JPH065407A - 避雷器の劣化監視装置 - Google Patents

避雷器の劣化監視装置

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JPH065407A
JPH065407A JP15692992A JP15692992A JPH065407A JP H065407 A JPH065407 A JP H065407A JP 15692992 A JP15692992 A JP 15692992A JP 15692992 A JP15692992 A JP 15692992A JP H065407 A JPH065407 A JP H065407A
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voltage
leakage current
zinc oxide
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Masahiro Azuma
正弘 東
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 避雷器の大きさや構成及び設置場所等に拘わ
らず、簡単な回路構成で、避雷器の劣化を精確に判定す
ることができる避雷器の劣化監視装置を得る。 【構成】 変流器4により酸化亜鉛形避雷器1の漏れ電
流を検出して増幅器61により増幅した後、同相電圧検
出器62により漏れ電流から商用周波数の位相を検出し
て、この検出値に基づき模擬電圧発生器63により対地
電圧の模擬電圧を発生する。掛算器66により模擬電圧
と漏れ電流との積を演算し、この演算結果を積分器65
により所定時間時間積分した後定時間休止して1つの周
期における消費エネルギー量を算出する。CPU67に
より複数周期の消費エネルギー量を所定期間に亙って複
数回検出した時系列データに基づいて避雷器の劣化を判
定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電力系統に適用され
る避雷器の劣化監視装置に関し、特に避雷器を流れる漏
れ電流を検出して上記避雷器の劣化を監視する避雷器の
劣化監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、例えば酸化亜鉛形避雷器の等価
回路図である。酸化亜鉛形避雷器は、碍管や金属性のタ
ンクなどの容器に一枚以上の酸化亜鉛素子を積層して構
成し、その構造から、図8に示すように、等価的に非直
線抵抗1aと静電容量1bとの並列回路で表される。ま
た、酸化亜鉛形避雷器は、送電線路に接続される端子と
接地線に接続される端子とを有する。
【0003】図9に、上記酸化亜鉛形避雷器の劣化を監
視する、例えば特開平2−129881号公報に示され
た従来の酸化亜鉛形避雷器の劣化監視装置のブロック図
を示す。同図において、1は酸化亜鉛形避雷器、2は酸
化亜鉛形避雷器1の一端に接続されて酸化亜鉛形避雷器
1に対地電圧を印加する一相分の送電線路、3は酸化亜
鉛形避雷器1の他端に接続されて酸化亜鉛形避雷器1を
接地する接地線、4は接地線3に電磁結合されて酸化亜
鉛形避雷器1の漏れ電流を分流して漏れ電流に比例した
電圧信号aを出力する変流器、5は送電線路1の対地電
圧を分圧してそれに比例した電圧信号bを出力するコン
デンサ形計器用変成器である。
【0004】6はケーブルAを介して変流器4から入力
される電圧信号aとケーブルBを介して変成器5から入
力される電圧信号bに基づいて酸化亜鉛形避雷器1の劣
化を判定する劣化判定部である。
【0005】この劣化判定部6は、変成器5で検出した
電圧信号bとそのゼロ点通過時のタイミング信号を出力
すると共に、電圧信号bに基づいて酸化亜鉛形避雷器1
の静電容量1bに流れる静電容量分電流Iに見立てた
信号を演算して出力する電圧演算部7と、変流器4によ
り検出された電圧信号aと電圧演算部7で演算された静
電容量分電流に見立てた信号とタイミング信号に基づい
て非直線抵抗1aを流れる抵抗分漏れ電流Iに相当す
る抵抗分漏れ電流信号を演算して出力する電流演算部8
とを有する。
【0006】また、劣化判定部6は、電圧演算部7から
の電圧信号b及び電流演算部8からの抵抗分漏れ電流信
号をそれぞれアナログ量からディジタル量に変換するA
/D変換器9a及び9bと、常規の対地電圧より高い対
地電圧に対応した抵抗分漏れ電流を基準電流信号として
記憶しているメモリ10とを有する。
【0007】さらに、劣化判定部6は、CPU11とイ
ンタフェース12を有し、ディジタル量に変換された抵
抗分漏れ電流信号とメモリ10に記憶されている基準電
流信号とをCPU11により比較して、抵抗分漏れ電流
信号が基準電流信号よりも大きい場合に酸化亜鉛形避雷
器1が劣化したと判定し抵抗分漏れ電流信号が基準電流
信号よりも小さい場合には酸化亜鉛形避雷器1が劣化し
ていないと判定する。そして、CPU11は、劣化した
と判定した場合にそのときの抵抗分漏れ電流信号と電圧
信号bとをインタフェース12に出力する。
【0008】なお、13は劣化判定部6により劣化判定
が下された場合に出力される抵抗分漏れ電流と電圧信号
bとを印字出力するプリンタである。
【0009】次に、上述した従来例の動作を説明する。
まず、酸化亜鉛形避雷器1を流れる電流と劣化との関係
について図10〜12を参照しながら説明する。酸化亜
鉛形避雷器1には、通常の電力系統の場合、図10
(a)に示すような商用周波数60Hzまたは50Hz
の対地電圧Vが印加され、図10(c)に示すような静
電容量1bを流れる静電容量分電流Iと、図10
(d)に示すような非直線抵抗1aを流れる電流(以
下、抵抗分漏れ電流という)Iとの図10(b)に示
すような合成電流(以下、全漏れ電流という)I
(I+I)が、接地線3を通って流れる。
【0010】酸化亜鉛形避雷器1の静電容量1bは、酸
化亜鉛素子の配置や構造及び電極の構成により決まり、
静電容量分電流Iは、一定電圧印加時は変化せず、図
11に一点鎖線で示すように、破線で示す対地電圧Vを
基準にして90度位相が進んだ正弦波となる。
【0011】また、抵抗分漏れ電流Iは、図11に実
線で示すように、破線で示す対地電圧Vと同相となり、
その波高値は図12に示す酸化亜鉛形避雷器1の酸化亜
鉛素子の非直線抵抗1aの特性により与えられる。 図
12において、横軸は抵抗分漏れ電流Iで、縦軸は電
圧であり、実線は酸化亜鉛素子が正常な場合の特性で、
破線は酸化亜鉛素子が劣化した場合の特性である。ま
た、一点鎖線は通常の印加電圧すなわち対地電圧Vを示
す。
【0012】図12に示すように、酸化亜鉛素子の劣化
が進行していない場合には、対地電圧V印加時の抵抗分
漏れ電流Iの値は小さいので、静電容量分電流I
抵抗分漏れ電流Iとの和で表される全漏れ電流I
静電容量分電流Iとほぼ同程度の値及び波形になる。
酸化亜鉛形避雷器1に長期間に亙って商用周波数の対地
電圧が印加されて、酸化亜鉛素子の劣化が進行すると、
非直線抵抗1aの特性が実線から破線に変化して、対地
電圧印加時の抵抗分漏れ電流Iが正常時よりも大きく
なる。このため、全漏れ電流Iは、正弦波が大きく歪
んだ波形となる。
【0013】次に、劣化判定部6による劣化判定動作を
説明する。送電線路2の対地電圧Vを分圧し対地電圧V
に比例した電圧信号bを変成器5で検出すると共に酸化
亜鉛形避雷器1の接地線3に流れる全漏れ電流Iに比
例した電圧信号aを変流器4で検出する。そして、各電
圧信号a及びbは、劣化判定部6に送られる。
【0014】劣化判定部6において、まず、電圧演算部
7は電圧信号bよりも90度位相が進んだ波形を演算し
波高値を調整して静電容量分電流Iに見立て、この静
電容量分電流Iに見立てた信号と電圧信号b及び電圧
信号bのゼロ点通過時のタイミング信号を電流演算部8
に出力する。
【0015】電流演算部8は、電圧演算部7から出力さ
れたタイミング信号を基にして全漏れ電流Iに比例す
る電圧信号aと電圧演算部7から出力された静電容量分
電流Iに見立てた信号との差分をとることにより、抵
抗分漏れ電流信号を演算する。
【0016】電圧演算部7よりA/D変換器9aに電圧
信号bが出力されると共に電流演算部8より抵抗分漏れ
電流信号がA/D変換器9bに出力されて、電圧信号b
と抵抗分漏れ電流信号は、それぞれA/D変換器9aと
9bによりアナログ量からディジタル量に変換されてC
PU11に出力される。
【0017】CPU11は、抵抗分漏れ電流信号とメモ
リ10に記憶されている基準電流信号値とを比較して、
抵抗分漏れ電流信号が基準電流信号よりも大きいと判断
した場合に、酸化亜鉛形避雷器1が劣化したと判定し
て、そのときの抵抗分漏れ電流Iの値と対地電圧Vの
値とをインタフェース12を介してプリンタ13に出力
する。そして、プリンタ13は、抵抗分漏れ電流I
対地電圧Vとを印字記録する。
【0018】なお、CPU11は、抵抗分漏れ電流信号
が基準電流信号よりも大きいと判断した場合には、酸化
亜鉛形避雷器1は劣化していないと判定して、何も出力
しない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、酸化亜鉛形
避雷器1はその装置毎に大きさや構成及び設置場所等が
異なると、装置毎に静電容量分電流Iの値が異なる。
従って、上述した従来の酸化亜鉛形避雷器の劣化監視装
置では、電圧演算部7において静電容量分電流Iに見
立てた信号を演算する際に、対地電圧Vに比例した電圧
信号bの波高値を酸化亜鉛形避雷器1に合わせて一台一
台毎に調節しなければならない。
【0020】しかも、酸化亜鉛形避雷器1が正常であれ
ば酸化亜鉛形避雷器1を流れる抵抗分漏れ電流Iは静
電容量分電流Iに比べて小さいため、全漏れ電流I
に比例した電圧信号aと上記静電容量分電流Iに見立
てた信号との差分をとって抵抗分漏れ電流信号を求める
のでは、静電容量分電流Iに見立てた信号の波高値を
精確に調整しなければ抵抗分漏れ電流信号の精度が悪く
なる。しかし、静電容量分電流Iに見立てた信号の波
高値を酸化亜鉛形避雷器1毎に精確に調節することは困
難であるので、酸化亜鉛形避雷器1の劣化状態を精確に
判定することができないという問題点があった。さら
に、劣化判定部6において、抵抗分漏れ電流信号を検出
する回路の構成が複雑であるという問題点があった。
【0021】この発明は、このような問題点を解決する
ためになされたもので、避雷器の大きさや構成及び設置
場所等に拘わらず、簡単な回路構成で、避雷器の劣化を
精確に判定することができる避雷器の劣化監視装置を得
ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明に係る避雷器の
劣化監視装置は、避雷器の一端を送電線路に接続すると
共に他端を接地し、上記避雷器を流れる漏れ電流を検出
して上記避雷器の劣化を監視する避雷器の劣化監視装置
において、上記漏れ電流に基づいて上記送電線路の対地
電圧を模擬した模擬電圧を発生する電圧発生器と、上記
模擬電圧と上記漏れ電流との積を所定時間時間積分した
後所定時間休止して1つの周期における消費エネルギー
量を算出する消費エネルギー量算出手段と、複数周期の
消費エネルギー量を所定期間に亙って複数回検出した時
系列データに基づいて上記避雷器の劣化を判定する劣化
判定手段とを備えたものである。
【0023】
【作用】この発明においては、避雷器の一端を送電線路
に接続すると共に他端を接地し、上記避雷器を流れる漏
れ電流を検出して上記避雷器の劣化を監視する避雷器の
劣化監視装置において、上記漏れ電流に基づいて上記送
電線路の対地電圧を模擬した模擬電圧を電圧発生器によ
り発生し、消費エネルギー量算出手段により上記模擬電
圧と上記漏れ電流との積を所定時間時間積分した後所定
時間休止して1つの周期における消費エネルギー量を算
出する。そして、劣化判定手段により複数周期の消費エ
ネルギー量を所定期間に亙って複数回検出した時系列デ
ータに基づいて上記避雷器の劣化を判定する。
【0024】
【実施例】酸化亜鉛形避雷器の劣化は、酸化亜鉛形避雷
器の非直線抵抗1aに流れる抵抗分漏れ電流によるジュ
ール熱によってもたらされ、劣化して抵抗分漏れ電流が
増加するとジュール熱即ち消費エネルギーも増加する。
この実施例では、このことを利用して酸化亜鉛形避雷器
1の消費エネルギーを監視することにより酸化亜鉛形避
雷器1の劣化を判定する。以下、この発明の諸実施例を
図について説明する
【0025】実施例1.図1は、この発明の実施例1を
示すブロック図である。同図において、1〜4及び13
は図9に示した従来例と同じであり、6Aは図9の劣化
判定部6に変えて接続される劣化判定部、14はこの劣
化判定部6Aに接続された表示器である。
【0026】上記劣化判定部6Aにおいて、61は変流
器で検出した酸化亜鉛形避雷器1の全漏れ電流Iに比
例した電圧信号を増幅する増幅器、62は増幅器61の
出力に基づいて商用周波数の位相を検出して位相の同時
性信号を出力する同相位相器、63は同相検出器62の
出力信号に基づいて系統電圧の位相と合致して対地電圧
Vに比例した波形及び波高値の正弦波状の模擬電圧uを
発生する模擬電圧発生器である。
【0027】また、劣化判定部6Aにおいて、64は変
流器4で検出した酸化亜鉛形避雷器1の全漏れ電流I
に比例した電圧信号aと模擬電圧発生器63の模擬電圧
uとをリアルタイムで掛算することにより酸化亜鉛形避
雷器1の瞬時の電力損失信号を算出する掛算器、65は
掛算器64で得られた酸化亜鉛形避雷器1の瞬時の電力
損失を時間積分して所定時間での消費エネルギー量信号
Eを求める積分器である。
【0028】また、劣化判定部6Aにおいて、66は後
述するCPU67によって得られる消費エネルギー量信
号Eの時系列データと劣化判定基準とを記憶するメモ
リ、67は積分器65から出力される消費エネルギー量
信号Eに実際の値との分流比や倍率比または分圧比など
による係数を掛けることによって酸化亜鉛形避雷器1の
実際の消費エネルギーを演算して時系列データを得てこ
の時系列データと劣化判定基準とを比較して酸化亜鉛形
避雷器1の劣化を判定するCPU、68はCPU67の
劣化判定結果を外部に出力するためのインタフェースで
ある。さらに、14は劣化判定部6aの劣化判定結果を
表示する表示器である。
【0029】次に、上述した実施例1の動作を説明す
る。従来例で説明したように、酸化亜鉛形避雷器1は非
直線抵抗と静電容量との並列回路で等価的に表される。
そして、酸化亜鉛形避雷器1の接地線3に流れる全漏れ
電流Iは、非直線抵抗に流れる抵抗分漏れ電流I
静電容量に流れる静電容量分電流Iとの合成電流であ
る。
【0030】ここで、まず、酸化亜鉛形避雷器1の劣化
と酸化亜鉛形避雷器1を流れる電流との関係について図
2を参照しながら説明する。酸化亜鉛形避雷器1が正常
であれば、図2(a)に示すように、実線の抵抗分漏れ
電流Iは破線の容量分電流Iに比べて波高値が小さ
いので、一点鎖線の全漏れ電流Iはほぼ容量分電流I
に等しく、僅かな歪みの正弦波である。
【0031】酸化亜鉛形避雷器1の劣化が進むと、非直
線抵抗の抵抗値が下がり抵抗分電流の波高値が増加して
くるので、全漏れ電流Iに影響が現れて全漏れ電流I
は大きく歪んだ正弦波となる。
【0032】なお、静電容量の静電容量分電流Iは、
酸化亜鉛形避雷器1を構成する酸化亜鉛素子の配置や電
極の構造または酸化亜鉛形避雷器1の設置場所などによ
り決まるもので、酸化亜鉛形避雷器1の劣化により非直
線抵抗が変化するのとは異なり、劣化により変化するこ
とはない。
【0033】次に、劣化判定部6Aによる酸化亜鉛形避
雷器1の劣化判定について説明する。変流器4は酸化亜
鉛形避雷器1の接地線3に流れる全漏れ電流Iを分流
して全漏れ電流Iに比例した電圧信号を出力し、劣化
判定部6Aに送る。劣化判定部6Aにおいて、増幅器6
1は変流器4から送られた全漏れ電流Iに比例した電
圧信号を劣化判定部6A内で扱い易い電圧レベルに増幅
して同相検出器62と掛算器64に出力する。
【0034】同相検出器62は、酸化亜鉛形避雷器1が
接続されている送電線路2の対地電圧の周波数と位相を
増幅器61の出力信号から検出して位相の同時性信号を
模擬電圧発生器63に出力する。模擬電圧発生器63
は、位相の同時性信号を系統電圧の周波数及び位相と合
致させて、図2(a)の破線で示す対地電圧Vに比例し
た、図2(b)に示すような波高値の正弦波状の模擬電
圧uを作り出す。
【0035】また、掛算器64は、増幅器61から出力
された全漏れ電流Iに比例した電圧信号と模擬電圧発
生器63から出力された模擬電圧uとをリアルタイムで
掛算して酸化亜鉛形避雷器1の瞬時の電力損失を求め、
瞬時電力損失信号u×Iを積分器65に出力する。
【0036】瞬時電力損失信号u×Iは、図2(a)
の一点鎖線で示す全漏れ電流Iの位相が図2(a)の
破線で示す対地電圧Vよりも90度進んでいるので、図
2(c)に示すように、対地電圧Vの2倍の周波数とな
る。また、瞬時電力損失信号u×Iの波形は、図2
(d)に示す静電容量分電流Iに比例した信号と模擬
電圧uとの積で得られる無効電力u×Iと、図2
(e)に示す抵抗分漏れ電流Iに比例した信号と模擬
電圧uとの積で得られる有効電力u×Iとに分解され
る。
【0037】積分器65は、瞬時電力信号u×Iをそ
の周期の整数倍例えば時間Tで時間積分する。時間T
の時間積分により、下記の(1)式で表されるように、
静電容量分電流Iによる無効電力u×Iはゼロとな
り抵抗分漏れ電流Iによる有効電力u×Iは有限の
値になるので、有効電力u×Iを積分した値が酸化亜
鉛形避雷器1の消費エネルギーを示す。即ち、図3に示
すように、時間Tにおいて、実線で囲まれた抵抗分漏
れ電流Iによる有効電力u×Iの積分値と、破線で
囲まれた酸化亜鉛形避雷器1の瞬時電力信号u×I
積分値とが一致する。
【0038】
【数1】
【0039】また、積分器65は、時間Tで積分した
後時間T休止して、これを1つの周期T+Tとし
た、図3に示すような消費エネルギー量信号EをCPU
67に出力する。
【0040】CPU67は、図4に示すように、積分器
64から出力された複数周期例えば3周期の消費エネル
ギー量信号Eを所定期間に亙って少なくとも2回以上こ
こでは4回観測して、変流器4や増幅器61または模擬
電圧発生器63の出力信号と実際の値との分流比や倍率
比または分圧比による係数を掛けることにより、酸化亜
鉛形避雷器1の実際の消費エネルギー量を演算して時系
列データを得て、メモリ66に記憶させる。
【0041】そして、CPU67は、所定期間の終わり
または所定期間中の随時に、時系列データとメモリ66
に記憶している劣化判定基準とを比較して酸化亜鉛形避
雷器1の劣化を判定し、判定結果と時系列データ及び劣
化判定基準をインタフェース68を介して表示器14に
表示させ、またはプリンタ13に印字出力させる。
【0042】なお、積分器65で演算された消費エネル
ギー量信号EをCPU67により複数回観測するのは、
ノイズやサージ性の電流による一時的な消費エネルギー
量信号Eの増加と真の劣化に起因する増加とを区別する
ためである。
【0043】サージ性の電流による消費エネルギー量信
号Eの増加は、サージが発生したときに急増加するが時
間の経過とともに徐々に減少し、真の劣化の場合には時
間の経過とともに増加するので、複数回の観測により真
の劣化との区別が可能である。また、ノイズによる消費
エネルギー量信号Eの増加は一時的であるので、複数回
の観測により真の劣化との区別が可能である。
【0044】上述した通り、この実施例1は、劣化判定
部6内で送電線路2の対地電圧を模擬した模擬電圧uを
発生し、この模擬電圧uと酸化亜鉛形避雷器1を流れる
全漏れ電流Iに比例した電圧信号とを掛算し、時間T
で時間積分した後に時間T休止してこれを1つの周
期とする酸化亜鉛形避雷器1の消費エネルギー量信号E
を演算し、複数周期の消費エネルギー量信号Eを所定期
間に亙り複数回観測して時系列データを得て、この時系
列データに基づいて酸化亜鉛形避雷器1の劣化を判定す
るので、酸化亜鉛形避雷器1の劣化の原因である抵抗分
れ電流Iによるジュール熱即ち消費エネルギーを直接
知ることができると共に、信号線が酸化亜鉛形避雷器1
の漏れ電流だけでよく、簡単な回路構成で劣化検出の自
動化を容易にして、サージ性の電流やノイズの影響を受
けることなく酸化亜鉛形避雷器1の劣化を精確に判定す
ることができる。
【0045】実施例2.上記実施例1では、模擬電圧発
生器63から出力される模擬電圧uを正弦波としたが、
この実施例2では矩形波を採用する。
【0046】図5に、この実施例2の波形図を示す。同
図(a)は図2(a)の一点鎖線で示したものと同じ全
漏れ電流Iの波形、同図(b)は模擬電圧発生器63
から出力される矩形波状の模擬電圧u、同図(c)は
矩形波状の模擬電圧uと掛算器64による全漏れ電流
に比例した電圧信号との積で得られる酸化亜鉛形避
雷器1の瞬時電力損失信号u×Iの波形である。
【0047】また、同図(d)は、矩形波状の模擬電圧
と全漏れ電流Iの一方の構成要素である静電容量
分電流Iに比例した電圧信号との積で得られる無効電
力u×Iの波形、同図(e)は矩形波状の模擬電圧
と全漏れ電流Iの他方の構成要素である抵抗分漏
れ電流Iに比例した電圧信号との積で得られる有効電
力u×Iの波形である。同図の(c)瞬時電力損失
信号u×Iの波形は、同図(d)の無効電力u×
の波形と同図(e)の有効電力u×Iの波形と
の合成波形である。
【0048】この実施例2においても上記実施例1と同
じく、積分器65により図5(c)の瞬時電力損失信号
×Iを積分すると、図5(d)の無効電力u×
の積分値がゼロとなり、図5(e)の有効電力u
×Iの積分値が有限の値となるので、抵抗分漏れ電流
による有効電力u×Iのみを演算することによ
り酸化亜鉛形避雷器1の消費エネルギーを得ることがで
き、同様の効果が得られる。
【0049】実施例3.この実施3では、模擬電圧発生
器63から出力される模擬電圧uに三角波を採用す
る。図6に、この実施例3の波形図を示す。同図(a)
は図2(a)の一点鎖線で示したものと同じ全漏れ電流
の波形、同図(b)は模擬電圧発生器63から出力
される三角波状の模擬電圧u、同図(c)は三角状の
模擬電圧uと掛算器64による全漏れ電流Iに比例
した電圧信号との積で得られる酸化亜鉛形避雷器1の瞬
時電力損失信号u×Iの波形である。
【0050】また、同図(d)は、三角波状の模擬電圧
と全漏れ電流Iの一方の構成要素である静電容量
分電流Iに比例した電圧信号との積で得られる無効電
力u×Iの波形、同図(e)は三角波状の模擬電圧
と全漏れ電流Iの他方の構成要素である抵抗分漏
れ電流Iに比例した電圧信号との積で得られる有効電
力u×Iの波形である。同図の(c)瞬時電力損失
信号u×Iの波形は、同図(d)の無効電力u×
の波形と同図(e)の有効電力u×Iの波形と
の合成波形である。
【0051】この実施例3においても上記実施例1及び
2と同じく、積分器65により図6(c)の瞬時電力損
失信号u×Iを積分すると、図6(d)の無効電力
×Iの積分値がゼロとなり、図6(e)の有効電
力u×Iの積分値が有限の値となるので、抵抗分漏
れ電流Iによる有効電力u×Iのみを演算するこ
とにより酸化亜鉛形避雷器1の消費エネルギーを得るこ
とができ、同様の効果が得られる。
【0052】実施例4.図7は、この発明の実施例4を
示すブロック図である。この実施例4では、劣化判定部
6Bに送られた全漏れ電流Iに比例した電圧信号を増
幅器61で増幅した後にA/D変換器69でアナログ量
からディジタル量に変換してCPU67Aに出力する。
【0053】CPU67Aは、A/D変換器69の出力
信号に基づき模擬電圧uを演算して、変流器4や増幅器
61またはA/D変換器69の出力信号と実際の値との
分流比や倍率比または分圧比による係数を掛けることに
より、酸化亜鉛形避雷器1の実際の消費エネルギーの時
系列データを求める。そして、CPU67Aは、時系列
データをメモリ66Aに記憶されている劣化判定基準と
比較して劣化を判定し、判定結果と時系列データ及び劣
化判定基準をインタフェース68Aを介して出力する。
【0054】この実施例4によれば、変流器4や増幅器
61またはA/D変換器69の出力信号と実際の値との
分流比や倍率比または分圧比による係数情報をCPU6
7Aに与え、CPU67Aにより、模擬電圧uを演算し
て酸化亜鉛形避雷器1のフィールドにおける実際の消費
エネルギーを演算することにより、上記実施例1〜3と
同様の効果が得られると共に、部品点数を少なくできる
ので構成がより簡単になる。
【0055】実施例5.上記実施例1〜4において、劣
化判定部をシールドボックス内に構成して電磁界ノイズ
から遮断することにより、変電所内部などの電磁界ノイ
ズ環境が悪い所でも精確に劣化を判定することができ
る。
【0056】
【発明の効果】この発明は、以上説明した通り、酸化亜
鉛形避雷器の漏れ電流に基づいて酸化亜鉛形避雷器の消
費エネルギーの時系列データを得て、この時系列データ
に基づいて劣化を判定することにより、避雷器の大きさ
や構成及び設置場所等に拘わらず、簡単な回路構成で、
ノイズやサージ性の電流による一時的な消費エネルギー
量信号Eの増加と真の劣化に起因する増加とを区別し
て、避雷器の劣化を精確に判定する避雷器の劣化監視装
置を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例1の動作を説明するための波
形図である。
【図3】この発明の実施例1の動作を説明するための波
形図である。
【図4】この発明の実施例1の動作を説明するための棒
グラフである。
【図5】この発明の実施例2の動作を説明するための波
形図である。
【図6】この発明の実施例3の動作を説明するための波
形図である。
【図7】この発明の実施例4を示すブロック図である。
【図8】酸化亜鉛形避雷器の等価回路図である。
【図9】従来の酸化亜鉛形避雷器の劣化監視装置を示す
ブロック図である。
【図10】従来の酸化亜鉛形避雷器の劣化監視装置の動
作を説明するための波形図である。
【図11】酸化亜鉛形避雷器を流れる電流を説明するた
めの波形図である。
【図12】酸化亜鉛形避雷器の抵抗分漏れ電流の特性図
である。
【符号の説明】
1 酸化亜鉛形避雷器 2 送電線路 62 同相検出器 63 模擬電圧発生器 64 掛算器 65 積分器 67 CPU 67A CPU

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 避雷器の一端を送電線路に接続すると共
    に他端を接地し、上記避雷器を流れる漏れ電流を検出し
    て上記避雷器の劣化を監視する避雷器の劣化監視装置に
    おいて、上記漏れ電流に基づいて上記送電線路の対地電
    圧を模擬した模擬電圧を発生する電圧発生器と、上記模
    擬電圧と上記漏れ電流との積を所定時間時間積分した後
    所定時間休止して1つの周期における消費エネルギー量
    を算出する消費エネルギー量算出手段と、複数周期の消
    費エネルギー量を所定期間に亙って複数回検出した時系
    列データに基づいて上記避雷器の劣化を判定する劣化判
    定手段とを備えたことを特徴とする避雷器の劣化監視装
    置。
JP15692992A 1992-06-16 1992-06-16 避雷器の劣化監視装置 Pending JPH065407A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07209954A (ja) * 1995-01-30 1995-08-11 Ricoh Co Ltd 多色画像形成装置
KR100352507B1 (ko) * 1999-10-27 2002-09-11 한국수력원자력 주식회사 배전용 피뢰기 장기신뢰성 검사장치
JP2020122671A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 北陸電力株式会社 避雷装置の故障判定方法および避雷装置の故障判定装置
KR20220082631A (ko) * 2020-12-10 2022-06-17 한국전력공사 피뢰기 및 이의 열화 진단방법

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