JPH0659286A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JPH0659286A
JPH0659286A JP21167292A JP21167292A JPH0659286A JP H0659286 A JPH0659286 A JP H0659286A JP 21167292 A JP21167292 A JP 21167292A JP 21167292 A JP21167292 A JP 21167292A JP H0659286 A JPH0659286 A JP H0659286A
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liquid crystal
switching
cell
display device
crystal display
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JP21167292A
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Nobuyuki Ito
信行 伊藤
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速スイッチングができる液晶表示装置。 【構成】 表面に電極が選択的に形成され、さらにその
上に絶縁膜、配向膜を形成された後、一軸配向処理を施
された一対の基板を、その一軸配向処理の方向を上下基
板において、略平行になるよう互いに対向させて配置さ
れるとともに、これらの基板間にカイラルスメクチック
C相を有する液晶が介在されて液晶セルとし、カイラル
スメクチックC相に於ける層構造が「く」の字に折れ曲
がったシェブロン構造であり、前記電極に選択的に電圧
を印加されることによって液晶の光軸を切り替える駆動
手段と、 光軸の切り替えを光学的に識別させる手段を有
し、かつ液晶分子が基板界面近傍で、反転を伴うスイッ
チング過程を有する強誘電性液晶表示装置において、電
極に三角波電圧を印加し、得られる分極反転電流のう
ち、自発分極の第2ピーク成分の自発分極全体に対する
割合が、前記液晶セルの厚さの増加に対し、略直線的に
減少することを特徴とする強誘電性液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表示装置に関する。さ
らに詳しくは、強誘電性液晶を用いた液晶表示装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】ネマティック液晶を用いた液晶表示装置
としては、ツィストネマティック型(Twisted Nematic
TN型)液晶表示装置、スーパーツイステッド型(Supert
wistedBirefringence Effect、SBE型) 液晶表示装置が
ある。しかしながらツイステッドネマティック型液晶表
示装置では、駆動方式のマルチプレックス化が進むに従
って駆動マージンが狭くなり、十分なコントラストが得
られないという欠点が生じている。また、ツイステッド
ネマティック型液晶表示装置の改良型であって、大きな
ツイスト角を用いるスーパーツイステッド型液晶表示装
置では、大容量表示に用いるとコントラストが低下した
り、応答速度が遅くなるという欠点が生じる。
【0003】そこで、このようなネマティック液晶を用
いる液晶表示装置を改良する装置として、1980年に
クラーク(N.A.Clark) とラガバル(Lagerwall) によっ
て、 キラルスメクチックC液晶、すなわち強誘電性液晶
を用いた液晶表示装置が提案されている(特開昭56−10
7216号公報、米国特許第4367924号) 。この液晶表示装
置は、液晶分子の誘電異方性を利用する電界効果を用い
た前記の液晶表示装置とは異なり、強誘電性液晶の自発
分極の極性と電界の極性とを整合させる回転力を用いた
構成の液晶表示装置である。この液晶装置の特徴として
は、双安定性、メモリー性、高速応答性などを挙げるこ
とができる。すなわち、強誘電性液晶をギャップを薄く
したセルに注入すると、界面の影響を受けて強誘電性液
晶の螺旋構造がほどけ、液晶分子がスメクチック層法線
にたいして傾き角θだけ傾いて安定する領域と、逆方向
に−θだけ傾いて安定する領域とが混在し、双安定性を
有する。このセル内の強誘電性液晶に対して電圧を印加
することによって、液晶分子とその自発分極の向きを一
様に揃えることができ、印加する電圧の極性を切り替え
ることによって、液晶分子の配向をある一定の状態から
別の一定の状態へと切り替えるスイッチングが可能とな
る。
【0004】このスイッチング駆動に伴い、セル内の強
誘電性液晶では、複屈折光が変化するので2つの偏光子
間に上記セルを挟むことによって、透過光を制御するこ
とができる。さらに、電圧の印加を停止しても液晶分子
の配向は、界面の配向規制力によって電圧印加停止前の
状態に維持されるので、メモリ効果も得ることができ
る。また、スイッチング駆動に必要な時間は、液晶の自
発分極と電界が直接作用するために、ツイステッドネマ
ティック型液晶表示装置の1/1000以下という高速
応答性をもち、それにより高速表示が可能である。 そ
こで、この強誘電性液晶のメモリ効果や高速応答性を利
用することにより、マルチプレックス駆動方式による走
査線の数が多い高解像度の液晶表示装置を構成すること
が従来より試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クラー
ク、ラガバル型の液晶表示装置にも多くの問題点があっ
た。まず当初のモデルでは、スメクティックC相の層構
造は、図2に示すようなブックシェルフ型と呼ばれる基
板に垂直な構造を取ると考えられていた。しかしなが
ら、従来のラビング等による配向法を用いて、セルを作
成した場合、予想されたスイッチング現象や光学的特性
が大きく食い違い、特定されたモデルとは全く異なるス
イッチングをしていたことが判ってきた。
【0006】その原因の一つとして、層構造が図3に示
すようシェブロンと呼ばれる『く』の字型に折れ曲がっ
た構造をしていることがX線の小角錯乱法を用いて解析
された〔T.P.Riekel,N.A.Clark et al. Phys.Rev.Let
t.,59,p2658(1987)〕。もう一つ当初のモデルと異なる
点は、自発分極の方向や、液晶分子が一様な方向に揃っ
たユニフォーム配向を取るだけでなく、分子が上基板と
下基板でねじれたツイスト配向をすることが報告されて
いる〔M.Glogarova and J.Pavel,J.Phys.(France),45,p
143(1984)〕。
【0007】特に、ラビングにより配向された強誘電性
液晶表示素子は、界面での規制力が強く働くため、ツイ
スト配向であることが判ってきた。このような配向を取
った場合、一般的に2状態間のスイッチングでの光学的
な分子軸の差が効果的に現れず、高いコントラスト特性
が得られないことが判った。これらの欠点を解消するた
めに、当初クラークらが提案したモデルを達成する方式
が幾つか提案されており、その一つとして、SiO斜方
蒸着法を用いたものでは比較的高いプレティルトを基板
界面に付与することで層の折れ曲がりを防ぎ、斜めに傾
斜した層構造を達成した報告がある。
【0008】また、第二の方法として、折れ曲がり構造
をもつセルに高い電圧の交番電界を印加することによ
り、層構造をブックシェルフ構造に変える方法が提案さ
れており〔佐藤ら、第12回液晶討論会(名古屋)、1F
16(1986)〕、いずれも高いコントラスト特性が得られた
ことが報告されている。しかしながら、前記の斜め蒸着
法は、蒸着角度を均一にする技術が難しいことや、真空
プロセスを有するために生産面で大きな問題がある。ま
た、電界を印加する方法は、均一に層構造を変化させる
のが難しく、長期の時間の経過と共に徐々に元のシェブ
ロン構造に変化するものが多く、未だ実用化には至って
いない。
【0009】そこで本発明はこのような問題点を解決す
るために、シェブロン構造にも拘わらず高いコントラス
ト特性の液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かくして、この発明によ
れば、表面に電極が選択的に形成され、さらにその上に
絶縁膜、配向膜を形成された後、一軸配向処理を施され
た一対の基板を、その一軸配向処理の方向を上下基板に
おいて、略平行になるよう互いに対向させて配置される
とともに、これらの基板間にカイラルスメクチックC相
を有する液晶が介在されて液晶セルとし、カイラルスメ
クチックC相に於ける層構造が「く」の字に折れ曲がっ
たシェブロン構造であり、前記電極に選択的に電圧を印
加されることによって液晶の光軸を切り替える駆動手段
と、 光軸の切り替えを光学的に識別させる手段を有し、
かつ液晶分子が基板界面近傍で、反転を伴うスイッチン
グ過程を有する強誘電性液晶表示装置において、電極に
三角波電圧を印加し、得られる分極反転電流のうち、自
発分極の第2ピーク成分の自発分極全体に対する割合
が、前記液晶セルの厚さの増加に対し、略直線的に減少
することを特徴とする強誘電性液晶表示装置を提供す
る。
【0011】この発明の基板としては透光性の絶縁性基
板が用いられ、通常ガラス基板が使れる。この絶縁性基
板にはそれぞれInO3 ,SnO2 ,ITO(Indium Ti
n Oxide)などの導電性薄膜からなる所定のパターンの透
明電極が形成される。その上に、絶縁性膜が形成され
る。この絶縁性膜は例えば、SiO2 ,SiNx,Al
23などの無機系薄膜、ポリイミド、フォトレジスト樹
脂、高分子液晶などの有機系薄膜などを用いることがで
きる。絶縁性膜が無機系薄膜の場合には蒸着法、スパッ
タ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるい
は溶液塗布法などによって形成出来る。また、絶縁性膜
が有機系薄膜の場合には有機物質を溶かした溶液または
その前駆体溶液を用いて、スピンナー塗布法、浸せき塗
布法、スクリーン印刷法、ロール塗布法、などで塗布
し、所定の硬化条件(加熱、光照射など)で硬化させ形
成する方法、あるいは蒸着法、スパッタ法、CVD法な
どで形成したり、LB(Langumuir-Blodgett)法などで
形成することもできる。
【0012】絶縁性膜の上には配向膜が形成される。配
向膜には無機系の層を用いる場合と有機系の層を用いる
場合とがある。無機系の配向膜を用いる場合、よく用い
られる方法としては酸化ケイ素の斜め蒸着がある。ま
た、回転蒸着などの方法を用いることもできる。有機系
の配向膜を用いる場合、ナイロン、ポリビニルアルコー
ル、ポリイミド等を用いることができ、通常この上をラ
ビングする。また、高分子液晶、LB膜を用いて配向さ
せたり、磁場による配向、スペーサエッジ法による配
向、なども可能である。また、SiO2 ,SiNxなど
を蒸着法、その上をラビングする方法も可能である。
【0013】本発明の一軸配向処理法としては、ラビン
グ法、斜方蒸着法などがあるが、大画面の液晶表示装置
の量産化の場合にはラビング法が有利である。ラビング
法の場合、配向膜を形成した後、ラビング処理を施すわ
けであるが、パラレルラビング法(一対の基板の両方に
ラビング処理を施しラビング方向が同一になるように貼
り合わせる方法)、アンチパラレルラビング法(一対の
基板の両方にラビング処理を施しラビング方向が逆にな
るように貼り合わせる方法)、片ラビング法(一対の基
板の片方にのみラビング処理を施す方法)がある。本発
明の強誘電性液晶表示装置の場合、いずれも配向法も用
いることができる。
【0014】さらに、これら化合物を適宜混合して用い
てもよい。また上記のスメクテイックC相を示す液晶化
合物以外の化合物を適宜混合してもよい。この化合物は
必ずしも液晶相を示す必要はなく、(a)作製する組成
物の液晶相の温度範囲を調整するための化合物、(b)
強誘電性液晶相において大きな自発分極を示すか、また
は誘起する光学活性化合物、(c)作製する組成物の液
晶相のらせんピッチを調整するための光学活性化合物な
どが挙げられる。
【0015】注入後、アクリル系等のUV硬化型の樹脂
で注入口を封止して液晶セルとする。さらに、この液晶
セルの上下に偏光軸をほぼ直交させた偏光板を配置さ
せ、偏光板の一方の偏光軸をセルの液晶のどちらか一方
の光軸にほぼ一致させて液晶表示装置とした。
【0016】
【作用】本発明によれば、駆動手段により液晶の光軸を
切り替えた際に、液晶分子は一対の基板のほぼ中央で発
生するシェブロン構造の折れ曲がりの境界14の近傍で
反転するのみならず、基板近傍でも反転するため、液晶
分子は基板の一方から上記近傍の間にあって略一様に配
向し、上記境界近傍では配向が折れ曲がりのために多少
異なるが、この境界の近傍から基板の他方の間では、略
一様に配向する。この結果、一対の基板間にあって、液
晶分子はほとんどねじられることのない均一な配向(ほ
ぼユニフォームな配向)を示し、このユニフォームな配
向間でスイッチングを行う。
【0017】この様に、液晶分子がほとんどねじられる
ことがない状態間でスイッチングを行うため、光軸の切
り替えを光学的に識別する手段、例えば偏光子と組み合
わせて用いることにより遮光の際に光の漏れを少なくす
ることが可能となり、コントラスト特性の改善が可能と
なる。また光透過の際に十分な光量を得ることができ高
いコントラスト特性を示す。
【0018】そして、本発明によれば、三角波電圧を印
加した時に観察される分極反転電流のうち、第2のピー
クの成分で表される自発分極の値の自発分極全体にしめ
る割合がセル厚の減少に対して線形に増加する様なセル
構成とすることで、簡単なラビング法により、さらに容
易に目的とする液晶分子のスイッチング過程を実現する
ことができる。
【0019】
【実施例】以下図に示す実施例に基づいてこの発明を詳
述する。なお、これによってこの発明は限定されるもの
ではない。 実施例1 カイラルスメクティックC相における層構造は、一般的
には、『く』の字に折れ曲がった構造をしていることが
知られている。このような構造を取る理由は、カイラル
スメクティックC相よりも高温側にある液晶相(一般的
には、スメクティックA相)での層間隔が、カイラルス
メクティックC相に変わるとき液晶分子が傾くことによ
り小さくなるのに対して、基板界面付近の分子は動きに
くく、高温側の相での層間隔を保とうとするために、界
面での層間隔を保ちながら、層間隔を縮める必要が生
じ、層が折れ曲がると考えられている。
【0020】図4中に記されている円錐状の図形は、ス
イッチングの際に液晶分子が動きうる軌道を表してお
り、層法線23に対して液晶分子15のティルト角24
だけ傾いた軌道である。17はセル厚を表わしている。
図5のa、bは基板界面での分子が動きにくい場合のメ
モリ状態の分子の様子を、Cダイレクター16による表
記方法で記したものである。液晶分子は、上下基板でね
じれた状態を取っているので、この場合の配向をツイス
ト配向と呼ぶ(以後Tと略す)。電界を印加した時のス
イッチングは、ab間で起こっている。この場合におい
ては、メモリー状態の切り替えは、シェブロン構造の継
目部分14だけで起こっている。
【0021】ところが、界面付近の分子を動き易くし、
分子の界面反転が発生した場合を考えると状況が異なっ
てくる。図5のc、dは界面反転が発生した場合のメモ
リー状態の分子の様子を記したものである。上下基板で
の液晶分子の捻れが解消されるため、分子はほぼ一様に
並んでいる。この場合の配向をユニフォーム配向と呼ぶ
(以下Uと略す)。今、電界を印加した時のスイッチン
グは、cd間で起こっている。
【0022】この場合、図5を参照して上下基板での界
面における分子の配置を考えると、図5a、bのT配向
では分子ダイレクタ15は大きくねじれた状態になって
おり、図5c、dのU配向ではねじれ状態がなく分子は
ほぼ一様にならんでいる。いまセルの上下に偏光板を直
交させて配置し、セルをその中で回転させると、T配向
では消光する角度が無いのに対して、U配向では消光す
る角度があるために、T配向に比べU配向の方が、良い
コントラスト特性が得られることが容易に理解できる。
【0023】しかしながら、表示装置のコントラスト特
性はその消光位の有無によってのみ決定されるわけでは
ない。消光位すなわち暗レベルは非常に重要ではある
が、明状態の透過光量も重要である。図5に示したcd
間のスイッチングはシェブロン層構造においては最も理
想的なものであり、暗状態の暗さ、明状態の明るさのど
ちらも理想的な光学状態が得られる。しかし実際、多く
の素子では図5ab間のT−Tスイッチングであうこと
が多く、初期配向がU配向であってもスイッチングさせ
てみると図5のcd間でスイッチングするといった、U
−Tスイッチングになってしまう。
【0024】本発明においては、以上の知見に基づいて
液晶表示装置としてU−U間のスイッチングを用いるも
のであることを特徴としており、この様なスイッチング
状態を実現するためのセル構成について述べるが、まず
これらの配向状態、T配向であるか、U配向であるかを
見分けるための判別法について述べる。 1.セルに低周波の三角波を印加しながら顕微鏡観察を
すると、反転ドメインが観察される。その際、シェブロ
ン構造の継目部分(折れ曲がり部)で発生する内部回位
の移動によるドメイン反転は(舟型のドメインと呼ばれ
ている)、T配向、U配向に拘らず発生する。従ってそ
の反転以外にもう一つ以上ドメイン反転が観測された場
合、その反転は界面での反転であり、スイッチング時に
U状態を経由していると判断できる。
【0025】2.セルに十分な電界を(±10V程度)
印加して求めた光軸の移動角度に対して、メモリー時の
二つの安定状態(電圧無印加状態)間の光軸角度が、前
者の40%以上あるものがU配向と言える。なお、通
常、T配向では30%台程度の値しか得られない。本発
明においては、以上の知見に基づいて液晶表示装置とし
て大きいコントラスト特性の得られるU−U間スイッチ
ングを用いるものであるが、更にこのスイッチング状態
にあってコントラスト特性の優れたものとするための条
件を満たすものとすることが望ましい。
【0026】そこで本発明では、CS−1014、CS
−1017(ともにチッソ石油化学(株)製)の2種類
の液晶を用いて三角波印加法を用いて、その分極反転電
流より、第2のピークにより示される自発分極の値と自
発分極全体の割合を測定した。以降、この値を自発分極
比と呼ぶ。ここで、自発分極比の定義および測定法につ
いて述べる。
【0027】一般に、水平配向させた強誘電性液晶セル
に三角波電圧18を印加した際の分極反転電流19は図
6の様になり、その自発分極は点線で示したバックグラ
ウンドを引き去った部分20の面積の1/2で求められ
る。しかしながら、印加電圧を充分高くしてやった、周
波数を低くすることにより、図7のように2つのピーク
電流を示す波形が観察される。またセルによってはその
ような特別な条件でなくとも2つのピークが観測される
ことが知られている。この現象は配向膜と液晶の界面に
おいて界面に拘束される液晶分子がセル内部(バルク部
分)に比較して動きにくいため、電界応答が遅れ、第1
番目のピークがバルク部分として、そして第2番目のピ
ークが界面部分の応答として現われるためと考えられて
いる(M.Nakagawa et al.Jpn. J. Appl. Phys. 27 (198
8) 456.)一般にピークが1つしか現われないセルでも
測定感度を高くしてやる事で分離したピークを観測する
ことができる。
【0028】本発明は、このような分極反転電流に見ら
れる、配向膜界面の影響を詳しく調べた結果見出された
知見に基づくものである。まず図7に示される分極反転
電流の20の部分より自発分極Psを求め、次に同じよ
うにピークのバックグラウンドを引き去ることにより、
21の部分より第2ピークのみの自発分極成分Ps2
求めた。なお測定は三角波の一周期について行ない、正
負の反転電流の平均を取った。このPs2/Psを自発分
極比として定義する。この測定をセル厚を変化させたサ
ンプルに付いて行い、その関係をグラフにしたものが図
8である。セルはすべて配向膜としてLX−1400
(日立化成(株)製)を用い、50Hzで測定を行っ
た。
【0029】図8より、CS−1014、CS−101
7ともにセル厚の現象にともなって自発分極比が増加し
ていることが分かるが、両者の間に明確な違いが見られ
る。すなわち、CS−1014の場合には、セル厚と自
発分極比の関係はほぼ完全に線形であるが、CS−10
17の場合には非線形となっている。これらのサンプル
について双極性パルスによるスイッチング動作を確認し
たところその傾向に違いがあることを見出した。
【0030】すなわち、セル厚と自発分極比の関係が線
形であるCS−1014では、U−Uスイッチングが観
測され高いコントラスト特性が得られたが、そうでない
CS−1017ではU−TスイッチングがT−Tスイッ
チングしか観測されず、コントラスト特性は悪かった。
この現象について現在までに明らかにされている知見に
基づいて考察をすると次のようになる。まず、前述の第
1のピークがバルク部分の反転を表わし、第2のピーク
は界面部分の分子の反転によるものだとして、簡単なモ
デルを考えると、図9を描くことができる。図9におい
て斜線部分22が界面に拘束されており、第2のピーク
に対応する部分の液晶分子の層であり、その他の部分は
バルク部分になる。CS−1014のようにセル厚の変
化に対して自発分極比が線形に変化するということは、
界面に拘束される部分22が常に一定の厚さである事を
示している。
【0031】一方、CS−1017の様に両者の関係が
非線形であるという事は、界面に拘束される部分22の
厚さがセル厚の変化に対してしきい値的に変化している
ことになる。しかしながら、同一の液晶と配向膜の組合
せにおいて界面規制力の遷移領域である22が変化する
とは考えにくい。そこで、シェブロン構造の継目である
14の部分の影響を考えてみる。この部分はクラーク、
ラガバル型の強誘電性液晶表示装置において第3の界面
とも呼ばれ、スイッチング現象に何らかの影響を与えて
いると言われているが、詳しいことはまだ分かっていな
い。このシェブロン構造の継目部分14は界面から一番
遠い場所にあり、界面の影響は最も受けにくいと考えら
れるが、逆にバルクとしては最も影響を受け易いと考え
られる。
【0032】また、セル厚に対するバルクの性質の一例
として、偏光顕微鏡を用いた像観察によりスメクティッ
クA相からスメクティックC相への転移温度を調べたと
ころ、セル厚と転移温度の関係が非線形的であるという
方向があり(K. Kondo et al. Jpn. J. Appl. Phys. 22
(1983)L294.)、バルク部分は界面部分に比較してセ
ル厚の影響を受け易いようであると考えられる。そこで
シェブロン構造の継目14の部分は界面部分22に比較
して、セル厚変化の影響を大きく受けているのではない
かと考えられる。つまり、CS−1017においては、
界面に拘束される部分22だけではなくシェブロンの継
目部分14が分極反転電流の形に大きく影響を及ぼして
いると考えられる。もちろん、CS−1014の場合に
も同様に界面に拘束される部分22とシェブロンの継目
部分14の影響を両方受けているかもしれないが、シェ
ブロン構造の継目部分14の影響が界面部分22の影響
に比べてかなり小さいと思われる。シェブロン構造の継
目部分14の影響が界面部分22に比較して小さいとい
うことは、図2のブックシェルフ層構造に近いスイッチ
ングを行うことができることになる。そして、液晶分子
の基板界面近傍での反転を伴えば良好なU−Uスイッチ
ングが得られるものと考えられる。
【0033】比較例 比較例として配向膜をポリビニールアルコール(PV
A)に変えて同様な実験を行ったところ、CS−101
4、CS−1017ともに自発分極比はセル厚の減少に
対して非線形に増加し、配向膜と液晶の組合せにより異
なる結果が得られることがわかった。そして、これら2
種類のセルとも良好なU−Uスイッチングは得られなか
った。
【0034】以下に本発明の液晶表示装置の実施例につ
いて詳細に説明する。 実施例2 ガラス基板1a上に300〜500Å、好ましくは10
00〜3000Åの厚さの複数本の透明電極2aが互い
に平行となるようにストライプ状に配列して形成され、
その上に300〜5000Å、好ましくは500〜20
00ÅのSiO 2 の電極保護膜3aがスパッタで形成さ
れ、チッソ石油化学(株)製のPSI−A−2001
(ポリイミド)をスピンコーターにて400Åの厚さに
形成し、この後、レーヨン系の布を用いてラビングによ
る一軸配向処理を行い基板9を形成した。
【0035】一方、もう片側のガラス基板1b上にも同
様の条件で複数本の透明電極2bが互いに平行となるよ
うにストライプ状に配列して形成され、その上に同様の
条件電極電極保護膜3bを介して配向膜4bが形成さ
れ、この後ラビングによって一軸配向処理を行い基板1
0を形成した。ついで、この基板10は、もう一方の基
板9と互いに4a、4bが対向しあい、互いに透明電極
2a、2bが直交し、ラビング方向がほぼ一致するよう
に、1.5μmの間隔を隔ててシリカスペーサ5を介し
てエポキシ樹脂製のシール部材6で貼り合わせた。
【0036】これらの基板9、10間には液晶を加熱し
つつ、真空注入法で注入口からカイラルスメクティック
C相を示す液晶7を注入したのちアクリル系のUV硬化
型の樹脂8で注入口を封止して液晶セル11を作成し
た。更に、このセル11の上下に偏光軸をほぼ直交させ
た偏光板12a、12bを配置させ、偏光板の一方の偏
光軸をセル11の液晶のどちらか一方の光軸にほぼ一致
させて液晶表示装置とした。
【0037】表1に示す様々の液晶を注入した当該液晶
表示装置について、双極性パルスによるスイッチング特
性を調べた。表1に示す分極反転特性はセル厚対自発分
極比を上記の方法により、配向膜PSI−A−2001
に対して測定したものである。
【0038】
【表1】 CS−1014、CS−1022、CS−1−17、mi
xture A、ZLI−3654、ZLI−3489、FE
LIX−002を注入したすべての装置は、双極性パル
スによるスイッチングを行った際、U−Uスイッチング
が観測され良好なコントラスト特性が得られた。
【0039】また上記の構造で、配向膜をPVAとした
液晶表示装置について、双極性パルスによるスイッチン
グ特性を調べた。この場合の分極反転特性を表2に示
す。
【0040】
【表2】 mixture Aを注入した装置では、双極性パルスによるス
イッチングを行った際、U−Uスイッチングが観測され
良好なコントラスト特性が得られた。CS−1014、
CS−1022、ZLI−3654を注入した装置で
は、双極性パルスによるスイッチングを行った際、U−
Tスイッチングが観測され良好なコントラスト特性は得
られなかった。
【0041】CS−1017、ZLI−3489、FE
LIX−002を注入した装置では、双極性パルスによ
るスイッチングを行った際、T−Tスイッチングが観測
され良好なコントラスト特性は得られなかった。配向膜
の違いにより、分極反転特性が線形であるか非線形であ
るかは異なるが、線形となる液晶と配向膜の組合せでは
U−Uスイッチングが観察され良好コントラスト特性が
得られることがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明の表示装置によれば、ユニフォー
ム配向とユニフォーム配向の間でスイッチング(U−U
スイッチング)を行うことができ、良好なコントラスト
特性を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の液晶表示装置の断面図。
【図2】従来例におけるスメクティックC相の層構造を
示す模式図。
【図3】実施例におけるスメクティックC相の層構造を
示す模式図。
【図4】スメクティックC相の層構造を示す模式図。
【図5】実施例におけるT配向、U配向の模式図。
【図6】一般に観測される分極反転電流波形を示す図。
【図7】実施例における自発分極率を説明する図。
【図8】実施例におけるセル厚自発分極比の関係を示す
グラフ。
【図9】実施例におけるセル厚対自発分極比の関係を説
明するモデル図。
【符号の説明】
1a、1b ガラス基板 2a、2b 透明電極 3a、3b 電極保護膜 4a、4b 配向膜 5 スペーサー 6 シール部材 7 液晶 8 封止部材 9、10 基板 11 液晶セル 12a、12b 偏光板 13 スメクティック層 14 シェブロン構造の継目部分 15 液晶分子:nダイレクター 16 Cダイレクター 17 セル厚 18 印加三角波 19 分極反転電流 20 自発分極を表わす部分 21 第2のピークの自発分極を表わす部分 22 配向膜界面に拘束される液晶層 24 液晶のティルト角

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に電極が選択的に形成され、さらに
    その上に絶縁膜、配向膜を形成された後、一軸配向処理
    を施された一対の基板を、その一軸配向処理の方向を上
    下基板において、略平行になるよう互いに対向させて配
    置されるとともに、これらの基板間にカイラルスメクチ
    ックC相を有する液晶が介在されて液晶セルとし、カイ
    ラルスメクチックC相に於ける層構造が「く」の字に折
    れ曲がったシェブロン構造であり、前記電極に選択的に
    電圧を印加されることによって液晶の光軸を切り替える
    駆動手段と、 光軸の切り替えを光学的に識別させる手段
    を有し、かつ液晶分子が基板界面近傍で、反転を伴うス
    イッチング過程を有する強誘電性液晶表示装置におい
    て、 電極に三角波電圧を印加し、得られる分極反転電流のう
    ち、自発分極の第2ピーク成分の自発分極全体に対する
    割合が、前記液晶セルの厚さの増加に対し、略直線的に
    減少することを特徴とする強誘電性液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 一軸配向処理がラビング法を用いて行う
    ことを特徴とする請求項1項に記載の強誘電性液晶表示
    装置。
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