JPH0657871B2 - 耐食性と導電性を兼ね備えた鋼板 - Google Patents

耐食性と導電性を兼ね備えた鋼板

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JPH0657871B2
JPH0657871B2 JP61244851A JP24485186A JPH0657871B2 JP H0657871 B2 JPH0657871 B2 JP H0657871B2 JP 61244851 A JP61244851 A JP 61244851A JP 24485186 A JP24485186 A JP 24485186A JP H0657871 B2 JPH0657871 B2 JP H0657871B2
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雄二 青山
勝敏 熊井
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大洋製鋼 株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は主としてアース取りや通電、電気溶接等導電性
を要する用途に用いられる鋼板で、鋼板の特徴の1つで
ある導電性を損なうことなく耐食性を向上した鋼板に関
する。
〔従来技術及び発明が解決しようとする問題点〕
鋼板は多くの特徴を有し広い範囲で使用されているが、
その多くの特徴の中でも導電性は重要な特徴の1つでア
ース取りや通電、電気溶接等利用分野は多い。一方、鋼
板にはさびるという問題が常に存する。
これに対し、導電性を確保するため未処理のままの使用
では耐食性の要求に応えられない。また、塗料に導電性
塗料を使用する方法(例えば特開昭57-189843)では導
電性が不十分であり、かつ、高価なためコスト高とな
る。また、鋼板に代えアルミ板等他の金属板を使用する
方法では鋼板に比べかなり導電性が劣る上強度等他の性
能も劣ってしまう。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明はこれらの問題点に鑑み、鋼板の導電性をはじめ
とする各種特徴を損なわずに耐食性を有する鋼板を提供
するもので、その要旨とするところは、化成処理を施し
た鋼板表面の凹凸の凹部全容積の5〜80%に相当する
塗料で塗装され、実質的に凹部が塗料で埋められたこと
を特徴とする耐食性と導電性を兼ね備えた鋼板である。
本発明において、鋼板表面の凹部全容積に対する塗料付
着量の割合は、単位面積当りの塗料体積を、単位面積当
りの鋼板表面の凹部全容積で除算した値である。
単位面積当りの塗料体積は、重量法あるいは塗料中にク
ロムを含有させ蛍光X線によってクロムの付着量を測定
し塗料の付着量に換算する方法により塗料付着量を測定
し塗膜比重より塗料体積に換算した値である。
単位面積当りの鋼板表面の凹部全容積は次の手順により
測定した値である。
鋼板の圧延方向、幅方向それぞれ5箇所ずつを任意に
選び鋼板表面の凹凸の状態を粗度計を使ってチャート紙
に表わす。測定距離は20mmとする。
チャート紙に表わされた鋼板表面の凹凸の状態それぞ
れについて画像処理装置を使って凹部の断面積を測定す
る。
鋼板の圧延方向、幅方向それぞれ夫々5箇所ずつにつ
いて測定した断面積を加算し、これを鋼板表面上の距離
200mm当りの代表的な断面積とする。
200mmに乗算すると単位面積になるような長さをま
でに測定した代表的な断面積に乗算し、これを単位面積
当りの鋼板表面の凹部全容積とする。
本発明の鋼板としては例えば冷延鋼板、溶融亜鉛めっき
鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金めっき鋼板、ステンレ
ス鋼板、電解クロム酸処理鋼板(TFS)等が挙げられる。
鋼板はクロメート系、リン酸亜鉛系、リン酸鉄系等の化
成処理を行なうことにより耐食性が向上するので、この
ような化成処理を行なう。
鋼板表面の凹凸の大きさは垂直方向の大きさ(深さ)で
通常10-2〜数ミクロン程度である。
塗装に用いる塗料は特に限定されるものではなく、例え
ばメラミン、アルキッド系、ポリエステル系、フッ素
系、アクリル系、シリコン・ポリステル系、エポキシ
系、ウレタン系等が挙げられる。
塗料には必要に応じて防錆顔料やその他の顔料、あるい
は滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。防錆顔料として
は例えばクロム系等、その他の顔料としては黄酸化鉄、
ベンガラ、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、
酸化チタン等が挙げられる。滑剤としては例えばポリエ
チレン系等が挙げられる。
塗料は固形分が25%以下のものが好ましい。
塗料の付着量は鋼板表面の凹凸の凹部全容積に5〜80%
に相当する量が好ましい。5%以下では耐食性が不十分
となり、80%以上では導電性が不十分となるからであ
る。塗料付着量は凹部全容積の10〜70%がより好まし
い。
塗装方法としては、実施例にも記載したロールコート方
式、浸漬方式の他にバーコート方式、ドクターコーター
方式等やこれらを組み合わせた塗装方式が適用できる。
具体的には、これらの塗装方式で塗装する際、塗料の固
形分を上述のように低くすれば、鋼板表面の凹凸の凹部
全容積の5〜80%を塗料で埋め凸部は未処理とする処
理が容易となる。また、塗料の固形分を低くすることは
塗料の粘性を低くすることにもつながり、粘性の低い塗
料は高いところから低いところへ流れ込むので、塗料の
固形分を低くする程、粘性を低くする程、結果的に鋼板
の凹部に塗料が溜まり易く、凸部が未処理となるのであ
る。塗料の固形分・粘性の調整は使用する塗料の成分や
塗装しようとする鋼板の粗度によっても異なるが、前述
のように固形分が25%以下のものが好ましい。
〔作用〕
本発明においては、鋼板表面の凹凸の凹部全容積の5〜
80%を塗料で埋めることによって鋼板が持つ導電性を損
なうことなく耐食性が向上する。すなわち凹部全容積の
5〜80%を塗料で埋めることにより、鋼板の凸部を残し
てほぼ鋼板全体が塗料で覆われ、鋼板表面の水や酸素と
の接触面積が極めて少なくなり耐食性は向上する。又、
鋼板表面上で未処理となった凸部がアース端子、通電端
子及び溶接端子等と接触することにより鋼板の持つ導電
性を十分利用することができる。
〔実施例〕
実施例1 溶融亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量183g/m2)にクロメ
ート系化成処理を施した(全クロム量30mg/m2)、こ
れにロールコート方式でメラミン・アルキッド系塗料
を、コーティング条件や塗料の固形分を調整して付着量
を変えて塗装した。耐食性および導電性の試験結果を第
1図に示す。
耐食性はJIS Z 2371により、192時間塩水噴霧試験を行
なった後に表面に発生した錆の発生率で評価した。
導電性は三菱油化株式会社製MCP-TESTER及び同社製MCP
プローブを使用して表面抵抗値を測定した。プローブは
2探針4端子式のものを使用した。測定値は同一試料を
5回測定し最大値、最小値を除いた3回の平均値とし
た。
鋼板表面の凹部全容積に対する塗料付着量の割合は単位
面積当りの塗料体積を、単位面積当りの鋼板表面の凹部
全容積で除算した値とした。
単位面積当りの塗料体積は、重量法あるいは塗料中にク
ロムを含有させ蛍光X線によってクロムの付着量を測定
し塗料の付着量に換算する方法により塗料付着量を測定
し塗膜比重より塗料体積に換算した。
単位面積当りの鋼板表面の凹部全容積は次の手順により
測定した。
鋼板の圧延方向、幅方向それぞれ5箇所ずつを任意に
選び鋼板表面の凹凸の状態を粗度計を使ってチャート紙
に表わした。測定距離は20mmとした。
チャート紙に表わされた鋼板表面の凹凸の状態それぞ
れについて画像処理装置を使って凹部の断面積を測定し
た。
鋼板の圧延方向、幅方向それぞれ夫々5箇所ずつにつ
いて測定した断面積を加算し、これを鋼板表面上の距離
200mm当りの代表的な断面積とした。
200mmに乗算すると単位面積になるような長さをま
でに測定した代表的な断面積に乗算し、これを単位面積
当りの鋼板表面の凹部全容積とした。
実施例2 冷延鋼板にクロメート系化成処理を施した(全クロム量
50mg/m2)。これにロールコート方式でポリエステル
系塗料をコーティング条件や塗料の固形分を調整して付
着量を変えて塗装した。耐食性および導電性の試験結果
を第2図に示す。
導電性及び鋼板表面の凹部全容積に対する塗料付着量の
割合の測定方法は実施例1と同様に行なった。
耐食性は温度49±1℃、湿度95%以上の雰囲気中に150
時間放置後表面に発生した錆の発生率で評価した。
実施例3 電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量40g/m2)にリン酸
亜鉛系化成処理を0.5g/m2施した。これに浸漬方式で
アクリル塗料を塗料の固形分を調整して付着量を変えて
塗装した。耐食性および導電性の試験結果を第3図に示
す。
耐食性の評価方法、導電性及び鋼板表面の凹部全容積に
対する塗料付着量の割合の測定方法は実施例1と同様に
行なった。
実施例4 亜鉛付着量120g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板に化成処理
としてクロメート系(クロム付着量30mg/m2)、リン
酸亜鉛系(付着量0.2g/m2)リン酸鉄系(付着量0.2
g/m2)をそれぞれ施したもの、及び化成処理を行な
わない試料を作成した。これらにそれぞれメラミン・ア
ルキッド系塗料を鋼板表面の凹部全容積の20%及び70%
の付着量になるようにロールコーターで塗装した。耐食
性および導電性の試験結果を第1表に示す。
鋼板表面の凹部全容積に対する塗料付着量の割合の測定
方法は実施例1と同様に行なった。
導電性の測定は実施例1と同様に行ない、その評価は次
のとおりとした。
○ 表面抵抗値が1.0×10-1Ω未満 △ 表面抵抗値が1.0×10-1Ω以上〜1.0×103未満 × 表面抵抗値が1.0×103以上 耐食性の試験は実施例1と同様に行ない、その評価は次
のとおりとした。
○ 白錆の発生率が10%未満 ○〜△ 白錆の発生率が10%以上〜33%未満 △ 白錆の発生率が33%以上〜50%未満 △〜× 白錆の発生率が50%以上〜70%未満 × 白錆の発生率が70%以上 〔効果〕 本発明によれば、鋼板の持つ導電性を十分利用すること
ができると共に耐食性も十分備えた鋼板を得ることが出
来、その効果は極めて大なるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1についての耐食性および導電性の試験
結果を示す図、第2図は実施例2についての耐食性およ
び導電性の試験結果を示す図、第3図は実施例3につい
ての耐食性および導電性の試験結果を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化成処理を施した鋼板表面の凹凸の凹部全
    容積の5〜80%に相当する塗料で塗装され、実質的に
    凹部が塗料で埋められたことを特徴とする耐食性と導電
    性を兼ね備えた鋼板。
JP61244851A 1986-10-15 1986-10-15 耐食性と導電性を兼ね備えた鋼板 Expired - Fee Related JPH0657871B2 (ja)

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