JPH0659214U - 段ボール製重量物容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液体や粉体などの流動性のある重量物を充填
し、貯蔵、輸送するための段ボール製容器で、重量物を
収納したとき取手が破損せず、手穴より液体などを充填
したプラスチック袋が内圧ではみ出さず、また釣り鈎を
差し込んだ時に鈎で袋を破損させずまた鈎を引っかけ易
くした容器を提案する。 【構成】 段ボール製多角筒容器の胴部１１における相
対向する位置に、一対のハンドリング孔２０を内外貫通
するように設けたものにおいて、胴部の内面側には前記
ハンドリング孔にかぶさる厚紙製補強部材２１を配設
し、かつその補強部材にほぼ逆Ｕ字形の切り込み２３に
より内方に折曲げ可能な舌片２４を区画形成し、前記舌
片の外側部分はハンドリング孔の周縁部に貼着したもの
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主として液体や粉体などの流動性のある重量物を充填し、貯蔵、輸 送するための段ボール製容器に関するもので、ドラム缶や重量物用プラスチック 容器に代わり得る液体や粉体などの収納容器に係わる。

【０００２】

【従来技術】

ドラム缶は薄鋼板で作られた円筒形容器であって、大口の液体や粉末類の輸送 用、貯蔵用として広く用いられている。周知のとおりドラム缶は強度が高いため 重量物の容器として繰り返し使うことができる。しかし強度が高い反面、缶自体 が重く、また空缶の返送、空缶の保管スペース、空缶の洗浄等に多大な不便があ る。しかも衛生面から上述のようなリターナブル容器が適さず使い捨てが好まし い収納物には使用することができないという問題を生じている。

【０００３】 昨今、上述のようなドラム缶の欠点を改善する重量物容器としては、段ボール 製多角筒容器が開発され、既に実用に供されている（例えば実開平３−１２４５ ４５号参照）。

【０００４】 上記多角筒容器は、両面段ボールまたは複両面段ボールあるいは複々両面段ボ ールを素材に用いて８角形状の角筒状胴部を形成し、胴部に付設したフラップを 別途用意した中パッドと底板とでサンドイッチ状に挟み込み、かつ前記底板の端 縁に設けた接合片を胴部にバンド等を利用して固着したものであり、収納物が液 体などの流体の場合はプラスチック袋を胴部内に入れ込んだうえその袋の内部に 流体を充填シールしたものである。そして容器の胴部外周の相対向する位置に、 釣りあげ等のハンドリングを容易にするために、取手Ｈが必ず設けられている。 この取手Ｈは釣り鈎が引っかけ易いブラケット型式であり、容器の胴部外周に突 出状態に形成させてなるものであった（図５〜６参照）。

【０００５】

【考案が解決しようとする技術的課題】

しかるに、胴部外周にブラケットが突出していると上記多角筒容器をパレット 等の上に密集状態に積み込むとき、ブラケットがぶつかるなど積み込みが思うよ うにゆかず、密集させずらく、また積み込みスペースを大きく取るという難点が あった。そこで、積み込むときは容器相互の位置を変えるなどブラケットが邪魔 にならないように積み方を工夫しなければならずそれだけ手間をくい、作業能率 が落ち、また一回り大きいパレットが必要となる結果となっている。

【０００６】

【課題解決の手段】

ここにおいて本考案は、従来のブラケット型の取手に代えて容器胴部に設ける 取手を手穴方式の取手にしたものであるが、特に、段ボール製多角筒容器の胴部 における相対向する位置に、一対のハンドリング孔を内外貫通するように設けた ものにおいて、胴部の内面側には前記ハンドリング孔にかぶさる厚紙製補強部材 を配設し、かつその補強部材にほぼ逆Ｕ字形の切り込みにより内方に折曲げ可能 な舌片を区画形成し、前記舌片の外側部分はハンドリング孔の周縁部に貼着した ものであって、重量物を収納したときも取手が破損せず、手穴より液体などを充 填したプラスチック袋が内圧ではみ出さず、また釣り鈎を差し込んだ時に鈎で袋 を破損させずまた鈎が引っかけ易くしたものである。

【０００７】

【実施例】

図面は本考案の一実施例を示し、図１は縦断面図、図２は本考案の要部たるハ ンドリング孔の拡大図、図３はハンドリング孔にかぶせて貼着する厚紙製補強部 材の平面図、図４はハンドリング孔２０に釣り鈎を引っかけるとき状態を模式的 に示したものである。

【０００８】 図において符号１１は紙製の段ボールからなる本考案の多角筒容器である。こ の容器は両面段ボール、複両面段ボール、または複々両面段ボール等を用いて重 量物を収納し得るように公知の多角筒容器（例えば実開平３−１２４５４５号参 照）と同一構成となるように作成されている。すなわち、容器の胴部１１を実質 上偏平に折畳みできる４角形以上の多角筒で形成させるとともに、当該多角筒胴 部の下端縁から各片各別にフラップ１２を付設する。容器の組立時にはそのフラ ップ１２を内側に向けて折り込んだ上、そのフラップの上面に中パッド１３をか ぶせる。一方、前記胴部の底面側に、前記胴部の多角形と同じ形状を有する底板 １４を組み合わせると共に、この底板の各片からも放射状に接合片１５を突設さ せ、この接合片を組立時において前記胴部の外周面に重ね合わせた後、その重合 面を互いに結合する。

【０００９】 前記結合の仕方は、重合面を互いに強固に接着するか、粘着テープを用いて貼 着するか、もしくは機械的ファスナーやジョイント、リベットまたは面ファスナ ーを用いて取り外し自在に固着してもよい。本考案の容器では前記のように胴部 の外周面に重ね合わせた各接合片を外側から一体に締付けバンド１８を介して緊 締して、５０〜５００Ｋｇの荷重に耐える容器を得る。

【００１０】 この容器内に液体を収容する場合は、液漏れを生じないようにプラスチック製 の内袋２２を入れて液体をその中に充填しシールする。なお、符号１６は上蓋で あり、容器胴部の上端開口部にかぶせた後、上蓋の各片から放射状に突出させた 取付片１７を胴部の外側にかぶせるように折り曲げ、ついで前記底板と同じく締 付けバンド１９を用いて外側から固く緊締する。

【００１１】 符号２０が容器胴部１１の周側面における直径線方向の相対向する位置に設け る一対のハンドリング孔である。この各ハンドリング孔２０は胴部を構成する紙 製段ボールを内外貫通するように設けて形成する。胴部１１の内面側には前記ハ ンドリング孔２０にかぶさるように厚紙製補強部材２１を貼着する。補強部材と しては厚さ約３ｍｍ程度の厚紙を用いることが好ましい。何故ならそれ以下の薄 い紙を用いた場合は強度不足を生ずることがあり、またそれ以上の厚い紙を用い ると後記のように舌片が曲がりにくく、ハンドリング時に釣り鈎を思うように差 し込むことができないことがあるからである。

【００１２】 ハンドリング孔の補強部材２１には、ほぼ逆Ｕ字形をなすように切り込み２３ を刻設して、これにより内方に折曲げ可能な舌片２４を区画形成しておく（図３ ）。なお、この切り込み２３の付け根２３ａと先端２３ｂの位置は、それぞれハ ンドリング孔の上下の端縁よりもわずかに突出する関係を有するように設けるの がよい。そしてこの切り込み２３の外側、換言すれば舌片２４の外側部分とハン ドリング孔２０の周縁部を接着剤を用いて一体に貼着して、ハンドリング孔２０ がハンドリング時に破損しないようにこれを補強する。

【００１３】 以上のように構成された本考案の多角筒容器は、液体や粉末類等重量物を収納 したとき、ハンドリング孔２０は補強部材２１により内側より塞がれているから 、液体や粉体などを充填したプラスチック袋２２が内圧で膨れてもハンドリング 孔２０よりはみ出すことはない（図１）。また容器の移搬等の荷役作業に当たり 、ハンドリング孔２０に釣り鈎Ｋを引っかけるときに内方に折曲げた舌片２４が 内袋２２を押して凹みを形成し、内袋２２と釣り鈎Ｋとが直接に当たることを防 ぐので、内袋２２を破損させず、しかも釣り鈎Ｋが差し込みやすい。さらにまた 釣り鈎が引っかけたとき最も荷重がかかるハンドリング孔２０の上縁は補強部材 ２１が貼着されて強度が高められているから、重量物を収納したときも充分にそ の荷重に耐えるだけの強度を発揮し、ハンドリング孔が破損することはない。

【００１４】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案の構成によれば、容器胴部に設ける取手を 手穴方式の取手にしたものであるから、従来のブラケット型の取手を持つ容器と 対比して密集させやすく、また積み込みスペースが少なくてすみ、さらに重量物 を収納したときも取手が破損せず、手穴より液体などを充填したプラスチック袋 が内圧ではみ出さず、また釣り鈎を差し込んだ時に鈎で袋を破損させず、しかも また釣り鈎が引っかけ易く、荷役作業時の取扱いが容易であるなど、有用性が高 いものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案容器の縦断面図である。

【図２】本考案の要部たるハンドリング孔の拡大図であ
る。

【図３】ハンドリング孔にかぶせて貼着する厚紙製補強
部材の平面図である。

【図４】ハンドリング孔に釣り鈎を引っかけるとき状態
をしめす模式図である。

【図５】従来の容器の側面図である。

【図６】ブラケット型取手を胴部に取り付けた状態を示
した断面図である。

【符号の説明】

１１ 胴部 １２ フラップ １３ 中パッド １４ 底板 １５ 接合片 １６ 上蓋 １７ 取付片 １８、１９ 締付けバンド ２０ ハンドリング孔 ２１ 補強部材 ２２ 内袋 ２３ 切り込み ２４ 舌片 Ｈ ブラケット Ｋ 釣り鈎

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 段ボール製多角筒容器の胴部における相
   対向する位置に、一対のハンドリング孔を内外貫通する
   ように設けると共に胴部の内面側には前記ハンドリング
   孔にかぶさる厚紙製補強部材を配設し、かつその補強部
   材にほぼ逆Ｕ字形の切り込みにより内方に折曲げ可能な
   舌片を区画形成し、前記舌片の外側部分はハンドリング
   孔の周縁部に貼着したことを特徴とする段ボール製重量
   物容器。