JPH065393A

JPH065393A - 粒子加速器における冷却水路部の連結構造

Info

Publication number: JPH065393A
Application number: JP16122992A
Authority: JP
Inventors: Koichi Katayama; 康一片山
Original assignee: IHI Corp
Current assignee: IHI Corp
Priority date: 1992-06-19
Filing date: 1992-06-19
Publication date: 1994-01-14

Abstract

(57)【要約】【目的】真空チェンバの連結箇所において、冷却水路
部同士を良好なシール性を確保して接続する。【構成】連結される真空チェンバ１のそれぞれの冷却
水路部３の端部近傍に形成した孔部１０に、Ｌ型継ぎ手
１１の一端部からなる熔接部１１ａを熔接する。Ｌ型継
ぎ手１１の他端部からなる接続部１１ｂに、両端部に接
続部材７を有するユニオン継ぎ手１２の一端部側の接続
部材７を接続する。ユニオン継ぎ手１２の他端部側の接
続部材７に、中間部を屈曲させることにより弾性変形可
能とした屈曲配管５の端部を接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、シンクロトロン等の
粒子加速器の蓄積リングを構成する真空チェンバ同士の
接続箇所における冷却水路部の連結構造に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】近年、粒子加速器としてシンクロトロン
が開発されており、このシンクロトロンから放射される
放射光であるシンクロトロン放射光（ＳＯＲ光）を利用
して、例えば超ＬＳＩ回路の作成、医療分野における診
断、分子解析、構造解析等の様々な分野への適用が期待
されている。この種のシンクロトロンは、電子銃等の電
子発生装置によって発生させた電子ビームを直線加速器
（ライナック）で光速近くに加速し、偏向電磁石で偏向
させてインフレクタを介して、所定長さの真空チェンバ
同士をフランジ結合させてリング状に形成した蓄積リン
グに入射させるようになっている。そして、この蓄積リ
ングに入射させた電子ビームを高周波加速空洞によりエ
ネルギを与えながら収束電磁石で収束させ、偏向電磁石
で偏向させて蓄積リング内を周回し続けさせ、偏向電磁
石によって偏向させる際に発生するＳＯＲ光を光取り出
しラインであるビームラインを介して例えば露光装置に
出射させていた。

【０００３】ところで、上記蓄積リングを構成する真空
チェンバは、真空ダクト状の本体部の内部を電子ビーム
等の加速粒子が通過する際に、その壁面にＳＯＲ光の一
部が照射することからその温度が上昇してしまうため、
押し出し成型法によって本体部に沿って一体に成型した
冷却水路部に冷却水を通して加熱を防止していた。ま
た、真空チェンバ同士の連結箇所においては、前記冷却
水路部を配管によって連通させて、一方側の冷却水路部
からこの配管を介して他方側の冷却水路部へ冷却水を流
すようにしていた。なお、この配管は、真空チェンバを
連結することにより構成された蓄積リングの解体時等に
おいて、それぞれの真空チェンバ同士を切り離す際に、
取り外せる構造とする必要があるため、継ぎ手によって
各冷却水路部へ連結されていた。

【０００４】ところで、これら真空チェンバ同士の連結
箇所には、各種の装置、部材等を介在させる場合があ
る。特に、この種のシンクロトロンを構築する際、真空
チェンバを連結させて蓄積リングを形成した後に、真空
チェンバ内の不純物を飛散させるべく、この蓄積リング
を加熱するベーキング作業を行う必要があり、このた
め、真空チェンバ同士の連結箇所の数箇所に、図３に示
すように、ベローズ２を介在させて、真空チェンバ１、
１の熱膨張を許容するようにしていた。そして、上記の
ようにベローズ２を介在させて真空チェンバ１、１同士
を連結させた連結箇所においては、それぞれの真空チェ
ンバ１、１の冷却水路部３、３にエルボ継ぎ手４、４を
取り付け、このエルボ継ぎ手４、４同士に、屈曲させる
ことにより弾性変形可能な状態に形成した屈曲配管５を
連結し、真空チェンバ１、１同士の間隔の変位に追従す
ることができるような構造が施されている。

【０００５】ここで、エルボ継ぎ手４としては、一端部
に屈曲配管５の端部を接続させる接続部材７が設けられ
たものが使用されている。この接続部材７は、内部に複
数のフェルール（図示略）を有するもので、袋ナット８
をねじ込むことにより、内部のフェルールを屈曲配管５
の端部の外周へ押圧させ接続させるように構成された精
密なものである。また、図４に示すように、この接続部
材７を有するエルボ継ぎ手４には、その他端部側におね
じが形成されており、このおねじが形成された他端部を
前記真空チェンバ１の冷却水路部３の端部近傍の側部に
形成した孔部１０へシール材（シールテープ等）を介し
てねじ込むことにより冷却水路部３と連通状態に接続さ
れるようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記冷却水
路部３の孔部１０とエルボ継ぎ手４との接続箇所には、
冷却水の漏れを防止すべくシール材を介在させていた
が、このシール材は、放射線によって劣化しやすく、こ
のため、確実なシール性が確保されなくなり、リークが
発生する恐れがある。この場合、エルボ継ぎ手４を孔部
１０へ熔接すれば良いが、このエルボ継ぎ手４を熔接に
より孔部１０へ接続すると、熔接時の熱の影響により、
精密な構造の接続部材７の性能が低下してしまい、この
接続部材７と屈曲配管５の端部との接続不良が発生し、
やはりリークが発生する恐れがあった。

【０００７】この発明は、上記事情に鑑みてなされたも
ので、冷却水路部同士を良好なシール性を確保して接続
することが可能な粒子加速器における冷却水路部の連結
構造を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明の粒子加速器に
おける冷却水路部の連結構造は、加速された粒子が内部
を通過する真空ダクト状の本体部と、その本体部を冷却
すべく本体部に沿って設けられて内部に冷却水が通され
る冷却水路部とが一体に成型されてなる真空チェンバ同
士の連結箇所にて連結される前記冷却水路部の連結構造
において、連結される真空チェンバのそれぞれの冷却水
路部の端部近傍に形成した孔部に、継ぎ手の一端部を熔
接し、これら継ぎ手のそれぞれの他端部に、両端部に接
続部材を有するユニオン継ぎ手の一端部側の接続部材を
接続し、これらユニオン継ぎ手のそれぞれの他端部側の
接続部材に、弾性変形可能な配管の端部を接続してなる
ことを特徴としている。

【０００９】

【作用】この発明の粒子加速器における冷却水路部の連
結構造によれば、熔接によって継ぎ手を冷却水路部の孔
部へ接続するものであるので、放射線による影響を受け
ることがなく、確実なシール状態が確保される。また、
継ぎ手自体には、配管を接続する精密な構造の接続部材
が設けられていないため、熔接時の熱の影響による接続
部材の不具合がなくされる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の粒子加速器における冷却水路
部の連結構造の一実施例を図によって説明する。なお、
従来例と同一構造部分には、同一符号を付して説明を省
略する。図１に示すように、真空チェンバ１、１の端部
近傍には、前記冷却水路部３、３と連通状態に接合され
たＬ型継ぎ手（継ぎ手）１１、１１が設けられており、
これらＬ型継ぎ手１１、１１には、両端部に前記接続部
材７、７が設けられたユニオン継ぎ手１２、１２を介し
て屈曲配管５が接続されている。

【００１１】即ち、それぞれの真空チェンバ１、１の冷
却水路部３、３同士が、屈曲配管５を介して連結され
て、一方側の冷却水路部３から他方側の冷却水路部３へ
冷却水が流されるようになっている。また、Ｌ型継ぎ手
１１、１１は、図２に示すように、その一端部が、冷却
水路部３の孔部１０に熔接によって接続される熔接部１
１ａとされており、同他端部が、前記ユニオン継ぎ手１
２の接続部材７が接続可能な筒状に形成された接続部１
１ｂとされている。

【００１２】また、屈曲配管５は、その中間部が屈曲さ
れているので、真空チェンバ１、１のそれぞれの端部の
近接離間方向への僅かな移動に対して、弾性変形するよ
うになっている。即ち、真空チェンバ１、１の内部の不
純物を飛散させるべく、これら真空チェンバ１、１によ
って形成された蓄積リングを加熱した際に、それぞれの
真空チェンバ１、１の熱膨張を許容するように真空チェ
ンバ１、１同士の間にベローズ２を介在させた連結箇所
において、真空チェンバ１、１の端部間の間隔の変化に
対して前記屈曲配管５が弾性変形して追従するようにな
っている。

【００１３】このように、上記実施例の冷却水路部の連
結構造によれば、真空チェンバ１、１のそれぞれの冷却
水路部３、３の孔部１０、１０へＬ型継ぎ手１１、１１
を熔接し、これら熔接したＬ型継ぎ手１１、１１の端部
にユニオン継ぎ手１２、１２を介して屈曲配管５を接続
するものであるので、従来のように、ねじ付きのエルボ
継ぎ手４、４を冷却水路部３、３の孔部１０、１０へシ
ール材を介してねじ込むものと比較して、放射線による
影響を受けることがなく、また、Ｌ型継ぎ手１１自体に
は、屈曲配管５を接続する接続部材７が設けられていな
いため、熔接時の熱の影響による接続部材７の不具合を
なくすことができる。

【００１４】しがたって、それぞれの真空チェンバ１、
１の冷却水路部３、３同士の接続箇所における確実なシ
ール状態を確保することができ、極めて信頼性の高い粒
子加速器とすることができる。また、Ｌ型継ぎ手１１と
ユニオン継ぎ手１２の接続部材７との接続箇所にてリー
ク等の不具合が発生した場合にあっても、Ｌ型継ぎ手１
１の端部を僅かに切断することにより、再びＬ型継ぎ手
１１とユニオン継ぎ手１２の接続部材とを接合し直すこ
とができる。

【００１５】なお、上記実施例では、断面矩形状の真空
チェンバ１を用いたが、この真空チェンバの断面形状
は、実施例に限定されることなく、円形、楕円形等であ
っても良い。また、上記実施例では、真空チェンバ１、
１同士の間にベローズ２を介在させた場合について説明
したが、上記構造の冷却水路部の連結構造は、真空チェ
ンバ１、１同士の間に他の装置、部材を介在させた場合
にも適応することができるのは勿論である。

【００１６】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の粒子加
速器における冷却水路部の連結構造によれば、下記の効
果を得ることができる。真空チェンバのそれぞれの冷却
水路部の孔部へ継ぎ手を熔接し、これら熔接した継ぎ手
の端部にユニオン継ぎ手を介して弾性変形可能な配管を
接続するものであるので、従来のように、ねじ付きのエ
ルボ継ぎ手を冷却水路部の孔部へシール材を介してねじ
込むものと比較して、放射線による影響を受けることが
なく、また、継ぎ手自体には、配管を接続する接続部材
が設けられていないため、熔接時の熱の影響による接続
部材の不具合をなくすことができる。しがたって、それ
ぞれの真空チェンバの冷却水路部同士の接続箇所におけ
る確実なシール状態を確保することができ、極めて信頼
性の高い粒子加速器とすることができる。また、継ぎ手
とユニオン継ぎ手の接続部材との接続箇所にてリーク等
の不具合が発生した場合にあっても、継ぎ手の端部を僅
かに切断することにより、再び継ぎ手とユニオン継ぎ手
の接続部材とを接合し直すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の冷却水路部の連結構造を説明する真空
チェンバ同士の連結箇所の斜視図である。

【図２】Ｌ型継ぎ手の構造及び冷却水路部への接合構造
を説明するＬ型継ぎ手及び真空チェンバの端部の断面図
である。

【図３】従来の冷却水路部の連結構造を説明する真空チ
ェンバ同士の連結箇所の斜視図である。

【図４】従来のエルボ継ぎ手の冷却水路部への接合構造
を説明する真空チェンバの端部の断面図である。

【符号の説明】１真空チェンバ３冷却水路部５屈曲配管（配管）７接続部材１０孔部１１Ｌ型継ぎ手（継ぎ手）１２ユニオン継ぎ手

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】加速された粒子が内部を通過する真空ダ
クト状の本体部と、その本体部を冷却すべく本体部に沿
って設けられて内部に冷却水が通される冷却水路部とが
一体に成型されてなる真空チェンバ同士の連結箇所にて
連結される前記冷却水路部の連結構造において、連結される真空チェンバのそれぞれの冷却水路部の端部
近傍に形成した孔部に、継ぎ手の一端部を熔接し、これら継ぎ手のそれぞれの他端部に、両端部に接続部材
を有するユニオン継ぎ手の一端部側の接続部材を接続
し、これらユニオン継ぎ手のそれぞれの他端部側の接続部材
に、弾性変形可能な配管の端部を接続してなることを特
徴とする粒子加速器における冷却水路部の連結構造。