JPH0666109A - 蒸気タービンプラントの復水器と同プラントの停止起動 方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸気タービンプラントにおいて、急速に起動
することができ、かつ、設備費と運用費の低廉な復水器
とプラントの停止起動方法を提供する。 【構成】 ホットウエル３の水位より高い位置に別置の
タンク１０を設け、タンク１０の底部とホットウエル３
底部を連通する管路１４に第１の弁１２を設け、タンク
１０と復水器本体１内を連通する管路１３に第２の弁１
１を設けた。弁１１，１２の操作によって、プラントの
停止時の復水器の真空破壊時にはホットウエル３の復水
をタンク１０へ移して大気と隔離した状態でタンク１０
内に貯蔵し、プラントの起動時にはこの貯蔵された脱気
された復水をホットウエル３へ戻すようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンバインド発電プラ
ント、ディリー・スタート・アンド・ストップ（以下Ｄ
ＳＳという）プラント等に適する蒸気タービンプラント
の復水器及び同復水器を用いた蒸気タービンプラントの
停止起動方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ガスタービンと蒸気タービンを組み合わ
せ、熱効率の向上を狙ったコンバインド発電プラントで
は、ガスタービンの排気を排ガスボイラに通気する前に
予め脱気した復水を排ガスボイラに供給しておく必要が
ある。しかしながら、コンバインド発電プラントにおい
ては、蒸気タービンの蒸気は排ガスボイラから供給され
ることから、起動時には、ガスタービンが先行起動さ
れ、従って、復水器器内には蒸気タービン排気蒸気はな
く、通常の復水器冷却管部で脱気を行うことはできな
い。

【０００３】また、プラントの運用経済性から起動時間
の短縮が要求されており，実際レベルでは、ホットウエ
ルに貯った最大８ppm 程度の溶存酸素濃度を持つ復水を
１時間程度で、ボイラの腐食防止の要求から１０ppb 程
度まで脱気して給水する必要がある。

【０００４】この要求を満足するために、図３に示すよ
うに、従来復水器本体１の外部に別置の起動用脱気器７
を設け、起動時に復水器本体１内の下部のホットウエル
３の復水を、復水ポンプ入口弁４を経て復水ポンプ５に
吸入し、同復水ポンプ５よりグランドコンデンサ６を経
て起動用脱気器７へ供給して脱気する方式が採用されて
いる。なお、図３中、８は起動用脱気器７で脱気された
復水を復水器本体１内に散水する散水管である。

【０００５】また、火力プラントでＤＳＳプラントのよ
うに、夜間停止し晝間運転するものでは、晝間の起動時
に迅速な起動を行うために、夜間復水中の溶存酸素量が
増加しないように復水器の真空を保持するようにしたも
のもある。この方式では、図４に示すように、復水器本
体１内の冷却管群２に、夜間循環水ポンプ９によって冷
却水を循環させるようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記従来のコンバイン
ド発電プラントで別置の起動用脱気器を設置する方式で
は、スペースの増加、設備費用の増加という問題があっ
た。

【０００７】また、前記従来のＤＳＳユニット等の火力
プラントでの夜間真空を保持する方式では、循環水ポン
プ等の運用費用の増加という問題があった。

【０００８】本発明は、前記の問題点を解決することが
できる蒸気タービンプラントの復水器と停止起動方法を
提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の蒸気タービンプ
ラントの復水器は、ホットウエルの水位より高い位置に
設けられた復水の貯蔵手段と、前記貯蔵手段底部とホッ
トウエル底部とを第１の弁手段を介して連通させる管路
と、前記貯蔵手段と復水器内とを第２の弁手段を介して
連通させる管路を具備している。

【００１０】本発明の蒸気タービンプラントの停止起動
方法は、前記の復水器を用い、運転時は復水の貯蔵手段
に復水を満たさず、第１の弁手段を閉、第２弁手段を開
としておく第１の行程と、プラント停止時の復水器の真
空破壊作業直前にホットウエルから復水を次装置へ導く
流路を閉じ、第２の弁手段を閉、第１の弁手段を開とす
る第２の行程と、プラント停止時の復水器の真空破壊時
にホットウエルから貯蔵手段へ復水が吸入された後に第
１の弁手段を閉じる第３の行程と、プラントの起動前に
第１の弁手段を開、第２の弁手段を開として貯蔵手段か
らホットウエルへ貯蔵された復水を戻す第４の行程より
なる。

【００１１】

【作用】前記のように構成された蒸気タービンプラント
の復水器と蒸気タービンプラントの停止起動方法では、
プラントの運転時には、復水の貯蔵手段には復水が満た
されず、復水は復水器から次装置へ供給されると共に、
開かれた第２の弁手段によって貯蔵手段内の真空が復水
器本体内の真空に釣り合わされる。

【００１２】プラント停止時の復水器の真空破壊作業直
前には、ホットウエルから次装置へ復水を導く流路が閉
じられ、前記第２の弁手段が閉じられ、前記第１の弁手
段が開かれる。この状態で復水器の真空破壊が行われる
と、復水器本体内の圧力によって貯蔵手段内に復水器本
体のホットウエル内の脱気された復水が流入する。その
上で第１の弁手段が閉じられ、復水は貯蔵手段内に復水
器本体内とは隔離され大気と接触しない状態で貯蔵さ
れ、同復水は脱気された状態を維持する。

【００１３】プラントの起動前には、第１の弁手段を
開、第２の弁手段を開として貯蔵手段内の脱気され溶存
酸素が少い状態の復水が速かに復水器のホットウエルに
戻され、この脱気され溶存酸素が少い状態の復水がボイ
ラ等へ供給される。

【００１４】

【実施例】本発明の一実施例を、図１及び図２によって
説明する。１は冷却管群２を内蔵した復水器本体であ
り、同復水器本体１内の下部のホットウエル３の水位よ
り高い位置に同復水器本体１の外側部に連接された復水
の貯蔵手段としての別置のタンク１０が設けられてい
る。タンク１０の底部は第１の弁１２をもつ管路１４に
よってホットウエル３の底部と連通されており、また、
タンク１０の頂部は第２の弁１１をもつ管路１３によっ
て復水器本体１内の上部と連通している。また、前記管
路１４よりは、復水ポンプ入口弁４と復水ポンプ５をも
ち次装置へ復水を導く流路１５が分岐している。なお、
図１及び図２中、白抜きの弁は開かれたもの、黒塗りの
弁は閉じられたものを示している。

【００１５】プラントの運転中は、図１に示すように、
第１の弁１２を閉、第２の弁１１を開、復水ポンプ入口
弁４を開とする。この場合には、脱気された復水はホッ
トウエル３より流路１５へ入り復水ポンプ５によってボ
イラ等の次装置へ送られる。第１の弁１２が閉じられて
いるためにタンク１０内には復水は満たされておらず、
また、第２の弁１１が開かれているために、タンク１０
内は復水器本体１内の真空（約０．０５ata ）と釣り合
わされる。

【００１６】プラントが停止され復水器の真空破壊を行
う前に、復水ポンプ５を停止し復水ポンプ入口弁４を閉
じて復水を次装置へ導く流路１５を閉じる。続いて、第
２の弁１１が閉じられ第１の弁１２が開かれる。

【００１７】この状態で復水器の真空破壊が行われる
と、復水器本体１内は大気圧となり、約９．５ｍの水頭
差が復水器本体１内とタンク１０内に発生し、この水頭
差によって、図２に矢印で示すように、ホットウエル３
の脱気され溶存酸素が少い復水はタンク１０内へ流入す
る。その上で、第２の弁１１を閉じた状態に保持したま
ま第１の弁１２を閉じると、復水はタンク１０内に大気
と隔離された状態で貯蔵され、復水は脱気され溶存酸素
が少い状態を維持する。

【００１８】プラントの起動時には、第１の弁１２及び
第２の弁１１を開とすると、タンク１０内の前記の脱気
された状態の復水はホットウエル３へ急速に戻され、こ
れをボイラ等の次装置へ送ることができるようになる。

【００１９】以上のように、本実施例では、プラントの
停止時にホットウエルの脱気され溶存酸素が少い復水を
タンク１０内に大気と隔離された状態で貯蔵し、脱気し
た状態に維持することができる。また、プラントの起動
時には、この脱気され溶存酸素の少い復水を、タンク１
０からホットウエル３へ急速に戻すことができ、急速の
プラントの起動を行うことができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、プラン
トの停止時、ホットウエルに貯った復水（脱気水）を貯
蔵手段へ移して大気から隔離された状態で貯蔵するの
で、プラント起動時の初期溶存酸素濃度を低減し、ひい
ては、プラント起動時間を短縮することができる。

【００２１】また、本発明では別置の起動用脱気器を必
要とせずその設備費を低廉にすることができ、かつ、プ
ラントの停止時に、循環水ポンプの運用を必要とせず運
用費用を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のプラント運転時の状態を示
す系統図である。

【図２】同実施例のプラント停止時別置のタンク内へ復
水が吸入される状態を示す系統図である。

【図３】従来の別置の起動用脱気器をもつ復水器の系統
図である。

【図４】従来の夜間冷却水を循環させる復水器の系統図
である。

【符号の説明】

１ 復水器本体 ２ 冷却管群 ３ ホットウエル ４ 復水ポンプ入口弁 ５ 復水ポンプ １０ タンク １１ 第２の弁 １２ 第１の弁 １３，１４ 管路 １５ 流路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホットウエルの水位より高い位置に設け
   られた復水の貯蔵手段と、前記貯蔵手段底部とホットウ
   エル底部とを第１の弁手段を介して連通させる管路と、
   前記貯蔵手段と復水器本体内とを第２の弁手段を介して
   連通させる管路とを具備することを特徴とする蒸気ター
   ビンプラントの復水器。
2. 【請求項２】 請求項１の復水器を用い、運転時は復水
   の貯蔵手段に復水を満たさず、第１の弁手段を閉、第２
   の弁手段を開としておく第１の行程と、プラント停止時
   の復水器の真空破壊作業直前にホットウエルから復水を
   次装置へ導く流路を閉じ、第２の弁手段を閉、第１の弁
   手段を開とする第２の行程と、プラント停止時の復水器
   の真空破壊時にホットウエルから貯蔵手段へ復水が吸入
   された後に第１の弁手段を閉じる第３の行程と、プラン
   トの起動前に第１の弁手段を開、第２の弁手段を開とし
   貯蔵手段からホットウエルへ貯蔵された復水を戻す第４
   の行程よりなることを特徴とする蒸気タービンプラント
   の停止起動方法。