JPH0647899U - 原子炉非常用ガス処理装置 - Google Patents

原子炉非常用ガス処理装置

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JPH0647899U
JPH0647899U JP8867892U JP8867892U JPH0647899U JP H0647899 U JPH0647899 U JP H0647899U JP 8867892 U JP8867892 U JP 8867892U JP 8867892 U JP8867892 U JP 8867892U JP H0647899 U JPH0647899 U JP H0647899U
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activated carbon
adsorbent
adsorbents
radioactive
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聡一郎 辻本
博 西野
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大阪瓦斯株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原子炉の非常時に排出される放射性物質を、
吸着材により、低圧損で効率よく処理する。 【構成】 原子炉非常用ガス処理装置の吸着材1は、活
性炭の焼結体からなる波形状シート吸着材1aと、平板
状シート吸着材1bとで構成され、これらの吸着材間に
は流路2が形成されている。前記吸着材1a,1bに
は、放射性物質との同位体交換反応を行なう物質、例え
ば、ヨウ素やヨウ化錫などが担持されている。前記吸着
材1a,1bは、活性炭素繊維などの活性炭と、繊維状
などの焼結性バインダーとの混合物を加熱加圧して成形
し、焼結することにより得られる。焼結シートで構成さ
れた吸着材の密度は0.4〜1.0g/cm3 、厚みは
0.05〜5mm程度である。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、原子炉の非常時に排出される排ガス中に含まれる放射性物質を化学 的に吸着して除去する上で有用な原子炉非常用ガス処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉から発生する放射性物質を含む排ガスが外部に漏洩するのを防止するた め、原子炉建屋内部は負圧に保たれている。また、格納容器から漏出した微量の 放射性物質を含む建屋内の空気をフィルタ系で処理し、放射性物質を除去して排 気筒から放出するための非常用ガス処理装置も利用されている。
【0003】 一方、原子炉の分解点検などに伴なって、半減期の長い放射性ヨウ素などのガ ス状放射性物質や粒子状放射性物質が漏出する場合がある。また、原子炉の非常 時には格納容器から放射性物質が漏出する場合もある。
【0004】 従来、非常時などに原子炉から漏出する放射性物質を除去するため、高性能の フィルタを備えた処理装置が使用されている。図4は非常用ガス処理装置の概略 構成図である。
【0005】 この装置は、原子炉建屋21からのガスを処理するためのフィルタトレイン2 2と、排気ファン28とで構成されている。前記フィルタトレイン22内には、 通常、原子炉建屋21に接続された吸入口から排出口の方向に向って、湿分除去 装置23、加熱コイル24、プレフィルタ25、高性能粒子フィルタ26a、ヨ ウ素用活性炭フィルタ27、および高性能粒子フィルタ26bが順次配設されて いる。このようなフィルタトレイン22で処理され、かつ清浄化された空気は排 気ファン28により、排気筒から排出される。なお、符号29aは空気作動弁を 示し、符号29bは電磁弁を示す。また、前記排気ファン28の下流側のライン には、ダンパー30が設けられている。
【0006】 このような装置において、無機ヨウ素及び有機ヨウ素の双方の放射性ヨウ素を 除去するため、活性炭フィルタ27は最も重要な役割を果す。
【0007】 従来、非常用ガス処理装置のフィルタトレイン22には、図5に示されるよう に、ケーシング32内に所定間隔離れて形成された活性炭層33a,33bを備 えた活性炭フィルタユニット31が使用されている。この活性炭フィルタユニッ ト31において、原子炉の非常時に発生したガスは、各活性炭層33a,33b 間に形成された流路34に流入して分流し、各活性炭層33a,33bを通過す る過程で放射性物質が吸着処理され、流路35から流出する。
【0008】 また、前記活性炭層33a,33bの活性炭としては、8/32メッシュ〜6 /12メッシュ程度の破砕炭が使用されている。しかし、このような活性炭を用 いた活性炭層は圧力損失が大きく、ガスの円滑な処理が損われる。また、原子炉 の非常用ガス処理装置で使用される活性炭は、種々の性能を満足しなければなら ない。例えば、装置の流入口側からは、温度約60℃、水滴を含む湿度100% 程度の高湿度ガスが流入する。しかし、このような高温高湿度のガスは、活性炭 による放射性物質の吸着を著しく低下させる。また、放射性物質を吸着除去する ためには、活性炭に種々の薬品を担持させる必要がある。さらには、活性炭が粉 粒状であるため、フィルタユニットへの充填作業だけでなく、使用後の活性炭の 処置も厄介である。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
従って、本考案の目的は、放射性物質、特に放射性ヨウ素を効率よく除去でき る新規な吸着材を備えている原子炉非常用ガス処理装置を提供することにある。
【0010】 本考案の他の目的は、圧力損失が小さく、原子炉から発生する非常時の排ガス を化学的反応又は吸着により円滑に処理できる吸着材を備えている原子炉非常用 ガス処理装置を提供することにある。
【0011】 本考案のさらに他の目的は、取扱いや交換が容易で、しかも使用済後の処置も 容易な吸着材を備えている原子炉非常用ガス処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
本考案者らは、鋭意検討の結果、活性炭を焼結することにより得られ、かつ化 学処理を施した吸着材が、原子炉の非常時などに発生する放射性物質に対して吸 着能に優れること、湿潤したガスに対しても高い吸着能を示すこと、焼結体から なる吸着材間に流路を形成することにより、圧力損失が著しく低減されることを 見いだし、本考案を完成した。
【0013】 すなわち、本考案は、活性炭の焼結体で構成され、かつ化学処理が施された吸 着材を備えている原子炉非常用ガス処理装置を提供する。
【0014】 前記吸着材の密度は0.4〜1.0g/cm3 であるのが好ましく、吸着材は 、厚み0.05〜5mmの焼結シートで構成されているのが好ましい。さらに、 前記活性炭は、活性炭素繊維を含むのが好ましい。
【0015】 なお、本明細書において、「化学処理が施された」とは、同位体交換反応を行 なう物質が、吸着材に担持されていることを言う。また、「原子炉非常用ガス処 理装置」とは、原子炉の非常時のみならず、原子炉の分解点検時などに発生する 放射性物質を含むガスを処理する装置を含む意味に用いる。
【0016】
【実施例】
以下、必要に応じて、添付図面を参照しつつ本考案をより詳細に説明する。
【0017】 図1は本考案の装置の吸着材の一例を示す概略斜視図である。図2は前記吸着 材を用いた非常用ガス処理装置の活性炭フィルタユニットの一例を示す概略斜視 図であり、図3は図2の活性炭フィルタユニットが装着されるフィルタモジュー ルの一例を示す概略斜視図である。
【0018】 原子炉非常用ガス処理装置において、放射性物質を吸着する活性炭フィルタと しての吸着材1は、活性炭素繊維の高密度焼結シートからなる複数のシート状吸 着材1a,1bで構成されている。前記吸着材1を構成する活性炭素繊維の焼結 シートは、実質的に炭素質であるという特色がある。一方のシート状吸着材1a は波形状であり、他方のシート状吸着材1bは平板状である。そのため、前記シ ート状吸着材1a,1b間には流路2が形成されている。
【0019】 このような吸着材1は、図2に示されるように、通常、放射性物質を含む流体 が供給される供給口3と、前記吸着材1a,1bにより処理された流体が排出さ れる排出口4とを備えたケーシング5内に配設され、活性炭フィルタユニット6 が構成される。ケーシング5内の吸着材1は把手7を利用して抜出し自在である 。そのため、吸着材1を容易に交換できる。
【0020】 このような複数の活性炭フィルタユニット6は、箱体8の縦横に形成された複 数の装着部9に装着される。前記箱体8と、活性炭フィルタユニット6により、 フィルタモジュール10が構成されている。このフィルタモジュール10を収容 した箱体8は、前記活性炭フィルタ27を構成する。また、箱体8に設けられた 空気取入口から流入したガスは、フィルタモジュール10を経て箱体8の空気排 出口から排出される。
【0021】 このような吸着材1を、図4に示されるような原子炉非常用ガス処理装置に用 いると、流体中の放射性物質は、前記流路2を流れる過程で、シート状吸着材1 a,1bにより吸着処理される。その際、吸着材1a,1bを構成する活性炭素 繊維の焼結シートが高密度であり、かつ積層状態で配置されているため、従来の 粒状活性炭に比べて、活性炭フィルタユニット6やフィルタモジュール10を小 形化できると共に、単位容積当りの吸着能を著しく向上できる。しかも、放射性 物質を含む流体は流路2を流れるので、通気抵抗を小さくでき、放射性物質を円 滑かつ効率よく、しかも長期に亘り安定して吸着処理できる。
【0022】 また、前記のように通気抵抗が小さいので、放射性物質を含むガスを均等に流 通させることができるとともに、ガス吸着熱を効率よく拡散させることができる 。しかも、活性炭素繊維は、粒状活性炭に比べて疎水性であるため、被処理ガス 中の水分を吸着し結露しにくくなる。そのため、高湿度の流体中の放射性物質に 対する吸着能がさほど低下しない。
【0023】 さらに、シート状吸着材1a,1bが焼結体であるため、機械的強度、形状保 持性に優れ、前記吸着材1a,1bを積層状態に配置できるだけでなく、活性炭 の装填に際して、摩耗などにより炭塵が発生するのを著しく抑制できる。また、 炭素質のシート状吸着材1a,1bは耐熱性及び耐薬品性が大きく、化学的に苛 酷な条件下でも、放射性物質を含む排ガスを処理できる。特に、シート状吸着材 1a,1bは耐熱性が高いので、放射性物質を含む高温のガスであっても効率よ く処理できる。
【0024】 なお、吸着材には、同位体交換反応を行なう物質である種々の担持薬品、例え ば、ヨウ素;ヨウ化水素、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カルシウ ム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化錫などの無機ヨウ化物;トリエチレンジアミン 、ジエタノールアミン、ピペラジンなどのアミン類が担持されている。これらの 薬品は、単独で又は二種以上組合せて使用できる。また、薬品は、吸着材全体に 均一に担持させてもよく、濃度分布をもって担持させてもよい。さらに、異なる 種類の薬品を担持した複数の吸着材を組合せて使用してもよい。
【0025】 前記薬品の担持量は、通常、吸着材に対して0.5〜30重量%、好ましくは 1〜15重量%程度である。
【0026】 なお、原子炉の非常時の排ガスには、半減期の長いヨウ素系放射性物質、例え ば、 127I(半減期:無限)、 129I(半減期:1.7×107 年)および 131 I(半減期:8.05日)などが含まれている。一方、燃料から格納容器に放出 される放射性ヨウ素の大半は、 129Iである。このような放射性ヨウ素は、ヨウ 素などの薬品と、前記格納容器から放出される放射性ヨウ素とを同位体交換反応 させることにより捕集することができる。
【0027】 また、加圧水型原子炉では、事故などの非常時には放射性ヨウ素(元素状ヨウ 素)の外に、ヨウ化メチルなどの有機のヨウ素化合物が流出する。このとき稀薄 な元素状ヨウ素は、活性炭に不可逆的に吸着される。また、ヨウ化メチルなども 活性炭に吸着されるが、吸着の程度は湿度により影響を受ける。そのため、この ような放射性化合物と直接反応する化合物(例えば、トリエチレンジアミンなど )、同位体交換反応が生じる化合物(例えば、ヨウ素、ヨウ化カリウムなど)、 双方の反応が期待できるヨウ化第1錫を吸着材に添着するのが好ましい。
【0028】 なお、放射性ヨウ素や放射性無機ヨウ化物と放射性有機ヨウ化物とを比較する と、活性炭による除去は、無機ヨウ化物の方が容易であることが知られている。 従って、非常用ガス処理装置の設計においても、有機ヨウ化物の除去性能の向上 に重点をおいて性能の評価が行なわれる。
【0029】 前記吸着材を構成する活性炭としては、繊維状、粉末状などの任意の形態のも のが使用できる。特に、活性炭素繊維を使用する場合には、繊維同志の絡み合い 及び繊維の配向方向の高い強度などの構造的特性に基いて、少量のバインダーを 用いることにより、高強度の焼結体が得られる。また、バインダーの使用量が少 ない場合には、粒状活性炭に比べて疎水性を維持でき、水蒸気により悪影響を受 けることも少ない。
【0030】 活性炭素繊維としては、通常、繊維径2〜30μm程度、繊維長0.1〜10 mm程度、孔径5〜25オングストローム程度の微細孔を有し、比表面積500 〜2500m2 /g程度のものを使用するのが好ましい。前記活性炭素繊維には 、粒状活性炭のようにマクロポアが存在しないので、ガスの吸着保持能が高い。 また、活性炭としては、例えば、よリ多くのミクロポアが存在する平均粒径10 〜100μm程度、比表面積500m2 /g以上の微細なものが好ましい。
【0031】 本考案において、放射性物質を含むガスと置換吸着する条件を考慮して、比較 的細孔径および細孔容積が大きな吸着材が望ましい。
【0032】 活性炭の由来は特に限定されず、例えば、石炭系、石油系、フェノール樹脂系 、ポリアクリロニトリル系、セルロース系、ヤシガラ系、木材系などのいずれで あってもよい。
【0033】 吸着材は、活性炭100重量部に、必要に応じて20重量部以下、好ましくは 2〜20重量部程度のバインダーを添加し、混合した後、成形し、焼結すること によって製造される。活性炭単独で焼結を行なっても、十分な強度の焼結体が得 られる場合には、バインダーを使用する必要はない。
【0034】 化学処理が施された吸着材は、化学処理を施した活性炭を用いて、前記のよう に、混合、成形及び焼結することにより調製してもよく、化学処理が施されてい ない活性炭を用い、前記のようにして得られた吸着材を化学処理することにより 調製してもよい。
【0035】 バインダーを使用する場合、焼結操作により、活性炭と一体化する焼結性バイ ンダーが特に好適である。焼結性バインダーとしては、例えば、原料ピッチを不 融化処理した未焼成の炭素などからなる不融化炭素;アラミド樹脂、フェノール 樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂など熱硬化性樹脂;不融化アクリル樹脂、不融化 ポリビニルアルコール樹脂などの不融化した熱溶融性樹脂などが例示される。こ れらの焼結性バインダーのなかで、炭素質化可能なバインダーが好ましい。これ らの焼結性バインダーは、熱溶融性バインダーと異なり、活性炭の細孔を塞ぐ割 合が極めて低い点に特色がある。さらに、焼結性バインダーを繊維状の形態で使 用する場合には(例えば、原料ピッチを紡糸し、不融化処理した未焼成の炭素繊 維を使用する場合には)、活性炭の細孔を塞ぐ割合がより少なくなる。繊維状の 焼結性バインダーとしては、糸径5〜100μm程度、長さ0.1〜5mm程度 のものを使用するのが好ましい。
【0036】 活性炭、又は活性炭とバインダーとの配合物には、必要に応じて、活性炭10 0重量部に対して、50重量部程度までの補強材をさら添加してもよい。このよ うな補強材としては、麻、紙パルプなどの天然繊維類、ポリエチレン糸、ポリプ ロピレン糸などの熱溶融性繊維類などが例示される。
【0037】 なお、前記バインダー及び補強材は、後述する焼結工程で炭素化及び/又はガ ス化するようである。
【0038】 放射性物質を含むガスを置換吸着させるためには、化学的反応と吸着の双方が 必要である。そのため、吸着材としては、単なる吸着用に用いられる活性炭素繊 維などの活性炭に比べて、機械的強度が高く、また薬品担持に適当な細孔構造を 有する吸着材が好ましい。
【0039】 吸着材の密度は、吸着能、強度などの特性を損わない範囲であればよいが、0 .4g/cm3 以上、特に0.4〜1.0g/cm3 であるのが好ましい。この ような高密度の吸着材は、強度が大きいだけでなく、殆ど、発達した微細な多孔 状の構造物で構成されているため、放射性物質に対する吸着能に優れる。なお、 吸着材のうち被処理流体と接触する側の密度は、浸透拡散を促進するため、0. 4g/cm3 以下、例えば0.1〜0.4g/cm3 程度であってもよい。
【0040】 焼結シートからなるシート状吸着材の厚さは、例えば、0.05〜5mm、好 ましくは0.2〜1mm程度である。吸着材の厚さが5mmを越える場合には、 吸着材が高密度であるため、放射性物質の処理に際して、内部に存在する活性炭 が有効に利用されない場合がある。
【0041】 前記吸着材は、図示するように平板状や波形状シートである必要はなく、活性 炭の焼結体からなる吸着材間に流路が形成できる限り、湾曲していてもよい。
【0042】 また、吸着材間に流路が形成できる限り、吸着材はケーシング内に装着する必 要はなく、例えば、原子炉排ガスを処理する非常用ガス処理装置のフィルタトレ インやケーシング内に配列して装填してもよい。
【0043】 前記流路は、種々の態様で形成できる。例えば、少なくとも一方の吸着材に、 ドット状、線状、メッシュ状、格子状などのスペーサを配し、必要に応じて、他 方の吸着材の対向面に凹凸部や溝を形成してもよい。また、一方の吸着材の面に 凸部を形成してもよく、双方の処理材の対向面に、互いに位置をずらして凸部と 凹部を形成してもよい。さらに、吸着材の機械的強度及び剛性が大きいので、ス ペーサを介在させることなく、吸着材を間隔をおいてケーシング内に配設するこ とにより、流路を形成してもよい。好ましい吸着材は、スペーサを用いることな く、流路を容易に形成できる波形状焼結シートと平板状焼結シートとで構成され る。
【0044】 焼結体からなる吸着材間の間隔は、吸着材の使用条件などにより適当に選択で きる。圧損の大きさ及び吸着材の長さを考慮すると、吸着材間の間隔は、0.1 〜5mm程度とするのが好ましい。吸着材間の間隔が、0.1mm未満の場合に は、通気抵抗が大きくなり、5mmを越えると、放射性物質の吸着効果が低下し 易くなる。
【0045】 本考案の装置の吸着材は、活性炭を高温高圧で焼成する焼結工程により得られ る焼結体を用いることにより製造できる。なお、同位体交換反応を行なう物質は 、前記のように、活性炭に予め担持させてもよく、吸着材が得られるまでの適当 な過程で担持させてもよく、得られた吸着材に担持させてもよい。
【0046】 前記焼結工程においては、活性炭単独に限らず、活性炭と焼結性バインダーと の混合物、又はさらに補強材を含む混合物が使用できる。好ましくは活性炭と焼 結性バインダーを含む混合物が使用される。
【0047】 活性炭として繊維状のものを使用する場合には、予め乾式法又は湿式法により 低密度の予備成形体を作製して焼結してもよい。なお、予備成形体を化学処理し た後、焼結してもよい。
【0048】 湿式法の場合には、活性炭単独、活性炭と焼結性バインダーとの混合物、又は さらに補強材を含む混合物を水に分散させ、機械的に撹拌して均一な水性スラリ ーを調製した後、吸引口を有する成形型に水性スラリーを入れ、吸引して予備成 形体を得る。得られた予備成形体を乾燥した後、型に入れ、圧縮加熱し、焼結工 程に供される。乾式法の場合、予め乾式法により不織布などの形態とした予備成 形体を型に入れ、上記と同様の条件で焼結してもよい。
【0049】 これらの予備成形体を使用する場合には、取扱いが容易となり、材料の密度の むらが小さくなる。特に、湿式法、特に、活性炭素繊維およびバインダーを含む スラリーを、吸引成形型を用いて吸引成形する方法により作製した予備成形体を 使用する場合には、その目付けのむらが小さいので、焼結体の密度むらも小さく なる。
【0050】 焼結工程は、吸着材の密度に応じて、例えば圧力5〜1000kgf/cm2 程度、好ましくは、10〜200kgf/cm2 程度で行なうことができる。加 圧圧力が5kgf/cm2 未満の場合には、強度が低く、密度の小さい吸着材と なり易く、1000kgf/cm2 を越える場合には、活性炭の細孔壁が破壊さ れて、放射性物質に対する吸着能が低下する虞がある。
【0051】 焼結は、例えば、温度500〜1300℃程度、好ましくは、700〜110 0℃程度の条件下で行なうことができる。焼結温度が500℃未満の場合には、 焼結不十分となって、強度が低く、密度の小さい吸着材となり易い。焼結温度が 1300℃を越える場合には、活性炭の細孔が焼結性バインダーにより塞がれ易 くなり、放射性物質に対する吸着能が低下する傾向がある。前記焼結に伴なって 、バインダーや補強材は炭素化および/またはガス化する。そのため、得られた 吸着材は、高密度で機械的強度が高く、炭素含量が高い。また、吸着材が炭素質 であるため、耐熱性、耐薬品性も高い。さらには、圧縮成形された成形品を焼結 するので、得られた吸着材の寸法精度も高い。
【0052】 焼結は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性雰囲気又は真空 下で行なうことができる。焼結時間は、使用する活性炭の種類、成形体の形状、 焼結性バインダーの種類および量などの応じて、適宜選択できるが、通常5秒〜 30分の範囲である。
【0053】 なお、放射性物質を含むガスは、例えば、吸着材との接触時間0.01〜5秒 、好ましくは0.5〜2秒程度で処理することができる。
【0054】
【考案の効果】
本考案の装置によれば、次のような効果が生じる。
【0055】 (1)化学処理が施された吸着材が活性炭の焼結体で構成されているので、活 性炭含量が多く、高密度である。そのため、装置をコンパクト化できると共に、 単位容積当りの吸着能が大きく、原子炉の非常時などに排出される放射性物質を 効率よく長期に亘り安定して処理できる。
【0056】 (2)複数の吸着材の間に流路を形成すると、チャンネリングを抑制しつつ、 放射性物質を含むガスを低圧損で円滑に処理できる。また、ガスを均等に流通さ せ、吸着熱を効率よく拡散させることができると共に、結露を防止でき、放射性 物質を含むガスを効率よく処理できる。
【0057】 (3)吸着材が焼結体からなる炭素質であるため、機械的強度、耐熱性、耐薬 品性などに優れている。従って、吸着材は、取扱い性に優れていると共に、苛酷 な条件下でも、放射性物質を含むガスを処理できる。
【0058】 (4)本考案の装置の吸着材は、同位体交換反応を行なう物質が担持されてい るため、放射性物質を含むガスを効率よく吸着除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本考案の装置の吸着材の一例を示す概略
斜視図である。
【図2】図2は図1の吸着材を用いた非常用ガス処理装
置の活性炭フィルタユニットの一例を示す概略斜視図で
ある。
【図3】図3は図2の活性炭フィルタユニットが装着さ
れるフィルタモジュールの一例を示す概略斜視図であ
る。
【図4】図4は非常用ガス処理装置の概略構成図であ
る。
【図5】図5は従来の活性炭フィルタユニットを示す概
略断面図である。
【符号の説明】
1,1a,1b…吸着材 2…流路

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭の焼結体で構成され、かつ化学処
    理が施された吸着材を備えている原子炉非常用ガス処理
    装置。
  2. 【請求項2】 吸着材の密度が、0.4〜1.0g/c
    3 である請求項1記載の原子炉非常用ガス処理装置。
  3. 【請求項3】 吸着材が、厚み0.05〜5mmの焼結
    シートで構成されている請求項1又は2記載の原子炉非
    常用ガス処理装置。
  4. 【請求項4】 活性炭が活性炭素繊維を含む請求項1〜
    3のいずれかの項に記載の原子炉非常用ガス処理装置。
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