JPH0656696A - 免疫原性キャリアー系 - Google Patents

免疫原性キャリアー系

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JPH0656696A
JPH0656696A JP5172381A JP17238193A JPH0656696A JP H0656696 A JPH0656696 A JP H0656696A JP 5172381 A JP5172381 A JP 5172381A JP 17238193 A JP17238193 A JP 17238193A JP H0656696 A JPH0656696 A JP H0656696A
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gnrh
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carrier system
fimbriae
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JP5172381A
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Der Zee Anna Van
アンナ・フアン・デル・ゼー
Die Irma Marianne Van
イルマ・マリアンヌ・フアン・デイー
Willem Pieter Martin Hoekstra
ウイレム・ピエテル・マルテイン・フークストラ
Josephus Theodorus Gielen
ヨセフス・テオドルス・ヘーレン
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Akzo NV
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 大腸菌線毛フィラメントに結合したゴナドト
ロピン放出ホルモン(GnRHペプチド)から成る、G
nRHに対する免疫応答を誘発する免疫原性キャリアー
系及びこのキャリアー系を含有するワクチン。 【効果】 動物の発情周期、精子形成及び/または性的
行動を効果的に抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫学の分野に関する。
より詳細には、本発明は、「黄体形成ホルモン放出ホル
モン」(LHRH)とも呼ばれる「ゴナドトロピン放出
ホルモン」(GnRH)またはGnRHの類似体もしく
は誘導体に対する免疫応答を誘発し得る免疫原性キャリ
アー系に関する。
【0002】このようなキャリアー系をコードするDN
A配列、キャリアー系を含む組成物及びGnRHに対し
て哺乳類を免疫感作するためのキャリアー系の使用など
も本発明の範囲に包含される。キャリアー系は例えばワ
クチンまたは医薬製剤の成分を構成する。
【0003】
【従来の技術】GnRHはアミノ酸構造:pGlu−H
is−Trp−Ser−Tyr−Gly−Leu−Ar
g−Pro−Gly−NH2を有するホルモン活性を有
するデカペプチドである。ここでは慣用の3文字コード
を使用しており、pGluはピログルタミン酸を示し、
Gly−NH2はグリシンアミドを示す。GnRHのm
RNAはGnRH配列とシグナル配列とから成り、シグ
ナル配列は、ピロ−Gluを形成するためにN末端Gl
n残基の翻訳及び環化後に開裂される。
【0004】哺乳類にワクチンとして接種するためにG
nRHをキャリアータンパク質に結合させて使用し得る
ことは公知である。このようなワクチンは様々な理由で
接種されるが、すべてGnRHの自然機能と関係があ
る。視床下部で形成されるGnRHは、下垂体による性
ホルモンLH(即ち「黄体形成ホルモン」)及びFSH
(「卵胞刺激ホルモン」)の産生及び放出を調節する。
血液中の性腺刺激ホルモンの量が減少すると、性腺の刺
激が減少し、血液中のステロイドレベルが下がる。Gn
RHに対して動物を効果的に免疫感作することによっ
て、血中ステロイドレベルを性腺摘出後のステロイドレ
ベルと同じ程度まで低下させ得る。
【0005】GnRHまたはその類似体を抗原即ち免疫
原として患者または動物に投与するとき、GnRHまた
はその類似体はワクチンとして作用し、宿主体内では、
宿主自身のGnRHにも作用するGnRHまたはその類
似体の抗体が産生される。従って類似体の効果は、類似
体自体が代謝または排泄された後にも持続するであろ
う。種々のGnRH類似体またはGnRH自体に関する
このような処理は、Arimuraら、Endocri
nology 93:1092〜1103(197
3);H.M.Fraserら、Journal of
Endocrinology 63:399406
(1974);S.L.Jeffcoateら、Imm
unochemistry Vol.11、P.75〜
77(1974);I.J.Clarkeら、Jour
nal of Endocrinology 78:3
9〜47(1978);L.Pique、Immuno
chemistry Vol.15、p.55〜60
(1978);V.C.Stevens、Americ
an Journal of Reproductiv
e Immunology 1:307〜314(19
81);及び米国特許第3,963,691号に記載され
ている。
【0006】欧州特許第0,181,236号は、有効な
避妊薬、性的活動亢進の治療薬、性ホルモンによって刺
激される癌及びその他の疾患の治療薬として有用な免疫
原性ワクチンを記載している。このワクチンは、キャリ
アータンパク質とGnRHに由来の1種以上のノナ−ま
たはデカペプチドとのコンジュゲートから成る。この免
疫感作は可逆的であり、従って外科的方法よりも有利で
ある。
【0007】国際特許出願WO 88/05308は、
アミノ酸5、6または7個の長さを有するGnRHの部
分ペプチドとコンジュゲートしたウシ血清アルブミンの
ような免疫原性タンパク質を含む組成物によって哺乳類
を免疫中和する方法を提案している。
【0008】世界で最初に商品化された家畜の避妊用ワ
クチンであるVaxstrateは、選択された雌ウシ
の約80%で避妊効果を示した抗GnRHのtwo−d
oseワクチンであると説明されている。このワクチン
は、油を基剤とするワクチンのアジュバントであるオボ
アルブミンにコンジュゲートした合成GnRHを使用し
ており、GnRHに対する免疫を刺激する。このような
ワクチンは体内評価及び産生効率の面で更に改善される
必要がある。
【0009】WO 90/11298によれば、これま
でに記載されたワクチンよりも信頼できるワクチンが得
られる。このワクチンは特に、去勢しない豚肉の臭みを
防ぐために使用される。このワクチンは、好ましくはK
LHのようなタンパク質にコンジュゲートしたGnRH
タンデム構造を有するペプチドを基剤とする。このペプ
チドを、最初に完全フロインドアジュバント(CFA)
と混用し、8週後にブースターで追加刺激する。
【0010】WO 88/00056は、GnRHに対
する免疫応答を誘発するために十分な量でGnRHまた
はGnRHの類似体に個別に結合した2種以上の異なる
キャリアーを含む組成物を記載している。通常はタンパ
ク質キャリアー及びアジュバントを使用し、1回以上の
ブースターが必要である。
【0011】GnRHまたはその類似体をタンパク質キ
ャリアーにコンジュゲートさせた後で使用する上記のご
とき公知のワクチンは、免疫系を刺激して抗GnRH抗
体を産生させ、この抗体がGnRHと反応してその体内
濃度を有効に低下させると推測される。しかしながらこ
の方法は、注射直後に受胎防止に有効でない初期期間が
あり、しかもこの期間の長さが一定でない。
【0012】WO 90/03182は、この問題を解
決するために、(1)遊離GnRHまたはその類似体
と、(2)GnRHまたはその類似体とキャリアータン
パク質との免疫原性コンジュゲートと、から成る組成物
の使用を提案している。遊離GnRHまたはその類似体
は、投与の約6週間後までの期間、即ちコンジュゲート
に応答して形成されたGnRH抗体が通常は約0.5〜
2年後に代謝されるまで哺乳類の受胎防止を維持する。
しかしながらポリペプチドコンジュゲート自体はそれだ
けでは免疫原的に不十分である。
【0013】GnRHをポリペプチドキャリアー、例え
ばウシまたはヒトの血清アルブミンまたは破傷風トキソ
イドまたはチログロブリンにコンジュゲートさせる手順
は一般的な結合方法(coupling metho
d)を含み、その結果として得られる免疫原は確定し難
い。このような不確定の免疫原は、GnRHの作用を
n vivoで遮断し得る抗GnRH抗体を得るために
望ましい溶液中の遊離GnRHの構造的特徴をすべて維
持することが難しいためであろう。更に、ペプチドが免
疫学的認識に重要な領域を介してキャリアーに付着する
危険がある。
【0014】実際、内因性GnRHの生物学的効力を有
意に低減させ得る高力価の抗GnRH抗体を与えるため
にかかるコンジュゲートで哺乳類を有効に免疫感作する
ためには、フロインド完全アジュバントまたは不完全ア
ジュバントに代表されるような不都合な副作用を生じ易
いアジュバントの存在が必須であった。フロインド完全
アジュバントは家畜のツベルクリン検査を妨害する。ま
た、このアジュバント及びフロインド不完全アジュバン
トは、注射部位に種々の量の慢性炎症反応を生じさせ
る。
【0015】英国特許第2,196,969号は、天然型
アミノ酸配列のC末端に短いペプチド延長部を有するG
nRHの類似体を含むワクチンを記載している。ポテン
シャルエネルギー計算によれば、これは溶液中で天然型
GnRHと実質的に同じコンホーメーションを有すると
予測され、且つC末端に備えられたシステインまたはチ
ロシン残基の側鎖を介してキャリアーポリペプチドに容
易に結合すると考えられる。
【0016】上記のごとき従来のワクチンは概して、何
らかの抗体応答を得るためには大量に使用する必要があ
り、これに付随して大量の強いアジュバントが使用され
る。このようなアジュバントはGnRHに関連する生物
学的活性にほとんどまたは全く効果がない。上記のワク
チンの多くは免疫応答を誘発し得るが、この免疫応答
は、GnRHに対する抗体を形成するだけであり、ワク
チン接種された哺乳類の体内GnRHの生物学的活性に
対する効果を含むことはめったにない。生物学的効果を
与えるようなワクチンは100%免疫感作を達成するこ
とができない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Gn
RHまたはGnRHの類似体もしくは誘導体に対して顕
著に改善された免疫応答を誘発し得る免疫原性キャリア
ー系を提供することである。本発明のキャリアー系の使
用によって得られる免疫応答は、免疫感作された哺乳類
の体内GnRHの生物学的活性に影響を与える十分に高
い免疫応答である。本発明のキャリアー系は、動物の発
情周期、精子形成及び/または性的行動を効果的に抑制
するための使用に特に適している。本発明のキャリアー
系はワクチン中に使用でき、このワクチンは免疫応答を
生じさせるためにフロインドアジュバントまたは不完全
フロインドアジュバントのような攻撃性のアジュバント
をもはや不要とする。より攻撃性でないアジュバントを
使用できる。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、GnRHまた
はGnRHの類似体もしくは誘導体に対して免疫応答を
誘発し得る免疫原性キャリアー系を提供する。このキャ
リアー系は、インサートを伴う主要サブユニットの少な
くとも一部から成る大腸菌P線毛フィラメントの少なく
とも一部を含み、このインサートは、GnRHまたはG
nRHの類似体もしくは誘導体の抗原決定基少なくとも
1つを有するペプチドから成り、このインサートは、野
性型主要サブユニットの超可変領域4の位置に対応する
主要サブユニット内の位置に配置されている。この場合
の野性型なる用語は、インサートを伴わない主要サブユ
ニットの形態を意味する。
【0019】フィムブリエとも呼ばれている線毛フィラ
メントは、多くの細菌株でしばしば大量に検出される長
い繊維状の付属体である。各フィラメントは、α−ヘリ
カル状に重合した約1000個のサブユニットから構成
されている(Korhonen、T.K.& Rhe
n、M.、Am.Clin.Res.1982、14、
272〜277;Giles、C.L.& Maas、
W.K.、Prog.Vet.Microbiol.I
mmuno 1987、3、139〜158)。フィム
ブリエ構造は詳細に研究されており、合成ペプチドから
成るハイブリッドフィムブリエとしても知られた組換え
線毛フィラメントも既に文献に記載されている。次に、
フィムブリエの構造及び公知のハイブリッドフィムブリ
エについて説明する。
【0020】主として尿路疾患性大腸菌に関連して検出
され上皮組織に対する細菌の付着に関与するPフィムブ
リエは、1種類(type)の主要サブユニットと複数
の異なる副次的サブユニットとを含む。副次的線毛成分
の局在及び発生に関してはLindbergらによって
研究された(Nature(London) 1987
328:84〜87及びRiegmanら 1988
Mol.Microbiol.2:73〜80)。
【0021】大腸菌PフィムブリエまたはPフィムブリ
リン(fimbrillin)の主要サブユニットが優
勢であり抗原特性を決定する。血清型F7〜F13がP
フィムブリエに割り当てられ、この血清型は主要サブユ
ニットによって特定されることが知られている。種々の
血清型からの主要サブユニットタンパク質のアミノ酸配
列の比較によって、他の点ではより相同の配列に5つの
超可変領域(HRs)が検出された。この超可変領域は
Pフィムブリエの天然エピトープを含む(van Di
eら(1987)、Microbiol.Pathog
en 3:149〜154;van Dieら(198
8)FEMS Microbiol.Let.49:9
5〜100)。
【0022】Mol.Gen.Genet.(199
0)222:297〜303においてvan Dieら
は、血清型F11を有するPフィムブリエの主要サブユ
ニットの超可変領域1及び4(HR1及びHR4)をど
のように用いて外来エピトープを挿入するかを記載して
いる。種々の病原体に由来の抗原決定基をコードするい
くつかのオリゴヌクレオチドをクローニングすると、得
られた組換え主要サブユニットがときどきフィムブリエ
として集合する。挿入されたペプチドの長さがアミノ酸
14個以下の長さのときにだけフィムブリエの集合が生
じた。
【0023】本明細書の導入部で既に説明したように、
GnRHに対する免疫応答を誘発するために適当な種々
の系に関する研究は数多く行なわれている。しかしなが
ら今日まで、GnRHに対する免疫応答を誘発するため
の適当なエピトープを含むハイブリッドフィムブリエに
関する実験が記載されたことはない。
【0024】GnRH自体は免疫原性でなく、免疫原性
キャリアーを必要とする。フィムブリエは高分子構造を
有しているので高度に免疫原性であり、GnRHまたは
GnRHの類似体もしくは誘導体の免疫原性キャリアー
として作用し得ると予想できる。発明者らは更に、主要
サブユニット中にインサートを有するP線毛フィラメン
トを含む外来合成ペプチドの免疫原性キャリアーは、こ
のインサートが免疫原性に乏しいことが知られているG
nRHの抗原決定基を含むとき、前記合成ペプチドに対
する免疫原応答を改善し得ると推定した。また、フィム
ブリエをもつ(fimbriated)細菌は廉価に培
養でき、細菌からフィムブリエを容易に単離し精製し得
るので、GnRHに対する免疫感作に使用するための免
疫原性キャリアー系がより廉価に且つより効率よく得ら
れる。
【0025】しかしながらこのためには、線毛サブユニ
ットの形成を妨害することなく且つ好ましくは多数の重
合サブユニットから成る線毛フィラメントの形成を以後
に妨害することなく、線毛サブユニットのエピトープの
1つを置換しなければならない。更に外来エピトープ
は、抗原決定基が免疫応答を誘発するように適正に露出
し且つサブユニットの重合を妨害しないような立体配置
で線毛サブユニット内に存在しなければならない。
【0026】その後の研究で発明者らは、GnRHをコ
ードするDNA配列を線毛成分をコードする主要サブユ
ニット遺伝子のHR1に組込んだ。GnRH以外のペプ
チドがHR1に有効に取込まれたことを証明したVan
Dieら(1990、Mol.Gen.Genet.
222:297〜303)の結果と違って、P線毛フィ
ラメントの主要サブユニットのHR1にGnRHが挿入
されたP線毛フィラメントをコードするDNAを含む微
生物は実際にはフィムブリエを形成できないことが知見
された。
【0027】しかしながら発明者らは更に研究を続行
し、GnRHの抗原決定基を少なくとも1つ含む外来ペ
プチドが線毛フィラメントの主要サブユニットのHR4
に挿入された大腸菌P線毛フィラメントをコードするD
NAを含む微生物は十分にフィムブリエを形成するとい
う意外な知見を得た。より重要な知見は、得られたフィ
ラメントが明らかに、GnRHの少なくとも1つの抗原
決定基を十分に露出した立体配置で含むことである。更
に、このようなフィラメントを含む組成物を注射した動
物はGnRHに対して予想外に高い抗体価を与える。実
際、得られた免疫応答は極めて高いのでGnRH関連プ
ロセスで生物学的効果が得られる。
【0028】従って本発明の目的は、GnRHまたはG
nRHの類似体もしくは誘導体に対する免疫応答を誘発
し得る免疫原性キャリアー系を提供することである。こ
のキャリアー系は、インサートを伴う少なくとも1つの
主要サブユニットを含む大腸菌P線毛フィラメントの少
なくとも一部を含み、このインサートは、GnRHまた
はGnRHの類似体もしくは誘導体の抗原決定基少なく
とも1つを有するペプチドから成り、このインサート
は、野性型主要サブユニットの超可変領域4(HR4)
内の位置に対応する主要サブユニット内の位置に配置さ
れている。
【0029】本発明のキャリアー系に含まれるGnRH
の少なくとも1つの抗原決定基を伴うペプチドは、配列
gln−his−trp−ser−tyr−gly−l
eu−arg−pro−gly(配列番号:19)を有
するGnRHをコードするデカペプチドでもよくまたは
GnRHの少なくとも1つの抗原決定基を含む上記配列
の誘導体でもよい。(アミノ酸配列は慣用の3文字アミ
ノ酸コードで示す)。
【0030】ノナペプチドkwsyglrpgはGnR
Hに対する免疫応答を誘発することが知られており(米
国特許第4,608,251号)、部分ペプチド(以後、
1文字アミノ酸コードを用いる)#ehwsy、#eh
wsyg、#ehwsygl、hwsyglr、wsy
glr、syglrpg、yglrpgも同じである
(国際特許出願WO 88/05308)。従ってこれ
らの誘導体もまた、本発明のGnRHに対する免疫応答
を誘発するキャリアー系の組換え線毛フィラメントの一
部を構成し得る適当なペプチドである。
【0031】本発明のキャリアー系の成分を構成し得る
その他の適当なペプチドは、GnRHに対する免疫応答
を誘発し得るGnRHの類似体または誘導体である。米
国特許第3,963,691号及び第4,608,251号
は、抗GnRH抗体を刺激するために有用なGnRH類
似体を開示している。従って、該特許に記載された任意
の類似体またはGnRHに対する免疫応答を誘発し得る
少なくとも1つの抗原決定基を含むその他の任意のGn
RHの類似体もしくは誘導体がP線毛フィラメントの主
要サブユニットの一部に組込まれたペプチドを含むキャ
リアー系は本発明のキャリアー系の一例である。
【0032】本明細書で既に説明したように、フィンブ
リエには血清型F7〜F13が存在する(Orsko
v、I. & F.Orskov.1985、Esch
erichia coli in extrainte
stinal infections.J.Hyg.9
5:551〜575)。異なる血清型を有するいくつか
のPフィムブリリンのアミノ酸配列は、van Die
ら(Microbiol.Pathogen.、14
9〜154、1987)によって開示されている。本発
明のキャリアー系は、Pフィムブリエの血清型のいずれ
かに由来し得る組換え主要サブユニットを含み得る。実
施例では、本発明のキャリアー系の適当な例を示すため
に血清型F11を使用した。
【0033】単一組換え主要サブユニットをP線毛フィ
ラメントの一部として含む上記のキャリアー系及び重合
した組換え主要サブユニットをP線毛フィラメントの一
部として含むキャリアー系はいずれも本発明の範囲に包
含される。
【0034】好ましくは本発明のキャリアー系は、P線
毛フィラメントの一部を含むかまたは2つ以上の主要サ
ブユニットから成る完全P線毛フィラメントを含み得
る。組換え完全P線毛フィラメントは、1000個とい
う多数の組換え主要サブユニットを含み得る。本発明の
キャリアー系において、重合した組換え主要サブユニッ
ト中にGnRHまたはGnRHの類似体もしくは誘導体
に対する免疫応答を誘発し得るペプチドがマルチコピー
で存在することが好ましい理由は、線毛フィラメントに
エピトープがマルチコピーで存在するとき、このような
エピトープに対して極めて高い免疫原活性が得られるか
らである。
【0035】本発明のキャリアー系は、インサートを伴
う少なくとも1つの主要サブユニットを含むP線毛フィ
ラメントの少なくとも一部をコードする組換えDNA配
列の発現によって得られる。インサートはGnRHまた
はGnRHの類似体もしくは誘導体の抗原決定基少なく
とも1つを有するペプチドであり、このインサートは野
性型主要サブユニットの超可変領域4(HR4)の位置
に対応する主要サブユニット内の位置に配置されてい
る。野性型なる用語に関しては本文中で既に定義した。
従ってこのような組換えDNA配列は本発明の範囲に包
含される。
【0036】本発明の組換えDNA配列は、GnRHま
たはGnRHの類似体もしくは誘導体の少なくとも1つ
の抗原決定基を有するペプチドを少なくともコードする
少なくとも1つのDNA配列Lを含む。このDNA配列
LはP線毛フィラメントの野性型主要サブユニットの超
可変領域HR4の位置に対応する位置でDNA配列Sに
組込まれている。配列Sは野性型主要サブユニットの少
なくとも一部をコードしている。
【0037】本発明の組換えDNA配列中のDNA配列
Lの好ましい特定例は、以下のアミノ酸配列をコードす
るDNAを含むDNA配列Lである: (1)Leu−Gln−His−Trp−Ser−Ty
r−Gly−Leu−Arg−Pro−Gly−Ser
−Arg−Thr; (2)Leu−Gln−His−Trp−Ser−Ty
r−Gly−Leu−Arg−Pro−Gly−Th
r; (3)Leu−Thr−Gln−His−Trp−Se
r−Tyr−Gly−Leu−Arg−Pro−Gly
−Asp−Pro−Thr; (4)Leu−Gly−Ser−Gln−His−Tr
p−Ser−Tyr−Gly−Leu−Arg−Pro
−Gly−Gly−Pro−Thr。
【0038】上記アミノ酸配列をコードする適当なDN
A配列の夫々を順番に以下に示す: (1)TTG−CAG−CAC−TGG−AGC−TA
C−GGC−CTG−CGT−CCA−GGA−TCC
−CGA−ACC; (2)TTG−CAG−CAC−TGG−AGC−TA
C−GGC−CTG−AGG−CCT−GGA−AC
C; (3)TTG−ACT−CAG−CAC−TGG−AG
C−TAC−GGC−CTG−CGT−CCA−GGG
−GAT−CCA−ACC; (4)TTG−GGA−TCC−CAG−CAC−TG
G−AGC−TAC−GGC−CTG−CGT−CCA
−GGC−GGT−CCA−ACC。
【0039】本発明の組換えDNA配列の適当な例は、
主要サブユニットの超可変領域4(HR4)にDNA配
列Lが組込まれたF11の遺伝子クラスター(ふさ状構
造)を含む。尿路疾患性大腸菌の血清学的に異なる種々
のPフィムブリエ、即ちF71、F72、F8、F9、F
11及びF13を合成できる遺伝子はクローニングされ
ている: −De Ree、J.M.、P.Schwillen
s、L.Promes、I.van Die、H.Be
rgmans、H.van den Bosch、19
85。尿路疾患性大腸菌に由来のF9フィムブリエの分
子クローニング及びキャラクタリゼーション。FEMS
Microbiol.Lett.25:163〜16
9; −De Ree、J.M.、P.Schwillen
s、J.F.van den Bosch、1985。
尿路疾患性大腸菌に由来のF11フィムブリエの分子ク
ローニング及びモノクローナル抗体によるフィムブリエ
のキャラクタリゼーション。FEMS Microbi
ol.Lett.29:91〜97; −Hacker、J.、M.Ott、G.Schmid
t、R.Hull、W.Goebel、1986、大腸
菌に由来のF8線毛抗原の分子クローニング。GEMS
Microbiol.Lett.36:139〜14
4; −Hull、R.A.、R.E.Gill、P.Hs
u、B.H.Minshew、S.Falkow、19
81。尿道感染大腸菌単離物に由来の1型またはD−マ
ンノース耐性のピリ線毛をコードする組換えプラスミド
の構築及び発現。Infect.Immun.33:9
33〜938; −Rhen、M.、J.Knowles、M.E.Pe
ntilla、M.Sarvas、T.K.Korho
nen、1983。大腸菌のPフィムブリエ;構造遺伝
子を含むDNAフラグメントの分子クローニング。FE
MS Microbiol.Lett.19:119〜
123; −Van Die、I.、G.Speirings、
I.van Megen、E.Zuidweg、W.H
oekstra、H.Bergmans、1985。尿
路疾患性大腸菌のF71フィムブリエをコードする遺伝
子クラスターのクローニング及び遺伝的編成並びにF7
2遺伝子クラスターとの比較。FEMS Microb
iol.Lett.28:329〜334; −Van Die、I.、C.van den Hon
del、H.−J.Hamstra、W.Hoekst
ra、H.Bergmans、1983。大腸菌06:
K2:H1:F7株のフィムブリエに関する研究:ヒト
赤血球のマンノース耐性凝集反応を生じさせる線毛抗原
をコードするDNAフラグメントの分子クローニング。
FEMS.Microbiol.Lett.19:77
〜82、 これらのDNA配列のいずれか及びその一部が本発明に
よる組換えDNA配列に使用できる。
【0040】いくつかの例では、本発明の組換えDNA
配列のインサート即ちDNA配列Lが、GnRHまたは
GnRHの類似体もしくは誘導体の少なくとも1つの抗
原決定基を含むペプチドをコードするだけでなく、前記
ペプチドをコードするDNAにフランキングする別のア
ミノ酸をコードするDNAも含むのが好ましい。DNA
配列Lは、GnRHまたはGnRHの類似体もしくは誘
導体の少なくとも1つの抗原決定基を含むペプチドの一
端または両端に存在するフランキングアミノ酸をコード
し得る。このようなフランキングアミノ酸配列は1つ以
上のアミノ酸を含み得る。DNA配列LがGnRHまた
はGnRHの類似体もしくは誘導体の少なくとも1つの
抗原決定基を含むペプチドの両端にこのようなフランキ
ングアミノ酸配列を含むとき、フランキングアミノ酸配
列は等しい長さ及び/または等しい組成を有していても
よく、または異なる長さ及び/または異なる組成を有し
ていてもよい。GnRHまたはGnRHの類似体もしく
は誘導体の少なくとも1つの抗原決定基を含むペプチド
の一端または両端のフランキングアミノ酸配列の存在を
コードするDNA配列Lを含む組換えDNA配列が好ま
しい理由は、このような組換えDNA配列が発現された
ときに得られるGnRHまたはGnRHの類似体もしく
は誘導体の少なくとも1つの抗原決定基を含む本発明の
キャリアー系は、このようなフランキングアミノ酸が存
在しないキャリアー系よりも、GnRHまたはGnRH
の類似体もしくは誘導体に対してより高い免疫応答を誘
発し得る改良された立体配置を有するからである。
【0041】本発明のこのような好ましい組換えDNA
配列の適当な例は、15個のアミノ酸をコードするDN
A配列Lを含み、GnRHまたはGnRHの類似体もし
くは誘導体の少なくとも1つの抗原決定基を含むペプチ
ドをコードするDNAが、ペプチドのN末端の2つの付
加的アミノ酸とC末端の3つのアミノ酸とによってフラ
ンキングされたデカペプチドをコードしている配列であ
る。本発明のこのような好ましい組換えDNA配列の別
の例では、DNA配列Lが、1つのアミノ酸をコードす
る配列によって両端でフランキングされたGnRHまた
はGnRHの類似体もしくは誘導体の少なくとも1つの
抗原決定基をコードするデカペプチドをコードしてい
る。
【0042】本発明の組換えDNA配列は好ましくは、
最大長でアミノ酸16個から成るペプチドをコードする
DNA配列Lを含む。その理由は、17個以上のアミノ
酸をコードするインサートを伴う本発明の組換えDNA
配列を含む組換え微生物は組換えフィムブリエを形成す
る能力が極めて小さいからである。
【0043】本発明の組換えDNA配列中で、DNA配
列Lは、野性型超可変領域4(HR4)の全部または一
部に置換してDNA配列Sに取込まれる。
【0044】本発明の好ましい組換えDNA配列として
は、主要サブユニットの超可変領域HR4に対応する位
置にGnRHまたはGnRHの類似体もしくは誘導体の
少なくとも1つの抗原決定基を組込んだペプチドを少な
くともコードするDNA配列LとDNA配列Sとを含
み、DNA配列Sが更に主要サブユニットをコードする
DNA配列の超可変領域1(HR1)及び隣接相同領域
に突然変異を含む組換えDNA配列がある。この配列が
好ましい理由は、このような組換えDNA配列が発現し
たときは、GnRHまたはGnRHの類似体もしくは誘
導体の少なくとも1つの抗原決定基を含む本発明のキャ
リアー系が、HR1に突然変異を含まない等価の本発明
のキャリアー系よりもGnRHまたはGnRHの類似体
もしくは誘導体に対して高い免疫応答を誘発し得るから
である。
【0045】このような好ましい組換えDNA配列の適
当な例は、主要サブユニットの少なくとも一部をコード
するDNA配列Sの超可変領域1及び隣接相同DNAに
StuI部位を含む。超可変領域1及び隣接相同領域の
突然変異DNA配列は、アミノ酸配列Gly−Leu−
Glyをコードする。HR4に置換したDNA配列Lが
14個のアミノ酸をコードしており、HR1の最終アミ
ノ酸とその後の隣接相同領域の2つのアミノ酸とをコー
ドするDNA配列の9個のヌクレオチドがGly−Le
u−GlyをコードするDNA配列によって置換された
本発明の組換えDNA配列によって特に好結果が得られ
る。
【0046】本発明の組換えDNA配列は更に、微生物
による線毛フィラメントの発生過程の種々のステップで
必要とされるDNAのような別のDNAを含み得る。フ
ィムブリエの発生は、フィムブリエのサブユニットを微
生物の内膜に転位させるステップとサブユニットを細胞
形質間隙に運搬するステップとサブユニットを外膜に押
出してサブユニットをフィムブリエとして重合させるス
テップとを含む。
【0047】P線毛フィラメントの少なくとも一部をコ
ードする本発明の組換えDNA配列の場合には、上の文
節で記述したこのような別のDNAが1つの以上の付属
遺伝子を含み、これらの付属遺伝子はフィムブリエを発
生し得る微生物によってサブユニットを運搬し、サブユ
ニットから線毛フィラメントを重合するために発現され
なければならない。付属遺伝子は、サブユニットをコー
ドするDNA配列Sを与えた微生物と同じ血清型の微生
物から得られたDNAによってコードされ得る。
【0048】本発明の組換えDNA配列中の付属遺伝子
をコードする別のDNAはまた、組換え主要サブユニッ
トをコードするDNA配列を与えた微生物とは異なる血
清型のPフィラメントを有する微生物から得られてもよ
い。その理由は、異なる血清型のPフィムブリエをコー
ドするDNAに由来の付属遺伝子がフィムブリエの発生
に不都合な影響を与えることなく微生物中で交換され得
るからである。
【0049】本発明の組換えDNA配列の別のDNA配
列は、微生物に組換え主要サブユニットを分泌させ得る
任意のDNA配列から成り得る。例えば、本発明の組換
えDNA配列は、組換え主要サブユニットが本発明の組
換えDNAを発現させ得る微生物の膜を通過できるよう
にするシグナルペプチドをコードする別のDNA配列を
含み得る。
【0050】本発明のキャリアー系は、上記組換えDN
A配列を発現ベクターから発現させることによって得ら
れる。従って、少なくとも1つの組換えDNA配列を含
み、該組換えDNA配列が、GnRHまたはGnRHの
類似体もしくは誘導体の少なくとも1つの抗原決定基を
有するペプチドを少なくともコードする少なくとも1つ
のDNA配列Lを含み、このDNA配列LがP線毛フィ
ラメントの主要サブユニットの超可変領域HR4の位置
に対応する位置でDNA配列Sに組込まれており、配列
Sが少なくとも1つの主要サブユニットをコードしてい
る発現ベクター、並びに、本明細書中でこれまでに記載
した組換えDNA配列の種々の具体例のいずれかを含む
発現ベクターは本発明の範囲に包含される。このような
本発明の発現ベクターは、当業者に周知の手順、例えば
微生物の形質転換などによって組換えDNA配列を発現
させ得る宿主細胞に導入できる。
【0051】少なくとも1つの組換えDNA配列を含
み、この組換えDNA配列がGnRHまたはGnRHの
類似体もしくは誘導体の少なくとも1つの抗原決定基を
有するペプチドを少なくともコードする少なくとも1つ
の組換えDNA配列Lを含み、このDNA配列LがP線
毛フィラメントの主要サブユニットの超可変領域HR4
の位置に対応する位置でDNA配列Sに組込まれてお
り、配列Sが少なくとも1つの主要サブユニットをコー
ドしているような宿主細胞、並びに、本明細書中でこれ
までに記載した組換えDNA配列の種々の具体例のいず
れかを含む宿主細胞は本発明の範囲に包含される。宿主
細胞は、前記組換えDNA配列を発現ベクター上に含む
かまたはその染色体に取込んでいる。宿主細胞は好まし
くは細菌細胞のような微生物である。
【0052】組換えDNA配列を含む宿主細胞は好まし
くはフィムブリエを発生し得る。フィムブリエの発生
は、フィムブリエのサブユニットを宿主細胞の内膜に転
位させ、サブユニットを細胞形質間隙に運搬し、サブユ
ニットを外膜を通って押出し次いでサブユニットを重合
させるステップを含む。
【0053】本発明の組換えDNA細胞を含む宿主細胞
は、この組換え宿主細胞が組換えフィムブリエを発生で
きない場合にも本発明の範囲に包含される。このような
フィムブリエ組換え微生物は、該組換え微生物の培養培
地に組換え主要サブユニットまたはその一部を微生物が
分泌できるようにするDNAを含み得る。このような組
換え微生物においては、組換えP線毛フィラメントの組
換え主要サブユニットは、重合した主要サブユニットか
ら成る組換えP線毛フィラメントを形成するための重合
または外膜への移行を伴うことなく細胞形質間隙に運搬
される。このような場合には、GnRHまたはGnRH
の類似体もしくは誘導体の抗原決定基を有するペプチド
を含む単個の組換え主要サブユニットが当業者に周知の
手順によって微生物から得られる。
【0054】本明細書で既に説明したように、本発明の
好ましいキャリアー系は重合した組換えサブユニットを
含む。重合サブユニットを含む本発明のキャリアー系を
得るための簡単な方法は、本発明の組換えDNAを発現
させ得る微生物によって該組換えDNA配列を発現させ
ることである。この微生物はまた、得られた組換えサブ
ユニットを重合させ得る。この重合は、サブユニットが
外膜を通って移行したときにフィムブリエの発生の1ス
テップとして生じ得る。
【0055】得られた組換えフィムブリエをこのような
組換え微生物から容易に単離できる。組換え線毛フィラ
メントの構造を維持できるように非変性環境で単離する
のが好ましい。Riegman、Nらは、J.Bact
eriol.1990 172:1114−1120に
精製フィムブリエを得る方法を記載している。
【0056】組換え微生物を非組換え微生物から容易に
識別できるのが好ましい。このためには、フィムブリエ
を発生することができない微生物を使用するか、または
組換えフィムブリエの明確な特徴を有するフィムブリエ
を産生することができない微生物を使用する。本発明の
組換えDNAの発現ビヒクルとして任意のフィムブリエ
-微生物を使用し得る。
【0057】(通常は尿路疾患性大腸菌に検出される)
Pフィムブリエをもつ細菌は、P血液型の抗原のα−D
−gal(1→4)β−D−gal部分に結合する。P
フィムブリエは赤血球凝集反応によって容易に観察でき
るマンノースの存在下でヒト赤血球に付着するので、P
フィムブリエを担う細菌を容易に検出し得る。本発明の
組換えDNAを導入する前にはヒト赤血球に付着できな
い微生物を、P型の組換え線毛フィラメントの発現ビヒ
クルとして使用し得る。得られた組換え微生物は、元の
微生物と対照的に、ヒト赤血球に付着し得る。
【0058】本発明の組換えDNAの発現ビヒクルの好
適例は、大腸菌K12株HB101(Boyer、H.
W.、Roulland−Dussoix D(196
9)J.Mol.Biol.41:459〜472)で
ある。最近まで、HB101は1型フィムブリエを産生
できないと考えられていたが、Elliott、S.
J.らは、Microbial Pathogenes
is(1991)10、481〜486に、HB101
の静置培養によって1型フィムブリエを発生させ得たと
記載している。発生したフィムブリエが組換えDNAの
発現によって得られた組換えフィムブリエであることを
確認するために、HB101細胞を固体培地または攪拌
ブイヨン培地で増殖させる必要がある。
【0059】1型フィムブリエを産生しない大腸菌K1
2株の別の例は、AM1727、即ちJE2571のr
ecA誘導体である(van Dieら(1983)F
EMS Microbiol.Let.19、77〜8
2)。本発明のキャリアー系の組換えフィムブリエを産
生し得る有用な微生物の更に別の例はJA221である
(Clark L.& Carbon J.(197
8)J.Mol.Biol.120:517〜53
2)。
【0060】組換え線毛フィラメントを発生させ得るD
NAは、非形質転換微生物から部分的に得られてもよく
または前記微生物に導入される本発明の組換えDNA配
列に完全に含まれてもよい。この発生用DNAは、本発
明の組換えDNAの一部として導入されてもよいが別の
発現ベクターに含まれていてもよい。
【0061】実施例では、本発明のいくつかの組換えD
NA配列を調製し、該配列によってフィムブリエ欠失微
生物を形質転換し、得られた組換え線毛フィラメントを
微生物から単離し精製することによって種々のキャリア
ー系を得る方法を記載した。組換えDNA、該組換えD
NAを含む微生物及び実施例に記載のごときキャリアー
系を含む組成物も本発明の範囲に包含される。
【0062】本発明はまた、GnRHまたはGnRHの
類似体もしくは誘導体に対する免疫応答を誘発するため
の適当な組成物を目的とする。この組成物は、本明細書
に記載したようなキャリアー系を含む。本発明の組換え
DNA配列、例えば上記のような微生物から得られる発
現産物を含むGnRHまたはGnRHの類似体もしくは
誘導体に対する免疫応答を誘発するための適当な組成物
も本発明の範囲に包含される。
【0063】本発明は更に、GnRHまたはGnRHの
類似体もしくは誘導体に対する免疫応答を産生するため
のかかる組成物の使用を目的とする。特に動物の体内G
nRHの生物学的活性に影響を与えるために十分な用量
及び用法でかかる組成物を使用する。本発明の組成物の
使用目的は、動物の発情周期、精子形成及び/または性
的行動を受胎を防止するように十分に抑制することであ
る。好ましくは、組成物が、Pフィムブリエ発生能力を
有していた微生物に由来のキャリアー系を含む。GnR
HまたはGnRHの類似体もしくは誘導体に対する免疫
応答を誘発するための適当なワクチンまたは任意の医薬
製剤中に本発明組成物を使用できる。
【0064】実際、GnRHまたはGnRHの類似体も
しくは誘導体の抗原決定基を含む種々の公知組成物、ワ
クチン及び医薬製剤のような当分野で知られたいずれか
の用途に本発明組成物を使用し得る。従って本明細書の
導入部で示した可能な多くの用途は本発明の組成物の多
様な用途の例にすぎない。
【0065】本発明組成物は、フロインドアジュバント
及び不完全フロインドアジュバントのような強いアジュ
バントを使用しないで適用でき、従ってこれらのアジュ
バントによる不都合な副作用を伴うことなく哺乳類のよ
うな動物の免疫感作に使用し得る。適当なアジュバント
の例は、アルミニウム塩(例えばAl(OH)3、Al
PO4、Al2(SO43)、水中油型エマルジョン(B
ayol F(登録商標)、Marcol F(登録商
標))、ビタミン−Eアセテート可溶化物、またはサポ
ニンであり、必要な場合、Tween(登録商標)、S
pan(登録商標)のような1種以上の乳化剤をワクチ
ンに混入し得る。
【0066】哺乳類のような動物を免疫感作するための
上記のごとき本発明組成物の使用はすべて、GnRHま
たはGnRHの類似体もしくは誘導体に対する抗体を産
生するだけでなく、かかる組成物の使用によって誘発さ
れた抗体によるGnRHの中和に起因する改質された生
物学的活性を与える。特に、本発明の組成物を使用する
と、該組成物が投与された動物の生殖活性が抑制され
る。
【0067】本発明の組成物はワクチンの形態で適用さ
れ得る。ワクチンは、当業者に周知の方法で免疫感作す
べき哺乳類に皮下または筋肉内投与される。好ましくは
1回以上のブースター注射を投与する。各注射は0.0
1〜1mgのGnRH抗原またはGnRH類似体抗原ま
たはGnRH誘導体抗原を含むであろう。
【0068】動物を免疫感作するための本発明組成物の
使用を実施例3及び4において更に詳細に説明する。
【0069】
【実施例】実施例1 この実施例では、血清型F11のPフィムブリエの主要
サブユニットをコードする遺伝子にGnRHをコードす
る遺伝情報を挿入する場合を説明する。
【0070】(A)組換えDNAの調製 パスツール研究所(Institut Pasteu
r)のCNCMに受託番号I−709で寄託されたプラ
スミドpPIL291−15を使用してプラスミドpP
IL291−1510及びpPIL291−1519を
構築した。プラスミドpPIL291−151はF11
遺伝子クラスターの遺伝編成を含む。pPIL291−
15のBamHI−Cla1フラグメントはF11主要
サブユニットをコードする遺伝子、FelA遺伝子を含
む。
【0071】プラスミドpPIL291−1510及び
pPIL291−1519の構築はVan Dieら、
Mol.Gen.Genet(1990)222:29
7〜303及びVan Dieら(1988)J.Ba
cteriol.170:5870〜5876に記載の
ごとく行なった。
【0072】(pPIL291−15の3kbのCla
I−BamHIフラグメントのクローニングによって得
られた)pPIL291−151の0.7kbのHin
dIII−EcoRIフラグメントを細菌性ファージベ
クターm13mp8にクローニングした。このクローン
を特定部位の突然変異誘発の鋳型として使用した。
【0073】特定部位の突然変異誘発は、本質的に前出
の文献(Van Die、I.ら(1988) J.B
acteriol.170:5870〜5876)に記
載されたようなギャップトデュプレックス法(gapp
ed duplex method)(Kramer
V.ら(1984) Nucl.Acid Res.1
2:9441〜9456)によって行なった。
【0074】得られた二重鎖DNA分子でHB2154
株を形質転換させ、白色プラークを選択し、制限フラグ
メントDNAを単離し検査した。
【0075】HR1の突然変異誘発プライマーはヌクレ
オチド配列CAGCTTTTAAAGGCCTTGGA
GCAGCTAAAA(配列番号:20)を有してい
た。突然変異誘発実験では、野性型F11配列の塩基3
55〜362が種々の塩基で置換され、この領域の3つ
のアミノ酸が修飾され、得られたDNA分子にStuI
制限部位(AGGCCT)が導入されていた。
【0076】HR4の突然変異誘発プライマーはヌクレ
オチド配列TTCTTTCGATGGGTTAACCC
TGAAAGATGG(配列番号:21)を有してい
た。突然変異誘発実験では、野性型F11配列の塩基5
02〜520が4つの新しい塩基で置換され、15個の
塩基が欠失し、得られたDNA分子にHpaI制限部位
(GTTAAC)が存在していた。
【0077】次にHindIII−EcoRIフラグメ
ントを単離し、これを使用してプラスミドpPIL29
1−151のEcoRI−HindIIIフラグメント
と置換するとプラスミドpPIL291−1510(超
可変領域1 HR1にStuI制限部位を含む)とプラ
スミドpPIL291−1519(超可変領域4 HR
4にHpaI制限部位を含む)とが得られた。双方のク
ローニング部位を同じ読取枠に構築した。
【0078】種々の長さのいくつかのオリゴヌクレオチ
ドをpPIL291−1510及び/またはpPIL2
91−1519に挿入した。挿入したオリゴヌクレオチ
ドはすべてアミノ酸配列gln his trp se
r tyr gly leuarg pro glyを
有するデカペプチドGnRHをコードする。種々のオリ
ゴヌクレオチドはその長さ及びデカペプチドにフランキ
ングするアミノ酸配列の組成が違っている。
【0079】図1及び配列番号:1〜8はプラスミドp
PIL291−1510及びpPIL291−1519
に挿入されたオリゴヌクレオチドを示す。対応するアミ
ノ酸に翻訳されたGnRHのコーディング鎖に下線を付
けて示している。
【0080】プラスミドを含む形質転換細胞の単離後
に、制限エンドヌクレアーゼBamHIに対する部位の
存在の決定によってリンカー1(配列番号:1、2)、
4(配列番号:5、6)及び5(配列番号:7、8)の
夫々と共にインサートを含むプラスミドを選択した。
【0081】インサートとしてリンカー3(配列番号:
3、4)を含むプラスミドを検出するために、オリゴヌ
クレオチドのStuI認識部位を使用することができな
かった。その理由は、StuI認識部位の直後に2つの
グアニジンヌクレオチドが存在し、大腸菌メチラーゼに
よって認識される部位を形成し、メチル化シチジン残基
となって制限から保護されるからである。従って、リン
カー3の組込みを選択する際、HR1中の挿入を検出す
るためにはプラスミドをStuIで消化し、HR4中の
挿入を検出するためにはHpaIで消化した。
【0082】超可変領域HR1及びHR4に夫々のオリ
ゴヌクレオチドが首尾よく組込まれたときには対応する
制限部位が除去された。
【0083】次に、正しい配向のリンカーの存在を決定
するために、選択されたプラスミドを配列決定した。記
載のごとく所望の配向でリンカーを含むプラスミドをp
AIX.Y.Oと命名した。Xは超可変領域の存在を示
し、Yは挿入されたリンカーの存在を示し、Oは付属遺
伝子の存在を示す。
【0084】pPIL291−1510に由来のプラス
ミドをpAI 110、pAI 130、pAI 14
0、pAI 150と命名した。組換え超可変領域1、
即ちプラスミドpPIL291−1510に挿入された
後のHR1中では、オリゴヌクレオチドの前にグリシン
残基のコドンが存在した。
【0085】配列番号:1〜8で示されるリンカーを含
むプラスミドpPIL291−1519をpAI 41
0(配列番号:9、10)、pAI 430(配列番
号:11、12)、pAI 440(配列番号:13、
14)及びpAI 450(配列番号:15、16)と
夫々命名した。組換え超可変領域HR4においては、プ
ラスミドpPIL291−1519の超可変領域4 H
R4に挿入されたオリゴヌクレオチドの前にロイシン残
基が存在する。組換え超可変領域4の最終アミノ酸はト
レオニンである。
【0086】図2及び配列番号:9〜16は夫々、プラ
スミドpAI 410、430、440及び450の超
可変領域4 HR4のDNA配列及び対応するアミノ酸
配列410(配列番号:9、10)、430(配列番
号:11、12)、440(配列番号:13、14)及
び450(配列番号:15、16)とF11の野性型H
R4のDNA配列及びアミノ酸配列(配列番号:17)
を示す。アミノ酸に従って翻訳されたGnRHのコーデ
ィング領域は配列表の情報項目の(ix)配列の特徴、
(B)存在位置に夫々示されている。
【0087】表1は、GnRHの少なくとも1つの抗原
決定基をコードするデカペプチドGnRHのフランキン
グ配列の比較、及び組換え超可変領域4 HR4と野性
型超可変領域4 HR4との長さの比較を示す。
【0088】(B)組換えDNAの発現から得られたフ
ィムブリエの分析 pPIL291−15のFelA遺伝子を含むClaI
/BamHI制限フラグメントを、リンカー1、3、4
及び5を夫々含むpAI−プラスミドの突然変異Cla
I−BamHIフラグメントによって置換し、得られた
4つのプラスミドでHB101のコンピテント細胞を形
質転換した。
【0089】血球凝集反応が陽性のクローンを選択し、
DNA制限フラグメント分析によって検査した。形質転
換HB101細胞によるハイブリッドフィムブリエの発
現を電子顕微鏡によって観察した。結果を表2にまとめ
る。
【0090】これらの試験は、HB101/PAI 4
40が正常F11遺伝子クラスターを保有するHB10
1/pPIL291−15とほぼ同じ効率でフィムブリ
エを発現させることを示唆した。プラスミドpAI 4
10及び430を含むHB101細胞中のフィムブリエ
の産生はわずかに減少した。超可変領域1にリンカーを
挿入すると、細胞あたりの検出されるフィムブリエはご
く少数にすぎなかったのでフィムブリエの発生がかなり
妨害されると考えられる。
【0091】また、野性型F11フィムブリエを含む完
全細菌に対するポリクローナル抗体によるELISAア
ッセイによって組換えフィムブリエの発現を検査した。
このアッセイを用いた理由は、新しい連結によってF1
1特異的エピトープがねじれるので(Van Die
ら、MGG222(1990) blz.297〜30
3に記載された現象)、モノクローナル抗体が使用でき
ないからである。結果を表3に示す。
【0092】材料及び方法 (a)細菌 ハイブリッドフィムブリエの形態形成発現用宿主菌株と
しては1型フィムブリエ形成の欠失した大腸菌HB10
1株を使用した(Boyer、H.W.、D.Roul
lard−Dussoix(1969);J.Mol.
Biol.41:459〜472)。HB101を回転
震盪器で培養し、非形質転換細胞がフィムブリエ(-)
あることを確認した。
【0093】DNA配列決定のためにはJM101株を
M13MP8誘導体の宿主として使用した(Messi
ng、J.、J.Vieira(1982);Gene
19:269〜276)。
【0094】特定部位の突然変異誘発実験では、HB2
154をM13mp18の宿主株として使用した(Ca
rter、P.、H.Bedouelle、G.Win
ter(1985);Nucl.Acids Res.
13:4431〜43)。
【0095】アンピシリン(50μg/ml)を含む脳
心インフュージョンブイヨンで細菌を増殖させた。
【0096】(b)酵素 制限エンドヌクレアーゼを製造業者の指示通りに使用し
た。
【0097】連結のためにはT4 DNAリガーゼを製
造業者の指示通りに使用した。
【0098】(c)DNA分析 DNAフラグメントの分析は0.6%アガロースゲル中
の電気泳動によって行なった。
【0099】DNA配列決定のためには、Sanger
らのジデオキシ鎖終止法(Sanger、F.、S.N
icklen、A.R.Coulson(1977);
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 7
4:5463〜67)を使用した。
【0100】(d)形質転換 形質転換はKushnerの方法で行なった(Kush
ner、S.R.(1978);p.17〜23:H.
W.Boyer & S.Nicosia (ed)
Genetic Engineering.Elsev
ier Biomedical Press、Amst
erdam)。
【0101】(e)部位特異的突然変異誘発 ギャップトデュプレックス法によって部位特異的突然変
異誘発を実施した。プライマーをM13mp18と共に
鋳型DNAと65℃で1時間ハイブリダイズさせた。所
要のdNTP、10単位のT4リガーゼ及び3単位のD
NAポリメラーゼIのKlenowフラグメント添加
し、次いで16℃で4時間インキュベーションすること
によってこのギャップトデュプレックス分子を伸長及び
連結させた。
【0102】(f)リンカー合成 Applied BiosystemsのDNAシンセ
サイザーモデル381Aを使用説明書通りに使用してG
nRHオリゴヌクレオチドを合成した。
【0103】(g)リンカーの挿入 プラスミドpPIL291−1519を以下の手順でH
paIで消化した:1μgのDNAと5単位の制限酵素
HpaIとTEバッファ(10mMのトリス1mMのE
DTA)で15μl希釈した1.5μlの制限バッファ
(10×)との混合物を調製し、この混合物を37℃で
1.5時間インキュベートした。次いで65℃で10分
間加熱して酵素を失活させ、混合物をフェノール抽出し
次いでアルコール沈殿させた。
【0104】線状化したプラスミドを以下の手順でGn
RHリンカーに連結させた:5単位のリガーゼと1μl
のリガーゼバッファ(10×)とベクターDNAとリン
カーDNAとを容量10μlで調製した。16℃でO/
N連結を生じさせた。
【0105】100μlのHB101のコンピテント細
胞(Kushner、S.R.(1978);p.17
〜23 :H.W.Boyer & S.Nicosi
a(ed) Genetic Engineerin
g.Elsevier Biomedical Pre
ss、Amsterdam)を結合プラスミドと共に氷
上に30分間維持した。次いでこの混合物を37℃で5
分間熱衝撃した。LB培地を添加し、1.5時間後にA
mpプレートにプレートアウトした。得られたコロニー
を単離し、培養し、これらのコロニーからプラスミドD
NAを単離し配列決定した。
【0106】HR1にGnRHを挿入する場合にも同じ
手順を用いたがHpaIの代わりにStuIを用いて消
化した。
【0107】(h)完全細菌ELISA 抗血清としてはF11フィムブリエに対する吸収に掛け
られた超免疫ウサギ抗血清を使用した。
【0108】各アッセイにおいて、陽性及び陰性の対照
菌株も試験した。
【0109】洗浄後の細菌を平底ポリスチレンマイクロ
タイタープレートに播種した。細菌浮遊液を乾燥させ、
洗浄後にPBS/Tween−80/新生仔ウシ血清で
ブロックした。次いで、吸収血清の一連の連続希釈液を
添加し、37℃で1時間インキュベーション後にプレー
トを洗浄し、ペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤ
ギ抗ウサギIgG(H+L)を添加した。洗浄し、ウレ
ウム−ペルオキシド(ureum−peroxide)
と3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジンとを含
むTMB基質バッファを添加した後、H2SO4を添加し
て反応を停止させ、Microelisa読取装置によ
って着色を測定した。力価測定によれば、最大希釈度の
抗血清のA450はバックグラウンドA450の2倍以上であ
った。
【0110】(i)ハイブリッドGnRH−F11フィ
ムブリエの産生、単離及び精製 プラスミドpAI 410、pAI 440、pAI
10410及びpAI10440で形質転換し30%グ
リセロール中に−70℃で維持した大腸菌K−12株を
2回前培養した(Blood Agar Base N
o.2(Oxoid)+100μg/mlのアンピシリ
ンと共にプレート上で37℃で一夜及び100mlの脳
心インフュージョン培地(BHI、Oxoid)+アン
ピシリン(100μg/ml)中で攪拌しながら37℃
で7時間)。
【0111】主培養のためには、12リットルのBH
I、アンピシリン(100μg/ml)及び5mlの1
0%PPG(消泡剤)を充填した発酵槽に前培養物を接
種し17時間増殖させた(37℃;空気で調節した50
%O2飽和;100〜1000rpmで攪拌)。
【0112】65℃に(15分間)加熱して培養細菌か
らフィムブリエを取出し、pH10で処理し(1時間、
室温、攪拌)、遠心した(15分間、13000rpm
のSorvall RC−5B、ロータGSA)。
【0113】上清を200〜600mlに濃縮し(XM
300フィルター、Minitan System、
Millipore)、トリス/グリシンバッファ(p
H10)で洗浄し、pHを8.5に調節し、得られた沈
殿物を4℃で少なくとも1日間沈降させた。
【0114】沈殿物を採取し(48,000g、4℃で
20分間遠心)、ペレットを100mlのトリス/グリ
シンバッファpH8.5に2Mの尿素と共に溶解させ
た。この調製物を濃縮し(YM100フィルター、Am
icon限外濾過セル)、洗浄し(2×200mlのト
リス/グリシンバッファpH8.5)、ワクチン製造に
使用するまで−20℃で保存した。
【0115】実施例2 超可変領域1の突然変異及び超可変領域4の挿入も試験
した。実施例1で記載したような部位特異的突然変異誘
発によってプラスミド中にStuI認識部位を構築し
た。次いでフィムブリエの形成、及びこれらの構築物の
抗原性を実施例1の構築物の場合と同様にして判定し
た。
【0116】意外にも、超可変領域1内の突然変異の存
在、即ちStuI認識部位の存在は、プラスミドpAI
410、pAI 430及びpAI 440と同量の
フィムブリエ形成を形質転換細胞によって生じる組換え
DNAを与えた。結果を表2に示す。
【0117】超可変領域1にStuI部位を構築すると
超可変領域4に組込まれたリンカーの露出が改善される
と考えられる。超可変領域1にStuI部位を含む突然
変異体はイムノゴールド標識実験で陽性反応を示した。
同様に試験したプラスミドpAI 410を含む細胞で
はラベルが全く検出されない。この観察は、試験下の2
つの超可変領域が密接に接触していることを示す。
【0118】実施例3 実施例1及び2に記載の構築物で形質転換された微生物
から得られた組換え線毛フィラメントを含むフィムブリ
エ調製物について実験を行なった。
【0119】GnRHに対する中和作用を決定するため
に免疫感作試験を実施した。免疫感作試験では、免疫感
作された哺乳類の発情周期がかく乱されたりまたは抑制
されたりした。
【0120】この実施例において、GnRHのアミノ酸
配列を含む突然変異フィムブリエを用いて雌ラットにワ
クチン接種した。この試験では超可変領域4 HR4に
GnRH様ペプチドだけが構築されたフィムブリエと極
めて小さい別の変化(HR1にStuI部位の挿入)を
更に与えたフィムブリエとの活性の違いを確認した。
【0121】Wister始原系統から繁殖させた雌の
成ラットを正常発情周期に基づいて選択し、油/水混合
物(70/30、v/v)中のフィムブリエ(50μ
g)の0.5mlのエマルジョンを6週間の間隔をおい
て2回皮下注射した。注射剤の油相は液体パラフィン
(Marcol 52)中のポリソルベート80とソル
ビタンモノオレエートから成り、水相は蒸留水中のAl
(OH)3を含んでいた。突然変異フィムブリエはpA
I 10410、pAI 440及びpAI 1044
0であった。実施例1及び2と同様の手順でフィムブリ
エ調製物を得た。注射前、注射間及び注射後に、腟のス
ミアを毎日採取し、所定間隔で眼窩後方叢(retro
−orbital pluxus)から血液を採取し、
血清を−20℃でアッセイまで保存した。実験終了後に
動物を殺し、卵巣を計量した。
【0122】腟スミア 毎日の腟スミアを顕微鏡スライドにした。乾燥させメタ
ノールで定着した後で、蒸留水で1:10に希釈したギ
ームザ溶液(Merck、Darmstadt、W.G
ermany)で20分間染色し、水道水でよく洗い、
乾燥した。各スミアを顕微鏡観察し(100×)、ケラ
チン化有核上皮細胞及び白血球のパーセンテージを算定
した。
【0123】正常ラットの腟は4日間の発情周期で:発
情間期−発情前期−発情期のサイクルを示した。これら
の発情フェーズを図中に以下のスコアで示す:1=発情
間期、2=発情前期、3=発情期。
【0124】アッセイ 血清サンプル中の抗GnRH抗体による125I−GnR
Hの結合をラジオイムノアッセイ(RIA)によって定
量した。
【0125】インキュベーションの前に、解凍した血清
サンプルをアッセイバッファ(0.01mol/リット
ルのNa2HPO4.2H2O、0.15mol/リットル
のNaCl、0.1%ゼラチン及び0.1%ナトリウムア
ジドpH8.0)に希釈した。
【0126】0.1mlの希釈血清サンプルと0.2ml
のアッセイバッファと0.05mlの125I−GnRHと
から成る二重のサンプルを4℃で16時間インキュベー
ションすることによってRIAを実施した。分離の前に
0.05mlのヒト血清をキャリアータンパク質として
試験管に添加した。
【0127】全部の試験管に0.5mlのPeg溶液
(ゼラチンを含まないアッセイバッファ中に40%のP
eg−4000)を添加することによって遊離抗体と結
合抗体とを分離した。混合物を遠心し、沈殿物をγ分光
計でカウントした。
【0128】結合放射能の非特異的結合を補正し、添加
放射能総量に対する放射能の結合割合(%)として力価
を計算した。
【0129】結果 抗GnRH抗体及び発情周期に対する効果 (図3〜5) −アジュバントだけで処理した動物の血清は抗GnRH
抗体を示さなかった。これらの動物で発情周期の抑制は
全く観察されなかった。
【0130】−突然変異フィムブリエで処理したすべて
の動物は血清抗体結合を示し、この結果として発情周期
が破壊され抑制された。
【0131】体重 特に、pAI 10410またはpAI 10440で
処理したラットは、ブースター注射の3〜5週後にプラ
セーボで処理した動物を上回る体重を示した(図6)。
【0132】卵巣重量 すべての突然変異体のフィムブリエは卵巣重量の減少を
示した(図7)。
【0133】実施例4 ラットの実験に加えて、雄の仔ウシにも同じ調製物を試
験した。異種交配した4箇月齢の雄の仔ウシに油/水混
合物(70/30、v/v)中のフィムブリエ(200
μg)の2mlのエマルジョンを8週間の間隔で2回皮
下注射した。注射剤の油相は液体パラフィン(Marc
ol 52)中のポリソルベート80とソルビタンモノ
オレエートから成り、水相は蒸留水中のAl(OH)3
を含んでいた。突然変異フィムブリエはpAI 41
0、pAI 10410、pAI440及びpAI 1
0440であった。実施例1及び2と同様の手順でフィ
ムブリエ調製物を得た。注射前、注射間及び注射後に、
陰嚢周囲を毎週測定し、所定の時期に頸静脈から血液を
採取し、血漿を−20℃でアッセイまで保存した。
【0134】アッセイ 血漿サンプル中の抗GnRH抗体による125I−GnR
Hの結合を実施例3に記載のようなラジオイムノアッセ
イ(RIA)によって定量した。
【0135】結果(図8及び図9) −アジュバントだけで処理した動物の血漿は抗GnRH
抗体を含んでいなかった。実験期間中に4頭の雄ウシの
陰嚢周囲は規則的に増大した。
【0136】−pAI 410で処理した雄ウシの血漿
中では抗体結合が観察され、その結果として対照動物に
比較して陰嚢周囲が縮小していた。
【0137】−pAI 440で処理した雄ウシの血漿
中では抗体結合が観察され、1頭は特に高い値を示し
た。この結果として対照動物に比較して陰嚢周囲が縮小
していた。
【0138】−pAI 10410処理した雄ウシの全
部は対照動物に比較して、特にブースター注射後の短期
間内に高い血漿抗体結合と陰嚢周囲のかなりの縮小とを
示した。
【0139】−pAI 10440で処理した雄ウシの
血漿中では抗GnRH抗体結合が観察され、また対照動
物と比較して陰嚢成長がかなり低下した。
【0140】−HR1にStuI部位を付加すると、抗
GnRH抗体の誘発及びその活性がリンカー1または4
のいずれを使用したかにかかわりなく顕著に改善され
た。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
【配列表】 配列番号:1 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:36塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:2..31 (xi)配列 G CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG CGT CCA GGA TCCCG 36 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:2 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:3 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:31塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:2..31 (xi)配列 G CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG AGG CCT GGG 31 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:4 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:5 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:39塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:5..34 (xi)配列 GACT CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG CGT CCA GGG GATCC 39 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:6 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:7 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:42塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:8..37 (xi)配列 GGGATCC CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG CGT CCA GGC GGTCC 42 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:8 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:9 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:48塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:7..36 (xi)配列 GGGTTG CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG CGT CCA GGA TCCCGAACCC 46 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:10 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:11 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:42塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:7..36 (xi)配列 GGGTTG CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG AGG CCT GGA ACCCTG 42 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:12 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:13 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:51塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:10..39 (xi)配列 GGGTTGACT CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG CGT CCA GGG GATCCAACCC TG 51 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:14 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:15 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:54塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:13..42 (xi)配列 GGGTTGGGAT CC CAG CAC TGG AGC TAC GGC CTG CGT CCA GGC GGTCCAACCCTG 54 Gln His Trp Ser Tyr Gly Leu Arg Pro Gly 1 5 10 配列番号:16 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:17 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:27塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す名称/記号:CDS (B)存在位置:1..27 (xi)配列 GGG ACT GCA GGT GAC GCT TAT CCC CTG 27 Gln Thr Ala Gly Asp Ala Tyr Pro Leu 1 5 配列番号:18 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:9アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:タンパク質 配列番号:19 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:10アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:ペプチド (iii)ハイポセティカル:無 (v)フラグメントの型:中間部 配列番号:20 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:30塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (xi)配列 CAGCTTTTAA AGGCCTTGGA GCAGCTAAAA 30 配列番号:21 (i)配列の特性: (A)配列の長さ:30塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二重鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:DNA(ゲノム) (iii)ハイポセティカル:無 (iii)アンチセンス:無 (xi)配列 TTCTTTCGAT GGGTTAACCC TGAAAGATGG 30
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpPIL291−1510及びpP
IL291−1519に挿入されたオリゴヌクレオチ
ド。コードされたGnRHアミノ酸配列に下線を付けて
示している。
【図2】プラスミドpAI 410、430、440及
び450中の組換えHR4領域のDNA配列及び対応す
るアミノ酸配列。コードされたGnRHアミノ酸配列に
下線を付けて示している。
【図3】GnRHのアミノ酸配列を含む突然変異フィム
ブリエで処理されたかまたは非処理の雌ラットの血清中
の抗GnRH抗体価の増加を示す。血清希釈度5600
×における相対結合。
【図4】アジュバントだけによって処理したラットの発
情周期: スコア:1=発情間期 2=発情前期または発情後期 3=発情期
【図5】pAI 10410で処理したラットの発情周
期: スコア:1=発情間期 2=発情前期または発情後期 3=発情期
【図6】GnRHのアミノ酸配列を含む突然変異フィム
ブリエによって処理されたかまた非処理の雌ラットの平
均体重。
【図7】GnRHのアミノ酸配列を含む突然変異フィム
ブリエによって処理されたかまた非処理のラットの卵巣
重量。
【図8】ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)のア
ミノ酸配列を含む突然変異フィムブリエによって処理さ
れるかまた非処理の仔ウシの血漿中の抗GnRH抗体価
の増加。血漿希釈度5600×における相対結合。
【図9】GnRHのアミノ酸配列を含む突然変異フィム
ブリエによって処理されたかまた非処理の仔ウシの陰嚢
周囲の増加。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 イルマ・マリアンヌ・フアン・デイー オランダ国、2804・ペー・ゼツト・ホウ ダ、ワテルレリー・124 (72)発明者 ウイレム・ピエテル・マルテイン・フーク ストラ オランダ国、ゼイスト、コーウエンホーフ エン・61−46 (72)発明者 ヨセフス・テオドルス・ヘーレン オランダ国、5845・アー・エム・セント・ アンソニス、ケンペンスボス・10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴナドトロピン放出ホルモン(GnR
    H)またはGnRHの類似体もしくは誘導体に対する免
    疫応答を誘発し得る免疫原性キャリアー系であって、前
    記キャリアー系が、インサートを伴う主要サブユニット
    の少なくとも一部を含む大腸菌P線毛フィラメントの少
    なくとも一部を含み、前記インサートが、GnRHまた
    はGnRHの類似体もしくは誘導体の抗原決定基少なく
    とも1つを有するペプチドから成り、前記インサート
    が、野性型主要サブユニットの超可変領域4の位置に対
    応する主要サブユニット内の位置に配置されていること
    を特徴とする免疫原性キャリアー系。
  2. 【請求項2】 GnRHまたはGnRHの類似体もしく
    は誘導体の抗原決定基少なくとも1つを含むペプチド
    が、アミノ酸配列gln his trp ser t
    yr gly leu arg pro glyに由来
    することを特徴とする請求項1に記載の免疫原性キャリ
    アー系。
  3. 【請求項3】 主要サブユニットが血清型F−11のP
    −フィラメントに由来することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の免疫原性キャリアー系。
  4. 【請求項4】 インサートの最大長さがアミノ酸16個
    であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項
    に記載の免疫原性キャリアー系。
  5. 【請求項5】 インサートが更に、GnRHまたはGn
    RHの類似体もしくは誘導体の抗原決定基少なくとも1
    つを含むペプチドにフランキングする少なくとも1つの
    アミノ酸を含むことを特徴とする請求項1から4のいず
    れか一項に記載の免疫原性キャリアー系。
  6. 【請求項6】 インサートを伴う主要サブユニットが更
    に、野性型主要サブユニットの超可変領域1及び隣接相
    同領域の一部に対応するアミノ酸配列中に突然変異を含
    むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記
    載の免疫原性キャリアー系。
  7. 【請求項7】 インサートを伴う大腸菌P線毛フィラメ
    ントの主要サブユニットの少なくとも一部をコードする
    組換えDNA配列であって、前記インサートが、GnR
    HまたはGnRHの類似体もしくは誘導体の抗原決定基
    少なくとも1つを含むペプチドから成り、前記インサー
    トが、野性型主要サブユニットの超可変領域4の位置に
    対応する主要サブユニット内の位置に配置されているこ
    とを特徴とする組換えDNA配列。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の組換えDNA配列を含
    む発現ベクター。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の組換えDNA配列及び
    /または請求項8に記載の発現ベクターを含み、前記組
    換えDNA配列を発現させ得る微生物。
  10. 【請求項10】 フィムブリエを発生し得る請求項9に
    記載の微生物。
  11. 【請求項11】 動物体内でGnRHまたはGnRHの
    類似体もしくは誘導体に対する免疫応答を誘発し得るワ
    クチンであって、前記ワクチンが、有効量の請求項1か
    ら6のいずれか一項に記載の免疫原性キャリアー系を含
    むかまたは請求項8に記載の発現ベクターを含むかまた
    は請求項9もしくは10に記載の微生物を含み、ワクチ
    ンに慣用の1種以上のアジュバントもしくはその他の化
    合物を任意に含むことを特徴とするワクチン。
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