JPH0651196B2 - 水処理剤 - Google Patents

水処理剤

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JPH0651196B2
JPH0651196B2 JP19304186A JP19304186A JPH0651196B2 JP H0651196 B2 JPH0651196 B2 JP H0651196B2 JP 19304186 A JP19304186 A JP 19304186A JP 19304186 A JP19304186 A JP 19304186A JP H0651196 B2 JPH0651196 B2 JP H0651196B2
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正弘 小林
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は水処理剤に関するものであり、さらに詳しくは
スケール防止能や脱酸素能を有する水溶性ポリマーを含
有する水処理剤に関する。
(従来の技術) 一般に天然水は重炭酸カルシウムとしてカルシウムイオ
ンを溶解しているが、このような水から、例えば加熱、
通気によつて炭酸ガスが遊離したり、あるいはアルカリ
の添加によつてpHが高くなると、カルシウムイオンが難
溶性の炭酸カルシウムを形成して沈殿する。もちろん炭
酸カルシウムの形成は、必ずしも重炭酸カルシウムに限
らずカルシウムの他の塩、例えば塩化カルシウムに炭酸
ナトリウムが添加されたような場合にも当然誘起され
る。しかして、この炭酸カルシウムが水系の表面に沈積
し、スケールを形成すると、熱伝導を妨げ、流体の流れ
を妨害し、腐蝕の促進またバクテリアの巣ともなる。そ
のため、これを定期的に洗浄、除去しながら水系を運転
することが要求されるわけであるが、これに要する費
用、装置に併なる経済的損失などは多大なものであり、
重大な問題となつている。一方、硫酸カルシウムのスケ
ールは、例えば海水の脱塩処理におけるごとく海水に硫
酸を添加して、加熱濃縮する場合などのようにカルシウ
ムイオンと硫酸イオンとが存在する水を濃縮するとき加
熱面に発生する。これは硫酸カルシウムの溶解度が温度
に対して負の係数をもつためである。更に油井にみられ
る硫酸バリウムや海水の加熱時にみられる水酸化マグネ
シウムなどのスケールも前記炭酸カルシウムのスケール
と同様に甚大な経済的損失を与える。このようなスケー
ルの発生を防止するため、従来は無機ポリリン酸塩類、
ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド類等が有効かつ経
済的なスケール防止剤として使用されている。
又、前記した水は全て溶存酸素を含んでおり、この酸素
による金属の腐蝕の問題も極めて重大であり、装置自体
の腐蝕は言うまでもなく水系にサビの混入さえ生じさせ
る。更に、この腐蝕はボイラーなどの加圧容器の場合は
破裂事故の原因ともなり得る。これらの腐蝕原因となる
溶存酸素の除去のために従来から種々の物理的又は化学
的方法が採用されてきた。化学的手段として最も広く採
用されているものはヒドラジンを用いる方法である。
上記した従来の技術のうち、スケール防止を目的として
無機ポリリン酸塩類を用いる場合には、高温にさらされ
る水系において加水分解してしまい、スケール防止能が
著しく低下してしまう。またポリアクリル酸やポリアク
リルアミド類についても無機ポリリン酸塩の欠点を改良
したものであるが、スケール防止効果が十分でなく、更
に性能が優れているといわれるポリアクリル酸でさえ
も、水中でカルシウムイオンと結合して濁りを生じ、長
時間のうちにはフロツクを形成して水系に沈殿するとい
う欠点を有している。またこれらは一般に加熱や濃縮に
よつて生成する硫酸カルシウムのスケールに対しては防
止効果が充分ではない。
一方、脱酸素剤として使用されるヒドラジンについては
ヒドラジン濃度が低くなるにつれてヒドラジンと溶存酸
素の反応が遅く、特に30℃以下では満足しうる効果は得
られなく、そのため内燃機関、冷凍機の冷却系統などの
低温の液体を取り扱う機器類に対する利用が困難である
こと、また、ヒドラジン自体が非常に化学的に活性であ
り、さらに取り扱いに充分な注意を必要とすることなど
があげられる。
(問題点を解決するための手段) 本発明の目的は硬水からの炭酸カルシウムのスケールの
生成を極めて有効に防止しうるばかりでなく、硬質の硫
酸カルシウムのスケールの生成をも極めて効果的に防止
し得る水処理剤を提供することにある。
また本発明の目的は水柱の溶存酸素除去に効果があり、
装置の腐蝕をも防止できる性質を合せ有する水処理剤を
提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は式 (Mは水素又はアルカリ金属を示す)で表わされるマレイ
ン酸ヒドラジド単位を有する水溶性ポリマーを含有する
ことを特徴とする水処理剤に係る。
本発明において前記式(1)で示されるマレイン酸ヒドラ
ジド共重合体は例えば次の方法によつて得られる。すな
わち英国特許1193146に開示されている方法で、分子量
が280〜5000のポリ無水マレイン酸を得たのち、これを
ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶
媒に溶解したのち、ヒドラジンもしくはヒドラジンヒド
ラートを作用させるか、または直接ヒドラジンヒドラー
ト中に懸濁して反応させることにより得られる。このよ
うにして得られた反応物は一般にはメタノール中に注ぎ
沈殿を生成させ、次いで乾燥し粉末となした後、そのま
ま又は水に溶解して使用されるが、直接ヒドラジンヒド
ラート中に懸濁して反応させたものは沈殿操作なしでそ
のまま使用してもよい。
本発明において前記(1)式で示されるマレイン酸ヒドラ
ジド単位のポリマー中での含有率は3モル%以上、好ま
しくは20〜100モル%とするのが良い。含有率が3モル
%未満のときは特有の性質、特に脱酸素効果が充分でな
い。本発明においてヒドラジンもしくはヒドラジンヒド
ラートと反応させる前のポリ無水マレイン酸の分子量は
280〜5000の範囲が好ましく、この範囲外では重合が容
易でない。式(1)で示されるマレイン酸ヒドラジン単位
を有する水溶性ポリマーの添加量はスケール形成化合物
の濃度やpH、水温及び溶存酸素量等に応じて変化する
が、通常は約0.5〜500ppm、好ましくは約1 〜100ppm程
度が良い。
本発明の水処理剤は例えば炭酸カルシウムや硫酸カルシ
ウムなどを主成分とするスケール形成化合物を含有する
水が、脱気、加熱、攪拌、蒸発などに基づく状態変化を
受けることにより、該水中のスケール形成化合物が過飽
和となり伝熱面上にスケールとして付着したり、あるい
は水の内部で沈殿物を形成するなどのあらゆる水系のス
ケール防止ならびに脱酸素を行うのに適用される。その
代表的な適用例を例示すると、例えばボイラー水系、工
業用冷却水系、内燃機関用冷却水系、脱塩プラント水系
などが挙げられる。
(発明の効果) 本発明の水処理剤がスケール形成性成分を含む水系に添
加されるとヒドラジド基によつてスケール形成性成分が
キレート化され、水中にイオンの形で保持されてスケー
ル形成が防止される。
一方、水系が高温かつアルカリ性下となるとヒドラジド
基が脱離してヒドラジンとなるため、水中に溶存酸素が
存在すると、ヒドラジンと溶存酸素が反応して脱酸素さ
れる。
(実施例) 以下に合成例、実施例及び比較例を挙げて説明する。
合成例1 200mlの4つ口フラスコにジオキサンを使用した浸透圧
法で測定した分子量1150のポリ無水マレイン酸50部(重
量部、以下同様)とジオキサン100部を加え、80℃で加熱
溶解したのち80%ヒドラジンヒドラート31部を添加し2
時間激しく攪拌反応させたのち、約10倍量のメタノール
中へ注ぎ白黄色沈殿物を得た。
再沈殿により精製したのち60℃で減圧乾燥し、得られた
ポリマー中のマレイン酸ヒドラジド単位のモル%をヨウ
素滴定法で測定したところ、ポリマー両末端に触媒のベ
ンジル基が結合していると仮定すると、無水マレイン酸
単位は100モル%マレイン酸ヒドラジドに変化してい
た。
合成例2 200mlの4つ口フラスコに浸透圧法で測定した分子量840
のポリ無水マレイン酸50部と10%ヒドラジンヒドラート
溶液53部を添加し、90℃で1時間激しく攪拌した。得ら
れた反応液を合成例1と同様に処理分析した結果、ポリ
マー中のマレイン酸ヒドラジドは、ポリマー両末端に触
媒のベンジル基が結合していると仮定すると25モル%で
あつた。一方、電位差滴定ではポリマーの酸価が630mgK
OH/gであり、無水マレイン酸単位の全てが加水分解さ
れていることを示した。
合成例3 200mlの4つ口フラスコに浸透圧法で測定した分子量165
0のポリ無水マレイン酸50部と20%ヒドラジンヒドラー
ト100gを添加し、40℃で5時間激しく攪拌した。得られ
た反応溶液を合成例1,2と同様に処理分析した結果、
ポリマー中のマレイン酸ヒドラジド単位は含有する無水
マレイン酸単位の85モル%であり、他は加水分解されて
いた。
実施例1〜3及び比較例1〜3 外径10mmφの鋼管を35℃に保つた人工硬水中に浸漬し、
鋼管内には90℃の温水を通すことができるようにして作
られた熱交換試験装置を用いて、スケールの生成量を測
定した。伝熱面の有効面積は18cm2となるように調節さ
れており、スケールの生成量は試験時間6時間における
鋼管の重量増によつて測定された。なお試験に使用され
た人工硬水の分析値は次のとおりである。
総 硬 度 (CaCO3として) 300ppm カルシウム硬度 (CaCO3として) 250ppm マグネシウム硬度(CaCO3として) 50ppm シ リ カ 40ppm 硫 酸 イ オ ン 240ppm Mアルカリ度 (CaCO3として) 500ppm なお試験に用いた鋼管の腐蝕を防止するため、試験液
(人工硬水)および加熱温水には亜硝酸ナトリウム1000pp
mがそれぞれ添加された。実施例1〜3には合成例1〜
3で得たマレイン酸ヒドラジド単位を分子内に含有する
ポリマーを、また比較例1〜3としてそれぞれ無添加並
びにポリアクリルアミドおよびポリアクリル酸ナトリウ
ムを使用した。試験結果は第1表に示すとおりであり、
本発明の水処理剤は低濃度の場合でも、極めて効果が高
い。
実施例4〜6及び比較例4〜6 塩化カルシウム2.5ミリモルと炭酸水素ナトリウム5ミ
リモルを溶解した脱イオン水に、マグネチツクスターラ
ーで攪拌しながら、0.1N水酸化ナトリウムを少しずつ
添加してpHを徐々に高くしていくと、pHの上昇により、
難溶性の炭酸カルシウムの溶液中での存在比が大きくな
り、溶解度を超過してついには沈殿が生じる。本試験例
は、このような水系に各種のスケール防止剤を添加し、
前記のごとき沈殿が生じる際のpHを測定することによ
り、実施例4〜6では合成例1〜3で得たマレイン酸ヒ
ドラジド単位を分子内に含有するポリマーによる炭酸カ
ルシウムスケールの発生に対する抑制効果を調べた。ま
た比較例4〜6としてそれぞれ無添加並びにポリアクリ
ルアミドおよびポリアクリル酸ナトリウムを使用した。
なお試験液の温度は15℃であつた。試験結果を第2表に
示す。参考のために、沈殿が生じたpHにおける炭酸カル
シウムの全炭酸塩に対する溶液中での存在比も第2表に
示した。なお、この炭酸カルシウムの全炭酸塩に対する
溶液中での存在比は金属防食技術便覧(日刊工業新聞社
発行)、(特報)日本学術振興会編、新版第175頁に示され
るグラフより読みとつたものである。第2表に示される
ごとく、本発明のマレイン酸ヒドラジド単位を分子内に
有するポリマーは、溶液中での炭酸カルシウムの存在比
を大きくし、スケール発生を効果的に防止するものであ
る。
実施例7〜9及び比較例7〜9 硫酸ナトリウム80ミリモリおよび塩化カルシウム80ミリ
モリを、それぞれ別々に脱イオン水1に溶解した。両
者を50mlずつとり、混合し、それに第3表のスケール防
止剤を添加し90℃で24時間静置した。試験後には、硫酸
カルシウムは過飽和となり一部沈殿しているので、その
上澄液の一部を採取し、EDTA滴定を行なつて、該上
澄液中に溶解保持されているカルシウムイオンを測定
し、実施例7〜9では合成例1〜3で得られたマレイン
酸ヒドラジド単位を含有するポリマーのスケール発生防
止効果を調べた。また比較例7〜9として無添加並びに
ポリアクリルアミドおよびポリアクリル酸ナトリウムを
使用した。試験結果はスケール抑制率による表示で第3
表に示した。なおスケール抑制率は次の計算式によつて
算出されたものである。
A:試験前の液中に溶解していたカルシウム量(g) B:試験後のスケール防止剤無添加の液中に溶解してい
るカルシウム量(g) C:試験後のスケール防止剤が添加された液中に溶解し
ているカルシウム量(g) 第3表に示されるごとく、本発明のマレイン酸ヒドラジ
ド単位を分子内に有するポリマーは、硫酸カルシウムの
沈殿生成をよく防止し、スケール発生を抑制するのに極
めて有用である。
実施例10〜12及び比較例10〜11 本発明の脱酸素の効果を確認するために次の試験を行つ
た。均一に攪拌できるマグネツトタイプの攪拌装置およ
び溶存酸素計の検出部を付した主管高さ250mmを有する
内容量750mlの容器に、水酸化ナトリウム−炭酸カルシ
ウムでpH10に調節した8.0ppmの溶存酸素を含有する水を
加え、25℃に保ちながら攪拌した。次に実施例10〜12で
は合成例1〜3で得た分子内にマレイン酸ヒドラジド単
位を有する水溶性ポリマーを初期能度が80ppmとなるよ
う加え、溶存酸素計によつて溶存酸素量の経時変化を測
定した。また比較例10〜11として、それぞれ無添加並び
にヒドラジンヒドラートを初期濃度が80ppmとなるよう
に添加した。その結果から得られた溶存酸素濃度の経時
変化を第1図に示す。図において、A〜Cは実施例10〜
12、D〜Eは比較例10〜11を示す。
実施例13〜15及び比較例12〜13 水酸化ナトリウムにより溶液のpHを11に調節した他は、
実施例10〜12並びに比較例10〜11と同様にして実験を行
なつた。その結果から得られた溶存酸素濃度の経時変化
を第2図に示す。図においてF〜Hは実施例13〜15、I
〜Jは比較例12〜13を示す。
【図面の簡単な説明】
第1〜2図は溶存酸素濃度の経時変化を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 一郎 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (56)参考文献 特公 昭61−6154(JP,B2)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 (Mは水素又はアルカリ金属を示す)で表わされるマレイ
    ン酸ヒドラジド単位を有する水溶性ポリマーを含有する
    ことを特徴とする水処理剤。
  2. 【請求項2】式(1)で示されるマレイン酸ヒドラジド単
    位を有する水溶性ポリマーが、分子量280〜5000のポリ
    無水マレイン酸とヒドラジドもしくはヒドラジンヒドラ
    ートを反応させることにより得られるものである特許請
    求の範囲第1項記載の水処理剤。
  3. 【請求項3】式(1)で示されるマレイン酸ヒドラジド単
    位がポリマー中3モル%以上含有されるものである特許
    請求の範囲第1項記載の水処理剤。
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JP2010173994A (ja) * 2009-02-02 2010-08-12 Dia Aqua Solutions Co Ltd 多機能型水処理剤
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