JPH0658864A - 流動体の粘度を求める方法 - Google Patents

流動体の粘度を求める方法

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JPH0658864A
JPH0658864A JP30797392A JP30797392A JPH0658864A JP H0658864 A JPH0658864 A JP H0658864A JP 30797392 A JP30797392 A JP 30797392A JP 30797392 A JP30797392 A JP 30797392A JP H0658864 A JPH0658864 A JP H0658864A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 流動体が非ニュートン流体の性質またはチク
ソトロピー性を有する場合にも、その粘度を容易に正確
に求めることのできる方法を提供すること。 【構成】 回動自在な静止側部材と筒状の微小空隙部
を介して対向する回転体を有し、微小空隙部に係る周面
の少なくとも一方にスパイラル状の流動体案内溝が形成
され、流動体流入口並びに流動体排出口を有し、静止側
部材に生ずる回転トルクを検出する回転トルク検出手段
を設けてなる回転粘度計を用い、流動体案内溝が形成さ
れた周面について合成ずり速度DC を求め、この合成ず
り速度と、合成回転トルクMC として検出される回転ト
ルクとにより、流動体の粘度を求める。また、上記の回
転粘度計を用い、特定の定義による平均ずり速度DM
求める方法に従い、流動体案内溝の谷部および山部につ
いての合成平均ずり速度を求め、これらを用いて流動体
の粘度を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流動体の粘度を求める
方法に関するものであり、特に非ニュートン流体または
チクソトロピー性を有する流動体の粘度を求める方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在においては、電子機器の高密度化、
複合化の要求が一層大きくなってきているが、このよう
な要求に応えるハイブリッド・マイクロエレクトロニク
ス技術においては、基板上に各種の機能を具備する能動
素子、並びに抵抗、コンデンサなどの受動素子を適宜組
み合せて実装することによりハイブリッド・モジュール
が実現される。
【0003】而して、ハイブリッド集積回路の製造にお
いては、その最初の段階において基板に対する印刷工程
がある。この印刷工程は、導電ペースト、抵抗ペース
ト、誘導ペースト、ハンダペーストなどのいわゆるペー
スト類、レジストインク、その他の機能材料インクなど
のペーストが、通常、スクリーン印刷によって基板上に
印刷されることによって行われる。
【0004】このようなペーストによる印刷において
は、ハイブリッド集積回路に要求される高い精度を満足
させるために、印刷膜厚および印刷パターンの精度に大
きな影響を及ぼすペーストの粘度を厳密に管理・制御す
ることが重要である。具体的には、ペーストは、その適
用に際して、その状態を十分に均一なものとするために
混練されるが、その混練されたペーストについて、その
粘度を厳密に制御することが重要であり、スクリーン印
刷において精巧なスクリーン印刷を達成するためには、
当該印刷機上で印刷版に塗布されるペーストの粘度を正
確に管理することが必要である。
【0005】具体的に説明すると、図1はスクリーン印
刷機1の一例の概略図を示し、2は基板設置面、3は印
刷がなされる基板である。この基板3は、図示されてい
ない固定部材によって基板設置面2に固定される。4は
スキージであって支持部材5によって支持されており、
支持部材5は、ペースト供給パイプを兼ねた固定部材6
によって移動台7に固定されている。
【0006】図2は、ペースト8をスキージ4によって
塗布する部分の拡大図であり、モータ(図示せず)によ
って移動台7が移動させられることによってスキージ4
が矢印A方向に移動され、これにより、スクリーン9を
介してペースト8が基板3上に塗布されて印刷がなされ
る。ペーストは、スクリーン印刷機1の本体内のタンク
に貯蔵され、適度な粘度となるように混練された状態
で、固定部材6および支持部材5を介して、スキージ4
の進行方向手前に供給される。この供給されたペースト
8について、その粘度を管理することが必要であり、そ
のためにその粘度を正確に求めることが必要とされてい
る。
【0007】従来、この種のペーストの粘度管理は、印
刷技術者の経験または実験室的な計測によってなされて
いるのが現状である。例えばスクリーン印刷機に回転粘
度計を設け、これによりペーストの粘度を測定すること
が知られているが、従来から用いられている粘度計は、
ペースト容器内のペースト中で回転する回転体を有し、
単に当該回転体に対する回転抵抗または当該回転体に生
ずる回転トルクをそのまま当該ペーストの粘度として採
用するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
粘度計では、非ニュートン流体の性質またはチクソトロ
ピー性を有するペースト等の流動体については、正確な
粘度を求めることは事実上不可能であり、測定の度毎に
得られる粘度値が異なったものとなることは、当業者に
認められているところである。それは、非ニュートン流
体としての性質またはチクソトロピー性を有するペース
トの粘度は、温度や湿度などの周囲環境条件の影響を受
けることを無視したとしても、ペーストの混練中並びに
混練後にも変化するようになるところ、従来の回転粘度
計においては、ペーストを定常的なずり状態に置くこ
と、すなわちペーストのずり時間が一定となる状態を得
ることができないからである。
【0009】回転粘度計において、ずり時間が一定とな
る条件を実現しようとしてペーストを強制的に循環させ
ることも試みられたが、この場合には、ペーストを強制
循環させるためにペーストに作用される外力が回転トル
クに影響を及ぼすため、検出される回転トルクがペース
トの粘度に厳密に対応したものとならず、結局、正確な
粘度を求めることができない。なお、落下方式のペース
ト強制循環方式においては、ずり時間が一定となる状態
を得ることができず、従って正確な粘度を求めることが
できない。
【0010】以上のように、従来においては、非ニュー
トン流体の性質またはチクソトロピー性を有するペース
ト状の流動体については、ずり時間が一定となる状態を
得ることができないため、ずり速度を特定することがで
きず、結局、対象とする流動体について正確な粘度を求
めることができない、という問題点がある。本発明は、
以上のような問題を解決し、対象とする流動体が非ニュ
ートン流体の性質またはチクソトロピー性を有する場合
にも、当該流動体に対するずり時間が一定となる状態が
実現され、またその状態におけるずり速度を十分に特定
することができ、従って当該流動体の粘度を容易にかつ
正確に求めることのできる方法を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る流動体の粘
度を求める方法は、回動自在に支持された静止側部材
と、この静止側部材との間に筒状の微小空隙部を介して
対向するよう設けられた、一定の回転速度で回転される
回転体と、前記静止側部材と回転体とにおける、前記微
小空隙部を介して互いに対向する2つの周面の少なくと
も一方に形成された、前記回転体が前記静止側部材に対
して回転することにより前記微小空隙部内で流動体を上
昇させるスパイラル状の流動体案内溝と、外力が作用さ
れていない流動体中に没入され、前記回転体が前記静止
側部材に対して回転することにより、前記微小空隙部に
流動体を流入させるための流動体流入口、並びに微小空
隙部から流動体を外部に排出させるための流動体排出口
と、前記微小空隙部内において流動体の粘性によって前
記静止側部材に生ずる回転トルクを電気信号として検出
する回転トルク検出手段とを設けてなる回転粘度計を用
い、前記流動体案内溝が形成された周面について、下記
のように定義される合成ずり速度DC を求め、この合成
ずり速度と、下記のように定義される合成回転トルクM
C として検出される回転トルクとにより、流動体の粘度
を求めることを特徴とする。 合成ずり速度 DC =D1 (A1 /A)+D2 (A2
A) D1 :流動体案内溝の谷部におけるずり速度 D2 :流動体案内溝の山部におけるずり速度 A1 :流動体案内溝の谷部の全部の周面の合計表面積 A2 :流動体案内溝の山部の全部の周面の合計表面積 A :A1 とA2 の合計 合成回転トルク MC =M1 +M21 :流動体案内溝の谷部における回転トルク M2 :流動体案内溝の山部における回転トルク
【0012】本発明の流動体の粘度を求める方法は、更
に、請求項1に記載の回転粘度計を用い、前記微小空隙
部を画成する外側周面におけるずり速度をDA 、内側周
面におけるずり速度をDB とするとき、下記のように定
義される平均ずり速度DM を、流動体案内溝の谷部およ
び山部についてそれぞれ求める方法に従い、前記流動体
案内溝の谷部についての合成平均ずり速度DM1および山
部についての合成平均ずり速度DM2を求め、これらの合
成平均ずり速度DM1および合成平均ずり速度DM2をそれ
ぞれ請求項1に記載のD1 およびD2 として用いること
を特徴とする。 平均ずり速度 DM =(DA +DB )/2
【0013】
【作用】このような方法によれば、回転トルクを検出す
るための回転粘度計においては、互いに対向する静止側
部材と回転体との間に形成される筒状の空隙部が微小で
あること、並びに当該微小空隙部に係る2つの周面の少
なくとも一方の周面に進み角および深さが十分に小さい
スパイラル状の流動体案内溝が形成されていることによ
り、当該微小空隙部においては流動体が流動体案内溝に
よって定常的に上昇して流れる状態が実現され、従って
当該流動体が非ニュートン流体の性質またはチクソトロ
ピー性を有する場合にもずり時間が実質的に一定となる
状態が得られ、その結果、微小空隙部内の流動体につい
てずり速度の大きさをきわめて正確に近似させた状態で
特定することができるため、当該流動体の粘度を高い精
度で正確に求めることができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
図3は、本発明の流動体の粘度を求める方法に用いられ
る回転粘度計の構成の一例を示す。この回転粘度計10
は、中空の筒状の粘度計本体11を有し、その上部開口
は上蓋板12により閉じられ、下部開口は貫通孔を有す
る下蓋板13によって閉じられている。粘度計本体11
の下蓋板13には、円筒状の軸受ハウジング14が固定
されており、この軸受ハウジング14の上,下の開口部
にはボールベアリング15,16が設けられ、このボー
ルベアリング15,16によって中空の回転軸17が回
転自在に軸支されている。
【0015】回転軸17の下端部は、下蓋板13に形成
された貫通孔から突出しており、この突出した回転軸1
7の下端部の外周部には回転円筒体18が固定されてお
り、従って回転円筒体18は回転軸17と一体に回転さ
れる。軸受ハウジング14の上端には固定板19が固定
され、この固定板19にギヤードモータ20が支持され
ている。このギヤードモータ20の回転軸21にはギア
22が固定されており、このギア22は、回転軸17の
外周に固定されたギア23と噛合されている。
【0016】回転軸17の中空部内にはシャフト24が
同軸的に挿入されており、このシャフト24は、回転円
筒体18の上部内周部に設けられたボールベアリング2
5により、回転自在に支持されている。このシャフト2
4の下端部には静止側円柱体26が固定されており、こ
の静止側円柱体26と回転円筒体18との間には、ペー
スト流通用空隙となる筒状の微小空隙部27が形成され
ている。
【0017】回転円筒体18の下端開口部には、当該開
口を閉じる蓋28が固定されると共に、当該回転円筒体
18の下端の周壁部には、これを貫通するようペースト
流入口29が形成されている。このペースト流入口29
の代わりに、蓋28を除去して回転円筒体18の下端開
口部をペースト流入口とすることもできる。回転円筒体
18の上端側には、微小空隙部27からのペーストを外
部に排出させるためのペースト排出口30が形成されて
いる。
【0018】微小空隙部27に面する回転円筒体18の
内周面には、軸方向にペーストを案内するための螺旋状
のスパイラル溝31が形成され、その深さは微小なもの
とされている。このスパイラル溝31の螺旋の方向は、
回転円筒体18の回転により、ペーストが上昇される方
向である。そして、当該スパイラル溝31に係る螺旋の
進み角の大きさは、3〜10度の範囲内であることが好
ましい。
【0019】前記固定板19上には円筒状の軸受ハウジ
ング33が固定されており、その一部にスリット34が
形成されている。そして、シャフト24の上端部には、
検出軸35が固定され、軸受ハウジング33の上端開口
部の内周に設けられたボールベアリング36によって検
出軸35が回動自在に軸支されている。軸受ハウジング
33の上部には、検出軸35の上下方向における振動を
防止するために上下止めリング37が固定されている。
この上下止めリング37により、静止側円柱体26の上
下方向の振動が防止され、これにより、ペーストの移動
路長の変化が防止されると共に、後述の回転トルク変換
センサ39の上下方向の振動が防止される。
【0020】符号38は板バネを示し、この板バネ38
の基端部は検出軸35に固定され、先端部はスリット3
4内に挿入されてその一方の切欠壁面に弾力的に圧接さ
れ得る状態とされており、これと反対の面には、静止側
円柱体26に生じる回転トルクの大きさを電気抵抗値変
化信号に変換する歪みゲージよりなる回転トルク変換セ
ンサ39が取り付けられている。
【0021】以上において、前記スパイラル溝31と共
にまたはこれに代えて、微小空隙部27に面する静止側
円柱体26の外周面に、破線で示すように、既述のスパ
イラル溝31と同様のスパイラル溝32を形成してもよ
い。
【0022】本発明においては、例えば上記の構成によ
る回転粘度計10を用い、次のようにしてペーストの粘
度を求める。すなわち、粘度を求めるべき外力が作用さ
れていないペースト内に回転粘度計10における回転円
筒体18の先端部を挿入して、当該ペースト内にペース
ト流入口29を没入させる(図2参照)。
【0023】この状態でギヤードモータ20を一定の回
転速度で回転させると、その回転軸21に固定されたギ
ヤ22と噛合するギヤ23が回転するので、ギヤ23が
固定されている回転軸17が回転し、その結果、回転円
筒体18が静止側円柱体26に対して一定の回転速度で
回転する。この回転円筒体18の回転により、スパイラ
ル溝31の作用により、ペーストはペースト流入口29
から吸上げられ、微小空隙部27内に進入して当該微小
空隙部27内を上昇し、その後ペースト排出口30から
回転円筒体18の外部に排出されて元の状態に戻る。
【0024】以上のように、回転円筒体18が一定の回
転速度で回転されている状態においては、微小空隙部2
7内のペーストの粘度に対応した大きさの回転トルクが
静止側円柱体26に発生し、この回転トルクが検出軸3
5に伝達される。その結果、当該検出軸35は、その一
端がスリット34に挿入された板バネ38に抗して回動
し、その後当該回転トルクの大きさに応じた角度だけ回
動した状態で平衡となる。従って、回転トルク変換セン
サ39より、その抵抗値変化として当該回転トルクの大
きさを粘度信号として検出することができる。
【0025】而して、この回転粘度計10においては、
回転円筒体18が一定の回転速度で回転されることによ
り、ペーストに他の外力を作用させることなく、ペース
トを、スパイラル溝31の作用のみにより、微小空隙部
27を流過させ、循環させることができる。しかも当該
スパイラル溝31の進み角は例えば3〜10度と小さ
く、その深さも微小なものであるため、微小空隙部27
内のペーストは定常流の状態となり、その結果、ペース
トがペースト流入口29を介して微小空隙部27に進入
した時点から、当該ペーストが微小空隙部27からペー
スト排出口30を介して排出されるまでの時間、即ちず
り時間が一定となった状態となる。
【0026】このように、微小空隙部27内のペースト
が定常流であってずり時間が一定となった状態が得られ
ることにより、当該回転粘度計10におけるずり速度を
正確に求めることが可能となるので、上記のペーストの
粘度信号から、以下のようにして当該ペーストの粘度を
求めることができる。
【0027】回転粘度計により非ニュートン流体につい
てその粘度を正確に求めるためには、ずり時間が一定と
なる状態において、更にずり速度が一定でしかもその大
きさを求めることができることが必要である。而して回
転粘度計10においては、その回転円筒体18の内周面
にはスパイラル溝31が形成されているが、このスパイ
ラル溝31はその進み角が十分に小さくて深さも小さ
く、微小空隙部27も微小であるから、回転粘度計10
における回転円筒体18の半径としてスパイラル溝31
の山部と谷部の表面積比を考慮した等価半径を採用する
ことができる。
【0028】従って、図5に示すように、回転円筒体1
8の内周の等価半径をR1 、静止側円柱体26の半径を
2 、静止側円柱体26の高さをh、回転円筒体18の
回転数をN(rpm)とし、微小空隙部27におけるペ
ーストの速度における水平方向速度成分の変化分すなわ
ちずり速度をD(sec-1)とすると、ずり速度Dは下
記の式(1)で与えられる。 D=(4πNR1 2 )/〔(R1 2 −R2 2 )×60〕 …(1)
【0029】この式(1)によって与えられるずり速度
の値を用いたときに、ペーストの粘度ηは、静止側円柱
体に生ずる回転トルクをMとすると、下記の式(2)で
与えられる。 η=〔7.5M(R1 2 −R2 2 )〕/R1 22 2 π2 hN …(2) 従って、回転トルク変換センサ39によって得られる粘
度信号から回転トルクMを求めることにより、式(2)
により、ペーストの粘度ηを求めることができる。
【0030】なお、静止側円柱体26の外周面にスパイ
ラル溝32を形成した場合には、静止側円柱体26の半
径R2 について、同様にスパイラル溝32の山部と谷部
の表面積比を考慮した等価半径を採用することができ
る。
【0031】以上のように、スパイラル溝が形成されて
いる周面に等価半径を採用することができる結果、回転
粘度計10については、回転トルクMおよびずり速度D
として、以下に説明する合成回転トルクMC および合成
ずり速度DC を採用することができる。
【0032】図6に示すように、回転円筒体18の内周
の半径をr1 、静止側円柱体26におけるスパイラル溝
31の山部31aの半径をr2 、同スパイラル溝31の
谷部31bの半径をr3 とした場合において、 M1 :回転円筒体18と静止側円柱体26の谷部31b
間の回転トルク M2 :回転円筒体18と静止側円柱体26の山部31a
間の回転トルク D1 :回転円筒体18と静止側円柱体26の谷部31b
間のずり速度 D2 :回転円筒体18と静止側円柱体26の山部31a
間のずり速度 とすると、回転粘度計10における合成回転トルクMc
および合成ずり速度DCは、式(3)および式(4)に
よって表わされる。 合成回転トルク MC =M1 +M2 …(3) 合成ずり速度 DC =D1 (A1 /A)+D2 (A2
/A) …(4) 但し、A1 :静止側円柱体26の谷部31bの全部の周
面の合計表面積 A2 :静止側円柱体26の山部31aの全部の周面の合
計表面積 A=A1 +A2 …(5) ここに、D1 およびD2 は式(1)から求めることがで
きる。
【0033】式(4)は、以下のようにして求められた
ものである。今、静止側円柱体26に作用する粘性力を
Fとすると、この粘性力Fは回転トルクMの関数であ
り、式(6)で表わされる。 F=η1 1 1 +η2 2 2 =ηDA …(6) 但し、η :ペーストの合成ずり速度粘度 η1 :谷部31bのペーストの粘度 η2 :山部31aのペーストの粘度
【0034】ここで、ペーストが非ニュートン流体であ
っても、スパイラル溝31の深さが小さいときには、ず
り速度D1 とD2 の差は十分に小さくなるので、粘度に
ついてη1 =η2 と見做すことができる。この条件を考
慮すると、式(6)から粘度の因子η,η1 およびη2
を消去することができ、その結果、式(4)を得ること
ができる。
【0035】以上のようにして、回転粘度計10につい
て、スパイラル溝に係る山部と谷部の存在を考慮した合
成回転トルクMC および合成ずり速度DC が得られるの
で、これらを用いることにより式(6)から、ペースト
の粘度を正確に求めることができる。
【0036】次に、一層高い精度でペーストの粘度を求
める方法について説明する。一般にペーストは、高粘度
の非ニュートン流体としての性質を有するため、測定さ
れる粘度値はその時のずり速度における見掛けの値であ
り、ずり速度が変化することによって見掛けの粘度値も
変動する。
【0037】図7および図8はこのような非ニュートン
流体についての流動曲線62および流動曲線63を示
し、横軸は回転体の回転数またはずり速度D、縦軸は回
転トルクまたはずり応力である。図中、点線で示す直線
64、65および66は、ニュートン流体についての流
動曲線である。ニュートン流体であれば、直線64、6
5および66に示されるように、回転数と回転トルクは
比例的に変化し、原点からそれぞれθ、θ1 およびθ2
の傾きで直線状に伸びるものとなる。
【0038】然るに、ペーストなどの非ニュートン流体
の場合には、回転数の変化率に対する回転トルクの変化
率が一定ではなく、湾曲した曲線となる。そして、流体
の種類によって降伏値fy の大きさが異なる。すなわ
ち、粘度ηは、κを比例定数として、 η=κ(ずり応力M)/(ずり速度D)=κM/D=κtan θ …(7) で表わされる。
【0039】以上のことを考慮して、下記に説明する平
均ずり速度DM を適用することにより、一層高い精度で
粘度を求めることができる。この平均ずり速度DM は、
微小空隙部におけるペーストの半径方向におけるずり速
度の分布を、直線状の分布と考えたものである。
【0040】図5を参照して、既述と同様の定義に従
い、微小空隙部27の回転円筒体18の内周面における
ずり速度をDA 、静止側円柱体26の外周面におけるず
り速度をDB とすると、DA およびDB は式(8)およ
び式(9)で表わされる。 DA =〔2R2 2 /(R1 2 −R2 2 )〕×(2πN/60) …(8) DB =〔2R1 2 /(R1 2 −R2 2 )〕×(2πN/60) …(9) 然るに、ずり速度の分布を直線状であると考えることに
より、式(10)により平均ずり速度DM を定義するこ
とができる。 DM =(DA +DB )/2 =〔(R1 2 +R2 2 )/(R1 2 −R2 2 )〕×(2πN/60)…(10)
【0041】この平均ずり速度の考え方に従って、スパ
イラル溝31の谷部31bについての合成平均ずり速度
M1および山部31aについての合成平均ずり速度DM2
を求め、これらを式(4)におけるD1 およびD2 とし
て用いることにより、微小空隙部27内のペーストのず
り速度を一層高い精度で定義することができるので、一
層正確にペーストの粘度を求めることができる。
【0042】応用例 回転粘度計10によれば、更に回転数を変えることによ
って、ペーストの流動特性を表わす流動曲線を求めるこ
とができる。ニュートン流体の場合のように、流動曲線
が原点から直線状に伸びるものであれば、ずり速度に対
する粘度は常に一定である。しかしながら、図7および
図8に示すように、非ニュートン流体の場合には、粘度
はずり速度に依存するから、ずり速度Dが異なれば角度
θの大きさが異なり、従って流動曲線の一点に相当する
粘度値を求めても、その値のみでは正確な情報とはなら
ない。
【0043】従って、回転粘度計10の回転円筒体18
の回転数を変え、少なくとも2点、例えばθ1 とθ2
ときの粘度値を求め、チクソトロピー性の程度を示すチ
クソ指数としてそれらの比を求めることにより、当該ペ
ーストについての流動曲線の概略的な状態を特定するこ
とができる。すなわち低い回転数DL の時の粘度を
ηL 、高い回転数DU の時の粘度をηUとするとき、チ
クソ指数はηL /ηU で表わされる。
【0044】図4は、本発明に用いられる他の構成の回
転粘度計10Aを示す。この回転粘度計10Aにおいて
は、粘度計本体11の上部開口が上蓋板12により閉じ
られ、下部開口が下蓋板13により閉じられている。下
蓋板13には軸受ハウジング41が固定され、この軸受
ハウジング41に設けられたボールベアリング40によ
って静止側円筒体42が回動自在に支持されている。静
止側円筒体42の下端は閉じられた構造とされている。
【0045】静止側円筒体42の上端部にはペースト排
出口43が形成され、下端部にはペースト流入口44が
形成されている。静止側円筒体42の上端部には、円筒
状の検出体45が固定されている。この検出体45の
上,下の開口端部には、ボールベアリング46,47に
よって回転軸48が回転自在に支持されている。回転軸
48の下端部には、回転円柱体49が固定されており、
この回転円柱体49と静止側円筒体42との間に円筒状
の微小空隙部50が形成されている。そして、この回転
円柱体49の外周面にはスパイラル溝51が形成されて
おり、このスパイラル溝51は、回転粘度計10におけ
るスパイラル溝32と同様に、その進み角が3〜10度
の微小なものとされることが好ましい。
【0046】このスパイラル溝51と共にあるいはこれ
に代えて、微小空隙部50に面する静止側円筒体42の
内周面には、回転粘度計10におけるスパイラル溝31
と同様に、スパイラル溝52を形成してもよい。
【0047】下蓋板13の上には固定板53が固定さ
れ、この固定板53には固定部材54が固定され、この
固定部材54に板バネ38の基端部が固定されている。
上記検出体45の側面の一部にはスリット55が形成さ
れ、このスリット55内に、上記板バネ38の先端部が
挿入されている。更に、この板バネ38の外面には、回
転トルク変換センサ39が取り付けられている固定板5
3と粘度計本体11間には固定板56が横架され、この
固定板56にはギヤードモータ20が固定されている。
そして、このギヤードモータ20の回転軸21にはギヤ
22が固定されており、このギヤ22は、回転軸48に
固定されたギヤ23と噛合している。
【0048】粘度計本体11におけるギヤ22,23の
上方には、透孔57を有する固定板58が横架固設さ
れ、この固定板58上には、透孔57を囲むよう軸受ハ
ウジング59が固設されている。この軸受ハウジング5
9の内面にはボールベアリング60が設けられており、
これによって回転軸48の上端部が回動自在に支持され
ている。
【0049】軸受ハウジング59の上端部には回転軸上
下方向振動防止体61が固定されており、この回転軸上
下方向振動防止体61により、回転円柱体49の上下方
向の振動が防止され、これにより、ペーストの移動路長
の変化が防止されると共に、回転トルク変換センサ39
の上下方向の振動が防止される。
【0050】この回転粘度計10Aにおいては、ギヤー
ドモータ20が駆動されることにより、既述の回転粘度
計10の場合と同様に、回転円柱体49が一定の回転速
度で回転し、これにより、ペースト流入口44から微小
空隙部50内にペーストが流入してペースト排出口43
から排出され、微小空隙部50内のペーストの粘度に対
応した回転トルクが静止側円筒体42に生じ、スリット
55内にその先端部が挿入された板バネ38に抗して検
出体45が平衡状態となるまで回動し、その結果、回転
トルクを検出することができる。
【0051】そして、この回転粘度計10Aにおいて
も、上記の回転粘度計10と同様に、ずり時間が一定と
なる状態が得られ、同様の方法に従って合成ずり速度D
C および合成回転トルクMC 並びに平均ずり速度DM
適用することにより、正確にペーストの粘度を求めるこ
とができる。
【0052】本発明においては種々の変更を加えること
ができ、例えば、上記の実施例における各回転粘度計に
おいては、回転トルク変換センサとして歪みゲージより
なるものが用いられているが、他の回転トルクを電気信
号の変化として検出することのできる他の素子、例えば
圧電素子、感圧素子などよりなる回転トルク変換センサ
を用いることもできる。
【0053】本発明において用いる回転粘度計における
スパイラル溝の進み角は、既述のように3〜10度であ
ることが好ましい。当該進み角が10度を超える場合に
は、微小空隙部内のペーストの移動(流れ)における上
昇方向成分の割合が大きくなると共に、回転トルクを生
じさせる円周方向成分の割合が小さくなり、その結果、
微小空隙部内を移動する当該ペーストのすべての部分に
ついて、ずり時間が一定となる状態を得ることが困難と
なる。一方、スパイラル溝の進み角が3度未満の場合に
は、微小空隙部内を流れるペーストの量が非常に僅かと
なるため、測定に長時間を要することとなり、実用上問
題となる。
【0054】本発明の回転粘度計には、例えば微小空隙
部の近傍に温度センサを設け、これにより、必要な温度
補正を行うことができる。
【0055】
【発明の効果】本発明の方法によれば、回転トルクを検
出するための回転粘度計においては、互いに対向する静
止側部材と回転体との間に形成される筒状の空隙部が微
小であること、並びに当該微小空隙部に係る2つの周面
の少なくとも一方の周面に進み角および深さが十分に小
さいスパイラル状の流動体案内溝が形成されていること
により、当該微小空隙部においては流動体が流動体案内
溝によって定常的に上昇して流れる状態が実現され、従
って当該流動体が非ニュートン流体の性質またはチクソ
トロピー性を有する場合にもずり時間が実質的に一定と
なる状態が得られ、その結果、微小空隙部内の流動体に
ついてずり速度の大きさをきわめて正確に近似させた状
態で特定することができるため、当該流動体の粘度を高
い精度で正確に求めることができる。従って、本発明の
流動体の粘度を求める方法は、スクリーン印刷機のペー
ストの粘度測定にきわめて有効に適用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリーン印刷機の一例の概略を示す斜視図で
ある。
【図2】図1のスクリーン印刷機のスキージによる塗布
部の説明用拡大図である。
【図3】本発明の実施に用いられる回転粘度計の一例の
縦断面図である。
【図4】本発明の実施に用いられる回転粘度計の他の例
の縦断面図である。
【図5】流動体の粘度を求める方法についての説明図で
ある。
【図6】流動体の粘度を求める方法についての説明図で
ある。
【図7】非ニュートン流体についての流動曲線を示す曲
線図である。
【図8】非ニュートン流体についての流動曲線を示す曲
線図である。
【符号の説明】
1 スクリーン印刷機 2 基板設置面 3 基板 4 スキージ 5 支持部材 6 固定部材 7 移動台 8 ペースト 9 スクリーン 10 回転粘度計 11 粘度計本体 12 上蓋板 13 下蓋板 14 軸受ハウジン
グ 15,16 ボールベアリング 17 回転軸 18 回転円筒体 19 固定板 20 ギヤードモータ 21 回転軸 22,23…ギア 24 シャフト 25,36 ボールベアリング 26 静止側円柱体 27 微小空隙部 28 蓋 29 ペースト流入口 30 ペースト排出
口 31 スパイラル溝 32 スパイラル溝 33 軸受ハウジング 34 スリット 35 検出軸 37 上下止めリン
グ 38 板バネ 39 回転トルク変
換センサ 10A 回転粘度計 40,46 ボール
ベアリング 41 軸受ハウジング 42 静止側円筒体 43 ペースト排出口 44 ペースト流入
口 45 検出体 47,60 ボール
ベアリング 48 回転軸 49 回転円柱体 50 微小空隙部 51 スパイラル溝 52 スパイラル溝 53 固定板 54 固定部材 55 スリット 56 固定板 57 透孔 58 固定板 59 軸受ハウジン
グ 61 回転軸上下方向振動防止体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動自在に支持された静止側部材と、 この静止側部材との間に筒状の微小空隙部を介して対向
    するよう設けられた、一定の回転速度で回転される回転
    体と、 前記静止側部材と回転体とにおける、前記微小空隙部を
    介して互いに対向する2つの周面の少なくとも一方に形
    成された、前記回転体が前記静止側部材に対して回転す
    ることにより前記微小空隙部内で流動体を上昇させるス
    パイラル状の流動体案内溝と、 外力が作用されていない流動体中に没入され、前記回転
    体が前記静止側部材に対して回転することにより、前記
    微小空隙部に流動体を流入させるための流動体流入口、
    並びに微小空隙部から流動体を外部に排出させるための
    流動体排出口と、 前記微小空隙部内において流動体の粘性によって前記静
    止側部材に生ずる回転トルクを電気信号として検出する
    回転トルク検出手段とを設けてなる回転粘度計を用い、 前記流動体案内溝が形成された周面について、下記のよ
    うに定義される合成ずり速度DC を求め、この合成ずり
    速度と、下記のように定義される合成回転トルクMC
    して検出される回転トルクとにより、流動体の粘度を求
    めることを特徴とする流動体の粘度を求める方法。 合成ずり速度 DC =D1 (A1 /A)+D2 (A2
    A) D1 :流動体案内溝の谷部におけるずり速度 D2 :流動体案内溝の山部におけるずり速度 A1 :流動体案内溝の谷部の全部の周面の合計表面積 A2 :流動体案内溝の山部の全部の周面の合計表面積 A :A1 とA2 の合計 合成回転トルク MC =M1 +M21 :流動体案内溝の谷部における回転トルク M2 :流動体案内溝の山部における回転トルク
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の回転粘度計を用い、前
    記微小空隙部を画成する外側周面におけるずり速度をD
    A 、内側周面におけるずり速度をDB とするとき、下記
    のように定義される平均ずり速度DM を、流動体案内溝
    の谷部および山部についてそれぞれ求める方法に従い、
    前記流動体案内溝の谷部についての合成平均ずり速度D
    M1および山部についての合成平均ずり速度DM2を求め、
    これらの合成平均ずり速度DM1および合成平均ずり速度
    M2をそれぞれ請求項1に記載のD1 およびD2 として
    用いることを特徴とする流動体の粘度を求める方法。 平均ずり速度 DM =(DA +DB )/2
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100349742B1 (ko) * 1999-12-29 2002-08-22 현대자동차주식회사 회전 교반봉을 이용하는 반응고 금속의 고온 점도측정장치의 토오크 측정 방법
WO2008091120A1 (en) * 2007-01-25 2008-07-31 Seoul National University Industry Foundation Mixed-flow rheometer

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KR100877494B1 (ko) * 2007-01-25 2009-01-09 재단법인서울대학교산학협력재단 혼합유동 레오미터

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