JPH0647550B2 - 抗ウイルス剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は生大豆又は卵白を含有する抗ウイルス剤に関す
る。

〔従来の技術〕

ウイルスは人及び家畜等の恒温動物の病原体の一つであ
り、通常ワクチンが使用される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、ワクチンが開発されず、又、開発されても実用
化に到っていないものも多い。例えロタウイルスは人間
の乳幼児や牛、豚、羊等の家畜の幼動物の腸管上皮で増
殖し、しばしば重篤な非細菌性下痢を引き起こす。ロタ
ウイルスは伝染力が強く産院等での院内感染が医学界で
は問題となっている。又、畜産界でも現在の様な多頭集
約飼育方式では、一たび発生すると多大な被害を与え、
産業的に重大な問題となっている。

現在このウイルスに対するワクチンは実用化されておら
ず、対策としては、下痢による脱水症状の対症療法とし
て経口的又は非経口的な輸液を実施する他に手段は無
く、根本的な治療法が確立されていない。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで本発明者らは、抗ウイルス剤について種々研究し
た結果、生大豆、卵白が抗ウイルス作用を有することを
見い出した。

本発明は上記知見に基づき完成されたものである。

本発明で使用される生大豆としては大豆種子、その粉末
及び脱脂生大豆、生豆乳などの搾油後の生大豆製品があ
げられる。卵白としては例えば生卵白や凍結卵白があげ
られるが生卵白がはいっているものなら特に制限なく液
卵や凍結全卵も使用可能である。

本発明の抗ウイルス剤を投与する対象としては特に制限
なく、例えば人及び牛、馬、羊、豚などの家畜などがあ
げられる。その投与量は体重１kg当り１日0.01ｇ以上で
具体的には、大豆種子、その粉末の場合は0.06〜６ｇ程
度、脱脂生大豆の場合は0.02ｇ以上、好ましくは0.04〜
４ｇ程度、生豆乳の場合は粉末で0.01ｇ以上、好ましく
は0.02〜２ｇ程度、卵白の場合は粉末で0.01ｇ以上好ま
しくは0.03〜３ｇ程度である。

又、投与は通常経口的になされる。

投与期間は通常ウイルス疾患の罹患期間であるが、その
予防をかねてウイルス疾患に罹患しやすい期間、例えば
ロタウイルス疾患に対しては乳児期又は幼令期間を通じ
て投与するのがよい。

本発明の抗ウイルス剤は、生大豆、卵白をそのままある
いは生大豆、卵白が１％以上、好ましくは１０％以上と
なるように生理的に無害な固体又は液体担体と混合して
製造した製剤で、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散
剤、シロップ剤などの固体状製剤又は液体状製剤の形
で、そのまま投与しても良く、又水、牛乳、人工乳など
の食物又は飼料に添加して投与しても良い。ここで用い
られる固体担体としては、例えば乳糖、コーンスター
チ、ブドウ糖、脱脂粉乳、脱脂米ヌカ、とうもろこし
粉、とうもろこしでんぷん、乳酸カルシウム、炭酸カル
シウム、セルロース、液体担体としては、例えば水、生
理食塩水、シロップ等があげられる。この他必要に応じ
て乳化剤、分散剤、懸濁剤、湿潤剤、安定剤、甘味剤、
防バイ剤、抗酸化剤等の補助剤又は添加剤を使用しても
良い。

なお、本発明の恒温動物用抗ウイルス剤に他の薬剤を添
加することは何ら差支えない。

実施例１ 脱脂生大豆粉末１重量部に脱脂粉乳３重量部、ブドウ糖
１重量部をＶ型混合器に入れ、充分撹拌混合して粉末状
の散剤を得た。

実施例２ 卵白粉末２重量部に、コーンスターチ３重量部をＶ型混
合器に入れ、充分撹拌混合して粉末状の散剤を得た。

〔効果〕

以下本発明の抗ウイルス剤が優れた効果を有するもので
あることを実験例により説明する。

実験例 (1)実験方法 ロタウイルスに対する抗ウイルス作用を培養細胞系を用
いて検討した。

使用したウイルスはヒトのロタウイルス（ＭＯ株）でこ
のウイルスをサル胎児腎由来のＭＡ１０４細胞にm.o.i
0.5で感染後、生豆乳又は卵白添加無血清ＭＥＭ培地で
５時間ごとに培地を交換しながら２０時間培養した。

次いで培地中に放出されたウイルスの量をフルオレセン
スフォーカスアッセイ（fluore scence focus assay）
法を用いて調べた。

(2)実験結果 結果を表１に示す。

この表から本発明の抗ウイルス剤は0.2％以上の添加で
ウイルスの増殖を顕著に抑制することがわかる。

従って、本発明の製剤は恒温動物用の抗ウイルス剤とし
て期待される。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】生大豆又は卵白を含有する抗ウイルス剤