JPH0647394U

JPH0647394U - 二度撚撚線機のフライヤーガイド

Info

Publication number: JPH0647394U
Application number: JP083509U
Authority: JP
Inventors: 久宗宮脇
Original assignee: 金井宏之
Priority date: 1992-12-03
Filing date: 1992-12-03
Publication date: 1994-06-28

Abstract

(57)【要約】【目的】線状体の撚り戻りを滑らかにして、線状体の
疵の発生や内部応力の変化によるカール、キンク、フレ
アー性の不良を防止すると共に、撚り不良、くせ不良の
ない高品質の線状体を製造可能にする。【構成】回動自在な内輪を具備したガイドチップを、
線状体の走行ラインと斜交するようフライヤーの周面一
部に配設して成る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、タイヤやベルト等の補強材として使用されるスチールコード等（以下、線状体という）の製造に用いる二度撚撚線機のフライヤーガイドの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種撚線機におけるフライヤーガイドは、図３に示すように、超硬合金に単に孔を設けたガイドチップ１５の複数個を、フライヤー７の周面一部に固着したもので、線状体Ｓが上記ガイドチップの孔１５ａを単に通過するようになしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来技術のフライヤーガイド１５においては、線状体Ｓがガイドチップ１５の孔１５ａ内を通り、フライヤー７の高速回転に伴って振り廻される。このため、線状体Ｓには強い張力が掛かり種々の問題が生じていた。例えば、線状体とガイドチップ内部とが接触することにより、圧接やしごきにより線状体の表面に疵を付けやすかった。しかも線状体が無理にゆがめられたり、こすられることによって、線状体のくせが変形したり、内部応力が変化して、線状体の均一性が乱れ、カール、キンク及びフレア性の不良が発生し、更には線状体表面に施されたメッキが削り取られることもあった。

【０００４】また、二度撚撚線機において撚りが付与されるのは、撚線機に入る所で一度撚りが与えられ、更にクレードル内に入る所でもう一度撚りが与えられる。しかし、硬鋼線の場合は、二度目に与えられる撚りがターンローラ、ガイドチップを通して撚線機本体の入口側に戻り（撚りの逆流）、最初から二度撚りが与えられた状態となることが品質上必要である。何故なら、上記撚りの逆流によって撚りピッチや撚り形状が一度で形成され、各素線間に差が出来ず均一な撚りとなるからである。つまり、複数本の硬鋼線群には、二度目に与えられる撚りがターンローラ、ガイドチップを通して撚り戻りとなるため、ガイドチップ内において、線状体は回転して撚られながら進行していくことになる。

【０００５】ところが、従来のフライヤーガイドでは、線状体がガイドチップと強く接触している間は撚りの進行が一時的に止められるために、さらに撚り状態が悪くなり、撚り不良、くせ不良の原因となっていた。

【０００６】本考案の目的は、上記従来技術の課題を解決するものであって、フライヤーを高速回転させた際に生ずる線状体の疵やカール、キンク及びフレアー性の不良を防止するだけでなく、撚り戻りを滑らかにすることにより撚り不良、くせ不良のない良好な品質の線状体を製造し得る二度撚撚線機のフライヤーガイドを提供せんとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案に係る二度撚撚線機のフライヤーガイドは、回動自在な内輪を具備したガイドチップを、線状体の走行ラインと斜交するようフライヤーの周面一部に配置して成る。

【０００８】

【作用】

上記構成のフライヤーガイドを具備した撚線機を起動すると、線状体がガイドチップ内を通過する際に内輪と広い接触面に亘って接触して、内輪が滑らかに回るので、撚りが一時的に止められることなく、線状体自身は円滑に回転して撚られながら進行する。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１０】図１において、ガイドチップ５は、所要厚を有する本体に穿設した取付孔に外輪１を嵌着し、この外輪１内に球３を介して内輪２を回動自在に設けて成る。尚、図中、４はシール部である。上記外輪１と内輪２は耐摩耗性を向上させるため、超硬合金等を使用すると好適である。また、内輪２は、その孔面を弧状にすることにより線状体とより滑らかに接触するようになすと好適である。

【００１１】上記ガイドチップ５をフライヤー７の周面一部に、線状体Ｓの走行ラインと斜交するよう（図１（ロ）参照）所要角度（例えば、約３０゜）を有して配置して、所望の二度撚撚線機のフライヤーガイドを構成する。

【００１２】次に本考案のフライヤーガイドを具えた二度撚撚線機について説明する。

【００１３】図２に示すように、６はバンチャー撚線機の基台であり、フライヤー７を回転自在に軸支している。また８はクレードルであり、フライヤー７、７間に揺動自在に懸架されている。更に９はオーバーツイスト装置、１０は引取キャプスタンローラ、１１は巻取リール、１２は集合ボイス、１３は鏡板目板を示しており、１４は夫々ターンローラである。

【００１４】硬鋼線Ｗは鏡板目板１３を通り、集合ボイス１２により集束されて撚線機本体に導かれる。集束された線状体Ｓは、フライヤー７の軸芯に配置されたターンローラ１４を通り、フライヤー７、７の周面一部に設けられたガイドチップ５、５を通過し、更に反対側のターンローラ１４を通ってクレードル８内に導かれる。そして、オーバーツイスト装置９によりオーバーツイストが付与され、撚りが均一となって巻取リール１１に巻取られる。

【００１５】この時のフライヤー７の回転数を４，０００ｒ．ｐ．ｍ、左回転とすると、線状体Ｓは右方向へ進んでいるためＳ撚りとなり、線状体Ｓには１分間に８，０００ｒ．ｐ．ｍの撚りが付与される。そして、二度目の撚りは、線状体Ｓがクレードル７内に再び入るときに始まるが、ターンローラ１４、ガイドチップ５を逆流して撚り戻りとなる。このとき、線状体Ｓがガイドチップ５内を接触しながら通過すると、内輪２が自在に回動して、線状体も同時に回転して一時的停止を生ずることなく円滑に進行する。また、撚り戻りが円滑に行なわれるため、線状体の張力も弱くなって安定する。

【００１６】ところで、本実施例では、ガイドチップとしてころがり軸受構造としたが、内輪が自在に回動する構造であれば、メタルによる構造等に変更することも可能である。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は上記構成になしたので、撚り戻りが極めて滑らかに行なわれるため、表面の疵、くせ不良が減少し、カール、キンク及びフレア性の不良等のない安定した良質の撚線が得られるという実用的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のフライヤーガイドを示し、（イ）は概
略説明図、（ロ）は（イ）のＡ−Ａ線断面図、（ハ）は
平面図。

【図２】本考案のフライヤーガイドを具えた二度撚撚線
機の概略構成図。

【図３】従来のフライヤーガイドを示す断面図。

【符号の説明】

１外輪２内輪３球４シール部５ガイドチップ７フライヤー

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】回動自在な内輪を具備したガイドチップ
を、線状体の走行ラインと斜交するようフライヤーの周
面一部に配置したことを特徴とする二度撚撚線機のフラ
イヤーガイド。