JPH0652841U - 皮膚端子組立体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 皮膚端子組立体の提供。 【構成】 フランジ部１ｂを一端に有し、中央部に貫通
孔１ｄを有する皮膚端子１と、第１穴部３ｄを有する円
筒状の突出部３ｃが貫通孔１ｄに挿入されてフランジ部
１ｂに接着される下アダプタ３と、突出部３ｃの先端部
が嵌入する第３穴部２ａを有し、皮膚端子１の他端に接
着される上アダプタ２とを備え、皮膚端子１のフランジ
部１ｂと下アダプタ３との接着面の位置、又は皮膚端子
１の他端面１ｈと上アダプタ２との接着面の位置に、凹
部１ｇと凸部３ｆとによる係合部を形成する。 【効果】 皮膚端子と下アダプタとの組合せ、又は皮膚
端子と上アダプタとの組合せが位置決めされて確実にな
され、その接着が、位置ずれを生ずることなく確実にな
されるので、取付け作業性が向上すると共に、接着強度
が向上するので、接着の剥離に基づく位置ずれを生じ難
い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、皮膚端子組立体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】

従来の皮膚端子組立体として、外周部に複数個の小孔を形成したフランジ部を 一端に有し、中央部に貫通孔を有する皮膚端子と、第１穴部を有する円筒状の突 出部が前記貫通孔にフランジ部側から挿入されて該皮膚端子のフランジ部に接着 され、第１穴部に接続する第２穴部を有する下アダプタと、該皮膚端子を貫通す る突出部の先端部が嵌入する第３穴部を有し、該突出部の先端部が該第３穴部に 嵌入した状態で、該皮膚端子の他端面に接着され、第３穴部に接続する第４穴部 を有する上アダプタとを備え、該上アダプタの第１，第２穴部及び該下アダプタ の第３，第４穴部にて通液孔を形成するものが知られている。

【０００３】 しかしながら、このような従来の皮膚端子組立体にあつては、皮膚端子のフラ ンジ部と下アダプタとの接着面、又は皮膚端子の他端面と上アダプタとの接着面 が、いずれも円形状面を形成しているため、生体の外部に配置される上アダプタ に衝撃的な回転力が作用した際、容易に接着が破壊され、上アダプタ又は下アダ プタが皮膚端子を中心として回転し、離脱する恐れがあつた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その構 成は、外周部に複数個の小孔を形成したフランジ部を一端に有し、中央部に貫通 孔を有する皮膚端子と、第１穴部を有する円筒状の突出部が前記貫通孔にフラン ジ部側から挿入されて該皮膚端子のフランジ部に接着され、第１穴部に接続する 第２穴部を有する下アダプタと、該皮膚端子を貫通する突出部の先端部が嵌入す る第３穴部を有し、該突出部の先端部が該第３穴部に嵌入した状態で、該皮膚端 子の他端面に接着され、第３穴部に接続する第４穴部を有する上アダプタとを備 え、該上アダプタの第１，第２穴部及び該下アダプタの第３，第４穴部にて通液 孔を形成する皮膚端子組立体において、前記皮膚端子のフランジ部と前記下アダ プタとの接着面の位置、又は該皮膚端子の他端面と前記上アダプタとの接着面の 位置に、凹部と凸部とによる係合部を形成することを特徴とする皮膚端子組立体 である。

【０００５】

【作用】

この皮膚端子組立体によれば、下アダプタ又は上アダプタを皮膚端子に取付け る際、これらの接着面の位置に凹部と凸部とによる係合部が形成され、凹部に凸 部を嵌入させた状態で接着剤によつて接着するので、皮膚端子に対して下アダプ タ又は上アダプタが正確に位置決めされる。その結果、接着剤の固化前に皮膚端 子と下アダプタ又は上アダプタとが相対移動することが防止され、接着剤による 接着が確実になされる。

【０００６】 また、下アダプタとの関係において、皮膚端子の適所に凹部又は凸部を形成し 、フランジ部の小孔が下アダプタによつて支障を受ける位置を避けることにより 、フランジ部の小孔を用いて皮膚に縫い付ける作業性が良好になる。なお、下ア ダプタ及び上アダプタを共に凹部と凸部とによる係合部によつて係合させて皮膚 端子に取り付ければ、下アダプタと上アダプタとの両者の関係における位置決め を図ることができる。

【０００７】 更に、凹部と凸部とによる係合部によつて係合させて接着剤によつて接着する ので、接着状態が強固に得られ、皮膚端子組立体の使用中において、上アダプタ に衝撃的な回転力が作用した場合において、皮膚端子と下アダプタ又は上アダプ タとの間の接着が破壊される恐れが解消する。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照して説明する。 図１〜図７は、本考案の第１実施例を示す。図中において符号１は皮膚端子を 示し、皮膚端子１は、例えば動静脈留置用ディスポーザブルチューブカテーテル に組み込まれる部品であり、カテーテルは、薬事法施行令の分類による医療用具 の器具器械類に属する。この皮膚端子１は、図２に示すように円筒状の胴部１ａ の一端にフランジ部１ｂを有し、胴部１ａの環状をなす他端面１ｈの周縁にフラ ンジ状突出部１ｃを有し、これらの中央部に貫通孔１ｄを有する。

【０００９】 貫通孔１ｄの両端部には、製造時、特に射出成形による製造時の型抜きを考慮 してそれぞれ端部に向けて次第に拡径するテーパ部１ｅ，１ｆを形成すると共に 、フランジ部１ｂ側のテーパ部１ｅに接続させて、凹部１ｇを形成してある。凹 部１ｇには、テーパ部１ｅに滑らかに接続する形状を与えて製造時の型抜きを容 易にすると共に、図３に示すようにフランジ部１ｂの外周部に形成した複数個（ 本実施例では４個）の小孔１ｉの隣接する小孔１ｉ，１ｉ同士の間の中央部に形 成することが望まれ、形状としては、例えば図３，図４，図５に示すように各種 のものを与えることができる。

【００１０】 図３に示す凹部１ｇは、テーパ部１ｅから接線方向に延び、次第に幅狭になる ように接続し、図４に示す凹部１ｇは、テーパ部１ｅと略楕円形をなすように接 続し、図５に示す凹部１ｇは、テーパ部１ｅの一部から半円形状に突出して接続 している。いずれの凹部１ｇにあつても、製造時の型抜きを容易にするために、 側面がテーパ状の傾斜面をなしている。この皮膚端子１は、ハイドロキシアパタ イト（ＨＡＰ）を成形して製造されているが、従来周知のカーボン製、アルミナ 製、シリコーン製等であつてもよい。

【００１１】 このような皮膚端子１には、上アダプタ２と下アダプタ３とが組付けられる。 上アダプタ２は、図１に示すように皮膚端子１の貫通孔１ｄと同じ大径の第３穴 部２ａと小径の第４穴部２ｂとを略直角に接続させて備え、第３穴部２ａが開口 する一端面２ｃが、皮膚端子１の他端面１ｈに密着する状態で、この密着面を接 着剤によつて接着させてある。なお、上アダプタ２の一端面２ｃの周縁部には、 環状突起部２ｄが形成され、この環状突起部２ｄが皮膚端子１の他端面１ｈのフ ランジ状突出部１ｃを受入れて、この間も接着剤によつて接着されている。

【００１２】 また、下アダプタ３は、図６，図７に詳示するように接続部３ｇを付属する下 アダプタ本体３ａと、円筒状の突出部３ｃとを有する。突出部３ｃは、下アダプ タ本体３ａの上面が形成する杓文字状面の環状面部３ｂの中央に立設され、皮膚 端子１の貫通孔１ｄに嵌入する。この突出部３ｃには、下アダプタ本体３ａ内に まで達する第１穴部３ｄが形成され、この第１穴部３ｄと下アダプタ本体３ａ及 び接続部３ｇ内に形成した第２穴部３ｅとが略直角に接続している。そして、下 アダプタ本体３ａの環状面部３ｂには、突出部３ｃから接続し、前記皮膚端子１ の凹部１ｇと適合する形状を有する凸部３ｆが形成されている。

【００１３】 上記の皮膚端子１に、図１に示すように下アダプタ３が組付けられる。すなわ ち、皮膚端子１の貫通孔１ｄに突出部３ｃを挿入し、皮膚端子１を貫通する突出 部３ｃの先端部を上アダプタ２の第３穴部２ａに嵌入させ、この部分において高 分子部品である上・下アダプタ２・３同士を接着させる。勿論、突出部３ｃの先 端部は、第３穴部２ａと略直交する第４穴部２ｂを塞がない長さに設定してある 。また、下アダプタ３は、凸部３ｆを皮膚端子１の凹部１ｇに嵌合させた状態で 、下アダプタ本体３ａの環状面部３ｂとフランジ部１ｂの一端面との間、及び突 出部３ｃと皮膚端子１との間を接着剤によつて接着する。しかして、皮膚端子１ のフランジ部１ｂと下アダプタ３との接着面の位置に、凹部１ｇと凸部３ｆとに よる係合部を形成させる。

【００１４】 このような皮膚端子組立体は、人間その他の動物の皮膚１０に取付けられ、動 静脈留置用ディスポーザブルチューブカテーテルに組み込まれて使用に供される 。すなわち、下アダプタ３及び皮膚端子１のフランジ部１ｂを生体内に埋め込み 、フランジ部１ｂの外周部に複数個形成した小孔１ｉを用いて皮膚１０に図外の 糸にて縫い付ける。この状態で、皮膚端子１の胴部１ａが皮膚１０を貫通し、上 アダプタ２が体外に位置している。動静脈留置用ディスポーザブルチューブカテ ーテルに組み込まれた皮膚端子組立体は、上アダプタ２の接続部２ｅ及び下アダ プタ３の接続部３ｇにそれぞれ図外のパイプが接続された状態で、インプラント される。

【００１５】 次に、上記実施例の作用について説明する。 このような皮膚端子組立体によれば、下アダプタ３を皮膚端子１に取付ける際 、皮膚端子１の凹部１ｇに下アダプタ３の凸部３ｆを嵌入させて、下アダプタ本 体３ａの環状面部３ｂとフランジ部１ｂの一側面とを接着剤によつて接着する。 しかして、皮膚端子１に対して下アダプタ３が周方向に正確に位置決めされて取 付けられ、接着剤の固化前に皮膚端子１と下アダプタ３とが相対移動することが 防止されるので、適正位置を維持したままで接着剤による接着が確実になされる 。特に、下アダプタ３の第２穴部３ｅを形成した接続部３ｇが、フランジ部１ｂ の隣接する小孔１ｉ，１ｉの間の中央に位置するように位置決めし、小孔１ｉを 用いて皮膚１０に縫い付ける作業性を良好に確保することができる。

【００１６】 また、皮膚端子１の凹部１ｇに下アダプタ３の凸部３ｆを嵌入させて、下アダ プタ本体３ａの環状面部３ｂとフランジ部１ｂの一側面とを接着剤によつて接着 するので、接着状態が強固に得られ、皮膚端子組立体の通常の使用中において、 上アダプタ２又は皮膚端子１に、下アダプタ３に対する衝撃的な回転力が作用し た場合において、接着が破壊される恐れが解消する。特に、下アダプタ本体３ａ の環状面部３ｂとフランジ部１ｂの一側面との間の接着面は、生体内で水浸状態 にあつて接着力が次第に低下するので、この部分に凹部１ｇと凸部３ｆとによる 係合部を設けて接着強度を補う必要性は高い。

【００１７】 ところで、上記の第１実施例にあつては、皮膚端子１の凹部１ｇに下アダプタ ３の凸部３ｆを嵌入させて、皮膚端子１のフランジ部１ｂの一側面と下アダプタ ３の環状面部３ｂとを接着剤によつて接着したが、下アダプタ３に形成した凹部 に皮膚端子１に形成した凸部を嵌入させて係合部とし、同様に接着剤によつて接 着しても、同一の作用を得ることができる。

【００１８】 図８は本考案の第２実施例を示し、第１実施例と実質的に同一の部分には同一 符号を付してそれらの説明は省略する。本実施例にあつては、皮膚端子１の他端 面１ｈと上アダプタ２の一端面２ｃとの間となる接着面の位置に、凸部１ｊと凹 部２ｅとを形成し、この凹部２ｅに凸部１ｊを嵌入させて係合部としてある。こ の実施例によれば、凹部２ｅと凸部１ｊとの係合によつて、皮膚端子１と上アダ プタ２との間の位置決め及び回転止めが図れるので、第１実施例と同様の作用が 皮膚端子１と上アダプタ２との間で得られる。勿論、皮膚端子１に凹部を形成す ると共に上アダプタ２に凸部を形成し、この凹部に凸部を嵌入させて係合部とし ても、同様の作用が得られる。

【００１９】 なお、皮膚端子１は、身体の内と外をつなぐためのボタン状の端子で、身体内 部の情報の出力、薬剤や栄養剤の投入などに使用され、このような皮膚端子組立 体において、ハイドロキシアパタイト（ＨＡＰ）製の皮膚端子１を備えれば、細 菌等による感染を心配することなく、長期に渡つて安定的に加療することができ る。

【００２０】

【考案の効果】

以上の説明によつて理解されるように、本考案に係る皮膚端子組立体によれば 、皮膚端子組立体の組付けに際しては凹部と凸部とによる係合によつて、皮膚端 子と下アダプタとの組合せ、又は皮膚端子と上アダプタとの組合せが位置決めさ れて容易かつ確実になされ、その接着が、接着初期にずれを生ずることなく確実 になされる。加えて、皮膚端子組立体の製造後にフランジ部の小孔を使用する取 付け作業性が向上すると共に、接着強度が向上するので、カテーテルに組み込ん で使用する際に接着の剥離に基づく位置ずれを生じ難く、皮膚端子組立体の信頼 性及び耐久性が共に著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１実施例に係る皮膚端子組立体を
示す一部断面図。

【図２】 同じく皮膚端子を示す断面図。

【図３】 同じく皮膚端子のフランジ部を示す図。

【図４】 同じく凹部の構造例を示す図。

【図５】 同じく凹部の他の構造例を示す図。

【図６】 同じく下アダプタを示す断面図。

【図７】 同じく下アダプタの杓文字状面を示す図。

【図８】 本考案の第２実施例に係る皮膚端子組立体を
示す一部断面図。

【符号の説明】

１：皮膚端子、１ａ：胴部、１ｂ：フランジ部、１ｄ：
貫通孔、１ｇ：凹部、１ｈ：他端面、１ｉ：小孔、１
ｊ：凸部、２：上アダプタ、２ａ：第３穴部、２ｂ：第
４穴部、２ｃ：一端面、２ｅ：凹部、３：下アダプタ、
３ａ：下アダプタ本体、３ｂ：環状面部、３ｃ：突出
部、３ｄ：第１穴部、３ｅ：第２穴部、３ｆ：凸部、１
０：皮膚。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周部に複数個の小孔を形成したフラン
   ジ部を一端に有し、中央部に貫通孔を有する皮膚端子
   と、第１穴部を有する円筒状の突出部が前記貫通孔にフ
   ランジ部側から挿入されて該皮膚端子のフランジ部に接
   着され、第１穴部に接続する第２穴部を有する下アダプ
   タと、該皮膚端子を貫通する突出部の先端部が嵌入する
   第３穴部を有し、該突出部の先端部が該第３穴部に嵌入
   した状態で、該皮膚端子の他端面に接着され、第３穴部
   に接続する第４穴部を有する上アダプタとを備え、該上
   アダプタの第１，第２穴部及び該下アダプタの第３，第
   ４穴部にて通液孔を形成する皮膚端子組立体において、
   前記皮膚端子のフランジ部と前記下アダプタとの接着面
   の位置、又は該皮膚端子の他端面と前記上アダプタとの
   接着面の位置に、凹部と凸部とによる係合部を形成する
   ことを特徴とする皮膚端子組立体。