JPH0651929B2 - 炭素繊維製造用の前駆体繊維用融着防止処理剤 - Google Patents
炭素繊維製造用の前駆体繊維用融着防止処理剤Info
- Publication number
- JPH0651929B2 JPH0651929B2 JP35592592A JP35592592A JPH0651929B2 JP H0651929 B2 JPH0651929 B2 JP H0651929B2 JP 35592592 A JP35592592 A JP 35592592A JP 35592592 A JP35592592 A JP 35592592A JP H0651929 B2 JPH0651929 B2 JP H0651929B2
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- JP
- Japan
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- formula
- precursor
- treatment agent
- fusion
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- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素繊維製造用の前駆体
繊維用融着防止処理剤(以下単に処理剤と略記する)に
関する。合成繊維の製造において、繊維相互間の接着を
防止することは、その製造の際の種々のトラブル発生を
防止して製造効率を向上し、また製造した繊維の品質を
向上する上で重要である。特に、該合成繊維が接着(融
着)を起こし易く、その融着が上記のようなトラブル発
生や品質に重大な悪影響を及ぼす炭素繊維製造用の前駆
体繊維の場合はなおさらである。アクリル系繊維やピッ
チ系繊維等を前駆体繊維とする炭素繊維は、該前駆体繊
維を酸化性雰囲気下に通常200〜300℃で加熱焼成
する耐炎化工程(不融化工程)を経た後、不活性雰囲気
下に700℃以上の高温で炭素化する炭素化工程を経て
製造されるが、この際に耐炎化工程で前駆体繊維相互間
の融着が起こると、得られる炭素繊維の強度低下等を招
くのである。本発明は炭素繊維の製造においてその前駆
体繊維相互間の融着を防止する処理剤に関するものであ
る。
繊維用融着防止処理剤(以下単に処理剤と略記する)に
関する。合成繊維の製造において、繊維相互間の接着を
防止することは、その製造の際の種々のトラブル発生を
防止して製造効率を向上し、また製造した繊維の品質を
向上する上で重要である。特に、該合成繊維が接着(融
着)を起こし易く、その融着が上記のようなトラブル発
生や品質に重大な悪影響を及ぼす炭素繊維製造用の前駆
体繊維の場合はなおさらである。アクリル系繊維やピッ
チ系繊維等を前駆体繊維とする炭素繊維は、該前駆体繊
維を酸化性雰囲気下に通常200〜300℃で加熱焼成
する耐炎化工程(不融化工程)を経た後、不活性雰囲気
下に700℃以上の高温で炭素化する炭素化工程を経て
製造されるが、この際に耐炎化工程で前駆体繊維相互間
の融着が起こると、得られる炭素繊維の強度低下等を招
くのである。本発明は炭素繊維の製造においてその前駆
体繊維相互間の融着を防止する処理剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素繊維の製造においてその前駆
体繊維相互間の融着を防止する処理剤として、ホスフェ
ートのアルカリ金属塩、各種カチオン界面活性剤、ポリ
オキシアルキレンエーテル等を使用する例がある。しか
し、これらの従来例には、耐炎化工程でタールを生じた
り、或は耐炎化工程の加熱初期にその大部分が揮散して
しまうため、前駆体繊維相互間の融着を防止することが
できないという欠点がある。そこで従来、上記のような
処理剤の改良品として、オルガノポリシロキサン(特公
昭51−12739)、微粉砕黒鉛又はカーボンブラッ
ク粒子(特開昭55−128020)等を使用する例が
ある。しかし、これらの従来例でも、実際のところ前駆
体繊維相互間の融着を防止するのが誠に不充分という欠
点がある。
体繊維相互間の融着を防止する処理剤として、ホスフェ
ートのアルカリ金属塩、各種カチオン界面活性剤、ポリ
オキシアルキレンエーテル等を使用する例がある。しか
し、これらの従来例には、耐炎化工程でタールを生じた
り、或は耐炎化工程の加熱初期にその大部分が揮散して
しまうため、前駆体繊維相互間の融着を防止することが
できないという欠点がある。そこで従来、上記のような
処理剤の改良品として、オルガノポリシロキサン(特公
昭51−12739)、微粉砕黒鉛又はカーボンブラッ
ク粒子(特開昭55−128020)等を使用する例が
ある。しかし、これらの従来例でも、実際のところ前駆
体繊維相互間の融着を防止するのが誠に不充分という欠
点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来の処理剤では、炭素繊維の製造におい
てその前駆体繊維相互間の融着を充分に防止できない点
である。
する課題は、従来の処理剤では、炭素繊維の製造におい
てその前駆体繊維相互間の融着を充分に防止できない点
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、
以上の観点で鋭意研究した結果、特定の疎水化処理され
たシリカ誘導体とジメチルポリシロキサンとから成る処
理剤が正しく好適であることを見出した。
以上の観点で鋭意研究した結果、特定の疎水化処理され
たシリカ誘導体とジメチルポリシロキサンとから成る処
理剤が正しく好適であることを見出した。
【0005】すなわち本発明は、シラノール基の水素の
全部又は一部が下記の式1、式2、式3又は式4で示さ
れる基で置換されて疎水化処理されたシリカ誘導体とジ
メチルポリシロキサンとから成ることを特徴とする処理
剤に係る。
全部又は一部が下記の式1、式2、式3又は式4で示さ
れる基で置換されて疎水化処理されたシリカ誘導体とジ
メチルポリシロキサンとから成ることを特徴とする処理
剤に係る。
【0006】
【式1】
【0007】
【式2】
【0008】
【式3】
【0009】
【式4】
【0010】本発明におけるシリカ誘導体は、その置換
要部構造を簡単に模式化すると、下記の式5、式6、式
7又は式8のように示される(下記の各式中、横の棒線
はシリカ骨格を表わし、この棒線に結合している酸素原
子はシラノール基から水素原子を式1、式2、式3又は
式4で示される基で置換して除いた残部である)。
要部構造を簡単に模式化すると、下記の式5、式6、式
7又は式8のように示される(下記の各式中、横の棒線
はシリカ骨格を表わし、この棒線に結合している酸素原
子はシラノール基から水素原子を式1、式2、式3又は
式4で示される基で置換して除いた残部である)。
【0011】
【式5】
【0012】
【式6】
【0013】
【式7】
【0014】
【式8】
【0015】かかるシリカ誘導体は例えば、シリカ表面
のシラノール基にトリメチルクロロシランやジメチルジ
クロロシラン等を反応させて得ることができる。通常、
その反応率(シラノール基の水素に対する置換率)は、
式1、式2、式3又は式4からどのような基を選んで置
換させるかによっても異なるが、50〜70%でよく、
また得られるシリカ誘導体は、前駆体繊維表面への均一
付着性の点で、粒径1μ以下のものが好ましい。
のシラノール基にトリメチルクロロシランやジメチルジ
クロロシラン等を反応させて得ることができる。通常、
その反応率(シラノール基の水素に対する置換率)は、
式1、式2、式3又は式4からどのような基を選んで置
換させるかによっても異なるが、50〜70%でよく、
また得られるシリカ誘導体は、前駆体繊維表面への均一
付着性の点で、粒径1μ以下のものが好ましい。
【0016】本発明に係る処理剤は、以上説明したシリ
カ誘導体、好ましくは0.05〜20重量%のシリカ誘
導体とジメチルポリシロキサンとから成るものである。
ジメチルポリシロキサンは、シリカ誘導体に含まれるメ
チル基との親和性が良いためと考えられるが、前駆体繊
維相互間の融着を防止するシリカ誘導体の効果の発現を
助長する。かかるジメチルポリシロキサンは、その粘度
が特に制限されるものではないが、1000cst以下
のものが好ましく、50cst以下のものが更に好まし
い(ともに25℃)。前述したようなシリカ誘導体の効
果の発現を更に助長するからである。
カ誘導体、好ましくは0.05〜20重量%のシリカ誘
導体とジメチルポリシロキサンとから成るものである。
ジメチルポリシロキサンは、シリカ誘導体に含まれるメ
チル基との親和性が良いためと考えられるが、前駆体繊
維相互間の融着を防止するシリカ誘導体の効果の発現を
助長する。かかるジメチルポリシロキサンは、その粘度
が特に制限されるものではないが、1000cst以下
のものが好ましく、50cst以下のものが更に好まし
い(ともに25℃)。前述したようなシリカ誘導体の効
果の発現を更に助長するからである。
【0017】本発明に係る処理剤の前駆体繊維への付与
形態は、ストレート、水分散液又は有機溶剤分散液等、
いずれでもよい。例えば水中に分散させても、また鉱物
油中に分散させてもよく、この際適宜に界面活性剤を使
用してもよいのであるが、シリカ誘導体をジメチルポリ
シロキサン中に分散させた形態のものが、作業性及び特
に所期効果の発現の点で好ましい。また前駆体繊維への
その給油法は、ローラー給油法、スプレー給油法、ガイ
ドオイリング法、浸漬給油法等、いずれでもよい。そし
て前駆体繊維へのその付着量は通常、0.01〜5重量
%(対前駆体繊維)となるようにする。
形態は、ストレート、水分散液又は有機溶剤分散液等、
いずれでもよい。例えば水中に分散させても、また鉱物
油中に分散させてもよく、この際適宜に界面活性剤を使
用してもよいのであるが、シリカ誘導体をジメチルポリ
シロキサン中に分散させた形態のものが、作業性及び特
に所期効果の発現の点で好ましい。また前駆体繊維への
その給油法は、ローラー給油法、スプレー給油法、ガイ
ドオイリング法、浸漬給油法等、いずれでもよい。そし
て前駆体繊維へのその付着量は通常、0.01〜5重量
%(対前駆体繊維)となるようにする。
【0018】
【実施例】表1に記載した実施例1〜6の処理剤及び比
較例1〜5の処理剤それぞれ85重量部にポリオキシエ
チレン(5モルと10モルの混合物)ラウリルエーテル
15重量部を配合した油剤の水乳化液又は水分散液を調
製した。そして、前駆体繊維としてのアクリルフィラメ
ント糸(16000デニール/12000フィラメン
ト)に前記水乳化液又は水分散液をそれぞれ付着量0.
5±0.1重量%(油剤として)となるように浸漬給油
法で付与した後、乾熱ローラーを用い、115℃×4秒
間乾燥してプレカーサートウを調製した。このプレカー
サートウを240℃の強制循環式オーブン中で60分間
処理して耐炎化繊維を得、これを試料としてその耐融着
性を次の方法で評価した。結果を表1に示した。
較例1〜5の処理剤それぞれ85重量部にポリオキシエ
チレン(5モルと10モルの混合物)ラウリルエーテル
15重量部を配合した油剤の水乳化液又は水分散液を調
製した。そして、前駆体繊維としてのアクリルフィラメ
ント糸(16000デニール/12000フィラメン
ト)に前記水乳化液又は水分散液をそれぞれ付着量0.
5±0.1重量%(油剤として)となるように浸漬給油
法で付与した後、乾熱ローラーを用い、115℃×4秒
間乾燥してプレカーサートウを調製した。このプレカー
サートウを240℃の強制循環式オーブン中で60分間
処理して耐炎化繊維を得、これを試料としてその耐融着
性を次の方法で評価した。結果を表1に示した。
【0019】・耐融着性 試料を2cmに切断し、白紙上で軽く振盪して、耐融着状
態を次の基準で評価した。 ◎:融着なし ○:融着ごく僅かあり △:融着ややあり ×:融着大
態を次の基準で評価した。 ◎:融着なし ○:融着ごく僅かあり △:融着ややあり ×:融着大
【0020】
【表1】
【0021】表1において、 シリカ誘導体A:トリメチルクロロシランで疎水化処理
したシリカ誘導体、粒径7mμ シリカ誘導体B:ジメチルジクロロシランで疎水化処理
したシリカ誘導体、粒径16mμ かっこ内数値:25℃における粘度(cst) 各成分の配合数値:重量部
したシリカ誘導体、粒径7mμ シリカ誘導体B:ジメチルジクロロシランで疎水化処理
したシリカ誘導体、粒径16mμ かっこ内数値:25℃における粘度(cst) 各成分の配合数値:重量部
【0022】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発
明には、炭素繊維の製造においてその前駆体繊維相互間
の融着を充分に防止することができるという効果があ
る。
明には、炭素繊維の製造においてその前駆体繊維相互間
の融着を充分に防止することができるという効果があ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 15/643
Claims (2)
- 【請求項1】 シラノール基の水素の全部又は一部が下
記の式1、式2、式3又は式4で示される基で置換され
て疎水化処理されたシリカ誘導体とジメチルポリシロキ
サンとから成ることを特徴とする炭素繊維製造用の前駆
体繊維用融着防止処理剤。 【式1】 【式2】 【式3】 【式4】 - 【請求項2】 シリカ誘導体が0.05〜20重量%含
まれる請求項1記載の炭素繊維製造用の前駆体繊維用融
着防止処理剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35592592A JPH0651929B2 (ja) | 1992-12-18 | 1992-12-18 | 炭素繊維製造用の前駆体繊維用融着防止処理剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35592592A JPH0651929B2 (ja) | 1992-12-18 | 1992-12-18 | 炭素繊維製造用の前駆体繊維用融着防止処理剤 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59154415A Division JPS6134284A (ja) | 1984-07-24 | 1984-07-24 | ポリウレタン弾性繊維用解舒性向上処理剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05331713A JPH05331713A (ja) | 1993-12-14 |
JPH0651929B2 true JPH0651929B2 (ja) | 1994-07-06 |
Family
ID=18446443
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35592592A Expired - Fee Related JPH0651929B2 (ja) | 1992-12-18 | 1992-12-18 | 炭素繊維製造用の前駆体繊維用融着防止処理剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0651929B2 (ja) |
-
1992
- 1992-12-18 JP JP35592592A patent/JPH0651929B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05331713A (ja) | 1993-12-14 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |