JPH0663369A - 再生セルロース製中空糸膜および人工透析器 - Google Patents

再生セルロース製中空糸膜および人工透析器

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JPH0663369A
JPH0663369A JP14543291A JP14543291A JPH0663369A JP H0663369 A JPH0663369 A JP H0663369A JP 14543291 A JP14543291 A JP 14543291A JP 14543291 A JP14543291 A JP 14543291A JP H0663369 A JPH0663369 A JP H0663369A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有用タンパク質のアルブミンの漏出を実使用
上問題とならない程度に押え、かつそれ以下の特に分子
量20,000〜50,000程度の物質が、濾過およ
び拡散の原理で除去可能であり、長期透析患者に有効な
セルロース製中空糸膜およびそれを用いた人工透析器を
提供する。 【構成】 再生セルロース製中空糸膜であって、血液濾
過におけるアルブミンのふるい係数が、0.03〜0.
10、プレアルブミンのふるい係数が、0.10〜0.
20、α1−アシドグルコプロテインのふるい係数が、
0.22〜0.32、ミオグロビンのふるい係数が、
0.50〜0.75、β2−ミクログロブリンのふるい
係数が、0.55〜0.90である再生セルロース製中
空糸膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液浄化法施行時に、
有用なタンパク質であるアルブミンの漏出を抑制し、か
つ分子量20,000以上の血中不用物質を効率よく除
去する再生セルロース製中空糸膜およびそれを用いた人
工透析器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、慢性腎不全等の疾患を有する患者
に対して、各種の血液浄化療法が施行されている。これ
らの血液浄化療法を維持療法として受けている患者に、
各種の合併症が発現している。特に、慢性透析患者にお
いては、3大合併症として、(1)腎性貧血、(2)手
根管症候群をはじめとする透析アミロイドーシス、
(3)骨・関節障害による重度および中軽度な骨・関節
痛が指摘されている。このうち腎性貧血については、ヒ
ト−エリスロポエチンの合成の成功により、かなり改善
されてきている。また、透析アミロイドーシスについて
は、その発症原因がβ2−ミクログロブリン(β2−M
G)をはじめとするアミロイドタンパクの体内蓄積が関
与していることが、最近知られるようになってきた。こ
のため、β2−MGを効率よく除去できる浄化膜が要求
されるようになり、主に合成高分子材料をもちいた大孔
径中空糸膜やβ2−MGを吸着によって除去する中空糸
膜が開発されている。
【0003】しかし、物質の除去を吸着現象を利用して
おこなうものでは、当然のことながら飽和吸着量以上の
ものは除去することができず、除去に限界がある。ま
た、合成高分子材料の大孔径膜は、膜強度上の問題があ
るため、低分子量物質の除去を十分行えるだけの孔数を
有するものとすることができず、かつ、膜厚も薄くでき
ないため、人工透析器が、大型化するという問題点を有
している。さらに、合成高分子材料の多くは、血中の有
用物質さらに投与薬剤を吸着するという問題点を有して
いる。具体的には、ポリメチルメタクリレートやポリア
クリルロニトリル等を材料とする膜は、増血ホルモンの
ヒト−エリスロポエチンや抗凝固剤のフサン、血糖上昇
剤のグルカゴン等を吸着することが知られている。ま
た、最近では、透析アミロイドーシスの改善が単純なβ
2−MGの除去量の増加による血中のβ2−MGの濃度を
低下させても改善しないという報告もなされるようにな
ってきた。
【0004】また、骨・関節痛に関しては、その原因が
多様でかつ複雑であることからいまだに有効な治療方法
が確立していないが、最近では、ひとつの仮説として分
子量20,000〜50,000程度の体内蓄積物質が
骨痛因子のひとつとして考えられ始めている。しかし、
従来より使用されている血液浄化膜特に血液透析用の中
空糸膜は、上記のような分子量20,000〜50,0
00程度の体内蓄積物質をアルブミンの漏出を抑制した
形で除去をできるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来より知られている
高性能と称する中空糸膜は、β2−MG(分子量11.
800)の除去特性を指標にして作られた膜がほとんど
であるため、血液濾過におけるβ2−MGのふるい係数
(S.C.)は、0.7〜0.8と高い数値を示す膜も
あるが、有用タンパク質(血漿アルブミン以上の分子量
のタンパク)の漏出を恐れるあまり、分子量20,00
0〜50,000程度の血中物質の除去には注意を殆ど
払っていないのが実情であった。また、高性能の中空糸
膜は、血液浄化療法時の血中の水分除去性能が、純水濾
過率と比較して大きく低下することが知られている。さ
らに、血液浄化療法開始時の血中の水分除去性能および
溶質のふるい係数(S.C.)が経時的に大きく低下す
ることが認められ、安定でかつばらつきの小さい血液浄
化を行うことができなかった。
【0006】そこで、本発明の目的は、有用タンパク質
のアルブミンの漏出を実使用上問題とならない程度に押
え、かつそれ以下の特に分子量20,000〜50,0
00程度の物質が、濾過および拡散の原理で除去可能で
あり、長期透析患者に有効なセルロース製中空糸膜およ
びそれを用いた人工透析器を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、再生セルロース製中空糸膜であって、血液濾過にお
けるアルブミンのふるい係数が、0.03〜0.10、
プレアルブミンのふるい係数が、0.10〜0.20、
α1−アシドグルコプロテインのふるい係数が、0.2
2〜0.32、ミオグロビンのふるい係数が、0.50
〜0.75、β2−ミクログロブリンのふるい係数が、
0.55〜0.90である再生セルロース製中空糸膜で
ある。
【0008】そして、血液の限外濾過率が、純水濾過率
の60%以上であることが好ましい。さらに、血液浄化
処理開始から30分後の血液の限外濾過率(LBS)に対
し、血液浄化処理開始から4時間後の血液の限外濾過率
(LBL)が、LBL/LBS=0.8以上であることが好ま
しい。また、上記目的を達成するものは、上記の再生セ
ルロース製中空糸膜を用いた人工透析器である。
【0009】
【実施例】そこで、本発明の再生セルロース中空糸膜
を、実施例を用いて説明する。本発明の再生セルロース
中空糸膜は、再生セルロース製中空糸膜であって、血液
濾過におけるアルブミンのふるい係数が、0.03〜
0.10、プレアルブミンのふるい係数が、0.10〜
0.20、α1−アシドグルコプロテインのふるい係数
が、0.22〜0.32、ミオグロビンのふるい係数
が、0.50〜0.75、β2−ミクログロブリンのふ
るい係数が、0.55〜0.90である。
【0010】そして、血液濾過におけるふるい係数
(S.C.)は、下記に示した条件で、かつ式1で表し
たものである。 S.C.=CF/[(CBi+CBo)/2]:式1 CF=濾液側溶質濃度 CBi=血液入口側溶質濃度 CBo=血液出口側溶質濃度 CBi,CBoの測定は、血液浄化開始から約30分後に、
血液浄化器の血液入口側、出口側よりサンプリングした
血液より測定し、CFは、濾液をサンプリングして測定
した。また、血液浄化の条件は、血液側流量:200±
4ml/min、血液濾過流量:10±2ml/min
・m2、血液側温度:33〜38℃にて行った。
【0011】本発明による中空糸膜は、各種の有用タン
パク質や投与薬剤等の有用血中成分をほとんど吸着しな
いことが知られている再生セルロースを材料としてお
り、また、再生セルロース膜であるので、通常の血液透
析で除去しなければならない尿素(分子量60)、クレ
アチニン(分子量113)等の低分子量の尿毒症蓄積物
質を拡散によって高い効率で除去でき、さらに、分子量
20,000〜50,000程度の溶質であるプレアル
ブミン、α1−アシドグルコプロテイン、ミオグロビン
およびβ2−ミクログロブリンのふるい係数が、従来の
高性能膜よりも大きいことによって、透析患者の合併症
のひとつである骨・関節痛の骨痛因子を効率よく除去す
ることができる。
【0012】本発明の目的に適した再生セルロースの湿
潤時の平均孔半径は、40〜60Åが好ましく、45〜
55Åがより好ましい。ここでいう平均孔半径は、膜の
溶質透過係数及び純水濾過係数等を実測して求め、細孔
理論(例えば、人工臓器13巻6号1984年、膜(M
EMBRANE)Vol.14 No.1 1989年
等)によって算出できる。
【0013】膜の溶質透過係数Pm及び純水濾過係数LP
は次式で表せる。 Pm=D・f(q)・SD・{AK/(τ・△x)}:式
2 Lp=(rP 2/8η)・{AK/(τ・△x)}:式3 この両式により Pm/LP=f(q)・SD・{8ηD/(rP 2)}:式
4 ここで、f(q)=(1−2.105q+2.0865q3−1.707
5+0.726q6)/(1−0.759q5):式5 SD=(1−q)2:式6 q=rs/rp:式7 η:純水の粘度、△x:膜厚み、rs:溶質半径、D:
拡散係数、rp:膜孔半径、Ak:膜面開孔率、τ:細孔
理論の曲路モデルによる曲路率
【0014】すなわち、PmとLpを測定することによ
り、膜の平均孔半径rp、膜構造因子(Ak/τ)を算出
することができる。水の透過する流路と溶質の透過する
流路が同じでないと正しい値が得られないため、通常分
子量の小さい尿素の溶質透過係数を用いる。よって、P
mは、膜の尿素拡散移動係数(37℃にて実測)を用
い、Lpは、膜の水濾過係数(37℃、200mmHg
下、膜面積約100cm2の中空糸膜モジュールを用い
て実測)した値を用いる。
【0015】そして、膜の平均孔半径は、式4を用いて
試行錯誤法によって決定する。さらに、膜の含水空孔率
(H)を、式8より算出する。 H=1−[VS・ρS・C/ρC]/[π(rO 2−ri 2)・ω・Shr]・・・・式8 VS:紡糸液吐出量、ρS:紡糸液密度、C:紡糸液中の
セルロース重量分率、ρC:セルロースの真の密度]、
O:中空糸湿潤時の外半径、ri:中空糸湿潤時の内半
径、ω:巻取速度、Shr:乾燥状態から湿潤状態に移
行したときの中空糸の長手方向の伸縮率
【0016】また、次の式9および式10より細孔理論
(曲路モデル)による曲路率(τ)、および膜面内開口
率(Ak)を算出する。 τ=√H/(Ak/τ)・・・・・・式9 Ak=(Ak/τ)/τ・・・・・・式10 しかしながら、単純に膜孔半径を当該範囲に入れても本
発明の中空糸膜とはならない。膜孔の構造を平均孔半径
の1/1.4以下の各種のタンパク質が容易に通過でき
る形状にする必要がある。細孔理論の孔半径/溶質半径
の項に適当な半径と溶質半径(例えば、β2−ミクログ
ロブリン[MN11,800、ストロークス半径15.
6Å]、アルブミン[MN66,000、ストロークス
半径35.1Å]を入れ、細孔理論でいうところの立体
障害因子項×摩擦因子項を縦軸にとり、横軸に孔半径/
溶質半径の比をとったとき、溶質半径の1.4倍の孔半
径となったときに、急激に溶質の抜けがよくなるため、
上記のようにすることが好ましい。
【0017】一般的な製法で製造した高性能な再生セル
ロース膜の平均孔半径を細孔理論により求めると50〜
120Å程度あるが、血液濾過時のアルブミンS.C.
は極めて低くなり、(例えば0.001〜0.01)本
発明の中空糸膜とは基本的に異なった特性を示す。これ
は、従来の高性能膜が、血中の各種のタンパク質を接触
層表層および膜細孔内にとりこみ、膜細孔の狭窄が起こ
るためと考えられている。血中タンパク質による膜細孔
の狭窄の発生を抑制可能な膜の構造は、いわゆる内外面
ともに緻密層のない均一構造によって達成可能である。
本発明の中空糸膜は、かかる血中タンパク質による膜細
孔の狭窄の発生を防止した膜構造となっており、その結
果として、分子量20,000〜50,000程度の溶
質の血液濾過時のS.C.が高い値を保持する。さら
に、本発明の中空糸膜としては、純水濾過率に対する血
液濾過率の比(LB/LP)が60%以上であることが好
ましい。
【0018】以上のような特徴を有する本発明の血液浄
化用再生セルロース製中空糸膜は、次のように製造する
ことができる。例えば、公知の方法で調整したセルロー
ス濃度3〜8%の銅アンモニアセルロース溶液に、揮発
性を有する有機化合物、例えば、メチルアルコール、エ
チルアルコールなどの低級アルコール類、もしくは、メ
チルエチルケトンなどのケトン類、さらには、ジメチル
エーテルなどのエーテル類を、0.5〜5重量%添加
し、十分攪拌して作成した紡糸液を、環状紡糸孔の外側
の環から吐出させるとともに、公知の非凝固性中空部形
成剤を環状紡糸孔の中央部から同時に吐出させる。ま
た、上記の有機化合物は、単独で使用してもよく、複数
のもを混合したものでもよい。
【0019】そして、吐出された銅アンモニアセルロー
ス溶液が溶液中のアンモニアの蒸散のない状態で、例え
ば特公昭61−32041の方法で吐出され、そのまま
公知の凝固性液中を通過させて凝固させる。このとき、
凝固させる速度を凝固性液の濃度、温度、および成分配
合によって調整し、目的の膜孔径にする。凝固速度のコ
ントロールは、凝固反応速度因子のいずれかを調整して
もよいし、また適当な組み合わせで行っても良い。得ら
れた中空糸を水洗処理、ついで酸洗浄(脱銅処理)を行
い、続いて水洗浄を行う。更に、1〜30%のグリセリ
ン水溶液、好ましくは5〜20%のグリセリン水溶液中
を通過、もしくはコートローラー等で中空糸に一定量の
グリセリンを含浸させる。その後、乾燥機に導入して乾
燥させる。こうしてできる中空糸膜は、銅アンモニアセ
ルロース溶液を紡糸孔から吐出後、凝固性液体中に導く
までにアンモニアの蒸散を防止していることによって膜
断面方向に均一な構造を有する膜が得られる。
【0020】次に、本発明の人工透析器を図面を用いて
説明する。本発明の中空糸膜型人工透析器1は、図1に
示すように、ハウジング2と、ハウジング2の内部に挿
入された多数の血液処理用中空糸膜からなる中空糸膜束
3と、ハウジング2の両端付近にそれぞれ設けられた血
液処理用流体の流入口11および流出口12と、中空糸膜
の両端部をハウジング2の両端部に固定する隔壁5,6
と、一方の隔壁5の端部に取り付けられた血液流入口7
を有する血液流入側血液ポート9と、他方の隔壁6の一
端部に取り付けられた血液流出口8を有する血液流出側
血液ポート10とを有している。
【0021】具体的に説明すると、中空糸膜型血液処理
器1は、筒状体のハウジング2と、このハウジング2内
全体に広がって透析用中空糸膜3が6,000〜50,
000本収納されている。そして、この透析用中空糸膜
3の両端部の開口が閉塞されない状態で隔壁5,6によ
りハウジング2の端部に液密に固着されている。隔壁
5,6により、ハウジング2内部は、透析用中空糸膜3
の外壁とハウジング2の内壁と隔壁5,6により形成さ
れる透析液室と、中空糸膜3の内部に形成される血液室
とに区画される。
【0022】筒状ハウジング2は、ポリカーボネート、
アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン、ブタ
ジエン−スチレン共重合体などにより形成されており、
筒状、好ましくは円筒状のものである。そして、筒状ハ
ウジング2には、その一方の端部付近の側壁に、透析液
流入口11が、他端部付近の側壁に、透析液流出口12が設
けられている。
【0023】透析用中空糸膜3は、酢酸セルロース、銅
アンモニアセルロースなどの再生セルロースにより形成
された中空糸膜であり、上述の特性を有するものが用い
られる。さらに、中空糸膜としては、肉厚が5〜35μ
m、好ましくは10〜20μm、外径が、50〜500
μm、好ましくは、100〜300μmであり、全長に
わたり貫通した中空部を有している。隔壁5,6は、ポ
リウレタン、シリコーンゴムなどのポッティング剤によ
り形成されている。ハウジング1の両端部には血液ポー
トが取り付けられている。図1に示される実施例では、
血液ポート9,10は、ハウジング2との取付部32を
有しており、ハウジング2に高周波、超音波などによ
り、この取付部32が融着され、固定されている。
【0024】以下、本発明の実施例を具体的に説明す
る。 (実施例1)紡糸液としてセルロース濃度7.0%の銅
アンモニアセルロース溶液に、エチルアルコールとメチ
ルエチルケトンとの混合液(混合比50:50)を4重
量%添加し十分攪拌したものを用い、中空部形成剤とし
てイソプロピルミリステートを用い、紡糸装置の二重吐
出孔より各々3.5ml/min、2.0ml/min
の吐出スピードで上向きに吐出し、直ちに1.1.1−
トリクロルエタン中に上昇させ、更に、上層の水酸化ナ
トリウム水溶液(20±0.5℃)中を上昇させた後、
変向棒により水平方向に走行させた。ついでこの水酸化
ナトリウム水溶液槽からローラによって引き上げた後、
12%水酸化ナトリウム水溶液をシャワー状に振り掛け
十分凝固させ、水洗処理し、5%硫酸により再生処理
(脱銅処理)をし、更に、水洗処理した後、18%グリ
セリン水溶液を塗布し乾燥機に導き乾燥させた。
【0025】このようにして得られた中空糸膜について
血液濾過時の各溶質のS.C.及び純水濾過係数、血液
濾過係数を測定した結果は表1に示すごとくであった。
また、同時に血液浄化療法実施中の限外濾過率について
も測定した結果は表1に示す通りであった。臨床上のデ
ータは、患者の個体差や療法実施条件等によって大幅に
異なる場合があるが、いずれにせよ実用上きわめて有用
であることが示された。また、尿素拡散透過係数および
含水空孔率についても測定し、細孔理論を用い、その平
均孔半径及び膜構造決定因子についても算出した結果は
表1に示す通りであった。
【0026】(実施例2)紡糸液としてセルロース濃度
5.8%の銅アンモニアセルロース溶液に、ジメチルエ
ーテルを3.5重量%添加し十分攪拌したものを用い、
中空部形成剤としてイソプロピルミリステートを用い、
紡糸装置の二重紡糸孔より各々4.3ml/min,
2.4ml/minの吐出スピードで上向きに吐出し、
直ちに1,1,1−トリクロルエタン中に上昇させ、更
に上層の水酸化ナトリウム水溶液(15±0.5℃)中
を上層させたのち、変向棒により水平方向に走行させ
た。以下、実施例1と同様に処理し、12%グリセリン
水溶液を塗布し、乾燥機に導き乾燥させた。このように
して得られた中空糸膜について、実施例1と同様に各種
パラメーターを求めた結果は表1に示す通りであった。
【0027】(実施例3)紡糸液としてセルロース濃度
4.2%の銅アンモニアセルロース溶液に、アセトンと
エチルアルコールとの混合液(混合比60:40)を2
重量%添加し十分攪拌したものを用い、中空部形成剤と
してイソプロピルミリステートを用い、紡糸装置の二重
吐出孔より各々5.2ml/min,2.8ml/mi
nの吐出スピードで上向きに吐出し、直ちに1,1,1
−トリクロルエタン中に上昇させ、更に上層の水酸化ナ
トリウム水溶液(13±0.5℃)中を上層させたの
ち、変向棒により水平方向に走行させた。以下、実施例
1と同様に処理し、10%グリセリン水溶液を塗布し、
乾燥機に導き乾燥させた。このようにして得られた中空
糸膜について、実施例1と同様に各種パラメーターを求
めた結果は表1に示す通りであった。
【0028】(比較例)紡糸液として、セルロース濃度
5.8%の銅アンモニアセルロース溶液を用い、紡糸孔
から吐出後、空中を約30cm自重落下させた後、実施
例1の凝固性溶液に導き、以下実施例2と同様の処理を
行った。このようにして得られた中空糸膜について実施
例1と同様に各種パラメーターを求めた結果は表1に示
す通りであった。
【0029】(実施例4)実施例2の中空糸膜、約8,
300本を用いて、有効膜面積1.2m2の人工透析器を
作成し、骨・関節痛を訴える血液透析患者5名に3カ月
間使用した結果は表2に示す通りであった。
【0030】
【表1】
【0031】なお、血液濾過係数(LBS)は、血液透析
開始後30分経過時に測定した値であり、血液のヘマト
クリット値は、28〜34%であった。また、アルブミ
ンの分子量は、66,000であり、プレアルブミンの
分子量は、54,000であり、α1−アシドグルコプ
ロテインの分子量は、44,000)であり、ミオグロ
ビンの分子量は、17,800であり、β2−ミクログ
ロブリンの分子量は、11,800である。
【0032】
【表2】
【0033】なお、主な合併症のAは、手根管症候群,
全身関節痛、Bは、肩関節痛、Cは、手根管症候群,肩
関節痛である。
【0034】
【発明の効果】本発明の再生セルロース製中空糸膜は、
血液濾過におけるアルブミンのふるい係数が、0.03
〜0.10、プレアルブミンのふるい係数が、0.10
〜0.20、α1−アシドグルコプロテインのふるい係
数が、0.22〜0.32、ミオグロビンのふるい係数
が、0.50〜0.75、β2−ミクログロブリンのふ
るい係数が、0.55〜0.90であるので、有用タン
パク質のアルブミンの漏出を実使用上問題とならない程
度に押え、かつそれ以下の特に分子量20,000〜5
0,000程度の物質が、濾過および拡散の原理で除去
可能であり、長期透析患者、特に、手根管症候群により
関節痛を有する患者に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の人工透析器の一実施例を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 人工透析器 2 ハウジング 3 中空糸膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生セルロース製中空糸膜であって、血
    液濾過におけるアルブミンのふるい係数が、0.03〜
    0.10、プレアルブミンのふるい係数が、0.10〜
    0.20、α−アシドグルコプロテインのふるい係数
    が、0.22〜0.32、ミオグロビンのふるい係数
    が、0.50〜0.75、β−ミクログロブリンのふ
    るい係数が、0.55〜0.90であることを特徴とす
    る再生セルロース製中空糸膜。
  2. 【請求項2】 血液の限外濾過率が、純水濾過率の60
    %以上である請求項1に記載の再生セルロース製中空糸
    膜。
  3. 【請求項3】 血液浄化処理開始から30分後の血液の
    限外濾過率(LBS)に対し、血液浄化処理開始から4
    時間後の血液の限外濾過率(LBL)が、LBL/L
    BS=0.8以上である請求項1または2に記載の再生
    セルロース製中空糸膜。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の再
    生セルロース製中空糸膜を用いたことを特徴とする人工
    透析器。
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