JPH0661178B2 - 長稈収穫機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、コーン、ソルゴ等の長稈作物を収穫する長稈
収穫機に係り、詳しくはその刈取り部から送られる長稈
作物を収納する収稈部の配置構造に関する。

(ロ) 従来の技術 一般に、コーン、ソルゴ等の長稈作物は手刈り又は収穫
機等によりその根本付近を切断して刈取られるが、該刈
取られた長稈作物はそのまま或いは結束される等して圃
場に並べられる。そして、該刈取り済みの長稈作物は更
に人手を介して軽トラック等の荷台に運搬されて積載さ
れるが、該運搬及び積載作業は大変な重労働でありオペ
レータにとって大きな負担となっている。

そこで、トラクタの側方に装着されて該トラクタにより
走行しかつ長稈作物の刈取り作業をする長稈収穫機が本
出願人により提案されている。

該長稈収穫機は、この機体一側後方に、刈取った長稈作
物を立った状態のまま収納する集稈部を備えており、該
集稈部の作動により刈取り済みの長稈作物を軽トラック
の荷台等に放出するように構成されている。

(ハ) 発明が解決しようとする問題点 ところで、トラクタに作動機がオフセット装着される場
合、トラクタはその側方に位置する作業機の重量により
その重心位置が作業機のある側に移動してしまい安定性
が悪くなる。従って、上述した長稈収穫機はトラクタの
重心が該収穫機側にオフセットされるため不安定とな
り、更に刈取った長稈作物を集稈部に立った状態のまま
収納して走行する場合には走行姿勢がアンバランスにな
り、時に傾斜地、軟弱地を走行する際には不安定さが一
層顕著となる虞れがある。このため、集稈部に一杯に長
稈作物を集めることができず、作業の効率も低下してい
る。

(ニ) 問題を解決するための手段 本発明は、上述問題点を解消することを目的とするもの
であって、例えば第１図及び第２図に示すように、刈取
り部９及び集稈部１０を備え、かつトラクタ６の後方
に、該トラクタの一側方に突出するように装着されてな
る長稈収穫機１であって、 前記刈取り部９は、前記トラクタ６の一側方に位置しか
つ刈り刃２７、搬送装置１５，１６及びパッカー１８を
備え、 また前記集稈部１０は、前記刈取り部９の後方に配置さ
れ、かつ該集稈部の前記トラクタの中央側において、そ
の上部が前記トラクタの中央側に位置しかつ下部が該ト
ラクタの外方に位置するように傾斜した収稈フレーム３
２を備え、 更に前記パッカー１８からの長稈作物を前記収稈フレー
ム３２に向けて放出する姿勢制御ガイド１７を配設し、 前記刈取り部９で刈取られた長稈作物を、前記集稈部１
０に立ち姿勢の状態で前記収稈フレーム３２に沿うよう
に傾斜して収納してなる、 長稈収穫機にある。

(ホ) 作用 上述構成に基づき、刈取り部９にて切断・搬送される長
稈作物はその後方に位置する集稈部１０に立った状態の
まま順次送り込まれる。そして、集稈部１０内に収容さ
れた長稈作物はそれぞれ集稈フレーム３２の傾斜に沿っ
て傾けられ、これにより長稈作物の重量がトラクタ６側
に分散されて、長稈収穫機１の機体重心はトラクタ６側
によせられる。

(ヘ) 実施例 以下、図面に沿って、本発明による実施例について説明
する。

長稈収穫機１は、第１図ないし第４図に示すように、一
側を補助輪２にて支持されかつ他側を連結フレーム３及
び３点リンク５を介してトラクタ６に連結・支持されて
いる機体７を有しており、該機体７には刈取り部９、集
稈部１０及び操作部１１が設置されている。そして、前
記刈取り部９はトラクタ６の一側方に配置されていると
共にその前方にデバイダ１２を備え、かつ該デバイダ１
２の機体後方側には搬送ガイド１３、上搬送チェーン１
５及び下搬送チェーン１６が配設されている。更に、そ
の後方には外ガイド１７ａ、内ガイド１７ｂからなる姿
勢制御ガイド１７及び上下パッカー１８ａ，１８ｂが設
置されており、該ガイド１７は刈取り部９の後方に位置
する集稈部１０の奥側即ち集稈フレーム３２に向けて配
置されている。また、刈取り部９の平面視における中央
部やや後方にはベベルギヤケース１９が配置されてお
り、該ケース１９から機体後方に向けて突出するシャフ
ト先端には被動側プーリ２０が固定され、かつ該プーリ
２０はトラクタ６後部のＰＴＯ軸から伝動ヨーク２１を
介して回転される駆動側プーリ２２との間にベルト２３
が巻掛けられて回転を伝達されている。更に、前記ベベ
ルギヤケース１９は、機体上下方向に延びて配置された
駆動シャフト２５にチェーン２６を介して回転を伝達し
ており、該駆動シャフト２５は上方にて上搬送チェーン
１５及び上パッカー１８ａを駆動しかつ下方にて下搬送
チェーン１６及び下パッカー１８ｂを駆動している。ま
た、該下搬送チェーン１６の下方には刈刃２７が回転自
在に配置されており、該刈刃２７はベベルギヤケース１
９から下方に突出したシャフト２９からチェーン３０を
介して回転が伝達されている。

また、前記集稈部１０は前記刈取り部９の機体後方側に
配置されて該刈取り部９と機体走行方向に対して直列に
構成されると共に、底板３１，集稈フレーム３２，フロ
ントガード３３，サイドガード３５及びリアガード３６
から構成されている。更に、前記集稈フレーム３２はそ
の上方を、集稈部取付フレーム３７にその一端を回動自
在に支持された回動フレーム３８の上方部分にブラケッ
ト３９，３９を介して上下方向回動自在に取付けられて
おり、これにより集稈部１０は機体７の一側後方に向け
て水平に回動しかつ機体７の上下方向に回動し得る。ま
た、回動フレーム３８の下方に固定したブラケット４０
にはリフト用アクチュエータ４１の一端が取付けられ、
かつ集稈フレーム３２の上方には該アクチュエータ４１
のピストンロッド４２先端がブラケット４３を介して取
付けられている。更に、集稈フレーム３２の後部フレー
ム３２ａにはフロントガード３３の一端がブラケット４
４を介して枢支されており、更に該ブラケット４４に対
向して後部フレーム３２ａに固設されたブラケット４６
には、リアガード３６をボルトｐにて一端に枢支した放
出フレーム４５の他端がボルトｑを介して回動自在に支
持されている。

更に、集稈フレーム３２の下端部には底板３１の一側が
固定されており、該フレーム３２は底板３１を圃場面に
対して水平に位置した際、該底板３１との間で垂直角を
超える角度を持つように所定量傾斜して配置されてお
り、集められる長稈作物をトラクタ６側に傾斜して収納
するように構成されている。即ち、該集稈フレーム３２
は、その上部がトラクタ６の中央側に位置しかつ下部が
トラクタの外方に位置するように傾斜されている。ま
た、前記底板３１の他側にはサイドガード３５が立設さ
れており、該ガード３５は前記集稈フレーム３２、フロ
ントガード３３及びリアガード３６とで底板３１上に集
められる長稈作物を四方から囲むように構成されてい
る。更に、前記回動フレーム３８の下端部にはピストン
ロッド４７の先端を機体フレーム７ａに枢支した回動用
アクチュエータ４９の一端が回動自在に支持されてお
り、該アクチュエータ４９の作動により回動フレーム３
８が回動されて、集稈部１０が機体一側後方の圃場にお
ける刈取りが終了した既刈り側に向けて回動するように
構成されている。

一方、第５図及び第６図に詳示するように、集稈部１０
の集稈フレーム３２外方にはブラケット４８を介して放
出用アクチュエータ５０の一端が枢支され、かつ該アク
チュエータ５０のピストンロッド５１先端が前記放出フ
レーム４５にブラケット５２を介して連結されている。
更に、該フレーム４５の一端にはリアガード３６を機体
前後方向から挾むようにカギ状のストッパ５３，５５が
設置されており、これによりリアガード３６が所定量機
体前後方向に回動するように構成されている。また、フ
レーム４５の回動基部近傍にはコの字状の放出アーム５
６の一端が固設されており、該アーム５６は第５図矢印
Ａ方向に回動した際、その他端がフロントガード３３に
当接して該ガード３３を上方に押上げるように構成され
ている。また、リアガード３６の回動基部近傍にはピン
５７が固設されかつ該ピン５７には、一端を集稈フレー
ム３２に設けたピンｒに固定したスプリング５９の他端
が固定されて、リアガード３６は第５図矢印Ｂと反対方
向に付勢されている。そして、該ピンｒが前記ボルトｑ
から、放出フレーム４５の駆動区間と略々反対側に所定
量離間され、かつリアガード３６が該放出フレーム４５
に対して更に所定量矢印Ｂ方向に回動するようになって
おり、これらリアガード３６，放出フレーム４５及びス
プリング５９にてトグル機構Ｔが構成される。更に、フ
ロントガード３３の回動基部近傍にはピン６０が固設さ
れかつ該ピン６０には、一端を集稈フレーム３２に固定
したスプリング６１の他端が固定されており、これによ
りフロントガード３３が矢印Ｂの反対方向に付勢されか
つ集稈フレーム３２に当接して所定位置以上回動しない
ようにされている。

一方、第１図に示すように、前記アクチュエータ５０は
前記リフト用アクチュエータ４１及び回動用アクチュエ
ータ４９と共に、トラクタ６側に傾斜して設置された集
稈部１０の集稈フレーム３２裏面と回動フレーム３８の
垂直方向の部分とでなす三角形状の空間部ｓにそれぞれ
収容・配置されている。そして、これらアクチュエータ
４１，４９，５０が所定の空間部ｓを有効利用して設置
されているため各アクチュエータに油圧ホースをスムー
ズに配管し得る。また、これらアクチュエータ４１，４
９，５０が全てトラクタ６側に配置されているためその
重量により機体７の重心位置がトラクタ６側にオフセッ
トされ、これにより該トラクタ６による長稈収穫機１の
走行時、該トラクタ６はバランスの良い走行性を得るこ
とができる。

また、第１図ないし第４図に示すように、前記操作部１
１には回動・リフト用操作レバー６２及び放出用操作レ
バー６３がバルブケース６５に回動自在に設置されてお
り、該レバー６２はその操作により回動用アクチュエー
タ４９を作動し、ついでリフト用アクチュエータ４１を
作動するようになっており、また前記レバー６３はその
操作により放出用アクチュエータ５０を作動する。

本実施例は、以上のような構成よりなるので、長稈収穫
機１をトラクタ６に装着し該トラクタ６により走行して
長稈の刈取り作業をする場合、オペレータの操向操作に
より刈取部のデバイダ１２の中間部分に長稈の条列が位
置するように刈取部９を駆動しながら走行する。する
と、植立する長稈作物は順次搬送ガイド１３及び上下搬
送チェーン１５，１６にて挾持・搬送されてその根本付
近を刈刃２７により切断され、更に該刈取られた長稈は
上下搬送チェーン１５，１６により姿勢制御ガイド１７
に送られる。そして、該ガイド１７の外ガイド１７ａ及
び内ガイド１７ｂとでなす空間に立った状態のまま収容
された長稈は更に該ガイド１７にて案内されながら上下
パッカー１８ａ，１８ｂにより集稈部１０の集稈フレー
ム３２に向けて勢いよく押出され、これにより長稈作物
は集稈フレーム３２のトラクタ６側への傾斜に沿って立
った状態で順次並べられる。この状態において、集稈部
１０内の長稈作物の重量はトラクタ６側に分散されるた
め機体７の重心はトラクタ６側にオフセットされる。

そして、集稈部１０内に長稈が満載された時点でトラク
タ６の走行を停止して回動・リフト用操作レバー６２を
操作すると、まず回動用アクチュエータ４９が作動され
集稈部１０が回動フレーム３８と共に第３図に示す位置
まで回動される。そして、アクチュエータ４９のピスト
ンロッド４７が所定ストローク一杯に移動し終ると、つ
いでリフト用アクチュエータ４１に油が圧送されて作動
され、これにより集稈フレーム３２がその枢支部分を中
心に上方に向けて回動して圃場面と略々水平状態にされ
る。従って、集稈部１０に収納された多数の長稈作物は
上方に持上げられかつ水平にされた状態で静止される。
更に、この状態において放出用操作レバー６３を操作す
ると、放出用アクチュエータ５０が作動してピストンロ
ッド５１が第５図に示す矢印Ｃ方向に移動される。そし
て、該ロッド５１にてブラケット５２を介して放出フレ
ーム４５がリアガード３６と共に矢印Ｂ方向に回動し、
更に第５図に示すボルトｑ，ピンｒを結んだＤ線に近接
するに従い、リアガード３６が自重にてボルトｐを中心
に放出フレーム４５に対して回動し、ストッパ５３から
離れてストッパ５５に当接する。更に、ボルトｐが前記
Ｄ線上に重なる２点鎖線にて示す位置になると、スプリ
ング５９にて付勢されているピン５７が該Ｄ線に対して
反対側に位置され、これにより今度はリアガード３６に
スプリング５９による矢印Ｂと同方向の力が作用するい
わゆるトグル作用が働いてリアガード３６は放出フレー
ム４５と共に更に同方向に急激に回動される。これによ
り、放出アーム５６の先端が急激にフロントガード３３
を押上げて第６図に示す状態になるため、該ガード３３
上に載置された多数の長稈作物は、水平状態のまま外方
即ち機体後方の圃場における既刈り側に放出される（第
７図参照）。この際、リアガード３６は放出フレーム４
５の回動停止位置より更に該フレーム４５に対して回動
するため、長稈作物の放出にあたって集稈部１０を一層
開放してフロントガード３３による放出動作の効果を更
に高めることができる。また、第８図及び第９図に示す
ように、長稈放出側に軽トラック６６等の荷台を位置し
ておくと、多数の長稈作物を該トラック６６の荷台に沿
って容易に積載することができる。

(ト) 発明の効果 以上説明したように、本発明によると、集稈部１０は、
トラクタ６の中央側において、上部がトラクタ側に位置
しかつ下部がトラクタの外方に位置するように傾斜して
配置された集稈フレーム３２を有し、該フレーム３２に
向けて、パツカー１８ａ，１８ｂ及び姿勢制御ガイド１
７により長稈作物が勢いよく放出されるので、該集稈部
１０における刈取り部９後方にその根本を位置した長稈
作物をトラクタ６側に傾けて積載することができ、これ
により長稈作物はバランスよく収納されると共に長稈収
穫機１の重心をトラクタ６側によせて、トラクタ６によ
る走行性能をカバーすることができ更に長稈作物を集稈
部１０に一杯に収納でき、時に上方が下方に比して葉等
により拡がっている長稈作物を一杯に収納でき、作業効
率を向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る長稈収穫機を機体後方からみた
図、第２図はその平面図、第３図はその集稈部を所定位
置に回動した状態を示す平面図、第４図はその集稈部に
よる放出後の状態を示す平面図、第５図は集稈部の長稈
放出構造を示す図、第６図はその作動状態を示す図、第
７図は長稈作物を機体外方の圃場に放出した状態を示す
平面図、第８図は軽トラックの荷台に長稈作物を積載し
ている状態を示す平面図である。そして、第９図はその
機体後方からみた図である。 １……長稈収穫機、６……トラクタ、７……機体、９…
…刈取り部、１０……集稈部、１５，１６……搬送装
置、１７……姿勢制御ガイド、１８ａ，１８ｂ……パッ
カー、２７……刈刃、３２……集稈フレーム。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】刈取り部及び集稈部を備え、かつトラクタ
   の後方に、該トラクタの一側方に突出するように装着さ
   れてなる長稈収穫機であって、 前記刈取り部は、前記トラクタの一側方に位置しかつ刈
   り刃、搬送装置及びパッカーを備え、 また前記集稈部は、前記刈取り部の後方に配置され、か
   つ該集稈部の前記トラクタの中央側において、その上部
   が前記トラクタの中央側に位置しかつ下部が該トラクタ
   の外方に位置するように傾斜した収稈フレームを備え、 更に前記パッカーからの長稈作物を前記収稈フレームに
   向けて放出する姿勢制御ガイドを配設し、 前記刈取り部で刈取られた長稈作物を、前記集稈部に立
   ち姿勢の状態で前記収稈フレームに沿うように傾斜して
   収納してなる、 長稈収穫機。