JPH0651855U - 気体中成分の捕集器 - Google Patents

気体中成分の捕集器

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JPH0651855U
JPH0651855U JP8795992U JP8795992U JPH0651855U JP H0651855 U JPH0651855 U JP H0651855U JP 8795992 U JP8795992 U JP 8795992U JP 8795992 U JP8795992 U JP 8795992U JP H0651855 U JPH0651855 U JP H0651855U
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亮太郎 三木
紘一 伊東
和哉 岩瀬
茂 日高
朋生 萱野
真人 竹村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】クリーンルームの空気中の極微量の塵埃、ミス
ト、不純成分を超純水中に捕集し、再汚染することなく
運搬、分析する。 【構成】捕集器はPP樹脂を用い、雄ネジ91を口元に
備えた捕集瓶92、雌ネジ93を備えた捕集蓋96、雌
ネジ97を備えた替え蓋98の組合せ品である。この蓋
96、98はネジの他に円錐テーパ面などのシール面を
備え、ネジ面と2重シールになっており、シール面は気
密を保つ弾性力を有している。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、極微量不純物が問題になる気体、例えばクリーンルームの気体の中 に含まれる極微量の不純成分を捕集する気体中成分の捕集器に関する。
【0002】
【従来の技術】
本考案はクリーンルームの気体中の不純成分の捕集器に関するものであるが、 本考案の対象ほどには高精度を要しない従来の普通程度の微量分析のレベルでは 、ガスサンプリング用に図2に示すような捕集器が用いられていた。図2におい て、51は溶媒52を収納した硝子製の捕集瓶、53はゴム栓、54は試料気体 を捕集瓶内の溶媒中に送り込む硝子製の導入管、55は溶媒中でパブリングを終 わった気体の硝子製排出管であり、試料気体中の塵埃、ミストや気体状の不純物 等が溶媒中に捕集される。この図では、吸収効率向上のため、導入管54の捕集 瓶内部に挿入される部分を別の硝子管56とゴム栓の中でつなぎ、溶媒52中に 浸漬される部分は微小な孔を多数あけて微小気泡を発生するように工夫している 。所定流量の気体をバブリングした後送気を中止し、溶媒52中に濃縮された不 純物を予想成分に応じて方法で分析して濃度を求め、大気中の濃度に換算する。
【0003】 例えば、大気中の塩化水素濃度を測定する場合は、塩素イオンを含まない蒸留 水に吸収させ、チオシアン酸第二水銀法で分析するが、この方法は、大気中の塩 化水素濃度が0.075〜1.5μg/l(75〜1,500ng/l)程度の 時に適すると言われている。この方法は、いわば標準的なガス分析の一例である が、LSI製造工場のクリーンルームのように、桁違いに不純物の少ない気体中 の不純物を捕集する場合には、上例では問題にならなかったような問題が種々生 ずる。その例を以下に略述する。
【0004】 捕集瓶起因事項: (a)硝子の口が広がっており、汚れが付着しやすい。 (b)容器成分の溶出:分析成分と一致すると、精度が低下する。 (c)硝子破損の危険性:試験続行不能(やり直し)や怪我などの危険以外にも 、操作に注意を要するという操作性の悪さも問題である。
【0005】 ゴム栓起因事項: (d)ゴム栓着脱時の摩擦によって目にみえないほどの脱落物が生じ分析精度を 低下させる。 (e)ゴム栓に汚れが付着しやすい。 (f)ゴムから不純物が溶出する。 (g)ゴム栓外し時の導入管折損。
【0006】 本考案の主対象であるクラス1000ないしクラス1のクリーンルームの場合 、不純物の存在量が、 クラス1000:1.0μm以上の塵が1000個/cf以下 クラス1:0.1μm以上の塵が1個/cf以下 という厳しさで、不純物分析値はほとんどが1ng/l以下という、超微量分析 の世界に属している。
【0007】 このため、例えば捕集器具の洗浄操作一つを採ってみても、上例では使用直前 の簡単な蒸留水洗浄で済むのに、クリーンルームへの適用の場合は、蒸留水はも ちろん、純水でも不十分で、超純水を用いて新品捕集器の使用開始時は事前に5 日間毎日洗浄し、その後使用しなくても毎日洗浄を繰り返し、さらに使用直前に 洗浄し、汚染されないうちに素早く捕集位置にセットする。不純物の捕集溶媒に しても、微量の陽イオンや陰イオンを分析するために、薬品が使えず、超純水を 吸収溶媒として使用することが多い。
【0008】 また、LSI製造工場のクリーンルームは、部屋の独立性の必要上、必ずしも 分析室の近くにあるとは限らず、場合によっては、捕集した試料を長距離輸送す る必要が生じることもある。このような場合は、捕集瓶から、移送用の容器に試 料を移注して運搬することになるが、移注に際しては、 (h)移注時に、容器内外の汚れや大気内不純物を吸収しあるいは巻き込む、 (i)瓶の密閉度が極めて高度のものでないと、揺れにより、漏れ、汚れ等の誤 差原因が生じやすい、 (j)容器内長時間保持により、瓶外の大気中から不純物を徐々に吸収する。 等の問題も生ずる。(j)は、通常の微量分析では誤差・ばらつきの限度よりは るかに小さく、認識されないが、超微量分析では、これが問題になってくる。
【0009】 したがって、通常のガス分析用の捕集器では、多少改善しても全く役に立たず 、汚れが分析対象物の数十〜数千倍という悲惨な結果を招きかねない。 ゴム栓方式に替えて、摺り合わせ方式の硝子栓も一般のガス分析では多用され ている。 図3にその一例を示すが、図中60の部分が摺り合わせになっている。
【0010】 ゴム栓を使用しないことで、ゴム栓に起因する問題はなくなるが、容器の汚れ や、漏れ不純物吸収などの問題はなお残る。 一般のガス分析ならともかく、高度の微量分析の場合は、曇り硝子式の摺り合 わせでは凹凸部からの空気侵入汚染の問題があり、凹凸の少ない透明摺り合わせ が必要である。ところが、透明摺り合わせの器具は高価で、数万円も要し、破損 すると、修理を社外に依頼する場合は費用1万円以上、期間約1箇月という具合 に、破損・操作性の問題が大きくクローズアップされてくる。
【0011】 しかも、透明摺り合わせでも、 (k)円周全面に完全に均一な摺り合わせは望めず、作り方、締め具合により、 空気汚染((i)等)の程度が違い、精度にばらつきが大きくなる、 という問題も生ずる。また移注時には、接続部、この場合は摺り合わせ部に外か ら超純水を流して外部の汚れを除去してから蓋を開けるが、 (m)摺り合わせ部流水時に、水が周囲の汚れを含んだまま摺り合わせ部に浸み 込み、移注時にその一部が持ち込まれるという問題も生ずる。この問題を回避す るために、図4のような工夫も考えられる。摺り合わせ部61を、上に向かって 先細り形状にし、移注時の出口62から離れた下方に摺り合わせ部の大気接触部 63を設けるような蓋64を採用するものである。この場合、移注時の問題に関 しては大幅な改善が見られるが、空気汚染の問題は多少改善される程度であり、 このままの長時間保持はもちろん、長距離輸送にはとうてい耐えられない。せい ぜい、1段階も2段階も低いクリーン度の空気に対する分析向きである。
【0012】 通常の硝子を石英硝子に替えると、超純水中への不純物溶出量は大幅に減るが 、他の問題はなお解決されずに残る。 超高度のクリーンルーム空気等の分析に際して、捕集器の洗浄にどの程度の注 意を払っているものか、簡単に説明する。なお、この洗浄に用いる水は、すべて 超純水である。
【0013】 使用の前日には継続的に毎日洗浄している捕集器を、更にていねいに洗浄する 。捕集瓶、捕集蓋、導入管用通気ホースのジョイント部、排出管用の吸引ホース のジョイント部のすべてについて、十分な注水や流水による洗浄を繰り返し行う 。 洗浄の前に、手を洗い、専用の樹脂製手袋を洗って装着する。その際、万一に も手袋に破れ、孔明きがあると、手からの汚染の恐れがあるので、念のため、手 袋は事前に点検したものを2枚重ねて使用する。1枚ずつ洗うと2枚の手袋の間 に残った水分が後に染み出して、汚染原因となり兼ねないので、あらかじめ洗浄 ・乾燥しておいた手袋を初めから2枚重ねて装着し、内側に水が入らないように 流水洗浄を行う。
【0014】 次に、本考案の完成前に種々試みた諸改善について、その概要を簡単に説明す る。 (1)まず硝子に代えて樹脂製の捕集器を試作、試用した。図5に、その一例を を示す。円形断面の捕集瓶70と捕集蓋71とはいずれもPP樹脂製で、ネジ7 2において密閉嵌合される。この場合、完全に硬質な樹脂を用いたのでは、不純 物溶出は減少するが密閉性の点では、硝子摺り合わせ以上のものを望めない。パ ッキンの併用は、洗浄の手間、汚染の機会を増大させるので、なるべく避ける方 がよい。
【0015】 密閉度を高めるには、ネジの締付けによりネジ素材が多少弾性変形して密着性 が向上するよう、弾性を有する樹脂の採用が適する。蓋と瓶の少くとも一方、よ り好ましくは双方が弾性を有し、かつ超純水への不純物溶出が少ない樹脂が望ま れるが、この種の好適素材としては、まずPEEK樹脂が挙げられる。しかし、 高価であり、実用上、一般的にはPP樹脂程度の安価な材料が好ましい。特殊な 成分分析の場合は、その分析成分に応じた樹脂選択が必要になる。
【0016】 捕集蓋71には、同じPP樹脂製の気体試料導入管73と、排出管74とが、 図5のように接続されている。その使用結果によれば、上記問題点のうち、汚れ の付着、破損及びゴム栓に起因する問題は、形状、材質の変更により解決し、密 閉度、移注時の汚れの持込みについてもほぼ解決した。容器成分の溶出について は、石英に劣らないというより、むしろ優れた成績が得られた。しかし、移注時 の不純物巻込みは依然として未解決であり、長時間保持のとき大気中から不純物 を吸収することについても、かなり改善されたが、予想に反して、十分ではなか った。 (2)そこで、採取試料の遠隔輸送に際し、別容器移注時の汚染機会を減らすた め、図6のように、図5の捕集蓋71の代わりに保管・輸送用の密閉替蓋75を 用意し捕集完了後蓋を付け替えて保管・輸送に当てた。この改善により、移注を 必要としなくなり、洗浄済みの替え蓋との交換の僅かな時間のみ大気の影響が及 び得るものの、分析対象空気の不純物のレベルの微細量化に伴って大きく浮かび 上がってきた、大気中で移注することにより起る問題は大幅に改善された。
【0017】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上記改善に立脚してさらに高度の改善を行ったものである。 本考案の課題は、基本的には、極めて高純度が要求される高度クリーンルーム の空気中の微量不純物分析に際して新たな問題として生じ、認識された捕集器の 諸問題を、解消もしくは軽減しようとすることにある。具体的には、構造簡単、 価格も安く、取り扱い操作が容易であって、なおかつ上述の諸問題に関して、 (a)、(c)〜(g)、(i)、(k)、(m)に関してはほぼ完全に問題を 解消し、(b)、(h)、(j)については、問題を大幅に軽減することのでき る捕集器を実現することが本考案の課題である。
【0018】 また、捕集器の中の超純水中を通過させることにより捕集し、これを遠隔の微 量分析室に運搬して、種々の成分の微量分析を行う場合に用いる気体中成分の捕 集器であって、当該捕集水の再汚染を極力防止しながら、信頼性の高い高精度サ ンプリング/分析処理を可能にする捕集手段を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本考案が提供する解決手段は次の通りである。すなわち、気体中の極微量不純 成分の捕集分析用捕集器であって、開口部外径に雄ネジを備えた樹脂製捕集瓶と 、この雄ネジに気密嵌合する雌ネジを有し気体の導入管及び排出管を備えた樹脂 製捕集蓋と、前記雄ネジに気密嵌合する雌ネジを有する樹脂製替え蓋とから構成 されており、前記各蓋及び前記捕集瓶は、螺合したとき互いに圧着するシール面 を有し、前記各蓋又は前記捕集瓶との少くとも一方は、圧着面が気密性を保つ弾 力性を有する樹脂素材からなることを特徴とする気体中成分の捕集器であり、こ れにより、前記諸課題が解決される。
【0020】 また、本考案の、有利な態様として上記捕集器において、前記シール面の一方 又は双方を円錐テーパ面とすると好適である。 さらにまた、本考案の望ましい態様として、前記排出管が捕集蓋の外側に突出 するのみで、内側には突出していないか、少くとも捕集蓋の縁よりは突出してい ないものが挙げられる。
【0021】
【作用】 本考案の捕集器は気密手段を複数にしたものである。つまり、捕集瓶の密閉を ネジ嵌合のみに頼らず、別のシール面を設け、その面の圧着による密閉を第2の 密閉機能として追加した。 具体的には次の手段である。 (イ)例えば図7に示すように、捕集瓶の頭部81を上方に延長し、ネジを締め るとちょうど蓋の内側下面82に当るようにする手段。 (ロ)例えば図8〜図10のように、捕集瓶の頭部83に対し、蓋の内側下面の 対応位置にリング状の突起84、円柱状の突起85、もしくは円錐状の突起86 を設けて円錐テーパ面による圧着手段を設ける。この場合上記(イ)の手段より 密閉効果が安定している。なお、蓋と瓶の締め付け位置の多少のずれを考慮に入 れて、少なくとも一方、なるべく蓋側の接触面積を広くして余裕をもたせること が、好ましい。さらに捕集瓶頭部83に円錐テーパ面89を設け、蓋側の対応す る位置に設けた傾斜面90を89の傾斜より僅か急にしておくことが、圧着によ る密閉度向上策としてより好ましい手段である。 (ハ)例えば図11、図12のように、捕集瓶の頭部83に対し、蓋の内側下面 の対応位置に設けた円筒形の凹み87もしくは円柱形の凹み88に嵌めかつ押し 付ける手段。この場合円錐テーパ89、90を上記(ロ)と同様にするとよい。
【0022】 このような圧着構造により、ネジの締め付けにより密着が強化されると共に、 圧着力からの反作用により、ネジ部の気密性が向上するので、互いに他の密着度 を高め合うという好ましい構造になっている。 なお、図7ないし図12においては、替え蓋について示したが、捕集蓋につい ても、同形にして、同様の密閉機能を付与する。
【0023】 さらにまた、別の好ましい態様として、捕集瓶の排出管の、より好ましい構造 (捕集蓋内部への突き出しの程度)についても以下に説明する。 導入管、排出管を洗浄する場合、蓋の上面から及びこれと逆方向からの大量流 水による洗浄を行う。 この逆方向の流水の際に、排出管の捕集瓶内に突出する長さを捕集蓋の縁を越 えない短いものにしておくと、導入管の内外で大量に流す水が蓋の内側(ネジ部 等)も排出管内外も洗い流して出て行くので、導入管、排出管、別々の流水作業 を長々と繰り返す必要がなくなる。すなわち、導入管の洗浄のみですべてが済み 、洗浄時間を短縮することができ、また超純水の節約にもなる。さらに排出管が 蓋の内側には全く突出していない方が、洗浄効率が良い。また、個々の部品を繰 り返し洗浄した後、一つずつ組合わせる度に、外側を洗浄することを繰り返し、 最後に排出管に吸引用ホースをつないだ状態で導入管から注水し、瓶内の空気を 完全に追い出し、キャップで閉塞して、クリーンルーム内に保管する。この際も 、空気を追い出すためには、排出管が捕取蓋の内側に全く突出していない構造が 極めて有利になり、作業能率が向上する。
【0024】 一般的には、洗浄や運搬の操作の容易性という観点は、「容易ならより望まし い」という程度の僅かなメリットにすぎないことが多いが、本考案の対象のよう に超高純度の場合には、様相は一変する。例えば、汚れを恐れて捕集後の移送操 作も全て極めて慎重に、クリーンにという注意深い操作を要求されると、特別の 移送用具・装置の工夫が必要になり能率低下を来すことはもちろん、精神的、肉 体的にも非常に疲れる。その状態では、単に能率や精神的疲労の問題にとどまら ず、多数回の繰り返し中には、時折不適切な操作が入ることが避けられない。こ の種のミスはそのほとんどが不純物の分析値の高い方に誤差を生ずるので、分析 精度が悪い方にばらつくことになる。操作の手間、使用器具の部品が1つ増す後 に汚染の機会が大幅に増すということが、比喩でなく、真実になっている。この ような極微量分析の領域では、操作性の改善は、一面では極めて困難な、反面で は極めて有意義な成果なのである。
【0025】 以上の説明において、好適条件として捕集瓶の上端面と蓋の対応する部分の圧 着密閉について説明したが、この機能は必ずしも捕集瓶の上端面に限られるもの でではなく、捕取瓶ネジ上方あるいは下方の側壁と蓋との間に適宜のテーパを設 けて密着密閉構造を形成する等の構造も可能で、要するにネジの噛み合い密閉機 能に他の圧着方式の密閉機能を1段以上重畳させ、ネジ締め力を利用した複数段 の密閉機構を設けることが本考案の基本思想である。捕集瓶の上端における圧着 機構は、そのうち、作成容易で効果が確実な、有利な態様のひとつである。
【0026】 なお、ネジ部は、円滑かつ確実な噛み合い気密化のためには円形断面が必須で あるが、他の部分、例えば捕集瓶本体、蓋の外部形状等は、必ずしも円形断面で ある必要はない。一般には、円形断面の方が製作が容易で、洗浄も容易である等 のメリットがあり、また、円形断面の捕集器が有利であるが、例えば捕集瓶の内 面は洗浄性を考慮して円形断面とし、捕集瓶の外側断面は、転がりにくく、積み 重ね易い多角形(6角形、8角形等)にする等の工夫も適宜応用できる変形にす ぎず、本考案の範囲を逸脱するものではない。
【0027】 また、圧着密閉するための捕集瓶頭部や蓋の内側下面の円筒状、その他の形状 として例示した部分についても、多くの場合、円形断面の方が構造が簡単で作成 、使用の便が優れているが、必ずしも円形断面に限定されないことは同様である 。
【0028】
【実施例】
PP樹脂製の、本考案の特に好適な捕集器を用い、クラス1のクリーンルーム の空気に関する不純物捕集・分析を行った。その捕集器の概要を図1に示す。図 1(a)は、上部に雄ネジ91を有する捕集瓶92の立面図、(b)はその平面 図、(c)は雌ネジ93導入管94及び排出管95を有する捕集蓋96の立面図 、(d)はその平面図、(e)は雌ネジ97を有する替え蓋98の立面図、(f )はその平面図である。
【0029】 捕集瓶と替え蓋とのネジの噛み合い密着部付近の構造は、図8の形を採用した 。捕集蓋についても同じ形式の噛み合い密着構造を採用した。比較のため、石英 硝子製で、捕集瓶66と捕集瓶67との接触部として透明摺り合わせ部68を有 する、図13に示す捕集器を用いて、同時に実験を行った。 実験条件は次の通りである。
【0030】 捕集液(溶媒):超純水、80ml 捕集気体 :室内空気、1.8〜1.9m3 捕集瓶の接続 :3個の捕集瓶を直列に接続(第1の捕集瓶の排出管と第2 の捕集瓶の導入管とをつなぐ、以下同様)し、3個別々に分析した値の和をもっ て、空気中の不純物分析値とした。
【0031】 表1は、本考案の実施例と比較例を示すもので、同一クリーンルームの中で、 捕集瓶の違いと、表2に示す実施日、ルーム内の場所の違い以外は同一条件で実 施した。 分析結果は全て1ng/lを大幅に下回ったが表1の本考案の捕集器による実 施例Aの結果を各成分毎に1として、相対比で分析結果を示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】 表3には、同一条件における分析値について、比較例の実施例に対する比を示 したが、ばらつきとは言えない2〜7倍という大きな違いもみられ、分析値の高 過ぎる側へのばらつきは、比較例においてかなり頻出していることが一目瞭然で ある。この種の微量分析で時折発生する異常に大きなばらつきは、過大分析値と して現れる傾向がある。前記のように本考案の装置は、汚れ誤差を減らすような 諸改善を逐次積み重ねてきた成果が総合的にこのような差として現れたものであ る。
【0036】 なお、このように密閉性が向上すると、いったん替え蓋によって密閉した後は 、外部汚染されにくい構造であるため、移送容器としての捕集瓶の汚染に関して 信頼性が高い。例えば比較例の場合は洗浄した特別の容器に入れて台車を静かに 押し、段差のあるところでは台車を持ち上げて運ぶ必要があったが、本考案の捕 集瓶では、手袋でつかんで運ぶことができる。このように取扱操作性の格段の向 上という、期待を大幅に越える成果が付随的に得られた。極微量分析の世界での 操作性の向上の効果は極めて大きい。
【0037】 実施例における本考案と比較例との分析精度の差には、放置時間による吸収汚 染の他にも、各種の汚染原因が影響しており、これを個別に定量的に評価するこ とはできないが、総合効果として、本考案の捕集器は極めて高度の汚染防止機能 を発揮していることが明らかである。
【0038】
【考案の効果】
以上の説明から明らかなように、本考案の捕集器を用いれば、クラスlレベル のような超高純度空気の中に1ng/lよりはるかに低い濃度で含まれる極微量 の塵埃、ミスト、その他の不純成分を超純水中に捕集し、再汚染することなく、 遠隔の分析室に運搬し、精度良く、安定的に再現性の良い分析が可能になる。
【0039】 また、構造、操作とも簡単で、洗浄を要する器具部品も少ないので、超純度レ ベルの不純物分析に極めて適している。特に操作の容易性は、このような超微量 分析においては、分析の信頼性にも大きく影響するので、本考案の重要な利点の 一つをなすものである。 また、安価なPP樹脂を用いても十分な効果が得られるので、本考案は必ずし も超極微量分析向けのみならず、より高濃度の分析にも当然使用することができ 、利用範囲が広いので、大量生産によるコストダウンも期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の捕集器の構造概要を示す図であって、
図1(a)は捕集瓶の立面図、(b)はその平面図、
(c)は捕集蓋の立面図、(d)はその平面図、(e)
は、替え蓋の立面図、(f)はその平面図である。
【図2】ゴム製捕集蓋を用いた従来のガラス製捕集瓶の
斜視図である。
【図3】摺り合わせ部を有する従来技術の硝子製捕集器
の中心断面立面図である。
【図4】摺り合わせ部を有する従来技術の硝子製捕集器
の中心断面立面図である。
【図5】本考案に至る直前に工夫した捕集瓶と捕集蓋の
組立立面図である。
【図6】図5の捕集器用の替え蓋と捕集瓶の組立立面図
である。
【図7】本考案の一例の捕集瓶上部と替え蓋の中心断面
立面図である。
【図8】本考案の別の例の捕集瓶上部と替え蓋の中心断
面立面図である。
【図9】本考案のまた別の例の捕集瓶上部と替え蓋の中
心断面立面図である。
【図10】本考案のさらに別の例の捕集瓶上部と替え蓋
の中心断面立面図である。
【図11】本考案のまた別の例の捕集瓶上部と替え蓋の
中心断面立面図である。
【図12】本考案のさらに別の例の捕集瓶上部と替え蓋
の中心断面立面図である。
【図13】比較例として用いた従来の捕集器の中心断面
立面図である。
【符号の説明】
51 捕集瓶 52 溶媒 53 ゴム栓 54 導入管 55 排出管 60 摺り合わせ 61 摺り合わせ 62 捕集瓶の注出口 63 摺り合わせ部の大気接触部 64 捕集蓋 66 捕集瓶 67 ガラス製捕集蓋 68 摺り合わせ 70 捕集瓶 71 捕集蓋 72 ネジ部 73 導入管 74 排出管 75 替え蓋 81 捕集瓶頭部 82 替え蓋の内部下面 83 捕集瓶頭部 84 円筒状突起 85 円柱状突起 86 円錐台状突起 87 円筒状の凹み 88 円柱状の凹み 89 円錐テーパ面 90 円錐テーパ面 91 雄ネジ 92 捕集瓶 93 雌ネジ 94 導入管 95 排出管 96 捕集蓋 97 雌ネジ 98 替え蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 伊東 紘一 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社第3別館内 (72)考案者 岩瀬 和哉 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社第3別館内 (72)考案者 日高 茂 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社東京本社内 (72)考案者 萱野 朋生 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社東京本社内 (72)考案者 竹村 真人 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社東京本社内

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体中の極微量不純成分の捕集分析用捕
    集器であって、開口部外径に雄ネジを備えた樹脂製捕集
    瓶と、該雄ネジに気密嵌合する雌ネジを有し気体の導入
    管及び排出管を備えた樹脂製捕集蓋と、前記雄ネジに気
    密嵌合する雌ネジを有する樹脂製替え蓋とからなり、前
    記各蓋及び前記捕集瓶は、螺合したとき互いに圧着する
    シール面を有し、前記各蓋又は前記捕集瓶の少くとも一
    方は、シール面が気密性を保つ弾力性を有する樹脂素材
    からなることを特徴とする気体中成分の捕集器。
  2. 【請求項2】 前記シール面は、一方又は双方が円錐テ
    ーパ面であることを特徴とする請求項1記載の気体中成
    分の捕集器。
JP8795992U 1992-12-22 1992-12-22 気体中成分の捕集器 Withdrawn JPH0651855U (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016521847A (ja) * 2013-05-29 2016-07-25 プロフタガレン アクチエボラグProvtagaren Ab 流体密封的にシール可能なサンプリング装置

Cited By (1)

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JP2016521847A (ja) * 2013-05-29 2016-07-25 プロフタガレン アクチエボラグProvtagaren Ab 流体密封的にシール可能なサンプリング装置

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