JPH0658607B2 - 蒸気用減圧弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は蒸気系に用いる減圧弁に関し、特に減圧弁に復
水や塵埃・異物が入らないようにするものに関する。

減圧弁は二次側の圧力を検出して、被制御流体の圧力エ
ネルギーを利用して作動することにより、二次側の圧力
を一次側よりも所定値だけ低い圧力に維持する自力式の
調整弁であり、塵埃や異物が弁体と弁座の間に挾まった
り、弁面を損傷したり、受圧ピストンとシリンダの摺動
部に挾まったりすると、完全閉止ができなくなり、二次
側の圧力が一次側の圧力まで上昇してしまい、二次側に
接続した蒸気使用機器等を損傷してしまうなどの障害が
生じる。

また、蒸気は冷却されると凝縮して復水になり、特に、
蒸気の通気初期は配管系が低温であるので多量の復水が
発生し、蒸気用減圧弁には多かれ少なかれ蒸気と共に復
水が流入する。この復水のために、減圧弁はハンチング
・チャタリング現象等を生じ振動が発生し、作動に支障
をきたすばかりでなく、配管系にウォータハンマを誘発
して連結した機器を損傷したり、また復水に接する部分
が腐食しやすくなり、寿命を縮める原因となる。

従来技術 復水や塵埃・異物等の流入を防止した従来の減圧弁とし
て、例えば実願昭５８−１６７１５１号で提案したもの
がある。これは、ストレーナのスクリーンの不流側と、
減圧弁の主弁の上流側とを連通する通路の底部に、スチ
ームトラップの入口を開口させたものであり、スクリー
ンにより比較的大きな塵埃や異物を捕捉し、スクリーン
を通過してきた復水や比較的小さな塵埃・異物は、通路
底部に設けたスチームトラップへ自然流下により流入せ
しめて系外に排除するものである。

本発明が解決しようとする問題点 上記従来の減圧弁においても、微細な塵埃や異物を確実
に捕捉することができずに、その一部が減圧弁に流入し
て、減圧弁が完全閉止ができず、漏れが生じて二次側の
圧力が上昇してしまう問題があった。

これは、スクリーンを通過した微細な塵埃や異物を、蒸
気に対する相対的な比重の大きさや、復水との親水性・
付着作用でもって、スチームトラップ内へ自然流下させ
て排除しようとするものであり、一部が蒸気の流れによ
って巻込まれ減圧弁に流入してしまうためである。

従って本発明の技術的課題は、ストレーナを通過した微
細な塵埃や異物を減圧弁に至るまでに確実に系外に排除
してしまうことである。

問題点を解決するための技術的手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術
的手段は、弁本体で入口と弁口と出口を形成し、弁口の
二次側の圧力を検出し、被制御流体の圧力エネルギーを
利用して作動し、二次側を所定の減圧状態に維持する自
力式調整弁としての減圧弁において、減圧弁の入口側に
流体中の所定大きさの異物や塵埃を漉し取るストレーナ
を設け、該ストレーナと減圧弁の弁口との間に被制御流
体を旋回せしめて遠心力を生じる旋回流発生手段を設
け、該旋回流発生手段に、系外と連通遮断して復水や塵
埃・異物を排除する排除弁を連通したものである。

ここで、旋回流は流体通路の内壁や、羽根や、孔の方向
によって流体を所定の方向に向かわせることによって起
こすことができる。例えば、弁口の周りに環状の通路を
形成し、そこに羽根を配置したり、孔を設けたりする。

また、ストレーナは、例えば、円筒形状のスクリーンを
上記の環状通路を囲んで配置する。

復水排除弁は適当な時期に手動で開閉する弁でも、常時
一定量流出するオリフィスでもよいが、好ましくは、ス
チームトラップ、それも弁室内に圧力変動を引き起こさ
ないフロート式スチームトラップが適している。

作用 上記の技術的手段の作用は下記の通りである。

蒸気は先ずストレーナに入り、スクリーンの漉し孔より
も大きい塵埃・異物はそこでスクリーンに捕捉される。
スクリーンを通過した蒸気及び復水と微細な塵埃・異物
は旋回流発生手段により旋回し、遠心力の作用で蒸気よ
り質量の大きい復水と塵埃・異物は外側を周り、周囲の
壁を伝わって落下あるいは滴下し、排除弁で系外に排除
される。質量の小さな蒸気は旋回流の中央部にあって減
圧弁の弁口に向かう。

特有の効果 ストレーナのスクリーンを通過する微細な塵埃・異物は
減圧弁の弁口に至るまでに、遠心力により蒸気から分離
されて系外に排除されるので、弁部や摺動部での挾み込
み、弁部の摩耗・損傷がなくなり、不完全閉止もなくな
る。

フロート式スチームトラップ等の復水排除弁はストレー
ナの下流に位置するので、ストレーナを減圧弁と排除弁
とに兼用できる。

旋回流を起こして復水と微細な塵埃・異物を分離するの
で、分離効率が極めて良くなる。

実施例の説明 上記の技術的手段の具体例を示す実施例（第１図参照）
を説明する。

減圧弁１の本体２４に入口１３と出口１４が形成され、
両者は弁口８を通して連通している。弁口８を開閉する
主弁７は弁棒で受圧ピストン５に連結している。

ピストン５の背圧はパイロット弁２で制御される。入口
側の圧力は通路６でパイロット弁２に導かれる。パイロ
ット弁２はスプリング４で弾性的に付勢されたダイヤフ
ラム３で操作される。ダイヤフラム３の下面には通路２
５を通して出口側の圧力が作用する。

ダイヤフラム３の下面に作用する出口側圧力による上方
向の荷重が、スプリング４の弾性力による下方向の荷重
よりも小さなもの、すなわち出口側の圧力が所定値より
も低いものとなると、ダイヤフラム３がスプリング４の
弾性力により、下方向に撓んでパイロット弁２が開弁す
る。パイロット弁２が開弁することにより、入口側の高
圧流体が通路６を通り、パイロット弁２からピストン５
の背面に作用する。ピストン５は入口圧力により下方に
変位して連結している主弁７も同じく変位することによ
り、弁口８が開口され、入口１３側の高圧流体が出口１
４側すなわち二次側に供給される。スプリング４の弾性
力は調節ねじにより外部から任意に調節することができ
る。出口１４側の圧力は通路２５を通ってダイヤフラム
３の下面に作用しており、入口側の流体が供給され上昇
した圧力はダイヤフラム３に作用する。圧力が所定値上
昇して、ダイヤフラム３に作用する上方向の荷重と、ス
プリング４による下方向の荷重が釣り合うと、パイロッ
ト弁２が閉弁してピストン５背面への入口側流体の供給
が停止され、主弁７は入口側と出口側の差圧等によって
閉弁する。このように減圧弁１の弁口８が、流体の圧力
エネルギーにより自力的に開閉されて、二次側を所定の
減圧状態に維持する。

弁口８を囲んで円筒形状の隔壁９を設け、さらにその隔
壁９に円筒形状の障壁１６を延長的に螺着し、環状通路
１１を形成する。環状通路１１の外側は円筒形状のスク
リーン１０で囲む。スクリーン１０の外周には入口１３
に連通した環状空間２６を形成する。

環状通路１１の下部には、旋回流発生手段としての旋回
羽根１２と末広がりの水切り部材１５を、隔壁９と障壁
１６の間に挾んで配置する。旋回羽根１２は環状通路１
１の全周に突出し、各羽根が同一方向に斜に曲げてあ
る。

本体２４にトラップ本体２７をボルト２３で取り付け、
トラップ本体２７に下蓋２８をボルト２９で取り付け
る。内部の弁室１９には球形の中空フロート２０を自由
状態で収容する。下蓋２８には弁座２１を取り付ける。
中空フロート２０と弁座２１とで排除弁を構成する。参
照番号２２は排水口である。

障壁１６を形成する部材は中心部に主弁７の弁棒を案内
する部材３０を有し、両者は横断壁で一体に形成してあ
り、横断壁には通気孔１７が開けてある。案内部材３０
の下端にフロートの天蓋１８を取り付ける。天蓋１８は
上に凸の球面の皿形状で、その外周縁はトラップ本体２
７の内周壁から離れており、その間に微小な空間が形成
される。天蓋１８の中央寄りの部位に通気孔を開けても
よい。

蒸気は入口１３から環状空間２６に入り、スクリーン１
０を通過して環状通路１１に入る。環状通路１１の蒸気
の一部は通路６を通してパイロット弁２に供給される。
他の大部分の蒸気は、弁口８が開くと、旋回羽根１２の
作用で一定方向に曲げられて旋回し、遠心力の作用で質
量の大きな復水と微細な塵埃・異物は外側を回って外周
壁に沿ってトラップの弁室１９に落下する。質量の小さ
な蒸気は障壁１６の下端を回ってその内部に入り、通気
孔１７から弁口８を通り出口１４に向かう。

旋回羽根１２の付着する復水は水切り部材１５の作用で
旋回の外側に振り出される。復水は天蓋１８の外周の空
き間を通して弁室に入り、蒸気で巻き上げられて減圧弁
の弁口８に運ばれることがない。同時に、旋回流れの影
響は天蓋１８で遮らてフロート２０に及ばない。

フロート２０は弁室１９内に溜った復水により浮力を生
じて上下動し、弁座２１に離着座して、蒸気を逃がすこ
となく復水のみを自動的に排出する。

この実施例のように、弁口の周りに環状通路１１を設け
てそこで旋回を起こすようにし、その環状通路１１を囲
んで円筒形状のスクリーン１０を配置する構造にすれ
ば、コンパクトな構造になり、小形になると共に、蒸気
がスクリーン１０の全周囲から流入するようになるの
で、スクリーン１０の目詰まり速度が遅くなり、塵埃・
異物のブロー間隔を長くできる。

また、復水排除弁にフロート式スチームトラップを用い
れば、復水を自動的に排除するだけでなく、弁室内の圧
力を変動させずに開閉弁するので、減圧弁の作動に影響
を及ばさない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の蒸気用減圧弁の断面図であ
る。 ７：主弁 ８：弁口、１０：環状通路 １２：旋回羽根、１３：入口 １４：出口 ２０：スチームトラップのフロート ２１：弁座、２６：環状空間

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】弁本体で入口と弁口と出口を形成し、弁口
   の二次側の圧力を検出し、被制御流体の圧力エネルギー
   を利用して作動し、二次側を所定の減圧状態に維持する
   自力式調整弁としての減圧弁において、減圧弁の入口側
   にストレーナを設け、該ストレーナと減圧弁の弁口との
   間に被制御流体を旋回せしめる旋回流発生手段を設け、
   該旋回流発生手段に、系外と連通遮断する排除弁を連通
   した蒸気用減圧弁。
2. 【請求項２】減圧弁の弁口を囲んで環状の通路を形成
   し、その環状通路に旋回流発生手段を配置した、特許請
   求の範囲第１項記載の蒸気用減圧弁。
3. 【請求項３】環状通路を囲んで円筒形状のスクリーンを
   配置した、特許請求の範囲第２項記載の蒸気用減圧弁。
4. 【請求項４】復水排除弁としてフロート式スチームトラ
   ップを用いた、特許請求の範囲第１項記載の蒸気用減圧
   弁。