JPH0662805U

JPH0662805U - 靴の中敷

Info

Publication number: JPH0662805U
Application number: JP1199693U
Authority: JP
Inventors: 好道橋本
Original assignee: Achilles Corp
Current assignee: Achilles Corp
Priority date: 1993-02-22
Filing date: 1993-02-22
Publication date: 1994-09-06

Abstract

(57)【要約】【目的】履用時の靴の蒸れを防ぐとともに、踏付部に
快適なクッション特性を付与する靴の中敷を提供する。【構成】本考案の靴の中敷１では、踏付時および踏付
解放時に、スポンジ層３の全面に亙り幾分は圧縮や復帰
がなされるてエアーの出し入れが行われるが、主として
踏付時にはエアールームのポンプの作用によりエアーの
出し入れが行われる。すなわち、踏付時には中敷１が圧
縮変形を受け、この結果エアールーム容積が小さくな
り、エアールームに溜められていた水分を含むエアーは
通気路ｐを介して接足面側に排気される。また、踏付解
放時には、中敷の形状回復によりエアールーム容積が大
きくなり、中敷上部付近のエアーは通気路を介してエア
ールーム内に取り込まれる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、履用時の靴の蒸れを防ぐとともに、踏付部に快適なクッション特性を付与する靴の中敷に関する。

【０００２】

【技術背景】

靴の中敷には足蒸れ防止の観点から、図６に示すような中敷８が用いられることがある。同図の中敷８は、接足面側が天然または合成皮革からなる皮革層８１により、接地面側がスポンジからなるクッション材層８２により構成されており、該中敷８には多数の連通孔ｈ１′が設けられている。

【０００３】また、上記中敷８に類似する技術として、本願出願人は図７に示すような中底を提案している（実願平３−２７８１３号公報参照）。同図の中底９は接足面側が天然または合成皮革からなる皮革層９１により、接地面側が織布，不織布等からなるシート材層９２によりそれぞれ構成され、これらの皮革層９１とシート材層９２との間にはスポンジからなるクッション材層９３が設けられている。また、接足面側の皮革層９１の踏付部には比較的小径の孔ｈ′２が、接地面側のシート材層９２の周囲には比較的大径の孔ｈ′３がそれぞれ設けられている。

【０００４】これらの中敷８または中底９では、クッション材層８２または９３が本来の緩衝機能を発揮する一方、該クッション材層が踏付時に圧縮を受けて層内のエアーを排出し、踏付解放時に周囲のエアーを取り込み、靴内エアーの換気作用を行っている。しかし、これらの中敷８または中底９では、水分がクッション材層内に溜まるため不衛生となり水虫等の皮膚疾患の原因となる場合もある。

【０００５】また、クッション材８２，９３として圧縮および回復の双方に優れた材料が必要とされるが、通常圧縮性能に優れる（すなわち、踏付により容易に圧縮される）材料は回復性能に劣り（すなわち、足部を押し返す力が不足し）、逆に回復性能に優れる材料は圧縮性能に劣っている。このため、従来の中敷では、クッション材８２，８３が柔らかすぎるために圧縮はされるが復帰は充分でなかったり、あるいはクッション材８２，８３が固すぎるために圧縮自体がなされななかったりするため、充分な靴内の換気を行うことができなかった。さらには、クッション材８２，８３が劣化した場合には、換気効果が低減しエアーの出し入れが円滑に行われなくなる他、緩衝効果が低下したり、履用感も悪くなるという不都合がある。

【０００６】

【考案の目的】

本考案は、上記のような問題を解決するために提案されたものであって、履用時の靴の蒸れを防ぐとともに、踏付部に快適なクッション特性を付与する靴の中敷を提供することを目的とする。

【０００７】

【考案の概要】

本考案の靴の中敷は、スポンジ層の接足面側に通気性のある天然または合成皮革が接合されてなる中敷であって、踏付部に、下部が接地面側に開放し上部が通気路を介して接足面側に連通してなるドーム状エアールームを多数有してなることを特徴とする。

【０００８】本考案の靴の中敷では、踏付時および踏付解放時に、スポンジ層の全面に亙り幾分は圧縮や復帰がなされてエアーの出し入れが行われるが、主として踏付時にはエアールームのポンプの作用によりエアーの出し入れが行われる。すなわち、踏付時には中敷が圧縮変形を受け、この結果エアールーム容積が小さくなり、エアールームに溜められていた水分を含むエアーは通気路を介して接足面側に排気される。また、踏付解放時には、中敷の形状回復によりエアールーム容積が大きくなり、中敷上部付近のエアーは通気路を介してエアールーム内に取り込まれる。

【０００９】また、本考案の中敷の接足面側は、天然皮革または疑似皮革（合成皮革）により構成されているため、発汗により生じた水分の一部を吸収する。この、吸収された水分は、スポンジ層に浸透しエアールーム内壁から該エアールーム内に放散され、上述したように踏付時にエアールーム上部の通気路を介して接足面側に排気される。上記したエアールームの排気／吸気（すなわち、ポンプ作用）により、常に靴内のエアーと靴外の新鮮なエアーとの交換がなされ、発汗による湿気が中敷に籠もることはなく、蒸れや悪臭の発生が生ずることはなくなる。また、多数のエアールームが中敷に適度なクッション機能を付与することにより、良好な履用感を得ることができ、さらに走・歩行機能の向上が図られる。

【００１０】本考案では、エアールームの個数や各容積は、相互勘案して定められる。個数が少なく各容積が小さいと、不踏部の圧縮変形が生じないため、足裏への感触のソフトさが低減されてクッション性能が劣化し、換気効果も低下する。また、逆に個数が多く各容積が大きいと、不踏部の弾力性が低下して、形状復元が不可能となり、この場合にもクッション性能が劣化し、換気効果も低下する。

【００１１】なお、エアールームの形状は、通常半球ドーム状とされるが、必ずしもこれに限定されず、例えば円錐ドームや多角角柱ドームの形状とすることもできる。エアールームが半球ドーム状をなす場合には、エアールームの下部開口径は４〜１０ｍｍ、上部開口径は１〜３ｍｍ、個数は爪先部において３〜５個、踏付部において１５〜２０個とすることが好ましい。

【００１２】

【実施例】

図１〜図４は本考案の中敷の一実施例を示す説明図である。図１は中敷１を接足面側から見た図、図２は中敷１を接地面側から見た図、図３（Ａ）〜（Ｄ）は図２におけるＡ−Ａ、Ｂ−Ｂ、Ｃ−Ｃ、Ｄ−Ｄを切断ラインとする断面図である。これらの図に示すように本実施例の中敷１はカップ状をなしており、装着した際には不踏部をカバーできるように不踏部には折り返し片１１が形成され、踵部には折り返し用の縁部１２が形成されている。

【００１３】中敷１の接足面側は、通気性のある天然または疑似皮革（合成皮革）からなる皮革層２により構成されており、接地面側は発泡ポリウレタン等の高発泡性材からなるスポンジ層３により構成されている。なお、皮革層２の表面には、足指部を含まない領域に形成された接足形状意匠溝２１、および不踏部折り返し片に接足形状に沿って設けられたアーチ溝２２が形成されている。また、皮革層２の踏付部と爪先部には、後述するエアールームＡＲに連通する連通孔ｈが多数形成されている。また、スポンジ層３の表面（中敷１の裏面）の踏付部と爪先部はやや段高となっており、該段高となった部位３１，３２に半球ドーム状のエアールームＡＲが多数（本実施例では、大径と小径のが２種類）形成されている。これらのエアールームＡＲは、下部が接地面側に開放し、上部に通気路ｐが形成され、各通気路ｐは皮革層２の表面において前記連通孔ｈを形成している。また、踵部には衝撃吸収用部材４が埋め込まれており、不踏部折り返し片に上記アーチ溝に対応したアーチ溝３３が形成され、また踵部の折り返し部に屈曲溝３４が形成されている。

【００１４】図４（Ａ），（Ｂ）は、本実施例におけるエアールームＡＲのポンプ作用を説明するための図である。踏付時において中敷１が圧縮されると、同図（Ａ）に示すように、エアールームの容積は縮小し、内部のエアーは連通路ｐを介して足面側に排気される（同図（Ａ）矢印参照）。このとき、エアールームＡＲの周囲の発泡体は圧縮に対する弾性抗力を生成している。踏付解放時には、同図（Ｂ）に示すようにエアールームＡＲは形状回復し、該エアールームＡＲ内にエアーが取り込まれる（同図（Ｂ）矢印参照）。通常、足部の発汗量は、踏付部（爪先部を含む）が全発汗量の８０％を占めている。本考案では、エアールームＡＲは踏付部に設けられているので、湿気を多量に含んだエアーの多くは、該エアールームのポンプ作用により靴外部の湿気を含まないエアーと換気される。また、エアールームが設けられたスポンジ層３は適度な弾性を有しており、足部には好適なクッション感が与えられる。

【００１５】本考案の中敷１は、通常の射出成形靴、プレス成形靴、手縫い靴に使用されることは勿論である。また、以下に示すように、本件出願人の同日提出の特許願（「通気性底を有する靴およびその製造方法」）に係る靴に使用することもできる。図５においては、中底構成部材５の少なくとも踏付部Ｓが、通気／通水性または通気／非通水性を有する本底に遊接すなわち接着剤等を用いず、単に接触している。また、中底の上記遊接部の接地面側が通気／通水性材により形成され、中底の上記遊接部の接足面側が通気／通水性材５１または通気／非通水性材からなる中底シート５２によりそれぞれ形成されている。さらに中底構成部材５の上記遊接部以外の部分Ｓ′が本底に非通水状態で接合されている。本実施例におけ中敷は、踵にショックアブゾーバを有していかわりに、本底側にショックアブゾーバ７が設けられている。なお、図５において、本底６および中底シート５２の踵部には連通孔Ｈ１，Ｈ２が設けられ、射出成形の際には射出材料は上記連通孔を介して中底構成部材５の不踏部の接足面側にも注入される。たとえば晴天時においては、靴内部の湿ったエアーは、中敷１、中底構成部材５および本底６を介して、乾燥した外部雰囲気中に発散され、逆に外部雰囲気中の乾燥したエアーは上記と逆経路で靴内部に吸収される。また、雨天時等においては、水分は本底６には浸透するが、中底構成部材の通気／非通水性シート５２により靴内部への浸透は防止される。

【００１６】図５の靴では、通気／非通水性シート５２の上面にクッションスポンジ５３が設けられており、これがポンピング作用をなして、靴内部と外部雰囲気とのエアーの行き来（すなわち、靴底の呼吸作用）を促進する。さらに、本実施例の中敷１を使用した場合には、エアールームＡＲ内のエアーは連通孔ｈから接足面側に逃がされる一方、中底構成部材５側に送られ、中底シート５１、クッションスポンジ５３、通気／非通水性シート５２および本底６を介して外部雰囲気に発散される。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は上記のように構成したので、エアールームのポンプ作用により、常に靴内のエアーと靴外の新鮮なエアーとの交換がなされ、発汗による湿気が中敷に籠もることはない。このため、蒸れや悪臭の発生が生ずることはなくなく、衛生的に優れた中敷の提供が可能となった。また、多数のエアールームが中敷に適度なクッション機能を付与することにより、良好な履用感を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の中敷の一実施例を示す平面図である。

【図２】図１の中敷の裏面図である。

【図３】（Ａ）は図２におけるＡ−Ａ断面図、（Ｂ）は
同じくＢ−Ｂ断面図、（Ｃ）は同じくＣ−Ｃ断面図、
（Ｄ）は同じくＤ−Ｄ断面図である。

【図４】図１〜図３に示す実施例の作用説明図である。

【図５】本考案の他の実施例を示す説明図である。

【図６】連通孔が設けられた中敷を示す図である。

【図７】連通孔が設けられた中底を示す図である。

【符号の説明】

１中敷２皮革層３スポンジ層４衝撃吸収用部材ＡＲドーム状エアールームｐ通気路

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】スポンジ層の接足面側に通気性のある天
然または合成皮革が接合されてなる中敷であって、踏付
部に、下部が接地面側に開放し上部が通気路を介して接
足面側に連通してなるドーム状エアールームを多数有し
てなることを特徴とする靴の中敷。