JPH0651785A - 車室内騒音の低減装置 - Google Patents

車室内騒音の低減装置

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JPH0651785A
JPH0651785A JP4204961A JP20496192A JPH0651785A JP H0651785 A JPH0651785 A JP H0651785A JP 4204961 A JP4204961 A JP 4204961A JP 20496192 A JP20496192 A JP 20496192A JP H0651785 A JPH0651785 A JP H0651785A
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JP
Japan
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microphone
passenger
seat
speakers
control system
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JP4204961A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Idonuma
秀之 井戸沼
Masahiro Nakamura
政弘 中村
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車等の車室内の低周波の騒音をアクティ
ブに低減する装置に用いる車室内騒音の低減装置に関
し、乗員が居ない所の制御は行わずに乗員が居る領域の
騒音低減量を向上させる。 【構成】 乗員の乗車位置を検出してその乗車位置のマ
イク出力のみを選択し、各制御系において選択したマイ
クと全てのスピーカとの組合せについて予め求めた空間
伝達特性を用いて互いに実質的に独立した音響空間を形
成する各制御系内の全スピーカの出力制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車室内騒音の低減装置に
関し、特に自動車等の車室内の低周波の騒音をアクティ
ブに低減(Active Noise Control)する装置に用いる車室
内騒音の低減装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車室内の騒音は、広閉空間を
形成する車室が一定の条件下で共振現象を起こすことに
因るものであり、その原因たる起振力は騒音源であるエ
ンジンの爆発による回転次数成分等によるものと考えら
れており、このような車室内騒音を適応的に低減しよう
とする試みが最近なされており、その一例が図7に示さ
れている。
【0003】図において、1は自動車等の車両、10は
車両1内の車室、11はエンジン、12はエンジン11
の回転に同期した基準信号を検出する手段としてのエン
ジン振動センサ又はエンジン回転数センサ、13は車室
10内の騒音レベルを検出するマイク、14は騒音を減
少させる音を発生するスピーカ、そして、15は車室1
0内のシートである。
【0004】また、2は、車両1内に設置されセンサ1
2及びマイク13の出力によりエンジンの振動で励起さ
れる車体の振動系を含む車室内空間伝達系の伝達特性の
逆伝達特性を同定するコントローラで、センサ12のア
ナログ出力をディジタル出力に変換するA/D変換器2
1と、このA/D変換器21のディジタル出力信号に対
して予め測定したスピーカ−マイク間の空間伝達特性G
Dを与えるフィルタ22と、このフィルタ22の出力信
号を基準信号として入力する適応フィルタ23と、適応
フィルタ23の出力信号をアナログ信号に変換するD/
A変換器24と、このアナログ信号をオン/オフするス
イッチ25と、このスイッチ25の出力信号を増幅して
スピーカ14に与える電力増幅器26と、マイク13の
アナログ出力をディジタル信号に変換して適応フィルタ
22に制御信号として与えるA/D変換器27と、ホワ
イトノイズ源31と、このホワイトノイズ源27からの
ホワイトノイズをオン/オフするスイッチ32と、スイ
ッチ32からのディジタル信号をアナログ信号に変換し
て電力増幅器26を介してスピーカ14に与えるD/A
変換器34と、キースイッチ16のオン/オフに基づい
てスイッチ25,32を制御するタイマ35とで構成さ
れている。
【0005】このような図7の構成の動作においては、
図8の初期設定同定モードと図9の通常同定モードとに
分けることができ、キースイッチ16がオンになるとタ
イマ35が一定期間だけスイッチ32をオンにすると共
にスイッチ25をオフにして図8の初期同定モードに入
り、この一定期間が経過した後は最新の適応フィルタ3
3のタップ係数をフィルタ22に空間伝達関数GDとし
て複写すると共にタイマ35が今度はスイッチ32をオ
フにし且つスイッチ25をオンにすることにより図9の
通常同定モードに移行する。
【0006】まず図8の初期同定モードについて説明す
ると、車両環境で気圧・気温・湿度等が異なっており、
それぞれのスピーカ−マイク間の伝達遅れを考慮しない
と制御不能もしくは動作が不安定となり収束時間が遅れ
残留騒音の低減効果が悪くなってしまうので、スピーカ
−マイク間の空間伝達特性(音響特性)GDを求めるた
め、図8に示したシステムでは、エンジン11からの振
動成分を用いず、その代わりにコントローラ2中に設け
たホワイトノイズ(乱数列)源31から発生されるディ
ジタル信号のホワイトノイズをD/A変換器34と増幅
器26とによりアナログ信号に変換してスピーカ14か
ら出力し、このホワイトノイズ信号を車室10を経由し
てマイク13で拾い、A/D変換器25でディジタル信
号に変換してホワイトノイズを受けている適応フィルタ
33を制御する。
【0007】図10には、上記の適応フィルタ33の構
成例が示されており、この場合の適応アルゴリズムとし
ては周知の最急降下法や、学習同定法や、LMS法等が
挙げられるが、LMS法を用いると次のようになる。
【0008】即ち、Z-1は入力信号X(n) を各サンプル
毎に遅延させるための遅延素子を示し、h(0) 〜h(n-
1) は各遅延素子Z-1の出力信号に対して乗算するため
のフィルタ(タップ)係数であり、各フィルタ係数はL
MSアルゴリズム、即ち、 h(n+1)=h(n) +2μe(n) X(n) に従ってサンプル毎に更新される。但し、n=0…i,
μは上述したステップサイズであり、この場合のステッ
プサイズμを選択することにより、フィルタ係数を各サ
ンプルの入力信号X(n) に掛け且つ加算するという畳み
込み演算を行うことによりスピーカ14への出力信号y
(n) が求められる。
【0009】そして、このスピーカ出力y(n) を、車室
10を経由してマイク13に伝達することによりマイク
13からは車室10によって減衰された成分Y(n) だけ
減少した誤差成分e(n) =Y(n) −y(n) が発生され、
これをLMSアルゴリズムによりマイク出力e(n) を最
小値に収束させるようにフィルタ係数をサンプル毎に更
新すれば、車室内空間伝達系の特性GDを同定すること
ができる。
【0010】このようにして車室内空間伝達系の特性G
Dを実際に測定して得たので、図9に示す通常同定モー
ドの適応制御では、スピーカ14からマイク13までの
空間伝達特性GDとエンジンマウントからスピーカ14
までの伝達系の伝達特性GCとから成るエンジンマウン
トからマイク13までの伝達特性GPはGP=GD+G
Cとなり、従ってタイマ35で設定された一定時間が経
過した後は残りの伝達特性GCのみを図9における適応
フィルタ23で同定することになる。
【0011】尚、この図9の適応制御の場合には、入力
信号は振動センサ12からのエンジン振動成分X(n) と
なり、成分Y(n) は座席における乗員の耳元騒音に対応
することとなる。
【0012】このようにして、予め測定したスピーカ−
マイク間の空間伝達特性GDのフィルタ22は適応フィ
ルタ33で求めたフィルタ係数h1…hnが与えられる
ことにより図11に示すようなフィルタ構成となり、こ
れを適応フィルタ23の前に挿入することにより、スピ
ーカ−マイク間の伝達遅れを考慮した形で最初から適応
制御を施すことができ、エンジン回転数変化に伴う周波
数変化に追従し、エンジン振動から車室内騒音となる振
動伝達系の特性変化に追従し、更には乗員の人数によっ
て変化する伝達特性に追従することとなり、収束度が向
上し、残留騒音の低減効果も向上する。
【0013】一方、乗用車等の車室内では、騒音を低減
させたい制御(評価)ポイントは上記のように一点だけ
では無く多点に及び、また各制御ポイントにおける音圧
レベル(大きさ)もそれぞれ異なっており騒音源である
エンジン回転によって周波数も変化する。
【0014】このような観点から、マイクとスピーカを
複数個組み合わせた種々の従来技術が提案されており、
例えば特開平3-203490号においては図12に概略的に示
すように、前部座席(以下、前席と言う)15A付近に
マイク13a〜13dを設置し、後部座席(以下、後席
と言う)15B付近にマイク13e〜13hを設置する
と共に、車室10の前部にスピーカ14a及び14bを
設置し、後部にスピーカ14c及び14dを設置してい
る。
【0015】そして、これらのマイク13a〜13fの
出力信号に基づいてスピーカ14a〜14dの出力制御
を行うコントローラ2を設けている。このコントローラ
2は図示していないが、エンジンの回転に同期した基準
信号を検出する手段としての振動センサの出力信号を受
け、更に車室内の前席15Aの側に設けたマイク13a
〜13dからの情報の2乗和と後席15Bの側に設けた
マイク13e〜13hからの情報の2乗和と、その差に
より1つのコントローラ2が4つのスピーカ14a〜1
4dの出力を制御している。
【0016】しかしながら、このような複数のスピーカ
とマイクとを組み合わせた場合には、各スピーカから各
マイクの制御ポイントまでの音響パスは図12の例にお
いて全ての組合せについて形成されるが、これらの音響
パスの内、特に点線で示すように例えば前席側のスピー
カ14a,14bから後席側マイク13e〜13hの各
出力を同時制御するときに形成されるパスの場合、前部
運転座席のドライバは例えば図13に示すようにスピー
カ14aからマイク13fへの制御音響パスの丁度中間
に位置するため、エンジンからの騒音とスピーカ14a
からの制御音(打ち消し音)との音波の干渉結果を聞く
のでは無く、スピーカ14aからの制御音を直接観測し
てしまい、無制御時に比べて悪化してしまうという問題
点があった。
【0017】そこで本発明者を含む特願平4-50349 号に
おいては、車室内のどのマイクポイントでも騒音と制御
音との干渉が最適に行われることを目的として、図14
に示すように、複数のスピーカと複数のマイクと一つの
適応型コントローラとを組み合わせて車室内で分割され
た互いに実質的に独立した複数の音響空間に対する制御
系を構成している。
【0018】即ち、この特願平4-50349 号と図12に示
した従来例との相違点は、前席15A側マイク13a〜
13dと前席15A側スピーカ14a,14bとコント
ローラ2Aとを組合せ、これらによって前席15Aの独
立した音響制御系を形成し、後席15B側マイク13e
〜13hと後席15B側スピーカ14c,14dとコン
トローラ2Bとを組合せ、これらによって後席15Bの
独立した音響制御系を形成した点である。
【0019】従って、前席15Aの制御系では、点線で
図示するようにスピーカ14a,14bからマイク13
a〜13dに対してこれらの制御ポイントでの音響的干
渉効果が最大となるように振動センサ(図示せず)の出
力信号を受けて、コントローラ2Aが制御を行う。ま
た、後席15Bの制御系では、点線で図示するようにス
ピーカ14c,14dからマイク13e〜13hに対し
てこれらの制御ポイントでの音響的干渉効果が最大とな
るように、やはり振動センサの出力信号を受けてコント
ローラ2Bが制御を行う。
【0020】そして、特にスピーカ14a〜14dは図
15にも示すように、座席前部の車両床部分又はドア部
分に設け且つ前席側スピーカ14a,14bはマイク1
3a〜13dに向けて設置し、後席側スピーカ14c,
14dはマイク13e〜13hに向けて設置することに
より、前席空間と後席空間とが物理的にも独立性が高く
なり、制御ポイントでの音響的干渉効果が最適となる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】このような特願平4-50
349 号の場合には、例えば後席に人が乗車していなくて
も後席の制御を行うと、人が乗車している前席の騒音低
減量が、後席を制御しない場合に比べて小さくなってし
まうと共に、このように人が乗車しないエリアを制御す
るエネルギーが無駄であるという問題点があった。
【0022】従って本発明は、上記のようにエンジンの
振動に同期した基準信号を検出し、車室内に複数のスピ
ーカと複数のマイクを設け、ホワイトノイズにより予め
測定されたスピーカ−マイク間の空間伝達特性を用いて
該基準信号により車体の振動系の各マイクまでの伝達特
性の逆伝達特性を同定し各マイクの入力が最小になるよ
うに適応型コントローラが該スピーカの出力を制御する
と共に複数のスピーカと複数のマイクと一つの適応型コ
ントローラとを組み合わせて該車室内で分割された互い
に実質的に独立した複数の音響空間に対する制御系を構
成した車室内騒音の低減装置において、乗員が居ない所
の制御は行わずに乗員が居る領域の騒音低減量を向上さ
せることを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る車室内騒音の低減装置は、乗員の乗車
位置を検出する手段と、乗員が検出された乗車位置のマ
イクのみを選択するマイク選択部とを設け、各制御系に
おける全てのスピーカとマイクの組合せについて予め求
めた空間伝達特性を該コントローラに記憶しておき該マ
イク選択部の出力信号と該基準信号とにより各制御系内
の全スピーカの出力制御を行うことを特徴としたもので
ある。
【0024】
【作用】本発明においては先ず乗員の乗車位置を検出す
る手段によって乗員の乗車位置が検出されると、この検
出結果を受けたマイク選択部は乗員が存在していないと
ころのマイクの出力信号は必要ないので乗員が存在して
いるところのマイクの出力信号のみを選択してコントロ
ーラに与える。
【0025】このようにマイク選択部から必要なマイク
出力信号のみを受けたコントローラは基準信号との演算
を行って各制御系における全てのスピーカの出力制御を
実行する。
【0026】この場合、コントローラは車室内で分割さ
れた互いに実質的に独立した複数の音響空間に対する各
制御系に対応して設けられており、この各制御系のコン
トローラには各制御系における全てのスピーカとマイク
の組合せについて空間伝達特性を予め求めて記憶してお
くので、マイク選択部からのマイク出力信号に応じて必
要な空間伝達特性を用いてこれと基準信号との演算によ
り上記のように各制御系内の全てのスピーカの出力制御
を行っている。
【0027】このようにして本発明では乗員の存在が検
出されたところのみ騒音低減の制御が実行されることと
なり、騒音低減制御が最も効率的に行われるため、騒音
低減量(消音量)を向上させることが出来る。
【0028】
【実施例】図1は本発明に係る車室内騒音の低減装置の
システム概要を示したもので、この実施例では図14と
同様に車室10を互いに実質的に独立した音響空間とし
ての2つの制御系である前席制御系Ftと後席制御系R
rとに分割しており、前席制御系Ftにおいては2つの
スピーカSP1,SP2と2つのマイクMIC1,MI
C2とを含んでおり、また後席制御系Rrも同様に2つ
のスピーカSP3,SP4と2つのマイクMIC3,M
IC4とを含んでいる。
【0029】そしてこれらの制御系Ft及びRrはやは
り図14と同様にコントローラ2に含まれる前席コント
ローラ2Aと後席コントローラ2Bとにそれぞれマイク
選択部40を経由して接続されている。
【0030】マイク選択部40は後述する乗員位置セン
サからの出力信号を受けて制御系Ft及びRrにおける
マイクMIC1,MIC2及びMIC3,MIC4の出
力信号を適宜選択し、前席コントローラ2A又は後席コ
ントローラ2Bにマイク信号Ft・RH(右側前席),
Ft・LH(左側前席),Rr・RH(右側後席),R
r・LH(左側後席)を与えるようになっている。尚、
コントローラ2には図7に示したエンジン振動センサ1
2からの基準信号が与えられている。
【0031】図2及び図3は乗員の乗車位置を検出する
手段としての乗員位置センサの実施例を示したもので、
図2はシートベルトスイッチによる乗員検出の例を示し
ており、図3はドアスイッチによる乗員検出の例を示し
ている。
【0032】まず図2に示したシートベルトスイッチの
場合は、従来から用いられているシートベルト61の先
端に設けられた金属部62を、同図(a) に示す未装着状
態(OFF)においては、反対側のシートベルトのバッ
クル(受金具)63内にバネ64によって結合されたリ
ミットスイッチ65を設けている。また、同図(b) に示
すような装着状態(ON)においてはバネ64の反発力
に抗してシートベルト61の金属部62が接点65を接
触させるので、乗員が存在している信号を発生してマイ
ク選択部40に与えることが出来る。
【0033】図3に示すドアスイッチの場合には、同図
(a) に示すようにドアパット71の車室内側に通常設け
られているドアインサイドハンドル72の内部に同図
(b) に示すようにドアインサイドスイッチ73を設けた
ものであり、乗員が車室内からドアを閉めるときにドア
インサイドハンドル72を握ることとなるので、このと
きにONとなり、乗員の乗車を知らせることが出来る。
従って、荷物等を乗せるときにはドアインサイドスイッ
チ73が握られないので乗員の乗車とは判定されないこ
ととなる。
【0034】この他、簡易な方法として、各ドアに付い
ているドアスイッチ(リミットスイッチ)からの信号を
利用してドアが開いているときをONとし、閉じている
ときをOFFとして乗員の乗車位置を判定することも出
来る。
【0035】次に図1に示した本発明の実施例の動作を
説明すると、先ずエンジン始動後、マイク選択部40は
図2及び図3にそれぞれ示したシートベルトスイッチ又
はドアスイッチ等の乗員位置センサより乗員の位置を検
出する。尚、この際、シートベルトの装着等が遅れる場
合もあるので、エンジン始動後の一定期間はシートベル
トの装着確認保護期間として設定することが好ましい。
【0036】このようにしてマイク選択部40が乗員位
置センサの出力信号から例えば全ての座席に乗員が乗車
していると判定されたときには、マイク選択部40は全
てのマイク出力信号Ft・RH〜Rr・LHを選択して
出力し、それぞれ前席コントローラ2A及び後席コント
ローラ2Bに与える。即ち、乗員が検出された乗車位置
のマイク出力を選択してそれぞれの制御系のコントロー
ラに与えるようにしている。
【0037】このようにして入力信号を受ける前席コン
トローラ2A及び後席コントローラ2Bはそれぞれスピ
ーカSP1,SP2及びSP3,SP4の出力を制御す
るが、図4にはこれらの全ての組合わせにおける前席コ
ントローラ2Aの適応制御の状態が示されており、これ
について以下に説明する。
【0038】先ず前席制御系Ftにおいては、2つのス
ピーカSP1,SP2と2つのマイクMIC1,MIC
2との全ての組合せにより図示の如く4つの空間伝達特
性GD11,GD12,GD21,GD22が図8に示したよう
な初期同定モードにより同定することが出来、これらの
空間伝達特性GD11〜GD22を予めコントローラ2Aの
演算部50に格納しておく。そして、この演算部50で
は、空間伝達特性GD 11〜GD22とセンサ12(図7参
照)からのエンジン振動成分X(n) との畳み込み演算を
行ってその値R11〜R22=X(n) *GD22を出力する。
【0039】そしてマルチチャネル演算部51では、こ
れらの演算値R11〜R22とマイクMIC1,MIC2の
各出力信号にステップサイズ2μを乗じた値とのマトリ
ックス演算を行ってタップ係数H1 ,H2 を求め、2つ
のスピーカSP1,SP2に対して制御信号を与え、2
つのスピーカと2つのマイクとを組合せた適応制御を行
って各スピーカSP1,SP2の入力レベルを最小にさ
せている。
【0040】一方、例えばドライバ席(Ft・RH)と
後部の右側座席(Rr・RH)にしか乗員が乗車してお
らず、前席制御系においてはドライバ席にしか乗員がい
ないときには、マイクMIC2の出力信号は点線で示す
ようにマルチチャネル演算部51には入力されず、また
このマイクMIC2と関わっている空間伝達特性GD 12
及びGD22もコントローラ2Aには必要無いので点線で
示すように空間伝達特性GD12及びGD22によるマトリ
ックス演算値R12及びR22はマルチチャネル演算部51
では演算に使用されない。
【0041】従ってマルチチャネル演算部51は空間伝
達特性GD11及びGD12とマイクMIC1からの出力信
号Ft・RHに基づいてタップ係数H1,H2 を更新し
スピーカSP1及びSP2の出力が最小となるように適
応制御を行うこととなる。
【0042】このようにして前席コントローラ2Aによ
る前席制御系Ftに対する適応制御が行われるが、この
前席と独立した音響空間を構成した後席の制御系に対し
ても、後部の右側座席(Rr・RH)にしか乗員が乗車
していないことに鑑み後席コントローラ2BがマイクM
IC3とスピーカSP3,SP4との組合せによる適応
制御を行うこととなる。
【0043】このような前席制御系Ft及び後席制御系
の制御状態が図1の実線で示されており、点線の制御ル
ートは働かないこととなる。
【0044】尚、ドライバ席には必ず乗員が存在してい
ることが前提となるが、後席には乗員が誰もいないこと
があり得るので、このときには後席に対する適応制御は
行われないこととなる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る車室内
騒音の低減装置によれば、乗員の乗車位置を検出してそ
の乗車位置のマイク出力のみを選択し、各制御系におい
て選択したマイクと全てのスピーカとの組合せについて
予め求めた空間伝達特性を用いて各制御系内の全スピー
カの出力制御を行うように構成したので、車室内で分割
された互いに独立した音響空間の制御系において乗員が
存在する位置に対してのみ騒音低減の制御を行うことと
なり騒音低減効率が良くなる。
【0046】即ち、図5に示すような余分な適応制御を
する従来の場合(前席制御系においてドライバ席のみ乗
車時に助手席も適応制御をかけた場合)と比べて、本発
明によれば図6に示すように前席制御系においてドライ
バ席のみ乗車時に助手席は適応制御をかけない場合は騒
音低減量が大きくすることができると共に、乗員のいな
いエリアを制御するエネルギーの無駄を省くことが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車室内騒音の低減装置のシステム
概要を示したブロック図である。
【図2】本発明に用いる乗員の乗車位置を検出する手段
としてのシートベルトスイッチを示した図である。
【図3】本発明に用いる乗員の乗車位置を検出する手段
としてのドアスイッチを示した図である。
【図4】複数の空間伝達特性による適応制御例を示した
ブロック図である。
【図5】本発明において前席制御系のドライバ席のみ乗
車時に助手席も適応制御をかけた場合の騒音低減特性を
示したグラフ図である。
【図6】本発明においてドライバ席のみ乗車時に助手席
は適応制御をかけない場合の騒音低減特性を示したグラ
フ図である。
【図7】従来の車室内騒音の低減装置の構成例を示した
ブロック図である。
【図8】初期同定モードにおいてスピーカ−マイク間の
空間伝達特性を測定するための構成を示すブロック図で
ある。
【図9】通常同定モードにおいて車体の振動系を含めた
車室内空間伝達系の伝達特性に対する逆伝達特性を測定
するための構成を示すブロック図である。
【図10】本発明及び従来例における車室内騒音の低減
装置に用いられる適応フィルタの構成を示したブロック
図である。
【図11】初期同定によって得られたフィルタ係数を有
するフィルタの構成を示したブロック図である。
【図12】特開平3-203490号に示された従来例を概略的
に示したブロック図である。
【図13】特開平3-203490号の欠点を説明するための概
略図である。
【図14】特願平4-50349 号に示された従来例を示した
ブロック図である。
【図15】特願平4-50349 号の制御状態を示した図であ
る。
【符号の説明】
1 車両 2(2A,2B) コントローラ 10 車室 11 エンジン 12 エンジン振動センサ(エンジン回転数センサ) MIC1〜MIC4 マイク SP1〜SP4 スピーカ Ft 前席制御系 Rr 後席制御系 22 フィルタ 23,33 適応フィルタ GD11〜GD44 空間伝達特性 40 マイク選択部 図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの振動に同期した基準信号を検
    出し、車室内に複数のスピーカと複数のマイクを設け、
    ホワイトノイズにより予め測定されたスピーカ−マイク
    間の空間伝達特性を用いて該基準信号により車体の振動
    系の各マイクまでの伝達特性の逆伝達特性を同定し各マ
    イクの入力が最小になるように適応型コントローラが該
    スピーカの出力を制御すると共に複数のスピーカと複数
    のマイクと一つの適応型コントローラとを組み合わせて
    該車室内で分割された互いに実質的に独立した複数の音
    響空間に対する制御系を構成した車室内騒音の低減装置
    において、 乗員の乗車位置を検出する手段と、乗員が検出された乗
    車位置のマイクのみを選択するマイク選択部とを設け、
    各制御系における全てのスピーカとマイクの組合せにつ
    いて予め求めた空間伝達特性を該コントローラに記憶し
    ておき該マイク選択部の出力信号と該基準信号とにより
    各制御系内の全スピーカの出力制御を行うことを特徴と
    した車室内騒音の低減装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006009568A1 (de) * 2006-02-28 2007-03-08 Daimlerchrysler Ag Verteiltes Akustiksystem im Fahrzeug mit sitzplatzindividueller Aktivierung
US8284042B2 (en) 2009-09-28 2012-10-09 Ford Global Technologies, Llc System and method of vehicle passenger detection for rear seating rows
US8284041B2 (en) 2009-09-28 2012-10-09 Ford Global Technologies, Llc Method and apparatus for in-vehicle presence detection and driver alerting

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