０００４】 アーバー１０２に刃具２００を取付ける手順としては、まず、アーバー１０２ の内径穴１０２ｂに刃具２００を挿入する。そして、締め付けナット１０３をア ーバー１０２のねじ部１０２ａに沿ってねじ込んでいく。これにより、アーバー １０２の外径部がローラ１０４を介して押圧され、アーバー１０２の内径穴１０ ２ｂの内径が小さくなり、この結果刃具２００が締め付け保持される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来の刃具保持具は上記のように構成されていたので以下のような問題点があ った。

【０００６】 すなわち、従来ではアーバー１０２の外径部に設けられたねじ部１０２ａに沿 って締め付けナット１０３をねじ込んで内径穴１０２ｂの内径を小さくさせる際 に、その内径穴１０２ｂの内径が小さくなりやすいように溝部１０２ｃを設けて いた。このため、刃具２００の外径部表面とアーバー１０２の内径穴１０２ｂと は全面接触にならず、刃具２００の外径部が部分的に締め付け保持される構造に なる。また、従来の溝部１０２ｃを設けて内径穴１０２の内径を小さくさせる構 造では内径穴１０２ｂの内径を均一に小さくすることは困難であり、このため、 刃具２００の外径部を均一に締め付けることは困難であった。この結果、刃具２ ００に対する締め付け力が十分でなく刃具２００の固定が弱くなってしまうとい う問題点があった。このように刃具２００の固定が弱くなると、切削加工時にビ ビリ現象が生じ、この結果切削速度を速くすることができないとともに切込み量 （切込み深さ）を深くすることができないという問題点があった。

【０００７】 この考案は、上記のような課題を解決するためになされたもので、請求項１に 記載の考案の目的は、刃具の固定を強固にすることが可能な刃具保持具を提供す ることである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

請求項１における刃具保持具は、スピンドルに刃具を取付けるための刃具保持 具であって、その一方端がスピンドルの内径穴にはまり込む外径を有しその他方 端がテーパ形状の内径穴を有するアーバーと、その一方端がスピンドルの内径穴 内に位置しその他方端がアーバーの内径穴にまで延びるプルボルトと、その外径 部の形状がアーバーの内径穴のテーパ形状と対応するテーパ形状を有するととも にその外径部がアーバーの内径穴にはまり込むようにプルボルトの他方端によっ て固定されかつ刃具を受入れるための内径穴を有する割コレットとを備えている 。

【０００９】

【作用】

請求項１にかかる刃具保持具では、アーバーの他方端がテーパ形状の内径穴を 有するように形成され、その内径穴のテーパ形状と対応するテーパ形状の外径部 と刃具を受入れるための内径穴とを有する割コレットがアーバーの内径穴にはま り込むようにプルボルトの他方端によって固定されているので、プルボルトを引 張ることによって割コレットのテーパ形状の外径部がアーバーのテーパ形状の内 径部に沿って移動しこれにより割コレットの内径が容易に均一に小さくなる。こ の結果、割コレットの内径穴内に挿入された刃具が均一に締め付けられて刃具の 強固な固定が可能となる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１１】 図１は、本考案の一実施例による刃具保持具を示した断面図であり、図２は図 １に示した刃具保持具に含まれる割コレットの斜視図である。

【００１２】 図１および図２を参照して、本実施例の刃具保持具は、その一方端がスピンド ル３００のテーパ形状の内径穴にはまり込むテーパ形状の外径を有し、その他方 端がテーパ形状の内径穴２ａを有するアーバー２と、その一方端がスピンドル３ ００の内径穴内に位置し、その他方端がアーバー２の内径穴２ａ内にまで延びる プルボルト１と、その外径部の形状がアーバー２の内径穴２ａのテーパ形状と対 応するテーパ形状を有するとともにその外径部がアーバー２の内径穴２ａにはま り込むようにプルボルト１の他方端によって固定された刃具２００を受入れるた めの内径穴を有する割コレット３とを備えている。

【００１３】 本実施例の刃具保持具に刃具２００を取付ける手順としては、まず割コレット ３を固定しているプルボルト１のねじを緩めてプルボルト１の頭部から割コレッ ト３の方向に力を加えて、アーバー２のテーパ形状の内径穴２ａと割コレット３ のテーパ部との結合をはずす。この状態で刃具２００を挿入する。その後、プル ボルト１をねじ込むことによって、割コレット３をアーバー２のテーパ形状の内 径穴２ａに沿ってその内径が小さくなるように移動させる。すなわち、割コレッ ト３をアーバー２の内径穴２ａの奥方向へ移動させる。これにより、割コレット ３の内径が容易に均一に小さくなり刃具２００の外径部分が均一な締め付け力で 締め付けられる。ここで、割コレット３は割輪であるため、割コレット３をアー バー２のテーパー形状の内径穴２ａに沿って移動させることにより割コレット３ の内径が容易に均一に小さくなる。この状態からさらにプルボルト１およびアー バー２の一方端をスピンドル３００の内径穴内にはめ込んだ後、プルボルト１を ドローバ３０１によって３トン程度の引張力で引張る。これにより、プルボルト １の他方端のねじ部に固定された割コレット３がさらにアーバー２のテーパ形状 の内径穴２ａに沿って移動し、割コレット３の内径がさらに均一に小さくなる。 この結果、刃具２００が強固な均一な締め付け力によって締め付け保持されるこ とになる。

【００１４】 このように、本実施例では、プルボルト１の先端のねじ部に固定された割コレ ット３をアーバー２をスピンドルのテーパ内に固定させるためのドローバ３０１ によって３トン程度の引張力で引張ることにより、割コレット３の内径をさらに 均一に小さくさせて刃具２００の締め付け保持力を強化することができる。これ により、従来のような切削加工時のビビリ現象を生じることもなく、この結果切 削速度を速くすることができるとともに切込み量（切込み深さ）を深くすること もできる。

【００１５】 なお、本実施例の割コレット３は４分割したものを示したが、本考案はこれに 限らず、色々な分割形状の割コレットを用いても同様の効果を得ることができる 。また、本実施例の刃具保持具によって保持することができる刃具としては、た とえばエンドミルやドリルなどがある。そして、そのエンドミルやドリルなどの 外径寸法に応じて割コレット３の寸法およびアーバー２の寸法ならびにプルボル ト１の寸法を決定すればよい。

【００１６】

【考案の効果】

請求項１にかかる考案によれば、アーバーの内径穴をテーパ形状に形成し、そ のアーバーの内径穴のテーパ形状と対応するテーパ形状をその外径部が有すると ともに刃具を受入れるための内径穴を有するように割コレットを形成し、その割 コレットの外径部がアーバーの内径穴にはまり込むようにプルボルトの他方端に よって割コレットを固定することによって、割コレットを固定したプルボルトを 締め付けて割コレットをアーバーの内径穴のテーパ形状に沿って移動させること によって割コレットの内径穴が容易に均一に小さくなり刃具２００が均一な力で 保持されるとともに、さらにプルボルトがマシニングセンタのドローバに引張ら れることにより割コレットがアーバーの内径穴のテーパ形状に沿ってさらに移動 しコレットの内径穴の内径がさらに均一に小さくなるので刃具を強固に固定する ことができる。これにより、従来のようなビビリ現象を生じることもなく、この 結果切削速度を速くすることができるとともに切込み量を深くすることもできる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例によるマシニングセンタ用の
刃具保持具を示した断面図である。

【図２】図１に示した刃具保持具に含まれる割コレット
を示した斜視図である。

【図３】従来のマシニングセンタ用の刃具保持具を示し
た断面図である。

【図４】図３に示した従来の刃具保持具のＸ−Ｘに沿っ
た断面図である。

【符号の説明】

１：プルボルト ２：アーバー ３：割コレット なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スピンドルに刃具を取付けるための刃具
   保持具であって、 その一方端が前記スピンドルの内径穴にはまり込む外径
   を有し、その他方端がテーパ形状の内径穴を有するアー
   バーと、 その一方端が前記スピンドルの内径穴内に位置し、その
   他方端が前記アーバーの内径穴内にまで延びるプルボル
   トと、 その外径部が前記アーバーの内径穴のテーパ形状と対応
   するテーパ形状を有するとともに前記外径部が前記アー
   バーの内径穴にはまり込むように前記プルボルトの他方
   端によって固定され、かつ前記刃具を受入れるための内
   径穴を有する割コレットとを備えた、刃具保持具。