JPH0650808Y2 - クリーニングカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ビデオカセットデッキ（登録商標タイプ）の
クリーニングカセット、特に湿式クリーニング用テープ
カセットに関するものである。

〔従来技術〕

一般に、ビデオカセットの普及に伴い、ビデオカセット
デッキの使用回数・時間が多くなりそのためヘッドや走
行系への磁性粉の付着が多くなり、付着によって画像の
乱れ、ドロップアウト・色むら・色あせ・ピンチローラ
の汚れによるせり上り等の不具合が発生している。近年
この対策として、汚れを除去する清掃用の専用のクリー
ニングカセットが商品化されている。そしてこのクリー
ニングカセットとしてはポリエステルベースに珪素等の
研摩性のある粉体をコーティング又は含有した乾式タイ
プの改善タイプとして湿式タイプのクリーニングカセッ
トが知られている。

従来この湿式タイプのカセットは第６図に示すようにポ
リエステル等の繊維をあみ込んだクリーニングテープｄ
にフロン・エチルアルコール、イソプロパノール等のク
リーニング液を付着させて第７図のようにデッキのヘッ
ドシリンダーｅをクリーニングするタイプのものである
が、これにもクリーニングテープｄにクリーニング液を
付着させ過ぎると、デッキのヘッドシリンダーｅとクリ
ーニングテープｄが密着し、摩擦が非常に高くなるいわ
ゆる貼り付き現象が起こってしまい、デッキからカセッ
トが取り出せなくなってしまう。この不具合を解決する
目的でヘッドシリンダーｅとテープｄとの接触長を減少
させるため第８図のように、テープローディング阻止部
材ａ例えば引出しピンを設けて、テープローディング時
に阻止部材ａによってテープパスを変化させてヘッドシ
リンダーｅに対し略Ｖ字形ローディングにし、ヘッドシ
リンダーｅと、クリーニングテープｄとの接触面積を減
少させ、前述の貼り付き現象を少なくとも回避できるよ
うにすることが一応試みられている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、この阻止部材でヘッドシリンダーからのテー
プパス部を作って接触面積を少なくしたものでもヘッド
シリンダーの両側にテープが圧接される形態となり、ク
リーニング液によっては摩擦抵抗が大きく、ヘッドシリ
ンダーに対する負荷が大きくなってオーバーロードとな
り、駆動力の小さなデッキには使用できないなど、まだ
満足するものにはならない。しかも、カセットより引き
出されたラッピングテープを架装するガイドピンやガイ
ドポールの阻止部材を用いられると、デッキ側のプッシ
ュに対しては対応し得ないため走行摩擦抵抗が増減して
均等操作ができないばかりか、小さい駆動源ではオーバ
ーロードとなり、デッキ側を損傷させるクリーニングカ
セットとなって信頼性の上で問題となるし、殊にケース
ハウジングへの組付作業がやっかいであり、構造も煩雑
化する等問題であった。

本考案は、これら欠点を容易に排除しようとするもの
で、テープローディングを一部阻止するテープパスロー
ディング方式の利点を生かし、かつ阻止部材のローラが
テープガイド部材を介してデッキ側のプッシュに対応し
て移動し、テープの走行性を良好に維持できると共に、
テープパスのための阻止部材のケースへの機械による自
動組立が容易迅速にでき、阻止部材を含むテープガイド
部材が脱落或いは偏向してテープの引き出し走行に支障
を来すことがなく安全で適確なクリーニング操作が円滑
にできるクリーニングカセットを提供することを目的と
したものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、ケース１内に回転自在の供給リール２と巻取
リール３とに巻回張設されたクリーニングテープ４を備
え、かつケース前面側に対で設けたテープローディング
部材挿入用凹部5,5の間にテープローディングを一部阻
止する阻止部材のローラ６を設けたテープパス機構を備
えたクリーニングカセットにおいて、前記テープパス機
構は、前記クリーニングテープを通すように設けられた
一対のローラ6,6と、該ローラ６を回転自在に支持する
テープガイド部材７とを備え、このテープガイド部材７
を介して前記ローラ６は前記ケースの前面に沿って側方
へ互いに離隔し、かつ前記ケースの前後方向へ移動自在
であるように上下方向へ伸びて配設されているテープパ
ス部９としたことを特徴とするクリーニングカセットと
してある。

即ち、テープパス機構は、前記ローディング部材挿入用
凹部5,5間に間隔をおいて対向配備した仕切壁8,8にそれ
ぞれ係支する鉤状爪片7₃のある支承板7₂を備えたテープ
ガイド部材７を仕切壁8,8間に前後方向に移動自在に嵌
装介在配備してテープガイド部材７に設けたローラ6,6
と前記仕切壁８との間にクリーニングテープ４を安全か
つ安定な走行を行わせる構成とした請求項１又は２記載
のクリーニングカセットである。

〔作用〕

このクリーニングカセットではテープアンローディング
時には第１図のようになっていてビデオカセットデッキ
のクリーニングの際には第５図Ｂのようにテープローデ
ィングとなってクリーニングテープ４はローラ6,6に架
装されてＵ字状にテープパスが行われヘッドシリンダー
Ｂに対して片側のみ接触走行するローディングになり、
かつローディング阻止部材のローラ6,6はテープ４の走
行によってテープガイド部材７上で回転し、ガイドピン
挿入用凹部間の狭いスペースにテープパス部を簡便に構
成することができ、しかもテープガイド部材７がケース
１に対してデッキ側のプッシュに対応して移動し、テー
プ４の走行性を良好に維持できると共に、テープパスの
ための阻止部材のローラ６のケース１への機械による自
動組立が容易迅速にでき、阻止部材を含むテープガイド
部材７が脱落或いは偏向してテープ４の引き出し走行に
支障を来すことがなく安全なテープ走行操作が可能であ
って、安定したクリーニング操作ができるものである。

〔実施例〕

第１〜５図例の本考案の実施例について説明すると、上
ケース及び下ケースとからなるケース１の前面側に該ケ
ース体に軸支され、回動可能な前蓋14と、回転自在の供
給リール２及び巻取リール３に巻回張設されたクリーニ
ングテープ４を有し、かつ該ケース１の前面側にテープ
ローディング部材挿入用凹部５が一対設けられていて、
該テープローディング部材挿入用凹部5,5間にはさまれ
た範囲のケースの一部にテープローディングを一部阻止
する阻止部材のローラ６を設けたテープパス機構を備え
たクリーニング用のテープカセットにおいて、このテー
プパス機構は前記クリーニングテープのテープ巾より大
きい間隔での上下両端縁に支承板7₂,7₂を形成して断面
コ字状に構成したテープガイド部材７にテープ架装用の
一対のローラ6,6を、前記支承板7₂、7₂間に軸架させてそ
れぞれ傾斜角度をつけて上下方向に伸びて略々Ｖ字形に
対向配置してテープパス部９を構成し、即ちローディン
グ部材挿入用凹部5,5間に間隔をおいて仕切壁8,8を対向
配備し、仕切壁８にそれぞれ係支する鉤状爪片7₃のある
支承板7₂を備えたテープガイド部材７を仕切壁8,8間に
前後方向に遊動しうるように嵌装介在配備して該テープ
ガイド部材７にクリーニングテープを通すように設けら
れた一対のローラと前記仕切壁８との間にテープ４を挟
持走行させるテープパス部９を備えたクリーニングカセ
ットとしてある。

この場合、前記テープガイド部材７としては、垂直部
と、該垂直部の上下両端縁に側方に伸びる上部水平部と
下部水平部となる支承板7₂,7₂を対向配備した断面コ字
状の板材からなり、該支承板7₂,7₂間に介在支承される
テープ架装用の滑性樹脂製のローラ6,6が間隔をあけて
両サイドにそれぞれ離隔して設けられ、かつ前記支承板
7₂の両サイドに鉤状爪片7₃,7₃を突設し、前記仕切壁7₂
の内側に係止組付けられるようになっていて、テープガ
イド部材７の前記仕切壁からの離脱を防止する保持手段
となっているし、アンローディング状態下ではガイド部
材７を浮き上がらせてローラ６を前記ケースの前後方向
に移動自在であるようにしてテープに抵抗がかからない
ように考慮してある。

また、前記ローラ６としては、ポリアセタールの滑性樹
脂からなり両端に支軸6₁,6₁を備え、該支持6₁を前記支
承板7₂に設けられている軸孔7₁に嵌挿してテープガイド
部材７に回転可能に装着されたものであって、少なくと
も下方の前記支承板7₂にある傾斜軸受面7₄に前記ローラ
６の端面を支承させた円滑な回動ができるようにしてあ
り、また、前記ローラ6,6の一方のローラ傾斜角度とし
ては、水平線を基準線として約80°〜85°好ましくは81
°.30′〜84°の角度をつけ他方のローラ傾斜角度が約1
00°〜105°好ましくは101°.30′〜104°の角度をつけ
て間隔をあけてガイド部材７の両サイドにＶ字形の対向
配備して走行テープが傾斜回転するヘッドシリンダーに
接触してもせり上りを抑制しつつ走行できるようにして
ある。

この場合、テープローディングを一部阻止する前記ロー
ラ６はヘッドシリンダーＢの傾斜角度にほぼ近似する機
構を有するものであり、ケース１の前面側のテープロー
ディング部材挿入用凹部5,5にはさまれた範囲におい
て、略Ｕ字形ローディングするように一対設けてある。

このローラ６はケース１及びガイド部材７とは別体で構
成されており、テープ４の走行方向に対してそれぞれ傾
斜角度を有する略々Ｖ字形に対向配置されて前記ガイド
部材７に回転自在に枢支されているものであって、前記
鉤状爪片7₃,7₃がケース区画壁、例えば対設される仕切
壁８に上方から嵌め込まれて上ケースでカバーすればデ
ッキ側のプッシュによって若干前後に移動可能に定着で
き組立作業が容易であり、テープ走行を抵抗少なく円滑
軽快にできる（第２図）。そしてクリーニングテープ４
はローラ６に架装されてテープパスが行われ、またロー
ラ６及びガイド部材７共にテープ接触壁面12と同じか、
それより内奥部に位置して設け、ローディング時にはロ
ーラ6,6がケース１の外側に飛び出し、アンローディン
グ時には前蓋14より強制的にケース１の内側に引っ込み
復帰させられるように構成してある。またFF・REW時は
アンローディング状態となるが、ガイド部材７が若干浮
動する余裕をあけて係止させておけば支障なく、ローラ
６を介してテープ４を円滑に滑動走行できるようになっ
ている。即ち、テープガイド部材７はクリーニングカセ
ットがテープ操作装置に装填され、かつ該装置から取出
されたときに、それぞれ前記ケース１から飛び出し、か
つ前記ケース１の中に引っ込むように前後方向に移動自
在となっている。

なお、前記ケース１が、上ケース及び下ケースとからな
る分割ケースであって、その前面側に前記ガイド部材７
の嵌装するテープパス部９を設け、かつピンが嵌挿され
る位置決め孔10の孔縁の一部又は全部に直立した周壁11
を突設し、テープ４が挿入されるピンの後方側を走行し
ないようにするのが便利である。

図中Ａはテープローディング部材、Ｂは回転ヘッドシリ
ンダー、Ｃは傾斜ピン、12はテープ接触壁面、13はクリ
ーニング液の注入部で前記テープ走行路中にあってテー
プにクリーニング液の付着又は含浸できる構成となって
いる。14は前蓋で開閉自在にケース１に備えられる。

〔考案の効果〕

本考案は、前記テープパス機構は、前記クリーニングテ
ープを通すように設けられた一対のローラと、該ローラ
を回転自在に支持するテープガイド部材とを備え、この
テープガイド部材を介して前記ローラは前記ケースの前
面に沿って側方へ互いに離隔し、かつ前記ケースの前後
方向へ移動自在であるように上下方向へ伸びて配設され
ているテープパス部を備えたことにより、ガイドピン挿
入用凹部間の狭いスペースにテープパス部を簡便に構成
することができ、しかもテープガイド部材がケースに対
しでデッキ側のプッシュに対応して移動し、テープの走
行性を良好に維持できると共に、テープパスのための阻
止部材のケースへの機械による自動組立が容易迅速にで
き、阻止部材を含むテープガイド部材が脱落或いは偏向
してテープの引き出し走行に支障を来すことがなく安全
なテープ走行操作が可能であって、適確なデッキクリー
ニング作業ができる実用上の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例を示すテープアンローディン
グ（不動作状態）の内部構造を表わした平面図、第１図
Ａは前蓋開放時の斜視図、第２図はその要部を示す拡大
切断平面図、第３図はその動作状態を示す正面図、第４
図は回転ヘッドとの関係を示す要部の動作状態の拡大正
面図、第５図はテープパス部の分離状態の斜視図、第５
図Ａはローラ部の縦断面図、第５図Ｂはテープローディ
ング（動作状態）の説明平面図、第６図は従来例の平面
図、第７図及び第８図はその動作状態の説明平面図であ
る。 １……ケース、２……供給リール、３……巻取リール、
４……クリーニングテープ、５……テープローディング
部材挿入凹部、６……ローラ、6₁……支軸、７……ガイ
ド部材、7₁……軸孔、7₂……支承板、7₃……鉤状爪片、
7₄……傾斜軸受面、８……仕切壁、９……テープパス
部、10……位置決め孔。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−2113（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−2112（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−33207（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケース（１）内に回転自在の供給リール
   （２）と巻取リール（３）とに巻回張設されたクリーニ
   ングテープ（４）を備え、かつケース前面側に対で設け
   たテープローディング部材挿入用凹部（５）（５）の間
   にテープローディングを一部阻止する阻止部材のローラ
   （６）を設けたテープパス機構を備えたクリーニングカ
   セットにおいて、前記テープパス機構は、前記クリーニ
   ングテープを通すように設けられた一対のローラ（６）
   （６）と、該ローラ（６）を回転自在に支持するテープ
   ガイド部材（７）とを備え、このテープガイド部材
   （７）を介して前記ローラ（６）は前記ケースの前面に
   沿って側方へ互いに離隔し、かつ前記ケースの前後方向
   へ移動自在であるように上下方向へ伸びて配設されてい
   るテープパス部（９）としたことを特徴とするクリーニ
   ングカセット。
2. 【請求項２】前記テープガイド部材（７）が、上下両端
   縁に支承板(7₂)(7₂)を対向配備した断面コ字状の板材か
   らなり、該支承板(7₂)(7₂)間に介在支承されるテープ架
   装用の滑性樹脂製のローラ（６）（６）が間隔をあけて
   両サイドにそれぞれ回転自在に設けられ、かつ前記支承
   板(7₂)の両サイドに鉤状爪片(7₃)(7₃)を突設した請求項
   １記載のクリーニングカセット。
3. 【請求項３】前記テープパス部（９）が、前記ローディ
   ング部材挿入用凹部（５）（５）間に間隔をおいて対向
   配備した仕切壁（８）（８）にそれぞれ係支する鉤状爪
   片(7₃)のある支承板(7₂)を備えたテープガイド部材
   （７）を仕切壁（８）（８）間に前後方向に移動自在に
   嵌装介在配備してテープガイド部材（７）に設けたロー
   ラ（６）（６）と前記仕切壁（８）との間にクリーニン
   グテープ（４）を安全かつ安定な走行を行わせる構成と
   した請求項１又は２記載のクリーニングカセット。