JPH0660396B2 - 合金化蒸着亜鉛メツキ鋼帯の製造方法 - Google Patents

合金化蒸着亜鉛メツキ鋼帯の製造方法

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JPH0660396B2
JPH0660396B2 JP14621886A JP14621886A JPH0660396B2 JP H0660396 B2 JPH0660396 B2 JP H0660396B2 JP 14621886 A JP14621886 A JP 14621886A JP 14621886 A JP14621886 A JP 14621886A JP H0660396 B2 JPH0660396 B2 JP H0660396B2
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憲夫 築地
伸彦 酒井
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 <技術分野> 本発明は,合金化蒸着亜鉛メッキ層を有する鋼板の製造
方法に関する。
<従来技術とその問題点> 合金化亜鉛メッキ鋼板は,通常の亜鉛メッキ鋼板に比べ
て,スポット溶接における連続作業性がよく,また電着
塗装における塗装密着性や電着塗装後の耐食性が良好で
ある等の利点を有するので自動車工業等の分野を始めと
して広く利用されている。
合金化亜鉛メッキ鋼板を製造するには,メッキ後に鋼板
を合金化するための加熱処理を施す必要があり,従来,
連続溶融メッキにおいてはメッキライン内に合金化炉を
設置しており,また電気メッキにおいては,バッチ型の
再加熱炉を設けるなどの手段により合金化処理を行って
いる。
ところが,溶融亜鉛メッキによる方法は薄メッキには適
さず,しかも片面メッキを得ることが極めて困難であ
る。
また電気メッキによる方法は、バッチ式焼鈍炉を用いる
場合,工程が複雑で長時間を要し,かつ品質のばらつき
が大きく作業管理が面倒である,などの問題を有してい
る。
これらの問題を解決するために,真空蒸着亜鉛メッキ鋼
板を素材として使用し,真空蒸着亜鉛メッキされた鋼帯
が真空蒸着装置系外に導出された直後に連続して再加熱
し,合金化処理する方法が開発されている(特願昭60-3
6454号=特開昭61-195966 号公報))。しかしながら,
この方法においても,再加熱炉を設置する必要があり,
設備の巨大化は免れない。
<問題解決の手段> 本発明はこれらの問題点に着目してなされたもので,蒸
着亜鉛メッキ直前の鋼帯基板温度T,蒸着亜鉛の凝縮潜
熱の解放による鋼帯温度の上昇ΔTおよび加熱されて
いる鋼帯支持ロールからの熱伝達による鋼帯温度の上昇
ΔTを夫々制御することにより蒸着後の鋼帯の温度T
を一定の範囲に限定することによって,後加熱炉を設
置することなく,合金化蒸着亜鉛メッキ鋼板を連続的に
効率よく製造できることを発見した。
<発明の構成> 本発明によれば,支持ロールが設置された蒸着室内に鋼
帯を該支持ロールで案内しながら鋼帯表面に亜鉛を連続
的に蒸着メッキし,この支持ロール通過後,メッキ鋼帯
をシールロール室を経て装置外に導く蒸着亜鉛メッキ方
法において, −S4/3+403+0.7W≦T3≦420 の関係が満足するようにS,WおよびT3を調節して蒸
着亜鉛を合金化することを特徴とする合金化蒸着亜鉛メ
ッキ鋼帯の製造方法が提供される。ただし,前式におい
て, T3=T+ΔT1+ΔT2であり, S:板温保持時間(シールロール室を通過する時間)(s
ec), W:メッキ付着量(g/m2), T3:蒸着後の鋼帯温度(℃), T:蒸着直前の鋼帯温度(℃), ΔT1:蒸着亜鉛の凝縮熱による鋼帯の温度上昇分
(℃), ΔT2:支持ロールからの熱伝達による鋼帯の温度上昇
分(℃), をそれぞれ示す。
<発明の具体的開示> 次に図面を参照して本発明を詳細に説明する。尚,以下
の説明は片面メッキの合金化について具体的に記載され
るが,両面メッキ,差厚メッキの合金化においても本発
明の方法を適用しうる。
連続式真空蒸着メッキ装置の一例を第1図に示す。第1
図に例示する装置には,ガス還元前処理炉2,賦圧室3
a,シールロール室4a,真空蒸着メッキ室5,シール
ロール室4bおよび賦圧室3bが鋼帯1の搬送方向に沿
って順に配設されており,シールロール室4a,4bの
内部には搬送路を段階的に減圧または復圧する個別に真
空排気手段を備えた多数の隔室が形成されている。また
真空蒸着メッキ室5の内部には亜鉛浴槽6および鋼帯支
持ロール7が配設されている。該鋼帯支持ロール7は4
50〜650℃に加熱されている。該鋼帯支持ロール7
が上記温度以下であると,該ロール亜鉛蒸気が付着し,
該ロールの円滑な回転を損ない,また鋼帯裏面に亜鉛を
付着させる等の不都合を招く。
冷間圧延された鋼帯1は前処理炉2に連続的に導入さ
れ,焼鈍と同時にガス還元による前処理を施される。鋼
種により差はあるが,鋼帯1が焼鈍されるためには,60
0 〜900 ℃の温度範囲で20〜180 秒間の保持が必要であ
る。密着性のよい蒸着亜鉛メッキ鋼板を得るには,ガス
還元による前処理において,炉内をH3%以上(残部
),露点−15℃以下の雰囲気にすればよい。前処理
炉2の後半部分で鋼帯は冷却され,200 ℃以上の任意の
温度で前処理炉から導出される。特開昭57-152465 に開
示されるように,蒸着開始前の鋼帯の温度は蒸着被膜の
靱性,延性が良好であるためには200 ℃以上であること
が好ましいことが知られている。鋼帯はさらに賦圧室3
a,シールロール室4aを経て真空蒸着室5に導入され
る。亜鉛溶槽6には図示されない供給源から適当な手段
(電気抵抗加熱手段,電子ビーム加熱手段,等)によっ
て加熱され亜鉛蒸気が連続的に供給されており,支持ロ
ール7に巻付けられた鋼帯表面に亜鉛蒸気が付着し蒸着
メッキされる。引続き,鋼帯1はシールロール室4b,
賦圧室3bを経て真空蒸着系外に出る。
鋼帯が真空蒸着メッキされるとき,亜鉛蒸着の凝固潜熱
の解放により,その温度は上昇するが,その温度は次式
(1)により求められる。
ΔT=q・W/ρ・t・cp (1) ただし, ΔT:鋼帯の温度上昇(℃) q:メッキ金属の凝縮熱(kcal/g) W:表面メッキ付着量(g/m2) ρ:鋼帯の密度(g/m3) t:鋼帯の板厚(mm) cp:鋼帯の比熱(kcal/kg・℃) 鋼帯に亜鉛を蒸着メッキする場合には, q:0.415 kcal/g ρ:7.85g/cm3 cp:0.13kcal/kg・℃ であり、(1)式は次の(2)式に書き変えられる。
ΔT=0.41W/t (2) また鋼帯は真空蒸着室において加熱されている支持ロー
ル7に巻付けられるので,該ロール7からの熱伝達によ
り鋼帯1の温度が上昇する。この温度上昇ΔTは次式
(3)により求められる。
ただし, ΔT:鋼帯の温度上昇 T:鋼帯支持ロールの温度(℃) T :蒸着直前の鋼帯温度(℃) α :熱伝達率(kcal/m2hr) A :鋼帯と支持ロールの接触面積(cm2) G :鋼帯流量(kg/hr) c:鋼帯比熱(kcal/kg℃) この鋼帯がシールロール室4bを通過する間な真空中で
あるため,放熱は少なく,実質的には鋼帯の温度は蒸着
室での温度のまま保持される。蒸着メッキ直後より,シ
ールロール室4bの最後ロール10までの長さをl(m)
とすると,板温保持時間Sはラインスピードv(m/min)の
関数として, S(sec) = 60・l/v (4) で表される。
一方,亜鉛蒸着メッキ鋼板を合金化するための加熱条件
は亜鉛メッキの付着量によって異なる。
第1図に示す連続真空蒸着亜鉛メッキ鋼板の製造装置を
用いて実験を重ねたところ,第2図に示すような合金化
可能範囲が判明した。
第2図の直線aは,メッキ付着量がW(g/m2)の亜鉛蒸着
メッキ鋼板について,メッキ表面までFe−Zn合金層
を成長させて合金化するのに必要な最低の蒸着後板温T
Mim (℃)と,板温保持時間S(sec) の関係を示してお
り,直線aの右上の範囲が合金化可能の範囲である。
この直線aは,合金化に必要な最低の蒸着後板温TMim,
板温保持時間Sおよび付着量Wの関数として式(5)で表
される。
Mim =−S4/3 + 403 +0.7 (5) 式(5)からわかるように,付着量Wの蒸着亜鉛メッキ鋼
板を合金化させる場合,板温保持時間Sを大きくすれば
板温TMim は小さくなる。逆に,板温保持時間Sを小さ
くすれば板温TMim は大きくなる。ここで,付着量Wが
大きくなれば直線aは高板温側(図の右側)へ移動す
る。なお第2図中の直線aは付着量10g/m2を例として示
してある。
このように,付着量Wの蒸着亜鉛メッキ鋼板を合金化さ
せるための制御要因は板温と板温保持時間のみであるか
ら,蒸着メッキ後の実際の板温T3と板温保持時間Sお
よび付着量Wの関係が, T3≧−S4/3+403 +0.7W (5)′ を満足できれば,加熱手段等によらず合金化が可能であ
る。したがって,これは特定の装置だけに許される装置
要件ではなく,この関係を満たす操業ができる装置であ
ればよいことになる。
第2図の直線bは蒸着後の板温の上限値TMax (℃)を
示すもので, TMax =420 (6) で表される。蒸着後の板温の上限値TMax が420℃に
限定される理由は,それを超える温度では鋼帯表面の亜
鉛が溶解することによる。これも装置要件とは無関係に
決まるものであり,また付着量に対しても不変の値であ
る。
直線cとdは,それぞれ板温保持時間Sの下限と上限を
示す直線である。
板温保持時間Sは,式(4)のように,蒸着メッキ直後
よりシールロール室4bの最後シールロール10までの
間の長さlと,ラインスピードvの関係から定まるが,
その下限は蒸着メッキ直後から最終シールロールまでの
長さで制約される。すなわち,式(4)の関係からライ
ンスピードを大きすすれば板温保持時間は短くなるが,
蒸着メッキ直後から最終シールロールまでの長さは蒸着
メッキ装置によって定まっているので,そこを通過する
までに或る時間を要し,この時間はたとえばラインスピ
ードを大きくしても,一定時間以下にはできない。
また,付着量が多くなった場合は,式(5)から第2図
の直線aが示す合金化可能範囲は高板温側へ移動する
が,板温の上限が420℃に限定されるので,ラインス
ピードを小さくして板温保持時間をそれだけ長くしなけ
ればならない。
しかし,蒸着メッキ直後から最後シールロールまでの長
さは定まっており,また,ラインスピードを小さくすれ
ば生産性が低下することになるから,おのずとラインス
ピードには下限がある。したがって,板温保持時間の上
限は蒸着メッキ直後から最終シールロールまでの長さお
よびラインスピード,すなわち生産性により制約される
ことになる。
このようなことから,第2図では直線cとdで板温保持
時間の上・下限(25秒・5秒)を例示したが,これは
蒸着メッキ直後から最終シールロールまでの長さおよび
生産性により決定されるものであり,本発明において板
温保持時間の上・下限は第2図の値に限定されるもので
はない。
以上のことから,蒸着後に亜鉛が合金化されるために
は,付着量および板温保持時間との相関において,メッ
キ後の鋼帯温度Tが次式に示される温度範囲にあるこ
とが必要である。
−S4/3 +403 +0.7W≦T3≦420 (7) 一方,蒸着後の板温Tは蒸着前鋼帯温度Tに対して上
記ΔT1およびΔT2の温度上昇が加わり,次式で表され
る。
上記(7)式は(8)式により次のように示される。
−S4/3 +403 +0.7W−ΔT−ΔT ≦T≦ 420 −ΔT−ΔT (9) このように,メッキ前鋼帯温度T,蒸着潜熱によ温度上
昇ΔTおよび支持ロールからの熱伝達による温度上昇
ΔTを夫々制御して最終的な蒸着後の鋼帯温度T
上記合金化温度範囲内にすることにより,ライン内で自
動的かつ連続的に合金化蒸着亜鉛メッキ鋼板を製造でき
る。
尚,実操業においては,鋼帯支持ロールは熱容量が大き
いので瞬時の温度制御には適さず,メッキ前の鋼帯温度
Tを制御する方が容易である。具体的には,上記
(5),(6)で示される温度に対し,夫々予めΔ
,ΔTの温度上昇分より低く鋼帯温度Tを設定す
れば良い。
<実施例および比較例> 第1図に示す連続真空蒸着メッキ装置を用いて本発明の
方法に従い,蒸着前の鋼帯温度Tを制御してメッキ後の
鋼帯温度Tが第2図の範囲になるように真空蒸着亜鉛
メッキを施し,自動的,連続的に片面合金化差厚蒸着亜
鉛メッキ鋼板を製造した。製造条件は次の通りである。
上記合金化処理の結果を次表に示す。また,比較例とし
てメッキ前の鋼帯温度Tを低くし,かつ亜鉛付着量およ
び通板速度を変えてメッキ後の鋼帯温度Tが第2図の
直線aから外れるものを併せて次表に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法を実施するための装置の一例を示す
概略的断面図である。 第2図は本発明方法の実施可能条件を示す蒸着後鋼帯温
度と鋼帯温度保持時間の関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持ロールが設置された蒸着室内に鋼帯を
    該支持ロールで案内しながら鋼帯表面に亜鉛を連続的に
    蒸着メッキし,この支持ロール通過後,メッキ鋼帯をシ
    ールロール室を経て装置外に導く蒸着亜鉛メッキ方法に
    おいて, −S4/3+403+0.7W≦T≦420 の関係が満足するようにS,WおよびTを調節して蒸
    着亜鉛を合金化することを特徴とする合金化蒸着亜鉛メ
    ッキ鋼帯の製造方法, ただし,T3=T+ΔT1+ΔT2であり, S:板温保持時間(シールロール室を通過する時間)(s
    ec), W:メッキ付着量(g/m2), T3:蒸着後の鋼帯温度(℃), T:蒸着直前の鋼帯温度(℃), ΔT1:蒸着亜鉛の凝縮熱による鋼帯の温度上昇分
    (℃), ΔT2:支持ロールからの熱伝達による鋼帯の温度上昇
    分(℃), を表す。
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