JPH0653916B2 - 不安定破壊伝播停止能力に優れた耐摩耗性高性能レ−ル - Google Patents

不安定破壊伝播停止能力に優れた耐摩耗性高性能レ−ル

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JPH0653916B2
JPH0653916B2 JP61165653A JP16565386A JPH0653916B2 JP H0653916 B2 JPH0653916 B2 JP H0653916B2 JP 61165653 A JP61165653 A JP 61165653A JP 16565386 A JP16565386 A JP 16565386A JP H0653916 B2 JPH0653916 B2 JP H0653916B2
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清孝 森岡
鷹雄 義之
正博 上田
豊和 寺本
晃夫 藤林
圭司 岡本
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日本鋼管株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 「発明の目的」 本発明は不安定破壊伝播停止能力に優れた耐摩耗性高性
能レールに係り、低温で使用した場合の衝撃荷重負荷に
伴う破壊を防止し、しかも疲労亀裂あるいは偶発的に発
生した欠陥部を起点として発生する不安定破壊などを停
止する能力を腹底部に附与し、レール破断や連続的大規
模破損を防止することのできる耐摩耗性高性能レールを
提供しようとするものである。
産業上の利用分野 鉄道線路の曲線部などに用いられる耐摩耗性高性能レー
ル。
従来の技術 鉄道線路におけるレールの破壊は大きな列車事故に結び
つくことが多い。従って従来このようなレール破壊を防
止するために実施されていることはレール頭部の欠陥や
継目穴から発生した疲労亀裂や低温条件下で使用した場
合の衝撃荷重の負荷に伴い底部に発生する破壊が起点と
なって、レールの頭部または底部からその腹底部に進展
する横方向の不安定破壊や腹部を水平方向に頭底部に分
岐しながら伝播する不安定破壊などの限界大きさに成長
する以前に定期的な超音波探傷や巡視などで検出し除去
することであった。この理由はレールの靱性が極めて低
く、一旦不安定な亀裂進展が起こると、レールの破壊に
到ってしまい、途中で停止することが殆どないためであ
る。従って不安定破壊に到る以前、つまり疲労亀裂程度
で存在する内に探傷することに努めあるいは低温条件下
で底部に発生する破壊防止を図らざるを得ないわけであ
る。
なおこのような場合に対処すべく耐摩耗用レールとし
て、車輪との接触部である頭部などを、例えば特開昭5
5−125231、特開昭57−198216、特開昭
61−3842などに示されるように普通レールに比し
高強度の微細パーライトとして耐摩耗性を高めることが
提案されている。
発明が解決しようとする問題点 しかし上記のような従来のレールはなお問題点の多いこ
とは明らかである。即ち従来のレールにおいてはその疲
労亀裂の探傷検出及び底部での破壊防止に常に細心且つ
入念な努力を必要とする。
しかもそのような探傷努力にも拘らず、レール破断によ
る列車運行障害が発生しており、場合によっては列車脱
線事故による死傷者の発生を見る。
なおこのような疲労亀裂からのレール破壊の外に、偶発
的に発生した欠陥、例えばガストーチによるレール切断
時に発生した大きな切欠状欠陥などに運行列車による衝
撃荷重が加わり不安定亀裂が頭、底部に分岐伝播して連
続的大規模破損となり重大事故を発生する事例などがあ
る。
即ち従来レールにおいて普通レールをも含め、一旦発生
した不安定破壊に対し、その伝播を停止する能力が非常
に小さいものであり、また低温条件下での底部破壊防止
作用も不充分であって、これらのことによる不利は特に
曲線部あるいは高軸重鉄道などの厳しい条件下で使用さ
れる耐摩耗性レールにおいて大きく顕われ、鉄道の安全
性を阻害している。
特に前記した耐摩耗性レールにおけるパーライト組織、
とりわけ微細パーライト組織は硬くて耐摩耗特性に優れ
ている反面において脆く、上記のような不安定破壊発生
に対する抵抗および不安定破壊伝播停止能力は劣るの
で、その使用に当っては表面のみならず内部欠陥の発生
に常に注意することが必要である。即ち不安定破壊発生
に対する抵抗が低い材料では、欠陥の成長が進まないう
ちに不安定破壊が発生しやすく、また不安定破壊伝播停
止能力が充分でない場合には不安定破壊によるレールの
破断・腹部の大規模破壊に伴う列車の脱線等の重大事故
発生を招く恐れがあるからである。このため、前記微細
パーライト組織のものでは小さい欠陥のうちに欠陥部を
検出除去する必要から、超音波探傷などにより厳しい定
期探傷を頻繁に行わざるを得ない。
「発明の構成」 問題点を解決するための手段 1.C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt%, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるレー
ルであって、頭部は高強度微細パーライト組織であり、
腹部と共に底部が高靱性焼戻しベイナイト組織であるこ
とを特徴とする不安定破壊伝播停止能力に優れた耐摩耗
性高性能レール。
2.C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt%, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有すると共に、 Cr:0.05〜1.50wt%,Mo:0.02〜0.20wt%, V:0.01〜0.10wt%,Ni:0.10〜1.00wt%, Nb:0.005 〜0.050 wt% の何れか1種または2種以上をも含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなるレールであって、頭部は高強
度微細パーライト組織であり、腹部と共に底部が高靱性
焼戻しベイナイト組織であることを特徴とする不安定破
壊伝播停止能力に優れた耐摩耗性高性能レール。
3.C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt%, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるレー
ルであって、頭部は高強度微細パーライト組織であり、
腹部と共に底部が高靱性焼戻しベイナイト・マルテンサ
イト混合組織であることを特徴とする不安定破壊伝播停
止能力に優れた耐摩耗性高性能レール。
4.C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt%, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有すると共に、 Cr:0.05〜1.50wt%,Mo:0.02〜0.20wt%, V:0.01〜0.10wt%,Ni:0.10〜1.00wt%, Nb:0.005 〜0.050 wt% の何れか1種または2種以上をも含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなるレールであって、頭部は高強
度微細パーライト組織であり、腹部と共に底部が高靱性
焼戻しベイナイト・マルテンサイト混合組織であること
を特徴とする不安定破壊伝播停止能力に優れた耐摩耗性
高性能レール。
作用 wt%(以下単に%という)で、Cを0.50%以上として耐
摩耗性を得しめ、又C:0.85%以下、Si:1.00%以下、
PおよびSをそれぞれ0.035 %以下として延性劣化を回
避する。
Si:0.1 〜1.0 %とし、Mnを0.5 以上含有せしめて強度
向上を図り、Siを0.1 %以上として脱酸を図る。
Mnを1.5 %以下とし、又任意元素としてのCrを1.5 %以
下、Moを0.20%以下として溶接性を良好にする。
PおよびSを夫々0.035 %以下として靱性劣化を避け、
又 Alを0.050 %以下として疲労性能劣化を防止する。
任意元素として、Cr:0.05%以上、Mo:0.02%以上、
V:0.01%以上、Nb:0.005 %以上、Ni:0.10%以上の
何れか1種または2種以上を含有させることにより焼入
性を向上する。
前記のような成分組成とすることによって頭部を微細パ
ーライト組織とし、しかも腹部および底部を高靱性焼戻
しベイナイト組織または高靱性焼戻しベイナイト・マル
テンサイト混合組織とし、高強度微細パーライト組織と
された頭部は好ましい耐摩耗性を示し、又高靱性焼戻し
ベイナイト組織または高靱性焼戻しベイナイト・マルテ
ンサイト混合組織とされた腹部および底部は優れた靱性
を首備し不安定破壊伝播停止能力を得しめ、特に底部が
このような組織となることによって低温条件下での衝撃
荷重負荷に伴う破壊を防止し、同時に前記不安定破壊伝
播停止能力を該底部に確保する。
実施例 上記したような本発明について更に説明すると、レール
(10)は一般的に頭部(12)が腹部(11)より底
部(13)と一体に形成されたもので、本発明ではこの
ような頭部(12)を高強度微細パーライト組織とした
耐摩耗性のものとし、腹部(11)および底部(13)
を焼戻しベイナイト組織、または焼戻しベイナイト・マ
ルテンサイト混合組織として、高靱化することにより不
安定破壊伝播停止能力を付与し、しかも底部において低
温条件下の衝撃荷重負荷に伴う破壊を防止した耐摩耗性
高性能レールを得たものである。
即ち、従来の耐摩耗用レールの頭部は耐摩耗特性を付与
するために高炭素鋼レールをスラック・クエンチ処理す
るか、合金元素を添加した合金鋼レールとすることで、
微細パーライト組織としている。またこのような頭部に
対し腹部および底部は圧延ままの粗いパーライト組織あ
るいは熱処理を受けた微細パーライト組織である。
本発明者等は、レール鋼に各種熱処理を施して得られる
各種の金属組織の靱性を研究した結果、靱性は、焼戻し
ベイナイト・マルテンサイト混合組織≧焼戻しマルテン
サイト組織≧焼戻しベイナイト組織〉〉ベイナイト組織
>パーライト組織の順で優れていることが確認され、特
に焼戻しされた前3者の金属組織は、焼戻しされていな
い後2者に比べて非常に高い靱性を示した。ところが上
述したように従来のレールはパーライト組織であり、上
記したような各種金属中でも極めて靱性の低いものであ
ることが判明した。このような従来のものに対し、焼戻
しベイナイト・マルテンサイト混合組織、焼戻しマルテ
ンサイト組織、焼戻しベイナイト組織であれば、非常に
靱性が高く、不安定破壊伝播停止性能が高いことから、
この焼戻し金属組織を耐摩耗性レールの腹底部に形成す
ることにより従来レールの不安定破壊伝播停止能力の欠
如という問題点を解決し、しかも低温条件下衝撃負荷に
伴う破壊防止をなし得ることを見出した。
腹底部を靱性に優れたレールとする場合の腹底部の金属
組織は、焼戻しベイナイト・マルテンサイト組織、焼戻
しマルテンサイト組織および焼戻しベイナイト組織であ
る。しかし、腹底部をマルテンサイト組織とするために
は、70℃以下室温まで冷却する必要があり、この場
合、レール形状および熱処理の複雑さから、熱および変
態歪とマルテンサイト組織の脆さが原因して、腹部中央
に水平裂が発生、伝播することが判明した。腹部をパー
ライト組織とし、底部のみをマルテンサイト組織とした
場合には、この腹部の水平裂は発生せず焼割れを防ぐこ
とができる。しかし、本発明は腹部と底部を共に高靱性
な金属組織にし、横裂あるいは腹部水平方向の不安定破
壊伝播停止能力を付与することを目的としており、腹部
の高靱化は絶対の要件である。従って本発明において
は、焼戻しマルテンサイト組織は高靱性な金属組織では
あるが、工業上の困難を伴うことから、腹部および底部
には焼戻しベイナイト・マルテンサイト混合組織あるい
は焼戻しベイナイト組織を形成して耐摩耗性高性能レー
ルとした。
また本発明者等は本発明によるレールを試作し、破壊試
験を実施した結果、不安定破壊伝播停止性能の際立った
向上がレールの破断あるいは大規模破損防止に効果を示
すことを確認した。
尚、本発明レールは以下の化学成分を有するものであ
る。即ち、C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt%,
Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下,S:0.035
wt%以下,Al:0.050 wt%以下。
また必要に応じて下記の元素の1種以上を添加すること
も可能である。
Cr:0.05〜1.50wt%,Mo:0.02〜0.20wt%,V:0.01〜
0.10wt%,Ni:0.10〜1.00wt%,Nb:0.005 〜0.050 wt
%。
上記のような本発明レールの詳細について更に説明する
と、先ず上述の如く本発明レールの必須化学成分を限定
した理由は以下の通りである。
Cは、耐摩耗性上必要不可欠な元素であり、wt%(以下
単に%という)で0.50%以下では摩耗が激しく、実用的
な耐摩耗鋼となり得ない。一方0.85%以上では金属組織
中に初析セメンタイトが生成し、延性が劣化する。よっ
てC量は0.50〜0.85%に限定した。
Siは、脱酸元素とあると共に強度向上に必須の元素であ
る。従って、脱酸元素として最低0.10%はキルド鋼とし
て必要であり、一方強度上昇には添加量が多い方が効果
も大きいが1.00%以上では延性の低下が大きいためこれ
を上限とした。
Mnは、強度向上に必須の元素であって、0.50%以下では
その効果が小さく、また1.50%以上では溶接性の劣化が
顕著となるので0.50〜1.50%に限定した。
P,Sは、不純物元素で、0.035 %以上になると延性、
靱性が劣化するため何れもこれを上限とした。またP,
Sは含有量が低いほど延性、靱性が良好であり、特に0.
010 %以下でその効果が大きく、溶接性も改善される。
Alは、脱酸元素としてSiと併用される。しかし0.050 %
以上ではAl2Oの発生量が多くなり疲労性能が劣化する
ためこれを上限とした。
上記のような成分組成は本発明レールとして必要不可欠
なもので、特に頭部を高強度微細パーライト組織とする
のに重要であり、また腹底部にとっては最低限の焼入性
を確保している。
更に本発明レールを効率よく、且つ効果的に製造するた
めに添加する既述の任意添加元素についての限定理由は
以下の通りである。
Crは、焼入性向上により、頭部を微細パーライト組織と
するのを容易にすると共に、パーライト繊維の焼なまし
軟化抵抗を高め、高強度微細パーライト組織を得られ易
くする。また焼入性の向上は、腹部と共に底部をベイナ
イトあるいはベイナイト・マルテンサイト混合組織にす
る場合、パーライトノーズを長時間側に移すため、パー
ライト組織の混入を抑え、靱性劣化を抑える効果があ
る。従って、焼入性向上の効果を示す0.05%を下限と
し、また1.50%以上では溶接性を劣化させるためこれを
上限とし、0.05〜1.50%に限定した。
Moは、Crと同様に焼入性の向上と、パーライト組織の焼
なまし軟化抵抗による強度上昇を示しその限定理由も同
じである。つまり焼入性の効果を示す下限値として0.02
%は必要であり、また溶接性から上限を0.20%とした。
V、Nbは、焼入性の向上を示し、同時に析出硬化を示す
元素であり、また強度上昇にも効果を示す。このため下
限として析出硬化を示す最低量は、V:0.01%、Nb:0.
005 %を必要とし、また上限はこの効果が飽和する量で
あって、V:0.10%、Nb:0.05%とした。
Niは、焼入性向上および強度上昇と靱性向上に効果があ
り、0.10%以下では焼入性向上が小さく、1.00%以上で
はその効果は飽和する。従って0.10〜1.00%に限定し
た。
上記のような化学成分組成をもったレール鋼は、また本
発明レールの特徴とする金属組成にするための熱処理条
件として以下のように処理される。
即ち圧延直後に圧延顕熱を利用し、必要であれば保熱炉
または加熱炉を設け、あるいは圧延放冷後 Ac3点以上に
再加熱するなどによる、 Ac3点以上の温度のレールを冷
却する。つまり頭部は、緩速焼入あるいは合金添加する
場合には放冷もしくは緩速焼入し、少なくとも引張強さ
100kgf/mm2 の高強度微細パーライト組織とする。腹
底部は急速冷却し、パーライトノーズより短時間側を冷
却し、次に所要の金属組織とするため冷却条件を変更す
る。ベイナイト組織とするためにはM点以上、B
(ベイナイトの生成する上限温度)以下の温度範囲で恒
温保持して充分変態を進める。またベイナイト・マルテ
ンサイト混合組織とするためには、M点以下でマルテ
ンサイトを、M点以上B点以下の温度範囲でベイナ
イトをそれぞれ適量生成せしめる。マルテンサイト生成
量は初めにベイナイト量を恒温保持変態時間で制御する
か、もしくはマルテンサイト生成量は温度依存型である
ので、初めにマルテンサイト量をM点からの過冷度で
制御する。
このようにして得られたベイナイト組織あるいはベイナ
イト・マルテンサイト混合組織とした腹底部を変態後き
れめなく連続した焼戻しを行なうか、もしくは必要に応
じて一旦M点以上の温度に加熱して歪取り焼鈍した後
室温付近まで冷却後焼戻しを行なうことなどにより、焼
戻しされた高靱性な金属組織とする。
また、前記した腹底部の熱処理に当り、不可避的に30
%未満のパーライト組織が混入することも実際上ある。
更に頭部と腹底部を同時に熱処理するか、若しくは別々
に熱処理するかしても目的の金属組織とすることができ
る。また、必要に応じてマルクエンチする。
上記したような本発明によるものは、場合によっては普
通レールの腹底部に高靱性な金属組織を与える場合にも
応用することができる。このとき破断防止にも効果を示
す。
本発明によるものの具体的な製造例について説明すると
以下の通りである。
先ず本発明者等が具体的に用いた鋼の化学的な成分組成
は次の第1表の如くである。
然してこのような鋼Aに対する製造方法の例としては次
の〜に示す通りである。
頭部を高強度微細パーライト組織、腹部と共に底部
を焼戻しベイナイト組織とする本発明レールの製造は、
Ac3以上の温度より、頭部は1〜10℃/sec で500
℃以下まで冷却する。同時に腹底部を15℃/sec 以上
の急冷を行ない250〜450℃の温度に停止、恒温保
持し、少なくとも50%以上ベイナイト変態したところ
で、1℃/sec 以上の加熱速度で600〜700℃に加
熱して、焼戻した後放冷する。
頭部を高強度微細パーライト組織、腹底部を焼戻し
ベイナイト・マルテンサイト混合組織とする本発明レー
ルの製造は、 Ac3以上の温度より、頭部は1〜10℃/
sec で500℃以下まで冷却する。同時に腹底部を15
℃/sec 以上の急冷を行ない、250〜450℃の温度
に冷却停止し、恒温保持しベイナイト変態が30%以上
になったところでM点(約240℃)以下まで冷却し
てマルテンサイト変態させる。もしくは腹底部を急冷し
て30%以上のマルテンサイト変態する温度(200〜
100℃)に冷却停止し、その後連続して250〜45
0℃に加熱保持して残部オーステナイトをベイナイト変
態させる。ベイナイト・マルテンサイト混合組織とした
後連続して600〜700℃に加熱して焼戻した後放冷
する。
尚、初めにマルテンサイト変態させた場合には、焼戻し
昇温速度が10℃/sec 以下であれば、ベイナイト変態
のための加熱保持する必要なく焼戻しを行ない得る。こ
れは焼戻し昇温中にベイナイト変態が進行しベイナイト
が形成されるためである。
また、前記した第1表の鋼B〜Dのように、Cr,Mo,V,
Ni,Nb を添加した場合には焼入性の向上によって頭部緩
速焼入と腹底部急冷時の冷却速度を少なくすることがで
きると共に、既述したように強度上昇が得られる。場合
によっては頭部放冷でも高強度化が達成される。
次に断面形状136REのレールを熱処理し、不安定破
壊伝播停止性能を評価するために次のi),ii)および
iii)の方法で試験を行なった。その結果、本発明の前
記製造例によるものと、その比較例について要約して示
すと後述する第2表の通りであって、本発明によるもの
は従来の耐摩耗用レールに比し非常に優れた不安定破壊
伝播停止性能を有していると共に低温での落重試験にお
いても破壊することのない卓越した特性を有しているこ
とが確認された。
i) 切欠付曲げ試験方法 長さ1.5 m の第2図に示すようなレール(10)の頭部
中央部分に第3図に示すように深さ15mmで幅3mmの切
欠(16)を鋸によって施し、頭部(12)を下にして
支点間の中心に設置し、静的に曲げて行って切欠(1
6)より不安定破壊亀裂を発生伝播させる。伝播停止性
能はレールが破断するか否かによって判定し、破断しな
かったものを停止性能ありとする。
ii) 腹部水平裂試験方法 レール腹部水平方向亀裂停止性能を評価するため、第4
図に示す試験片(7)を第5図に示すレール(10)の
位置から採取した。試験はASTM亀裂停止靱性値試験
方法に準拠し、Ka値を求めた。ここで亀裂停止靱性値の
測定に用いた荷重試験は第6図に示す通りで、基板
(6)上に試験片(7)を置き、試験片(7)の開口部
(8)にスプリトピン(9a)を有するくさび(9)を
打込み試験する。
試験片(7)は板厚が16mm、板幅Wは128 mm、開口部
(8)を通る切欠(4)の幅Nは10mm、切欠(4)の
開口部(8)よりの切込深さaは45mm、開口部
(8)の直径Dは25.5mmである。
然してこの腹部水平裂試験で求めたKa値(亀裂停止靱
性値)が200kg/mm3/2 以上であるときは不安定破壊
伝播停止性能があると評価する。
iii) 落重試験方法 −60℃に冷却したレールを第7図に示すように正立姿
勢で1mスパンの支点上に設置し、4.65mの高さか
ら1トンの重錘を落下させ、前記低温での衝撃破断特性
をレールが破断するか否かによって判定する。破断しな
かったものは低温での破壊特性に優れているとするもの
である。
「発明の効果」 以上説明したような本発明によるときは耐摩耗用高強度
微細パーライト組織鋼レールに関して頭部から腹底部に
進む横方向不安定破壊や腹部を水平方向に伝播しつつ頭
底部に分岐しながら伝播する不安定破壊を有効に停止す
る機能を腹底部に与えるのみならず低温で使用した場合
の衝撃荷重負荷に伴う破壊をも有効に防止し、この種の
レールの破断や連続的な大規模破損ないし低温条件下で
の破壊を適切に防止することができるものであって、工
業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の技術的内容を示すものであって、第1図
はレールの断面的説明図、第2図は切欠付曲げ試験片の
斜面図、第3図はその切欠部についての部分的断面図、
第4図は腹部水平裂試験片の正面図、第5図は該試験片
のレールにおける採取位置説明図、第6図は腹部水平裂
試験の状態を示した斜面図、第7図は低温落重試験方法
の説明図である。 然してこれらの図面において、(4)は切欠、(6)は
基板、(7)は試験片、(8)は開口部、(9)はくさ
び、(10)はレール、(11)は腹部、(12)は頭
部、(13)は底部、(16)は切欠を示すものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 有三 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 斉藤 義郎 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 森岡 清孝 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 義之 鷹雄 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 上田 正博 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 寺本 豊和 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 藤林 晃夫 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 岡本 圭司 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−125231(JP,A) 特開 昭57−198216(JP,A) 特開 昭61−3842(JP,A) 特公 平4−74424(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt
    %, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるレー
    ルであって、頭部は高強度微細パーライト組織であり、
    腹部と共に底部が高靱性焼戻しベイナイト組織であるこ
    とを特徴とする不安定破壊伝播停止能力に優れた耐摩耗
    性高性能レール。
  2. 【請求項2】C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt
    %, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有すると共に、 Cr:0.05〜1.50wt%,Mo:0.02〜0.20wt%, V:0.01〜0.10wt%,Ni:0.10〜1.00wt%, Nb:0.005 〜0.050 wt% の何れか1種または2種以上をも含有し、残部がFeおよ
    び不可避的不純物からなるレールであって、頭部は高強
    度微細パーライト組織であり、腹部と共に底部が高靱性
    焼戻しベイナイト組織であることを特徴とする不安定破
    壊伝播停止能力に優れた耐摩耗性高性能レール。
  3. 【請求項3】C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt
    %, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるレー
    ルであって、頭部は高強度微細パーライト組織であり、
    腹部と共に底部が高靱性焼戻しベイナイト・マルテンサ
    イト混合組織であることを特徴とする不安定破壊伝播停
    止能力に優れた耐摩耗性高性能レール。
  4. 【請求項4】C:0.50〜0.85wt%,Si:0.10〜1.00wt
    %, Mn:0.50〜1.50wt%,P:0.035 wt%以下, S:0.035 wt%以下,Al:0.050 wt%以下 を含有すると共に、 Cr:0.05〜1.50wt%,Mo:0.02〜0.20wt%, V:0.01〜0.10wt%,Ni:0.10〜1.00wt%, Nb:0.005 〜0.050 wt% の何れか1種または2種以上をも含有し、残部がFeおよ
    び不可避的不純物からなるレールであって、頭部は高強
    度微細パーライト組織であり、腹部と共に底部が高靱性
    焼戻しベイナイト・マルテンサイト混合組織であること
    を特徴とする不安定破壊伝播停止能力に優れた耐摩耗性
    高性能レール。
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