JPH066488B2 - 針状ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法 - Google Patents
針状ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法Info
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- JPH066488B2 JPH066488B2 JP3731585A JP3731585A JPH066488B2 JP H066488 B2 JPH066488 B2 JP H066488B2 JP 3731585 A JP3731585 A JP 3731585A JP 3731585 A JP3731585 A JP 3731585A JP H066488 B2 JPH066488 B2 JP H066488B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、強誘電材料、圧電材料、焦電材料として有用
で、特に粒子形状が針状であるペロブスカイト型チタン
酸鉛微結晶の製造方法に関するものである。
で、特に粒子形状が針状であるペロブスカイト型チタン
酸鉛微結晶の製造方法に関するものである。
誘電体磁器の分野においては、電子部品の小型化や用途
の多様化等から、原料となる誘電体酸化物微粒子の新た
なる合成法の開発が進められている。
の多様化等から、原料となる誘電体酸化物微粒子の新た
なる合成法の開発が進められている。
例えば、多層セラミックコンデンサにおいては、大容量
化とともに小型・軽量化を図るために、セラミック層の
厚みを薄くすることが必要で、原料である誘電体酸化物
の微粒子化が重要な課題となる。また、コンデンサの耐
圧の点からは、焼結段階での異常粒成長や不均一粒子の
生成は好ましくなく、均一微粒子の合成法の開発が急務
となっている。
化とともに小型・軽量化を図るために、セラミック層の
厚みを薄くすることが必要で、原料である誘電体酸化物
の微粒子化が重要な課題となる。また、コンデンサの耐
圧の点からは、焼結段階での異常粒成長や不均一粒子の
生成は好ましくなく、均一微粒子の合成法の開発が急務
となっている。
あるいは、圧電体や焦電体を利用した圧電アクチュエー
タやバイモルフ,焦電型赤外線センサ等においても、同
様な理由から均一微粒子化技術の開発が要望されるとと
もに、特に、センサへの利用を考えた場合には、配向性
セラミックを作成することができれば、高周波スパッタ
法による配向性薄膜に比べて、製造コストの点等で有利
であると考えられる。
タやバイモルフ,焦電型赤外線センサ等においても、同
様な理由から均一微粒子化技術の開発が要望されるとと
もに、特に、センサへの利用を考えた場合には、配向性
セラミックを作成することができれば、高周波スパッタ
法による配向性薄膜に比べて、製造コストの点等で有利
であると考えられる。
一方、誘電体磁器の原料となる誘電体酸化物としては、
数々の優れた特性を有するチタン酸鉛が広く用いられて
いる。そして、このチタン酸鉛(PbTiO3)は、一
般に、酸化鉛(PbO)と酸化チタン(TiO2)とを
混合し、ボールミルで粉砕混合した後、800〜100
0℃で仮焼成し、さらに均一になるまで再度粉砕して、
本焼成を行うという固相反応法により合成されている。
数々の優れた特性を有するチタン酸鉛が広く用いられて
いる。そして、このチタン酸鉛(PbTiO3)は、一
般に、酸化鉛(PbO)と酸化チタン(TiO2)とを
混合し、ボールミルで粉砕混合した後、800〜100
0℃で仮焼成し、さらに均一になるまで再度粉砕して、
本焼成を行うという固相反応法により合成されている。
ところで、このような固相反応法によりチタン酸鉛微粒
子を合成する際には、ボールミルを使用するので不純物
が混入し易く、またPbOの蒸発が大きな問題となる。
すなわち、上記仮焼成時の温度が高い程、PbOの蒸発
量が指数関数的に多くなり、得られるチタン酸鉛微粒子
の組成が変わってしまう虞れがある。したがって、これ
を回避するために、PbO雰囲気中で焼成を行う等、熱
処理時に相当な工夫をする必要がある。あるいは、Pb
Oの蒸発を抑えるために、仮焼成の温度を下げ、しかる
後に本焼成を行うことも考えられるが、この場合には、
上記仮焼成終了時に未反応のPbOが相当量残留してお
り、この未反応のPbOが上記本焼成の段階で気化して
しまう虞れもあり、ここでも雰囲気コントロールの必要
がある。このようなことから、上述のような熱処理を利
用した固相反応法によって得られるチタン酸鉛微粒子で
は、Pb1-STiO3というように、ペロブスカイト型構
造におけるAサイト欠陥が生じ易く、この非化学量論性
が圧電特性や焦電特性等に悪影響を及ぼす虞れが高い。
また、仮に化学量論性の高いものが高温熱処理によって
得られると仮定しても、前述のような原料調製手順によ
る限り、焼結性は悪くなり、得られるペロブスカイト型
チタン酸鉛微結晶の粒径は不均一で、粒子の形状にも統
一性は認められない。
子を合成する際には、ボールミルを使用するので不純物
が混入し易く、またPbOの蒸発が大きな問題となる。
すなわち、上記仮焼成時の温度が高い程、PbOの蒸発
量が指数関数的に多くなり、得られるチタン酸鉛微粒子
の組成が変わってしまう虞れがある。したがって、これ
を回避するために、PbO雰囲気中で焼成を行う等、熱
処理時に相当な工夫をする必要がある。あるいは、Pb
Oの蒸発を抑えるために、仮焼成の温度を下げ、しかる
後に本焼成を行うことも考えられるが、この場合には、
上記仮焼成終了時に未反応のPbOが相当量残留してお
り、この未反応のPbOが上記本焼成の段階で気化して
しまう虞れもあり、ここでも雰囲気コントロールの必要
がある。このようなことから、上述のような熱処理を利
用した固相反応法によって得られるチタン酸鉛微粒子で
は、Pb1-STiO3というように、ペロブスカイト型構
造におけるAサイト欠陥が生じ易く、この非化学量論性
が圧電特性や焦電特性等に悪影響を及ぼす虞れが高い。
また、仮に化学量論性の高いものが高温熱処理によって
得られると仮定しても、前述のような原料調製手順によ
る限り、焼結性は悪くなり、得られるペロブスカイト型
チタン酸鉛微結晶の粒径は不均一で、粒子の形状にも統
一性は認められない。
したがって、以上のような理由から、固相反応法による
チタン酸鉛の純粋な形での誘電体磁器への応用例はほと
んどなく、圧電特性と焼結性の相反する特性のうちいず
れか一方を重視して実用に供しているのが実情である。
チタン酸鉛の純粋な形での誘電体磁器への応用例はほと
んどなく、圧電特性と焼結性の相反する特性のうちいず
れか一方を重視して実用に供しているのが実情である。
一方、一般式M(OR)nで表される有機金属化合物を
合成し、これから一般式MIMII(OR)mで表される
複合アルコキシドの合成した後、加水分解するという、
いわゆる金属アルコキシド法も提案されているが、製造
コストや生産性等の点で非常に問題が多い。また、得ら
れる沈澱は高純度のものであるが、非晶質であり、やは
り400℃程度の熱処理を施す必要があるため、PbO
の蒸発の虞れもある。さらに、得られるチタン酸鉛微結
晶の粒子の均一性は良好であるが、粒子形状は球形に近
いものである。
合成し、これから一般式MIMII(OR)mで表される
複合アルコキシドの合成した後、加水分解するという、
いわゆる金属アルコキシド法も提案されているが、製造
コストや生産性等の点で非常に問題が多い。また、得ら
れる沈澱は高純度のものであるが、非晶質であり、やは
り400℃程度の熱処理を施す必要があるため、PbO
の蒸発の虞れもある。さらに、得られるチタン酸鉛微結
晶の粒子の均一性は良好であるが、粒子形状は球形に近
いものである。
このように、従来の合成法では、均一性や純度の高いチ
タン酸鉛微結晶を得ることは困難であり、特に用途に応
じてチタン酸鉛微結晶の形状を制御することは、全く不
可能であった。
タン酸鉛微結晶を得ることは困難であり、特に用途に応
じてチタン酸鉛微結晶の形状を制御することは、全く不
可能であった。
そこで本発明は、前述の如き当該技術分野の実情に鑑み
て提案されたものであって、複合材料的見地から用途の
多様化に対応することが可能で、かつ組成の均一性が高
く、高純度なチタン酸鉛微結晶を製造することが可能な
ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法を提供す
ることを目的とする。
て提案されたものであって、複合材料的見地から用途の
多様化に対応することが可能で、かつ組成の均一性が高
く、高純度なチタン酸鉛微結晶を製造することが可能な
ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法を提供す
ることを目的とする。
本発明者等は、高純度で、均一かつ格子歪の少ない結晶
性チタン酸鉛微粒子を湿式合成することが可能な合成方
法は開発せんものと長期に亘り鋭意研究の結果、pHお
よび合成温度を所定の値に設定して湿式合成を行うこと
により、ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶、パイロク
ロア型チタン酸鉛微結晶あるいは新規な結晶相を有する
針状チタン酸鉛微結晶を合成することが可能で、さら
に、この新規な結晶相を有する針状チタン酸鉛微結晶を
熱処理することにより、針状性を崩すことなくペロブス
カイト型のチタン酸鉛微結晶に相変化させることが可能
であることを見出し、この知見に基づいて本発明をなす
に至った。
性チタン酸鉛微粒子を湿式合成することが可能な合成方
法は開発せんものと長期に亘り鋭意研究の結果、pHお
よび合成温度を所定の値に設定して湿式合成を行うこと
により、ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶、パイロク
ロア型チタン酸鉛微結晶あるいは新規な結晶相を有する
針状チタン酸鉛微結晶を合成することが可能で、さら
に、この新規な結晶相を有する針状チタン酸鉛微結晶を
熱処理することにより、針状性を崩すことなくペロブス
カイト型のチタン酸鉛微結晶に相変化させることが可能
であることを見出し、この知見に基づいて本発明をなす
に至った。
すなわち、本発明は、CuターゲットによるX線回折で
2θ=30.71°(θ:回折角)近傍部に回折ピーク
を有し正方晶系の針状結晶であるチタン酸鉛微結晶に対
し、520℃以上で熱処理を施すことを特徴とするもの
である。
2θ=30.71°(θ:回折角)近傍部に回折ピーク
を有し正方晶系の針状結晶であるチタン酸鉛微結晶に対
し、520℃以上で熱処理を施すことを特徴とするもの
である。
本発明において原料として使用されるチタン酸鉛微結晶
は、その組成がPbTiO3でありながら、従来知られ
ていない全く新規なる結晶相(以下、PX相とする)を
有するものである。
は、その組成がPbTiO3でありながら、従来知られ
ていない全く新規なる結晶相(以下、PX相とする)を
有するものである。
上記PX相のチタン酸鉛微結晶を作成するには、例えば
四塩化チタン(TiC4)のような可溶性のチタン化
合物もしくはその加水分解生成物と、鉛化合物の加水分
解生成物もしくはその水溶性塩とを混合し、アルカリ性
の水溶液中で100℃以上の高温で反応させ、生成した
沈澱物を水あるいは温水で洗浄してK+,Na+等のアル
カリ陽イオンやCl-等の陰イオンを完全に除去し、濾
過・乾燥すればよい。
四塩化チタン(TiC4)のような可溶性のチタン化
合物もしくはその加水分解生成物と、鉛化合物の加水分
解生成物もしくはその水溶性塩とを混合し、アルカリ性
の水溶液中で100℃以上の高温で反応させ、生成した
沈澱物を水あるいは温水で洗浄してK+,Na+等のアル
カリ陽イオンやCl-等の陰イオンを完全に除去し、濾
過・乾燥すればよい。
ここで、上記反応時のpHや反応温度が重要であって、
これらpHや反応温度に応じて、上述のPX相のチタン
酸鉛微結晶や、ペロブスカイト相(以下、PE相とす
る)あるいはパイロクロア相(以下、PY相とする)の
チタン酸鉛微結晶が生成する。本発明者等は、実験を重
ね、上記反応時のpHと反応温度を変えて得られるチタ
ン酸鉛微結晶の相図の作成を試みた。結果を第1図に示
す。この第1図から、PY相は低アルカリ高温域から高
アルカリ低温域で安定であり、PE相は高アルカリ高温
域のみ安定で、さらに、PX相は特定の範囲内でのみ生
成することが判明した。なお、この第1図において、
( )内は副生成物的に若干生成するものを表し、AM
は非晶質(アモルファス)状態のチタン酸鉛を表す。
これらpHや反応温度に応じて、上述のPX相のチタン
酸鉛微結晶や、ペロブスカイト相(以下、PE相とす
る)あるいはパイロクロア相(以下、PY相とする)の
チタン酸鉛微結晶が生成する。本発明者等は、実験を重
ね、上記反応時のpHと反応温度を変えて得られるチタ
ン酸鉛微結晶の相図の作成を試みた。結果を第1図に示
す。この第1図から、PY相は低アルカリ高温域から高
アルカリ低温域で安定であり、PE相は高アルカリ高温
域のみ安定で、さらに、PX相は特定の範囲内でのみ生
成することが判明した。なお、この第1図において、
( )内は副生成物的に若干生成するものを表し、AM
は非晶質(アモルファス)状態のチタン酸鉛を表す。
すなわち、PX相のチタン酸鉛微結晶を作成するには、
pH11.2〜13.0、反応温度145℃以上とする
必要があり、pH11.5〜12.5、反応温度180
℃以上とすることが好ましい。このように設定すること
により、PX相がほとんど単一相として生成する。ま
た、反応時間は、1時間以内で充分である。
pH11.2〜13.0、反応温度145℃以上とする
必要があり、pH11.5〜12.5、反応温度180
℃以上とすることが好ましい。このように設定すること
により、PX相がほとんど単一相として生成する。ま
た、反応時間は、1時間以内で充分である。
上記PX相のチタン酸鉛微結晶を合成する上で、出発原
料となるTi化合物もしくはその加水分解生成物を得る
には、TiCl4,Ti(SO4)2のような塩を水に溶
解させるか、もしくは、その水溶液を、KOH,NaO
H,NH4OH,LiOHのようなアルカリ水溶液で加
水分解させればよい。ただし、Ti(SO4)2を用いる
ときは、これらアルカリ溶液で加水分解してTiO2・
nH2O(酸化チタン水和物)を作成し、デカンテーシ
ョンや濾過を繰り返して、▲SO2- 4▼を除去すればよ
い。
料となるTi化合物もしくはその加水分解生成物を得る
には、TiCl4,Ti(SO4)2のような塩を水に溶
解させるか、もしくは、その水溶液を、KOH,NaO
H,NH4OH,LiOHのようなアルカリ水溶液で加
水分解させればよい。ただし、Ti(SO4)2を用いる
ときは、これらアルカリ溶液で加水分解してTiO2・
nH2O(酸化チタン水和物)を作成し、デカンテーシ
ョンや濾過を繰り返して、▲SO2- 4▼を除去すればよ
い。
また、鉛化合物としては、酢酸鉛Pb(CH3COO)2
・3H2,硝酸鉛Pb(NO3)2,塩化鉛PbCl2等が
使用できる。ただし、塩化鉛を使用する場合には、あら
かじめアルカリ性の熱水で処理しておくことが好まし
い。
・3H2,硝酸鉛Pb(NO3)2,塩化鉛PbCl2等が
使用できる。ただし、塩化鉛を使用する場合には、あら
かじめアルカリ性の熱水で処理しておくことが好まし
い。
これら出発原料のモル比は特に問わないが、1:1の割
合で合成することができる。また、このとき、Pbが過
剰の場合には簡単に洗浄できるが、Tiが過剰の場合に
は除去操作が必要である。
合で合成することができる。また、このとき、Pbが過
剰の場合には簡単に洗浄できるが、Tiが過剰の場合に
は除去操作が必要である。
上述のように、100℃以上の高温で反応させる場合に
使用される装置としては、いわゆるオートクレーブと称
される装置が使用され、その内容器には、高アルカリ,
高温に耐え得る材料、例えばポリテトラフルオルエチレ
ン(いわゆるテフロン)等を使用することが好ましい。
使用される装置としては、いわゆるオートクレーブと称
される装置が使用され、その内容器には、高アルカリ,
高温に耐え得る材料、例えばポリテトラフルオルエチレ
ン(いわゆるテフロン)等を使用することが好ましい。
上記PX相のチタン酸鉛微結晶は、ペロブスカイト相の
チタン酸鉛結晶とも、またパイロクロア相のチタン酸鉛
結晶とも異なる回折パターンを有するものであって、そ
の回折X線スペクトルは第2図に示すようなものであ
る。なお、この第2図にスペクトルを示すチタン酸鉛微
結晶は、前述の製造方法に従い、pH12.0、反応温
度182℃、反応時間1時間の条件で合成したものであ
り、また、X線回折は、Cuターゲットを用い、Niフ
ィルターを使用して測定した。
チタン酸鉛結晶とも、またパイロクロア相のチタン酸鉛
結晶とも異なる回折パターンを有するものであって、そ
の回折X線スペクトルは第2図に示すようなものであ
る。なお、この第2図にスペクトルを示すチタン酸鉛微
結晶は、前述の製造方法に従い、pH12.0、反応温
度182℃、反応時間1時間の条件で合成したものであ
り、また、X線回折は、Cuターゲットを用い、Niフ
ィルターを使用して測定した。
本発明者等は、この回折パターンの各回折X線ピークの
回折角θの値から、回折結晶面間隔およびミラー指数を
計算により求めた。結晶を次表に示す。
回折角θの値から、回折結晶面間隔およびミラー指数を
計算により求めた。結晶を次表に示す。
すなわち、上記PX相のチタン酸鉛微結晶は、2θ=2
2.76°,2θ=28.91°,2θ=30.71
°,2θ=32.00°,2θ=43.65°,2θ=
55.40°(θ:回折角)にそれぞれ強い回折X線ピ
ークを有する。また、このチタン酸鉛微結晶は、a=1
2.34Å,c=14.5Åの正方晶であることが確認
された。
2.76°,2θ=28.91°,2θ=30.71
°,2θ=32.00°,2θ=43.65°,2θ=
55.40°(θ:回折角)にそれぞれ強い回折X線ピ
ークを有する。また、このチタン酸鉛微結晶は、a=1
2.34Å,c=14.5Åの正方晶であることが確認
された。
また、上記PX相のチタン酸鉛微結晶は、太さ0.1〜
0.2μ,長さ10μ以上の針状粒子であり、合成時の
Pb/Tiモル比は1.01程度と極めて化学量論性が
高い。
0.2μ,長さ10μ以上の針状粒子であり、合成時の
Pb/Tiモル比は1.01程度と極めて化学量論性が
高い。
本発明においては、このようなPX相のチタン酸鉛微結
晶に対して熱処理を施して、ペロブスカイト相へ相変化
させる。
晶に対して熱処理を施して、ペロブスカイト相へ相変化
させる。
上記PX相に対する熱処理温度としては、所定の熱処理
温度での保持時間が10時間以上程度の長時間熱処理の
場合には、520℃以上であればよく、550℃以上で
あることがより好ましい。また、最終到達温度での保持
時間がない場合には、熱処理温度が580℃以上であれ
ばPE相(ペロブスカイト相)への相変化が始まる。こ
こで、完全にペロブスカイト相の強誘電相を用いるとき
には、650℃以上の熱処理を施すことが好ましい。一
方、特に活性度が要求される場合には、熱処理温度を低
くする方が望ましく、580℃〜620℃の熱処理温度
が好ましい。
温度での保持時間が10時間以上程度の長時間熱処理の
場合には、520℃以上であればよく、550℃以上で
あることがより好ましい。また、最終到達温度での保持
時間がない場合には、熱処理温度が580℃以上であれ
ばPE相(ペロブスカイト相)への相変化が始まる。こ
こで、完全にペロブスカイト相の強誘電相を用いるとき
には、650℃以上の熱処理を施すことが好ましい。一
方、特に活性度が要求される場合には、熱処理温度を低
くする方が望ましく、580℃〜620℃の熱処理温度
が好ましい。
ただし、上記いずれの場合においても、熱処理温度が9
00℃を越えると、粒子形状が球形に近くなる等、針状
性が崩れる虞れがある。したがって、針状性を重要視す
るのであれば、900℃以下であることが好ましい。
00℃を越えると、粒子形状が球形に近くなる等、針状
性が崩れる虞れがある。したがって、針状性を重要視す
るのであれば、900℃以下であることが好ましい。
このように、pH11.2〜13.0、温度145℃以
上の条件で湿式合成される新規結晶相であるPX相のチ
タン酸鉛微結晶に対して520℃以上で熱処理を施すこ
とにより、針状性を有するペロブスカイト型のチタン酸
鉛微結晶が合成される。
上の条件で湿式合成される新規結晶相であるPX相のチ
タン酸鉛微結晶に対して520℃以上で熱処理を施すこ
とにより、針状性を有するペロブスカイト型のチタン酸
鉛微結晶が合成される。
以下、本発明を具体的な実験例から説明する。なお、本
発明がこの実験例に限定されるものでないことは言うま
でもない。
発明がこの実験例に限定されるものでないことは言うま
でもない。
実験例1. ビーカに氷水を用意し、これに四塩化チタン液を静かに
少しずつ滴下した。このとき、初期においては白濁した
が、数時間撹拌を続けると、完全に透明な四塩化チタン
水溶液が得られた。これを250mlのメスフラスコに
移し、標準溶液とした。この標準溶液から10mlを正
確に分取し、過剰アンモニア水で加水分解し、TiO2
・nH2Oを濾別した後、1000℃で熱処理して重量
法から濃度を決定した。ここで、四塩化チタンの濃度は
0.9681mol/であった。
少しずつ滴下した。このとき、初期においては白濁した
が、数時間撹拌を続けると、完全に透明な四塩化チタン
水溶液が得られた。これを250mlのメスフラスコに
移し、標準溶液とした。この標準溶液から10mlを正
確に分取し、過剰アンモニア水で加水分解し、TiO2
・nH2Oを濾別した後、1000℃で熱処理して重量
法から濃度を決定した。ここで、四塩化チタンの濃度は
0.9681mol/であった。
一方、酢酸鉛Pb(CH3COO)2・3H2Oの22.
32gを精秤し、100mlの水に溶解した。
32gを精秤し、100mlの水に溶解した。
次いでこの酢酸鉛溶液にPb/Ti=1.000となる
ように上記四塩化チタン標準溶液を60.79mlを徐
々に加えた。このとき、PbCl2の白色沈澱が生じる
が、これは後の反応において何等支障とならない。
ように上記四塩化チタン標準溶液を60.79mlを徐
々に加えた。このとき、PbCl2の白色沈澱が生じる
が、これは後の反応において何等支障とならない。
さらに、あらかじめKOH溶液を作成しておき、これを
加えてpHを調製し、pH=12.0とした。また、こ
のとき全溶液量は400mlとなるようにした。
加えてpHを調製し、pH=12.0とした。また、こ
のとき全溶液量は400mlとなるようにした。
これをテフロン製のオートクレーブ用容器に移し、オー
トクレーブを用い、電気炉により182℃、反応時間1
時間の条件で合成を行った。
トクレーブを用い、電気炉により182℃、反応時間1
時間の条件で合成を行った。
得られた沈澱を温水で充分洗浄し、上澄のpHが7付近
になるまでデカンテーションを繰り返し、不純物を除去
した後、これを濾別し、一昼夜乾燥してPX相のチタン
酸鉛微結晶を得た。
になるまでデカンテーションを繰り返し、不純物を除去
した後、これを濾別し、一昼夜乾燥してPX相のチタン
酸鉛微結晶を得た。
このPX相のチタン酸鉛微結晶の走査型電子顕微鏡写真
(SEM)を第3図に示す。この第3図より、得られる
PX相のチタン酸鉛微結晶は、太さ0.1〜0.2μで
長さが10μ以上の針状粒子であることがわかった。
(SEM)を第3図に示す。この第3図より、得られる
PX相のチタン酸鉛微結晶は、太さ0.1〜0.2μで
長さが10μ以上の針状粒子であることがわかった。
さらに、このPX相のチタン酸鉛微結晶の組成分析を行
ったところ、Pb/Ti=1.01と非常に化学量論性
が高く、また、K+は0.01重量%程度、Na+やCl
-は測定限界以下であった。
ったところ、Pb/Ti=1.01と非常に化学量論性
が高く、また、K+は0.01重量%程度、Na+やCl
-は測定限界以下であった。
次に、上記PX相のチタン酸鉛微結晶の原料粉体を、成
形することなしに、粉体のまま電気炉中で焼成を行っ
た。熱処理条件は、1時間当たり100℃の昇温速度
で、それぞれ所定の温度で保持時間なしで急冷した。な
お、このとき通常の固相反応で行われているようなPb
Oの雰囲気を外側に設けるようなことは、特に行わなか
った。
形することなしに、粉体のまま電気炉中で焼成を行っ
た。熱処理条件は、1時間当たり100℃の昇温速度
で、それぞれ所定の温度で保持時間なしで急冷した。な
お、このとき通常の固相反応で行われているようなPb
Oの雰囲気を外側に設けるようなことは、特に行わなか
った。
このようにして得られた粉体の各熱処理温度における相
変化の様子を第4図に示す。なお、ここでは、PX相の
チタン酸鉛微結晶の相対量を(330)の回折X線ピー
ク高さとして表し、また、PE相のチタン酸鉛微結晶の
相対量を(110)の回折X線ピーク高さとして表し
て、その熱処理温度によってPX相からPE相へ変化す
る様子をグラフ化した。
変化の様子を第4図に示す。なお、ここでは、PX相の
チタン酸鉛微結晶の相対量を(330)の回折X線ピー
ク高さとして表し、また、PE相のチタン酸鉛微結晶の
相対量を(110)の回折X線ピーク高さとして表し
て、その熱処理温度によってPX相からPE相へ変化す
る様子をグラフ化した。
この結果、570℃付近からPE相への転移が始まり、
650℃でほぼ完全にPX相からPE相へ相転移するこ
とが判明した。
650℃でほぼ完全にPX相からPE相へ相転移するこ
とが判明した。
また、得られたPE相のチタン酸鉛微結晶の走査電子顕
微鏡写真を第5図に示す。なお、このPE相のチタン酸
鉛微結晶は、ASTMカード〔6−0452〕に示され
るPbTiO3と一致することから確認した。
微鏡写真を第5図に示す。なお、このPE相のチタン酸
鉛微結晶は、ASTMカード〔6−0452〕に示され
るPbTiO3と一致することから確認した。
この第5図より、熱処理を施すことにより、粒子の長さ
が僅かに短くなった感はあるものの、第3図に示すPX
相のチタン酸鉛微結晶はほとんど形状の変わらない針状
性を有するペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶が得られ
ることがわかる。
が僅かに短くなった感はあるものの、第3図に示すPX
相のチタン酸鉛微結晶はほとんど形状の変わらない針状
性を有するペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶が得られ
ることがわかる。
実験例2. 先の実験例と同様の手法によりPX相のチタン酸鉛微結
晶を合成した。
晶を合成した。
次いで、このPX相のチタン酸鉛微結晶に対して、温度
を変えて10〜13時間の長時間熱処理を行った。
を変えて10〜13時間の長時間熱処理を行った。
得られたチタン酸鉛微結晶の各熱処理温度における相変
化の様子を第6図に示す。
化の様子を第6図に示す。
この第6図より、長時間熱処理では、520℃以上でP
E相への相転移が始まり、550℃以上でほぼ完全にP
E相へ相転移することが判明した。
E相への相転移が始まり、550℃以上でほぼ完全にP
E相へ相転移することが判明した。
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、非
常に均一で二次凝集のない針状のペロブスカイト型チタ
ン酸鉛微結晶を製造することができる。特に、得られる
チタン酸鉛微結晶は、その粒子形状が針状で、太さ0.
1μm程度,長さ10μm以上と特異な形状を有し、複
合材料,強度材料を兼ね備えた圧電材料としての用途が
期待され、配向焼結の可能性も高い。
常に均一で二次凝集のない針状のペロブスカイト型チタ
ン酸鉛微結晶を製造することができる。特に、得られる
チタン酸鉛微結晶は、その粒子形状が針状で、太さ0.
1μm程度,長さ10μm以上と特異な形状を有し、複
合材料,強度材料を兼ね備えた圧電材料としての用途が
期待され、配向焼結の可能性も高い。
また、本発明においては、原料組成がPb/Ti≒1.
0のPX相単相を用いているので、従来の固相反応法と
異なり、熱処理を施しても、得られるペロブスカイト型
チタン酸鉛微結晶の組成変動は非常に少ない。
0のPX相単相を用いているので、従来の固相反応法と
異なり、熱処理を施しても、得られるペロブスカイト型
チタン酸鉛微結晶の組成変動は非常に少ない。
さらに、本発明によれば、熱処理温度を制御することに
より、得られるチタン酸鉛微結晶の活性度を上げること
もでき、高密度焼結材料として使用可能なチタン酸鉛微
結晶を製造することができる。
より、得られるチタン酸鉛微結晶の活性度を上げること
もでき、高密度焼結材料として使用可能なチタン酸鉛微
結晶を製造することができる。
第1図は湿式合成法におけるpH−温度による相図であ
り、第2図は本発明において原料として使用されるPX
相のチタン酸鉛微結晶の回折X線スペクトルである。 第3図はpH12.0,反応温度182℃,反応時間1
時間で得られるPX相のチタン酸鉛微結晶の走査電子顕
微鏡写真、第4時はPX相のPE相への相転移状態を示
す特性図である。 第5図は得られるPE相のチタン酸鉛微結晶の走査電子
顕微鏡写真である。 第6図は長時間熱処理時のPX相のPE相への相転移状
態を示す特性図である。
り、第2図は本発明において原料として使用されるPX
相のチタン酸鉛微結晶の回折X線スペクトルである。 第3図はpH12.0,反応温度182℃,反応時間1
時間で得られるPX相のチタン酸鉛微結晶の走査電子顕
微鏡写真、第4時はPX相のPE相への相転移状態を示
す特性図である。 第5図は得られるPE相のチタン酸鉛微結晶の走査電子
顕微鏡写真である。 第6図は長時間熱処理時のPX相のPE相への相転移状
態を示す特性図である。
Claims (2)
- 【請求項1】CuターゲットによるX線回折で2θ=3
0.71°(θ:回折角)近傍部に回折ピークを有し正
方晶系の針状結晶であるチタン酸鉛微結晶に対し、52
0℃以上で熱処理を施すことを特徴とする針状ペロブス
カイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法。 - 【請求項2】可溶性チタン化合物もしくはその加水分解
生成物と鉛化合物とを水溶液中でpH11.2〜13.
0,温度145℃以上で、且つ添付第1図において正方
晶系のチタン酸鉛針状微結晶PXが主に生成する領域内
のpH及び温度条件で反応させ、Cuターゲットによる
X線回折で2θ=30.71°(θ:回折角)近傍部に
回折ピークを有し正方晶系の針状結晶であるチタン酸鉛
微結晶を合成することを特徴とする特許請求の範囲第1
項記載の針状ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3731585A JPH066488B2 (ja) | 1985-02-26 | 1985-02-26 | 針状ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3731585A JPH066488B2 (ja) | 1985-02-26 | 1985-02-26 | 針状ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61197420A JPS61197420A (ja) | 1986-09-01 |
JPH066488B2 true JPH066488B2 (ja) | 1994-01-26 |
Family
ID=12494246
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3731585A Expired - Fee Related JPH066488B2 (ja) | 1985-02-26 | 1985-02-26 | 針状ペロブスカイト型チタン酸鉛微結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH066488B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6620237B2 (en) * | 2001-11-15 | 2003-09-16 | Spectra, Inc. | Oriented piezoelectric film |
-
1985
- 1985-02-26 JP JP3731585A patent/JPH066488B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61197420A (ja) | 1986-09-01 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |