JPH0655629A - 積層多孔質フイルムの製造方法 - Google Patents

積層多孔質フイルムの製造方法

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JPH0655629A
JPH0655629A JP23145692A JP23145692A JPH0655629A JP H0655629 A JPH0655629 A JP H0655629A JP 23145692 A JP23145692 A JP 23145692A JP 23145692 A JP23145692 A JP 23145692A JP H0655629 A JPH0655629 A JP H0655629A
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film
temperature
porous film
stretching
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JP23145692A
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English (en)
Inventor
Soji Nishiyama
総治 西山
Hiroyuki Higuchi
浩之 樋口
Kiichiro Matsushita
喜一郎 松下
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 層間の密着性にすぐれると共に、ピンホ―ル
のない積層多孔質フイルムを、各フイルムの孔を潰すこ
となく製造できる方法を提供する。 【構成】 熱可塑性樹脂を主体とする成形材料をドラフ
ト比80以上でフイルム成形する第1の手段と、このフ
イルムの少なくとも2枚を重ね合わせて上記樹脂の軟化
点以上融点未満の温度に加熱して積層一体化する第2の
手段と、この積層フイルムを延伸多孔化する第3の手段
とを採用することにより、積層多孔質フイルムを製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分離膜、通気性フイル
ム、電池用セパレ―タなどに利用される積層多孔質フイ
ルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔質フイルムを積層することにより、
単層では発揮しえない機能を付与できることが知られて
いる。その目的とするところは、多岐にわたつている
が、一般には、孔径の異なる多孔質フイルムを積層する
ことにより透過性にすぐれた非対称構造を得ること、強
度の異なる多孔質フイルムを積層することによる多孔質
フイルムの補強、同種の多孔質フイルムの積層によるピ
ンホ―ル(欠陥となる粗大孔)の防止、表面性質の異な
る多孔質フイルムの積層による接着性の改善などが主な
ものである。
【0003】したがつて、積層多孔質フイルムを得るう
えで、肝要な点は、十分な層間の密着性を確保しながら
も、微細な多孔構造を破壊せず、しかもピンホ―ルなど
の欠陥を生じさせないことである。
【0004】積層多孔質フイルムの製造方法として、多
孔質フイルムを接着剤や加熱加圧により積層一体化する
方法が知られ、特に加熱加圧による方法として、特開昭
53−85865号公報においては、ポリテトラフルオ
ロエチレンの多孔質焼結フイルムを2層以上重ね合わ
せ、0.01〜0.5Kg/cm2 の外圧をかけながらポリ
マ―の結晶融点以上に加熱して、フイルム間にフアイバ
―状マトリツクスの物理的結合状態を形成して、一体化
する多層化方法が提案されている。
【0005】また、特開昭62−53813号公報にお
いて、熱可塑性樹脂からなる多孔膜を2枚以上重ね合わ
せ、特定条件下で縦方向に延伸することで、ピンホ―ル
(欠陥となる粗大孔)を皆無にした多孔膜を得る方法が
提案されている。さらに、特開昭62−79806号公
報には、多層中空糸ノズルまたは多層ダイを用いて成形
することにより、分子量の異なる同種の熱可塑性樹脂か
らなる複層構造の未延伸熱可塑性樹脂中空糸またはフイ
ルムを得、ついで未延伸素材を延伸多孔化する方法が示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、多孔質フイ
ルムを接着剤により積層一体化する方法は、接着剤が浸
透してしまう問題のほかに、接着剤がこのフイルムと異
なる素材であることによる制約、たとえば接着剤自体ま
たは微量成分の溶出の問題などがある。
【0007】特開昭53−85865号公報に開示され
ている多孔質フイルムを加熱加圧により積層一体化する
方法は、原理的に溶融または軟化した多孔質フイルム素
材を外力および表面張力により変形させ接着する方法で
あるため、積層による多孔構造の変化は免れない。ま
た、特開昭62−53813号公報に開示されている方
法は、やはり本質的に多孔膜どうしを重ね合わせる方法
であり、延伸時において多孔膜をロ―ルにニツプする際
に孔が潰れる危険性があることから、装置面や延伸条件
面での制約が多い欠点がある。
【0008】一方、特開昭62−79806号公報に開
示されている方法は、積層したのちに多孔化する方法で
あり、積層時に孔が潰れる危険性はない。しかるに、多
層押出成形においては、ダイ内接着ダイ外接着に関わら
ず、材料が溶融状態にある間に積層されるため、フイツ
シユアイや異物による欠陥が層間にわたつて生ずる可能
性が高く、延伸工程において貫通したピンホ―ルが生じ
やすい問題がある。
【0009】本発明は、上記従来の事情に鑑み、層間の
密着性にすぐれると共に、ピンホ―ルのない積層多孔質
フイルムを、各フイルムの孔を潰すことなく製造できる
方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、予め形成された
熱可塑性樹脂フイルムを、この樹脂の軟化点以上融点未
満の温度において積層一体化したのち、延伸多孔化する
ことにより、層間の密着性にすぐれると共に、ピンホ―
ルのない積層多孔質フイルムを、各フイルムの孔を潰す
ことなく製造できることを見い出し、本発明を完成する
に至つた。
【0011】すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂を主体
とする成形材料をドラフト比80以上でフイルム成形す
る第1の手段と、このフイルムの少なくとも2枚を重ね
合わせて上記樹脂の軟化点以上融点未満の温度に加熱し
て積層一体化する第2の手段と、この積層フイルムを延
伸多孔化する第3の手段とからなることを特徴とする積
層多孔質フイルムの製造方法に係るものである。
【0012】なお、本明細書において、熱可塑性樹脂の
軟化点とは、ASTM−1525に記載されるビカツト
軟化点を指すものである。
【0013】
【発明の構成・作用】本発明における熱可塑性樹脂とし
ては、特に限定されるものではないが、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリ(4−メチル−ペンテン−
1)、ポリフツ化ビニリデンなどの結晶性高分子が好ま
しく用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単体で使用
できるほか、共重合体として、あるいは2種以上をブレ
ンドして用いることができる。
【0014】2種以上のポリマ―を用いることは、通
常、単一のポリマ―では得難い物性、たとえば機械的強
度、耐熱性、表面の親水性などを得ることを目的とする
場合が多いが、本発明においては、これに加えて、ある
樹脂にこの樹脂よりも相対的に低い温度で軟化溶融する
樹脂を、積層時における層間の融着を促進する目的でブ
レンドすることができる。
【0015】特に、相対的に高い温度で軟化溶融する樹
脂が連続相をなし、相対的に低い温度で軟化溶融する樹
脂が非連続相をなすような相分離構造をとることは、積
層時において、非連続相をなす樹脂の有する融点以上の
温度であつても、連続相をなす樹脂の有する融点以下の
温度であれば、連続相の有する結晶構造を破壊すること
なく、層間の密着性が得られるので、より好ましいもの
である。
【0016】本発明における成形材料は、上記の熱可塑
性樹脂を主体としたものであるが、ここで主体とは、熱
可塑性樹脂をこれ単独で成形材料とする場合と、この熱
可塑性樹脂に老化防止剤、帯電防止剤、スリツプ剤、造
核剤、充てん剤などの各種添加剤を適量混合して成形材
料とする場合とがあることを意味する。
【0017】本発明の第1の手段では、このような成形
材料を二軸押出機、ニ―ダ―、ロ―ル、バンバリ―ミキ
サ―などにより均一に溶融混練したのち、Tダイ押出成
形、インフレ―シヨン成形などにより、ドラフト比80
以上、好ましくは120以上通常500以下の条件で、
厚さが通常5〜200μm程度となるフイルム状に溶融
成形する。
【0018】ドラフト比(D)とは、フイルムの引取速
度(V2 )をダイスから押し出される成形材料の線速度
(V1 )で除した値、つまり、D=V2 /V1 にて表さ
れる値であつて、この値が大きいほど結晶配向性が高く
なる。すなわち、H.S.Bierenbaum et al,Ind.Eng.Che
m.,Prod.Res.Develop.vol.13,No.1,P-2,(1974年)
に提唱されているように、結晶性高分子は、高ドラフト
比で成形すると、ラメラ(板状結晶)がフイルムの引取
方向に対し垂直方向に列をなして並んだ構造(row stru
cture )をとることが知られている。
【0019】本発明において、ドラフト比80以上の条
件で成形することにより高い結晶配向性を得ているの
は、後で行われる延伸工程において、良好な多孔化を達
成するためであり、上記よりも低いドラフト比になると
十分な多孔化を図れない。なお、ドラフト比をあまりに
高くしすぎると、フイルム成形上の問題が生じてくるた
め、通常は前記した500以下の値にするのが望まし
い。
【0020】このように成形したフイルムに対し、熱処
理を施してもよい。この熱処理により、フイルムの結晶
性を高めることができ、後で行われる延伸工程で微細孔
の形成が促進され、高気孔率の多孔質フイルムを得るこ
とができる。しかし、本発明では、引き続く積層一体化
工程で必然的に熱処理され、同様の効果を得ることがで
きるから、経済性を重視する限り、通常本工程は省略さ
れる。
【0021】本発明の第2の手段では、上記の如くして
得た非多孔質フイルムの少なくとも2枚を重ね合わせ
て、熱処理することにより、積層一体化する。ここで、
積層するフイルムの組成およびその組み合わせは、積層
多孔質フイルムの使用目的に応じて適宜選択される。し
たがつて、同質のフイルムを積層してもよいし、また異
なつた材質のフイルムを積層してもよい。
【0022】積層一体化の加熱温度は、熱可塑性樹脂の
軟化点以上融点未満の温度であり、軟化点以上の温度と
することでフイルム層間の密着性を良くすることがで
き、また融点未満の温度とすることで各フイルムの結晶
配向性の低下、ひいては後で行われる延伸工程での多孔
化不良を防ぐことができる。
【0023】積層する少なくとも2枚のフイルムが同
質、つまり同一の熱可塑性樹脂からなる場合に、この熱
可塑性樹脂が2種以上のブレンド系で、二相以上の相分
離構造を有しているときは、各々の相が示す軟化点のう
ち最も低い温度以上、より好ましくは各々の相が示す融
点のうち最も低い温度以上で、かつ各々の相が示す融点
のうち最も高い温度未満の温度に加熱して積層一体化す
ればよい。これにより、各フイルム層間で有効な密着性
が得られると共に、フイルム全体の結晶配向性を低下さ
せることがない。
【0024】熱可塑性樹脂を2種以上のブレンド系とす
る代表的な例としては、たとえば、ポリプロピレンとポ
リエチレンとのブレンド系があり、特に両ポリマ―より
なる二相の相分離構造を形成するため、ポリプロピレン
10〜90重量%とポリエチレン90〜10重量%との
ブレンド系とするのが好ましい。
【0025】積層する少なくとも2枚のフイルムが異な
つた材質、つまり異なる熱可塑性樹脂からなる場合は、
隣接する各フイルムを構成する樹脂の軟化点のうちより
低い温度以上で、かつ隣接する各フイルムを構成する樹
脂の融点のうちより低い温度未満の温度に加熱して積層
一体化すればよい。これにより、各フイルム層間で有効
な密着性が得られ、フイルム全体の結晶配向性を低下さ
せることもない。
【0026】このように、本発明の第2の手段では、予
め成形したフイルムを融点未満の温度で積層するため、
フイルム成形時に生ずるフイツシユアイや混入した異物
などに起因する欠陥が、積層されたフイルムの層間にわ
たつて生ずることがなく、引き続く延伸工程でピンホ―
ルを生ずるおそれがない。
【0027】しかも、この第2の手段では、非多孔質の
フイルムを融点未満の温度で積層するため、積層時に圧
力をかけても、フイルム構造が破壊されることがない。
したがつて、通常のラミネ―トロ―ルを用いることがで
きるほか、プレスなどの加熱された金属板を用いる方
法、芯体上に巻き取りこれを加熱する方法などを採用で
きる。芯体上に巻き取りこれを加熱する方法では、非多
孔質のフイルムに離型性シ―トを共巻きして巻きとつて
もよく、この場合離型性シ―トの熱収縮性により積層時
の圧力を調節することができる。
【0028】本発明の第3の手段では、上記の積層一体
化工程の後に、延伸処理を施して、積層フイルムを多孔
化するものである。この延伸処理は、従来から知られて
いるロ―ル式延伸、テンタ―式延伸などにより、通常−
20〜60℃の低温延伸にて行うことができる。温度が
あまりに低すぎると作業中にフイルムの破断が生じやす
く、逆に高すぎると多孔化しがたい。
【0029】上記の低温延伸による延伸率は、特に限定
されないが、通常20〜400%、好ましくは50〜3
00%とするのがよい。ここで、延伸率(M1 )は、つ
ぎの式にて表される。 0 :低温延伸前の寸法 L1 :低温延伸後の寸法
【0030】このような低温延伸を行つたのち、必要に
より、60℃以上、積層フイルムが示す融点未満の温度
にて、高温延伸を施してもよい。この高温延伸は、一軸
延伸または二軸延伸のいずれでもよく、また多段にわた
つて行つてもよい。温度が低すぎると作業中にフイルム
の破断が生じやすく、逆に高すぎるとフイルムの多孔性
に悪影響を与えるため、好ましくない。
【0031】上記の高温延伸による延伸率は、特に限定
されないが、通常10〜500%とするのがよい。ここ
で、延伸率(M2 )は、つぎの式にて表される。 0 :低温延伸前の寸法 L1 :高温延伸前(低温延伸後)の寸法 L2 :高温延伸後の寸法
【0032】このような延伸処理にて得られる積層多孔
質フイルムは、延伸時の応力が残留し、延伸方向に寸法
が収縮しやすいため、延伸後にその延伸方向の寸法を予
め熱収縮させて、寸法安定性を向上させるのが望まし
い。この熱収縮は、延伸温度と同じ温度またはそれ以上
の温度で行うのがよい。熱収縮させる度合は、通常、延
伸後のフイルム長さが10〜40%減少する程度でよ
い。
【0033】また、積層多孔質フイルムの延伸方向の寸
法が変化しないように規制し、延伸温度またはそれ以上
の温度にて加熱する、いわゆる「ヒ―トセツト」を施し
て、熱収縮処理と同様の寸法安定性の向上を図るように
してもよい。さらに、このヒ―トセツトと上記の熱収縮
処理とを適宜組合わせて用いてもよい。
【0034】このようにして得られる積層多孔質フイル
ムは、積層するべき非多孔質フイルムの種類,厚さ,積
層枚数および延伸条件などの選択により、その厚さ,気
孔率および孔径を、使用目的に応じた任意の値に設定す
ることができる。しかし、通常は、厚さが10〜500
μm、気孔率が10〜90%、孔径が0.01〜10μ
m程度となるようにするのが望ましい。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、特定
条件下で成形した非多孔質フイルムをその積層後に延伸
多孔化するため、従来のような積層時における多孔構造
への悪影響がなく、また上記の積層を熱可塑性樹脂の軟
化点以上融点以下の温度で加熱して行うため、積層フイ
ルム間の密着性にすぐれるうえに、フイルム成形時に生
ずるフイツシユアイや混入した異物などに起因する欠陥
が、積層フイルムの層間にわたつて生ずることがなく、
ピンホ―ルの発生を防ぐことができる。
【0036】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。なお、以下の実施例では、積層多孔質
フイルムの物性として、電池用セパレ―タの重要な特性
とされる、電解液含浸時の電気抵抗値を取り上げている
が、本発明の方法にて得られる積層多孔質フイルムは上
記の用途にのみ限定されるものではない。
【0037】実施例1 軟化点154℃、融点158℃、メルトインデツクス
(以下、MIという)が2.5のポリプロピレンを、T
ダイ押出機により、ダイス温度230℃、ドラフト比1
10の条件下にて、厚さが20μmの長尺フイルム状に
成形した。得られたフイルム状物を2枚重ね合わせ、熱
ロ―ルを用いて、156℃の温度にて30秒間接触させ
て、積層一体化した。
【0038】つぎに、この積層非多孔質フイルムを、2
5℃の温度にて長尺方向に延伸率が50%になるように
低温延伸し、さらに130℃にて同方向に延伸率が10
0%になるように高温延伸した。その後、延伸方向の寸
法が変化しないように規制して、130℃にて2分間加
熱して、ヒ―トセツトした。このようにして得た積層多
孔質フイルムの厚さは35μmであつた。
【0039】比較例1 実施例1と同じ材料,成形条件にて得られた長尺フイル
ムを、1枚ずつ別個に熱ロ―ルを用い、156℃の温度
にて30秒間接触させて、熱処理を行つた。ついで、こ
の非多孔質フイルムを各々25℃の温度にて長尺方向に
延伸率が50%になるように低温延伸したのち、2枚を
重ね合わせ、130℃にて同方向に延伸率が100%に
なるように高温延伸した。その後、延伸方向の寸法が変
化しないように規制して、130℃にて2分間加熱し
て、ヒ―トセツトすることにより、厚さが35μmの積
層多孔質フイルムを得た。
【0040】上記の実施例1および比較例1に係る各積
層多孔質フイルムにつき、電気抵抗値、ピンホ―ルの有
無および層間密着性を調べた。その結果を、後記の表1
に示す。各特性は、以下の方法で測定,評価した。
【0041】<電気抵抗値>JIS C−2313に準
じ、電解液として、プロピレンカ―ボネ―トと1・2−
ジメトキシエタンを同容量ずつ混合した液に、電解質と
して無水過塩素酸リチウムを1モル/リツトルの濃度で
溶解したものを用い、国洋電気工業社製の抵抗計、LC
Rメ―タ―KC−532により、1KHzの交流抵抗を
測定し、下記の式にしたがい、積層多孔質フイルムの電
気抵抗値を算出した。 R=(R0 −R1 )×S R :積層多孔質フイルムの電気抵抗値(Ω・cm2 ) R0 :電解液の電気抵抗値(Ω) R1 :電解液中に積層多孔質フイルムを浸漬した状態で
測定した電気抵抗値(Ω) S :多孔質フイルムの断面積(cm2
【0042】<ピンホ―ルの有無>目視およびバブルポ
イントの測定(ASTM F316)により、積層多孔
質フイルムにピンホ―ルがあるかどうかを調べた。
【0043】<層間密着性>T型剥離試験機を行つた際
の破壊モ―ド、すなわち、界面破壊か凝集破壊かという
点で、層間密着性が良好であるかどうかを評価した。
【0044】
【表1】
【0045】上記の表1の結果から、本発明の実施例1
の方法によれば、層間密着性にすぐれると共に、電気抵
抗値の低い、そのうえピンホ―ルのない、高品質の積層
多孔質フイルムを作製できるものであることがわかる。
なお、比較例1の方法において、高温延伸およびヒ―ト
セツトの温度を高くする、たとえば156℃にすると、
層間密着性は良くなるが、電気抵抗値が高くなる問題が
生じた。
【0046】実施例2 軟化点150℃、融点167℃、MIが13.0のアイ
ソタクチツクポリプロピレンを、Tダイ押出機により、
押出温度230℃、ドラフト比100の条件下にて、厚
さ16μmの長尺フイルム状に成形した。また、軟化点
128℃、融点139℃、密度0.962g/cm3 、M
Iが10.75の高密度ポリエチレンを、Tダイ押出機
により、押出温度200℃、ドラフト比100の条件下
にて、厚さ20μmの長尺フイルム状に成形した。
【0047】この2種類のフイルム状物を重ね合わせ、
熱ロ―ルを用いて、130℃の温度にて15秒間接触さ
せて、積層一体化したのち、この積層非多孔質フイルム
を、25℃の温度にて長尺方向に延伸率が20%になる
ように低温延伸し、さらに125℃の温度にて同方向に
延伸率が90%になるように高温延伸した。このように
して得た積層多孔質フイルムの厚さは28μmであつ
た。
【0048】比較例2 軟化点150℃、融点167℃、MIが13.0のアイ
ソタクチツクポリプロピレンと、軟化点128℃、融点
139℃、密度0.962g/cm3 、MIが10.75
の高密度ポリエチレンとを、押出温度230℃で共押出
し、2層構造のフイルムを得た。このフイルムを130
℃の温度にて15秒間熱処理したのち、25℃の温度に
て長尺方向に延伸率が20%になるように低温延伸し、
さらに125℃の温度にて同方向に延伸率が90%にな
るように高温延伸した。このようにして得た積層多孔質
フイルムの厚さは30μmであつた。
【0049】上記の実施例2および比較例2に係る各積
層多孔質フイルムにつき、電気抵抗値、ピンホ―ルの有
無および層間密着性を、前記と同様にして調べた。その
結果を、下記の表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】上記の表2の結果から、本発明の実施例2
の方法によれば、前記の実施例1の場合と同様に、層間
密着性にすぐれると共に、電気抵抗値の低い、そのうえ
ピンホ―ルのない積層多孔質フイルムを作製できるもの
であることがわかる。
【0052】実施例3 軟化点150℃、融点166℃、MIが12.5のアイ
ソタクチツクポリプロピレン60重量部と、軟化点12
8℃、融点139℃、密度0.962g/cm3、MIが
10.75の高密度ポリエチレン40重量部とを、溶融
混合し、Tダイ押出機により、ダイス温度210℃、ド
ラフト比160の条件で、厚さ23μmの長尺フイルム
状に成形した。得られたフイルム状物を2枚重ね合わ
せ、熱ロ―ルを用いて、147℃の温度にて30秒間接
触させて、積層一体化した。
【0053】つぎに、この積層非多孔質フイルムを、2
5℃の温度にて長尺方向に延伸率が200%になるよう
に低温延伸し、さらに100℃にて同方向に延伸率が2
00%になるように高温延伸した。その後、延伸方向の
寸法が変化しないように規制して、100℃にて2分間
加熱して、ヒ―トセツトした。このようにして得た積層
多孔質フイルムの厚さは33μmであつた。
【0054】この積層多孔質フイルムにつき、その電気
抵抗値、ピンホ―ルの有無および層間密着性を、前記と
同様にして調べた結果、電気抵抗値は1.6Ω・cm
2 で、ピンホ―ルは全くみられず、層間密着性も良好で
あつた。
【0055】比較例3 積層一体化する温度を170℃に変更した以外は、実施
例3と同一組成,同一製法により、積層多孔質フイルム
を作製しようと試みたが、延伸時において破断し、目的
とする積層多孔質フイルムは得られなかつた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を主体とする成形材料をド
    ラフト比80以上でフイルム成形する第1の手段と、こ
    のフイルムの少なくとも2枚を重ね合わせて上記樹脂の
    軟化点以上融点未満の温度に加熱して積層一体化する第
    2の手段と、この積層フイルムを延伸多孔化する第3の
    手段とからなることを特徴とする積層多孔質フイルムの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 積層する少なくとも2枚のフイルムが同
    一の熱可塑性樹脂からなる請求項1に記載の積層多孔質
    フイルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂が2種以上のブレンド系
    で、二相以上の相分離構造を有しており、各々の相が示
    す軟化点のうち最も低い温度以上で、かつ各々の相が示
    す融点のうち最も高い温度未満の温度に加熱して積層一
    体化する請求項2に記載の積層多孔質フイルムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂が2種以上のブレンド系
    で、二相以上の相分離構造を有しており、各々の相が示
    す融点のうち最も低い温度以上で、かつ各々の相が示す
    融点のうち最も高い温度未満の温度に加熱して積層一体
    化する請求項2に記載の積層多孔質フイルムの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂がポリプロピレン10〜9
    0重量%とポリエチレン90〜10重量%とのブレンド
    系である請求項3または請求項4に記載の積層多孔質フ
    イルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 積層する少なくとも2枚のフイルムが異
    なる熱可塑性樹脂からなり、隣接する各フイルムを構成
    する樹脂の軟化点のうちより低い温度以上で、かつ隣接
    する各フイルムを構成する樹脂の融点のうちより低い温
    度未満の温度に加熱して積層一体化する請求項1に記載
    の積層多孔質フイルムの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7282109B2 (en) 2003-03-06 2007-10-16 Sumitomo Chemical Company, Limited Method for producing laminated porous polyolefin film and laminated porous polyolefin film
JP2009044731A (ja) * 2007-07-18 2009-02-26 Nitto Denko Corp 防水通音膜、防水通音膜の製造方法およびそれを用いた電気製品

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