JPH0647428A - 溶融金属から製品を直接押出す方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高品質の製品を溶融金属から直接押出す方法
を提供する。 【構成】 外周に無端溝９を設けた回転ホイール１の前
記無端溝９と前記無端溝９を覆う固定シュー２とにより
通路３を形成し、この通路３の一端にタンディッシュ内
の溶融金属５を連続的に供給し、この溶融金属５を前記
通路３内で凝固させ、この凝固体６に回転ホイールの回
転に伴い生じる前記通路３と凝固体６との間の接触摩擦
抵抗により押圧力を発生させて、前記凝固体６を前記通
路３の前方に配置した押出しダイスを通して押出す溶融
金属から製品を直接押出す方法において、前記通路３の
一端における溶融金属５の供給方向を、前記通路３の一
端における回転ホイール１の回転方向と同じ方向とな
し、且つタンデッシュ内から通路内へ溶融金属５を筒状
体４を介して層流状態で移送する。 【効果】 酸化皮膜やエアーの巻込みがなくなり高品質
の押出製品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高品質の製品を溶融金
属から直接押出す方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】溶融金属から製品を直接押出す方法が特
公平４-17725に開示されている。この方法は、図３にそ
の概略を示したように、周縁に無端溝９を設けた回転ホ
イール１の前記無端溝９と前記無端溝９を覆う固定シュ
ー２とにより通路３を形成し、この通路３の一端から溶
融金属５を連続的に供給し、この溶融金属５を前記通路
３内で凝固せしめ、この凝固体６に回転ホイール１の回
転に伴い生じる前記通路３と凝固体（鋳塊）６との間の
接触摩擦抵抗により押出圧力を発生させて、前記凝固体
６を前記通路３の前方に配置した押出ダイス10を通して
製品11に押出す方法である。通路３一端内への溶融金属
５の供給は、ここに示した樋７を用いて直接横方向から
供給する方法の他に、図４に示したようにノズル４を用
いて溶融金属５を上方から自由落下させる方法によって
もなされている。又図には示さなかったが回転ホイール
１と固定シュー２の要部に冷却水路が形成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
押出方法では、押出原料に溶融金属を用いる為、原料コ
ストは廉価であるが、得られる押出製品は、表面に割れ
が、又内部にガス孔が多発し、又表面粗度が大きい上、
寸法精度に劣るものであった。

【０００４】

【課題を解決する為の手段】本発明はこのような状況に
鑑み鋭意研究を行ない、得られる押出製品が低品質とな
る原因は、溶融金属５を上方から自由落下させ、或いは
溶融金属５を横方向から回転ホイール１に衝突させて供
給する為に、前記通路３内の溶融金属５が激しく波打
ち、その結果通路３内の溶融金属５中に酸化皮膜やエア
ーが多量に巻込まれ、そのうち酸化皮膜は凝固形態を不
均一となして表面欠陥を生ぜしめ、エアーは内部にガス
孔を形成するのみならず、押出圧力を変動させて、押出
製品11の寸法精度を低下させ、更に前記通路３内の溶融
金属５の波打ちは通路壁に形成された初期凝固層の成長
を不均一にして押出製品11に肌荒れを惹起すると共に、
凝固層６の表面温度や凝固終了位置を変動させ押出圧力
を不安定にして、押出製品の寸法精度の低下を助長する
ことを知見し、かくして品質改善のキーポイントは、溶
融金属の供給法の改善にあることを見極めて研究を進
め、本発明を完成するに至ったものである。

【０００５】即ち、本発明は、外周に無端溝を設けた回
転ホイールの前記無端溝と前記無端溝を覆う固定シュー
とにより通路を形成し、この通路の一端にタンディッシ
ュ内の溶融金属を連続的に供給し、この溶融金属を前記
通路内で凝固させ、この凝固体に回転ホイールの回転に
伴い生じる前記通路と凝固体との間の接触摩擦抵抗によ
り押出圧力を発生させて、前記凝固体を前記通路の前方
に配置した押出しダイスを通して押出す溶融金属から製
品を直接押出す方法において、前記通路の一端における
溶融金属の供給方向が、前記通路の一端における回転ホ
イールの回転方向と同じ方向で、且つタンデッシュ内か
ら通路内へ溶融金属を筒状体を介して層流状態となして
供給することを特徴とするものである。

【０００６】以下に本発明を図を参照して具体的に説明
する。図１は本発明における溶融金属供給法の態様例を
示す側面説明図である。回転ホイール１と固定シュー２
とで形成される通路３の一端に、筒状体、即ちノズル４
が、その先端を前記通路３内の溶融金属５中に浸漬して
配置されている。溶融金属５はノズル４内に充満して層
流状態にある。又前記ノズル４から供給される溶融金属
５の通路３の一端内への供給方向は、溶融金属５の供給
位置における回転ホイール１の回転方向と一致してい
る。この為前記通路３の一端内における溶融金属５は鎮
静な状態にあり、酸化皮膜やエアーを巻込むことがな
い。尚、前記ノズル４の内部形状は、図示しないタンデ
ッシュと通路３の一端部分との溶融金属５のヘッド差と
凝固体６の押出速度に合わせて、内部の溶融金属５がノ
ズル４内に充満して層流状態になるように設計される。

【０００７】図２は本発明における溶融金属供給法の他
の態様例を示す側面説明図である。回転ホイール１と固
定シュー２とで形成される通路３の一端に、樋７が、そ
の端部を回転ホイール１に当接させて水平に配置されて
いる。前記樋７の先端部分は通路３と相似形の筒状に形
成され、この筒状部分８は樋７本体に対して直角に下方
に折れ曲がって形成されている。前記筒状部分８は、通
路３内にあって溶融金属５が回転ホイール１の溝壁面に
衝突して乱れるのを防止するとともに、溶融金属５の向
きを変えて溶融金属５の通路３への供給向きを回転ホイ
ール１の回転方向に一致させる作用を果たす。又筒状体
の先端部外周には耐火材12を巻いて溶融金属５の差し込
みを防止する。本発明において、溶融金属５を通路３内
に層流にして供給するには、樋先端の筒状部分８を通路
３内の溶融金属５中に５mm以上浸漬させるのが、通路内
の溶融金属の乱れを確実に防止できて好ましい。

【０００８】

【作用】本発明では、外周に無端溝を設けた回転ホイー
ルの前記無端溝と前記無端溝を覆う固定シューとにより
通路を形成し、この通路の一端にタンディッシュ内の溶
融金属を連続的に供給し、この溶融金属を前記通路内で
凝固させ、この凝固体に回転ホイールの回転に伴い生じ
る前記通路と凝固体との間の接触摩擦抵抗により押出圧
力を発生させて、前記凝固体を前記通路の前方に配置し
た押出しダイスを通して押出す溶融金属から製品を直接
押出す方法において、前記通路の一端における溶融金属
の供給方向が、前記通路の一端における回転ホイールの
回転方向と同じ方向で、且つタンデッシュ内から通路内
へ溶融金属を筒状体を介して層流状態となして供給する
ので、酸化皮膜やエアーの凝固体への混入等が防止さ
れ、得られる押出製品は内外ともに欠陥のない高品質の
ものとなる。

【０００９】

【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 実施例１ 溶融金属の供給方法に図１に示した方法を採用した他
は、図３に示した溶融金属から製品を直接押出す方法に
より、断面20×５mm、純度99.7％のＡｌ製角材を押出し
た。回転ホイールには、直径 500mm、溝断面が30×30mm
のものを用いた。溶融Ａｌの供給温度は 750℃に、回転
ホイールの回転速度は３RPM に設定した。ノズル及び樋
筒状部の通路内溶融金属への浸漬長さは、それぞれ３〜
50mmの範囲内で種々に変化させた。 実施例２ 溶融金属の供給方法に図２に示した方法を採用した他
は、実施例１と同じ方法によりＡｌ製角材を押出した。

【００１０】比較例１ ノズルの先端を通路内の溶融金属中に浸漬せず、双方間
に30mmの間隙をあけて溶融金属を通路一端内の溶融金属
中に自由落下させた他は、実施例１と同じ方法によりＡ
ｌ製角材を押出した。 比較例２ 先端部に筒状体を設けない樋を用い溶融金属を回転ホイ
ール面に直接当てて供給した他は、実施例２と同じ方法
によりＡｌ製角材を押出した。このようにして得られた
各々のＡｌ製角材について、表面粗さと寸法精度を測定
した。又ダイスを外して鋳塊の状態でサンプルを取り、
この鋳塊サンプルについて、表面欠陥数と内部ガス欠陥
数を計測した。結果を、押出圧力の変動を併記して表１
に示した。

【００１１】

【表１】

【００１２】表１より明らかなように、本発明例品(No.
１〜10) は、いずれも押出製品の品質が内外ともに優れ
たものであった。又ガスが少ない為押出圧力の変動が小
さく、従って寸法精度が高いものであった。ノズル又は
樋筒状部の溶融金属浸漬長さは20〜40mmにおいて、最も
良好な品質が得られた。これに対し比較例品(No.11,12)
は、押出前の鋳塊の段階で割れやガス欠陥が多発し、そ
の結果表面が粗く、又押出圧力の変動が大きくなり、押
出製品の寸法精度が低下した。これは通路内湯面が変動
して酸化皮膜やガスが多量に巻き込まれた為である。以
上Ａｌ角材を押出す場合について説明したが、本発明方
法は、銅等の他の金属材料を押出す場合にも、又異型条
や多穴管等の他の形状製品を押出す場合にも、高品質の
押出製品が得られる。尚、鋳塊（通路）断面積と押出製
品の断面積比は１〜50の範囲にするのが好ましい。

【００１３】

【効果】以上述べたように本発明方法によれば、高品質
の製品を溶融金属から直接押出すことができ、工業上顕
著な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の押出方法における溶融金属供給法の態
様例を示す側面説明図である。

【図２】本発明の押出方法における溶融金属供給法の他
の態様例を示す側面説明図である。

【図３】溶融金属から製品を直接押出す方法の説明図で
ある。

【図４】従来法の押出方法における溶融金属供給法の側
面説明図である。

【符号の説明】

１ 回転ホイール ２ 固定シュー ３ 通路 ４ ノズル ５ 溶融金属 ６ 凝固体 ７ 樋 ８ 樋の筒状部分 ９ 無端溝 10 押出ダイス 11 製品 12 耐火材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周に無端溝を設けた回転ホイールの前
   記無端溝と前記無端溝を覆う固定シューとにより通路を
   形成し、この通路の一端にタンディッシュ内の溶融金属
   を連続的に供給し、この溶融金属を前記通路内で凝固さ
   せ、この凝固体に回転ホイールの回転に伴い生じる前記
   通路と凝固体との間の接触摩擦抵抗により押出圧力を発
   生させて、前記凝固体を前記通路の前方に配置した押出
   しダイスを通して押出す溶融金属から製品を直接押出す
   方法において、前記通路の一端内への溶融金属の供給方
   向が、前記通路の一端における回転ホイールの回転方向
   と同じ方向で、且つタンデッシュ内から通路内へ溶融金
   属を筒状体を介して層流状態となして供給することを特
   徴とする溶融金属から製品を直接押出す方法。